WTSPプロジェクト: 日本創造学会 発表(2020年11月) | |
創造的問題解決の諸方法論のウェブサイト: 世界カタログ集の開発(WTSPプロジェクト) |
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日本創造学会 第42回研究大会 (東京、2020.10.31 - 11. 1) |
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2020年11月 9日 |
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掲載: 2020.11.11 |
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編集ノート (中川 徹、2020年11月 9日)
本件は、日本創造学会での発表のドキュメントです。新型コロナウイルスの影響で、Zoomを使ったオンラインでの開催でした。論文(8頁)を予稿集のために事前提出し、PowerPointのスライド(26枚)と、さらにスライドを使った発表のビデオを直前に提出しましたので、全体として分かりやすいドキュメントになっています。
2017年12月以来活動してきました「世界TRIZ関連サイトプロジェクト(WTSP)」の報告です。一昨年・昨年と日本TRIZ協会のTRIZシンポジウムで発表してきましたが、今年は同シンポジウムが中止になりましたので、日本創造学会で発表できたのはありがたいことです。本プロジェクトは、TRIZだけでなく、ずっと広く「創造的問題解決の諸方法論」のWebサイトのカタログを創ろうとしております。広範な分野でさまざまな活動をしておられる皆さんに、カタログを活用いただきたい、またその作成・改良に協力いただきたいと願っております。
本ページに掲載したドキュメント
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2020年秋WTSPの5発表の索引ページ |
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発表論文: 日本創造学会 第42回研究大会 論文集 pp.125-132 (2020年11月1日) ==> PDF
創造的問題解決の諸方法論のウェブサイト:
世界カタログ集の開発(WTSPプロジェクト)*中川 徹 (大阪学院大学、日)
Darrell Mann (Systematic Innovation, 英)
Michael Orloff (Academy of Instrumental Modern TRIZ, 独)
Simon Dewulf (AULIVE, 豪)
Simon Litvin (GEN TRIZ, 米)
Valeri Souchkov (ICG Training & Consulting, 蘭)要旨:
TRIZ(発明問題解決の理論)を世界中で一層活用・推進することを主目的として、「世界TRIZ関連サイトプロジェクト(WTSP)」を立ち上げ、3年弱活動してきた。その具体的な目標は、「TRIZおよびそれに関連する分野の、世界の優れたウェブサイトのカタログ集(WTSPカタログ集)」を作成することである。日本のWTSPカタログ集を一昨年に作成・公表し、世界のWTSPカタログ集(β版)を今年6月末に作成・公表した。TRIZサイトカタログとTRIZ周辺サイトカタログとから成り、特に後者は「創造的な問題解決の諸方法論」を広くカバーし、日本創造学会が指向している領域のほとんどを含む。これらカタログ集の一層の改良・充実・活用のために、諸分野の多くの方々の協力をお願いする。
キーワード:イノベーション、創造性技法、WTSPプロジェクト、WTSPカタログ
目 次
WTSPプロジェクトの開始の意図、 より広い範囲に:「TRIZ周辺サイト」、 カタログ集作成の基本プロセスとねらい
日本におけるWTSPカタログの作成、 世界WTSPカタログ(日本の部)
世界TRIZサイトカタログの作成、 世界TRIZ周辺サイトカタログの作成、 世界WTSPカタログ集の体系、 世界WTSPカタログ集の構造と使い方、 世界WTSPカタログ集の構造の強み
WTSP活動への参加と仲間づくり、 関連サイトのリスト作り、 サイトの紹介記述(第三者記述の場合)、 サイト紹介の標準書式(サイト責任者)、 サイトの詳細紹介(自由書式、サイト責任者)、 サイトを評価する(暫定と調整)、 各国・各SIGでのカタログ原稿の作成、
ユーザの評価(例)、 カタログの基本3要件からの再考、 今後の改良・拡充のために: 方策と依頼、 日本創造学会の関連分野でのカタログ作成、 おわりに
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1. はじめに:WTSPプロジェクトの目的
1.1 WTSPプロジェクトの開始の意図
WTSPプロジェクト(World TRIZ-related Sites Project)は、2017年12月に中川徹が世界のTRIZコミュニティに呼び掛けて開始したボランティアベースのプロジェクトである[1, 2, 3]。
TRIZ(発明問題解決の理論)[3] は、1950年代からG.S.Altshullerが旧ソ連で開発・樹立し、90年代に米・欧・日・韓などに広がり大きな関心がもたれた。現在世界中で使われているが、TRIZへの関心は近年漸減している。その状況は、多様な「創造性技法」がブームと減衰(そして消滅あるいは持続)を経てきたのと同様ともいえる。しかし、現在の問題は、世界中で「イノベーションの必要」が叫ばれている中で、「イノベーションのための方法論」(TRIZをはじめ、種々の創造性技法の総体)の学習と実践が軽視されている(総体的に関心が減衰している)ことである。
この状況に対するTRIZコミュニティの反省点は、世界中でTRIZの研究開発と実践による知識と技術・ノウハウの膨大な蓄積があるのに共有されていないこと、関係者(特に、コンサルタントたち)が分立・競合し合っていることである。
本プロジェクトは、上記2点の問題を解決する方法として、TRIZの多様な関係者・組織のウェブサイトを一覧できる「カタログ」を作ることを提唱した。(TRIZの)関係者(研究者、コンサルタント、協会など)はその活動や知識・技術を、それぞれ何らかのウェブサイトで(少なくともその概要を)公表している。互いに競合しているからこそ、(宣伝のために)ウェブサイトの充実を図っている。それらをカタログという共通の場で周知できるようにすれば、(競争しつつも)連携することができる[2]。
なお、一覧を可能にする同様な方法には、論文や記事を単位にするもの(論文索引、インターネット検索)、論文・記事の集合を単位にするもの(学術誌、学会予稿集)、本を単位にするもの、組織を単位にするもの、などがある。単位の大きさ、(関係のある)情報の密度とまとまり、入手の容易さ(公開、無料など)、情報の新規性・更新頻度、将来の継続性などの観点から、ウェブサイトを単位にすることが最適であると判断した。
1.2 より広い範囲に:「TRIZ周辺サイト」
TRIZという方法論自身もいろいろに発展拡張されており、「古典的TRIZ」に対して、「現代化TRIZ」と呼ばれる場合や、「USIT」などの派生方法もあり、さらに総括的に「体系的イノベーション」と呼ばれることもある。これら「古典的TRIZ」を源流とするもののすべてを包括して、本プロジェクトでは「TRIZ」として扱い、その連携を目指す。
さらに、世界の至るところで、永年の伝統を持つ、あるいは新しく開発された、技法や方法論があり、TRIZと同様のさらに広範な目的に用いられている。それらには問題解決や課題達成の方法、問題把握と分析の方法、創造性を高める方法(創造性技法)、品質向上・管理の方法、発明と特許の方法、イノベーションのための方法、プロジェクトマネジメントやビジネスマネジメント、などがあり、さまざまな局面のためのさまざまな方法・アプローチになっている。(TRIZはこれらの中の一つである。) (参考文献としては、日本創造学会監修の『実例で学ぶ創造技法』[5]、日本デザイン学会編の『デザイン科学事典』[6]が興味深い。
ただ、これらの方法/アプローチ/分野の全体をさす適当な言葉がない。本論文では、「創造的問題解決の諸方法論」と呼ぶ。また、本プロジェクトでは、「TRIZ」に対して、「TRIZ周辺(分野)」また「TRIZ(とその)関連(分野)」と呼ぶ。
TRIZを学び活用しようとする者は、TRIZの周辺のこれらの諸方法を吸収し、連携・統合した運用をする/心がけることが望まれる。同様に、「TRIZ周辺」の方法を学び活用する者も、(TRIZを含めた)これらの全体を吸収・連携するとよい。この意味で、本プロジェクトは「TRIZサイトカタログ」と「TRIZ周辺サイトカタログ」の2本柱を持つ。
1.3 カタログ集作成の基本プロセスとねらい
TRIZ関連サイトのカタログ集を作成するにあたって、各国ごとのカタログを(まず自国語で、ついで英語で)作り、それらを統合して世界のカタログを(まず英語で、後に各国語で)作る。個別のサイトの適切な紹介をつけ、有用で重要な諸サイトを適切に選択し、初心者から専門家までが使えるものにする。TRIZとその関連諸方法の分野で、理論・適用・活動などについての信頼される情報源にする。また、継続的に更新・維持する。
世界のTRIZコミュニティの協力によるボランティアベースのプロジェクトとし、TRIZと関連諸方法を世界で普及させるのに役立てる。[7]
2.日本WTSPカタログの作成と成果
2.1 日本におけるWTSPカタログの作成
パイロットプロジェトとして中川が実施した。
まず、検索エンジンとしてYahoo!Japanを選び、TRIZをキ−ワードにして、各サイトの代表的な1ページだけを出力するオプションを使い、インターネット検索をした。400サイトがヒットし、その一つ一つを調査して、内70サイトが有用と判断し、3〜10行程度の紹介を書いた。また、TRIZ周辺サイトとして20件を背景知識と検索により追加した。
この結果、全92サイト(内精選サイト24)の日本WTSPカタログを日本語及び英語で作成し、公表した(2018年4月)[8]。後に、世界カタログの評価基準に合わせて微調整し、次項の結果を得た。
2.2 世界WTSPカタログ(日本の部)
表1.世界WTSPカタログ中の日本のサイト
各サイトの頭のマークは世界基準での(暫定)評価レベルを示す。◎最重要、〇重要、□世界レベル。この表の他に、△国内レベルの66サイトが日本WTSPカタログに記載・紹介されている。
3.世界WTSPカタログ集の作成と成果
3.1 世界TRIZサイトカタログの作成
世界各国のTRIZ関係者に参加を呼びかけ、2018年10月には30か国の約80名のメンバーを得た。しかし、各国での実際の活動はなかなか進まなかった。2019年6月の時点で、マレーシア、中国、ロシア語圏(ロシア、ベラルーシ、ウクライナなど)から、TRIZサイトのリストが提出されただけであった。
そこで、トップダウンの方針に切り替え、世界のTRIZサイト、米国のTRIZサイトのインターネット検索を行った。これらの結果を統合し、また、世界TRIZサイトカタログの構成法を作りあげて、2019年10月に欧州TRIZ協会国際会議で発表した。[9]
3.2 世界TRIZ周辺サイトカタログの作成
2019年3月に中川が世界のTRIZ周辺サイトのインターネット検索を開始した。1.2節の趣旨に沿って、表2のようなキーワードを用いて、6種の検索をした。その結果合計約1000サイトを得、それらを一つ一つ調査して、世界TRIZ周辺サイトカタログを作りあげ、上記学会で発表した。[9]
表2.世界のTRIZ周辺サイトのサーベイ
3.3 世界WTSPカタログ集の体系
2019年10月に暫定初版を公表し、さらに、(データそのものの増加はわずかであるが)ユーザに使いやすく改良して、2020年6月末にβ版を公表した[10]。その主要4種のカタログを表3に示す。
表3.世界WTSPカタログ集の主要4カタログ
この中の、(B1)世界TRIZ周辺サイトトップカタログに掲載した最重要◎33サイトを図1に示す。中央下部の水色がTRIZサイト群、左上の黄色がTRIZ周辺の諸方法論のサイト、右側赤色はすべての分野をカバーする汎用のサイト群である。
図1.TRIZ周辺の最重要33サイト
3.4 世界WTSPカタログ集の構造と使い方
図2にユーザ視点での世界WTSPカタログ集の構造を示す。
図2.世界WTSPカタログ集の構造
WTSPサイト内のカタログ集トップページに入ると、多様なカタログ(各国の部、インターネット検索の各ケース、世界カタログの4種など)のインデクス部にアクセスできる。そのインデクス中の任意のサイトをクリックすると、サイト記述のページに行く。このサイト記述のページはカタログの原稿として提出された(例えば日本の)ページがそのままで使われている
なお、4種の世界カタログ(A1)(A2)(B1)(B2)は、上記の「インデクス版」の他に「印刷用版」を持っている。後者は、インデクスに記載している各サイトのサイト記述をコピーして持ってきている。ユーザはこの「印刷用版」のPDFファイルを無償でダウンロードでき、そのままカタログの冊子として印刷使用するとともに、ユーザのPC上で(WTSPサイト上と全く同様に)インタラクティブに活用できる。「印刷用版」はWTSPプロジェクトが著作権を保有し、非営利を条件にユーザの個人利用と他者への転送ができる。
3.5 世界WTSPカタログ集の構造の強み
図2に示したように、多様な世界インデクスが作られているが、サイト記述のページは(各国や検索結果からの)原稿提出時のままで保持されている。これを可能にしているのは、原稿がインデクスページとサイト記述ページとからなる小ウェブサイトの形に作られ、そのページ間にサイトごとのハイパーリンクが張られていたからである。世界カタログのインデクス作成の際には、(別の作業フォルダで)多数の原稿のインデクス部が集められ、大きなインデクステーブルを作り、Excelを使って多様な分類・並べ替えをして、世界インデクスを作る。ハイパーリンクが並べ替えの自由度を保証している。
この構造は、拡張性、柔軟性、保守性、統合容易性、(出力カタログの)多様性、など多くの強みを生み出している。
4.WTSPカタログの原稿作成法の詳細
前節のように、本WTSPプロジェクトは、世界WTSPカタログ集を作成し、その全体の骨格構造と基本事例を明確に示した。しかし、1.3節に記したプロジェクトのねらいと作成プロセスに対比すると、多くの不備がある。特に、各国での活動がほとんど行われず、サイトの収集と選択が不十分であり、サイトの紹介も極めて不十分である。そこで本節に、各国・各分野でのWTSPカタログ原稿の作成法のガイドラインを改めて記述し、WTSPカタログ集の中身の改良・充実の指針にする。[11]
4.1 WTSP活動への参加と仲間づくり
WTSPプロジェクトは、ボランティアベースであり、WTSPカタログ集の有用性を認めて少しでもよくしたいと思う人なら、誰でも参加・寄与できる。正式なメンバー登録が望ましいが、なくてもかまわない。個人で活動してもよいが、仲間とグループをつくること、また誰かがコーディネータとなってチーム的活動できればより望ましい。各国内でのカタログの作成・改良を意図する場合と、国にはとらわれずに何らかの(TRIZやTRIZ周辺の)分野/アプローチでカタログ内容の作成・改良を意図する場合があるだろう。前者を各国チーム、後者を各SIGグループと呼ぶ。
4.2 関連サイトのリスト作り
まず、自分(たち)が関心を持つ範囲の、有用で優れていると思うサイトのリスとを作り、仲間や関係者(特に各サイトの主宰者(サイトオーナー))に見せ、増強するのがよい。自分たちの背景知識でかなりの網羅ができるだろうが、既公表のWTSPカタログをチェックし、またインターネット検索で補強するとよい。
4.3 サイトの紹介記述(第三者記述の場合)
つぎに、各サイトの紹介を記述する。いくつかの基本項目(次項参照)の他に、自由書式で3〜10行程度の紹介を書く。実際にサイトを訪問し、トップページ、'About Us'ページ、その他の主要ページを(簡単に)見た/読んだ上で、そのサイトの目的・性格・構成・主要内容などを、(サイトのページの抜粋なども活用して)記述する。
図3.記述例:(記述者:中川、2018年3月)4.4 サイト紹介の標準書式(サイト責任者)
前節の第三者紹介をきちんとするには、予想以上に労力がかかる。それよりも、サイトの責任者自身に依頼して記述して貰う方が、ずっとよい。A4で1頁の標準書式を用意しており[11]、図4に記述例を示す。
図4.標準書式によるサイト紹介の記述例
この書式の上7項目(「1行記述」まで)が、カタログのインデクス部に記述される基本情報である。特に、「サイトの役割」の項は、カタログ中でのサイトの分類・並べ替えに用いており、(別途用意している)コード表から、該当するものをサイトごとの重点に応じて記述する。その下の適用フェーズ、適用分野、方法の3項目も、コード表から選択記述する。これら3項目は、将来ユーザがサイトの検索をするときに使いたい項目であるが、どれだけ整合性のあるデータが得られるか、運用が難しいので現在は重点を置いていない。
4.5 サイトの詳細紹介(自由書式、サイト責任者)
前項の標準書式では、サイトの特長を表現できる自由書式の項目は5〜10行程度である。これでは短すぎて、ユーザが魅力や重要性をよく判断できず、また、サイトの作成・運用者にも不満が残る。そこで、詳細紹介のために、自由書式(A4で2〜5頁程度、越えてもOK)のファイルの随意提出を受け付けることにした。図5に中川自身のサイトの詳細紹介の事例 [12] の概要を示す。
図5.サイトの詳細紹介の記述例(概要)
この記述例の中の前半はいろいろなタイプのサイトで共通に使えると考えるが、後半はサイトに応じてさまざまなスタイルを選択する必要がある。当サイトは、和文記事約1400編、英文記事約1100編を持つので、それらを時代とテーマに応じて整理し、精選記事160編に言及し説明している。
4.6 サイトを評価する(暫定と調整)
サイトを評価し選択することは、よいカタログの最終目標としても、その作成作業のためにも必須のことであり、気は重いが実施しなければならない。まず暫定的に行い、後日多数のサイトが出揃ってくるにつれて、多くの人々の目を通して調整していくものと考える。
評価の観点は、品質、有用性、魅力、アクセス容易性、スコープなどである。また、想定している対象者や内容の価値が、国内に限定されるものか、世界に通用するものかも、重要な観点である。これらの観点を総合して、以下の5レベルで評価する。◎ 世界レベルで最重要(トップ30程度)
〇 世界レベルで重要(トップ100程度)
□ 世界レベルで掲載の価値あり
△ 国内レベルで掲載の価値あり
― 掲載の価値なし、無関係なお、(例外的に)各国で少なくとも1サイトを世界カタログ中に□レベルで掲載する。
4.7 各国、各SIGでのカタログ原稿の作成
以上の準備のもとに、各国チームあるいは各SIGグループで作成するべきカタログ原稿を図6に説明する。
図6.各国、各SIGで作るカタログ原稿
図の左上は、インデクス部の原稿であり、(通常)Excelの表で、4.4節で説明した各サイトの基本情報の一覧である。図の右上は、(多数の)各サイトの紹介記述(4.2、4.3、4.4節)の(通常)Wordのドキュメント(複数分散可)である。
これらを図の下段のように一対のHTMLページに変換する。インデクスのページ(左下)の各サイトにはハイパーリンクを付け、サイト記述ページ(右下)の当該サイトの頭につけたアンカー位置を参照するようにする。出来上がったものは、結局、各国あるいは各SIGの(WTSPカタログ)のウェブサイトである。ハイパーリンクの柔軟性のおかげで、3.5節に記した強みがある。自国語で国内レベルまでを網羅したもの(◎〜△)は国内ユーザに有用であり、その後、世界レベルに絞って(◎〜□)英文にするとよい。
この世界レベルのサイトの原稿は、WTSPプロジェクトのリーダに提出され、3.5節の統合作業を経て、世界WTSPカタログ集が出来上がる。
5.まとめ: 評価と今後の拡充
5.1 ユーザの評価(例)
ユーザから頂いたメッセージの一つを掲載する。
図7.ユーザからのメッセージの一例 [13]
本メッセージは、WTSPプロジェクトの真髄を述べており、開発者として深く感謝する。
5.2 カタログの基本3要件からの再考
種々のカタログ(例えば、「世界の優良レストランカタログ」、「世界観光地カタログ」など)を考えると、一般に次の3基本要件がある。これに照らして、現在の世界WTSPカタログの現状と今後の改良・拡充の方策を考える。
要件1: 優れた項目(本件:ウェブサイト)を広く収集し、評価を加えて選択し、分類して表示する。
--- われわれは、この観点では「道半ば」にある。
→ 関係する諸分野/各国の多数のユーザと専門家の協力を得ることが必須である。優先度大。要件2: 個々の項目について、適切かつ公正に、簡潔あるいは詳細に紹介し、読者・ユーザをその項目に案内する。
--- われわれは4.3節の段階にあり、不十分である。
→ 4.4節、4.5節のような適切・詳細な紹介が望まれ、すべてのサイトの責任者の協力が必須である。優先度最大。要件3: ユーザの現在の関心/必要に合致する(一つまたは多数の)項目を、カタログ内からユーザが容易に見つけ出せること。
--- われわれはこの仕組みをほとんど持たない。
→ 今後、カタログ内検索の仕組みを設計・実装することが望まれる。ただし、優先度は高くない。5.3 今後の改良・拡充のために: 方策と依頼
本プロジェクトの方向、実践のガイドライン、ゴールなどを、上述のように明確にできた。いままで、多忙のために(実際には、「ビジョンが大きく、作業負担が大きい」と思って)活動に参加しなかった多くの関係者に、細分化した課題での実践協力をお願いしたい。特に、日本創造学会の(TRIZ/非TRIZ分野の)多くの方のご協力をお願いしたい。
サイト責任者の皆さんに:自分のサイトの紹介を記述ください(4.4節、4.5節)。
ユーザ・実践者の皆さんに: 自分の国や分野でのサイトのリストを作り、仲間と共有下さい(4.2節)。
国/分野のリーダの皆さんに:自分の国や分野でのいろいろな人の活動をコーディネータとして、調整・方向づけください(4.1、4.4、4.6、4.7節)。
これらの課題の一つ一つは大きなものではなく、個別に、平行的に実践できます。ただ、国/分野のコーディネーションはかなり大きな役割ですから、複数メンバーで協力できるとよいでしょう。そのような協力体制を作ることが、本プロジェクト一つの目標です(1.1節)。
なお、4.1〜4.7節のようなチーム/グループの活動を基本形態としていますが、4.4、4.5節のサイト記述は個別原稿として、プロジェクトリーダも直接に受け付けます。
5.4 日本創造学会の関連分野でのカタログ作成
日本創造学会が対象としている分野や技法は多様です。文献[5]はもちろん、文献[6]はもっといろいろ網羅しています。それらの分野や技法で注目・推奨される日本および世界のウェブサイトを分野ごとにリストアップすると、お互いにも、一般にも有益でないでしょうか?
5.5 おわりに
今後1年で、「世界WTSPカタログ集」を、多くのユーザに使われ愛されるものにして行きます。
多くのボランティアの皆さんの寄与がこれらのユーザに有益なものとなり、それと同時にご自分自身に実りのあるものになると信じています。
ぜひ、一緒に、連携して、働いて行きましょう!!
参考文献
[1] 中川徹編(1998 -)『TRIZホームページ』, https://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/ (J) [以下, THPJ と略記する] https://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/eTRIZ/ (E) [以下, eTHPJ と略記]
[2] 中川徹編(2017 -)WTSP (世界TRIZ関連サイトプロジェクト), THPJ/WTSP/ (J) , eTHPJ/eWTSP/ (E)
[3] 中川徹他(2018)WTSP アピール:世界のTRIZリーダ/実践者の皆さんへ 全世界のTRIZ関連サイトのカタログを作ろう, THPJ/WTSP/WTSP-B2-News2018/WTSP-News2018-Appeal-180625.html
[4] 中川徹(2019)トリーズ(TRIZ)、デザイン科学事典(丸善出版)、pp.550-555; THPJ /jpapers/2019Papers/Naka-DesignEncyclo-2019/Naka-Encyclo-TRIZ-191119.html
[5] 高橋誠編著、日本創造学会監修 (2020) 実例で学ぶ創造技法、日科技連
[6] 日本デザイン学会編(2019)デザイン科学事典、丸善出版
[7] 中川徹、D. Mann, M. Orloff, S. Dewulf, S. Litvin, V. Souchkov (2018) 世界TRIZサイトプロジェクト (WTSP):全世界のTRIZ 関連サイトのカタログを作成し維持しよう、欧州TRIZ国際会議2018; THPJ/jpapers/2018Papers/Naka-WTSP-TFC2018/Naka-WTSP-TFC2018-181110.html
[8] 中川徹 (2018) 日本国内TRIZ関連サイトカタログ、THPJ/WTSP/Japan-TRIZSites/WTSP-jp-JapanTRIZSites.html
[9] 中川徹、他 (2019) World TRIZ Sites Project (WTSP) (2): To Build World WTSP Catalogs of TRIZ-related Sites in the World、欧州TRIZ国際会議2019; eTHPJ/epapers/e2019Papers/eNaka-WTSP2-ETRIATFC2019/eNaka-WTSP2-ETRIATFC2019-191016.html
[10] 中川徹(2020)世界TRIZ関連サイトカタログ集(世界WTSPカタログ集)、THPJ/WTSP/WTSP-WorldCatalogs/WTSP-World%20Catalogs-World/WorldCatalog-TopPage.html(J) ; eTHPJ/eWTSP/eWTSP-WorldCatalog/eWTSP-World%20Catalog-World/World-Catalog-TopPage.html
[11] 中川徹 (2020) Guidelines for Building World WTSP Catalogs, eTHPJ/eWTSP/eWTSP-A4-Guidelines.html
[12] 中川徹(2020)サイト紹介『TRIZホームページ』(特徴と主要記事), THPJ/jEditorial/2020Editorial/Naka-THPJ-SiteIntroduction-200204.html
[13] Bill Fowlkes (2019) Significance of the WTSP Project and its WTSP Catalogs: eTHPJ/eWTSP/eWTSP-B3-News2019/eWTSP-News2019-Letters-BillFowlkes-191102.html
発表スライド: 日本創造学会 第42回研究大会 (2020年11月1日)
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最終更新日 : 2020.11.11 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp