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編集ノート (中川徹、2009年 5月 4日)
本件は、昨年9月に日本TRIZ協会主催第4回日本TRIZシンポジウム
において発表されたもので、2日目午前のポスターセッションで発表されました。さまざまな企業から集まった7人の技術者たちが共同著者で、MPUFというネットワークベースの会員組織の中の一つの研究会 (USIT/TRIZ研究会) のサブグループ(WG) です。この研究会については、本ページの発表紹介の中でも簡単に説明していますが、より詳しくは発足時の中川の紹介ページ
を参照ください。この発表は、題名のように、「折り畳み傘をもっと簡単に畳めるようにしたい」という問題にUSITを適用したものですが、技法の面でもいろいろな周辺技法を取り込み、また面白いいろいろな製品/技術をヒントにしてアイデアの創出を行い、模型のデモもしています。
以前からご案内していますように、日本TRIZ協会は、一般発表の全件をその公式サイトに「TRIZ協会員限定」の形でPDF形式で掲載する (5〜6月予定) ことにしております。本『TRIZホームページ』は、各著者の希望&承認のもとに (また日本TRIZ協会の了解のもとに)、いくつかの発表を精選して、PDF 形式で公開掲載いたします。多くの読者の皆さんに読んでいただきたいと思っております。
本件の発表スライドを、PDF にして、和文ページおよび英文ページに掲載いたします。コピー許可 (ダウンロード/保存許可)、印刷許可、改変禁止の扱いです。本『TRIZホームページ』の他のページと同様に、著者に著作権があり、本サイトが正式の承認を得て掲載しております。
また、本ぺージには、この素晴らしい発表についての中川の紹介を掲載し、より多くの読者の皆さんにこの発表を知っていただきたいと思います。紹介文は、中川が英文で2008年10月26日に掲載しました、Personal Report 「第4回TRIZシンポジウム2008の紹介」
から抜粋したものです。このたびそれを和訳し、ここに掲載しています。
本ページの先頭 | スライド PDF |
英文スライド PDF |
紹介 (中川) | 第4回TRIZシンポジウム |
TRIZシンポ2008 Personal Report (中川) |
英文ページ |
[1] 発表スライド:
和文発表スライド (16スライド、PDF 1.6 MB)
(公開、変更禁止、コピー許可、印刷許可)
英文発表スライド (16スライド、PDF 1.6 MB)
(公開、変更禁止、コピー許可、印刷許可)
[2] 発表の紹介 (中川):
「Personal Report of The Fourth TRIZ Symposium in Japan, 2008」
、
中川 徹 (2008年10月26日) から抜粋、和訳。
和訳: 中川 徹、2009年5月 4日。(掲載: 2009. 5. 7)
[MPUF USIT/TRIZ研究会] 中村公一 (ソニー(株))、山田悦男 (USIT/TRIZ研究会)、瀧本稔 (富士ゼロックス(株))、枷場博文 (MPUF事務局)、中山憲卓 (コニカミノルタテクノロジーセンター(株))、牧野泰丈 (横河電機(株))、三原祐治 ((株)創造性工学研究所) [P-A6 #46] が行なったポスター発表もまた興味深いものであった。タイトルは「折り畳み傘へのUSITの適用」であった。
MPUF (マイクロソフトプロジェクト・ユーザーズフォーラム) というのは、ネットワークベースの緩い組織で、プロジェクト管理およびそれに関連した種々の技法について興味をもつ人々が有志で集まったものである。MPUF はもともと、枷場(はさば)博文氏と櫟(いちのき)恵子さんとが、ソフトウェア「マイクロソフト プロジェクト」のユーザグループとして組織したものであった。MPUF は非常によく組織された活発なWebサイトを持ち、それには公開のページと無料登録制による会員限定ページとがある。MPUF は現在 1万人を越える登録メンバをもち、20足らずの自主的な研究会を持っていて、プロジェクト管理、QFD(品質機能展開)、TOC (制約理論)、田口メソッド(品質工学)、などを扱っている。USIT/TRIZ研究会は、2007年4月に、MPUF事務局の要請を受けて、中川 徹と三原祐治が幹事となって発足した。その目的は、TRIZおよび (特に) USITを、有志のグループとして共に学ぼうというものである。いま約150人のネットワーク登録会員を持つ。そのうちの約20人が、いろいろな企業から参加している人たちであるが、ほぼ毎月1回、金曜日の夕方に東京で開かれているオフラインミーティングに積極的に参加している。この研究会は3つのワーキンググループを持ち、それぞれ別のテーマでUSITのグループ演習を試行した。今回発表している「折り畳み傘」ワーキンググループは特に活発であり、いままでに約20回のワーキンググループ独自のオフラインミーティングを開催してきた。
今回の発表は、その方法の面でも解決策の面でも、豊富な内容を持っている。筆頭著者の中村公一氏は、シックスシグマのブラックベルトの資格をもち、ソニーで活発に活動している。同氏はUSITをさまざまな角度からマスターしようとしている。そこで、ここに適用されている方法は、オリジナルなSickafus流儀のUSIT、三原流のUSIT (すなわち、中川流のUSITの修正版)、そしてTOC、QFD、などを含んでおり、中村氏とワーキンググループのメンバが持ち寄ったものである。
つぎのスライドに問題定義を示している。折り畳み傘を使ってから畳むとき、われわれは傘の骨や布をいろいろと触って操作する必要があり、手が濡れてしまう。われわれは、傘を簡単に折り畳むなにか新しい方法、あるいは、通常の折り畳み傘の代りになるなにか新しい製品が欲しい。問題定義のUSITプロセスの一部として、問題の根本原因が議論され、ここにはTOC の「現状問題ツリー」の形式でそれを整理している。
問題分析段階で、機能分析の後に属性分析を行なっており、それをここに示す。USITは、オブジェクトの属性で、現在の望ましくない効果に関連しているものを列挙し、それらを増大関係 (すなわち望ましくない効果と相関関係) にあるか減少関係 (逆相関関係) にあるかを判別せよという。下記のスライドでは、そのようなさまざまな属性について一層綿密にチェックして、(単純化した) QFDチャートの形式で示している。
そのつぎにしているのが、時間・空間特性の分析である (Sickafus の用語では「ユニークネス」という)。ここでは、折り畳むプロセスを図とグラフを使って検討している。
その上でワーキンググループは多数のアイデアを創り出した。下のスライドは解決策生成の手順をまとめたものである。ここにはUSITオペレータの主要な3種が示してあり、それらに属するサブオペレータが (岡建樹の示唆に基づいて) グループ化して示してある。得られたアイデアの主要なもの (後述) が、それらを得るのに使う (ことができる) USITオペレータにリンクさせて示してある。
最終的に得た解決策のコンセプトを以下の2枚のスライドに示している。このワーキンググループはさまざまなものからヒントを得てアイデアを活発に創り出した。そして彼らは実際にそのアイデアでの模型を作り、TRIZシンポジウムのポスター発表でデモをしてみせた。それらの模型はびっくりするような、楽しいものであった。
つぎのスライドが発表のまとめである。
*** [中川所感] この発表は、USITの適用事例として、しっかりした、すばらしいものである。興味深い解決策を多数生成しており、また、隣接する有用な技法をUSITに導入するさまざまな試みをしている。われわれが一つの方法を真剣に学ぼうとするとき、われわれは通常その方法をより明瞭に構造化し (例えば、テンプレートやチェックリストを使う、など)、より詳しく、綿密に分析できるように (例えば、詳細な表を使う、など) しようとする。この事例研究もその例外ではない。しかしながら、われわれはまた技法をできるだけ単純に、できるだけ効果的にするように試みるべきである。([この同じシンポジウムで発表した] 中川の論文に対するEd Sickafus のコメント
も参照されたい。)
このワーキンググループが活動していたときに私がグループの人たちに示唆したのは、布の扱い方についてもっと検討し、現在の折り畳み傘を改良するなんらかの実際的なアイデアを見つけるようにするとよい、ということであった。私は、この方向にもう少し突っ込んで考えるとよいと思う。
この発表の全スライドを、近い将来に本ホームページに掲載したいと思っている。 [(2009. 5. 3 中川): 半年遅れましたが、いまここに和文と英文で全スライドを掲載します。]
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最終更新日 : 2009. 5. 7 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp