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編集ノート (中川 徹、2011年 9月11日)
本稿は、ちょうど1年前に、日本TRIZ協会主催の第6回日本TRIZシンポジウム2010で、Nikolai Khomenko が基調講演として話したものです。著者のライフワークであるOTSM について、簡潔な概論になっています。スライドの全文が、英文と和文 (黒澤愼輔さん訳) で、日本TRIZ協会の公式Webサイトに掲載されていますが、今回、より広く読んでいただけるように本ホームページにも掲載します。
昨年11月に私は、「TRIZシンポジウムのPersonal Report」 の一部として、本講演の紹介を掲載しました。そのPersonal Report の関係部分をここに英文のままで掲載します。この基調講演の要点を理解するのに、私の紹介がお役に立てば幸いです。
別ページにお知らせしておりますように、『TRIZホームページ』基金は、TRIZシンポジウムの際に、永年に渡るTRIZとOTSM への寄与とサービスに感謝してDr. Nikolai Khomeno に功労賞を贈呈しました。
非常に残念なことですが、Khomenko さんは2011年3月27日に逝去されました。昨年の8月初旬に体調を崩されたと聞いていたのですが、9月のシンポジウムには来日くださり、随分とエネルギッシュに一日セミナーをし、基調講演で話してくださいました。私たちはそれほど病気が進んでいたことを知りませんでした。ご逝去は残念なことです。ただ幸いにも、Khomenkoさんは私たちに、この基調講演と一日セミナーとを遺して下さり、さらその資料を広く公表することを許可して下さいました。この掲載が随分と遅れてしまったことをお詫びします。これらの資料によって 故Nikolai Khomenkoさんの仕事が広く理解されることを願っています。
なお、英文ページに、Khomenkoさんの一日セミナーのページ を作り、その発表スライド (134枚、1.5 MB) をPDF で掲載しました。和文ページの作成は省略させていただきます。
[1] 論文概要
OTSM(強力な思考の一般理論):
発展の経緯、理論的背景、諸技法、および活用分野
ニコライ・ホメンコ(Insight Technologies 研究所、カナダ)
(和訳: 黒澤 愼輔)
概要
OTSMは古典的TRIZが進化してゆくべき方向としてゲンリフ・アルトシューラが用いた言葉の頭文字を並べた略語です。英語では”General Theory of Powerful Thinking”と訳すことができます。アルトシューラは1970年代半ばに古典的TRIZはOTSMに移行するという考えを示しました。1980年代には大枠となるいくつかのアイデアが形作られ、OTSMの開発が正式に始まりました。アルトシューラは技術的な分野で問題を創造的に解決する手法としての古典的TRIZは十分に成熟したと考えていました。しかし、人々がTRIZの技法群を非技術的な分野で使うようになると、アルトシューラは「どうすればTRIZを技術的問題解決の理論から、分野に限定されない複雑で包括的な問題の解決理論へと変化させることができるか?」という課題を提起しました。本論では、25年間にわたるOTSMの研究の成果のまとめと、今後の展開の見通しを紹介します。
OTSM(オー・ティー・エス・エム)そのもの、および、なぜゲンリフ・アルトシューラが古典的TRIZからOTSMへの移行を提案したのかを理解するためには、まずアルトシューラが考えていた強力な思考の構想における3つの次元を考慮する必要があります:それは、時間の次元、システムの水準(階層性)の次元、ならびにアンチ(反)・システムの次元の3つです。とりわけ、我々としては構造(OTSM-TRIZのシステムの諸階層)の歴史的(時間軸での)進化と、それに関係する諸問題−OTSM-TRIZに基づく諸技法がここで有効性、効率性を発揮します−について考えておきたいと思います。
これに関連していえば、OTSM-TRIZは次の足取りをたどって進化してきました: 技法という点では:
- 一連の方法群
- ARIZ−これらの方法群を包括して、非類型的問題を解決する一体化された技法としたアルゴリズム
- TRIZ−非類型的問題を解決する技法を開発するための理論
- OTSM−強力な思考、ならびに、複雑で非類型的な学際的課題に対処する汎用的(分野に限定されない)技法開発の一般理論
- OTSMに基づく汎用的問題解決技法の第一世代。ここには、問題解決プロセスのフラクタル・モデルとOTSMの主要4技法が含まれる。主要4技法: New Problem Technology (2次的問題技法); Typical Solution Technology (標準解技法);Contradiction Technology (矛盾技法);Problem Flow Technology (問題フロー技法)。
- OTSMに基づく技法群の第二世代。ここには Problem Flow Network (PFN=問題フローネットワーク)と学際的課題の巨大ネットワーク対処アプローチが含まれる。
更に、本論では次のような疑問に対する回答を提示したいと思います:
- なぜTRIZはOTSMへと進化したのか?
- どのような要因がOTSM-TRIZの方法と諸技法の発展を促したのか?
これらの疑問にお答えするために、二つの応用科学理論であるアルトシューラのTRIZ(古典的TRIZ)とOTSMとを、構造、理論的背景、および主たる技法・実践という点で比較します。
OTSMの公準体系は、アルトシューラによって提起された古典的TRIZの3つの公準を明確化し精密化したものです。古典的TRIZからの理論的展開のなかでも最も重要なものの一つはOTSMにおける問題解決プロセスのフラクタル(同型反復階層)モデルといえます。
OTSMとTRIZのそれぞれに基づく技法群と、技法間の関係を比較するにあたっては、次の点を考察したいと思います:
- ゲンリフ・アルトシューラによるおとぎ話、ニコライ・ホメンコ、タチアナ・シドルチュークによるYes-Noゲームのような線形ならびに非線形の教育手法が開発されたのはなぜか。
- コンピュータは問題解決の助言者としての役割を果たすことができるのか?1986年にARIZを使用する際の助言者の役割でコンピュータを利用した経験を紹介します。
本論ではまた、OTSMに基づく諸技法は他の多くのアプローチを補足するものであり、他の技法と容易に組み合わせ一体化させて使用することが可能である点に触れたいと思います。この目的でOTSM ENV (要素・名称・値)モデルおよび強力な思考の上級図式を紹介します。
[2] 発表スライド全文 (基調講演) :
英文発表スライド (70 スライド、597 KB) (公開、変更禁止、コピー許可、印刷許可)
和文発表スライド (訳: 黒澤愼輔) (70 スライド、838 KB) (公開、変更禁止、コピー許可、印刷許可)
[3] Khomenko OTSM-TRIZ 一日セミナー
[4] 発表の紹介 (中川):
「Personal Report of The Sixth TRIZ Symposium in Japan, 2010, Part A. Keynote Lectures 」、
中川 徹 (2011年11月28日) (英文ページ) を参照
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最終更新日 : 2011. 9.19 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp