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編集ノート (中川 徹、2024年 2月18日)
「地震予知研究と防災(減災)(EQP)」の2024年掲載記事に関する索引ページです。このテーマでの親ページを、2023年12月12日に(TRIZサイト直下に新設した) jEQPフォルダーに作り、再構成いたしましたが。英文ページとしては、2024年2月18日に、対応するeEQPフォルダーを作り、全記事の(簡単な)英訳紹介を掲載し始めました。今後、「地震予知研究と防災(減災)(EQP)」を、本ホームページの主要な柱の一つとして、取り組んでいく所存です。
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EQP: TRIZシンポ 中川発表 |
ETRIA TFC2024 中川発表 |
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EQP: 地震予知学会学術講演会2024 中川発表 |
2024年の掲載記事 (最新ページが上)
EQP論文: 地震予知研究の進め方− 実用(公的地震予知警報)を見据えて着実に (中川 徹),日本地震予知学会 2024年度学術講演会(2024.12.21-22, 千葉大学)
(2024.12.28)
地震予知学会の学術講演会で、私は学会員の皆さんに以下のように呼びかける発表をしました。
* 地震予知研究は、いままで、日本でも世界でも、暗中模索の状況にあり、(日本の地震学界では特に)悲観論が多くあった。
* しかしこの1-2年で、日本の地震予知研究には、明確な前兆現象を捉えたもの(神山らの方法、筒井の方法など)が報告され、新しい段階に入った、といえる。
* 地震予知研究を進めていくにあたって、(出発段階のいま、)その最終目標(公的な地震予知注意報/警報の発出)をイメージし、それを段階的に達成していく過程と課題と方法(組織も)などを構想しておこう。
* 現在は、模索段階(0)を過ぎ、(先進の方法が)一研究室による方法の開発と実現の段階(1)を越えて、段階(2) に差し掛かっている。そこでは、複数の研究グループが協働して、方法を検証することが課題である。
* すなわち、現在するべきことは、明確な見通しを持ち始めた有望な方法の共通認識を持ち、複数の研究グループが協働する研究プロジェクトを興して活動することである。
* この研究プロジェクトは、地震予知学会が主導し、自前で資金調達ををする必要がある。このため、地震予知学会の分身として、新たに(仮称)「(一般財団法人)地震予知研究基金」を設立し、活動することを提案している。
* この後に、 方法の大規模展開段階(3)、予知の技術システムの確立段階(4)を経て、地震注意報/警報の公的運用段階(5)を達成するには、(各段階5年として)約20年を要するだろう。
* 私たちは、日本地震予知学会に結集し、協力して、この任務を果たして行こうではありませんか。本ページには、以下の資料を掲載しています。(英文ページも作りたいと考えていますが、未完です。)
発表スライド(2024.12.20 作成): 和文スライド(11枚) 本ページ(html)、 (pdf 4スライド/ページ)
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発表ビデオ (2024.12.20 収録、12.22発表): 和文 (mp4, 16分56秒)(2024.12. )
発表論文 (2024.11.21 提出): (HTML 本ページ)、 学会予稿集掲載(PDF)
EQP論文 TRIZ思考に基づく - 地震短期予知の研究 (中川 徹)、 ETRIA TFC-TRAI 2024 国際会議 (2024.11. 6-8, ルーマニア)
(2024.11.26)
海外のTRIZ国際会議で、地震予知について発表した最初の論文です。論文は8月12日に最終提出し、TRIZによる体系的な考察のしかたが分かるように構成を明示しています。世界情勢が厳しくなってきて、今の自分の健康状態ではいざという時に迅速な行動が取れないと考え、ルーマニア出張をとりやめました。発表のビデオを10月31日に提出し、このビデオを会場で流してもらいました。
英文ページ
には、以下のものを掲載しました。 (和文の翻訳版は、しばらく掲載できません)
アブストラクト と キーワード
(.html)
スライド(語り原稿つき)(.html) スライド
(.pdf, 10 枚, 2.26 MB)
発表ビデオ(.mp4, 16分14秒, 17.6 MB)
論文(.html) 論文PDF
(.pdf, 18 ページ, 7.1 MB)
論文 (正式出版)(.pdf)
論文(英文)の目次
1. はじめに
1.1 背景:日本における地震と地震予知研究
1.2 本論文の戦略と構成
2. 地震予知研究:問題と解決策の目標
2.1 地震研究、地震予知研究、および地震災害の軽減
2.2 問題の定義と究極の解決策の目標
3. 地震予知研究へのアプローチ:地震前兆現象の評価基準と選択
3.1 短期地震予知に有効な前兆現象の要件
3.2 有望な前兆現象と方法の選択
4. 3つの有望な地震前兆の観測法
4.1 GNSS衛星データによる地殻歪みの観測(神山ら[3])
4.2 GNSS衛星による電離層全電子量(TEC)の観測(日置[4])
4.3 地中の電場の観測(筒井稔[1])
5. 研究プロジェクトの提案: 筒井の方法を基礎にした地震直前予知方法の確立
6. 結び
参考文献
EQP解説: 地震の短期/直前予知の方法 ― 手がかりが見えてきました (中川 徹)
2024.11.13)
EQP解説: TRIZの考え方に基づく 地震予知研究 (5) 神山の方法: GNSS衛星データを用いた地殻の歪みの観測 (中川 徹)(LinkedIn(英文)2024.10. 3
、英文ページに掲載
2024.10. 7、和訳掲載
2024.10.7)
神山真(東北工業大学名誉教授)らが日本地震予知学会(2023年12月)で発表した論文の紹介です。DNSS測位衛星を使って国土地理院が精密測定して毎日更新している、全国約1300の基準点の位置情報を使います。三角メッシュ法で解析して、各三角形領域の最大せん断歪みと面積歪み(膨張)係数を導いていますが、後者の方が理解しやすいでしょう。3件の地震の詳細なデータとその解析結果を報告しており、ここには北海道胆振東部地震(2018年9月6日、MJ 6.5) を取り上げました。震央付近の4つの三角形領域に注目して、その面積膨張係数を2011年から12年間分プロットして示しています。4つの三角形領域とも、初めは同じ速さでゆっくりと縮小していきますが、地震発生のときに2つの三角形領域が突然膨張し、地震後にはすべて以前と同じようにゆっくりと縮小していきました。2018年の1年間の時間軸を拡大して見ると、地震発生の3ヶ月前から、突然異常な変動が現れていました。2領域がプラス方向、他の2領域がマイナ方向に変動していますが、方向を無視すると変動のパターンはほぼ同じです。3ヶ月前から変動値が増大し始め、ピークになり、その後不安定な感じでゆっくり減少、地震が発生して急激に変化し、その後数日の微調整の後、異常変動は消えて行きました。
3件の地震で類似の異常変動が地震の前兆現象として観測されました。この前兆現象を使うと、異常変動が見られる領域の数と広がりから、予知地震の震源領域と地震の規模が推定できます。地震発生の時に関しては、現在数年〜数ヶ月の幅があり、地震の切迫を判断する手がかりはまだ得られていません。今後の事例の蓄積が望まれます。神山の方法は、地震の短期(数年〜数月)予知の方法として、現在最も有用・有望であると考えられます。
EQP学会発表: 地震短期予知の研究に TRIZの考え方を導入する (中川 徹)(日本TRIZ協会 TRIZシンポジウム2024 (2024. 8.29-30 早稲田大学)、 和文ページ
2024. 9. 5 , 英文ページ
2024. 9. 5
「地震予知の研究」について、その目的、背景、暗中模索からの脱却、画期的な観測結果(筒井稔)の紹介、今後の発展のための考察と提案、地震予知の技術システムの構築、地震予知の注意報/緊急警報の公的運用のビジョン、などを分かりやすく体系的に記述・提案しています。
次のような資料一式を掲載いたします。 和文: 発表概要(2024.5.12提出)
、発表スライド(2024. 7.11 提出) (21枚、pdf)
、 発表(スライド+テキスト)(2024. 9. 5) (html)
、発表ビデオ(2024. 8.27収録、8.28発表)(mp4, 23分30秒)
英文: 概要(2024.5.12提出)、スライド (2024. 7.11 提出) (21枚、pdf)
EQP解説: TRIZの考え方に基づく 地震予知研究 (4) 筒井の方法: 地中の直流電場の観測 (中川 徹)(LinkedIn(英文)2024. 8.13
、英文ページに掲載
2024. 8.31、和訳掲載
2024. 8.31)
筒井稔(京都産業大学名誉教授)の日本地震予知学会(2022年12月)での発表を紹介しています。(地下の)震源からの電磁気的信号を、(ノイズの多い地上を経由せずに)遠方の地下で直接に検知しようとする方法です。
紀伊半島の南端の小島で、深さ150mのボアホールを造り、長さ100mのDC電場センサーを設置して、低ノイズ・高感度、そして毎秒連続観測のデータを取りました。2021年4月〜7月の観測結果から2例を発表しています。その第1例は、静穏な定常ノイズの後に、急激な(±)の変動(S/N比30以上)が46分続き、一旦(55分間)静穏化して、10:27にポンとパルス状の信号があり、 その後約7時間半静穏で、再び68分間の激しい変動を記録しています。後日に分かったのは、10:27に宮城沖(水平距離約750km) で、M6.8の地震があったことです。時刻の完全な一致から、一連の信号はこの地震に起因するもので、前兆、地震時、そして「後兆」であると思われます。遠方の地震について、地震の1時間半前から、高いS/N比で、顕著で複雑な微細構造を持った、時間分解能1秒の連続スペクトルを得たことは、実に画期的です。
私はこの方法を非常に高く評価し、これを基盤にして、地震予知の(一つの)方法を創り上げるための、共同研究プロジェクトを地震予知学会内で提唱しています。現在(第1段)の「孤軍奮闘」の状況を支援し、(第2段)復数サイトでの並行観測を行い、さらに(第3段)数十サイトを全国展開して、地震予知(「いつ、どこで、どの規模」)の技術システム(とその実施体制)を創り上げること、その課題とプロセスを考察しています。
筒井の方法は、おそらく、地震の数時間〜半時間前の(公的な)「地震予知緊急警報」の中核技術になるものです。それが実用になるためには、他の方法を統合して、(地震の)1年ほど前の(関係機関内での)「地震予知要注視連絡」、地震10日〜1日前の(公的な)「地震予知注意報」が先行することが、全社会と国民の安全・減災のために必要でしょう。
EQP解説: TRIZの考え方に基づく 地震予知研究 (3) 地震前兆現象として有望なものを選択する (中川 徹)(LinkedIn(英文)2024. 7. 6、英文ページに掲載
2024. 7.21、和訳掲載
2024. 7.21)
現在の地震学では、さまざまな地震の物理的状況が未解明であり、地震という破壊現象の起こるタイミングを予知できず、破壊の過程やそれに伴う諸現象を解明できていない。そのため、地震の短期予知の研究は「実験科学」の方法に従い、種々の前兆現象の探索、有望な前兆現象の選択、その現象の観測・解析による予知方法の開発へと進む。われわれはいまや、選択と開発へと進む段階にある。図は、前兆現象を選択するやり方を示している。
第1のカテゴリは力学的現象である。地殻の相対的移動、圧力、歪みなどがあるが、変化は極めて遅くいつ破壊が始まるかを予知できない。変化速度が地震の前に変わった例が、測地衛星データの解析で見出され(神山ら)注目される。
第2のカテゴリは電磁気的現象である。二次的効果であるが、測定法の多様性・高感度などが有利であり、技術進化の大きな方向にも沿っている。地上で、(地震からの)電場の観測、種々の周波数の電磁波の観測、電離層での電波の反射の観測などが、行われたが、地上・上空での種々の自然起因/人工起因のノイズで妨害され、成功していない。GNSS衛星による電離層の全電子量(TEC)の観測/解析で、地震前後数時間の増大が観測され(日置)、グローバルな適用の可能性が注目される。筒井が地中深くの垂直電場を観測し、地震の直前数時間から直後数時間までの明瞭な変動を観測した。遠方750km、M6.8の地震に対し、S/N比30以上、激しい微細構造を持つ、時間分解能1秒の連続観測データを得た。地震の直前予知の可能性を明示した画期的な方法である。
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EQP解説: TRIZの考え方に基づく 地震予知研究(2) 短期地震予知のための前兆現象の要件 (中川 徹)(LinkedIn(英文)2024. 5.14、英文ページに掲載
2024. 7.21、和訳掲載
2024. 7.21)
(0) 根本要件:(各種の地震に対して)現象Xが地震と関係し、 地震によって引き起こされ、短時間の後に地震が発生すること、...
==> 広範な観測・解析の後でないと、確認できない。
(T) 基本要件: 高いS/N比で、明確に観測・測定できること。
==> 測定法/測定装置を開発する必要がある。(一つの観測サイトで)
(U) 確認要件: 多くの地震について、複数サイトで同様に観測でき、 予知したように地震が発生することを確認できること。
==> 複数の観測サイトでデータを蓄積し、地震との相関を確認する。
(V) 実用要件: 測定が自動的/安定的/連続的に行え、地震発生の予知方法 (いつ、どこで、どの規模で)が得られること。
==> 信頼できる技術システムを作り、実験データを徹底的に解析する。
(W) 高度要件: システムとして統合し、地震からの因果関係を証明できること
==> 地震学、特に地震発生プロセスについて、高度な研究が必要。
(X) 社会的要件: 短期地震予知/警報システムを信頼できる形で運用する。
==> 学界、社会、政府などから認知/承認されることが必要。
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EQP解説: TRIZの考え方に基づく 地震予知研究 (1) 私は、なぜ、どのようにして、この難題に取り組む決心をしたか (中川 徹)(LinkedIn(英文)2024. 4.28、英文ページに掲載
2024. 7.21、和訳掲載
2024. 7.21)
日本における大地震: 東京(1923年)、神戸(1995年)、東日本(2011年)など。
日本では、広域の地震計ネットワークによる地震学的研究が進展。 日本全域で起こりうる地震を長期/中期的に確率論的に予測した。 しかし、1995年(Mw 6.9)と2011年(Mw 9.1)の地震は予知できなかった。
日本地震学会と政府は、地震の短期予知は現段階では不可能であるとして、 地震の短期予知の研究を忌避する宣言をした。
日本地震予知学会(2014年設立)は、電磁気的現象を重視して地震前兆を追究。
2022年12月、筒井稔の学会発表: 地中直流電場の観測で、 地震 (遠方750 km、M6.8) の直前/直後に急激な変動を観測した。 S/N比30以上、時間分解能1秒の鮮明なデータ。驚くべき成果である。
地震との相関性(および因果性)を証明し、「いつ、どこで、どれくらいの大きさの地震が起こりそうか」を推定する方法を確立する必要がある。
私は、筒井の方法で複数地点で並行して観測する研究プロジェクトを提案する。
さらに進んで、日本全国に数十カ所の観測点を持つ技術的(社会的/公的) システムを構築し、地震直前予知警報を運用することを目標にする。
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EQPフォーラム: 「地震予知研究に関する読者フォーラム」を開設しました。意見・質問・寄稿などお寄せください。(中川 徹)
2024. 7.21
ここに新しいページを開設し、を「地震予知研究フォーラム」と位置づけ、読者の皆さま(もちろん地震(予知)研究に携わっておられる方々も)からの、ご意見・質問・寄稿などを掲載させていただくことにいたします。どうぞいろいろとお寄せください。
まずはじめに、私自身の当面の主要な活動の予定を書いておきます。
中川の活動予定: 「TRIZの考え方に基づく 地震予知研究」の解説・発表 (中川 徹) (2024. 7.21)
私は、昨年12月の日本地震予知学会での発表(2023.12.22)に引き続き、「地震予知研究」の今後の進め方について、考察を進めており、できるだけ多くの場で発表し、多くの皆さんの理解と協力を得たいと思い努力しております。その中には次の4件があります。:
(A) 地震予知学会発表(2023.12.22)の『TRIZホームページ』掲載
(2023.12.25)。和文の論文、スライド、ビデオを掲載済み。
(B) LinkedIn に英文で解説を連載、継続中。(2024. 4.27; 5.14; 7. 6) 『TRIZホームページ』に英文掲載開始・継続中(2024. 7.21)、同和訳掲載開始・継続中(2024. 7.21)。
(C) 欧州TRIZ協会主催 TFC-TRAI2024 (ルーマニア、2024.11.6-8)で発表予定。英文論文原稿を提出済み (2024. 6. 4)
(D) 日本TRIZ協会 TRIZシンポジウム(2024.8.29-30)で発表予定。和文スライド、英文スライドを提出済み(2024.7.11)。
これらは、正式発表後に、順次この『TRIZホームページ』に掲載していく予定です。まずは、(B)のLinkedInでの解説(英文)の連載を、英文および和訳で順次掲載します。
eEQP: 英文ページを掲載: 地震予知研究と防災(減災): 索引ページ (編集:中川 徹)
(2024. 2.18)
(2023.12.12)
「地震予知研究と防災(減災)」(EQP) のテーマの関して、和文ページに対応する形で、英文ページを作りました。ただし、このテーマに関しては、和文ページに力を注ぎ、英文ページは簡単な紹介の英訳に留めざるを得ない状況です(多忙のため)。
EQP: 書評:吉田彰顕著『地震前兆やいかに〜電波による複眼観測〜』 サイバー出版センター(2016) (中川 徹、Amazonサイトに投稿・掲載 2024.1. 4) (Amazon
)
(2024. 1. 4)
素晴らしい研究実践、詳細で明快な実データの提示、感動的な教育実践。 -- しかし、本書よりも直接的な他の観測方法で地震前兆予知の光明が見え始めている。
本書の研究のねらいは、「見通し外からのFM放送電波が、電離層によって反射されて到達する場合があることを利用して、地震が電離層に与える影響を観測し、特に地震の前に現れる特徴的な現象(前兆現象)を見出し、地震の短期/直前予知の方法を創りたい」と要約できる。
NTT横須賀研究所と広島市立大学の20年余の研究で、(受信)観測点を計18か所設置し、各地の見通し外FM放送局からの電波を常時受信するシステムを構築して、運用・解析している。観測系の(人工起源と自然起源の)ノイズを極力減らし、それでも避けられないノイズを識別・除外するためのノウハウの創出に、特に尽力しており、銀河中心からの微弱な信号まで確実に識別できている。
そして、次の3つの地震について、詳細な観測データとその解釈を示している。 2004年新潟県中越地震(M6.8)、2007年能登半島地震(M6.7)、東北地方太平洋沖地震(Mw 9.0)。そして著者の結論は、 「地震動の到達と共に広帯域の電磁ノイズがしばしば観測された。しかし、電離層擾乱など、地震に関連した前兆現象は検知できなかった。」と。
p. 201の著者の感慨が興味深い。「地震は地下で起きる現象です。私が取り組んできた、地表・地上・電離層との関係から地震電磁現象を観ようとする方法は、やはり間接的手法と言わざるを得ません。物事の本質に迫るには、何よりも対象を直接観ることが肝要です。その意味で、地震に関しては、地下を直接観ることがよい結果につながると思います。」
(クリックして、拡大)-- 私 (中川) は、地震の専門家ではありませんが、2015年に日本地震予知学会に入会し、その学会発表をずっと聴いてきました。約8年間は地震の前兆現象を捉える確たる方法が分からず、暗中模索の感がありましたが、2022年12月末および昨年末の学会で、光明が見えたと感じました。GEONETデータを使い地域ごとの地殻の歪の時間変化を観測する方法、地中深くの垂直直流電場を連続観測する方法、連続GNSSシステムで観測されている電離圏全電子数(TEC)の変化を分析する方法、などです。これらの方法は、まだ事後分析で地震の前兆事例を確認・蓄積している段階です。本当に地震との相関関係を実証し、広範な観測システム網を構築し、地震を確実に予知できる技術体系を創るには今後20年とか30年とか掛かるでしょう。
本書の研究実践は素晴らしい、研究成果(実データ)の提示も素晴らしく明快ですし、巻末の教育実践も感動的です。それらを吸収して、導かれ、さらに乗り越えて行くことができれば、と思います。
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最終更新日 : 2024.11.13 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp