TRIZホームページ 新着情報 |
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[本ページに2011年掲載分を繰り入れた。2014. 7.28] 注: 他の年度に関しては、下記のリンクテーブルをご利用下さい。 |
『TRIZホームページ』に掲載した記事を,
全件, 掲載順に (新しいものが上, 古いものが下の順) 紹介しています。
2011年 掲載
TRIZフォーラム: 寄稿: TRIZとの出会いから理解の深まりへ (私のTRIZ学習): さまざまな矛盾を解決するための問題解決の統合手法を目指して
(掲載: 2011.12. 5)
長谷川 陽一 (神奈川県在住) 、2011年11月27日
いま、大震災と原発事故の後で、日本の社会も経済も政治も複雑に絡み合った沢山の矛盾を抱えています。その矛盾を解決するために、TRIZを始めいろいろな問題解決の手法をまとめて (簡易に統合して)、広く普及させて、矛盾の解決を試みていくべきだと、長谷川さんは考えています。「そのためにまず、自分が2006年にTRIZ/USITに出会ってから、いろいろな文献 (本『TRIZホームページ』の記事など) を学んで、TRIZの理解を深めてきた経過を紹介したい」とのことで、本稿を寄稿いただきました。一つ一つの文献から学んだことを、自分なりの体系に取り込んで、消化・吟味しています。深く、継続したTRIZの学習の一つの先例として、お読みいただけると、参考になることでしょう。長谷川さんの寄稿に感謝します。
TRIZフォーラム: 読者の声: 初めての国際会議で英語で発表して (ETRIA TFC 2011、アイルランド)
(掲載: 2011.12. 5)
佐藤彩乃 (芝浦工業大学 修士2年)、インタビューア: 中川 徹 (大阪学院大学)、2011年12月 2日
別ページに報告しました、アイルランドでのETRIA主催のTRIZ国際会議 (2011年11月2-4日) で発表された、佐藤彩乃さんに、その感想をお聞きしました。発表に自分から手を挙げたこと、英語嫌いたったのに高校2年で半月アメリカの語学学校に行かされてやはり英語が必要だと実感したこと、論文投稿後の査読の苦労、「感動」という日本語を海外の人たちに伝える苦心、発表後「面白かったよ」といって貰えて嬉しかったこと、ETRIAの学会の印象、韓国の人たちの積極さなど、いろいろと話してもらいました。
初々しく、緊張した中でも堂々と発表された、修士2年の佐藤彩乃さんの心意気を、感じとっていただけますと幸いです。
TRIZフォーラム: 読者の声: ETRIA TFC2011 国際会議に参加して: 感想と報告 (国内参加者 6名)
(掲載: 2011.12. 5)
牧野公一 (早稲田大学大学院)、泉 丙完 (泉精機 & 早稲田大学大学院)、佐藤彩乃 (芝浦工業大学 修士2年)、長谷川浩志 (芝浦工業大学)、澤口 学 (早稲田大学)、中川 徹 (大阪学院大学) 、
欧州TRIZ協会主催のTRIZ国際会議 TFC2011 (11月2〜4日、ダブリン、アイルランド) に、日本から参加した 6名全員のそれぞれの感想と報告。うち4人は初めてのETRIA 国際会議でしたので、新鮮で強い印象を持たれています。ぜひご一読下さい。
TRIZニュース: 世界のTRIZ関連会議: 報告 と 計画
(掲載: 2011.11.18)
米国: (Altshuller Institute for TRIZ Studies 主催) TRIZCON2011計画: 11月28-29日、デトロイト (ミシガン州)
。
(メール受信 2011.10.14; 11. 1) プログラム、アブストラクトなど Web サイトを参照。欧州: ETRIA (欧州TRIZ協会) 主催: TRIZ Future Conference 2011、11月2-4日開催、 ダブリン(アイルランド)。
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発表47件、参加者 約120人(26ヶ国)。日本から参加 6人、発表 5件。 なお、TFC2012 はリスボン(ポルトガル)の予定。韓国: Korea TRIZCON2012 開催計画 (ICSI2012と共同で開催)。 2012年7月10-11日、ソウル
。発表募集中
TRIZ論文: 身近な問題解決:草取りの方法と道具の考察
(2011.11.18)
三宅貴久、中川 徹 (大阪学院大学)、日本TRIZ協会主催 第7回日本TRIZシンポジウム (2011年9月8-10日、東芝研修センター、横浜市港北区)、ポスター発表。および、中川 徹、三宅貴久 (大阪学院大学)、ETRIA主催 TRIZ Future 国際会議 (2011年11月2-4日、Inst. Tech. Tallaght, Dublin, Ireland)。論文拡張概要: 和文
、英文
、発表スライド: 和文
、英文
。
「草取り」というのは、古くからあり、今なお大変な労働です。この問題は一見簡単な、しかし実際には非常にさまざまな要求を持っている問題です。そこで、「草取り」の目的、仕上がり目標、さまざまな問題状況 (土地、草の種類と生え方、草と作物の分布など)に対応して、いろいろな方法 (そのねらい、道具/機械、メカニズム、バリエーション) を考え、有効性の評価を考えています。TRIZを使って個別の問題を解こうとする前に、このように問題を全体的に見渡して、大事な方法に絞っていくことが必要であると考えたものです。あいまいに定義された問題にアプローチするための方法を示しています。
TRIZフォーラム: 読者の声: 「『TRIZホームページ』満13年おめでとう」
本『TRIZホームページ』の満13年にあたって、読者の方からいただきましたお祝いと激励のメッセージを掲載させていただきました。 (掲載: 2011.11.13)
イランから、満13年おめでとう!! (メッセージと写真)(Mahmoud Karimi (IIITS、イラン)
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(掲載: 2011.11.13)
「11月 1日にIIITS研究所の会合のときに、『TRIZ Home Page in Japan』 13周年記念のバースデイケーキを造り、イランでお祝いをしてあげた」とのことで、メッセージと写真2葉をいただきました。本ホームページのためのバースデイケーキは初めてのことで、ありがたいことです。
中国から、「中国におけるTRIZの状況」(Xian-yong Zhou (周 賢永)、中国)
(掲載: 2011.11.13; 12. 5)
本ホームページに対する激励の言葉とともに、寄稿をいただきました。「TRIZが中国に紹介されたのは1998年頃であるが、以後 9年はわずかな大学でしか知られていなかった。2007年に政府の科学技術省がTRIZを「イノベーション方法」として注目し、積極的な推進を始めたので、状況は大きく変わった。黒竜江省と四川省がパイロット省となり、科学技術省の管轄下に「イノベーション方法学会(IMS)」が作られて、TRIZの研究、開発、普及を精力的に進めている。まだ、国内的であるが 少なくとも3つの重要な学会 (交流の場)がある。」とのこと。その取り組みの大きさと速さは注目に値します。英文版、中国語版
、そして和訳版
があります。
添付: 「中国本土におけるTRIZの研究と普及:現状と問題点」 (Guang Chen (陳 光)、西南交通大学 (中国)) (中国語 PDF)
[追記: より早く 1987年にアルトシュラーの著作の中国語訳があるとのコメントあり、著者が追記。(掲載: 2011.12. 5)]
TRIZホームページ(TRIZ Home Page in Japan) の 満13年にあたって (中川 徹) (2011.10.28)
本ホームページを創設して(11月1日で) 満13年になります。TRIZの理解と普及のために、非営利の立場で情報の公開による紹介・発信・交流を進めることを目的としております。ボランティアで開始し編集しておりますが、個人のホームページではなく、読者の皆さんの寄稿を掲載する「公共サイト(Public Web site)」を目指しています。また、和文と英文の並行したページ作りに努力して、日本と海外との協力関係を作ることを目指してきました。今回の東日本大震災に際して海外の多数の方からメッセージをいただき、本ホームページに掲載いたしました。世界の各国・地域に公共Webサイトを作り、グローバルで自律的なネットワークを作ろうと提唱しています
。なお、2005年11月以降のvisit数は現在、和文トップページが 157,252 (この一年で約 )、英文トップページが 26,319 (この一年で約 ) でした。読者の皆さんのTRIZの理解と導入に本ホームページを活用いただけますと幸いです。ご寄稿をお待 ちしております。
TRIZフォーラム: 学会報告(24): 「第7回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)、日本TRIZ協会主催、2011年 9月8日〜10日、東芝研修センター (新横浜)」 (和文概要)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2011年10月24日。 (掲載: 2011.10.28)
日本でのTRIZシンポジウムを、海外に紹介するために、公式報告ではなく個人の文責で、発表された論文の全体をレビューして、英文で紹介する。報告は大部になるため、約10編ほどに分割して、今後順次掲載する予定である。
学会報告(24): 親ページ: (編集ノート、概要、シンポジウムを組織する)
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(掲載: 2011.10.28)
最初に、概要を記述して、シンポジウムの組織と運営の方針などを紹介している。
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TRIZフォーラム: 学会報告(23-12): 「第6回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report): 追記」(概要和文)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2011年9月25日。 (掲載: 2011. 9.25)
本シンポジウムでの全発表の中から、合計24編を精選し、それぞれの論文のページを和文・英文で作成し、発表スライドの全文を掲載しました。これらのページへのリンクを Personal Report の論文一覧表に追記しました。
TRIZ論文選集: 第6回日本TRIZシンポジウム2010 での 国内発表 精選 7編 (2011. 9.25)
昨年のTRIZシンポジウムでの国内からの一般発表のうち、7編を精選して、ここに掲載します。これらの発表スライドは日本TRIZ協会公式サイトでは、「会員限定ページ」内に去る3月から掲載されています。このたび、各著者の了解を得て、それぞれの論文のページを和文・英文で本サイトに作り、その発表スライド全文を掲載して、より広く読まれるようにしました。各ページは、論文概要、発表スライド全文PDF、中川の「Personal Report」中の紹介、から構成しています。
MPUF(マイクロソフトプロジェクトユーザーズフォーラム) USIT/TRIZ研究会: 中村公一(MPUF USIT/TRIZ研究会)、 中山憲卓(コニカミノルタテクノロジーセンター(株))、牧野泰丈(横河電機(株))、大森秀樹(横河電機(株))、 青木和茂(横河電機(株))、青木和則(東京計器(株))、 山田悦男(MPUF USIT/TRIZ研究会)、 瀧本稔(富士ゼロックス(株))、三原祐治((株)創造性工学研究所)、 第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、オーラル発表。スライド全文(PDF)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文
: 2011年 3月21日。
MPUF USIT/TRIZ研究会は、多数の企業からボランティアで集まった技術者たちの研究グループである。単純なペーパーファスナーを取り上げて、それを改良するさまざまなアイデアを創り出すことを試みている。著者らがその前年に作った「USITワークブック」を使って、それに従って順次この例題を解き、有効性を検証しようとしている。分析およびアイデア生成のプロセスが、多数のイラストを使ってきちんと記録されており、面白い。
誤解事例集による一般的TRIZプロセスに沿った振動音響設計の誘導
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石濱正男 (神奈川工科大学)、 第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、オーラル発表。スライド全文(PDF)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文
: 2011年 3月21日。
著者は以前に、自動車のための雑音・振動問題に対して、技術者の設計をガイドするTRIZベースの標準的なプロセスを開発している。しかし、このような正方向の指針に加えて、負の教訓 (誤解の事例)を提示することが重要と考えた。そこで、雑音・振動設計についての誤解事例70件の知識ベースを作った。
TRIZ式問題探索によるチャイルドシート改良概念計画 (第2報)
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M田 南(神奈川工科大学 大学院修士2年)、 第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、ポスター発表。スライド(ポスター紹介)
、スライド(ポスター全文)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文
: 2011年 3月21日。
著者は大学院の修士2年で、昨年に続いての第2報です。子どもに自由な動きを許しつつ事故時の安全を目指して、著者は昨年「揺動式のチャイルドシート」を提案しました。この提案の難点は、シート自体の動きを制御できず、揺れを減衰できていないことでした。これらの問題をTRIZの機能分析や矛盾マトリックスを使ってさらに検討し、楕円面を使ってシートをいつも前向きに保つ解決策、磁石を組み込みエディ電流により揺れを減衰させる解決策を提案しています。考えるプロセスをきちんと記録した、優れた発表です。
日本発:創造的ものづくりとTRIZ −危機に直面する日本のものづくりを和洋の知恵を活用し再構築する −
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前田卓雄 (匠システムアーキテクツ株式会社)、 第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、オーラル発表。スライド全文
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文
: 2011年 4月 2日。
日本のものづくり、特にソフトウェア業界について、その将来の方向を鳥瞰的に捉え、危機的状況にあることを訴えています。著者は、ものづくりのプロセスの基本的な枠組みを示して、ビジネスおよび技術のイノベーションの全体プロセスの中に、TRIZ/USITの考え方を取り込もうとしています。その考えを具体化したものとして、『ビジネス・技術イノベーションワークブック』を著者が作りました。ユーザはこのワークブックのガイドに従って、一歩一歩自分自身の具体的な考えを書き込んでいくことによって、イノベーションのアイデアをまとめることができるようになっています。ビジネス・経営TRIZ研究分科会(NPO法人 日本TRIZ協会): 吉澤郁雄((学)産業能率大学)、長谷川公彦(アイディエーション・ジャパン(株))、佐藤 聡(慶應義塾大学大学院)、久野 茂(NKNコンサルティング(株))、森谷康雄(富士通アドバンストテクノロジ(株))、前田卓雄(匠システムアーキテクツ(株))、上村輝之(ウイルフォート国際特許事務所)、菊池史子(パイオニア(株))、池田 理((株)ニコン)、伊沢久隆(ソニー(株)、 第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、ポスター発表。スライド(ポスター紹介)
、スライド(ポスター全文)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文
: 2011年 4月14日。
この研究分科会の第3報です。具体的な検討事例として、「大画面テレビシステム」を取り上げて、新しいビジネスモデルを開発する方法を、議論してきています。今回の発表では、新しいビジネスモデルの「スキームを構築する」 (すなわち、ビジネスモデルを定義し、差別化するための観点を作る) フェーズについて論じています。
TRIZをマインド分野に応用した実践的アプローチ 〜TRIZマインド研修の確立に向けて〜
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山畳秀人(ドコモ・システムズ(株))、花岡幸枝 ((株)ウィズダム)、 第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、オーラル発表。スライド全文
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文
: 2011年 4月30日。
著者らは、「マインドトレーニング」 (すなわち、会社での従業員研修や、個人の悩みごと解消などのための研修) に従事してきており、最近TRIZに出会い、TRIZをうまく取り込んでいます。TRIZの40の発明原理をやさしく言い換えた「マインド原理」を作り、それを心理的惰性を克服するためのトレーニングに適用しているのです。非常に興味深い、TRIZの新しい応用分野です。高原 利生 ( )、 第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、オーラル発表。発表スライド全文
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、論文全文
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。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文
: 2011年 4月14日。
高度に洗練された哲学的な論文です。技術分野だけでなく、人間や社会の世界をも含めたすべてのもの/ことを、体系的に説明/記述したいというのが、著者のねらいです。通常の「オブジェクト」の概念を拡張して、「認識可能なものすべて」を表すものとし、その結果、物質、システム、アイデアなどだけでなく、運動、変化、プロセスなどを「(拡張した)オブジェクト」と考えています。このように拡張した概念を使って、「TRIZの理想」(すなわち、差異解消のための理想の方法) を、問題状況から解決策への変換として形式的に記述することを試みています。理論的な思考のためには、列挙によるラジカルな思考 (すなわち、すべてのものを取り上げて、体系的に整理する思考) が重要であると、著者はいいます。実に精力的で高度な研究です。[なお、上記の他に、中川の研究室からの発表1編 (下記) をすでに本サイトに掲載しています。]
ポスター発表: さまざまな筆記具: 身のまわりのものから技術の発展のしかたを学ぶ
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中谷くるみ、 中川徹 (大阪学院大学) (掲載: 2010.11.12)
TRIZ論文選集: 第6回日本TRIZシンポジウム2010 での 国内発表 (受賞) 4編 (2011. 9.25)
昨年のTRIZシンポジウムでの国内からの発表のうち、参加者による「私にとって最もよかった発表」の投票で受賞した4編をここに掲載します。これらの発表スライドは日本TRIZ協会公式サイトで、昨年12月に公開で掲載されています。このたび、各著者の了解を得て、それぞれの論文のページを和文・英文で本サイトに作り、その発表スライド全文を掲載して、より広く読まれるようにしました。各ページは、論文概要、発表スライド全文PDF、中川の「Personal Report」中の紹介、から構成しています。
産業系新聞記事のリバースTRIZによる社内活動高揚の取り組み 〜多様な技術分野の研究開発者に対して具体的にTRIZを解説〜
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伊沢久隆、永瀬徳美、国友秀世 (ソニー株式会社)、 第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、オーラル発表。スライド全文(PDF)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文
: 2011年 3月18日。
著者らは、社内でのTRIZの推進のために、産業系の新聞の、技術やビジネスに関する最新記事を活用するとよいことを見つけた。著者らはそのような記事をTRIZの観点からレビュー、分析し、その結果を定期的に社内ホームページや研修セミナーで紹介・配付して、TRIZ推進を活性化することができた。
親子で取り組むTRIZ-2 〜 コビトやひとの世界で考えてみよう!〜 ねじを磁石にするには?
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宮西 開 (金沢市立兼六中学校2年/息子) 、宮西克也 ( /父親)、 第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、オーラル発表。スライド全文(PDF)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文
: 2011年 4月 2日。
宮西さん一家の第2報で、2008年の長男に続き、次男の開 (かい)君が、中学1年の夏休み自由研究をお父さんのガイダンスを受けて行ったものです。開君は、磁石にしばらくくっついていたネジ釘が、(磁石から離しても) こんどは自分が磁石になっていた (「磁化」) ことに興味を持って、どんなしくみかを知りたい思いました。それを物理の言葉で説明しなかったのが、宮西さんのユニークなところです。「人と人との間だって、似たようなことがあるのでないの? 友達になるとか、怖じ気づきが広がるとか。」 そしてこの擬人化の方法を使って磁石の問題を一緒に考え、その後で物理の実験をしてしくみを確かめています。
TRIZマインドカードによる創造的思考の実践 〜あらゆるところにTRIZのエッセンスを〜
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花岡幸枝 ((株) ウィズダム) 、山畳秀人(ドコモ・システムズ(株))、 第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、ポスター発表。ポスター紹介(PDF)
[英訳: 庄内亨(日立)]
、ポスタースライド全文(PDF)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文
: 2011年 4月30日。
(もう一つの) 山畳・花岡によるオーラル発表では、TRIZの40の発明原理をマインド分野 (心理分野) に適応するように読み替えて、 40の「マインド原理」を得ています。一方このポスター発表では、それをさらに発展させて、40の「マインド原理」と、心理学での12の心理的矛盾(葛藤)パターンとを組み合わせて、52枚の 「マインドカード」を創りました。それらをちょうどトランプのようにして使った新しい「マインドトレーニング」のモデルを作り、研修者が自分自身の心理的葛藤を克服するのを助けるようにしています。
革新的問題発見・解決の方法 - 初心者にもわかる課題の設定とその解決法: 改良版矛盾マトリクスの提案 -
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三原祐治 ((株) 創造性工学研究所) 、桑原正浩((株) アイデア)、福島洋次郎、 澤口学(早稲田大学)、濱口哲也(東京大学)、長田洋(東京工業大学)、 第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、オーラル発表。スライド全文(PDF)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文
: 2010年12月 8日。
本発表は、TRIZ以外に全く異なる様々な背景を持った6人の共著者たちが討論した結果をまとめた、優れた発表である。ここで採用されている主要な枠組みは、設計工学の分野で広く知られている「思考展開図」である。TRIZでの矛盾を解決する方法の役割をこの枠組みで位置づけている。また、TRIZの矛盾マトリックスの諸パラメータを二つのグループに分割し、メカニズム(機構) に関連して考察すべきパラメータ群と、構造に関連するパラメータ群に分けることを提案している。それによって、これらグループ間の交差項を無視し、二つの改訂矛盾マトリックスを提案している。[なお、上記4編の他に、「テーマ講演」4編については、すでに本サイトに英文・和文のページを作って掲載しておりましたので、発表スライドの本サイト内への収録と、それに伴うリンクの作成だけを行いました。また、"Personal Report"での中川の紹介を各講演の英文ページに再録しておきました。]
テーマ講演1: 商品企画のためのTRIZの活用 ‐イノベーション創造型TRIZの構築‐
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澤口 学(早稲田大学) (掲載: 2010.12.30)
テーマ講演2: マネジャの為のTRIZ 〜科学的手法を活用したアプローチとマネジメント〜
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山口 和也 (MOST合同会社) (掲載: 2010.12.30)
テーマ講演3: TRIZ活用の知財戦略と実践
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片岡 敏光 (株式会社 パットブレーン) (掲載: 2010.12.30)
テーマ講演4: 教育とTRIZ: 新しい展望のために
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中川徹 (大阪学院大学) (掲載: 2010.12.30)
TRIZ/USIT論文: USIT法の考え方・使い方 −創造的問題解決のための新しいパラダイム−
(2011. 9.19)
中川 徹 (大阪学院大学)、日本TRIZ協会主催 第7回日本TRIZシンポジウム (2011年9月8-10日、東芝研修センター、横浜市港北区)、テーマ講演
。スライド全文 (和文
および英文
)。
シンポジウムの初日「セミナー(A)」のプログラムで、TRIZの初心者および経験者の人たち向けに話した。討論を含めて70分で、USITについてきちんと話をすることができた。話の構成は、TRIZからUSITへ、USITの身近な適用例、USITによる問題解決プロセスの一部始終、創造的問題解決の新しいパラダイムという理解: 「USITの6箱方式」、USITの実践のために、USIT/TRIZの情報源、参考: TRIZの伝統的パラダイムとUSITの新しいパラダイムの比較。読んでいただけますと幸いです。
TRIZ論文選集: 第6回日本TRIZシンポジウム2010 での 海外発表 6編 (2011. 9.19)
昨年のTRIZシンポジウムでの海外からの発表のうちの 6編を選択して掲載する。これらの発表スライドは日本TRIZ協会公式サイトでは「会員限定ページ」に今年3月に掲載されている。このたび、各著者の了解を得て、それぞれの論文のページを和文・英文で作り、その発表スライド全文を公表して、より広く読まれるようにしました。各ページは、論文概要、発表スライド全文PDF、中川の「Personal Report」中の紹介、から構成しています。
Seung-Hyun Yoo, Manyop Han, and Ung-Rak Jeong (Ajou University、韓国)、 スライド和訳: 正木 敏明 (日東電工)、第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、オーラル発表
。スライド全文(PDF)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文: 2011年 3月21日。
著者らは(港湾で使う) ガントリクレーンの優れた技術的改良モデルを設計し、トローリーを垂直回転式にすることにより、コンテナの船への積み荷/積み降ろしのスループットを3倍程度改良できることを示した。その設計案の良さはシミュレーションで示されている。ところが、著者たちはビジネス面で新しい矛盾に直面している。なぜなら、この大クレーンを最初に設置するリスクを負おうという人が現れないからである。Hong-Wook Lee, Won Gyu Kim, Myung Rae Cho, Jin Woo Cho, Sang Hee Lee (Hyundai-Kia Motor Company、韓国)、スライド和訳: 望月 朗 (日産自動車)、中川 徹 (大阪学院大学)、第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、オーラル発表
。スライド全文(PDF)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文: 2011年 3月21日。
TRIZ思考により、解決策コンセプトをさらに深く深く考え改良した、優れた事例報告である。著者らは可変圧縮率(VCR)エンジンの有利性を学んでそれを使いたいと思ったが、既存の方法はもちろん特許の壁で使えない。そこで、トリミング法を使って特許を回避する案を作り、さらに「毒消し」でそのアイデアを強化し、予測される二次的問題をARIZで解決し、また、機能探索を使って解決策をさらに拡張したコンセプトにまでした。Jung-Bae Kim, Youngkyoo Hwang, Won-Chul Bang and James D.K. Kim (Samsung Electronics, 韓国)、スライド和訳: 池田 理 (ニコン) 、第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、ポスター発表
。スライド全文(PDF)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文: 2011年 3月21日。
著者たちは、ユーザの顔の表情を、バーチャル世界のアバターの表情としていきいきと投影するソフトウェアを開発したいと考えた。既知の方法は二つある。モーション・キャプチャ法は多数のマーカーを顔に貼り、精密だが高価で不便である。ビジョンベースの方法は、マーカーを使わず、一つのカメラで、簡便だが精密でない。著者らの解決策は、顔の表情を表すさまざまなパラメータをその性質により分離することであった。ユーザごとに異なるパラメータは、予め撮影したイメージで計測して設定してしまい、一人のユーザでの時間に依存するパラメータは、カメラで撮影してリアルタイムに追随させる。この解決策は、安価で、簡便で、精密である。
SMD (Samsung Mobile Display社)におけるTRIZ: そのユニークな状況・ゴール・アプローチ
SeHo Cheong, Len Kaplan, Valeriy Prushinskiy (Samsung Mobile Display, 韓国)、 スライド和訳: 井上 敦 (東芝) 、第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、オーラル発表
。スライド全文(PDF)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文: 2011年 3月21日。
TRIZの推進に関して、全社的で高度なアプローチをしている、印象的な報告である。彼らの目標設定は、モバイルディスプレイのグローバルビジネスで、技術No.1の位置を占め続けることである。そのためのアプローチとして、「まだ業界の誰もが作っていないものを、どのようにして作るか?」を主にしている。この目的のために、CEOによるトップダウンの運動を進め、全従業員にTRIZのトレーニングを行い、年に20名の「創造エリート」を育成する、などをしている。
コンピュータ支援による問題解決: 発明的問題の分析をサポートする対話ベースシステム
Yuri Borgianni 1, Niccolo Becattini 2, Gaetano Cascini 2, Federico Rotini 1 (1 Universita degli Studi di Firenze, Italy; 2 Politecnico di Milano, Italy)、スライド和訳: 菊池史子 (パイオニア) 、第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、オーラル発表
。スライド全文(PDF)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文: 2011年 4月 2日。
問題解決をコンピュータで支援するには何が望まれているのかを要求分析し、問題解決をコーチングする新しいソフトウェアツールの開発を始めた。知的で柔軟であることを目指して、OTSMを問題解決の基本枠組みとして採用し、モジュール化した会話型のソフトにしている。大学および企業でのテスト使用もした。
コンピューターを使った (体系的) イノベーション- 新たな思考ツールと方法
Darrell Mann (Systematic Innovation Ltd, 英国), Dr Paul Filmore and Mir Abubakr Shadad (University of Plymouth, 英国) 、スライド和訳: 渡辺 裕 (ソニー) 、第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、オーラル発表
。スライド全文(PDF)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文: 2011年 4月 2日。
新しい、興味深いソフトウェアを開発している。3種のもの。(a) (例えば宣伝用の) 一つの画像から、それを半自動的にいろいろに変化させて、新しい画像を創り出し改良するソフトウェア。(b) 一つの特許、あるいは特許群を、進化のトレンドの観点から分析して、現段階における価値 (位置づけ) と将来における価値とを評価し表示するソフトウェア。(c) 顧客の声 (将来需要) を見出すために、著者らが開発した「TrenDNA」のアルゴリズム (進化のトレンドの対立を考えるもの)を実装したソフトウェア。それぞれに面白いロジックであり、将来注目していくとよい。
TRIZ論文: Nikolai Khomenko: OTSM-TRIZ 入門セミナー: 強力な思考の一般理論 (OTSM): 発展の経緯、理論的背景、諸技法、および活用分野
(2011. 9.19)
Nikolai Khomenko (Insight Technologies, Inc.、カナダ)、OTSM-TRIZ 入門セミナー (2010年9月8日、東京)、
。スライド全文(PDF)
。
正味6時間の英語でのセミナーのスライド134枚を掲載する。TRIZシンポジウムでの基調講演を敷衍し、事例なども示している。(和訳なし)
TRIZ論文選集: 第6回日本TRIZシンポジウム2010 での基調講演 2編 (2011. 9.19)
以下の2編の基調講演は、その発表スライドが日本TRIZ協会公式サイトで公表されており (昨年11月)、また中川が「シンポジウムのPersonal Report」で紹介しました(昨年11月)が、このたび、それぞれのページを和文・英文で改めて作り、より広く読まれるようにいたしました。各ページは、論文概要、発表スライド全文PDF、中川の「Personal Report」中の紹介、から構成しています。
イランにおけるTRIZの普及活動: TRIZの適用と推進による新しい国民的パラダイムへの転換
Mahmoud Karimi and Sara Salimi (イラン革新技術研究所 (IIITS)、イラン)、 スライド和訳: 坂田 寛 (日立製作所)、第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、基調講演
。スライド全文(PDF)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文: 2010年 11月28日。
Karimi氏は1999年頃にTRIZに関心を持ったといいます。2004年には、新聞に毎週「TRIZと創造性」についてのコラムを連載し、さらに週間雑誌に同様の連載をしました。IIITSは、TRIZのテレビ講座(35分、5巻シリーズ) を制作し、数回放送したといいます。さらに、2007年から、テレビで各界の識者とともにTRIZについて語るトークショウに生出演し、すでに35分番組を160回以上、複数のテレビチャンネルで放送したとのことです。これらによって、イランでは知識層にすでにTRIZがよく知られているとのことで、驚くばかりです。
強力な思考の一般理論 (OTSM): 発展の経緯、理論的背景、諸技法、および活用分野
Nikolai Khomenko (Insight Technologies, Inc.、カナダ)、スライド和訳: 黒澤 愼輔、第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市)、基調講演
。スライド全文(PDF)
。紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)、英文: 2010年 11月28日。
OTSM は、アルトシュラーによって1970年代半ばに最初に構想されたもので、1980年代半ば以降 Nikolai Khomenko が研究・開発してきたものです。TRIZを技術分野向けから開放して、より広く、分野の限定を外して、非典型的な問題を創造的に解決するための方法を作るための基礎理論を目指したものです。Khomenko の基調講演は、彼の25年間の研究成果をまとめたもので、OTSM の全体像を明確な枠組みのもとに話しています。すなわち、(a) OTSMが対象とする主要問題、(b) OTSMの公理、(c) OTSM の主要モデル、 (d) OTSMの諸方法、です。現在の段階のOTSMでは、複雑で大規模な問題を、OTSM-TRIZの問題フローネットワーク(PFN) アプローチで扱うことができる、といいます。また最後に、創造性に関する教育のあり方について議論しています。
TRIZフォーラム: TRIZの状況と情報源
中川 徹(大阪学院大学)、2011年 8月14日 (掲載: 2011. 8.22)
出典: 『ITとソフトウェアにおける問題解決アイデア集 −TRIZの発明原理で分類整理』 Umakant Mishra 著、中川 徹 監訳 (2011年9月 創造開発イニシアチブ、出版予定)の「後書きに代えて」
本稿は、TRIZにまったく新しい読者のために、書きおろしたものです。ただし、TRIZの考え方については、別に学んでおられるものと想定しています。ここには、TRIZの現在の状況を世界および日本のスケールで概観し、情報源を明記し、また日本での適用・推進事例の優れたものを紹介しています。本ページでは、小見出しをつけて参照しやすくし、また、情報源のそれぞれにリンクを張りました。
ご案内: Mishra 「IT & TRIZ」 翻訳プロジェクト 案内 (3)(4) 翻訳完了!! 近日出版計画中
中川 徹(大阪学院大学)・堀田政利 (創造開発イニシアチブ)、2011年8月19日; 9月7日 (掲載: 2011. 8.22; 9. 7)
原著: Umakant Mishra (インド)) 著 "TRIZ Principles for Information Technology"
日本語版: 『ITとソフトウェアにおける問題解決アイデア集 −TRIZの発明原理で分類整理』、中川徹監訳、小西慶久、庄内亨、堀田政利、前田卓雄訳、後藤一雄デザイン、(株) 創造開発イニシアチブ (発行計画中)。
==> 出版計画チラシ(2011. 9. 7)
4年以上の懸案![]()
![]()
でありました、Umakant Mishra の表記の本について、その和訳を完成し、索引なども充実した形で出来上がりました。現在、著者との出版契約、および出版に関する具体的な準備をしております。TRIZシンポジウム2011の際に、見本を展示できるように努力中です。ご期待下さい。
本書は、IT/ソフト分野のさまざまな技術 (索引項目約2700件) を集めて、そのエッセンスをTRIZの発明原理で理解し、分類整理したものです。IT/ソフトの技術者にも、一般のユーザにも興味深い事例が満載で、何か技術的に改良したいと思いながら本書を読むと多数のヒントが得られます。また、TRIZの発明原理がIT/ソフトという新しい世界に的確に適用・拡張されているのを学ぶことができます。IT/ソフトの分野は、確実にTRIZの考え方を適用して、発展させられる世界になりました。序文(II)、索引(IT技術約2700項目の階層的分類による索引) の紹介
、「TRIZの状況と情報源(後書きに代えて)」
を掲載しています。
発表: Simon S. Litvin 氏の永年の貢献に感謝して、功労賞 を贈呈します (『TRIZホームページ』基金 中川 徹)
中川 徹 (『TRIZホームページ』基金)、 2011年8月3日。(掲載: 2011. 8. 3; 10.28)
『TRIZホームページ』(編集者: 中川 徹) は、日本および世界におけるTRIZの一層の普及・発展に役立てたいと考え、「『TRIZホームページ』基金」を一昨年設けました。また、一昨年はDarrell L. Mann氏 (英国)、そして昨年はNikolai Khomenko 氏 (カナダ) に功労賞を贈呈いたしました。このたび、Simon S. Litvin氏 (米国)に、功労賞を贈呈いたします。TRIZの方法論の開発と企業への導入に関して、同氏が永年に渡り、優れた研究、著作、開発、研修を行い、世界中の人々を指導してきた功績を讃え、感謝して贈呈するものです。[TRIZシンポジウムでの贈呈式の写真と賞状の写真を掲載しました。(2011.10.28)]
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ご案内: 京都府中小企業技術センター スキルアップ研修 「TRIZ/USIT 入門と演習」
講師: 中川 徹、主催: 京都府中小企業技術センター。2011年 7月13日(水) 10:00-17:00、京都府産業支援センター (京都市下京区)。定員 30名、参加費 無料。午前にTRIZとUSITの概要を例を用いて話し、午後には 5人ずつのグループで、「省エネで夏を涼しく過ごすには?」という統一テーマでUSITのグループ演習をする予定です。京都府の方はぜひお出で下さい。 (掲載: 2011. 6.17)
TRIZフォーラム: 「東日本大震災 (地震、津波、原発事故) と 今後: 参考資料とノート」
中川 徹 (大阪学院大学)、 (掲載: 2011. 5.19; 6.15)
大震災はわれわれに多面的で重大な課題を与えています。今後のことを考えるために、信頼のおけるきちんとしたデータを知り、いろいろな考えや取り組みをまず知らねばなりません。そこで、この日本語のページには、政府の公式情報をはじめ、各種研究組織からの情報、代表的な著書などの情報を集め、リンクを張り、簡単な紹介を書きました。項目は、大震災と今後(全般)、地震とその被害、津波とその被害、福島原子力発電所事故、放射能汚染、原子力発電とその問題、社会生活 (避難、電力事情)、エネルギー・環境・技術、提言のために、などです。
一方、対応する英文ページは「Current Situations in Japan after the March 11 Disaster: Information Sources and Notes」というタイトルにしました。ここでは、地震、津波、福島原発事故、その後の放射能汚染の状況、これらに対する日本政府の取り組み、日本の生活状況などを、海外の人たちに分かりやすく伝えることを目的にしています。経済産業省が5月12日に英文の総括的なレポートをWebに掲載しています (PDF 2.6MB
)。スライド形式で、客観データをきちんと載せた、分かりやすいよいレポートです。このレポートを紹介し、日本地図で位置関係を明示しておきました。英文での諸情報のリンクを張っていますが、あまり多くはありません。この経済産業省のレポートは、われわれ国民にも非常に役に立つものですが、日本語版がまだないようです。
TRIZフォーラム: 学会報告(23-11): 「第6回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report): その他、まとめ」(概要和文)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2011年4月30日。 (掲載: 2011. 4.30)
Personal Report (英文)の親ページに、11. その他、12. まとめを記述しました。和文ページには、12. まとめの全文を和訳して掲載しています。今回で11回に渡った Personal Reportの執筆と掲載を完了しました。なお、親ページは、和文PDF(10頁、369 KB)、英文PDF
(25頁、295 KB) としても掲載しています。
「11. その他」
のセクションでは、シンポジウムでの発表以外の活動 (予備討論、交流会、グループ討論、TRIZ協会総会など) について言及しています。
「12. まとめ」![]()
では、総括として、発表数、参加者数、企業からの寄与、TRIZ専門家たちの寄与、大学からの寄与などについてまとめました。さらに、シンポジウムのいろいろなテーマ領域について、それぞれ数編の発表を推薦し、簡単に紹介しています。シンポジウムの発表の全編について随分詳しく紹介を記述しました結果、今回のTRIZシンポジウムでの諸発表が、TRIZをより深く理解し、またその適用分野を一層広げ、推進していくことに随分寄与したことを実感し、非常に嬉しく思っています。TRIZシンポジウム2010の成功を踏まえて、さらにいま、東日本大震災の被害を乗り越えて、今年の9月に第7回のTRIZシンポジウムを開催するべく準備を進めています。ぜひ、ご発表、ご参加をお願いいたします。
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TRIZフォーラム: 学会報告(23-10): 「第6回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)、Part H. ソフト・非技術分野への適用」(概要和文)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2011年3月30日。 (掲載: 2011. 4.14; 4.30)
このカテゴリでは下記の8編をレビューして、英文で紹介しています。なお、PDF(25頁、1.8 MB) も掲載しました。
福嶋洋次郎 ( ) ら
: 「ソフトウェア、ITのためのTRIZの活用」。 -- テーマ講演の一つですが、スライドが英訳されていませんので、本紹介ではアブストラクトだけを引用させていただきました。
長谷川 聡 ら (コニカミノルタビジネステクノロジーズ)
: 「USITオペレータマトリクスのソフトウェア分野への展開」。--USITオペレータの体系をより分かりやすくするために、著者らはUSITのサブオペータを簡単な表の形式 (「USITオペレータマトリックス」) に整理しています。そして、電子写真技術の分野での600件の特許を分析して、どのサブオペレータが頻繁に使われているかを明らかにしました。さらに、今回、メカニカル制御ソフトウェア技術の分野で100件の特許を分析し、その頻度パターンが同様であることを見出しています。
前田卓雄 (匠システムアーキテクツ)
: 「日本発:創造的ものづくりとTRIZ」。--日本のものづくり、特にソフトウェア業界について、その将来の方向を鳥瞰的に捉え、危機的状況にあることを訴えています。著者は、ものづくりのプロセスの基本的な枠組みを示して、ビジネスおよび技術のイノベーションの全体プロセスの中に、TRIZ/USITの考え方を取り込もうとしています。その考えを具体化したものとして、『ビジネス・技術イノベーションワークブック』を著者が作りました。ユーザはこのワークブックのガイドに従って、一歩一歩自分自身の具体的な考えを書き込んでいくことによって、イノベーションのアイデアをまとめることができるようになっています。
吉澤郁雄((学)産業能率大学) ら[日本TRIZ協会 ビジネス・経営TRIZ研究分科会]
: 「新たなビジネスモデルの構築に向けたTRIZ思考や手法の適用」。-- この研究分科会の第3報です。具体的な検討事例として、「大画面テレビシステム」を取り上げて、新しいビジネスモデルを開発する方法を、議論してきています。今回の発表では、新しいビジネスモデルの「スキームを構築する」 (すなわち、ビジネスモデルを定義し、差別化するための観点を作る) フェーズについて論じています。
石田厚子 (日立コンサルティング)
: 「TRIZベースのビジネスアイディア創出法の適用経験に基づく創造性支援技法の評価」。-- 創造性支援技法には、4つの本質的な側面が必要なことを著者は見つけています。それらは、(問題を認識するための)「経験」、(問題のシステムのエッセンスを明確にするための) 「抽象化」、(新しい解決策アイデアを生成するための) 「柔軟性」、および、(解決策を元の問題と関係づけるための) 「理解可能性」です。このうちの「理解可能性」が、ビジネスと技術の両方の関係者にとって重要で、両者の間の障壁を除いてイノベーションを成功させる鍵であると、著者はいっています。
山畳秀人 (ドコモ・システムズ) ら
: 「TRIZをマインド分野に応用した実践的アプローチ 〜TRIZマインド研修の確立に向けて〜」。--著者らは、「マインドトレーニング」 (すなわち、会社での従業員研修や、個人の悩みごと解消などのための研修) に従事してきており、最近TRIZに出会い、TRIZをうまく取り込んでいます。TRIZの40の発明原理をやさしく言い換えた「マインド原理」を作り、それを心理的惰性を克服するためのトレーニングに適用しているのです。非常に興味深い、TRIZの新しい応用分野です。[このたび、著者らのスライド を英訳して、詳しい紹介を追加記述しました。 (2011. 4.30)]
花岡幸枝 ((株) ウィズダム)
: 「TRIZマインドカードによる創造的思考の実践 〜あらゆるところにTRIZのエッセンスを〜」。-- (上記の山畳らの発表にある、TRIZの40の発明原理を読み替えた) 40の「マインド原理」と、心理学での12の心理的矛盾(葛藤)パターンとを組み合わせて、52枚の 「マインドカード」を創りました。それらをちょうどトランプのようにして使った新しい「マインドトレーニング」のモデルを作り、研修者が自分自身の心理的葛藤を克服するのを助けるようにしています。「私にとって最も良かった発表」の賞を得たものです。[このたび、著者らのスライド を英訳して、詳しい紹介を追加記述しました。 (2011. 4.30)]
高原 利生 ( )
: 「TRIZの理想 ―TRIZという生き方?その2―」。--高度に洗練された哲学的な論文です。技術分野だけでなく、人間や社会の世界をも含めたすべてのもの/ことを、体系的に説明/記述したいというのが、著者のねらいです。通常の「オブジェクト」の概念を拡張して、「認識可能なものすべて」を表すものとし、その結果、物質、システム、アイデアなどだけでなく、運動、変化、プロセスなどを「(拡張した)オブジェクト」と考えています。このように拡張した概念を使って、「TRIZの理想」(すなわち、差異解消のための理想の方法) を、問題状況から解決策への変換として形式的に記述することを試みています。理論的な思考のためには、列挙によるラジカルな思考 (すなわち、すべてのものを取り上げて、体系的に整理する思考) が重要であると、著者はいいます。実に精力的で高度な研究です。
訃報: 「Nikolai Khomenko 氏が、2011年3月27日に逝去されました。ご冥福をお祈りします。」
(2011. 4. 2)
3月27日にNikolai Khomenko 氏が、カナダで逝去された旨の連絡を受け取りました。昨年から体調を崩されていましたが、9月には来日くださり、9月8日の OTSM入門セミナーで講師をされ、9〜11日の第6回TRIZシンポジウムに出席して、基調講演をして下さいました
。すべての人に親切で、精力的に活動されていましたのに残念なことです。『TRIZホームページ』基金では、昨年、Khomenko さんの永年の貢献に感謝して、功労賞を贈呈しました
。同氏の研究業績などはそのページを参照ください。写真は昨年の基調講演の時のものです。
TRIZフォーラム: 学会報告(23-9): 「第6回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)、Part G. 特許に関わる研究およびTRIZのツール」(概要和文)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2011年3月20日。 (掲載: 2011. 4. 2)
このカテゴリでは (新しく) 下記の3編をレビューして、英文で紹介しています。なお、PDF(16頁、1.2 MB) も掲載しました。
長谷川公彦ら [日本TRIZ協会・知財創造研究分科会]
: 「特許公報による発明解析事例−その3」。-- TRIZ協会の分科会の一つでこの3年間継続してきている発明解析事例集の報告です (共著者9名)。優れた特許の特許公報をTRIZの目からきちんと分析し、記録蓄積すること目指しています。記録の書式を統一し、技術的矛盾の矛盾マトリックスによる分析を行い、また進化のトレンドに基づく分析結果を蓄積しています。事例集は日本TRIZ協会が有償で配付しています。
Gaetano Cascini (Politecnico di Milano、イタリア)ら
: 「Computer-Aided Problem Solving: A Dialogue-based System to Support the Analysis of Inventive Problems」。--問題解決をコンピュータで支援するには何が望まれているのかを要求分析し、問題解決をコーチングする新しいソフトウェアツールの開発を始めました。知的で柔軟であることを目指して、OTSMを問題解決の基本枠組みとして採用し、モジュール化した会話型のソフトにしています。大学および企業でのテスト使用もしました。
Darrell Mann (Systematic Innovation、英国)、 Paul Filmore ら(University of Plymouth、英国)
「Computer-Aided (Systematic) Innovation: New Tools and New Ways of Thinking」。-- 新しい、興味深いソフトウェアを開発しています。3種のもの。(a) (例えば宣伝用の) 一つの画像から、それを半自動的にいろいろに変化させて、新しい画像を創り出し改良するソフトウェア。(b) 一つの特許、あるいは特許群を、進化のトレンドの観点から分析して、現段階における価値 (位置づけ) と将来における価値とを評価し表示するソフトウェア。(c) 顧客の声 (将来需要) を見出すために、著者らが開発した「TrenDNA」のアルゴリズム (進化のトレンドの対立を考えるもの)を実装したソフトウェア。それぞれに面白いロジックであり、将来注目するとよいでしょう。
TRIZフォーラム: 学会報告(23-8): 「第6回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)、Part F. 大学および教育におけるTRIZの活用」(概要和文)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2011年3月18日。 (掲載: 2011. 4. 2)
このカテゴリでは (新しく) 下記の4編をレビューして、英文で紹介しています。なお、PDF(24頁、1.4 MB) も掲載しました。
宮西 開 (金沢市立兼六中学校 2年生)、宮西克也 (個人 父親)
: 「親子で取り組むTRIZ-2 〜 コビトやひとの世界で考えてみよう!〜ねじを磁石にするには?」 -- 宮西さん一家の第2報で、2008年の長男に続き、次男の開 (かい)君が、中学1年の夏休み自由研究をお父さんのガイダンスを受けて行ったものです。開君は、磁石にしばらくくっついていたネジ釘が、(磁石から離しても) こんどは自分が磁石になっていた (「磁化」) ことに興味を持って、どんなしくみかを知りたい思いました。それを物理の言葉で説明しなかったのが、宮西さんのユニークなところです。「人と人との間だって、似たようなことがあるのでないの? 友達になるとか、怖じ気づきが広がるとか。」 そしてこの擬人化の方法を使って磁石の問題を一緒に考え、その後で物理の実験をしてしくみを確かめています。
渡邊聖司、成澤哲也 (釧路工業高等専門学校)
: 「高専(高等専門学校)における創生型教育の現況と課題」。-- 高専は産業界の要請を受けて1962年に創設され、中学卒業生を入学させて5年間の一貫した技術教育を行い、日本のものづくりを支えてきました。近年、知識訓練だけでなく、創造的に考えて創るための教育の必要性を認識して、いろいろと試みを行っています。本科2年生の「創造工学」での自分で考えるものづくり演習、専攻科2年の特別実験での「3D-CADによるダヴィンチ手稿の復元」の演習などを紹介しています。
中谷くるみ(大阪学院大学情報学部2年生)、中川 徹 (大阪学院大学)
: 「さまざまな筆記具: 身のまわりのものから技術の発展のしかたを学ぶ」。-- 2年生前期の中川のゼミナールの成果を、学生がポスター発表しました。このゼミでは講義をまったくせず、中川がどんどん質問をして、学生たちに考えさせ、調べさせます。まず、さまざまな筆記具をできるだけ広く書き出し、集めてきて、その「書くしくみ (原理)」を考え、しくみによって筆記具を分類する。また、さまざまな用途を考え、用途自身を階層的に分類し、それぞれの用途にどんな (原理の) 筆記具がよく使われているのかを考える。TRIZの用語、ツールを使わずに、TRIZが意図する「技術の進化」のしかた考察することが特徴。
M田 南 (神奈川工科大学修士2年生)
: 「TRIZ式問題探索によるチャイルドシート改良概念計画 第2報」。 -- 子どもに自由な動きを許しつつ事故時の安全を目指して、著者は昨年「揺動式のチャイルドシート」を提案しました。この提案の難点は、シート自体の動きを制御できず、揺れを減衰できていないことでした。これらの問題をTRIZの機能分析や矛盾マトリックスを使ってさらに検討し、楕円面を使ってシートをいつも前向きに保つ解決策、磁石を組み込みエディ電流により揺れを減衰させる解決策を提案しています。考えるプロセスをきちんと記録した、優れた発表です。
TRIZフォーラム: 読者の声: 「東日本大震災 (地震、津波、原発事故) について: 編集者のメッセージ、海外からのメッセージ」
中川 徹 (大阪学院大学)、海外の読者 52名 (26ヶ国)、 (掲載: 2011. 3.23; 4. 2; 4.15; 5. 8)
このたび3月11日の東日本大震災 (地震、津波、および原発事故) において、被害に遭われました多くの方々に心よりお見舞い申し上げます。地震の日以後、海外の多くのTRIZ関係者 (26ヶ国、52人) から、お見舞いと激励のメッセージをいただいております。日本の皆さまへのメッセージですから、英文のままですが、この国内向けページにその全部を掲載させていただきます。また、英文でのページも作りました。本ページに掲載させていただきました2枚の写真について、「とっこ」さんに感謝します。(2011. 3.23)
[4] 英文ページに現状報告を記述しました。
(2011. 4. 2)
[5] 海外の読者の皆さんからのメッセージ (36人 23ヶ国) と 中川の返信(一部) (3月23日〜4月15日)(2011. 4.15)
[6] 海外の読者の皆さんからのメッセージ (22人 14ヶ国) と 中川の返信(一部) (4月16日〜5月8日)(2011. 5. 8)
TRIZ/USIT紹介: 「TRIZで矛盾の壁をブレークスルー」
中川 徹 (大阪学院大学): (社) 日本機械学会 設計工学・システム部門主催講習会「 「市場で勝ち抜く上流設計」〜市場と技術力を結びつける設計の考え方と手法〜」、2011年 2月23日、東京大学工学部11号館講堂 (文京区本郷)。(掲載: 2011. 3.21)
本件は企業技術者を対象とし、「上流での設計」を全体テーマとして7件の講演がある中でのTRIZの紹介でした。そこで、「企業技術者が、上流での設計の中で、困難な技術的課題を克服して創造的な解決策のコンセプトを創り出すのに、どのようにTRIZ/USITを使うとよいか」ということに集中して、紹介をしました。発表スライド資料をPDF(64枚、1.4 MB) で掲載し、また全体構成の目次を作っておきました。
TRIZフォーラム: 学会報告(23-7): 「第6回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)、Part E. 企業におけるTRIZの導入・推進」(概要和文)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2011年3月8日。 (掲載: 2011. 3.21)
このカテゴリでは (新しく) 下記の3編をレビューして、英文で紹介しています。なお、PDF(21頁、1.2 MB) も掲載しました。
伊沢久隆ら (ソニー(株))
: 「産業系新聞記事のリバースTRIZによる社内活動高揚の取り組み 〜多様な技術分野の研究開発者に対して具体的にTRIZを解説〜」。-- 社内でのTRIZの推進のために、産業系の新聞の、技術やビジネスに関する最新記事を活用するとよいことを、著者たちは見つけた。著者らはそのような記事をTRIZの観点からレビュー、分析し、その結果を定期的に社内ホームページや研修セミナーで紹介・配付して、TRIZ推進を活性化することができた。
SeHo Cheong ら (Samsung Mobile Display、韓国)
: 「TRIZ at SMD: Unique Situation, Unique Goals, Unique Approaches」。--TRIZの推進に関して、全社的で高度なアプローチをしている、印象的な報告である。彼らの目標設定は、モバイルディスプレイのグローバルビジネスで、技術No.1の位置を占め続けることである。そのためのアプローチとして、「まだ業界の誰もが作っていないものを、どのようにして作るか?」を主にしている。この目的のために、CEOによるトップダウンの運動を進め、全従業員にTRIZのトレーニングを行い、年に20名の「創造エリート」を育成する、などをしている。
Tanasak Pheunghua ( Inventor Development Co.、タイ)
: 「Implementing TRIZ in Thailand」。--2002年以来のタイでのTRIZの導入について紹介している。この間にTRIZトレーニングを指導した経験に基づいて、タイのような開発途上国においてTRIZを推進するための基本的な推奨事項を記述している。
TRIZフォーラム: 学会報告(23-6): 「第6回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)、Part D. 企業における適用事例」(概要和文)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2011年3月5日。 (掲載: 2011. 3.21)
このカテゴリでは下記の8編をレビューして、英文で紹介しています。なお、PDF(24頁、1.4 MB) も掲載しました。
Seung-Hyun Yooら (Ajou University、韓国)
: 「From Technical to Business Contradiction : Example of a New Crane」。 --著者らは(港湾で使う) ガントリクレーンの優れた技術的改良モデルを設計し、トローリーを垂直回転式にすることにより、コンテナの船への積み荷/積み降ろしのスループットを3倍程度改良できることを示した。その設計案の良さはシミュレーションで示されている。ところが、著者たちはビジネス面で新しい矛盾に直面している。なぜなら、この大クレーンを最初に設置するリスクを負おうという人が現れないからである。
JinHa Jeong, Jeong-Su Han ら (Samsung Electronics Co.、韓国)
: 「Development of a New Weight Sensor for a Washing Machine」。-- TRIZを使って再考することにより実際的な優れた解決策を得たという事例。洗濯機における衣服の重量測定センサーとして、既存のダンパーを用いることにより、精密で安価な方法を実現した。
井坂義治 ((株)アイデア)
: 「コンセプト・マイニングとTRIZの適用による新商品開発〜ゴルフ場の芝刈り機を考える〜」。--ゴルフ場の芝刈り機を例にして、新しい製品のターゲットをどのようにして市場ニーズにマッチするように開発するとよいのかを、具体的に示している。コンセプト・マイニング表という二次元形式のものを使って、列に (一般的で共通のニーズから派生させた) ユーザのパーソナル・ニーズを並べ、行には使用シーンを並べて、考察する。
中村公一 ら [MPUF USIT/TRIZ研究会]
: 「ペーパーファスナー改良へのUSITの適用」。--多数の企業からボランティアで集まった技術者たちの研究グループである。単純なペーパーファスナーを取り上げて、それを改良するさまざまなアイデアを創り出すことを試みている。著者らがその前年に作った「USITワークブック」を使って、それに従って順次この例題を解き、有効性を検証しようとしている。分析およびアイデア生成のプロセスが、多数のイラストを使ってきちんと記録されており、面白い。
石濱正男(神奈川工科大学)
: 「誤解事例集による一般的TRIZプロセスに沿った振動音響設計の誘導」。--著者は以前に、自動車のための雑音・振動問題に対して、技術者の設計をガイドするTRIZベースの標準的なプロセスを開発している。しかし、このような正方向の指針に加えて、負の教訓 (誤解の事例)を提示することが重要と考えた。そこで、雑音・振動設計についての誤解事例70件の知識ベースを作った。
Hong-Wook Lee ら (Hyundai-Kia Motor Co.、韓国)
: 「Concept Development of a Variable Compression Ratio Engine Using TRIZ」。-- TRIZ思考により、解決策コンセプトをさらに深く深く考え改良した、優れた事例報告である。著者らは可変圧縮率(VCR)エンジンの有利性を学んでそれを使いたいと思ったが、既存の方法はもちろん特許の壁で使えない。そこで、トリミング法を使って特許を回避する案を作り、さらに「毒消し」でそのアイデアを強化し、予測される二次的問題をARIZで解決し、また、機能探索を使って解決策をさらに拡張したコンセプトにまでした。
Jung-Bae Kim ら (Samsung Electronics、韓国)
: 「Real-Time and Realistic 3D Facial Expression Cloning」。--著者たちは、ユーザの顔の表情を、バーチャル世界のアバターの表情としていきいきと投影するソフトウェアを開発したいと考えた。既知の方法は二つある。モーション・キャプチャ法は多数のマーカーを顔に貼り、精密だが高価で不便である。ビジョンベースの方法は、マーカーを使わず、一つのカメラで、簡便だが精密でない。著者らの解決策は、顔の表情を表すさまざまなパラメータをその性質により分離することであった。ユーザごとに異なるパラメータは、予め撮影したイメージで計測して設定してしまい、一人のユーザでの時間に依存するパラメータは、カメラで撮影してリアルタイムに追随させる。この解決策は、安価で、簡便で、精密である。
Song-Kyoo Kim (Samsung Electronics、韓国)
: 「Design of Regional Code Adaptation for Mobile Advertisement by Using Theory of Inventive Problem Solving」。-- ケータイに宣伝を流すのは効果的である。しかし、ユーザが国外に出かけている場合には、そのケータイに宣伝を送るとユーザが追加の料金を払わされることになる。そこで著者は、プロトコル中に地域コードを取り入れ、送信者が宣伝を送る地域(国) を限定できるようにすることを提案している。
TRIZフォーラム: 「教育実践報告: 1年次ゼミナールでショーン・コヴィー著『7つの習慣 ティーンズ』を学ぶ (その3) 学生レポート「ゼミで、学んだこと、考えたこと」とコメントの精選集」
学生23名と中川 徹 (大阪学院大学)、2011年 2月16日。
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(掲載: 2011. 3.13)
昨年の第一報 と第二報に引き続き、情報学部1年次後期のゼミナールの実践報告を掲載します。全学統一テーマ「読み、書き、考え、発表する」訓練として、表記の本を教材として学んだものです。「ゼミで学んだこと、考えたこと」というテーマで、4回のレポート提出を課し、毎回添削とコメントをして、クラス全員の文集の形でフィードバックしました。本ページには、レポートを提出した学生全員 (2クラス、計23人) のレポート抜粋 (添削後あるいは原文のまま) とそれに対する中川の個別コメントを掲載しています。文章・レポートの書き方の指導を越えて、学生諸君の考え方や生き方についての応答の記録として、ご参照いただければ幸いです。掲載を了解してくれている学生諸君に感謝します。
TRIZフォーラム: 学会報告(23-5): 「第6回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)、Part C. TRIZと他の方法との統合」(概要和文)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2011年3月3日。 (掲載: 2011. 3.13)
このカテゴリでは下記の1編をレビューしています。なお、PDF(7頁、319 KB) も掲載しました。
三原祐治 (創造性工学研究所)、濱口哲也(東京大学)、他
: 「革新的問題発見・解決の方法−初心者にもわかる課題の設定とその解決法:改良版矛盾マトリクスの提案−」 -- TRIZ以外に全く異なる様々な背景を持った6人の共著者たちが討論した結果をまとめた、優れた発表である。ここで採用されている主要な枠組みは、設計工学の分野で広く知られている「思考展開図」である。TRIZでの矛盾を解決する方法の役割をこの枠組みで位置づけている。また、TRIZの矛盾マトリックスの諸パラメータを二つのグループに分割し、メカニズム(機構) に関連して考察すべきパラメータ群と、構造に関連するパラメータ群に分けることを提案している。それによって、これらグループ間の交差項を無視し、二つの改訂矛盾マトリックスを提案している。
TRIZフォーラム: 学会報告(23-4): 「第6回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)、Part B. TRIZの方法論」(概要和文)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2011年2月28日。 (掲載: 2011. 3.13)
この学会報告は、第6回日本TRIZシンポジウム2010での全発表について中川の個人の文責でレビューするものです。今回は下記の6編をレビューして、英文で紹介しました。なお、PDF
(14頁、1.3 MB) も用意しました。
黒澤愼輔( )
: 「システム進化の法則性とは何か(TRIZ、現象学、一般システム理論)」 -- アルトシュラーの論文「ARIZ開発の歴史」(1986) を吟味して、黒澤氏はTRIZの基本的な教条の一つにチャレンジしている。伝統的なTRIZの理解では「システムの進化で観察されているパターンは、客体的(唯物論的)世界の法則を反映している」と、著者は指摘する。そして、著者は新たに現象論的な見方、すなわち「観察されているパターンは、実世界に生きている実在の主体の共通的な構造を反映している」という見方を提唱している。TRIZの根底の思想について議論している基調な発表である。
KyeongWon Lee (Korea Polytechnic University, 韓国)
: 「Quick TRIZ Process and the Related TRIZ Activities in Korea」 -- 著者は制約理論(TOC)の図式を用いて、TRIZの技術的矛盾と物理的矛盾を同時に表現し、それがTRIZの初心者に理解しやすく、適用しやすいと述べている。
Hongyul Yoon (TRIZ Center, 韓国)
: 「OTSM-TRIZ Guide to Increase Effectiveness of Root Conflict Analysis」-- 根本原因分析 (あるいは 根本矛盾分析) を問題解決にとってより有効にするために、著者は(理想的な) 原因-結果の連鎖モデルを導入している。OTSM-TRIZ の ENVモデル (実体-属性名-値モデル)を基礎に使って、原因-結果の連鎖を問題解決のためのモデル (物質-場モデルなど) に展開することができる、と著者はいう。
桑原正浩 ((株)アイデア)
: 「TRIZによって生まれたアイデアを如何に使えるコンセプトにするか」-- 著者は4ステップの手順を説明している。(1) 問題のエッセンスを見出す、(2) さまざまな観点からアイデアを生成する、(3)アイデアを組み合わせて複数の解決策コンセプトに絞り込む、(4) 戦略的な解決策開発を決定する。日本語だけの発表。
松枝信一(西日本旅客鉄道) 他 [日本VE協会関西支部 TRIZ普及・活用研究会]
: 「開発型TRIZ手法の研究(その4): 物質−場分析/発明標準解に関する事例研究」-- この研究会では、多様な企業から自発的に集まった20〜25人の技術者たちが、2003年以来活発な議論をしている。この第4報では、物質-場分析に関して、真空掃除機でコードが絡まる問題を使って、さまざまな適用法を検討し、その議論の中からモデルの表現法の改良案を提出している。
古謝秀明他 [MPUF USIT/TRIZ研究会]
: 「USITオペレータ活用事例集の検討(第二報)」-- これも複数企業のメンバが集まった自発的な討論グループである。数百件の発明的な製品をUSITオペレータ (すなわち、TRIZの解決策生成法のすべての知識を整理し直して作った解決策の体系) の観点から分析している。それらの発明で解決された問題を16のカテゴリに分類し、また、その解決に使ったUSITオペレータを判断している。このような分析結果を蓄積して、問題-観点索引マトリックスの形式に表現している。このマトリックスは、TRIZの矛盾マトリックスよりも、より一般的で直接的な問題解決の示唆を与える。
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ご案内: 日本機械学会 講習会 「市場で勝ち抜く上流設計」 (中川: 「TRIZで矛盾の壁をブレークスルー」)
(社) 日本機械学会 設計工学・システム部門主催。2011年 2月23日 (水) 10:00 - 17:40、東京大学工学部11号館講堂 (文京区本郷、東大正門近く)。テーマ: 「市場で勝ち抜く上流設計」〜市場と技術力を結びつける設計の考え方と手法〜。「本講習会は、自由度の高い、言い換えれば十分に時間をかけるべき設計の上流段階に着目して企画しました。下流の設計を効率的に進めるために、上流段階では何を検討し、どのような設計支援技術があるのかを解説します。」 講師: 藤田喜久雄教授(大阪大)、大藤正教授 (玉川大)、山際康之教授(東京造形大)、中川徹 (大阪学院大)、村上 存教授 (東京大)、関研一部長 (ソニー)。中川は企業技術者に向けて概念設計のための、TRIZ/USITによる問題解決 (特に矛盾の克服) のしかたを丁寧に話すつもりです。 (掲載: 2011. 2. 6)
TRIZ/USIT紹介: 「TRIZ紹介: 技術革新のための創造的問題解決の方法論」
中川徹 (大阪学院大学)、日本創造学会 第5回創造性研究会 講演、2010年12月18日、東京工科大学 蒲田キャンパス (東京都大田区) (掲載: 2011. 2. 3)
昨年末に表記の研究会に招かれて、2時間でお話ししたTRIZの紹介です。できるだけ包括的に、かつ、例を入れて分かりやすく話しています。はじめに、TRIZの目的と歴史的な発展を話してから、TRIZの思想として「50語のエッセンス」を話し、TRIZの膨大な知識ベースの蓄積とその使い方を説明しました。ついでTRIZでの問題解決の思考法(技法) を話しています。この問題解決プロセスとしては、TRIZの原形 (「古典的TRIZ」) の複雑膨大なものを用いるよりも、そられを再整理してすっきりさせたUSITのプロセスを用いることを推奨して、分かりやすく説明しています。またここで、(研究会からの事前要請を受けて) 簡単な演習例で、参加者に質問して考えてもらいながら話を進める形式をとりました。その後で、TRIZの習得・実践のための推奨と、現在の普及状況について話しています。これらの全スライドをPDF で掲出しました。語りの部分が文章になっていませんので、少し分かりづらい点があるかと思いますが、現在のTRIZ/USITの紹介として、お薦めするものです。
本ページには、講演スライド(および演習例の問題と回答のスライド) を5つのPDFファイルで掲載しています。英訳はまだありません。
2010年 掲載
TRIZニュース: 世界のTRIZ関連会議: 2010年後半の報告と 2011年の計画
(掲載: 2010.12.30)
米国: (Altshuller Institute for TRIZ Studies 主催) TRIZCON2010報告: 10月7-8日、オハイオ州Dayton。参加90名余。
次回: TRIZCON2011計画: 4月予定、テキサス州Houston。(2010.12.31メール受信)
欧州: ETRIA (欧州TRIZ協会) 主催: TRIZ Future Conference 2010 報告: 11月3-5日、ベルガモ(イタリア)。参加 99名。
次回: ETRIA TFC 2011: 11月(または10月)予定、ダブリン(アイルランド)。![]()
マレーシア: 第1回マレーシアTRIZ学会 (略称 myTRIZ) 報告: 10月26-28日、クアラルンプール。参加約150名。
メキシコ: 第5回 Iberoamerican Innovation Congress 報告: 2010年12月1-3日。
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韓国: Korea TRIZCON2011 開催計画。 2011年3月10-11日、ソウル
[日程訂正]; プログラム発表 (2011. 2. 3)
中国&台湾: ICSI2011 (2nd International Conference of Systematic Innovation) 開催計画。 2011年5月26-28日、上海
、プログラム発表(2011. 4.30)
ロシア: TRIZ Developers Summit 2011開催計画 (7月20日)、および MATRIZ主催 TRIZfest2011 開催計画 (7月21-23日、サンクトペテルスブルグ)
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TRIZシンポ2010 論文 (テーマ講演4): 「教育とTRIZ: 新しい展望のために」
中川徹 (大阪学院大学) 、第6回日本TRIZシンポジウム2010、テーマ講演、2010年9月 9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市。
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2010年12月25日)。(掲載: 2010.12.30)
TRIZはいままで (日本では特に) 企業の技術者を主対象にして普及させて来ましたが、大学生から小学生までの若い世代への教育が大事で有効であろうと思われます。この趣旨から、日本TRIZ協会では「教育とTRIZ」研究分科会を発足させました。本講演ではその展望を考察しています。第一の面は、大学や大学院での教育(と研究)へ導入で、国内外のいくつもの事例 (筆者自身のものを含む) を紹介しています。学生と技術者の予備知識の違いを踏まえた教育の必要を述べました。「TRIZを教える」のではなく、もっと広い観点の中でTRIZの考え方を教える必要があります。いろいろな先駆例があり、参考になります。第二の面の中等教育や初等教育に取り入れるには、こどもたちの成熟の過程をより一層考慮し、その興味を引くように、その内容とやり方を工夫する必要があります。日本のTRIZコミュニティでの経験はまだ非常に乏しいので、創造性教育や科学技術教育に取り組んでいる(TRIZ外の)いろいろな人たちと連携していく必要を痛感しています。
和文では、拡張概要、発表スライド和文PDF(および日本TRIZ協会公式サイトへのリンク
)を掲載し、英文では、概要、発表スライド英文 PDF
(および日本TRIZ協会公式サイトへのリンク
)、および中川による紹介
(「Personal Report. Part F」に掲載) を掲載しました。
TRIZシンポ2010 論文 (テーマ講演3): 「TRIZ活用の知財戦略と実践」
片岡 敏光 (株式会社 パットブレーン) 、第6回日本TRIZシンポジウム2010、テーマ講演、2010年9月 9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市。スライド英訳: 宮下今日子、津波古和司(日立GST)。
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2010年12月22日)。(掲載: 2010.12.30)
著者はずっと以前から、アンリツ(株)で技術者として、また知財担当者として、発明思考と知財戦略に関心を持って活動してきました。1972年に和訳されたアルトシュラーの『発明発想入門』を読んでいますし、1997年に日本でTRIZが本格的に紹介されると、早速特許発掘活動にTRIZを適用し、2002年に活動経過を発表しています。その著者の現在の問題意識は、多くの知財担当者がTRIZを技術問題解決の方法として捉えていて、もっと大きく知財戦略の要の方法、さらに、企業の経営戦略と技術開発戦略と知財戦略とを統合できる手段として活用できていないことです。著者は妹尾賢一郎東大教授の著書などを紹介して、日本の企業が経営戦略、技術開発戦略、知財戦略の三つを統合して推進していくべきことを、述べています。また、アンリツにおける著者自身の知財活動から二つの事例を紹介しています。一つは、公衆電話用の磁気カードに用いた残度数概要を表示する「非線形の数字列と穴」の発明です。16年かかって特許を獲得したといいます (この後継のICカードが、発売開始後数年で使われなくなったのは、この残度数表示をしなかったためだといいます)。もう一つは、NTT民営化後の規制緩和で複数の電話網が始まったときのLCR(最安値回線自動選択装置)の発明です。ソフトバンクの孫正義社長の発明(1986年特許出願)と事業化が有名ですが、実はその1年前にアンリツがLCRの基本特許を出願し、認可されたのだといいます。そこで特許成立後にアンリツはライセンス交渉を始めたけれども、同社が回線網に関連した事業をする計画がなかったので、交渉が腰砕けになったといいます。経営・技術開発・知財の3戦略を一手に掌握して奮闘した孫社長のソフトバンク社と、LCRの基本特許を持っていてもそれをこの3戦略に位置づけられなかったアンリツ社との違いが如実に顕れたのだと、著者は評価しています。20年以上前のことだから、ようやく発表できたとのことで、興味深い事例です。
和文では、拡張概要、発表スライド和文PDF(日本TRIZ協会公式サイトへのリンク)、および著者のメッセージ を掲載し、英文では、概要、発表スライド英文(宮下・津波古訳) PDF
(日本TRIZ協会公式サイトへのリンク)、および中川による紹介
(「Personal Report. Part G」に掲載) を掲載しました。
TRIZシンポ2010 論文 (テーマ講演2): 「マネジャの為のTRIZ〜科学的手法を活用したアプローチとマネジメント〜」
山口 和也 (MOST合同会社)、第6回日本TRIZシンポジウム2010、テーマ講演、2010年9月 9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市。スライド英訳: 小西慶久。
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2010年12月14日)。(掲載: 2010.12.30)
著者は2001年〜2007年に、パナソニック・コミュニケーションズ社で経営プロセス革新本部副本部長として、著者がいう「科学的手法」の全社的な導入・適用を推進した実績を持ち、定年退職後にコンサルタントをしています。著者が製品開発のための「科学的手法」として推進しているのは、つぎの4法です。(a) 開発すべき目標を明確にするためのQFD (品質機能展開)、(b) 目標到達の前に立ちはだかる技術的問題を解決し解決策コンセプトを創るためのTRIZ、(c) コンセプトを実装するために品質のばらつきを最小限にする設計パラメータを見出すための品質工学 (田口メソッド)、および (d) 設計の検証から製造までを迅速・容易にするCAE/CAD/CAM などのコンピュータ支援、です。著者は、TRIZだけを導入・推進するのでなく、これらをセットとして導入・活用することが必須であると力説しています。TRIZを適用して有効なのは、取り上げるべき目標と問題が前段のQFDで明確になっているからであり、また思い切った解決策をTRIZが提案しても安心なのは、後段に品質工学とCAEなどが控えているからだ、といいます。著者の強みは、これらのすべての方法を、技法面でも推進面でもきちんとマスターして、教育・実施していることです。著者はタイトルのスライドに書いています:「科学的手法(QFD、TRIZ、品質工学他)とは、儲ける道具であり! 経営そのものであり! マネジメントそのものである!」。より具体的には、マネジャは、部下に「全力で頑張れ」という代りに、「科学的手法でやれ!」といえばよい。「しっかり検討せよ」でなく、「QFDで検討した結果を持って来い!」。「皆で智恵を集めよ」でなく、「TRIZで出たアイデアを見せろ!」。「不良品を徹底的に減らせ」でなく、「品質工学で検討したデータを持って来い!」といえばよい。-- 明確で力強いメッセージです。
和文では、拡張概要、発表スライド和文PDF(および日本TRIZ協会公式サイトへのリンク
)を掲載し、英文では、概要、発表スライド英文(小西訳) PDF
(および日本TRIZ協会公式サイトへのリンク
)、および中川による紹介
(「Personal Report. Part E」に掲載) を掲載しました。
TRIZシンポ2010 論文 (テーマ講演1): 「商品企画のためのTRIZの活用 ‐イノベーション創造型TRIZの構築‐ 」
澤口 学(早稲田大学大学院創造理工学研究科) 、第6回日本TRIZシンポジウム2010、テーマ講演、2010年9月 9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2010年12月 8日)。(掲載: 2010.12.30)
著者はこの4月に産業能率大学から早稲田大学に移りました。日本の諸企業の人たちに対する著者の調査で、日本企業が技術・品質に関しては自信を持っているが、商品企画の点では弱みを感じていることを大きな問題と捉えています。日本の製造業が商品開発で最先端を走るためには、体系的イノベーションのアプローチ、そしてそのためのイノベーション創造型のTRIZを樹立し、普及させていく必要を述べています。最近の(日本での) ビッグヒット10件の中から学生たちおよびビジネスマンが選んだベスト3は、電子マネー、iPod、Wii だったといい、それらの性格を考察しています。さらに日本の現代社会でのメガトレンドの関係を考察し、潜在的要求機能や潜在的矛盾を捉える方法を考察しています。これらの考察からの著者の現段階での結論はつぎのようです。「社会の発展に技術の発展(進化)をマッチングさせるアプローチが重要である。つまり、イノベーションの創造段階では、技術を近未来社会の潮流にマッチングさせることが成功へのキーポイントであり、マッチングさせる技術が既存技術の応用であろうが、新技術の挑戦であろうが、それ自体はさほど本質的な問題ではない。」
和文では、拡張概要、発表スライド和文PDF(日本TRIZ協会公式サイトへのリンク)を掲載し、英文では、概要、発表スライド英文PDF
(日本TRIZ協会公式サイトへのリンク)、および中川による紹介
(「Personal Report. Part B」に掲載) を掲載しました。
TRIZフォーラム: 学会報告(23-3): 「第6回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)、テーマ講演4編」(概要和文)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2010年12月 8日、14日、22日、25日。 (掲載: 2010.12.30)
この学会報告は、第6回日本TRIZシンポジウム2010での全発表について中川の文責でレビューする計画ですが、今回は「テーマ講演」(すなわち、招待による講演) の下記4編をレビュー・紹介しています。各編はテーマ分類に従い、別々のページに英文で掲載しました。また、これらの各発表は (今後の参照の便を考え) 独立したページを和文・英文で作りましたので、新着情報の説明はそちらに譲ります。
紹介: 澤口学(早稲田大学)「商品企画のためのTRIZの活用‐イノベーション創造型TRIZの構築‐」 --> 「Personal Report: Part B. TRIZの方法論」
に 掲載。
紹介: 山口和也(MOST)「マネジャの為のTRIZ」 --> 「Personal Report: Part E. 企業におけるTRIZの導入・推進」
に 掲載。
紹介: 片岡 敏光(パットブレーン)「TRIZ活用の知財戦略と実践」 --> 「Personal Report: Part G. 特許に関わる研究およびTRIZのツール」
に 掲載。
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学)「教育とTRIZ: 新しい展望のために」 --> 「Personal Report: Part F. 大学および教育におけるTRIZの活用」
に 掲載。
[なお、もう一つのテーマ講演: 福嶋洋次郎、庄内亨「ソフトウェア、ITのためのTRIZの活用」 については、スライドが英訳されていないため、中川のPersonal Reportでの紹介を後回しにします。]
ご案内: 日本創造学会 第5回創造性研究会 講演「TRIZ紹介: 技術革新のための創造的問題解決の方法論」
講師: 中川 徹、主催: 日本創造学会。2010年12月18日(土) 15:00-17:00、東京工科大学蒲田キャンパス (JR京浜東北線蒲田駅)、参加費 無料 (日本創造学会会員でなくても参加できます。創造学会事務局にお申し出下さい)。 (掲載: 2010.12. 4) [講演スライド掲載 ==> 別ページ (2011. 2. 3)]
TRIZフォーラム: 学会報告(23-A): 「第6回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)、Part A. 基調講演」 (英文)
概要和文
中川 徹 (大阪学院大学) 、2010年11月24日。 (掲載: 2010.11.28; 12. 4)
この学会報告は、第6回日本TRIZシンポジウム2010での全発表について中川の文責でレビューして、世界 (および日本)の読者に英文で紹介するものです。このPart Aでは、二つの基調講演を紹介しています
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。
Mahmoud Karimi氏 (イラン、イラン革新技術研究所(IIITS))が、「イランにおけるTRIZの普及活動」について基調講演をしました。彼は1999年頃にTRIZに関心を持ったといいます。2004年には、新聞に毎週「TRIZと創造性」についてのコラムを連載し、さらに週間雑誌に同様の連載をしました。IIITSは、TRIZのテレビ講座(35分、5巻シリーズ) を制作し、数回放送したといいます。さらに、2007年から、テレビで各界の識者とともにTRIZについて語るトークショウに生出演し、すでに35分番組を160回以上、複数のテレビチャンネルで放送したとのことです。これらによって、イランでは知識層にすでにTRIZがよく知られているとのことで、驚くばかりです。基調講演では、「TRIZの適用と普及による新しい国民的パラダイムへの転換」という副題で話しています。中川の英文紹介をお読み下さい。(なお、日本TRIZ協会の公式サイトに、発表スライドの全編PDFが、英文版
、および和訳版
(訳: 坂田寛 (日立)) とも掲載されていますので、参照ください。[Mahmoud Karimi氏からフィードバックを貰い、微小修正しました(2010.12. 4)]
Nikolai Khomenko氏 (カナダ、TRIZマスター) が、「OTSM (強力な思考の一般理論)」につて基調講演をしました。OTSM は、アルトシュラーによって1970年代半ばに最初に構想されたもので、1980年代半ば以降 Nikolai Khomenko が研究・開発してきたものです。TRIZを技術分野向けから開放して、より広く、分野の限定を外して、非典型的な問題を創造的に解決するための方法を作るための基礎理論を目指したものです。Khomenko の基調講演は、彼の25年間の研究成果をまとめたもので、OTSM の全体像を明確な枠組みのもとに話しています。すなわち、(a) OTSMが対象とする主要問題、(b) OTSMの公理、(c) OTSM の主要モデル、 (d) OTSMの諸方法、です。現在の段階のOTSMでは、複雑で大規模な問題を、OTSM-TRIZの問題フローネットワーク(PFN) アプローチで扱うことができる、といいます。また最後に、創造性に関する教育のあり方について議論しています。中川の英文紹介。日本TRIZ協会公式サイトの、発表スライド全文の英文版
、および和訳版
(訳: 黒澤愼輔) も参照ください。(なお、『TRIZホームページ』基金はこのたびNikolai Khomenko氏に「功労賞」を贈呈しました
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TRIZ/USIT紹介: 「技術革新のための問題解決の方法論「TRIZ」」
中川徹 (大阪学院大学)、『OHM』誌 (オーム社)、2010年11月号、10-11頁 (2010年11月5日) (掲載: 2010.11.12)
2ページの紹介記事で、「TRIZ」ははじめてという方に読んでいただけますと幸いです。技術革新には問題の壁を突破することが必要ですが、ブレーンストーミングよりはるかに強力で、偶然の“ひらめき”に頼らない科学的・体系的な方法が分かってきています。それが「TRIZ」で、知識ベースと技法を備え、実績をあげてきています。電気関係を主とした技術総合誌『OHM』のHEADLINE REVIEW記事ですが、許可を得て本ホームページに再掲載しています。
HTML版および『OHM』誌PDF版
を掲載しました。英訳はこれからです。
TRIZシンポジウム発表・ETRIA TFC 発表: 「さまざまな筆記具: 身のまわりのものから技術の発展のしかたを学ぶ」
中谷くるみ、 中川徹 (大阪学院大学)、第6回日本TRIZシンポジウム ポスター発表、2010年9月 9-11日、神奈川工科大学 (埼玉県厚木市)
中川 徹、中谷くるみ (大阪学院大学) 、ETRIA TRIZ Future 2010 国際会議 発表、2010年11月3-5日、ベルガモ大学(ベルガモ市、イタリア) (掲載: 2010.11.12)
情報学部の2年次前期のゼミの報告です。講義をせず、中川がファシリテータとしてどんどん質問と課題を出し、学生たちが回答・演習し、その結果を全員でまとめました。技術的な予備知識のない学生たちに、「TRIZの用語もTRIZのツールも使わずに、TRIZの考え方を学ばせる」ことを実践しています。TRIZシンポジウムでは、学生の立場を中心に中谷が発表し、ETRIA国際会議では指導した立場から中川が発表しました。高校〜小学校高学年でも実践可能なモデルであろうと考えています。
TRIZシンポジウムの拡張概要![]()
、同PDF
、発表スライド
、同PDF
および ETRIA国際会議のショートペーパー
、同PDF
、発表スライド
、同PDF
を、それぞれ和文と英文で掲載しています。
TRIZホームページ(TRIZ Home Page in Japan) の 満12年にあたって (中川 徹) (2010.10.27)
本ホームページを創設して(11月1日で) 満12年になります。TRIZの理解と普及のために、非営利の立場で情報の公開による紹介・発信・交流を進めることを目的としております。ボランティアで開始し編集しておりますが、個人のホームページではなく、読者の皆さんの寄稿を掲載する「公共サイト(Public Web site)」を目指しています。また、和文と英文の並行したページ作りに努力して、日本と海外との協力関係を作ることを目指してきました。世界の各国・地域に公共Webサイトを作り、グローバルで自律的なネットワークを作ろうと提唱しています。なお、この一年間のvisit数は、和文トップページが 22500余、英文トップページが4100余でした。読者の皆さんのTRIZの理解と導入に本ホームページを活用いただけますと幸いです。ご寄稿をお待 ちしております。
TRIZフォーラム: 編集者より: 「TRIZについての「公共Webサイトのグローバルなネットワーク」を作ろう:
グローバルなTRIZコミュニティを構築するための提案 (3)」
中川 徹 (大阪学院大学、 『TRIZホームページ』 (TRIZ Home Page in Japan) 編集者)、 ETRIA TRIZ Future 2010 国際会議、ポスター、2010年11月3-5日、ベルガモ大学、イタリア (掲載: 2010.10.27)
2007年11月以来提唱してきましたものを、再度 ETRIA の国際会議でポスター紹介します。以前のスライドを少し改良してスライド8枚のポスターを作り、趣旨をもう一度和文ページに簡潔に書き下ろしました。『TRIZホームページ』の12年間の活動から得たビジョンと提案です。皆さんのご寄稿により、本サイトを「公共Webサイト」として育てていって下さるようにお願いします。スライドPDF。
TRIZフォーラム: 学会報告(23): 「第6回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)、日本TRIZ協会主催、神奈川工科大学後援、2010年 9月9日〜11日、神奈川工科大学 (神奈川県厚木市)」 (和文概要)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2010年10月26日。 (掲載: 2010.10.27)
日本でのTRIZシンポジウムを、海外に紹介するために、公式報告ではなく個人の文責で、発表された論文の全体をレビューして、英文で紹介する。報告は大部になるため、約10編ほどに分割して、今後順次掲載する予定である。
学会報告(23): 親ページ: (編集ノート、概要、シンポジウムを組織する)
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(掲載: 2010.10.27)
参加者165名 (うち韓国41名、その他海外 5名)、発表40件 (海外13件)。シンポジウムの組織と運営の方針などを紹介している。
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TRIZフォーラム: 討論: Arshad論文をめぐって: 「弁証法およびTRIZを科学にするために」
高原利生、2010年5月20日 (掲載: 2010.10.10)、同英訳 2010年10月 1日 (掲載: 2010.10.10)
Arshad氏の論文「TRIZのいままでの旅程とこれからの道」(掲載: 2010. 5. 9)をめぐる討論
です。高原さんが5月に寄稿下さったのですが、掲載漏れになり、お詫びします。最近英訳されましたので、和英の両方
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で掲載しました。
講義ノート: 「レポートの作り方・書き方−内容の準備、構成、そして文章の心得−」
中川 徹 (大阪学院大学)、『大阪学院大学通信』 第41巻第7号 1-27頁 (2010年9月30日発行)。(掲載: 2010.10.10)
2002年に掲載しました「レポートの書き方」(情報学部での講義ノートであり、レポートの作り方・書き方を全体的なことから細部にわたって丁寧に説明したもの) がきっかけで、今年の7月に丸2日間の研修の講師をしました。そのとき、新しく「実務の文章の書き方 (実際的な指針)」
を書き、語句のレベルからスタートして、文、文の繋がり、段落、節や章、文書全体のレベルまで、それぞれのレベルで心がけるとよい指針を記述し、第二部としました。(これには、1年生のゼミでのレポート指導の実績
を反映させました。) また、さらに、これら全体を簡潔に表現したA4 一枚のシート
を作り、実務のレポートで好まれる簡潔・迅速な情報伝達のモデルを作りました。これらをまとめて、当大学の通信教育部の機関誌に掲載し、ここに大学の許可を得て再掲載します。HTML のページ
の他に、全体のPDF版
、要約シートのPDF 版
を掲載しています。
TRIZフォーラム: 「Collaboページ」紹介: 桑原正浩さん (アイデア社) 「実例で学ぶ本当のTRIZ」連載中
「Collaboページ」は、TRIZ (あるいはより広い分野) の実践者・推進者の方に、継続的に寄稿いただく紹介ページです。できるだけ多くの方と提携して、読みやすく、視野の広がるページにしたいと思っております。下記のページに半年の蓄積ができ、佳境に入ってきました。
桑原正浩さん (アイデア社) のページ
(開設: 2010. 5. 9; 最終更新: 2010.11.12)
実例で学ぶ本当のTRIZ: (3) 問題の本質をつかむ (2010. 9.23)
実例で学ぶ本当のTRIZ: (4) TRIZで発想しよう。(前篇) (2010. 9.23)
実例で学ぶ本当のTRIZ: (5) TRIZで発想しよう。(後篇) (2010.10.10)
実例で学ぶ本当のTRIZ: (6) アイデアをコンセプトに磨きあげる (2010.10.10)
実例で学ぶ本当のTRIZ: (7) これからのTRIZの方向性 (2010.11.12
編集者より: 「『TRIZホームページ』 フォト・ギャラリ を開設しました」
読者の皆さまからいただきました写真を折にふれてトップページに掲載させていただくことにしました。小さい写真をクリックすると、大きな写真 (横幅最大 800ピクセル) が現れます。ご寄稿をお待ちします。(掲載: 2010.10. 4)
TRIZフォーラム: 「TRIZステートメント 」
Wolfgang Sallaberger (congelo, オーストリア)、2009年8月20日。(掲載: 2010. 9.30)
本稿は、著者のTRIZに対する立場を宣言したもの(「ステートメント」)です。いきいきとした素晴らしいもので、TRIZを使って考えることの喜びに溢れたものです。一年後になりましたが、このホームページに掲載できて、嬉しく思います。詳しくは英文ページを参照下さい。
編集者より: 「第5回 日本TRIZシンポジウム 2009 の紹介 (Personal Report)」 に追記: 発表論文掲載一覧
中川 徹 (大阪学院大学)、2010年 9月27日。(掲載: 2010. 9.30)
昨年のTRIZシンポジウム2009の論文のうちの精選したものを、本『TRIZホームページ』に公開で掲載する作業をして、この度完了いたしました。全43件の発表のうち、ちょうどその半数を選択し、個別ページとして紹介しております。参照を容易にするために、中川の「Personal Report」の和文版を拡張して、カテゴリ別の論文一覧を作り、「Personal Report」(詳細英文) 内での紹介のリンク、および、個別の発表の掲載ページへのリンクを作りました。ご活用下さい。
TRIZシンポ2009 論文: 「TRIZを用いたキッチンの進化論 」
Wolfgang Sallaberger (congelo, オーストリア)、
スライド和訳: 菊池 史子 (パイオニア) 、第5回日本TRIZシンポジウム 論文集、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年11月28日)。(掲載: 2010. 9.30)
著者はシンポジウムの直前に出席できなくなり、本論文は論文集に掲載され、発表はされていません。著者は永年レストランのオーナーシェフで、最近発明家としての新しい人生を切り開こうとしている人です。その本来の仕事の領域での新しいビジョンをこの論文で記述しています。宴会などを行うための厨房を、もっと能率よくするために、サイドディッシュなどについて事前にきちんと準備したものを、蒸気で加熱する方式を発明し、そのビジョンを書いています。楽しい、分かりやすい、そして大事なビジネスの方向を示す論文です。
英文のスライドPDF、和文スライドPDF
(和訳: 菊池史子)、および英文論文PDF
を掲載しました。また、中川の紹介文を英文ページ
に掲載しました。なお、別ページの著者による「TRIZステートメント」
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も参照下さい。
TRIZシンポ2009 発表: 「TRIZ/USIT適用事例:パスワードを思い出させる方法」
上田祐太朗 、鍋島裕貴、中川 徹 (大阪学院大学)、第5回日本TRIZシンポジウム ポスター発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年12月20日)。(掲載: 2010. 9.30)
本稿は情報学部3年次後期のゼミで行ったTRIZ/USITによる問題解決演習 (半年余) をまとめて、4年次の9月に上田君がポスター発表をしました。課題自体はよく知られていることです。自分で作ったパスワードの他に、システム側から与えられた乱数的なパスワードを多数使いわける必要があります。覚えきれないから、何らかの形でヒントになるものを手元に持ちたいが、他人に見られる危険があるから、見られてもパスワードが分からないようにしなければならない。自分には分かりやすく、他人には分かりにくくするにはどうすばよいか。USITのプロセスに従いつつ、TRIZの40の発明原理でアイデア出しをして、解決策を組み立てています。
論文の拡張概要(1ページ)和文![]()
、 概要英文版
、ポスタースライド和文(16枚)
、ポスタースライド英文(16枚)
、および中川による紹介(「Personal Report」抜粋、英文)
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TRIZシンポ2009 発表: 「形式知と暗黙知から見た日本のものづくりの変遷 〜新しい経験主義について〜」
松原幸夫(新潟大学)、第5回日本TRIZシンポジウム オーラル発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2010年 1月30日)。(掲載: 2010. 9.30)
本論文は、大きなスケールで日本のものづくり文化を論じています。 (1) 知識や技術の習得と伝承における、形式知と暗黙知の役割を考察し、教育システムの特徴付けを試みた。(2) その観点から、日本の江戸時代、明治〜昭和初期、戦後の教育システムを特徴づけ、形式知のウエイトが増大する方向にあることを示している。(3) 大きな時代的教訓が国民的な暗黙知を形成し、その上に新しい時代を特徴づける形式知が導入された時代に、大きな文化的興隆が起こる。(4) このような観点から西洋的思想の一つとしてTRIZを見ると、知識ベース中心の形式知重視の面が見られる。(5) 日本文化の大きな波として、暗黙知をより重視した、新しい経験主義の教育の興隆が望まれる (必要である)。スライドだけでなく、和文と英文のフルペーパーが提出されています。
著者の論文概要(拡張概要)同英文
、発表スライド(29枚)
同英文
、発表論文(8ページ) HTML
、 同PDF
、英文論文 HTML
、同PDF
、および中川による紹介(「Personal Report」抜粋、英文)
を掲載しています。
TRIZシンポ2009 発表: 「TRIZ普及リーダをサポートする会議ツールの開発 〜 9windows(新製品アイデア会議用)ボード 〜」
石井力重 (アイデアプラント)、第5回日本TRIZシンポジウム ポスター発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年11月22日)。(掲載: 2010. 9.30)
著者は仙台市で「宮城TRIZ研究会」という有志のグループを作り、地域企業向けに活動しています。公募での研修を行い、毎回簡単なTRIZ技法を説明して演習した。そのようにしてTRIZを習得した人たちが、自分の会社などで新製品開発のミーティングなどにTRIZ技法を試みようとするとやはり難しい。そのような場でよりやさしく使えるように、技法をサポートするツールを作った。最も要望が大きかったのが、新製品開発のアイデア会議で使う9画面法のツールであったという。そのツールは簡便で楽しい、「9画面法の白地図」のようなものになった。柔軟な発想が楽しい技法開発です。
論文の拡張概要(1ページ)和文![]()
、 概要英文版
、ポスタースライド和文(16枚)
、ポスター紹介スライド英文(4枚)
、および中川による簡単な紹介(「Personal Report」抜粋、英文)
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TRIZシンポ2009 発表: 「新たなビジネスモデルの構築に向けたTRIZ思考や手法の適用」
[ビジネス・経営TRIZ研究分科会 (NPO法人 日本TRIZ協会)] 吉澤郁雄((学)産業能率大学)、横山和正((株)東芝)、長谷川公彦(佐野国際特許事務所)、佐藤 聡(慶應義塾大学大学院)、久野 茂(NKNコンサルティング(株))、森谷康雄(富士通アドバンストテクノロジ(株))、前田卓雄(匠システムアーキテクツ(株))、上村輝之(ウィルフォート国際特許事務所)、菊池史子(パイオニア(株))、第5回日本TRIZシンポジウム ポスター発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年12月20日)。(掲載: 2010. 9.30)
本稿はポスターセッションで発表されましたが、ビジネス・経営TRIZ研究分科会で討議・開発されてきた内容で、スライドびっしりの力作です。新しい商品やサービスを開発するための、ビジネスとしてのモデルを確立するためにTRIZをどのように使っていくとよいかを考察しています。新しい分野へのアプローチとして、大事なテーマです。英文スライドが実質2枚しかありませんので、中川の「Personal Report」(英文) での紹介も簡単にしかできていません。
論文の概要和文、 概要英文版
、ポスタースライド和文(16枚)
、 ポスター紹介スライド英文(4枚)
、および中川による簡単な紹介(「Personal Report」抜粋、英文)
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TRIZシンポ2009 発表: 「TRIZ式問題探索によるチャイルドシート改良概念設計」
石濱正男 (神奈川工科大学) 、 濱田 南 (神奈川工科大学 修士1年)、第5回日本TRIZシンポジウム オーラル発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年12月20日)。(掲載: 2010. 9.23)
本稿は、昨年(2009年)の第5回TRIZシンポジウムで発表されたものです。修士1年の濱田南さんが、いきいきとした素晴らしい発表をして、国内参加者の投票により「私にとって最もよかった発表」の賞を受賞しました。ですから、私の「Personal Report of Japan TRIZ Symposium 2009」(英文)でも詳しく紹介したかったのですが、簡単にしかできていません。昨年7月末の最終原稿提出の段階で、石濱先生がスライドを英訳された後で、濱田さんが独自に日本語版を推敲しました。その日本語版がずっと良くなっていましたので、私の「Personal Report」は、石濱先生の再英訳待ちで、簡単な紹介にしました。残念ながら、その後石濱先生が超多忙で、一年が過ぎました。今回、ともかく現在あるものを掲載することにいたしました。
論文の拡張概要(1ページ)和文、 概要英文版
、発表スライド和文改訂版(21枚)
、 発表スライド英文旧版(22枚)
、および中川による簡単な紹介(「Personal Report」抜粋、英文)
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TRIZシンポ2009 発表: 「ピコクロック・チェッカーの改良 (ソフトウエアプログラム)」
Ragubalan Shanmugam; Cheng, Chiew Shan (Intel, マレーシア)、第5回日本TRIZシンポジウム オーラル発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町; スライド和訳: 正木 敏明 (日東電工)、中川 徹 (大阪学院大学)
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年11月28日)。(掲載: 2010. 9.23)
本稿は、インテル・マレーシアから発表された4件の実地問題解決事例のうちの一つです。この事例報告は、電子回路基板を検査する装置における難しい(混乱させるような) 問題に対して、非常に面白くかつ有用な解決策を与えているものと、私は信じています。しかし、残念ながら、私はその問題の状況と達成した解決策について、よく理解できていません。著者の拡張アブストラクトや最終原稿を事前に読んで、「非専門家のためにもう少し分かりやすく書き直して貰えないだろうか?」と要請したのですが、原稿は改訂されませんでした。私の紹介文では、(間違った説明をして混乱させないように) 著者の拡張アブストラクトでの説明を直接 (' ' に括って) 使うようにしています。本稿ではその解決策を「Outside in」と表現しており、ブラックボックス型のテストで、非常に汎用性がある考え方と思いますが、私には本稿の解決策によるテストデータがとのようにして獲得されているのかが、理解できていません。
ここには著者の論文の拡張概要(英文)(1ページ)、発表スライド(12枚)英文
、 同和訳 (正木・中川訳)
、および中川による紹介(「Personal Report」抜粋、英文)
を掲載しています。
TRIZシンポ2009 発表: 「TRIZを用いて、ICOSビジョンシステムにおける(段取り)交換の簡単化と、製品出荷品質を向上」
Darin Moreira, Sushiph Sum Bun, CT Ong (Intel, マレーシア)、第5回日本TRIZシンポジウム ポスター発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町; スライド和訳: 仲畑 光蔵 (日立製作所)
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年11月28日)。(掲載: 2010. 9.23)
本稿は、インテル・マレーシアから発表された4件の実地問題解決事例のうちの一つです。Darin Moreira 他による本論文は、ICOS ビジョンシステムにおける段取り交換を容易にするという実地問題の解決事例を報告しています。問題およびその解決策は実装置の写真によって、明瞭に記述されています。このようなフランクな事例報告に対してインテル社に感謝します。
ここには著者の論文概要(英文)、発表スライド(11枚)英文
、 同和訳
、および中川による紹介(「Personal Report」抜粋、英文)
を掲載しています。
TRIZシンポ2009 発表: 「革新的な漏れ安全検出システムにTRIZを活用」
Surendran Selladurai, Tiang Yee Wei , Ng Gim Loon (Intel, マレーシア)、第5回日本TRIZシンポジウム ポスター発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町; スライド和訳: 市川 且典 ( )
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年11月28日)。(掲載: 2010. 9.23)
本稿は、インテル・マレーシアから発表された4件の実地問題解決事例のうちの一つです。Surendran Selladurai らによる本稿は、大きなテスト装置を冷却するための閉ループ式の冷却システムにおいて、その冷媒の漏れ検出を改良する問題について報告しています。問題を詳しく見直して、チームが理解したのは、冷媒が少量ずつゆっくりとほぼコンスタントに漏れていく状態から、急激な大きな漏れを区別して検知することの必要性でした。問題解決のプロセスと実際の解決策とを明瞭に記述しており、納得できる、いい事例報告です。
ここには著者の論文概要(英文)、発表スライド(11枚)英文
、 同和訳
、および中川による紹介(「Personal Report」抜粋、英文)
を掲載しています。
TRIZシンポ2009 発表: 「イオン化装置改良事例」
Paul Devaraj (Intel, マレーシア)、第5回日本TRIZシンポジウム オーラル発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町; スライド和訳: 大田 哲也 ((学) 産業能率大学)
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年11月28日)。(掲載: 2010. 9.23)
本稿は、昨年の第5回TRIZシンポジウム2009 で、インテル・マレーシアから発表された4件の実地問題解決事例のうちの一つです。テストハンドラーのイオン化装置についての問題解決の事例です。インテル・マレーシアで常時使っているTRIZツールボックスについて述べ、それらを自然な形で実地問題の解決に使っていることを述べています。
ここには著者の論文概要(英文)、発表スライド(21枚)英文
、 同和訳
、および中川による紹介(「Personal Report」抜粋、英文)
を掲載しています。
TRIZシンポ2009 発表: 「TRIZという生き方?」
高原 利生 ( )、第5回日本TRIZシンポジウム オーラル発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2010年 2月 4日)。(掲載: 2010. 9.23)
本稿は、高原利生さんの新しい力作です。本稿で著者は、いままでに蓄積してきたTRIZのものの見方をベースにして、TRIZの精神を深く考察し、「TRIZの精神での生き方」を導き出しています。壮大で緻密な論理構成です。著者の独自の用語がありますが、それに少しずつ馴染まれると、この論理が分かってくることと思います。(著者の論理の積み上げの歴史は、「高原利生論文集: 『差異解消の理論』 (2003-2007) 、論文集解題、論文14編 (高原利生 、2007年12月30日)」のページを参照下さい。)
著者の論文概要(拡張概要)同英文
、発表スライド(27枚)
同英文
、発表論文(8ページ)
、および中川による紹介(「Personal Report」抜粋、英文)
を掲載し、さらに最近著者が作成した発表全文 (スライド + トーク + 補足説明) の和文版
と その英文版
を掲載しています。
発表: Nikolai Khomenko 氏の永年の貢献に感謝して、功労賞 を贈呈します (『TRIZホームページ』基金 中川 徹)
中川 徹 (『TRIZホームページ』基金)、 2010年9月7日。(掲載: 2010. 9. 7; 11.28)
『TRIZホームページ』(編集者: 中川 徹) は、日本および世界におけるTRIZの一層の普及・発展に役立てたいと考え、「『TRIZホームページ』基金」を昨年設けました。また昨年は、Darrell L. Mann氏 (英国) に功労賞を贈呈いたしました。このたび、Nikolai Khomenko氏(カナダ) に、功労賞を贈呈いたします。TRIZおよびOTSM-TRIZに関して、同氏が永年に渡り、優れた研究、著作、開発、研修を行い、世界中の人々と子どもたちを指導してきた功績を讃え、感謝して贈呈するものです。(2010. 9. 7)
TRIZシンポジウムに際して行いました贈呈式 (9月9日) の写真、およびKhomenko氏の略歴と最近の業績リストを掲載しました。(2010.11.28)
TRIZシンポ2009 発表: 「USITオペレータ活用事例集の検討」
[MPUF-USIT/TRIZ研究会] 古謝 秀明 (富士フイルム) 、三原 祐治、中山 憲卓、中村 公一、牧野 泰丈、第5回日本TRIZシンポジウムポスター発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年12月20日)(和訳: 中川 徹、2010年2月16日)。(掲載: 2010. 7.25)
この発表は、多数の身近な新しい技術を一つ一つUSITの目できちんと分析して、事例集として蓄積していこうとしています。その分析では、時間や空間での特徴を捉えて従来の技術の問題点を考察し、その問題点を克服する新しい技術のしくみをきちんと理解しようとします。また、事例集の作成にあたっては、すべての技術的問題を大きく分類することを考えています。その分類は、A. 機能の過剰、B. 機能の不足、C. 機能の不安定、D. 害という、大きな4分類を考えた上で、それぞれに対して問題を起こす原因によって細分化しています (全部で16分類)。一方、新しい技術をもたらせたアイデアを、「USITオペレータ」を使って書き出そうとしています。事例集の目標は、このような大掴みな問題の分類から、それぞれに適したUSITオペレータを知ることができる索引を作っていくことです。このアプローチは、いままでしばしば行われてきた「一つの技術を分析して、TRIZの矛盾マトリックスで位置づける」というアプローチと、見かけが似ていますが、ずっと違うものです。
和文のポスター発表スライド (15枚) のPDF、および、中川の「Personal Report」 (英文) からの抜粋を、和訳して掲載します。英文ページ
には、ポスター紹介スライド (英文、4枚)
と、中川の紹介文
を掲載しました。
TRIZシンポ2009 発表: 「韓国におけるTRIZ活動とその成功要因 (2009年)」
Kyeongwon Lee (李敬元) (Korea Polytechnic University (韓国産業技術大学)、韓国) ; スライド和訳: 中川 徹 (大阪学院大学) 、第5回日本TRIZシンポジウムオーラル発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年12月13日); 和訳: 中川 徹 (2010年7月21日)。(掲載: 2010. 7.25)
韓国におけるTRIZの導入の経過を概観して、「韓国においてTRIZはいま、(幼児期から脱して) 急激な成長段階にある」といいます。その成長のきっかけになったのが、2004年 (より少し前) 頃のサムソン (グループ内) における、ロシア人TRIZ専門家を中心とした、技術的な成功事例であり、大企業がそれを認めて積極的な推進をしたことです。その後、社内でのトレーニングが強調され、それをこなすためにオンラインのトレーニングコースが活用されました。韓国語での出版が多数行われ、いまやいくつかの大学に正規の授業科目としてTRIZによる創造的設計工学が開かれています。これらの事実の紹介とともに、著者が成功要因を 9観点から まとめていて、大いに参考になります。
本件の発表スライド(16枚) を、英語と日本語
の両方で掲載します(スラド和訳:中川)。また、中川が「TRIZシンポジウムのPersonal Report」に書きました紹介
(英文) を、ここに和訳
して掲載します。
上記の紹介の最後に、日本でのTRIZの活動状況を、中川が簡単にサマリしました。著者の9観点に、さらに別な 6観点を付け加えました。今後のTRIZ (の推進のしかた) を考えていくための手がかりとしたいと考えています。
ニュース 1件: 海外ニュース: TRIZCON2010 (米国) 10月開催予定
- TRIZCON2010: (主催: Altshuller Institute) 10月7-8日、オハイオ州Daytonで開催予定。
(2010. 7.25)
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TRIZシンポ2009 発表: 「ものづくり課題解決体系におけるTRIZの役割」
熊坂 治、 菊池 史子、 福島 章雄 (パイオニア(株))、第5回日本TRIZシンポジウムポスター発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年11月28日)。(掲載: 2010. 7.11)
これは、昨年のTRIZシンポジウム2009のポスターセッションで発表されたものですが、素晴らしい体系を持ち、膨大な蓄積を持った発表です。著者たちは、「課題-解決技法マトリックス」と呼ぶ大規模な表を構築しました。まず、ものづくりの過程においての課題/明らかにしたいことを4過程 37課題選択して、表の行に配置しています。一方、列には有効なさまざまな技法 (あるいはそのサブ技法) を書き並べています。この 37行×73列の膨大な表で、それぞれの課題/質問に対して効果が期待できる方法に○印 (また、ある程度期待できる方法に△印) をつけているのです。TRIZでは8方法、USITを1方法として取り上げています。このマトリックスは、いろいろな方法の有効性に関する膨大な情報をまとめたもので、大変貴重なものです。国内参加者の投票により、「私にとってもっともよかった発表」のポスター賞を受賞しました。このマトリックスの全貌が公表され、その内容を多くの人たちが検証し改良していけると、きっと素晴らしいことになるでしょう。
和文のポスター発表スライド (10枚) のPDF、およびポスター紹介の英文スライド (4枚) のPDF
を掲載しています。また、中川の「TRIZシンポジウムのPersonal Report」から抜粋して、本発表の紹介
を英文で掲載しています。
TRIZシンポ2009 発表: 「進化トレンドのネットワークと 矛盾解析による成熟度評価」
Niccolo Becattini, Gaetano Cascini (Politecnico di Milano、イタリア), Federico Rotini (Universita di Firenze、イタリア)
スライド和訳: 井上 淳 (東芝)、中川 徹 (大阪学院大学) 、第5回日本TRIZシンポジウムオーラル発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年11月22日)。(掲載: 2010. 7.11)
TRIZシンポジウム2009では、技術予測についての発表が、B. Zlotinの基調講演、D. Mann の基調講演の他に、イタリアのグループから2件ありました。Gaetano CasciniとDavide Russo らのグループは、技術予測のための「再現性のある客観的な方法」の構築を目指しており、その基本的な方法が「シナリオネット」あるいは「進化トレンドのネットワーク(NET)」と呼んでいるものです。Gaetano Casciniらによる本発表は、製薬業での錠剤製造法について進化トレンドのネットワーク図を例示しています。また、矛盾の進化と理想性の増大との相関から技術の成熟度を評価する方法を提案しています。
英文の発表スライドPDF、および和文発表スライドPDF
(和訳: 井上淳、中川 徹) を掲載しました。また、中川の「TRIZシンポジウムのPersonal Report」 から抜粋して、この発表の紹介文を英文ページ
に掲載しました。
TRIZシンポ2009 発表: 「相互連結性と空白の機会: 革新の好機を見つけるために予測とシナリオライティングを一緒に持ち込む」
Davide Russo, Caterina Rizzi, Tiziano Montecchi (Bergamo 大学、イタリア); スライド和訳: 仲畑 光蔵 (日立製作所)、第5回日本TRIZシンポジウムオーラル発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年11月22日)。(掲載: 2010. 7.11)
TRIZシンポジウム2009では、技術予測についての発表が、B. Zlotinの基調講演、D. Mann の基調講演の他に、イタリアのグループから2件ありました。Gaetano CasciniとDavide Russo らのグループは、技術予測のための「再現性のある客観的な方法」の構築を目指しており、その基本的な方法が「シナリオネット」あるいは「進化トレンドのネットワーク(NET)」と呼んでいるものです。Davide Russo らによる本発表は、一つのシステムについて、その進化の諸段階、設計のさまざま、および将来のあり得る構成などのすべての面を、目に見える形で合成することを目指していて、「知識マッピング (Knowledge Mapping)」と呼ぶ枠組みで表示することを試みています。既存の知識を、この枠組みで整理し、将来何をすべきかを考えようとしており、優れた方法であると私は思います。
英文の発表スライドPDF、および和文発表スライドPDF
(和訳: 仲畑光蔵) を掲載しました。また、中川の「TRIZシンポジウムのPersonal Report」 から抜粋して、この発表の紹介文を英文ページ
に掲載しました。
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TRIZシンポ2009 発表: 「開発技術者から見たTRIZ ―アンケートによるTRIZの使い方―」
福嶋 洋次郎、秦 務 (パナソニック (株))、第5回日本TRIZシンポジウムオーラル発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年12月13日)。(掲載: 2010. 6. 9)
著者たちは、パナソニック(株)の本社のR&D 部門で2003年からTRIZの適用を推進してきており、IT&ソフトウェアの分野で156の実地プロジェクトにTRIZを適用した実績を持っています。各プロジェクトでTRIZの適用終了時に実施したアンケートの回答(自由記述) を、本発表で分析しています。技術者たちの回答は要点を突いたもので、大部分が積極的な回答でした。また、各従業員が毎年の特許申請件数を分析して、「入社初年次に (先輩社員と一緒に) TRIZの適用経験を持った従業員たちは、入社2-3年目において、TRIZ経験を持たなかった従業員たちよりもはるかに多くの特許を出していた」ことを明らかにしました。
発表スライド(和文) PDFおよび発表スライド (英文) PDF
を掲載。また、中川による紹介を、「TRIZシンポジウム2009 の Personal Report (Part E)」
から抽出して、英文ページに再掲載しました
。
TRIZシンポ2009 発表: 「地域統合的エネルギー計画とシステム・モデルのフレームワーク作成方法論としてのOTSM-TRIZと クラシカルTRIZの可能性」
Atom Mirakyan, Nikolai Khomenko, Laurent Lelait, Igor Kaikov (European Institute for Energy Research, Karlsruhe, ドイツ)、スライド和訳: 海野 誠 (川崎重工)、第5回日本TRIZシンポジウムオーラル発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年12月13日)、(和文
: 2010年6月 5日)。(掲載: 2010. 6. 9)
地域 (国内の一地方)でのエネルギ計画の基本目標として、「環境にやさしく、技術的に信頼性があり、制度として健全で、社会に受容され、コスト効率がよく、長期に渡り地域の持続的な発展を支えるものであること」を掲げています。それは、技術問題だけでなく、社会・経済などにも関係した、複雑で大規模な問題を取り扱う必要があります。本論文は、そのような計画策定を扱うためのフレームワークとして、「OTSM-TRIZ」という方法論を導入しています。この発表自身が、「OTSM-TRIZ」という方法論の紹介になっています。この計画立案において、大規模な問題を階層的に捉え、現実から最も望ましい解決策へのルートとその間にある障害 (矛盾) をネットワーク図で表現し、解決すべき矛盾を明らかにしてTRIZでの解決を目指しています。また、彼ら立案者・専門家の他に、関係者たちや意思決定者たちなどのグループと連携していくプロセス・モデルを持ち、社会の中で計画策定を進めていく実際的なやり方を提示しています。
英文の発表スライドPDF、英文の論文PDF
、および海野さん訳の和文発表スライドPDF
を掲載しました。 また中川が、TRIZシンポジウムの「Personal Report」 (英文
) に書きました、発表の紹介文を和訳
して掲載します。
なお、著者の一人Nikolai Khomenko 氏に、今年9月9-11日のTRIZシンポジウム2010の基調講演、およびシンポジウム前日 (9月8日) に「OTSM-TRIZ入門セミナー」をしていただきます。それらの準備としても、本発表をお読み下さい。
TRIZシンポ2009基調講演: 「未来の技術システムの予測: TRIZの活用」
Boris Zlotin (TRIZ Master、Ideation International Inc.、米国)、Alla Zusman (TRIZ Master、Ideation International Inc.、米国)、スライド和訳: 黒澤愼輔 (産業能率大学)、 第5回日本TRIZシンポジウム基調講演、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年11月22日)。(掲載: 2010. 6. 9)
著者Boris Zlotin は永年、アルトシュラーの共同研究者の一人であり、TRIZマスターの中でも重鎮と目されている人です。著者の論文概要でも分かりますように、今回のテーマの技術予測の問題に30年以上も取り組んできており、「Directed Evolution (DE)」 [方向づけられた進化] という方法論を作り上げてきました。スライドの全文は日本TRIZ協会のWebサイトで公開されていますので、そちらにリンクを張りました。英文スライドPDFとともに、黒澤さん訳の和文スライドPDF
を参照下さい。また、中川が TRIZシンポジウムの「Personal Report」に書きました紹介文を英文ページに再掲載
しました。和訳はできていません。
TRIZシンポ2009 発表: 「通信機器開発における実践的創造技法の活用」
庄司 隆浩、古賀 陽介 (パナソニックコミュニケーションズ(株)) 、 第5回日本TRIZシンポジウムオーラル発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年11月28日)、(和文
: 2010年5月22日)。(掲載: 2010. 5.30)
パナソニックコミュニケーションズ社は、2001年にTRIZを導入して以来、QFD-TRIZ-田口メソッド (および CAD/CAE) という科学的手法を本格的に取り入れて、全社レベルで実践してきており、恐らく日本で最もTRIZが普及している企業です。しかしそれでも、開発プロジェクトの技術者たちには、TRIZを中心とした科学的手法をそのままの形で実践していく時間がない、というので敬遠されがちです。そこで、必要に応じて適用の規模を調整できる(「スケーラブル」) ようにし、もっと分かりやすく適用することが必要である、と認識して、筆者たちは新しいやり方を作りました。
それはつぎの3段階からなります。(1) まず、目的の機能を果たす基本的なアイデアを (予備的なもの、既知のものを含めて) 洗い出し、それをツリー状の機能マップに表現する。(2)ついで、解決のための努力を集中するべき領域を選択し、その領域で新しい/発明的なアイデアを考え出すように、管理型ブレインストーミングでメンバに強制する。(3) 最後に、関連特許をレビューした上で、これまでに生成したアイデアを評価し、高い評価の新しいアイデアを強化する。このためには、従属的なアイデアを組合せ、競合他社の目から見直すなどをする。このようにして、新しい解決策を特許出願にまで高める。
このように、本発表は、企業技術者がTRIZを「本当に消化して」、実践していけるようにしたものです。シンポジウムの日本人参加者たちの投票で、「私にとって最もよかった発表」の一つとして表彰されました。スライドのPDF を和文および英文
で掲載しますとともに、昨年書きました中川の紹介 (シンポジウムのPersonal Report 抜粋)
を和訳して掲載
しています。
TRIZフォーラム: フォローアップ討論: 「TRIZの現状と将来の方向」 (Arshad論文) をめぐって
[編集者より] Arshad氏の論文をめぐり、寄せられたフォローアップの討論を掲載していきます。まず、目次のページ
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で討論の経緯と、掲載記事を確認下さい。しばらくは2〜4週間隔で更新の予定で、英語または日本語でそれぞれ掲載していきます。2010年5月の討論ページ
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にはつぎのものを掲載しています。(掲載: 2010. 5.16)
Arshad論文へのコメント (Ellen Domb (米国)、2010年5月12日寄稿)
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(掲載: 2010. 5.16)
中川の追記へのコメント (Ellen Domb (米国)、2010年5月12日寄稿)
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(掲載: 2010. 5.16)
TRIZフォーラム: 問題提起: 「TRIZのいままでの旅程とこれからの道」
S. Saleem Arshad (Applied Innovations、オーストラリア)、寄稿: 2010年 5月 6日; 和訳: 中川 徹、2010年5月 8日。(掲載: 2010. 5.10)
オーストラリアの Arshad 氏からいただいた、貴重な寄稿記事 (論文) です。その概要は以下のようです。
「イノベーションが変化と経済危機からの回復のための仲介者として世界的にますます強調されるに至って、技術革新のための進んだツールの開発が新しく要求されてきている。TRIZがその [技術革新の] 本流で使用されて成功したという例がないように見えることに対して、四つの寄与原因を特定し、吟味した。その結果から、TRIZおよびイノベーション科学の全体分野にとってのこれからの道を示すために、11項の観点を提示する。」
ここで論じている「本流 (メインストリーム)」とは、産業界、技術界、学術界、教育界などでの (技術革新に関わる) 主要な活動・思想のことです。TRIZはそこに入っていける素質を持っているはずだ。それがどうしてできていないのか、どうすればよいのかを論じています。非常に大事な、沢山の議論すべき項目を含んだ、貴重な記事です。英語で世界のTRIZリーダたちに読んでいただくと共に、和訳して皆さんに読んでいただけるようにしました。中川のコメントをページの最後に補足しました。ご意見の投稿を歓迎いたします。
TRIZシンポ2009 発表: 「結果(=利益)を出すためのTRIZ導入と実務適用事例(2) 〜QFD→TRIZ→TMの適用で、結果は出たのか?〜」
片桐朝彦、土澤聡明、保坂周一 (株式会社コガネイ)、 第5回日本TRIZシンポジウムオーラル発表、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町; スライド英訳: 中川 徹、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年12月24日)、(和文
: 2010年5月 7日)。(掲載: 2010. 5.10)
空気圧バルブでの新製品開発を目標とした実プロジェクトに、QFD (品質機能展開)、TRIZ、TM (田口メソッド、品質工学) の3手法を取り入れ、3年間で画期的な新製品の開発を達成したというものです。空気圧機器の専門メーカーが、数十年間主力製品として扱ってきた空気圧のパルス制御バルブにおいて、顧客の声を (QFDを用いて) 真剣に捉え直し、本当に開発すべき技術課題を明確にしました。その課題は通常のセンスでは非常に高度な要求でしたが、TRIZを用いて問題解決を図りました。また、そこで得られた解決のアイデアには、未経験、専門外の技術を要しましたので、その開発のリスクを最小限にするためにTM でテストを設計し、CAD/CAE ソフトを使ってシミュレーションによるテストを行なったとのことです。最終的に得られた新製品の性能、その内部構造、その応用事例なども詳しく述べています。
上記の3手法は、著者たちにも、同社にも初めての導入だったのですが、その指導をただ一人の日本人コンサルタントに一貫して委ねて、この実績を挙げたといいます。本件は、シンポジウムの日本人参加者たちの投票で、「私にとって最もよかった発表」に昨年の第一報に続き表彰されました。「TRIZの実地適用事例/成功事例が欲しい」というあなたにぜひ読んでいただきたい発表です。和文ページには、和文スライドPDF
と中川の紹介の和訳
を掲載し、英文ページ
でも、英文スライドPDF
と中川の紹介 (シンポジウムのPersonal Report 抜粋)
を掲載しています。
TRIZフォーラム: Collabo: 「TRIZとその関連分野の推進者との連携ページ」を開設しました。
編集者より (中川 徹、2010. 5. 9): TRIZあるいはより広い分野で普及・推進を図っておられる多くの人たちから、定期/不定期に (1ページ程度の) ご寄稿をいただき、それぞれの方のページを作って、掲載・蓄積していくことにいたしました。本『TRIZホームページ』も蓄積が大きくなるとともに、やや専門的になりすぎてきている面があると、反省しております。いろいろな方から寄稿を受けて、新しい観点から、より分かりやすい表現で、記事・読みものを提供していけるようにしたいと思っております。関心を持たれた方は、さらにそれぞれの寄稿者のWebサイトなどを参照下さい。現在、つぎの人のページを開設しています。
桑原正浩さん (アイデア社) のページ
(開設: 2010. 5. 9; 最終更新: 2010. 6. 9)
実例で学ぶ本当のTRIZ: (1) TRIZって何? (2010. 5. 9)
実例で学ぶ本当のTRIZ: (2) どのようにして使えるTRIZにしたか? (2010. 6. 9)
TRIZシンポ2009基調講演: 「TRIZ: 必要だが不十分。 市場およびすべてを包括する理論」
Darrell Mann (Systematic Innovation Ltd., 英国); スライド和訳: 小西 慶久、 第5回日本TRIZシンポジウム基調講演、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2009年11月22日)、(和文
: 2010年4月17日)。(掲載: 2010. 4.18)
この基調講演の問題意識は、「なぜ、(ようやく市場に出た)製品のうちの90%以上がイノベーションを起こせずに失敗するのだろうか?」という疑問である。多くの例で、「これが市場のトレンドだ」と見出したものが、短期間で実際の市場の動きから外れてしまう。本講演の主題は、「イノベーションは、顧客の声とシステムの声が合致して初めて起こる」、「TRIZに不十分なのは顧客の声 (=市場のトレンド) を知る方法だ」、そして、「顧客の声を知るには (QFDのアプローチよりもはるかに) 大きなスケールで考える必要がある」と主張する。顧客の声を知るための3段階は: (1) 望む機能を明確にする。(2) (a)人口の変化を知る、(b)顧客の世代の特徴を知る、(c) 人々の特徴的な行動を考察する。そして、(3) 市場のいくつものトレンドとその関係 (強化関係と対立/矛盾関係)を知り、トレンド間の矛盾を解決するという要請が「顧客の声」であると捉える。著者はこのような方法を、個別事例ではなく、一般的な方法とし確立しようとしており、いくつもの包括的な理論 (特に、(2b) に世代循環の理論、(2c) にスパイラルダイナミックスを取り入れている) を考察し、(3)の段階では全体で1000のトレンドを扱っている。8年間の研究チームの成果として、無数にある技法と無数のビジネス書を押さえた上で、本当にすぐれたものだけを抜き出して再構成している。大きなビジョンを持つ素晴らしい基調講演である。いろいろな思想を元素の周期律表のような形式で示しているのも楽しい。発表スライドPDF: 英文、和訳
。
TRIZフォーラム: 「イランにおけるTRIZの導入・普及活動 (2) TRIZを適用してTRIZを推進する」
Mahmoud Karimi (IIITS、イラン)、寄稿: 2010年 3月24日; 和訳: 中川 徹 (大阪学院大学)、2010年 3月24日
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(掲載: 2010. 3.24)
Karimi氏が、イランでのTRIZの導入の経過を「物語」として記述して送ってきてくれました。今回は、TRIZを初めて知ってから、TRIZコースを開く (2001年) までの話。そして、いろいろな企業との会合で初歩的な説明ばかりをくり返していることを問題と感じて、より効果的な方法を探し、新聞のコラムへの毎週の連載を始めた (2004年) 話です。おもしろいですよ。
TRIZフォーラム: 「私はどのようにして、TRIZを、学び、適用し、教えてきているか」
中川 徹(大阪学院大学)、初出: ビデオ発表: PSST2006 (Problem Solving Strategies & Techniques 国際会議)、テヘラン、イラン、2006年11月26-27日、解題:2010年3月14日、中川 徹
(掲載: 2010. 3.14)
ここに掲載していますスライド (英文) は、上記のように2006年のイランでの国際会議のために、Mahmoud Karimi氏の要請を受けて、ビデオ撮影して送付した発表のスライドです。スライド 7枚、写真1枚の簡単なものですが、私自身のTRIZの関わり方を年代順に述べ、また私が推奨するTRIZ/USITの学び方/使い方を説明しています。スライド(英文) PPT、同 (英文)PDF
。編集ノートでは、私とイラン (特に Mahmoud Karimi氏) との交流の経過を説明しています。
TRIZフォーラム: 学会報告(22)続 (完): 「第5回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)」 (和文概要)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2010年 3月 9日。 (掲載: 2010. 3.11)
英文で書いてきましたPersonal Report の最後の部分 (「その他」と「まとめ」) を書き上げて、完成版として掲載しました。また親ページおよび各部のページにカテゴリごとの発表の一覧表を作り、各発表への直接のリンクを張っています。また、各部のPDF 版、および全体一括のPDF版(計129頁、6.2MB) を作成・掲載しました。海外への紹介を主目標として英文で書いていますが、大事な発表が沢山ありますので、参照いただけますと幸いです。今後、精選した個別の発表を逐次、本サイトで紹介していく予定です。
TRIZフォーラム: 「学生レポート集:ゼミで、学んだこと、考えたこと (抜粋); 教育実践報告: 1年次ゼミナールでショーン・コヴィー著『7つの習慣 ティーンズ』を学ぶ (続)」
中川 徹 (大阪学院大学) 編集: 学生15名 (大阪学院大学 情報学部)、2010年 2月26日。
(掲載: 2010. 3.11)
1月3日に掲載しました教育実践報告の続編として、学生たちのレポートの主要部を抜粋して掲載しました。レポートを提出した学生15名の全員のものを掲載しました。イニシャルだけ示して、学生諸君の名前は伏せていますが、このような形での掲載を可能にしてくれた学生諸君に感謝します。学生諸君の学んだこと、考えたことを、これら文から読み取っていただけますと幸いです。それぞれの主体性を確立することがすべての土台になる、それは、創造性の教育の土台でもあると、再認識いたしました。
TRIZフォーラム: 「イランにおけるTRIZの導入・普及活動」
Mahmoud Karimi (IIITS、イラン)、寄稿: 2009年12月 8日; 和訳: 中川 徹 (大阪学院大学) 2010年 2月18日
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(掲載: 2010. 2.22; 追記: 2010. 3.13)
イランではTRIZが知識層に広く浸透してきているとのことで、びっくりしました。イランでのTRIZの導入は、1999年に大学のQFD研究グループが着目したことから始まったといいます。2001年にIIITS研究所が、非営利の民間研究所として設立されました。世界のTRIZ指導者を招いてセミナーを行い、徐々にその考え方と問題解決技法を習得していきます。2007年にはPSST (問題解決の戦略と技法) 国際会議を開き、1000人近くが参加したとのことです。マスメディアを活用していることが特徴で、テレビ教材(5回シリーズ) を作ってイラン国営の教育テレビですでに3度放映し、朝・夕の人気のトークショウでも何回かTRIZをテーマに放送したとのことです。ちなみに、TRIZシンポジウム2008での宮西さん親子の「アメンボウ研究」の発表 を、彼がイランのテレビで放送し、その後もあちこちで話して、大変人気だそうです。今年のTRIZシンポジウム2010 で、Karimi氏に基調講演をして貰います。いきいきした話になるものと期待しています。英文PDF
写真 7枚を追加しました。テレビ画面を録画したものなどを含みます。(掲載: 2010. 3.13)
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国内ニュース・活動 5件: TRIZ関連のボランティア研究グループの紹介 (TRIZ協会内 2件
)(その他3件
)
- 日本TRIZ協会 知財創造研究分科会 (主査: 長谷川公彦 (佐野国際特許事務所)): 活動状況
(掲載: 2010. 2.22)
- 日本TRIZ協会 ビジネス・経営TRIZ研究分科会 (主査: 吉澤郁雄 (産業能率大)): 活動状況(掲載: 2010. 2.22)
- 日本VE協会関西支部 TRIZ普及・活用研究会 (主査: 海野誠 (川崎重工)): 活動状況 と案内![]()
(掲載: 2010. 2.22)
- 創造研究会 (代表: 林 裕人 (アイウエル)): 活動状況 と 案内![]()
(掲載: 2010. 2.22)
- MPUF USIT/TRIZ研究会 (発起人幹事: 中川 徹、三原祐治): 活動状況(掲載: 2010. 2.22)
TRIZフォーラム: 学会報告(22)続: 「第5回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)」 (和文概要)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2010年 1月 30日。 (掲載: 2010. 2. 4)
学会報告 (22-H): Part H: (非技術分野へのTRIZの適用)
(掲載: 2010. 2. 4)
このカテゴリで7件の一般発表を紹介している。竹内睦 (新潟農業総研) は、農業技術、特に米の栽培法に関する研究・開発分野でTRIZ/USITの推進を図っており、その適用可能性を示した。吉澤郁雄 (産能大) らは、日本TRIZ協会のビジネス経営TRIZ研究分科会での成果を報告しており、新しいビジネスモデルを構築するためのTRIZの適用法について、街頭での大画面テレビのビジネスを例として議論している。石田厚子(日立コンサルティング) 、Vitali Altholz (ドイツ)、および粕谷茂 (プロエンジニアリング研究所) が、それぞれビジネス分野へのTRIZ適用を報告した。高原利生は、TRIZ理論に基づいて世界の哲学的な見方を述べ、TRIZに基づいた「理想の生き方」を考察して、「TRIZという生き方」を提起している。松原幸夫(新潟大学)は、日本における徒弟制度と教育の歴史を考察し、暗黙知と形式知のバランスがとれたときに国/社会の隆盛が興ることを論じ、暗黙知の強化を提唱している。これらの発表は、技術以外の分野へのTRIZの適用が日本でも進みつつあることを示している。
読者の声と案内 5件: 世界TRIZ実態調査報告、TETRIS(教育)プロジェクト教材、Mishra翻訳プロジェクト、イランのTRIZ活動、韓国の印象
- 「世界におけるTRIZの普及・認識の実態調査」最終報告 (Denis Cavallucci (フランス)) (中川 徹)
(掲載: 2010. 1.19)
- TETRIS (学校でのTRIZ教育) プロジェクト 教材(中川 徹)(掲載: 2010. 1.19)
- Mishra 「IT & TRIZ」 翻訳プロジェクト 現状報告 (中川 徹)(掲載: 2010. 1.19)
- 「イランにおけるTRIZ導入・普及活動」 寄稿 (Mahmoud Karimi (イラン、2009.12. 8))(掲載: 2010. 2.22)
同続編(2) (掲載: 2010. 3.24)
- 「韓国の印象」 (澤口 学)(掲載: 2010. 4.18)
海外ニュース 4件: ETRIA 新会員制度、台湾 ICSI 2010(1月)、韓国 KoreaTRIZCON2010 (3月)開催、イスラエルTRIZコンファレンス (昨年11月)
- ETRIA (欧州): 新しい会員/会費制度を導入。25ユーロ/5年間
(2010. 1.19)
- 韓国: Korea TRIZCON2010 の開催計画。2010年3月11-13日、ソウル。発表募集中。(掲載: 2010. 1.19)
参加報告 (澤口 学)(2010. 4.18)
- 台湾: 体系的革新国際会議 (ICSI2010) を開催計画。 2010年1月22-25。発表100件余。(掲載: 2010. 1.19)
参加報告 (石田厚子)(2010. 2.22)
- イスラエル: 第1回TRIZコンファレンス。2009年11月開催。報告 (Isak Bukhman)(掲載: 2010. 2.22)
編集者より: 「TRIZ関連ニュース・活動情報」のページを再編し、新情報を記述しました
中川 徹 (大阪学院大学)、2010年 1月19日。
(掲載: 2010. 1.19; 2.22)
ニュース・活動情報のページを再編しました。構成と子ページは、(1) 中川の活動
とTo Do List for TRIZ
、(2) 国内: TRIZ協会関連のニュース・活動の紹介
、TRIZ協会のページ (公式サイトのサイトマップ)
、 (旧)TRIZ協議会公式ページ
、その他の国内ニュース・活動
、(3) 海外: Altshuller Inst. (米)
、ETRIA (欧州)
、MATRIZ (露)
、その他海外(アジアなど)のニュース・活動
、です。親ページは(各ニュースを1行表示で) 索引とし、主要な子に数行〜半ページの記事を記入、より詳細はリンクおよび個別独立ページで記載する方針です。一部はまだ準備中ですが、ご活用下さい。
TRIZフォーラム: 「教育実践報告: 1年次ゼミナールでショーン・コヴィー著『7つの習慣 ティーンズ』を学ぶ」
中川 徹 (大阪学院大学)、2010年 1月2日。
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(掲載: 2010. 1. 3)
「中川のミッション・ステートメント」を書きました背景として、[A] 1年次のゼミナールでの教育実践を紹介しています。[B] 特に、このゼミで教材に使っています、ショーン・コヴィー著『7つの習慣 ティーンズ』について説明しています。スティーブン・コヴィー著『7つの習慣 』をベースにして、10代の若者向けに、分かりやすくいきいきと書かれた本です。「7つの習慣」の考え方についても簡単に紹介しました。さらに、 [C] ゼミナールIB での「7つの習慣」の指導の実際について書きました。ゼミナールでのレポート指導について説明し、中川が「やはり自分もミッション・ステートメントを書いておこう」と思った経過を説明しました。また、 [D] に学生たちのレポートに対するコメントの例を多く挙げています。レポートの書き方についての参考として、また学生を理解し、指導いただくときの参考として、ご覧下さい。
TRIZフォーラム: 「「中川 徹のミッション・ステートメント」 と その心」
中川 徹 (大阪学院大学)、2010年 1月1日。
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(掲載: 2010. 1. 3)
初出: 大阪学院大学 情報学部 2009年度後期 ゼミナールIB S53、S54クラス レポート文集 「ショーン・コヴィー著 『7つの習慣 ティーンズ』 を読んで - このゼミで 学んだこと、考えたこと」 (2009年12月15日)
昨年末に、自分の「ミッション・ステートメント」を書きました。自分の人生における「ありたい姿」を書いたものです。1年次のゼミナールで学生たちに示すことを当初の目的として書きました。5項目: 「1. 誠実で、真剣であること。2. 我を捨てて、広く暖かい心を持つこと。3. 健康に努め、明るい心を保つこと。4. 柔軟で創造的な思考を磨くこと。5. 人と社会の役に立つこと。」また、この5項目の心を説明しています。自分の生涯と内面を素直に書いたものです。
2009年 掲載
TRIZフォーラム: 「第4回 TRIZシンポジウムの 諸発表の掲載状況」(最終更新)
作成: 中川 徹 (大阪学院大学)、2009年3月8日。
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(掲載: 2009. 3. 8; 4. 21; 5. 7; 7.10; 9.18; 12.30)
2008年9月開催のTRIZシンポジウム2008での発表について、TRIZ協会公式サイトおよび本『TRIZホームページ』での掲載状況を一覧にまとめたもの。
TRIZシンポ2008 (論文集) 発表: 「TRIZ方法論が助ける発明の特許性について」
Tzu-Chang CHEN (台湾繊維研究所、台湾) 、 第4回TRIZシンポジウム論文集、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
英文論文 PDF、 英文スライド PDF
:
スライド和訳: 正木敏明 (日東電工)、2008年8月25日、 和文スライドPDF![]()
論文和訳: 中川 徹 (大阪学院大学)、2009年12月29日、 和文論文 HTML
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日)。(掲載: 2009.12.30)
シンポジウムでオーラル発表の予定でしたが、個人的事情で欠席、シンポジウム論文集にスライドが英和両方で掲載されています。本ページの掲載にあたり、論文全文を中川が和訳しました。本論文は随分深い論点を提起しております。すなわち、「TRIZは矛盾を含む困難な問題に優れた解決策を与える。それは確かだ。しかし、そのような発明的な解決策が、そのまま特許になるだろうか?特に、TRIZの方法論が、モデルを使って (発明原理や事例をヒントにして) 解決策を出していることは、先行技術を活用していることであり、それは特許審査において「自明のことだ」と判断される心配がないのだろうか?」--これに答えるために、著者は機能性繊維に関する最新の特許申請事例を取り上げて吟味しています。著者の結論は、「問題解決にどんな方法を使ったか (TRIZを使ったかどうか) は問題でなく、特許で必要なのは先行技術から見た新規性の有無である。TRIZによる解決策も特許を得るには、この観点から、先行技術調査をして、特許請求範囲を記述せねばならない。甘くはない!!」ということです。よく学ぶとよい、深い論文です。
TRIZシンポ2008オーラル発表: 「世界初自動両面印刷機開発でのTRIZとUSIT活用」
菅野 比呂志 (東北リコー(株)) 、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日)、(和文
: 2009年4月18日)。(掲載: 2009.12.30)
この発表は、デジタル孔版両面印刷機「リコー Satelio Duo 8」の着想から開発までの一部始終で、TRIZとUSITによる思考がどのように寄与したのかを、開発者自身が丁寧に報告したものです。孔版印刷というのは、昔から学校で使われてきた「ガリ版」のことです。印刷の定着プロセスがなく、インクが紙の繊維に自然に染み込んで乾くのを待ちますから、片面の印刷後すぐに裏面に印刷しようとすると汚れてしまいます。このため、デジタル孔版印刷機で両面印刷することは、永年の見果てぬ夢だったといいます。著者はTRIZを学んで、最小問題の考えから「一つの印刷ドラムで両面を印刷する」着想を得て、開発に取り組みます。汚れの問題に難渋しますが、TRIZの賢い小人たちのモデリング(SLP) により、微小突起をもつビーズローラを開発して解決しました。その後USITをも学んで、さまざまな問題を解決して、新製品の開発に成功しました。2007年3月に発売し、お客さんから「永年夢見ていた製品だ」と評価されたとのことです。本発表は参加者による投票で表彰されたものです。日本TRIZ協会から(株)リコー殿に、スライド全文の協会サイトでの公開掲載を要請していますが、まだ許可を得られていません。中川のPersonal Report (英文) は2008年10月にスライド引用許可を得て公開していますので、今回その紹介文の和訳を独立ページとして掲載いたします。
TRIZシンポ2008オーラル発表: 「振動騒音問題解決の定石へのTRIZ応用試行 - 動力学理論とTRIZ原理の関連付け」
石濱 正男 (神奈川工科大学) 、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF: 和文、英文
、
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日)。(掲載: 2009.12.30)
著者は概要でつぎのように書いている。「振動解析の教科書は多数あっても「解析手法」ばかりが載っていて、問題解決という記述は殆どない。その逆に、機械工学系のハンドブックでは、個別の製品についての現状技術紹介が羅列されていることが多く、その製品や事例以外の一般問題について解決策を与えはしない。そこで、著者はTRIZの考え方を応用し、振動制御の定石を「設計原理」で整理して「逆引き辞書」の機能を持たせることを試行している。TRIZの発明原理と振動騒音の力学的方程式を関連付け、さらに従来の技術を系統的にまとめた「定石」に進む方法である。」と。シンポジウムの後に著者が論文投稿した国際学術雑誌での掲載が確定しましたので、著者の承認を得て本サイトにスライド全文を公表・掲載いたします。(また、英文Personal Report で伏せていました一部のスライドも公表します。)
TRIZフォーラム: 学会報告(22)続: 「第5回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)」 (和文概要)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2009年12月 20日。 (掲載: 2009.12.24)
学会報告 (22-E): Part E: (企業におけるTRIZの導入・推進)
(掲載: 2009.12.24)
このカテゴリで7件の一般発表を紹介している。福嶋洋次郎ら (パナソニック) は、156の実地適用プロジェクト (IT/ソフト分野) を通じて技術者たちがどのようにTRIZを受容したかをレビューしている。その結果、入社初年にTRIZ適用の実地プロジェクトを経験した技術者たちが、入社2-3年の時点で、(TRIZ適用を経験しなかった技術者たちに比べて) はるかに多数の特許を生産していることが分かった。片桐朝彦ら (コガネイ) は、QFD-TRIZ-TM (田口メソッド) を統合的に導入・適用して、新製品の開発に成功した。彼らが開発した新規のエアバルブは、非常な高速応答性能の顧客要求を満足し新方式のソレノイドを開発して高性能を実現し、またロバストで高信頼性を達成した [参加者投票での表彰発表の一つ]。Atom Mirakyan ら (ドイツ、EIFER) は、地域の統合エネルギ計画策定プロジェクトについて報告し、OTSM-TRIZをバックにもつ一つの方法論を計画策定の枠組みとして導入している。この方法論は、大規模で複雑な問題に取り組むために有用であり、技術的な問題解決だけでなく、社会的・環境的な問題の意思決定を必要とする場合に適用できる。KyeongWon Lee (韓国産業技術大学) は、韓国におけるTRIZの活動状況について発表し、韓国でTRIZは急速な発展段階にあると述べている。Lee の「韓国におけるTRIZの成功要因」に対応して、日本におけるTRIZの状況を中川がまとめてみた。
学会報告 (22-F): Part F: (大学および教育におけるTRIZの活用)
(掲載: 2009.12.24)
ここには3件の発表がある。石濱正男ら (神奈川工大) は、車のチャイルドシートのための概念設計について述べている。修士1年の濱田南がいきいきとした発表を行い、参加者投票の結果表彰された [本件の紹介は、著者にスライド英訳をしてもらってから拡張することにします]。上田祐太朗ら (大阪学院大) が、「パスワードを思い出させる方法」について報告した (上田は、中川のゼミの4年生である)。中川 徹ら (大阪学院大) は、「コード・ケーブルを絡まなくする方法」について、さまざまな既知の方法を収集して体系化したことを発表した。対象とするシステムのスコープをまず限定し、それを段階的に拡張して考察することが、この体系化の鍵であった。
学会報告 (22-G): Part G: (特許に関わる研究およびTRIZのツール)
(掲載: 2009.12.24)
ここには2件の発表がある。長谷川公彦らは、日本TRIZ協会の知財創造研究分科会での活動をポスター発表し、参加者投票により表彰された。彼らは50件以上の特許について、TRIZの技術的矛盾の観点を中心に分析し、各件を統一的書式で記述し、それを資料集にまとめた。古謝秀明(富士フイルム) らはまた、USITの観点から特許/技術/製品を分析・記録する一つの方式について発表した。この研究は、MPUFのUSIT/TRIZ研究会という、多企業参加の有志研究グループで行ったものである。彼らの研究の意図は、技術的問題をUSITの観点で抽象化した16のカテゴリに分類し、それぞれの場合にどのUSITオペレータ (関連24サブオペレータ) がよく使われているかを、多数の特許や製品などの分析結果を蓄積して明確にしようとするものである。
TRIZフォーラム: 学会報告(22)続: 「第5回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)」 (和文概要)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2009年12月 5日。 (掲載: 2009.12. 6)
学会報告 (22-C): Part C: (TRIZと他の方法との統合)
(掲載: 2009.12. 6)
このカテゴリで 3件の発表を紹介している。庄内亨ら (日立) は、「発明および発見のための思考法」に関する調査を報告し、日本独自の諸方法 (市川亀久彌の等価変換理論(ET)、川喜田二郎のKJ法 (また親和図法)、中山正和のNM法など) の位置づけをも行っている。熊坂治ら (パイオニア) は、さらに大規模な調査の結果を報告しており、ものづくりのプロセスにおけるさまざまな課題について、非常に広範な範囲での工学および問題解決の諸方法/諸ツールを探し出すための索引マトリックスを提示している。この索引マトリックスは、(課題) 37行×(方法) 73列あって、社内のイントラネットで使用実績があり、非常に有用である (表彰発表の一つ)。
学会報告(22-D): Part D: (企業におけるTRIZ適用事例)
(掲載: 2009.12. 6)
このカテゴリでは10件の一般発表を紹介する。庄司隆弘ら(パナソニックコミュニケーションズ) は、QFD-TRIZ-TMの3法を統合して「ほとんど原形が見えなくなるレベル」にまで消化した「スケーラブル (規模調整可能)な」プロセスを開発した。その方法を新製品開発の実プロジェクトに適用し、問題設定から、アイデア出し、そしてさらに特許取得まで一貫してリードした (表彰発表の一つ)。マレーシアのIntel が 実地問題での適用事例 4件を発表したことも、シンポジウムにとってありがたいことであった。彼らが解決した問題は、(1) イオン化装置を安定させること、(2) 冷却剤の漏れ検出、(3) ハンドラーのメンテナンスを容易にすること、および(4) デジタルデバイスのS/N比のテストを (ブラックボックスとして) 外側から行うこと、であった。彼らのやり方は、TRIZの基本的なツールを使い、それでいて、有用で利益に結びつく結果を効果的に導出している。前田卓雄ら (MPUF のUSIT/TRIZ研究会) は、ソフトウェア/IT問題に適用できる「USITワークブック」を開発した。彼らはこのワークブックを、新しいソフトウェア/IT システムのためアイデア生成に試用していく計画である。
TRIZ/USIT 適用事例: 「コード・ケーブルを絡まなくする方法:諸事例の体系的分類による考察」
中川 徹、伊藤 智之、塚本 真庸 (大阪学院大学)、第5回日本TRIZシンポジウム、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町。および、ETRIA "TRIZ Future 2009" 国際会議、2009年11月4-6日、Timisoara工科大学、ルーマニア。(掲載: 2009.11.23)
伊藤(2007年1月)および塚本(2009年1月) の卒業研究をベースにして、発展させたもの。コードやケーブルが絡まるのを防止したい、という問題提起に対して、個別の解決策を案出する代わりに、いままで知られている多数の解決策を集めて体系化することを試みた。事例を多数集め、機能に注目して、ボトムアップに分類した。しかし、分類の説得性を増すには、より体系的な思考が必要と考え、システムのスコープを限定する方法を採用した。(A) 1本のコード/ケーブル、(B) 複数本のコード/ケーブル、(C) コード/ケーブルと機器との接続部、(D) システム全体というスコープで、段階的に考察して、「コード・ケーブルを絡まなくする方法の体系」を、説得性のある形で導出した。和文はTRIZシンポジウムでのもの (論文、スライド
)、英文はTRIZシンポジウム (論文
、スライド
) と (改訂した)ETRIAでのもの (論文
、スライド
) を掲載している。
TRIZフォーラム: 学会報告(22): 「第5回日本TRIZシンポジウムの紹介 (Personal Report)、日本TRIZ協会主催、2009年9月10〜12日、国立女性教育会館 (埼玉県比企郡嵐山町)」 (和文概要)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2009年11月22日。 (掲載: 2009.11.23)
[日本でのTRIZシンポジウムを、海外に紹介するために、公式報告ではなく個人の文責で、発表された論文の全体をレビューして、英文で紹介する。報告は大部になるため、約10編ほどに分割して掲載する予定である。
学会報告(22): 親ページ: (編集ノート、概要、シンポジウムを組織する)
(掲載: 2009.11.23; 12. 6)
参加者137名 (海外19名)、発表43件 (海外14件)。シンポジウムの組織と運営の方針などを報告している。
学会報告 (22-A): Part A: (基調講演)
(掲載: 2009.11.23)
基調講演2件を詳しく紹介した。Boris Zlotin (米国) 「技術システムの進化の予測へのTRIZの活用」。Darrell Mann (英国)「TRIZは必要だが十分でない。顧客および世界のすべてに関する理論」。とくにMannの講演は、非常に広い視野で継続している研究の成果を反映している。よくかみしめるとよいもの。
学会報告(22-B): Part B: (TRIZの諸方法)
(掲載: 2009.11.23)
7編をレビューした。イタリアのグループ (Gaetano Cascini, Davide Russo ら) が3編の発表をしており、「進化のトレンドのネットワーク図(NET)」という表現法を使って、技術の体系化、成熟度判定、技術の進化の予測などに使える「再現性のある方法」を作ろうとしている。海野誠(川崎重工) らは、日本VE協会関西支部のTRIZ普及活用研究会 (約24人) を代表して、2003年以後の定常的な活動を報告し、特に、TRIZの「物理的矛盾」についての考え方・扱い方を議論している。
TRIZホームページ(TRIZ Home Page in Japan) の 満11年の記念日にあたって (中川 徹) (2009.11. 1)
本ホームページを創設して満11年になりました。TRIZの理解と普及のために、非営利の立場で情報の公開による紹介・発信・交流を進めることを目的としております。ボランティアで開始し編集しておりますが、個人のホームページではなく、読者の皆さんの寄稿を掲載する「公共サイト(Public Web site)」を目指しています。また、和文と英文の並行したページ作りに努力して、日本と海外との協力関係を作ることを目指してきました。世界の各国・地域に公共Webサイトができ、グローバルなネットワークができるとよいと思います![]()
。なお、この一年間のvisit数は、和文トップページが 21200余、英文トップページが4100余でした。読者の皆さんのTRIZの理解と導入に本ホームページを活用いただけますと幸いです。ご寄稿をお待 ちしております。
TRIZアニメ: 「TRIZのお話 (アニメの日本語版): TRIZ学校教育プロジェクト TETRIS」
物語原作: Genrich Altshuller (旧ソ連)、脚本: Gaetano Cascini (イタリア)、 動画: Harry Flosser (ドイツ) 、日本語訳: 宮西 克也、中川 徹、2009年10月10日 (掲載: 2009. 10.12; 10.27)
TETRISプロジェクトは、欧州委員会の「レオナルドダビンチ」プロジェクトの財政援助により、学校でのTRIZ教育のための教材を制作し、実験しようとするものです。そこで制作された「TRIZのお話」という5本の短い動画はなかなか魅力的で、欧州6ヶ国語に翻訳されていました。このたび、同プロジェクトの厚意により、日本語に翻訳しました。動画の雰囲気と、宮西さんのくだけた訳がよくマッチしています。その紹介と動画を見るための (TETRISプロジェクトへの) リンクを張りました。[Harry Folsser氏の厚意により、動画をよりスムーズに見れるようなりました。(2009.10.27)] このようなものを手がかりに、学校教育にTRIZを導入することを積極的に試みていきたいと、日本TRIZ協会で考えています。
発表: Darrell L. Mann 氏の永年の貢献に感謝して、功労賞 を贈呈しました (『TRIZホームページ』基金 中川 徹)
『TRIZホームページ』(編集者: 中川 徹) はこのたび、日本および世界におけるTRIZの一層の普及・発展に役立てたいと考え、「『TRIZホームページ』基金」を設けました。その最初の活動として、Darrell L. Mann氏 (英国) に功労賞を贈呈いたしました。TRIZおよび体系的革新に関して、同氏が永年に渡り、優れた研究、著作、開発、研修を行い、世界および日本の人々を指導してきた功績を讃え、感謝して贈呈したものです。(2009. 10.12)
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TRIZシンポ2008オーラル発表: 「効果的なTRIZ実践のための最新の計算言語学の応用」
James Todhunter (Invention Machine Corporation、米国) 、 鹿倉 潔 (インベンション・マシン・ジャパン)、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF: 和文、英文
、論文: 和文
、英文
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日)。(掲載: 2009. 9.18)
自分の分野だけでなく、他の様々な技術分野、産業分野の知識を活用して問題を解決していくことは、アルトシュラー以来のTRIZの大きな目標である。そのためには、広範な情報が収集蓄積され、容易に検索できることが大事であり、計算機言語学、特に、自然言語の意味解析の技術が有効である。Invention Machine社はこのためのシステムの開発を推進しており、その技術がいま新しい段階に進んできているという。ソフトツール Goldfire Innovator を使った事例 (海草から海水を分離する方法の例) で、その有効性を示している。
TRIZシンポ2008オーラル発表: 「Victor Schauberger (オーストリア、1885-1958年):TRIZの目からその業績をふり返る」
Wolfgang Sallaberger (Congelo, Austria ); スライド和訳: 中川 徹 (大阪学院大学)、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF: 和文、英文
、論文(英文)
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日)。(掲載: 2009. 9.18)
本稿の著者は、永年自分のレストランのシェフをしており、最近発明家として独立しようとしている、ユニークな人です。また、ここに記述されている Victor Schaubergerは、オーストリアの山岳地帯の森林保護官として自然を観察し、その中で、「自然から学び、真似よ」と言って、「バイオテクノロジ」という語を1920年頃という早い時期に使った人です。日本では (世界でも) あまり知られていない Schauberger の業績を、Sallabergerが独自の観点、TRIZの観点から解きあかそうとしています。かれが注目するのは、水の流れ、とりわけらせん (うず)の運動です。Schaubergerは、実に不思議な制作品を残しているようです。
TRIZシンポ2008オーラル発表: 「TRIZのアップデート: 2006-2008 特許研究調査結果」
Darrell Mann (Systematic Innovation、英国); スライド和訳: 堀田 政利 (創造開発イニシアチブ)、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF: 和文、英文
、論文(英文)
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日)。(掲載: 2009. 9.18)
著者Darrell Mannが 2000年以来一貫して行なっている (当初はCREAX社、2004年以降 SI社) 仕事は、米国特許の全件を継続的にサーベイして、TRIZの知識ベース (特に、進化のトレンドに関するもの、機能・効果に関するもの、矛盾に関するもの) を刷新/更新することである。本稿は2006-2008年の特許分析の結果をサマリしている。特に、この期間の100件の特許について、TRIZの技術的矛盾の観点から検証して、古典版の矛盾マトリックスによる発明原理の推奨の適切性が18%、MannらのMatrix 2003が96% と評価した。新版自身の適切性が年月と共に徐々に低下する傾向を認め、2010年版を新しく作る予定という。
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ご案内: USITの基礎から応用事例まで 「USITベーシックセミナー大阪」
講師: 中川 徹、主催: (株) アイデア。2009年9月3日(木) 13:30-16:30、大阪産業創造館 (大阪市中央区)、参加費 2000円(税別)。どうぞお誘い合わせの上、ご参加下さい。
(掲載: 2009. 8. 3)
TRIZフォーラム: 「第4回 TRIZシンポジウムの 諸発表の掲載状況」(更新)
作成: 中川 徹 (大阪学院大学)、2009年3月8日。
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(掲載: 2009. 3. 8; 4. 21; 5. 7; 7.10; 9.18)
昨年9月開催のTRIZシンポジウム2008での発表について、TRIZ協会公式サイトの「会員専用ページ」に、全発表者(国内・海外とも)の和文スライドと(随意提出の) 論文 (和文・英文とも) が掲載された (7.1および7.10)。本『TRIZホームページ』では、今回 6編の発表を選んで、和文・英文ページに公開で掲載する(2009. 7.10)。 3編追加掲載 (2009. 9.18)
TRIZシンポ2008オーラル発表: 「物質-場分析に向けた計算機支援の問題解決アシスタント(CASFA)」
D. Daniel Sheu, David Lee (National Tsing Hua University, 台湾); スライド和訳: 仲畑 光蔵 (日立製作所)、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF: 和文、英文
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日)。(掲載: 2009. 7.10)
この発表では新しい簡便なソフトウェアツールを提案しており、ユーザに解くべき問題の初期の状態を示す物質-場モデルを入力させ、それに対する解決策として望ましい物質-場モデルとその具体例を出力するものです。すなわち、TRIZの発明標準解のロジックをソフトウェアとして埋め込んだものです。
TRIZシンポ2008オーラル発表: 「サムスン電機におけるTRIZ と イノベーション・カルチャ」
SeHo Cheong; Vasily A. Lenyashin; Alexander T. Kynin; Naum B. Feygenson; YongKwan Lee; Seungheon Han (Samsung Electro-Mechanics Company、韓国); スライド和訳: 海野 誠(川崎重工業)、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF: 和文、英文
、論文PDF: 英文
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日)。(掲載: 2009. 7.10)
韓国、とりわけサムスングループは、産業界におけるTRIZの推進において、世界で最も活発に進んでいるように見えます。本論文は、サムスン電機の本社研究所を率い、TRIZを含む革新技法の推進を行なっているマネジャ自身が発表したものです。シンポジウムの期間中にも大変注目された発表です。
TRIZシンポ2008ポスター発表: 「テスター用ポゴピン再利用プログラム」
Paul Devaraj, Si Wai Chiang (インテル、マレーシア); スライド和訳: 横山 和正 ((株)東芝)、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF: 和文、英文
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日)。(掲載: 2009. 7.10)
インテルが(Amir Roggell の) 基調講演の他に発表した4件の事例研究の一つ。半導体チップのテストをする装置において、ポゴピンと呼ばれる微小な金製のプローブ端子があり、その交換コストが高かった。TRIZで問題解決を行い、ポゴピン自身のテスト装置を導入することにより、過剰な交換を不必要にした。
TRIZシンポ2008オーラル発表: 「12の発明の原理だけで発想できるプロセス」
[創造研究会] 林 裕人(泣Aイウエル、泣Aイテックインターナショナル)、松田信英(松下電器産業梶j、上條 仁(泣Aイテックインターナショナル、泣Aイウエル)、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF: 和文(32スライド)、英文(紹介4スライド)
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日)。(掲載: 2009. 7.10)
関西を中心に二十数人のボランティアが集まる研究会での成果のまとめだといいます。技術者が日々の業務で直面している「既存システムの改良・改善」に絞りこみ、短時間で優れたアイデアを創出できることを目指して、40の発明原理から12だけに絞り込んでいます。その思考プロセスは「問題設定」、「目標設定」、「原因の究明」、「アイデアの創出」と「アイデアの結合、評価と選定」から構成しています。
TRIZシンポ2008オーラル発表: 「オブジェクト変化の型から見えるTRIZの全体像−機能とプロセスオブジェクト概念を基礎にした差異解消方法 その3−」
高原利生 ( )、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF: 和文、英文
、ナレーションノートつきスライドPPT: 和文
、英文
、論文PDF: 和文
、英文
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日)。(掲載: 2009. 7.10)
著者がいう「差異解消」とは、人間が望むことと現実とのギャップのことで、それが目標設定、問題認識、設計、問題解決などすべての活動を理解する共通の枠組みになると捉えています。また、それらを簡潔で能弁に表現する図式 (ダイアグラム) を作っています。著者はその6年間の仕事 (高原利生論文集『差異解消の理論』(2003-2007) 参照:![]()
) をこの発表で要約して話そうとしています。発表のことばをそのまま書いたノートつきのスライド
を一旦保存して、PowerPoint でノートを読むのが一番分かりやすいでしょう。
TRIZシンポ2008ポスター発表: 「磁気記録媒体の解決しようとした課題と技術の進化」
鈴木博之 ((株) 日立製作所 中央研究所)、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF: 和文、英文
、論文PDF: 和文
、英文
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日、和訳
: 2009年7月8日)。(掲載: 2009. 7.10)
著者らが、1986年から2005年に開発した5つの特許をベースにして、面内磁気記憶媒体という分野で何を解決しようとして、どのような技術を開発してきたのか、それらを整理してTRIZで考えるとどんな発明原理を使ってきたといえるのかをまとめています。--残念なことに、著者の鈴木博之さんは、本年6月下旬にご逝去されました。このTRIZシンポジウムでの発表が奇しくもいま、故鈴木博之さんが私達に遺して下さった貴重な論文なのだと、ありがたく思っております。故鈴木博之さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
TRIZフォーラム (調査協力依頼) : 「TRIZ World Survey (フランス Cavallucci教授主宰)について (ご協力依頼) 」
中川 徹 (大阪学院大学) 、2009年 7月 1日。 (掲載: 2009. 7. 1)
「TRIZ World Survey」 というプロジェクトが、フランスのDenis Cavallucci 教授の主導で、全世界30ヶ国のTRIZリーダの協力を得て、始まっております。世界におけるTRIZの理解と普及の状況を、できるだけ直接の入力で、できるだけ客観的に調査したいというものです。その趣旨、経緯、調査項目などの説明を記述しました。日本では中川がコーディネータとなり、菊池史子さん(パイオニア)が調査票を和訳して下さいました。TRIZに積極的に関わっておられる皆さまに、ボランティアベースでこの調査にご協力いただけますと幸いです。フランスのWebサイトに入り、日本語を指定して、データ入力します(20分程度)。
TRIZ論文&事例 : 「TRIZ のためのSSAアプローチ と 航空安全問題への応用」
Shahid Saleem A. Arshad (Applied Innovations, Sydney, Australia)、2009年5月15日 (掲載: 2009. 6.16)
本論文は、航空機の速度検知システムの問題を事例として扱っている。現在の航空機での「ピトー管+ 静圧管システム」 [注: ピトー管で動圧を測る] の弱点を説明し、それが歴史的に数件の大きな航空機事故の原因になったことを述べている。彼はこの論文で、TRIZを補強した彼の方法論を使い、25件の改良/改革案の概念を記述している。あたかも、6月1日にエールフランスのエアバスA330型機がブラジル沖で大西洋に墜落し、228人の人たちが犠牲になった。この事故の真の原因はまだ分からないが、「ピトー管+静圧管」の速度検知システムのトラブルが最も疑われている。この時機に、著者のこの論文を公表・掲載できることは貴重なことである。著者は30年の技術者としての経験の中から独自の方法論を作ってきている。はじめてで馴染みのない面もあるが、この事例を読み解きながらよく考察してみるとよいと思われる。論文は PDFで37頁。
TRIZフォーラム (提案) : 「TRIZの普及のために、するとよいと考えられる諸活動について (提案) 」
中川 徹 (大阪学院大学) 、2009年 4月 6日。 (掲載: 2009. 6.16)
厳しい経済状況にあって、TRIZのような方法論の普及活動が困難な時機を迎えている。その現状で、TRIZ協会として、あるいは協会とは別に個人/グループでするとよいことを考えようとして提案したもの。例: A. 大学教育へのTRIZの普及、B. 公的機関を拠点とした産学官の連携とTRIZの浸透、C. 高校・中学などでのTRIZベースの創造性教育の試み、D. TRIZ関連の海外重要書籍・論文などの翻訳・普及の活動、E. 政府の 「イノベーション政策」などとの連携、F. 海外、特にアジア諸国でのTRIZの交流と連携すること、G. 企業内での地道な活動、H. Webサイトの活用、など。皆さんのご意見をおよせいただきたい。
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TRIZCON2009発表: 「USIT Case Study: A Mom’s Bicycle for Safely Carrying Two Children」
[USITセミナーグループ(アイデア社)] 坂田 寛 ((株)日立製作所日立研究所)、須藤 哲也 (積水ハウス(株))、長谷川 圭一 ((株)ブリジストン)、日野 桂・加藤 明 (コクヨファニチャー (株))、 中川 徹 (大阪学院大学) )、TRIZCON2009 (Altshuller協会第11回年会)、2009年 3月16-18日、Woodlnd Hills, CA, 米国。
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(掲載: 2009. 5. 7)
昨年のTRIZシンポジウムのボスター発表を、きちんとした英文論文に仕上げて、今年3月に米国でのTRIZCON2009 で発表しました (登壇者: 坂田寛)。TRIZシンポジウムでは、USITトレーニングセミナでの演習の状況と成果、その後の考察と新しいアイデア(子ども二人を前に乗せる案) について発表しました![]()
。その後、TRIZシンポの紹介(中川)
において、自転車産業振興協会の動きやオランダでの自転車の例を紹介して議論し、和訳して本ページに掲載しています
。その後、論文執筆の過程で気がついたことを「図を描くことの意義」にまとめました(中川)
。これらのすべてを包含したものが、今回の英文論文
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とその発表スライド
です。一つの実問題について、問題を定義し、現在のシステムと理想のシステムをさまざまな角度から分析し、解決策を自由にそして体系的に考え、課題を突き詰めて新しい解決策を得たこと、その中での初期の不完全さとその克服の思考過程を記述し、USITのしっかりした適用事例になったと思っています。
TRIZシンポ2008一般オーラル発表: 「技術者の問題解決と創造性の能力比較 -TRIZとLean/Six Sigmaの場合-」
Paul Filmore (Univ. of Plymouth, 英国)、スライド和訳: 森久 光雄 (京都大学 & 創造開発イニシアティブ)、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF: 和文、英文
、英文論文
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日、和訳
: 2009年5月5日)。(掲載: 2009. 5. 7)
この発表は「高効率な人々 (Highy Effective People)」および「高効率な技術者」という概念に関わっています。「高効率な技術者」とは、与えられた仕事に熟練して考えないでも高能率でこなすことでは、まったくありません。逆に、自分のいままでのマインドセット (TRIZでいう心理的惰性) を柔軟に壊して、創造的な問題解決をしていける人 (技術者) を意味します。著者は多数の文献から「高効率な人々」という概念を学び、それを適用して「高効率な技術者」という概念を作りました。そのように「高効率」であるには、どのような属性が必要か、それを育て、実際の場面で助けるのにどんな方法がありうるかを考えています。TRIZの多くのツールがそれを助けるというのが著者の大事な結論です。同様のことを、リーン工学 (トヨタ生産方式) とシックスシグマの実践者たちにアンケートして、これらの中にはまだまだ足りないものがあり、だからこれらにTRIZが入っていく余地があるのだと、結論づけています。
TRIZシンポ2008一般ポスター発表: 「折り畳み傘へのUSITの適用」
[MPUF USIT/TRIZ研究会] 中村公一 (ソニー(株))、山田悦男( )、瀧本稔(富士ゼロックス(株))、枷場博文 (MPUF事務局)、中山憲卓 (コニカミノルタテクノロジーセンター(株))、牧野泰丈 (横河電機(株))、三原祐治((株)創造性工学研究所)、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF: 和文、英文
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紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日、和訳
: 2009年5月4日)。(掲載: 2009. 5. 7)
表記の研究会は、MPUF というネットワークベースの会員組織 (無料登録制) の中で、プロジェクトマネジメントに関する20弱の研究会のうちの一つとして、2007年4月に発足したものです。研究会のワーキンググループの一つが約20回の会合をしてまとめあげたUSIT適用事例です。著者グループのさまざまな素養が持ち込まれて、技法の面ではQFD、TOCなどをも、USITの問題解決プロセスやその表現に使っています。折り畳み傘を、あまり手を濡らさずに簡単に畳める方法について検討しているのですが、非常にさまざまな技術をヒントにして、アイデア出しをしています。それらのアイデアの模型を作って、ポスター発表でデモをし、大変好評でした。ただ、それらのアイデアは、斬新すぎて、現在の折り畳み傘のすぐにできる改良案ではありません。豊富な内容をもつ発表でした。
TRIZシンポ2008一般オーラル発表: 「「短い時間で企業がTRIZを利用するにはどうすればいいか」に挑む〜アンケート調査からの4つの発見、3つのツール開発〜」
石井力重 (デュナミス) [宮城TRIZ研究会]、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF: 和文、英文
![]()
紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日、和訳
: 2009年5月3日)。(掲載: 2009. 5. 7)
宮城県の1000余の中小企業にアンケートした結果を分析して、それらの企業がTRIZを手軽に有効に使うための考え方とツールを開発したものです。著者らは2007年に、TRIZの40の発明原理をやさしく表現した「智恵カード」を発表して好評でしたが、今回はつぎの3ツールを開発しました。(1) 「小さいマトリックス」: しばしば使う8パラメータだけに圧縮した。(2) 「技術的ブレイクスルーのためのワークシート」: 8パラメータからそれぞれ3つの発明原理に導くノート。(3) 「新製品の指針シート」: 31の技術進化のトレンドを整理して、常時考えるべきトレンド、個性化のためのトレンド、独自路線のトレンドに分けて示している。仙台に拠点をおいて、みずからも起業を目指し、多くの人たちにTRIZの考え方を普及させようという、著者の情熱が脈々と伝わってくる発表でありました。
TRIZシンポ2008一般発表: 「結果(=利益)を出すためのTRIZ導入と実務適用事例 〜QFD→TRIZ→TMによる商品 開発プロセスの革新〜」
片桐朝彦、土澤聡明、山内武志 ((株) コガネイ)、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF(公式ページ掲載): 和文、英文
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紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日、和訳
: 2009年4月16日)。(掲載: 2009. 4.21)
これは昨年のTRIZシンポジウムの初日に発表されたものです。(株)コガネイは、空気圧機器の生産から販売までをしている総合メーカーで、従業員約800人とのこと。技術者は、多数のカタログ商品に対して、商品開発から、生産、マーケッティングなどのすべてに関わっている中で、結果(=利益) を出すことを求められています。この商品開発プロセスの革新を目指して、QFD (品質機能展開)、TRIZ、TM (タグチメソッド、品質工学) の導入・適用を目指しました。3年計画で、実験プロジェクトの進行に合わせて、これら3種の技法を導入しています。特に、この3技法をただ一人のコンサルタントに (「運命共同体」として) 指導してくれるように依頼したというのが興味深いことです。社内研修で技法の広い理解を作りつつ、特定プロジェクトに適用して商品開発を実践していっています。2年弱の実績と成果を(コンサルタントでなく) 技術者自身が発表しました。大きな反響を呼び、参加者投票で二位になりました。おめでとうございます。公式ページにスライド (和文28枚、英文 4枚)を掲載しています。本ページは中川の紹介を、昨年10月の「Personal Report」(英文) から抜粋し、このたび 和訳して掲載します。ぜひ多くの方にスライド本文を読んでいただきたいと思います。
TRIZシンポ2008一般発表: 「親子で取り組むTRIZ〜夏休み自由研究「アメンボ」へのTRIZ活用」
宮西太一郎(金沢・兼六中学2年)、宮西克也(父)、 第4回TRIZシンポジウム、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF (公式ページ掲載) : 和文、英文
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紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日、和訳
: 2009年4月16日)。(掲載: 2009. 4.21)
これは昨年のTRIZシンポジウムの初日に発表されたもので、中学2年生の男の子とその父親による発表です。中学1年の夏休みの自由研究で、太一郎君が「アメンポがどうして水面上に浮いて滑れるのかを知りたい」と、父親に相談しました。TRIZを知って半年だった技術者の父は、TRIZのいろいろな考え方を使えば、面白いものができると直感しました。「絶対叱らない」という約束で、男の子が父親のリードのもとに取り組んだ成果が、この発表の内容です。どうすれば水面上に「立てる」か? アメンボの身になって、いろいろな現象・効果を考えつつ、アイデア (仮説) を作る。その後で図書館で調べて確認し、実際に模型を作って水面に浮かべて実験しています。仮説の作り方は、いわば、アメンポの代りになって発明しようとしているのです。シンポジウムでは、発表の最後に太一郎君がビデオで感想を話しました。面白かった、よく分かったというのです。この発表は参加者投票で一位になりました。おめでとうございます。日本の中学1年生がTRIZを使った記念すべき発表です。スライドそのものは公式ページに掲載されていますが、本ページは中川の紹介を、昨年10月の「Personal Report」(英文) から抜粋し、このたび 和訳して掲載します。ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います。
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TRIZシンポ2008特別講演: 「松下電器 本社R&D部門におけるTRIZ活動 −システム・方式・ソフトウェア技術への適用−」
福嶋洋次郎 (松下電器産業)、 第4回TRIZシンポジウム 特別講演、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライドPDF: 和文、英文
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紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日、和訳
: 2009年3月7日)。(掲載: 2009. 3. 8)
同社のシステム・エンジニアリングセンターにおいて、IT/ソフトウェア分野の実業務にTRIZを適用していくことを実践し、5年間で150プロジェクトを実施したという、驚異の報告。一般的にいうと、TRIZ はもともと機械、電気、化学工業などの旧来の(ハード的な) 技術分野をベースにして発展してきたから、情報通信技術やソフトウェア技術などの分野においては、まだ適用事例があまり発表されていず、適用のしかたを試行していく必要がある。その中で本件では、従来のTRIZの理解を少しずつ拡張、適応させて、IT/ソフト分野で使っている。TRIZの研修の他に、実業務において、技術者のグループをTRIZのチームがガイド/支援して、プロジェクトの企画、問題の定義と分析、解決策の生成を行う。これらのプロジェクトはすべて、部門のマネジャやスタッフによる中間チェックおよび最終チェックを経て、実務に落とし込んでいく仕組みができている。TRIZにこだわらずにTRIZを使うのだといい、他の方法をも取り込み、TRIZの理解を拡張して適用していることが興味深い。すぐれた実践である。特別講演のスライドは公式ページに先月掲載、中川の紹介 (「Personal Report」の関係部分) の英文と 和訳を今回掲載した。
TRIZシンポ2008基調講演: 「TRIZの開発と適用の将来の方向」
Sergei Ikovenko (GEN3 Partners, 米国)、 第4回TRIZシンポジウム 基調講演、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライド和訳: 小西慶久。スライドPDF: 和訳、英文
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紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日、和訳
: 2009年3月5日)。(掲載: 2009. 3. 8)
Dr. Ikovenko は世界的に活動しているTRIZマスターの一人。当方から依頼したのは、「個別のテーマでなく、TRIZの全体的な将来の方向を話して欲しい」ということであった。彼は、世界のレベルでTRIZをみると、TRIZはまだその幼児期にある。幼児期にある製品/サービスが確実に成長するためには、適切なニッチ市場を見出すことが必要である。TRIZにとってのニッチ市場は、疑いもなく、技術分野での問題解決であり、ここで成功し、力を蓄えて行かねばならない。それには、技術開発をビジネスのマネジメントの観点から見る必要があり、「主要戦略価値パラメータ」という概念が有用で、それをブレイクダウンしていろいろな技術課題を総合的に解決していくことがよい。TRIZは、クラシカルTRIZからさらに発展して、「イノベーションの科学」を目指して展開が進んでいる。これらを使って、先述の「技術分野の問題解決」を確実に実施していく力がついてきているのだという。基調講演のスライドは公式ページに先月掲載、中川の紹介 (「Personal Report」の関係部分) の英文と 和訳を今回掲載した。
TRIZシンポ2008基調講演: 「インテルにおけるTRIZの展開」
Amir Roggel (Intel, イスラエル)、 第4回TRIZシンポジウム 基調講演、2008年9月10-12日、ラフォーレ琵琶湖。
スライド和訳: 黒澤愼輔 (産業能率大学)。スライドPDF: 和訳、英文
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紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) (英文: 2008年10月26日、和訳
: 2009年3月6日)。(掲載: 2009. 3. 8)
2002〜2004年頃から始まった、インテル社内の製造部門を中心にした全社的なTRIZの導入と推進について発表している。製造分野の焦点は、新製品の量産立ち上げ、歩留り、装置の生産性、コストと短納期の4つであるといい、それぞれにTRIZのツール(技法) を使い分けているという。グーロバルに分散している製造部門の諸事業所において、全社的にTRIZの人材養成と適用を行い、それが確実に成果をあげてきているという。(実際の適用事例はインテルマレーシアから 3件が別途発表された。) イノベーションを続けてきたインテル社にとって、TRIZはいまや非常に重要なイノベーションの道具になっているという。力強いメッセージを含んだ基調講演であった。スライドは公式ページに先月掲載、中川の紹介 (「Personal Report」の関係部分) の英文と 和訳を今回掲載した。
TRIZフォーラム: 「第4回 TRIZシンポジウムの 諸発表の掲載状況」
作成: 中川 徹 (大阪学院大学)、2009年3月8日。
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(掲載: 2009. 3. 8; 4. 21; 5. 7)
2008年9月10-12日開催のTRIZシンポジウム2008で発表されたもので、Webの公式ページおよび本『TRIZホームページ』上に公開で掲載されたものを、一覧表にして示し、リンクを張る (現在 5件、今後随時拡大)。最初に掲載の方針について説明している。追記: 表彰された一般発表7件を掲載(2009. 4.21)、一般発表 3件を掲載 (2009. 5. 7)
TRIZフォーラム (学会報告(21)): 「ETRIA TFC 2008: 欧州TRIZ協会主催 TRIZ Future 2008 国際会議、2008年11月 5日〜 7日、Twente大学、オランダ)」 (概要和文)
(詳細英文)
中川 徹 (大阪学院大学) 、2009年 3月 2日。 (掲載: 2009. 3. 2)
欧州での毎年秋のTRIZ国際会議。今年は参加者80名、発表は、基調講演4件、チュートリアル3件、一般発表 35件、ボスター5件。査読委員会を設けて質を高める努力をしている。欧州は主要国の大学でTRIZの研究が行われていて、しっかりした基盤を作ろうとしており、また、大学と企業とコンサルタントとの連携がいくつもの例で成功してきている。TRIZの方法の改良、他の手法との統合、教育への浸透、特許データベースをTRIZの見方を使って活用する方法など、非技術分野へのTRIZの応用など、いくつも新しい試みが行われている。企業からの参加や発表が減少しているのが問題である。会議の準備のやり方がやや学術性にウエイトが掛かりすぎているのかもしれない。日本からは、発表&参加 3人。英文ページには発表論文全件を丁寧にレビューした。 (英文HTMLおよびそのPDF
( 頁、8.4 MB))、和文ページ
は概要のみ。今後精選論文を和訳していくとよい (和訳の協力者を求めています。To Do List for TRIZ
を参照下さい。)
TRIZ/USIT 適用事例: "Applying TRIZ/USIT to A Social & Technical Problem: Auto-locking Door System of Apartment Building"
中川 徹、藤田 新 (大阪学院大学)、ETRIA "TRIZ Future 2008" 国際会議、2008年11月5-7日、Twente 大学、エンスヘーデ、オランダ (掲載: 2009. 3. 2)
藤田 新の卒業研究を発展させてまとめたもの。ゼミの学生たちの議論を、TRIZ/USITを使ってリードし、KJ 法で整理して、解決策を作っていった。マンションのオートロックドアでは、不審者が住人の後について容易に入っていけることが問題である。その根本原因を3つ見出した。ドアは安全のためにゆっくりしか閉まらない、住人が不審者をいれてしまう、二つのグループがたまたま入り口であったときのルールが有効/明確でない。これらの解決策を一つ一つ議論していった。結論として、IT利用の論理的/仮想的なドア制御システムを作り、現在の物理的ドアの上位に置いた。住人、訪問者は認証に際してその同行人数を登録する。認証はドアの開閉状態に関係なくいつでも行なう (義務がある/可能である)。認証済みの人数以上の人が入ると、システムが警告/警報する。このような新しい技術的な設計の選択により、心理的問題、社会ルール的な問題もすべて解決される [はずである]。2007年のTRIZシンポジウムで、和文の論文を先に発表している。
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TRIZ/USIT 適用事例ノート: 図を描くことの意義 (1) 「二人の子どもを安全に乗せられる自転車」の事例から
中川 徹 (大阪学院大学)、2009年2月22日 (掲載: 2009. 2.22)
図を描いたこと、その図を描き変えたことによって、考えが飛躍したという経験を具体的に記録しておきたいと思い、急に思い立って書き上げた原稿です。つぎの項目があります。(1) 子どもの座席の高さの影響について: 倒れそうな時を前から見た図。(2) 理想のイメージ: 具体的なものを描かない図。(3) 三人乗り自転車の機能分析の図: すっきりと表現した図の威力。(4) 新しいシステム案を位置づける: 機能分析図での表現 。(5) 親と前輪の距離を大きくする: ハンドルとフォーク軸を分離する案、前に子ども二人の案。これらのそれぞれについて、つぎパターンで記述しました。問題の状況、(注: 技法の要求)、従来の図、新しく描いた図、図を描いて(飛躍的に)分かったこと、教訓。USITの考え方 (技法) のノウハウの事例報告にもなっているものと思います。
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ご案内: USIT実践活用2日間トレーニング (公募制) 参加者募集 (掲載: 2009. 1.29)
2009年3月11日(水)〜12日(木)、東京八重洲ホール。(株) IDEA主催、講師: 中川 徹。実地問題を解決しながら、USITをマスター。詳しくは「中川の活動カレンダー」のページを参照下さい。
TRIZ/USIT論文: USIT適用事例: 二人の子供を安全に乗せられる自転車
[USITセミナーグループ(アイデア社)] 須藤 哲也 (積水ハウス(株))、坂田 寛 ((株)日立製作所日立研究所)、長谷川 圭一 ((株)ブリジストン)、日野 桂・加藤 明 (コクヨファニチャー (株))、 中川 徹 (大阪学院大学)、日本TRIZ協会主催 第4回日本TRIZシンポジウム、2008年 9月10〜12日、ラフォーレ琵琶湖 (滋賀県守山市) (掲載: 2009. 1.29)
このUSIT適用事例は、2008年3月にアイデア社主催 (講師: 中川)で行なった USIT 2日間トレーニングセミナーの成果です。自転車に子供を2人乗せることは現在は道路交通法違反ですが、お母さんたちの強い要望を受けて、警察庁が安全性が保証されれば許可する意向を示したと伝えられ、この問題の解決を試みました。分析のしかた、アイデアの体系化のしかた、(二人の子供を前に乗せる) 斬新なアイデアなど、興味深い結果を得ました。TRIZシンポジウムで、須藤さんが日本語で、坂田さんが英語で、ポスター発表しました。ポスタースライドのPDF、中川による紹介 (英文でのTRIZシンポジウム紹介から部分和訳)、その後の情報などを記載しました。セミナー中とセミナー後の両方の経過を記述しており、USITのダイナミックな利用のしかたがわかることと思います。和文スライド PDF。
最終更新日 : 2022.11.10 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp