TRIZ/USIT 論文: TRIZ シンポジウム 2009発表 | |
TRIZ式問題探索によるチャイルドシート改良概念設計 | |
石濱 正男 (神奈川工科大学) 、 濱田 南 (神奈川工科大学 修士1年) |
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日本TRIZ協会主催 第5回日本TRIZシンポジウム、2009年9月10-12日、国立女性教育会館、埼玉県比企郡嵐山町 |
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掲載:2010. 9.23 |
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編集ノート (中川 徹、2010年 9月19日)
本稿は、昨年(2009年)の第5回TRIZシンポジウムで発表されたものです。修士1年の濱田南さんが、いきいきとした素晴らしい発表をして、国内参加者の投票により「私にとって最もよかった発表」の賞を受賞しました。ですから、私の「Personal Report of Japan TRIZ Sympoium 2009」でもきちんと英文で紹介したかったのですが、実は(著者の概要を引用した後で) つぎのような短い文がついているだけです。
シンポジウムの初日の午後に、修士1年の濱田南さんが、この論文の発表をしました。それはいきいきした素晴らしい発表で、参加者の投票によって賞を得ました。
7月末の最終原稿の提出の段階で、石濱先生がスライドを英訳された後で、濱田さんが独自に日本語版スライドをさらに改良しています。その結果、論文集の中の英文スライドと和文スライドとはマッチしないものになっています。「Personal Report」を書くにあたって、私は和文スライドがずっとよく改良されていることを認識しました。そこで私はいま、著者に、改訂した和文版の新しい英訳スライドを提供して貰えるように、要請しています。
-- そのような事情ですので、この素晴らしい発表の紹介は、1-2週間お待ち下さい。しかし、残念なことに、石濱先生はいままでずっと非常に忙しく、この発表の改訂版の英訳をできませんでした。このため、この素晴らしい発表を本ホームページに掲載する機会を逃してきてしまった次第です。
そこで、今日、現在ある形のままでこの発表をここに掲載することにいたしました。英文ページには、概要と元のバージョンのスライドPDF を掲載します。一方、この和文ページには、拡張概要 (1頁) を HTML と PDF で掲載し、また新しい、改訂されたスライドをPDF で掲載します。しかし残念なことに、この優れた発表の紹介文を書きおろす時間がありません。
本ページはつぎのように構成しています。
[1] 論文概要 (著者) 和文 (概要と拡張説明、1ページ) HTML および PDF 英文(概要のみ)
[2] 発表スライド (21枚) (改訂版) 和文PDF 英文 (旧版) PDF
[3] 中川による紹介 (「Personal Report of Japan TRIZ Symposium 2009」からの抜粋) (2009.12.20) 英文 [簡単]
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[1] 論文概要
TRIZ式問題探索によるチャイルドシート改良概念設計
石濱 正男 (神奈川工科大学) 、 濱田 南 (神奈川工科大学 修士1年)
概要
自動車の幼児用チャイルドシートは,実用性能が不十分と言われている.しかし著者にとっては解決すべき問題があいまいで,すぐには改良設計ができなかった.そこでTRIZの問題探索の効用分析を使った結果,幼児の乗せ降ろし労力軽減,走行中の居住性確保,衝突時の身体拘束を解決対象問題として定義できた.さらにリソース分析によって,大人よりも広い周辺空間や,車内LAN上で利用できる運転情報を利用すべきリソースとして特定した.その結果,浅いお椀形の案内面上での揺動可能シートで,走行中の横加速度や衝突時の衝撃を幼児が骨盤で楽に受けられる構造と,それを衝突予見動作で有効活用できる可能性をもつ概念設計案に達した.
内容説明
背景
自動車の幼児用チャイルドシートで日本政府の設定した規格を満たす製品はごく少数に限られていて,さらにその基準を満たす製品でも実用性能が十分でないと言われている.しかし改良設計に取り組もうとした著者らには製品として満たすべき機能もすぐには明確にはできず,解決すべき問題定義ができにくい状態であった.
問題定義
まずTRIZの問題探索手順の効用分析を使った.分析に使った方法は次の二つである.
- 取り付けから始まり,幼児の乗り降り,加速・減速,凹凸路面走行,車内での飲食や遊び,各方向での衝突というフィールド分け.
- 幼児・親である.という登場人物分け.
その結果,チャイルドシートと登場人物の一体系に期待する機能の中から,次の項目を問題として定義した.
- 幼児の乗せ降ろし労力軽減
- 走行中の幼児の振動低減
- 衝突時の確実な拘束
次に,リソース分析を行った.効用分析で見出した問題にうまく利用できているリソースは,車体への取り付け点位置と強度に限られていた.未利用で有効活用できそうな主なリソースとして次の二つを見出した.
- 大人よりもずっと広い周辺空間
- 車内LAN(CAN)上で利用できる運転情報
矛盾の明確化
ここで,問題解決を妨げている技術的および物理的矛盾として次の項目が浮かび上がった.
- 横揺れ防止の身体拘束用縁取りが乗せ降ろしの障害物となる二つの運動間の矛盾.
- 凹凸路でのシートへの車体振動伝達防止と衝突時に備えての固定
- 衝突に備えての幼児の拘束と遊びや飲食をするための身体の自由な運動
一般解と設計概念の創出
これらの矛盾を対立マトリクスにあてはめ,未利用のリソースを強く念頭に置いて一般解を求めた.その結果,次のような一般解と具体的な解を得た.
- 分離(時間や場面での)とダイナミック化: 幼児の乗降のときにはシートの横に縁取りがなくて横からドアーの方向から乗せやすく,走行時には縁取りが出現して上半身の横揺れを防ぐ.これを実現する設計解は,幼児の体が小さいために周辺の水平方向スペースを利用して,縁取りを含めた座面が鉛直軸まわりに90度回転する機構.
- 曲面・カウンタウェイト・セルフサービス: 防振を振り子という回転運動によるばね(復元)作用で実現する.振り子は衝突時には90度近くまで振れて,幼児にかかる荷重を骨盤と座面という広い面で受ける.
- 汎用性: 浅い球状案内面上での揺動可能シートとすると,上記1),2),3)を実現できる.
- 先取り作用: 大人用のシートベルトの事前張力機能やエアバッグ展開に使う信号により,ばねに蓄積したエネルギーを解放して座面を傾斜させる.
図1 チャイルドシート概念設計のレイアウト図
[2] 発表スライド全文:
和文発表スライド (改訂版) (21 スライド、PDF 241 KB) (公開、変更禁止、コピー許可、印刷許可)
英文発表スライド(旧版) (22 スライド、PDF 151 KB) (公開、変更禁止、コピー許可、印刷許可)
[3] 論文紹介 (中川 徹)
中川 徹: 「Personal Report of the 5th TRIZ Symposium in Japan, 2009」 (2009.12.24掲載) からの抜粋 (英文) ==>
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最終更新日 : 2010. 9.23 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp