TRIZ論文: TRIZ シンポジウム 2010 発表
誤解事例集による一般的TRIZプロセスに沿った振動音響設計の誘導
石濱 正男 (神奈川工科大学)
日本TRIZ協会主催 第6回日本TRIZシンポジウム、オーラル発表、
2010年9月 9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市
同 紹介: 中川 徹 (大阪学院大学) 2011年 4月 2日 (英文)
掲載: 2011. 9.25

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編集ノート (中川 徹、2011年 9月22日)

本稿は、昨年の第6回日本TRIZシンポジウム (2010年9月9-11日) において、オーラル発表されたものです。この発表のスライドは、一般発表の一つとして、日本TRIZ協会の公式サイトでは「会員限定ページ」に3月から掲載されています。

このたび私は、昨年のTRIZシンポジウムの発表のうちのほぼ半数を精選して、本ホームページに和・英で個別ページを作り、著者の了解を得て発表スライドを本サイトに収録して、より広く読んでいただけるようにいたしました。また、昨年11月〜本年4月に順次掲載しました中川の「Personal Report of Japan TRIZ Symposium 2010」(英文) から関係紹介記事を抽出して英文ページに掲載いたします。

本ページはつぎのものを掲載しております。 

和文ページ (このページです) 英文ページ
拡張概要のHTML 版
同 PDF版
概要のHTML版
同 PDF 版

発表スライドのPDF版 (本サイト内)

発表スライドのPDF版 (本サイト内)

-- 中川による紹介 ("Personal Report" より)  (英文)

著者は以前に、自動車のための雑音・振動問題に対して、技術者の設計をガイドするTRIZベースの標準的なプロセスを開発している。しかし、このような正方向の指針に加えて、負の教訓 (誤解の事例)を提示することが重要と考えた。そこで、雑音・振動設計についての誤解事例70件の知識ベースを作った。


[1] 拡張概要

誤解事例集による一般的TRIZプロセスに沿った振動音響設計の誘導

石濱 正男 (神奈川工科大学)

日本TRIZ協会主催 第6回日本TRIZシンポジウム、オーラル発表、
2010年9月 9-11日、神奈川工科大学、神奈川県厚木市

概要

自動車などの商品性にとって重要な振動音響性能と他性能の向上を同時に行うには,しばしば発明的設計が必要になる.この課題にTRIZを活用し易いように,振動音響の基礎理論に基づいて特定の問題を7つの一般振動音響問題カテゴリーに分類する方法と,これらの一般振動音響問題に対応する40以上の一般的解決策を開発し,第4回シンポジウで発表した.

今回の発表は,これをさらに改良し,問題定義から特定解決策に至る一般的TRIZプロセスにおいて,誤った道に入り込まないように誘導する手法を提案する. TRIZの手法の多くが理想的な方向への誘引力を持っているのに対し,本手法は先人の犯した誤解を反面教師として使う.

内容説明

自動車のように複雑な機械システムで,かつ一般の消費者が使う製品では,振動音響性能を良好に保つ必要がある.しかし,この性能の向上と多性能の向上はトレードオフの関係にあることが多い.例えば,振動を低減するために車体の剛性を増すと,多くの場合は重量が増え,加速性能や燃費が悪くなる.そこで,発明的な設計が必要になる.

著者は一般的なTRIZ手法を振動音響設計に応用することを考えて来た.しかし,TRIZが用意している発明原理から具体的な設計案を導くには,相当に深いTRIZ使用経験や洞察力が要求されると感じた.そこで,問題の一般化とそれを解決する発明原理を準備する一般的TRIZプロセスの考え方は崩さず,振動音響設計に特化したプロセスを構築することを試みている.第4回のシンポジウムでは,一般的問題として7つのカテゴリーを用意し,それらに対応する振動音響発明原理として40以上の項目を作成した著者の試みを報告した.

この振動音響TRIZプロセスを実際に使おうとして,著者はいくつかの困難に遭遇した.まず,特定の問題自体がよく分かっていない場合が多いことである.この問題定義には実験解析を行って,どのような現象が生じているのかを分析しなければならない.ところが,この実験解析の原理,原理適用範囲,データの評価方法の誤解により,問題の定義を誤ってしまう実例が多い.

また,一般的問題から振動音響発明原理の選択を行う上でも,この原理の誤解によって解決不可能な原理を選択してしまう可能性が高いこともわかった.さらに,発明原理から特定の解決策へと導く段階では,その原理による設計の数量的効果予測が欠かせない.ここでは計算シミュレーションによる予測手法の誤解がせっかくのTRIZ手法を台無しにする.

そこで著者は,上記の実験解析,設計原理,予測計算の3作業分類について,70種類の誤解事例をまとめた.これらは,ゴルフコースに設置されているOB杭のように作用することが期待されている.

振動音響性能を格段に向上しようとするエンジニアは,これらの誤解事例を反面教師として用い,実験も併用しながら問題を特定し,そこから一般的問題を定義する.そして,誤解事例を参照すれば40以上の振動音響発明原理の中から適切な項目の選択確率を上げることができる.さらに,特定解決策を得るときにも正しい定量的性能予測を行う確率が高まる.

図1 誤解事例集の挿入によるTRIZプロセス改善

なお,誤解事例集全体は講演会場ではスライド投影するが本論文紙上では割愛し,その一部だけを掲載予定である.

 

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[2] 発表スライド:   

発表スライド 和文 (12 スライド、PDF 234 KB)   (本サイト内)    (公開、変更禁止、コピー禁止、印刷許可)

発表スライド 英文 (12 スライド、PDF 193 KB)  (本サイト内)    (公開、変更禁止、コピー禁止、印刷許可)


[3] 中川による紹介 (英文):

Personal Report of Japan TRIZ Symposium 2010,
Part D.  Case Studies in Industries
中川 徹 (大阪学院大学)、2011年 3月 5日 (掲載: 2011. 3.21)

==> 石濱論文 英文ページ内 (英文)

紹介要点:  

著者は以前に、自動車のための雑音・振動問題に対して、技術者の設計をガイドするTRIZベースの標準的なプロセスを開発している。しかし、このような正方向の指針に加えて、負の教訓 (誤解の事例)を提示することが重要と考えた。そこで、雑音・振動設計についての誤解事例70件の知識ベースを作った。

 

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最終更新日 : 2011. 9.25  連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp