TRIZ/USIT 紹介
TRIZ紹介: 技術革新のための創造的問題解決の方法論
中川徹 (大阪学院大学)
日本創造学会 第5回創造性研究会 講演、2010年12月18日
東京工科大学 蒲田キャンパス (東京都大田区)
掲載:2011. 2. 3

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編集ノート (中川 徹、2011年 2月 3日)

本稿は、昨年末に日本創造学会に招かれて、その第5回創造性研究会において 話しましたTRIZの紹介です。2時間の研究会で、約30人の熱心な方々にお話しできました。できるだけ包括的に話し、分かりやすい例を入れてお話しするようにしたものです。本ページではスライドのPDF版だけですので、分かりにくい点があろうかと思いますが、TRIZ/USIT紹介として掲載いたします。この講演の機会を与えてくださり、本サイトへの掲載許可をいただきました日本創造学会に感謝いたします。

本ページでは、当日の配付/講演スライドをつぎのように分割したPDF ファイルにして掲載します。

話の構成 講演前配付の印刷資料 講演後配付の回答資料
(0) はじめに
(1) TRIZの思想
(2) TRIZの知識ベース
(3) TRIZにおける問題解決の考え方(技法)
PDF Part A --
         「やってみよう」 PDF Part B
(質問項目だけ、回答空白のページ)
PDF Part C
(回答入り)
(4) TRIZの習得・実践と普及の状況 PDF Part D --
付録: 創造的な問題解決の新しいパラダイムについて PDF Part E --

日本創造学会からの注文は、「演習のようなものも入れて下さい」とのことでしたので、途中に「やってみよう!」というセクションを作っておきました。その部分は、「質問形式の、回答空白のページ」をプリントで配付し、講演中に質問しながら回答を説明していき、講演後に回答入りのページのプリントをお渡ししました。ただ、当初の心づもりは、「80分でスライド56枚 (「やってみよう」を含む) を話して、40分質疑応答」だったのですが、「やってみよう」の前で60分を使ってしまい、小休憩後に「やってみよう」をやり、残りを要点だけお話しするという形になりました。(さらに、質疑応答の準備として用意していました、「付録」のスライド13枚を後尾に添付しています。)

「やってみよう!」でとりあげたのは、私が従来からたびたび説明している例です。ただ、この質問と回答を明確に分離した形式ではいままで記録していませんでしたので、以下には、両スライドを対比した形式で掲載しておきます。


TRIZ紹介: 技術革新のための創造的問題解決の方法論 

(0) はじめに

(1) TRIZの思想

(2) TRIZの知識ベース

(3) TRIZにおける問題解決の考え方(技法)

Part A.   PDF (37スライド、405 KB)

   やってみよう       Part B (質問)PDF     Part C (回答) PDF  (7スライド、406 KB)

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(4) TRIZの習得・実践と普及の状況                     Part D. PDF   (15スライド、 137 KB)

付録: 創造的な問題解決の新しいパラダイムについて     Part E. PDF (16スライド、 106 KB)

    


編集ノート後記 (中川 徹、2011年 2月 3日)

なお、当日のアンケートの回答で、「非常に分かりやすかった」と書いてくださっている方が多かったのですが、分かりにくい、あるいは不満だと書かれた方もあり、気になりました。本当に初めての方にはやはり理解いただくのに時間がかかるのでしょう。なお、当日いただきましたコメントおよびアンケート回答に関連して、つぎの諸点を追加説明しておきます。

(a) アンケートコメント: 「TRIZの紹介でなく、USITの紹介になっているのでないか」 

講演中にお話しし、また本『TRIZホームページ』で詳しく書いていますように、TRIZの体系は(古典的TRIZだけでも) 膨大で複雑です。そのエッセンスを理解して、問題解決のための全体プロセスをすっきりと構成しなおしたものがUSIT です。USITは、「新しい世代のTRIZ」の問題解決のプロセスであると考えています。ですから、「TRIZのエッセンスを実践しやすい形で理解する」ためには、ここに話していますように、問題解決のプロセスの部分は(古典的TRIZの多数の技法、物質-場分析やARIZなどでなく) 整理し直したUSITを使うのがベストであると、中川は考えています。

2時間の「TRIZ紹介」で、あるいは2週間の「TRIZ入門」で、あるいはさらに2年間の「TRIZ実践・習得」においてさえ、複雑なままのTRIZ(だけ) を学ぼうとするよりも、USITを取り入れる方がずっと理解を助け、実践に結びつくでしょう。

(b) 会場内コメント: 「企業で本当にするべきことは、「問題」を見つけることであり、「課題」を明確にすることである。「問題」や「課題」の捉え方を論じていず、TRIZ(だけ)では役に立たない」

私は日本創造学会の会員であり、同学会は、創造性技法、創造的問題解決の方法論に主たる関心があり、多くの人が企業人ではないと理解しています。いままで同学会で数回発表した経験がありますので、それを踏まえて最もよくTRIZを理解していただけるように話を構成したつもりです。それは、少なくとも「問題」を意識してから後に、それをどのようにして明確にし、どのようにして分析し、どのようにして (どのような方法論で) 解決策を創り出していくかという方法論が焦点です。そのような方法論はいままで明確でなかったのですから、それを紹介することは意義があり、それを理解するときっと役に立ちます。

「問題を見つける」ことは、USITの6箱方式で説明すると、第1箱の「ユーザの具体的問題」に属する情報を得ること (あるいは、それを得るための (さらに手前にある) 「問題意識」を持つこと) に対応します。それは、問題解決の技法としてのTRIZ (およびUSIT) にとっては、すでにあるものと考えています。ある意味で、問題はどこにでもあると考えているのです。

一方「問題を見つけた」後に、「課題を明確にする」ことは、USITの6箱方式の第1箱から第2箱への移行 (すなわち、「問題定義」)の段階に対応します。この段階で、USITでは何を解決すべきなのかを、簡潔に表現した文を作ります。USITの開発者Sikafus はこの文を「Problem statement」と呼び、中川も当初「問題宣言文」と訳していましたが、これを「課題宣言文」というのがよいと考えています。(「問題」とは、困っていることを意味し、一方の「課題」は、達成したいことを意味します。)

なお、この「課題」は、TRIZでもUSITでも、このままのレベルで止まるのではありません。TRIZでは「究極の理想を考えよ」といいますし、USITでは6箱方式の第3箱で (現在のシステムの理解だけでなく)「理想のイメージの理解」を作れと要求し、そのための方法 (Particles法) を持っています。

ここで、「問題を見つける」方法にもう一度戻りましょう。そこでは、TRIZ (あるいはUSIT) 以外の方法がより適切でしょう。ユーザの要求を分析し、何を創るべきかを考えるには、QFD(品質機能展開) が知られています。より詳しくは、昨年のTRIZシンポジウムでの山口和也さんの講演を参照下さい。山口さんは、「科学的方法」として、「問題を見つけるためにQFDを使い」、「その問題の概念的解決策を創るためにTRIZを使い」、「その概念的解決策を安定に機能する解決策にするために品質工学(田口メソッド)を使う」ことを薦めています。この意味で、「TRIZは問題を見つけるための技法ではない」といってもかまわないのです。すべての方法にはねらいがあります。ねらった的を外さないこと (TRIZにとっては、問題を創造的に解決すること) がまず大事です。

なお、これに関連して、新しい商品やサービスを開発するための方法として、TRIZをより広い範囲に適用できるようにしようという研究や実践がいろいろと進められています。この『TRIZホームページ』でもいろいろと紹介していますし、今後も拡大するでしょう。

 

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最終更新日 : 2011. 2. 3     連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp