『TRIZホームページ』 新着情報 |
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注: 他の年度に関しては、下記のリンクテーブルをご利用下さい。 掲載: 2024. 1. 6 |
『TRIZホームページ』に掲載した記事を,
全件, 掲載順に (新しいものが上, 古いものが下の順) 紹介しています。
2021年
論文: 科学技術の「抽象化の4箱方式」から、創造的問題解決の「6箱方式」へ (中川 徹)
(2021.12.10)
(2022. 1.16)
(2022. 2.19)
本篇は、10月3日に日本創造学会の研究大会で発表した論文です。予稿集掲載のPDF
、論文のHTMLページ
、発表スライド
、発表の(リハーサル)動画(MP4)
をまとめて、(遅くなってしまいましたが)掲載しています。――ようやく英訳版を作り、英文ページに論文(HTML
) および発表スライド(HTML
)を掲載しました。(2022. 2.19)
内容は、アート思考研究会(2021. 6.27)での講演の中間部分を簡略化し、「6箱方式」に焦点を当てたものです。科学技術の基本パラダイムである「抽象化の4箱方式」が創造的な問題解決には適用できないこと、そのため従来の創造性技法の研究が基本パラダイムを見いだせないまま乱立・混乱していること、TRIZ/USITから得た「6箱方式」こそが「創造的な問題解決の基本パラダイム」である(に成る)ことを述べています。
右図に、「4箱方式」と「6箱方式」を並べて示しました。「4箱方式」は、 科学技術の、確立された各分野の各理論の「共通項」を表現しており、中学校以来の教育で教え込まれているのですが、そのプロセス(抽象化/推論/具体化)を(例でなく)一般的に説明することができないのです。一方、「6箱方式」は、新しい問題/新しい課題を解決しようとする場合(「創造的な問題解決」)に、進めるべきプロセスの骨格を図にしており、各段階ごとにはさらに詳しく説明する一般的な理論や方法が沢山あります。今まで知られていなかったのは、この「骨格」(基本パラダイム、指導原理)なのです。この図式は単純で、一見「当たり前」「なんの変哲もない」ものに見えます(「コロンブスの卵」を思い出してください)。しかし、これこそが、「創造的問題解決」(すなわち、すべての研究・開発、さまざまな変革(「イノベーション」))の(新しい)基本パラダイムなのです。私が「6箱方式」を認識し提唱したのは、実は2005年です。日本でも世界でも広く認識され使われていくことが強く望まれます。
WTSP: 世界各国TRIZサイト探索(第4ラウンド)のまとめ(中川 徹)
(2021.11.20)
本年の5月以来、「世界各国のTRIZ(関連)サイトのインターネット検索(第4ラウンド)」を実施してきました。その状況やデータは英文ページ
にだけ掲載し、和文ではトップページに概要を載せるだけにしてきました。このたび、7か月掛けて、全世界の52か国と3言語グループの探索結果を得て、一旦完了といたしました。そのまとめの結果、およびそれから見た「TRIZの世界展開の概要(中川所感)」を、英文ページに掲載しました
ので、参照ください。 本和文ページには、英文ページでのまとめのさらに概要だけを、掲載しました。
TRIZホームページ(TRIZ Home Page in Japan) の 満23年にあたって (中川 徹) (2021.11.20)
本ホームページを、「創造的な問題解決の方法論の理解と普及のための情報公開の場」として創設して、11月1日で満23年になりました。国内外の多数の著者、共著者、訳者、読者の皆さまのご支援に感謝いたします。
この4年間の私の活動の中心は、「世界のTRIZ関連サイトのカタログを創る」というWTSPプロジェクトです。 その基本は、情報資源の単位としてウェブサイトが、 (より小さな単位である) 個々の論文/ウェブページや(より大きな単位である) 雑誌/学会/リポジトリなどよりも、ずっとさまざまな重要な役割を果たすことを、認識したことです。特定の分野・テーマ(例えばTRIZ)で、精選したウェブサイトを集め適切な紹介をしたカタログを作れば、 一般の読者・ユーザのためのガイドとしても、 また専門家間の「競争と協調」によりその分野を発展させるプラットフォームとしても、有用です。世界WTSPカタログを一層有用で魅力的なものにするために、グローバル共同編集者6人の連名で「WTSPアピール2021」を発表し、また最近50余か国のTRIZウェブサイトのインターネット調査を行いました
。
この9月に私は、「既成の枠にとらわれないアプローチでTRIZを世界に展開することに貢献した個人」として、国際TRIZ協会から「TRIZ Champion Award 2021」を授与されました。 私のアプローチは、「伝統的TRIZ」という枠から一部出て、ずっと一般的な「創造的問題解決のための6箱方式」を提唱していることです。私は、この「6箱方式」をさらに発展させたいと思っています。
今年は、Darrell Mannの著作に随分導かれました。今後も、日本と世界を双方向に結び、優れた論文・著作を世界に紹介していきます。読者の皆さんのさまざまな問題解決のために本ホームページを活用 いただけますと幸いです。ご寄稿をお待ちしております。
論文 Matrix 2022: 矛盾マトリックスのイメージを変える (Darrell Mann(英)、和訳 中川 徹)
(2021.10.14)
本件はETRIA TFC2021 国際会議(2021.9.22-24)での、Darrell Mannの発表論文です。オンラインでのビデオ発表は一律5分間でしたので、参加者には十分伝わらなかったと思いますが、わたしは前日に論文を読んでいて、その内容に驚きました。早速に著者に和訳の許可をもらい、また和文・英文の両方での本サイト掲載の許可を得ました。著者に厚く感謝いたします。
著者Darrell Mannは、皆さんご存じのように、全世界の特許を分析して、TRIZの矛盾マトリックスを、Matrix2003およびMatrix2010として大幅に改良しました。その特許分析を用いた研究を、Systematic Innovation社で今も継続しています。その中での新しい展開を記したのが本論文です。展開の要点は、(1) 矛盾の解決策の「インパクト」(現状へのインパクトだけでなく、将来でのインパクトをも予想して)推定し 、発明原理の推奨基準の一つとして使い、明示する。(2) マトリックスセルのそれぞれの場合について、すべての発明原理を、利用頻度とインパクトの二次元グラフ上にプロットして表す。(3) マトリックスセルの各場合において、よく使われる発明原理の組合わせを示す。 (4) 二つのパラメータの対立(ジレンマ)だけでなく、三つの場合(トリレンマ)、さらにずっと多数の場合(また、「複雑」からさらに「錯綜」した状況)に対処するための、発明原理群の推奨アルゴリズムを作った。(5) これらを実現するためのソフトウエアMatrix2022を、インタラクティブなアプリとして開発している。―― ぜひ読んでみてください。
本ページは、ETRIA国際会議 (TFC2021) で発表した論文とスライドを掲載しています。2021年9月22〜24日にイタリアのBozen-Bolzano自由大学がホストになり、オンラインで開催されたものです。
(A) スライド/ビデオ: 学会は、わずか5分間(+−30秒)の事前録画のビデオプレゼンテーションを要求してきました。このようなコンパクトな形式は、私たちが検討していました、WTSPグローバル共同編集者6名による「WTSPアピール2021」にぴったりでした。そこで、スライド8枚で、5分29秒のビデオ録画を作りました。英文ページにスライドのHTMLとPDF
、およびビデオ
を掲載しました。日本語訳は後日掲載の予定です。
(B) 論文: 2021年4月29日に10ページの論文原稿を提出し、6月29日に査読を反映した微少改訂版を提出しました。この論文は、会議議事録の実践者の部(ルーマニアのクルージナポカ工科大学のActa Technica Napocensisの特集号の形)に掲載されました。本ページには、論文をHTMLと PDF
で掲載します(注(2021. 9.29): TFCのProceedings中のPDFファイルは、TFCによって訂正されました: 1626-2813-1-SM.pdf ==> 1626-2813-2-PB.pdf 。)
WTSP発表: 世界TRIZ関連サイトプロジェクト(WTSP)(4) 世界TRIZサイト/TRIZ周辺サイトカタログ集の構築と拡張 (中川 徹 他) (日本TRIZシンポジウム)
(2021. 9.29)
2017年12月以来活動してきました「世界TRIZ関連サイトプロジェクト(WTSP)」の報告です。昨年は新型コロナウイルス禍でこのシンポジウムが中止になりました。(それで、オンラインで開かれました、露・米・欧・台湾の国際会議と、日本創造学会の5か所で発表できたのはありがたいことでした。)TRIZシンポジウムでの発表は2年ぶりになりますので、本プロジェクトの基本的な考え方、2020年6月に開発した世界WTSPカタログ集のベータ版、活動の経過と問題点、今後の拡張と改良の方針などをきちんと話しております。
本ページには、予稿集掲載の概要、発表スライド
とそのPDF
を掲載しています。また、発表ビデオ(自分のリハーサルの録画)
も掲載しました。(なお、このビデオをYouTube 上の『TRIZホームページ』チャンネル(中川 徹)にも掲載するつもりですが、まだ準備が整っていません。)英文ページ
には、英文スライド
とそのPDF
を掲載しています。
編集者より: MATRIZ(国際TRIZ協会)から「TRIZチャンピオン賞」を受けました (中川 徹)
(2021. 9.16)
8月27日の朝、私は一通の電子メールに驚きました。MATRIZ(国際TRIZ協会)理事会が「TRIZチャンピオン」の称号を私に与えることを決定したというのです。 この賞は、特に「枠から出て考える」ことを重視し、TRIZを世界に展開することに大きく貢献した個人を称えることを目的としていると言います。
私は、その申し出を大変名誉なことと思い、ありがたく拝受する旨を9月1日に返信しました。 その返信の中で私は、この24年余の私の考えと活動を書かせてもらいました。私自身のアプローチには、「枠から出て」という中に、「(伝統的なTRIZの)枠から出て」という意味も含んでいます。私の活動を認めてくれたMATRIZの寛容さに大変感謝しています。また、この四半世紀の間に、私を導き、協働し、支援し、共に学んでくださった、日本と世界の多くの方々に感謝いたします。今後も健康が許される限り、活動を続けていきます。
本ページには、MATRIZからの電子メール、私の返信(関連ページへのハイパーリンクを追記しました)、および「TRIZチャンピオン」賞状の写真を掲載しました。
WTSP: WTSP プロジェクトのミッションと思想 (2021年8月) (中川 徹)
(2021. 8.18)
(2021. 8.16)
WTSPプロジェクトのGlobal Co-editors (6名)の間での最近の議論に触発されて、この4年弱のWTSPの活動と成果を基礎にして、「WTSPプロジェクトのミッションと思想」という題できちんとまとめた文章をつくり、WTSPのサイトの主要ページの一つ「(A1) WTSPの方針」のページに追加しました
。大事な文章のつもりですので、和訳し掲載しました
。目次は:
(1) WTSPプロジェクトのミッションと世界WTSPカタログ集の性格
(2) WTSPカタログ集に掲載するべきWebサイトの収集と評価
(3) 個々のWebサイトについての紹介の記述
(4) WTSPカタログ集で関心のあるWebサイトの検索
(5) 議論するべきいくつかの論点の補足
基本思想の選択:「コマーシャル」か「利他的」か
競争、ライバル、資本主義市場、競争と協力
多くのサイト責任者たちがWTSPカタログ集への掲載に消極的態度である問題
編集者より: YouTubeに 『TRIZホームページ』チャンネル(中川 徹)を開設しました
(2021. 7. 7)
このたび、ビデオ(動画)を配信するために、YouTubeサイトに、新しくチャンネルを開設しました。
『TRIZホームページ』チャンネル(中川 徹) (YouTube内)URL: https://www.youtube.com/channel/UCx_pLqJqSvZN3zv48bDhTYQ
先日のアート思考研究会での講演のビデオを6部に分けてアプロードしました。こんご、いままでのもの数編をはじめとして、折に触れて掲載していきます。ビデオの講演・撮影、編集、和・英での配信、など手探りの状況ですが、ご活用いただけますようお願いいたします。
講演: 創造的な問題解決の方法論:TRIZ とその発展 〜イノベーションのための科学的方法〜 (中川 徹、2021. 6.27) (講演スライドとビデオ)
(2021. 7. 7)
先に案内
しましたように、6月27日にアート思考研究会の定例研究会にて、表題の講演をいたしました。事前提出の講演ビデオ(92分)を流し、その後(時間を超過して)約45分熱心な質疑応答をいただきました。このビデオを6部構成にして、YouTubeサイトに新設した「『TRIZホームページ』チャンネル(中川 徹)」
で公開しました。本ページでは、この6部構成の形で、各部の概要紹介、スライド画像、PDFファイル、(YouTube) ビデオを掲載しました。
本講演は、下記のような構成で、科学技術と「創造性技法」の現状から、TRIZとUSITを経て、「6箱方式」という「創造的問題解決の方法論の基本方式(パラダイム)」を見出した、ことを述べております。私の考察と研究の総まとめを、分かりやすく話したものです。多くの研究者・実践者の皆様に、ご検討・ご議論いただけますと幸いです。
Part (1/6) はじめに
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Part (2/6) 科学技術と創造性技法の現在![]()
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Part (3/6) TRIZ (発明問題解決の理論)![]()
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Part (4/6) USIT (統合的構造化発明思考法)![]()
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Part (5/6) 新しいパラダイム「6箱方式」![]()
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Part (6/6) 習得と実践のために![]()
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本論文は、2017年12月以来、3年余をかけて行ってきました、世界TRIZ関連サイトプロジェクト(WTSP)の活動、成果、今後の方向を、きちんと体系的に記述したものです。日本TRIZ協会のTRIZシンポジウムや、欧州TRIZ協会の国際会議では毎年発表し、論文にもしてきましたが、日本創造学会での発表や論文投稿は初めてでした。そこで、プロジェクトの最初からの経過も含め、また、TRIZよりも広い範囲を意図していることを含めて、記述しています。TRIZおよび(便宜的にAround-TRIZと呼んでいる)「創造的問題解決の諸方法論」に関する、「世界のWebサイトのカタログ集を創る」プロジェクトです。論文やWebページでなく、「Webサイト」を情報源の単位として選択したことが、新しいことです。上記のような広範な分野の、学術的・実践的な優れたWebサイトを、世界レベルで俯瞰し、きちんと紹介する「カタログ集」を創るのです。ボランティア活動であり、多くの人が趣旨には賛同するけれども、「ビジョンが大きすぎて到底できないだろう」と思って実際の活動になかなか参加しない、という状況で進んできました。それでも、3年間で、「世界WTSPカタログ集」のベータ版を作成公表し、しっかりした構造と、その作成方法を確立しました。今後、さらに拡張・充実させるやり方も明示しています。---ぜひ、読んでみてください。
本編は、昨年11月1日に日本創造学会の第42回研究大会(東京、オンライン)で発表(予稿集掲載)したもの
を拡張・推敲したものです。12月21日に日本創造学会論文誌に投稿しました。ところが、2021年2月5日に、不採録の通知があり、同日(理由開示と)異議申し立てをし、編集委員長の指示に従い、2月9日に説明書を付けて再提出しました。しかし、残念なことに不採録となり、査読報告が5月26日に初めて示されました(経過概要および理由を末尾の編集ノート後記
に記し、付属ページ
に私が提出しました異議申立て書
と再提出説明書
を収録しています)。そこで、やむなく本『TRIZホームページ』に初出の論文として、2月10日に投稿したままの形で、掲載する次第です。
案内: 「東京発明大学校」の設立準備(準備会会長 柳下和夫) について: 紹介(中川 徹)
(2021. 5.24)
「東京発明大学校」という通信教育の大学校を、設立しようという提案が、柳下和夫氏からなされており、クラウドファンディングを呼び掛けています。掲載サイト: READYFOR https://readyfor.jp/projects/22seikigakkai/announcements
私は2006年に柳下氏に初めてお会いして以来、私からは『TRIZホームページ』の更新案内をお送りし、同氏からは『22世紀学会』の会合案内やメルマガをほぼ定期的に受け取ってきました。22世紀(80年後)を迎えたときに、世界と日本が(私たちの子孫が)豊かで活発な社会・生活を享受できるためには、今、いろいろなことを考えて実施していかなければならない。そのひとつが、日本では発明やイノベーションの土壌を強化することであり、そのために「発明大学校」を設立しようというのです。十分な経済基盤がない中での設立準備であり、上記のサイトで、クラウドファンディングを呼びかけています。同氏の経歴を反映して、賛同者には著名な実業家が多いのですが、発明の方法の面、学術的な面を強化する必要があると思い、私も賛同者になりました。設立の趣旨をお読みただいて、この「東京発明大学校」で教える・運営する立場から、あるいは学ぶ・利用する立場から、ご賛同いただける方が多いことを願っています。
問い合わせ先: info@jouhousouken.com (情報総合研究所) (なお、中川 徹にもCCください nakagawa@ogu.ac.jp )
案内: 中川の講演予定: 「 創造的な問題解決の方法論:TRIZ とその発展 〜イノベーションのための科学的方法〜」(中川 徹)6月27日、アート思考研究会、Zoom開催、参加歓迎、無料
(2021. 5.24; 6.23; 7. 7)
下記のように、中川が久しぶりで、TRIZとその発展(USIT、6箱方式(CrePS))についての、講演(zoomのオンライン)をいたします。 わかりやすく体系的に話す予定ですので、ぜひ多くの方に聞いていただきたいと、願っております。
主催: 明治大学サービス創新研究所 アート思考研究会 (代表: 阪井和男教授)
日時: 2021年 6月27日 13:00 − 15:00 (Zoom によるオンライン開催)
対象: 学生、研究者、ビジネスパーソンなど、アート思考あるいは本講演テーマに興味 のある方は、どなたでも参加可能です
申し込み: 無料: 申込用サイト: Peatrix https://artthinkingjapan10.peatix.com/
アート思考研究会 サイト内案内: https://artthinkingjapan.org/meetings/2292/講演スライド(62枚)を、PDFで事前に掲載しました
(抜粋14枚を図でも)。無料ですので、どうぞご参加ください。 (2021. 6.23)
WTSP: 各国のTRIZサイトのインターネットサーベイ(第4ラウンド)を開始&完了しました ==> データ52か国+ 3言語グループ(11. 17現在)(中川 徹)
(2021.5. 8; 5.15; 5.23; 6. 5; 6.17; 6.24; 7.16; 8. 5; 8.30; 9.13; 10. 7; 11.17; 11.20)
本年度のWTSPの目標は、世界WTSPカタログ集のベータ版を強化することです。そのために、(1) 各サイトの魅力的で有用な紹介をサイトオーナーから得る、(2) 各国内でのチーム活動により、有用な各国WTSPカタログの原稿を作ることに注力します。また、これらを支援するために、各国内のTRIZサイトのサーベイを中川が行うことにしました。実際に、Yahooを使い、「TRIZ OR "Systematic Innovation"」をキーワードとした、検索を始めました。その方法は親ページ
に記述しています。まず 英国 (39サイト)
とイタリア(50サイト)
の結果を掲載しました。今後逐次各国のものを実施していきます。いくつかの例では、検索に言語を指定して(アラビア語、スペイン語、ポルトガル語など)、関連する数か国をまとめて扱っています。(2021. 7.16)
Yahoo!Japanの検索エンジンで、対象サイトの所在を任意の国に指定する方法をみつけましたので、イスラエルやインドなどの探索を始めました。今後まだ20か国以上が残っているように思います。 (2021. 8.30)その後掲載した結果: ドイツ (68サイト)
、フランス (55サイト)
(2021. 5.15); ポーランド(50サイト)
、オーストラリア(23サイト)
(5.23, 2021)、オランダ (33サイト)
、フィンランド (21サイト)
、韓国 (72サイト)
(6. 5, 2021); カナダ(30サイト)
、台湾(45サイト)
、タイ(31サイト)
(6.17.2021); ベルギー(22サイト)
、スウェーデン(19サイト)
(2021. 6.24); イラン(64サイト)
、アラビア語(22サイト)
、スペイン語(57サイト)
、ポルトガル語(45サイト)
(2021. 7.16); トルコ (27サイト)
、オーストリア(26サイト)
、スイス(21サイト)
、チェコ(24サイト)
、デンマーク(14サイト)
、ノルウェイ(4サイト)
(2021. 8. 5); イスラエル(24サイト)
、インド(45サイト)
、メキシコ(23サイト)
(2021. 8.30); スペイン(27サイト)
、ポルトガル(15サイト)
、アイルランド(11サイト)
、ギリシャ(8サイト)
、ハンガリー(13サイト)
、ルーマニア(9サイト)
、ニュージランド(7サイト)
(2021. 9.13) ; パキスタン(11)
、スリランカ(6)
、バングラデシュ(3)
、ベトナム(24)
、シンガポール(15)
、フィリピン(11)
、ホンコン(16)
、インドネシア(37)
(2021.10. 7); アルゼンチン(10)
、ペルー(13)
、チリ(12)
、コロンビア(19)
、ボリビア(6)
、ウルグアイ(7)
、ブラジル(41)
、コスタリカ(12)
、ニカラグア(6)
、モロッコ(13)
、エジプト(8)
、南アフリカ(9)
、ケニア(6)
(2021.11.17)
ポーランドのWTSPチームが、サイト検索を踏まえて自国のWTSP カタログを作成するための初期原稿を作りましたので、本サイトに掲載しました
。各国での活動の参考になることを期待しています。(2021. 5.26)
各国のWTSPメンバー(参加申し込み書を提出した人)およびWTSP賛同者(参加の意思を正式に表明したが、参加申し込み書を未提出の人)のリストを、WTSPの組織のページ(A2)
に掲載しました。各国(日本も)での協力した活動が期待されています。(2021. 7.22)
9月にヨーロッパの9か国、10月にアジアの9か国、11月に中南米の9か国とアフリカの4か国の探索結果を掲載し、全世界で総計52か国+3言語グループの探索結果を公表しました。これで「第4ラウンドのTRIZサイトの探索」を一旦完了といたします。(2021.11.17)
この探索結果を要約し、既発表のベータ版カタログの内容とあわせて、「WTSP世界TRIZサイトカタログのデータの状況と、それから見たTRIZの世界展開の概要状況」を、新しHTMページ
にまとめました。和文ページ
にも、少し簡略化して掲載しましたので、参照ください。(2021.11.20)
論文: TRIZの課題と それに取り組むアプローチ(Simon Litvin, 中川 徹訳)
(2021. 4.18)
本件は、Dr. Simon Litvinが、「TRIZを世界で推進するために」をテーマにしたオンラインワークショップ(MATRIZ MeetUP、 2021年 3月 23-24日) で発表したものです。今回の発表の全スライドは、英文ページ
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に掲載しました。その目次は以下のようです(中川作成)。
1. 背景: 一般的な世界のトレンドと課題
2. 世界でTRIZを推進し、売り込む上での重要な諸課題
3. TRIZサービスのマーケティングと売り込み (推奨するTRIZの諸方法、 イノベーションを実際的にするためのTRIZの諸方法、 成果事例、 いくつかの統計データ、GEN TRIZプロジェクトの事例研究: コロンビアにおけるコーヒーの収穫装置、 イノベーションのトレーニングとファシリテーション、イノベーションプロジェクトの典型的提供コース、
4. まとめ:世界でTRIZを推進するために)
このうちの最初の3枚のスライド(目次の1.と2.)を和訳掲載します。非常に示唆に富む考察です。彼は、アルトシュラーの弟子&共同研究者で、TRIZマスターの一人、90年代半ばからInvention Machine社のVP、Pragmatic Vision International 社のVP、Algorithm(ロシア)のCEO、GEN TRIZのCEO/President などとして、一貫してTRIZを現代化する諸方法の開発、コンサルティングとトレーニングなどに、実践的に携わっています。
また、今回、GEN TRIZ, LLCのサイト紹介(標準書式)
の提出を受け、世界WTSPカタログ集に掲載しました (TN2F-07、◎)(A2P)
。本件(英文)はサイトの詳細紹介を兼ねる位置づけで、カタログ集からのアクセスを設けています。
出版案内: 『TRIZ 実践と効用 (5) イノベーションを成功させる組織の力―ICMM入門』 (Darrell Mann 著、中川 徹訳)
(2021. 4.18)
『TRIZ 実践と効用』シリーズ(クレプス研究所刊)の第5巻として、イノベーションを成功させるための教科書を和訳出版いたします。本書の位置づけと内容は、本サイトで2月〜3月に『イノベーション能力成熟度モデル (Innovation Capability Maturity Model (ICMM)) 入門編』 として、和訳全文を掲載
して、紹介してきました。出版にあたり、表記のようにタイトルを調整しました。新たに著者が日本語版への前書き(ICMMの10年)および後書き(ICMMの未来へ)を寄稿して下さり、私の訳者前書きとともに本ページに掲載しております。
原著の出版から10年弱を経て、その後の状況を著者は新しい前書きと後書きで述べています。組織のイノベーションの能力を表す5つのレベルの概念(特徴)は不変で、当初は25の質問(選択肢5つ)に対する自己回答でレベルを判定していましたが、現在では、企業の公表情報(特許、報告書、インタビューなど)をソフトで意味解析し、外部から客観的にレベルを判定できている、と言います。また、各レベルを一段ずつ上がっていくためのノウハウの蓄積が進み、順次出版する計画だといいます。特に、イノベーションの抱負を持つスタートアップ(レベル0)が、基本的な企業(レベル1)を作り上げるためのノウハウについて、2020年6月に出版済みです。
現在のコロナ禍の危機の時代に、この日本語版が、皆さま個人のそして皆さまの組織の、イノベーション能力の向上と、イノベーションの実現・成功の糧になることを祈ります。
出版物は、ISBN978-4-907861-11-7、 ソフトカバー、B5版、128頁、定価(1800円+税)、Amazon.co.jpサイトで販売。なお、『TRIZ 実践と効用』(クレプス研究所刊)の出版案内ページも参照ください。
WTSP: Mails & Letters (2021年2月―3月) (中川 徹、Nikolay Shpakovsky (露), Simon Litvin (米), Michael Orloff (独), Christian Spraefico (伊), Michal Halas (ポーランド), Joanna Majchrzak (ポーランド))
(2021.3.24)
WTSPプロジェクト関連で、各国の人々との通信を収録しています。前ページで概要を書きました、「WTSPプロジェクト/WTSPカタログの意義やメリットは何か?どのようにして、TRIZ専門家の人たちの協力を得るか?」というのが中心テーマです。中川の現状報告(2月23日)、Simon Litvinの問題提起(3月2日)、中川の応答(返答)(3月4日、6日)、Michael Orlofffの応答(3月4日、6日)などで、詳しく議論しています。
WTSP: ETRIA TFC2021 への発表アブストラクトと本年のWTSP計画について (中川 徹)
(2021.3.23)
WTSPは今年が第4年度です。その基本方針として、現在の世界WTSPカタログのベータ版を拡張・強化することを掲げており、特に次の2点を目指します。
(a) 優れたWebサイト(特に◎〇レベル)の、魅力的で有用な紹介を、各サイトの責任者自身に書いてもらう。
(b) 各国のWTSPカタログの有用な原稿(調査者またはサイト責任者によるサイト紹介をまとめた形で) を、それぞれの国の有志によるWTSPチームによって作成してもらう。ETRIA TFC2021 (2021年9月22−24日にイタリアのFree University of Bozen-Bolzanoがホストとなり、オンライン開催の予定)に、アブストラクトを送り、受理されました。TFC2021の特別な書式(良く考えて作られています)で書いています。英文ページ参照
。
ただ、WTSPの活動は、残念ながら、昨年10月以来僅かしか進んでいません。ある調査によると、「TRIZの専門家たちのあいだで、WTSPカタログが、意義(特に自分たちへのメリット)が分からない、人気がない」というのです。私は、「WTSPカタログは、まず第一に(TRIZと関連の方法論の)ユーザのために作る(そしてもちろんTRIZ等の専門家にも役に立つ)ものであり、TRIZ等の専門家たちが(優れたWebサイトを適切に選んで、魅力的で有用なサイト紹介をすることにより)より良くユーザに奉仕・提供すれば、それだけ多くユーザからのアクセスを得て(自分たち自身に)益がある」と説明しています。
世界中で、そして日本で、TRIZ関連のリーダ、実践者の皆さんのご協力をお願いします。いま、サイト紹介の「魅力的で、有用な」先駆例がぜひ必要なのです。
編集者より: 新着情報ファイルが大きくなりすぎましたので、2018年掲載分をアーカイブファイルに分離しました。
(2021. 3.23)
Darrell Mann著作: 『イノベーション能力成熟度モデル (Innovation Capability Maturity Model (ICMM)) 入門編』 トップページ (Darrell Mann (英)著(2012年); 中川 徹訳)
(2021. 2. 6; 2.16; 2.23; 3.20 掲載完了)
私はDarrell Mann の技術分野を主とした「技術革新」の著作に傾倒し、和訳出版など、広く紹介してきました。しかし、その後の、ビジネス関連分野、および(体系的)イノベーション一般に関する彼の新しい著作をよく学べていませんでした。昨秋の彼のTRIZCON2020での講演
を聞き、その発展の大きさに感銘をうけました。大いに反省して、いまそのいくつかを学び始めていて、和訳、掲載、出版をしていきたいと考えております
。その最初が、この本書『イノベーション能力成熟度モデル(ICMM)』(2012年出版)です。著者から和訳出版の許可をいただき、出版を前提に、本ホームページへの事前掲載の許可を得ています。
Darrell Mannが、最初に技術分野、ついでビジネス分野で、TRIZとその発展(「体系的イノベーション」)を研究・実践・推進し、世界を飛び回ってコンサルティングをした16年間の実績をもとに本書をまとめています。イノベーションとは、「成功したステップチェンジ(階段状の変化)」であると定義しています。成功は、始めから終わりまでがうまく行く必要があり、全社の体制に依存する。階段状の変化とは、現行の知識・方法に基づく漸進・最適化で得られるものではなく、前提の知識・方法(常識的ルール)を破って初めて、得られる。常識を破り、かつ、全社的活動でないと、達成できない(だから困難で、イノベーションの試みの98%が失敗している)。組織のイノベーションの能力は、順次、階段状に、獲得されていく。多数の大企業・中小企業・政府機関などと協働し、コンサルティングし、調査した結果から、このICMMモデルをまとめています。本書は、イノベーションを本気でやろうとする個人や組織、特にトップマネージャの人たちに向けて書いています。非常に貴重な著作です。
本トップページには、本書の序文、目次を掲載しています。また、本ホームページでの和訳掲載状況、訳書で作った詳細目次などを開催しています。和訳は多難です(著者の構文が複雑で、いろいろ慣用句や口語的表現がありますので)。訳文中の、( )は著者の挿入句など、[ ]は訳者の補足です。(意訳や直訳を避けて)文の論理に細部まで忠実で、読みやすい(わかりやすい)訳を心掛けています。節以下の見出しを付け、文中の重要語句を太字にし、ところどころに段落の区切りを追加して、全体の構成を分かりやすくしております。もし、お気づきの改良点がありましたら、ご連絡ください。
Darrell Mann: 『ICMM)』 第1章 はじめに(中川 徹訳)
(2021. 2. 6)
1.1 イノベーションの定義
1.2 イノベーションが失敗する原因を求めて
1.3 イノベーションが失敗する5つの主な理由
(1) 製品/サービスにおける失敗、 (2) 市場の需要における失敗,
(3) 市場へのルートにおける失敗、 (4) 生産手段における失敗、 (5) 調整における失敗
1.4 失敗要因の根底とイノベーションの基本的な性格著者は、まず「イノベーション」を、「成功したステップチェンジ(階段状の変化)」 と定義します。「成功」とは、何らかの考えからスタートして、ものやサービスを創り、それがお客さん/世の中に受け入れられて、利益が得られないといけません。始めから終わりまでを測って、初めて成功が分かります。階段状の変化というのは、今までのもの(やその考え方)の線上での改良とは違って、非連続的な飛躍(ジャンプ)を意味します。
今まで常識と思っていた知識・方法・考え方の前提を破ることですから、常識・直感に反することがあります(必要です)。それは、適用技術の細部だけでなく、組織全体の考え方についても(順次)必要になります。だから、イノベーションは簡単には成功しないのです。イノベーションを起せる組織を創るには、どのように考え、どのように活動を積み上げていくとよいのかを、本書で説明しようとしています。
Darrell Mann: 『ICMM)』 第2章 イノベーション能力成熟度モデル(ICMM)の哲学
(2021. 2. 6)
2.1 ソフトウエア開発の世界: 1980年代の状況とプロセス改善のための標準化
2.2 ソフトウエア開発分野での能力成熟度モデル(CMMI)
2.3 ソフトウェア開発の世界からイノベーションの世界へ: 新しいモデル
2.4 本書の構成: イノベーション能力成熟度モデル(CMMI)の5つのレベルと向上の「旅」著者はまず1980年代のソフトウエア開発の難題続きの状況から話を始めます(ロールスロイスで彼自身が経験し、私も苦労しました)。90年代前半に、カーネギーメロン大学から、能力成熟度モデル (CMM)が出され、ソフト開発のプロセスを組織として管理していく段階的なやり方を示し、業界の重要な指針(標準)になっていきました。それは、本書のモデルの一つの先例(手本)となったのですが、イノベーションの分野にとっては、考え方として共通する部分と、異なる部分があることを著者は認識していきます。異なるのは、イノベーションでは、技術者よりも役員室にメッセージを届ける必要があること、サイロ(縦割り・専門組織)を作ろうとするのでなく壊す(壁を無くす)必要があること、始めから終わりまでのビジネスとしての評価が重要であること、などです。その新しい認識で、イノベーションの能力成熟度モデル(ICMM)が創られ、本書がまとめられました。特徴は、主たる対象を組織のリーダー、経営幹部に向けていること、イノベーションを起すための組織のあり方・考え方として、5つのはっきり区別できる(区別するべき)段階があること、その段階を一つずつ上がっていく組織の「旅」が必要であること、などです。
Darrell Mann: 『ICMM)』 第3章 イノベーション総論
(2021. 2. 6)
3.1 イノベーションの中核プロセス: 6ステップのサイクル型プロセス
ステップ1: 感知する(Sense)、 ステップ2: 解釈する(Interpret)、 ステップ3: 設計する(Design)、
ステップ4: 決定する(Decide)、 ステップ5: 調整する(Align)、 ステップ6: 応答する(Response)、
ステップ1: 感知する(Sense)
3.2 サイクルを回す本章では、どんなレベルであっても、イノベーションを達成するために、次の6ステップからなるサイクル型のプロセスを回すことが必要だと述べています。(1) まず、感知すること。自分の周りをできるだけ広く見張っていて、他の場所でステップチェンジが起こると、それが自分に「脅威」を与えるなら、自分のステップチェンジが必要になるでしょう。一方、自分たちがステップチェンジを起し、周りにそれを持ち込めば、自分の利益になるかもしれない。それは「機会」です。(2) 感知した「脅威」または「機会」を解釈して、自分たちが何をするべきか、イノベーション(ステップチェンジ)の目標を決めます。(3) その目標を達成できるだろうソリューションを一つまたは複数作り出すことが必要です。(4) そして、実行するべきソリューション(一つ)を決定します。良い案がなければ、やり直しです。(5) 実行するには、組織の人々の「心を捉える」体制作り、「調整」が必要です。(6) そして「応答」です。作りあげたソリューション(プロセスや製品やサービス)を実地に、顧客・市場・社会に提供します。その結果については、もちろん注視し、フィードバック、対処しなければなりません。それは(1)にもどり、次のサイクルが始まることです。このような6ステップのサイクルを回し、かつ競合他社(他者)より速いことが、イノベーションの競争には必要だと述べています。
Darrell Mann: 『ICMM)』 第4章 S-カーブと非連続ジャンプ
(2021. 2.16)
4.1 進化のS-カーブ、一つのS-カーブから新しいS-カーブへのシフト
進化のS-カーブとそのシフトはどこにでもある S-カーブの表現、つぎのS-カーブとの位置関係
新しいS-カーブへのジャンプが困難な理由 ジャンプをした先駆者・先例を求めて
4.2 「英雄の(S-カーブの)旅」 -- 世界の神話・文学に共通の人類の知恵![]()
Joseph Campbellの研究成果 「英雄の旅」:全体構造とS-カーブの非連続ジャンプとの関係
「英雄の旅」の12の段階、注意するべきこと「ステップチェンジ」を説明するには、「進化のS-カーブ」の概念が基礎にあります。任意のシステムの特性(特に効用・価値)の発達は、誕生から、成長、成熟まで、典型的なS字曲線(成長曲線)で表されます。成熟段階では、改良しようとしても良くならない、頭打ちの状況になります。このとき、なんらかの大きな変更により、新しいシステムが創りだされて進歩が起こります。ただ、新システムの誕生時には、その効用・価値がまだ、従来システムに及ばないのが、いつものことです。だから、多くの人、特に従来システムに尽力してきた人(や組織)は、なかなか新システムに移行しようと思いません。新システムを推進するには、自分がギャップ(「割れ目」)に飛び込むことが必要です。
この新システムの開発者が辿るプロセスが、実は、世界の神話や文学の原型と同様だということが明らかになりました。それは、Joseph Campbell (1904 -1987) による研究成果で、世界の諸民族の神話や文学が、すべて同一の基本的・原型的な筋書きを持っているというのです。その基本構造は、「英雄」が、冒険への召命を受け(自覚し)、周りからは拒否されますが、良き師に出会い、覚悟をきめて、閾(世界の境界)を越えます。「特別な世界」では、さまざまな敵がいて(味方は少なく)、内奥の洞窟での懐疑や、さまざまな試練(戦い、誘惑、呪縛など)を経て、ついに褒賞(「妙薬」、宝、不思議な力など)を獲得し、「通常の世界」への帰路につきます。それでもまだ多くの困難があり、人々の理解、共感を得るプロセスがあって、「妙薬」を携えての帰還が達成され、その「妙薬」が「新しい通常の世界」をもたらします。--この「英雄の旅」のいろいろな場面・エピソードが、新しいS-カーブへの飛躍のプロセスに示唆を与えてくれます。
Darrell Mann: 『ICMM)』 第5章 (休憩1) 矛盾
(2021. 2.16)
5.1 問題を定義する方法: 「A or B」 でなく 「A and B」を考える
「A or B」の議論は、問題定義が間違っている
イノベーションを起す二つの方法: 新しい機能・属性の提供 と 矛盾の解決
「A or B」でなく、「A and B」の問題定義へ 「イノベーション能力の旅」における矛盾
5.2 矛盾の課題を策定し、矛盾を解決する方法: 普遍的テンプレートの利用![]()
テンプレートによる記述法とその意味
矛盾を解決する方法(1) 「A and not A」の問題を「分離」によって解決する
矛盾を解決する方法(2) (「B or C」でなく) 「B and C」の問題を「12の戦略」で解決する
矛盾を解決する方法(3) 問題中の前提(理由付け)を「なぜ?本当に?」と挑戦する
矛盾を解決するための心構え私たちの周りには、「A か Bか?」で真っ向から対立している問題がいっぱいあります。集中化−非集中化、手取り足取り−自由放任、など [目下の問題では、「新型コロナウイルスの感染拡大徹底抑止 対 経済優先」の対立でしょう]。Aだけ、Bだけでは良くないことは明白で、(A+B)/2も満足できる解決にはなりません。何らかのやり方で「Aも Bも」ができないでしょうか?このような、「矛盾の問題」を解決したのが、イノベーションを起しているのです(イノベーションの90%が矛盾の解決によるもので、残り10%は新しい機能・属性の提供によるとわかりました)。
著者はまず、矛盾問題を定式化するための、簡潔なテンプレートを作りました。究極の矛盾を A と not A とし、A が必要な理由をB、 not Aが必要な理由をC、そしてBとCはともに理想の結果Dのために必要なのだ、と表現します。矛盾を解決する方法の第1は、「Aも not Aも」の問題です。このときには、時間的に分離して考えると、「Aも not Aも」が成り立つ時間帯があるのでないか?空間的に分離して、 「Aも not Aも」が成り立たないか?と考えます。第2の方法は、「Bか Cか」ではなく、「Bも Cも」を目指すことです。これには、全世界の特許や科学技術やビジネス事例の研究から抽出した戦略(TRIZでは40の発明原理を使うのですが)をまとめた12の戦略を順次適用してみよと言います。(システムやその一部を)分割する、統合する、適応させる、不均等にする、入れ子にする、代替する、逆にする、前後にする、フィードバックする、仲介する、(サイズや時間の)スケールを変える、形を変える、という12の戦略です。思いつくままにアイデアを書き留め、あとでそれらをいろいろに組合わせて、よい案を作って行きます。第3の方法は、「Aを必要とする理由は、B」、「Bを必要とする理由はD」などの論理に挑戦して、別の考え方・やり方・実行法を見つけ出すことです。問題を設定していた時に考えていた(仮定していた)ことに、見落としがあり、今まで考えていなかった解決策があったのだ、と気がつくのです。
以上の諸方法は、一見大変そうですが、一つ一つは実はいままでに見たことがある、やったことがあるような方法です。やればやるほど簡単にできるようになります。「矛盾」の問題は、何か月も何年も沢山の人がどうにもできなかった問題かもしれません。その解決にこれらの方法で挑戦し、イノベーションの核になるステップチェンジのアイデアを得るのです。[本章は、「矛盾問題」の定式化と解決法について、不慣れな人にも、経験者にも、驚くほど簡潔で明快な説明だと、思います。]
Darrell Mann: 『ICMM)』 第6章 (休憩2) ハイプサイクル
(2021. 2.16)
6.1 ガートナーの「ハイプサイクル」 6.2 ハイプサイクルから見たTRIZとイノベーションの諸方法
6.3 進化のS-カーブ、ハイプサイクル、競合企業数の関係 6.4 ICMMの「英雄の旅」とハイプサイクルの関連「ハイプサイクル」は、ガートナーが2008年に発表した概念で、すべての(注目される)技術やサービスは、その可視性(認知度)に関して、典型的な歴史的変化を辿るというのです。まず、テクノロジ―のトリガーがあって、その情報が「ハイプ」(誇大広告)とともに急速に広がり、「膨らんだ期待のピーク」に達します。しかし、実際に使い始めると、不満がでてきて、評価が落ちて行き、「幻滅の谷」に至ります。そこで消滅するものもありますが、いくらかのものは徐々に改善され、「啓蒙の坂」を上って行き、ついには高い評価を得て、「標準」とみなされるようになります。著者(Mann)は、イノベーションの方法論の多数も同様のハイプサイクルを辿ってきた(きている)ことを認識し、特に、イノベーション方法論で最も強力なTRIZの歴史経過を辿っています。「サムソンで9100万ドルを節約した」という公開情報(2002年)が、期待のピークであり、以後低下が続いており、「幻滅の谷」の近辺にあって、まだ、上昇の兆候がなく、困難な時期が続いていると述べています [2012年出版時]。
著者は、ハイプサイクルを、S-カーブおよび競合企業の数と関係づけたグラフを示し、「膨らんだ期待のピーク」はS-カーブの転換点に対応し、進化の成長が進むのか、それとも衰退に陥るのかの分岐点であると指摘しています。ICMMの各レベルは、一つのS-カーブで表され、同時に、一つのハイプサイクルで表されますから、「膨張した期待のピーク」および「幻滅の谷」の現象に大いに注意するべきだと、指摘しています。
Darrell Mann: 『ICMM)』 第7章 私はいま、どこにいるのか?
(2021. 2.23)
7.1 イノベーション能力(ICMMレベル)の自己判定のための25の質問表
質問概要: リーダーの役割、 成功する変化、 激動する市場の成功要因、 安定した市場の成功要因、 価値(Value)、 戦略の役割、 顧客ニーズの決定、 顧客以外のニーズの決定、 イノベーションの必要の決定、 イノベーションのタイミング、 目標と方向付け、 変化を現行ビジネスに統合、 顧客への正しい質問、 事業変更のための買い付け、 事業計画活動、 無駄(なもの)は?、 破壊的脅威に対する戦略、 厳しい状況でやる気にさせる、 錯綜したものを管理する、 未来の見方、 未来を予測する、 リソース(資源)、 学習、 成長、 リーダーシップ
レベル判定のやり方、 世界の事例、 スコア判定の作業表、 回答のスコア表
あなたおよびあなたの組織が、イノベーションに関連して、どのような意識を持っており、どのような活動方針と実情にあるのかを知ることは、著者がコンサルタントとして指導・助言するためにも、またあなたが本書のいろいろな記述から適切な記述を読み取るためにも、必要なことです。そこで、ここに25項目の質問表を掲載しています。質問の項目はその概要を詳細目次に示しました。5つの選択肢は、いろいろな著名な指導者たちの文から選ばれているものも多くあります。各選択肢の順番はランダムに配置し、イノベーション能力のレベルを直接には類推させない工夫がしてあります。できるだけ正直にお答えください。個別の回答は、(原書の各ページに記入欄がありますが)後述の「作業表」のページをコピーして、順次書き込むことをお勧めします。
すべての質問に回答してから、本章の最後のページの「スコア表」を使って、回答番号からスコアに変換し、「作業表」の指示に従って、記入していきます。そして、合計スコアから、ICMMのレベルの判定が得られます。世界の諸企業のレベル分布、および数件の著名なイノベーション企業の例を見ることもできます。次章以下を読み進む前に、ぜひこの自己判定をしてみることを、著者は勧めています。
Darrell Mann: 『ICMM)』 第8章 ICMM (イノベーション能力成熟度モデル)の5つのレベル
(2021. 2.23;3.20)
8.1.1 ICMM レベル1: 種を蒔く(Seeding)
8.1.2 ICMM レベル2: チャンピオンを作る (Championing)
8.1.3 ICMM レベル3: 管理する (Managing)
8.1.4 ICMM レベル4: 戦略化する (Strategising)
8.1.5 ICMM レベル5: 挑戦する (Venturing)8.2.1 イノベーションプロジェクトのスケールの異なる5つのタイプ
プロセスのイノベーション、 製品・サービスのイノベーション、 ビジネスユニットのイノベーション、
組織経営のイノベーション、 社会のイノベーション、
ICMMの能力レベルで扱うとよいイノベーションのタイプが異なる
8.2.2 複雑なもの(Complicated) 対 錯綜したもの(Complex)
8.2.3 いくつかの書籍と諸方法8.3 ICMM(イノベーション能力成熟度モデル)の5つのレベルを要約する
(掲載: 2021. 3.20)
8.3.1 ICMM レベル1: 種を蒔く(Seedomg) 要約表
8.3.2 ICMM レベル2: チャンピオンを作る(Championing) 要約表
8.3.3 ICMM レベル3: 管理する(Managing) 要約表
8.3.4 ICMM レベル4 戦略化する(Strategising) 要約表
8.3.5 ICMM レベル5 挑戦する (Venturing) 要約表さて、本章がICMMモデルの本体の記述です。すなわち、組織のイノベーション能力が、5つのレベル(水準・段階)で表されること、各レベルの特徴、次のレベルに達するために克服するべき矛盾などを、記述しています。
レベル1 「種を蒔く」: 組織の経営陣はコミットせず、形の上だけで誰かに「イノベーション」の責任を負わせた段階です。この段階では、担当者の周りで(組織の主流とは距離をおいて)、小さくてもよいから成功の実績を創ることが大事です。
レベル2 「チャンピオンを作る」: 経営陣の認識が少し進み、イノベーションを担当する専任者ができ、活動を始めています。ツール群、メソッド群などの導入が行われ、組織内サポータのネットワーク作りもしています。専任者は「チャンピオン」として、成功事例を継続的に発信していくこと、特許出願の数などの客観的な計測値を示していくことなどが求められます。イノベーションが重要なビジネスプロセスであるとの認識を組織全体に広げていくことが大事です。
レベル3 「管理する」: 明確なイノベーションプロセスが実施され、リスクを抑えながら(管理しながら)進むことを可能にする段階です。「早く失敗し、前向きに失敗する」という考えが有効です。上級管理職が前のめりになり、ハイプ(誇大広告/誇大評価)と幻滅を起す危険があります。組織は、日々のビジネスを行い、同時にイノベーション能力の構築をしなければなりません。
レベル4 「戦略化する」: イノベーションが組織の経営戦略として、経営陣に認識されており、イノベーションの職務がキャリアアップの道と評価されています。イノベーションによって、ビジネスの将来の成功を実現することができると認識されています。大きな広い視野で、何をするべきかを考えることができなければなりません。
レベル5 「挑戦する」: 領域的には融通無碍、体制的には臨機応変の状況でしょう。組織として、コアスキルの外の領域にも積極的に取り組むことができます。状況が目まぐるしく変化する時期にも、比較的安定な(平衡的な)状況にも対応することができます。「5つのタイプのイノベーション」を認識しました。それは、対象とするもの、対象のスケール、結果の影響のしかたなどが、セットになって、5段階に拡大して行きます。
(1) プロセスのイノベーション: 組織内の製造や処理のしかた、よりよく作る・行う、組織内にしか見えない。
(2) 製品/サービスのイノベーション: 顧客に提供するもの、異なる(新しい)ものやサービス、顧客に見える・訴える。
(3) ビジネスユニットのイノベーション: 顧客に提供する一式のもの、異なる売り方、組織内の大きな単位での活動、顧客の広い範囲に見える。
(4) 組織経営のイノベーション: 組織を組織化するしかた、組織経営のしかた、組織内にしか見えない。
(5) 社会のイノベーション: 社会の体制・組織化・活動のしかたなど、伝統的に政治家や政府の領域、社会のすべての人に見える・関わる。
組織のICMMの能力レベル(1〜5)に対応して、成功する(可能性のある)イノベーションのタイプ(1〜5)がほぼ決まります。各能力レベルは、自分よりも高度な(スケールの大きい)イノベーションタイプを試行しようとすると、たいてい失敗します。ついで、著者は「複雑なもの(Complicated)」と「錯綜したもの(Complex)」を対置して議論しています。Complicatedというのは、複雑だけれども、要素にばらしていき、再構成ができるようなもので、人工の機械などはほとんどこの範疇です。Complexというのは、要素にばらそうとすると、多くのものを(知らずに)省略してしまい、本質的な理解を誤るようなものです。人間の心理や社会に関わるものはたいていこの範疇にあります。Complexな問題の扱いに大いに注意するべきだと著者は言います。
さらに、イノベーションに関わる多数の文献・読み物について論じています。沢山の著者や本がいろいろなことを推奨していますが、読者は自分の組織の状況(具体的には、イノベーション能力のレベル)に応じて、採用するべきことと、するべきでないことが異なることに、注意しなければなりません。著者は、本書(具体的には8.3節の表)に、レベルごとの推奨本を区別して示しています。イノベーションの諸方法についても同様だと、言っています。
8.3節では、本章の記述のまとめとして各レベルの特徴を整理した大規模な表を示しています。記述の項目は、次のものです。
(A) McKinsey の組織モデルの7つのS (戦略、構造、システム、スタイル、スタッフ、スキル、共有価値)、(B) イノベーションの役割、(C) イノベーションの成功指標、(D) イノベーションのための方策、 (E) 支配的な矛盾、 (F) ハイプサイクルの特性、(G) マネジメントの教科書、 (H) イノベーションのツール。
Darrell Mann: 『ICMM)』 第9章 FAQ: よくある質問
(2021. 3.20)
9.1 組織はこれらのレベルを「飛び越える」ことができますか?
9.2 レベル5は「最終レベル」ですか?
9.3 なぜあなたは、現在のイノベーションの急増が(「断続平衡説」により)今後15年間続く、と言うのですか?
9.4 15年間が経過するとどうなりますか?
9.5 私の組織はレベル5にまで到達する必要がありますか?
9.6 あなたの言っていることが真実だと、どのようにして知ることができますか?
9.7 上司を説得するにはどうすればよいですか?
9.8 他にもすでに、イノベーション能力を測定するツールや方法が、多く存在していませんか?
9.9 これは私自身にはどれくらいの費用がかかりますか?
9.10 これにはどのくらい時間がかかりますか?著者がこのICMMモデルを作り上げるまでに受けたさまざまな質問を、上記のように整理して、丁寧に答えています。その要点の一部は次のようです。
A1: レベルの「飛び越え」は、はっきり「No! 不可能!」です。先例の諸組織から学ぶのがベスト。
A2: レベル6の実例はまだありませんが、敏捷性と安定性の矛盾を乗り越えて、「予知する」という段階が予想されます。
A5: どのレベルまで進むべきかは、その組織の役割と(業界・業種によって異なる)相対的な競争に依存します。
A6: 理論的な説明や、沢山のケーススタディを見せても、納得しない人は多いです。自分の問題で、自分であるいは(コンサルタントなどの)指導を受けて、解決すると、初めて納得できます。自分の問題が特別なのではなく、あるレベルまで抽象化すると、まったく同じ問題なのだとわかります。
A7: 上司へのアプローチのしかたは、自分の組織のICMMレベルで違います。レベル1では、説得しようとせず、自分の実績を作るのが良いのです。
A8: 本書のイノベーションの方法は、大量(350万件)の調査分析データに基づいています。[訳注を参照ください。]そのような実証性を持つのは本書の記述だけです。
A10: ICMMのレベルを上げるのは、組織の文化を変えることです。1段向上するのに10−50か月程度かかります。組織形態、ICMMレベル、トップの推進意志などによっていろいろ違います。今までの実績の表を示しています。
Darrell Mann: 『ICMM)』 第10章 さて、これから何を?、 第11章 参考文献、 第12章 連絡先
(2021. 3.20)
11.1 一般的な参考文献
11.2 本書に引用した参考文献10章では、これからのやり方として、(1) 自分の組織のレベルと自分たちの力量を知っているなら、自力でイノベーション能力の向上に取り組むのも良いでしょう。(2) 自分の組織のレベルの外部評価を受けることもできます。(3) ICMM導入の最初のワークショップを開催するやり方もあります。コンサルティングはその後の話です。
11.1節では、マネジメントとイノベーションに関する、「クラシック」と呼べる教科書を15編リストしています [Amazonで調べて、出版されている和訳書を補足しました]。 11.2節には、本書の中で引用した参考文献9種のリストを示します。
12章で、本件のICMM(イノベーション能力成熟度モデル)を国際標準にしたいと考え、そのための組織の連絡先を書いています。[いまは著者Darrell Mann のサイトだけです。] 最後に、本書(原書)の表紙を自ら制作したDarrell Mannがその趣旨を詩にしています。
[編集ノート(中川 徹、2021.3.20): 以上で、本書の和訳とその掲載を完了しました。できるだけ早くに本の形式でも、出版・販売したいと計画しています。出版後も、本『TRIZホームページ』での無料公開を継続するつもりでおります。この点を許容いただきました原著者Darrell Mann 教授に厚く感謝いたします。ご活用ください。]
[編集ノート(中川 徹、2021.4.18): 日本語版を出版しました。書名は、『TRIZ 実践と効用 (5) イノベーションを成功させる組織の力―ICMM入門』。新ページの出版案内
(2021. 4.18) を参照ください。]
迎春、 今年もどうぞよろしくお願いいたします。 |
TRIZCON発表: TRIZの将来方向: コロナ禍の危機と将来: 社会・ビジネス・イノベーション・TRIZ (原題: Mapping the Un-Mappable: The History Of TRIZ 2020-2030) (Darrell Mann (英); 和訳:中川 徹)
(2021. 1. 5)
本ページは、Darrell Mann が米国のTRIZCON2020 (2020.10. 6-7、オンライン)で発表した講演の全体を、彼が忠実に文字起こしし、ここにスライドとテキストを並行させて掲載したものです。英文ページと和文ページ(スライドはまだ英文)を掲載しています。
本発表でDarrell Mann は、新型コロナウイルス禍の全世界にわたる大きな深刻な危機、4−5年は続くだろう厳しい状況にあって、真の(その場しのぎでない)イノベーションを支援・リードしていくために、イノベーションをリードするべき者たち、「TRIZコミュニティ」が考え、努力して行くべき方向を熱く論じています。(自他の)いくつもの「世の中」を表現するモデル(理論)を用いて、大きな視野で捉えていることが特徴です。非常に示唆に富む重要な講演と私は思います。ぜひ、お読みになってください。
Darrell Mannの発表は、非常によく構成されています。しかし、スライドが47枚ありますので、やはりその構成を(スライド単位での)目次で示すことが、読者にとってわかりやすいと判断しました。また、著者の意図をより明瞭に伝えるために、原題の他に、新しい題名をあえてつけております。
なお、著者が学会発表後に、この講演の主要部を論文としてまとめ、著者のメルマガ Systematic Innovation e-Zineに掲載しました。その論文を著者の許可を得て、英文および和訳して、本ホームページにすでに掲載しています![]()
(2020.11.25)。掲載に至る経過、意義、私の感想などを、そのページに書いておりますので、参照ください。 そこでの記述と少し重複しますが、本講演の全文掲載に至った過程を、本ページ末尾の「編集ノート追記」に説明しておきます。
最終更新日 : 2024. 1. 6 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp