TRIZ 論文: Simon Litvin  


TRIZの課題と それに取り組むアプローチ

Simon Litvin (GEN TRI、LLC, 米国)

MATRIZ MeetUP on 'Promotion of TRIZ in the World'、
オンライン開催、2021年 3月 23-24日

和訳 (部分): 中川 徹 (大阪学院大学) 2021年 4月15日

掲載:  2021. 4.18

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  編集ノート (中川 徹、2021年 4月15日)

本件は、上記のように、Dr. Simon Litvinが、「TRIZを世界で推進するために」をテーマにしたオンラインワークショップで発表したものです。彼は、アルトシュラーの弟子&共同研究者で、TRIZマスターの一人、90年代半ばからInvention Machine社のVP、Pragmatic Vision International 社のVP、Algorithm(ロシア)のCEO、GEN TRIZのCEO/President などとして、一貫してTRIZを現代化する諸方法の開発、コンサルティングとトレーニングなどに、実践的に携わっています。

今回の発表の全スライドは、英文ページ  に掲載しました。その目次は以下のようです(中川作成)。

1.  背景: 一般的な世界のトレンドと課題  
2.  世界でTRIZを推進し、売り込む上での重要な諸課題
3.  TRIZサービスのマーケティングと売り込み
    3.1  推奨するTRIZの諸方法
    3.2   イノベーションを実際的にするためのTRIZの諸方法 ― グローバル知識ネットワークとスマートラボ
    3.3  成果事例 ― クライアントリスト、プロジェクトの製品、成功したスタートアップ、特許
    3.4 いくつかの統計データ: TRIZでイノベーションの有効性が向上した企業の事例(GE、サムソン)
    3.5  GEN TRIZプロジェクトの事例研究: コロンビアにおけるコーヒーの収穫装置
    3.6  イノベーションのトレーニングとファシリテーション、イノベーションプロジェクトの典型的提供コース
4. まとめ ― 世界でTRIZを推進するために

このうちの最初の3枚のスライド(目次の1.と2.)を和訳掲載します。非常に示唆に富む考察です。

また、今回、GEN TRIZ, LLCのサイト紹介(標準書式)の提出を受け、世界WTSPカタログ集に掲載しました (TN2F-07、◎)(A2P)。本件(英文)はサイトの詳細紹介を兼ねる位置づけで、カタログ集からのアクセスを設けています。

 

本ページの先頭

訳の先頭

A. 背景(全般)

B. 背景(TRIZ関連)

C. TRIZ推進の課題

 

スライド全文(英文PDF)

英文ページ 

 

 

  発表スライド(訳部分):        英文スライド(全文)   

 

TRIZの課題と それに取り組むアプローチ

Simon Litvin (GEN TRI、LLC, 米国)

MATRIZ MeetUP on 'Promotion of TRIZ in the World'、 オンライン開催、2021年 3月 23-24日

和訳(部分): 中川 徹 (大阪学院大学) 2021年 4月15日

 

A. 背景(全体的): 一般的な世界のトレンドと課題 

A1. アイデア生成が安価になる。それはもはやそんなにセクシー(大変魅力的)ではない。

A2. オープンイノベーションの概念が一般的になる。

A3. 世界ははるかに透明になり、アクセスしやすくなる。

A4. 企業も個人もいろいろなツールと検索エンジンを持ち、関連情報(イノベーションソリューションを含む)をずっと迅速に見つけることができるようになる。

A5. 地理的なアウトソーシングが一般的になり、効率が低下向上する。

A6. 破壊的イノベーションは、高リスクの性質のため、多くの企業にとって需要がない。イノベーションの圧倒的大部分は漸進的(段階的)である。

A7. ITテクノロジーがイノベーションの原動力になる(IoT、予測分析、ビッグデータ、など)。

A8. 新しいオブジェクト/製品が市場に出回る。何百万ものコンポーネント、ネットワーク(ニューロネットワークを含む)、ナノ構造などを備えた、大きなシステム。

A9. 新しいビジネスの課題(新しいビジネスモデル、効果的なIP戦略、既存の知的資産の商業化、イノベーションのための最も効果的なオブジェクトと対象機能の特定、など)には、新しいアプローチとツールを必要とする。

A10. イノベーションのために、限られたリソース(時間、人材、お金)を持つ中小企業の役割が増大する。

A11. 人工知能からの圧力が高まる。

 

B.  背景(TRIZ関連):一般的な世界のトレンドと課題 

B1. TRIZは、エキゾチックなアプローチではなく、よく知られたアプローチになる。多くの大企業がTRIZを彼らの社内文化に取り入れた。

B2. 企業とコンサルタントたちが、多くのTRIZツールを「再発明」している 。

B3. 一部の大企業は、外部のTRIZプロバイダーからのイノベーションサービスを要求する代わりに、TRIZマスターたちを(直接)採用している。

B4. 何千人もの人々がすでにTRIZの訓練を受けており、高いレベルのMATRIZ認定を取得した。

B5. 複数のTRIZサービスプロバイダーを、市場で入手可能である。

B6. 「簡略化されたTRIZ」と「簡単なTRIZ教育」の複数のバージョンが、市場を台無しにしている。

B7. ロシアは、TRIZの研究開発および(人材)リソースの源としては、その大きな(セクシーな)魅力を失った。

B8. TRIZはまだ市場で知名度を持たない。企業や個人は、最新の効果的なTRIZツールを知らず、市場に出回っている製品のTRIZ著者について知らない。

B9. TRIZツールは、いくつかの重要な分野/産業であまり効果的でない。その中には、サービス(米国のGDPの80%)、プログラミング、ビジネス、新素材の設計、製薬、ロジスティクス、バイオシステムなど、がある。

B10. TRIZ認証システムが効果的でない。個人の公式な認定資格と、実際のTRIZの知識とスキルとの間に、不一致がある。

 

C. 世界でTRIZを推進し、売り込む上での重要な諸課題

C1. TRIZ自体は決して製品ではない。多くのTRIZプロバイダーたちが、TRIZベースの製品やサービスではなく、TRIZを販売している。

C2. TRIZは、発明的な問題解決の方法論として自らを位置付けている。企業の意思決定者たちは、技術的な問題に取り組むことに本当の関心を持たない。彼らの関心の焦点は、ROI(投資利益率)、収益、利益率、市場シェアなどである。

C3. 企業は、アイデアよりも、新しい製品やテクノロジーやサービスを求めている。残念ながら、大多数のTRIZプロバイダーの所産(作り出すもの)はアイデアである。

C4. TRIZは、主に高レベルの破壊的イノベーションを目標にしている。しかし、イノベーションが破壊的であるほど、その実装のリスクが高くなる。世界のイノベーションの大部分は漸進的であり、それはTRIZのような強力なツールを必要としない

C5. TRIZ活動の結果を示す説得力のある実際的な事例研究(すなわち、市場に出回っている実際の製品、テクノロジー、サービス)は、非常に限られた数しかない。

C6. 人気のある現代的分野の特定のもの(すなわち、IT(特にプログラミング)、バイオテクノロジー、製薬など)に向けた効果的なTRIZツールが欠如している。

C7. TRIZはまだ科学とは見なされていない(この点は、学界でTRIZを推進する上で特に重要である)。

C8. 売り込み(販売)はパフォーマンスである。 TRIZプロバイダーの多くは、上手な役者ではない。

 

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A. 背景(全般)

B. 背景(TRIZ関連)

C. TRIZ推進の課題

 

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最終更新日 : 2021. 4.18     連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp