TRIZフォーラム: 
Darrell L. Mann 氏の永年の貢献に感謝して、
功労賞 を贈呈しました
『TRIZホームページ』基金  中川 徹
掲載: 2009年10月12日
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ご案内 (中川 徹、2009年10月 5日)

『TRIZホームページ』(編集者: 中川 徹) はこのたび、「『TRIZホームページ』基金」を設けました。

『TRIZホームページ』は1998年11月の創設以来、満10年余になり、多数の読者・著者の皆さんのご協力をいただき、多くの有益な記事・論文などを掲載して、TRIZの普及と発展のための活動拠点となることができました。この間の、本ホームページを中心としたTRIZ普及活動の中で得ました収益の中から、その一部を基金として預託し、日本および世界におけるTRIZの一層の普及・発展に役立てたいと考えた次第です。

同基金は、その最初の活動として、このたび、Darrell L. Mann 氏 (英国) に、その永年の貢献に感謝して「功労賞」を贈呈いたしました。去る2009年9月12日に、第5回日本TRIZシンポジウムに際し、日本TRIZ協会 林利弘理事長、堀田政利事務局長に立ち会いいただき、中川からMann氏に、表彰状と副賞 (20万円) をお贈りいたしました。

賞状 (和文) とその説明書き (英文) とを下記に掲げます。

For Your Contributions

Mr. Darrell L. Mann

In recognition of your contributions and services over many years in the research, writing, development, and training on TRIZ and Systematic Innovation for guiding people in the Word and in Japan, an award is hereby presented with sincere appreciation and gratitude.

September 12th, 2009
"TRIZ Home Page in Japan" Foundation
Toru Nakagawa

Darrell Mann 氏の足跡は極めて広範です。同氏自身によるプロフィルをまず紹介します。

Darrell L. Mann プロフィル (2003年版、訳: 中川 徹)

ダレル・マンはエンジニアの出身であり、15 年間ロールス・ロイス社で研究開発関連に従事し、同社のエンジンの長期戦略に責任を持つまでになった。1996年に同社を退社し、ハイテク企業の設立を助け、その後バース大学の体系的技術革新と創造性の研究プロジェクトに参加し、[現在はベルギーに本拠を置くCREAX社で体系的創造性の研究開発を指導し、世界中で研修やコンサルティング活動を行っている]。彼がTRIZを使い始めたのは1992年であり、ロールス・ロイス社を去るまでに12を越える特許取得および特許申請をした。1998年にTRIZその他の体系的創造性の諸方法について、技術系およびビジネス系の聴衆向けに教え始め、世界中で幅広い産業分野や専門分野の人々に対してワークショップで教えている。彼は体系的創造性の技法を積極的に使用、教育、研究することを継続しており、数冊の TRIZベースの著書がある。その後100件余りの論文、特許、特許申請を持っており、世界において「体系的創造性」に関して最も広範に発表している専門家の一人である。ETRIA (欧州TRIZ協会) の創立に関わり初代の会長を務めた。

Darrell L. Mann プロフィル (2009年版、訳: 中川 徹)

航空機の研究開発に15年間勤務した後、1995年から、Darrell はイノベーションの分野で研究、教育、およびコンサルティングを行ってきた。体系的革新に関連して、彼の名前を有する600余の論文、特許、および記事を持つとともに、好評を得ている『Hands-On Systematic Innovation』 (TRIZ実践と効用(1) 体系的技術革新) の著者であり、Darrell はいまや、イノベーションの分野において、世界中で最も広範に発表している著者たちの一人である。彼がコンサルティングをしている顧客企業には、Fortune誌のトップ100企業で、地球上のすべての地域から、また文字どおりすべての産業分野から来ている。Darrell はまた、約30人の専任者たちからなる研究チームを組織している。このチームの課題はイノベーションの成功のDNAを解明することであり、その対象領域は技術、ビジネス、IT、芸術、社会、および政治など分野を問わない。月に平均約25日出張しており、Darrell は平均速度 時速40km、平均高度約200m である。

Darrell Mann 氏の業績は、実に広い分野に渡り、新しい洞察に富んだ多数の著作や論文があります。その主要なものを参照するためのリンクをここにリストアップしておきます。

Systemaic Innovation 社(英国) Webサイト:  http://www.systematic-innovation.com/

同サイト  論文一覧(Articles):  http://www.systematic-innovation.com/Articles/Articles.htm
                          (1998年〜2007年末、論文と講演スライド 全件)

Ideality and 'Self-X': ETRIA TFC 2001、中川 徹訳: (『TRIZホームページ』 2002. 3.28)

「TRIZの現代化: 1985-2002年米国特許分析からの知見」: Darrell Mann, Simon DeWulf, TRIZCON2003、中川 徹訳、(『TRIZホームページ』 2003. 4.16)

「TRIZの矛盾マトリックスの現代化」: Darrell Mann and Simon DeWulf、TRIZCON2003、中川 徹訳、(『TRIZホームページ』 2003. 4.16)

"Hands-On Systemtic Innovation": Darrell Mann, CREAX Press, 2002年、(『TRIZ 実践と効用(1) 体系的技術革新』、監訳: 中川 徹、創造開発イニシアチブ刊、2004年)  和訳出版案内と資料:   (『TRIZホームページ』 2004. 6.18)

"Matrix 2003: Updating the TRIZ Contradiction Matrix" (Darrell Mann, Simon Dewulf, Boris Zlotin, Alla Zusman, CREAX Press, 2003) (『TRIZ 実践と効用(2) 新版矛盾マトリックス (Matrix 2003)』、訳: 中川 徹、創造開発イニシアチブ刊、2005年)  和訳出版案内と資料:   (『TRIZホームページ』、2005. 4. 5)

"Hands -On Systematic Innovation for Business & Management": Darrell Mann, IFR Press, UK, 2004年。

「TRIZのクリティカルなSWOT (強み・弱み・機会・脅威): 体系的技術革新の今日と明日」: Darrell Mann、第1回TRIZシンポジウム基調講演、2005年、(『TRIZホームページ』   2005. 9.20)

"Systematic (Software) Innovation": Darrell Mann, IFR Press, UK, 2008年。

「TRIZ: 必要だが不十分。市場およびすべてを包括する理論」: Darrell Mann、第5回TRIZシンポジウム基調講演、2009年9月。 (中川による紹介: 『TRIZホームページ』  2009. 11.25)

Darrell Mann 氏の魅力は、その広い視野と大きなビジョンであり、それを支えている真摯で驚くばかりの活動力である。長身で、小さなスポーツバッグ一つで日本とオーストラリアの3週間の出張をこなし、その間にいつも通りの毎日150件のメールを処理し、新しい本を読み、執筆をするという。TRIZの現代化の世界の旗手でありながら、権威主義的なところがなく、人の話をよく聴き、はにかんだポーズが印象的な人である。健康のためにエスカレータは使わないという。今後ともぜひよい仕事を続けて、世界と日本の人々をリードしていって下さい。

 

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最終更新日 : 2009.11.25    連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp