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編集ノート (中川 徹、2026年6月20日)
これは、昨年12月の地震予知学会学術講演会での発表をベースにして、国際ワークショップIWEP10にポスター発表として発表したものです。英文の発表と並行して和文の発表の資料を作りました。今回はまず和文版の一式をこの『TRIZホームページ』に掲載します。
要点: 日本地震予知学会は、(長期/中期的な統計的予測ではなく、)地震前兆現象の観測に基づいた短期/直前の地震予知警報を公的に発出することを目指して研究を進めています。
この目標を達成するために私は、(個々の予知方法に基づく従来のボトムアップ方式に加え、)目標のビジョンに基づいたトップダウン方式で研究を進めています。本発表では、このアプローチの全体像を6枚のスライドで簡潔に示しています。すなわち、
(目標): 地震予知の結果を社会に公式に発表し、地震の被害を減少させるためのビジョン。
(予知方法の概観): 現在の地震予知の諸方法を概観する。
(有望な予知方法の紹介) 3方法を紹介: 注意報のため、警報のため、緊急警報のための、各方法。
(目標までのプロセス) 全5段階のプロセスを提案し、現在は各方法を検証するべき(第2)段階の始めにある。
これらの全体を通じて、地震の予知を可能にするために、地震予知学会が主体的に活動し、多くの人々の協力を得て発展させていく筋道を示そうといsています。本ページには、以下の資料を掲載しています。(英文ページは後日掲載します。)
要旨 (.html)
ポスタ― (スライド7枚で構成) (.html)
説明ビデオ(.mp4、23分33秒、71.5 MB)
ポスター説明(ビデオの文章化) (.html)皆さんをはじめ、国民の多くの方々の、ご理解とご支援をお願いする次第です。
| 要旨 |
ポスター(発表スライド) |
英文ページ |
要旨 (和文)
日本地震予知学会は、長期/中期的な統計的予測ではなく、地震前兆現象の観測に基づいた短期/直前の地震予知警報を公的に発出することを目指して研究を進めている。この目標を達成するために私は、個々の予知方法に基づく従来のボトムアップ方式に加え、目標のビジョンに基づいたトップダウン方式で研究を進めている。本稿に、このアプローチの全体像を示す。すなわち、地震予知結果の社会適用のビジョンから始め、考えられる予知方法の概観、有望な予知方法に関する科学的手がかりの現状認識、そして技術的/組織的システムの開発と実装の実践的プロセス、など。
私たちの目標は、地震予知警報類を3段階で公表することである。
(A)予知した地震の1年前から1ヶ月前に、被害をもたらす可能性のある地震の発生の注意報を出す。
(B)10日前から半日前に、発生の可能性が非常に高い地震の警報を出す。
(C)2時間前から10分前に、被害をもたらす地震の発生のリスクが非常に高いことの緊急警報を出す。
なんらかの前兆現象の科学的検出に基づき、予知した地震の発生地域・規模・発生時期に関する情報を含み、段階的に更新する。関係機関および一般市民は、事前に設定されたガイドラインに従って、避難や被害軽減のための適切な行動を取るよう助言/指示される。地震前兆現象を観測する様々な方法について概観する。注意報(A)には、力学的/地震学的方法が有効だが、警報(B)および緊急警報(C)には、電気的/電磁気的方法がより有効である。FM放送波の電界強度および地中深くの電界の連続観測により、地震発生前に特有の前兆現象が明らかになってきた。過去の地震予知学会学術講演会での発表に基づき、以下の3方法を推奨する。
(A2)神山の方法:GNSS衛星による連続データに基づく地殻変動の異常変化(地震発生の3年前から3ヶ月前)(→注意報)。課題:過去の被害地震を分析し、異常変動の発生時期とパターンを明らかにする。
(B1)國廣・横井の方法:FM放送波の電界強度の異常を観測する。複数の観測地点で(複数局中)各4局のFM放送波を常時モニタリングし、信号の変化を広範囲にクロスチェックする(地震発生の10日前から1日前まで)(→警報)。課題:全国に多数の観測地点を設置し、アンテナを標準化して、観測ネットワークシステムを再構築する。
(C1)筒井の方法:地中深くの直流電界を観測する。高S/N比で微細構造を持つ明瞭な信号を得た(地震発生の数時間前から10分前まで)(→緊急警報)。課題:協力研究機関を組織し、ノウハウを継承し、震源位置を推定する方法を考案する。私は、地震予知研究の5段階プロセス(初期開発から最終目標まで)を提案する。上記の3方法は既に第1段階(方法の開発)を通過し、第2段階(複数の研究グループによる方法の検証)の入り口にある。これらの方法を、地震前兆現象の検出、予知する地震の発生場所・規模・発生時期の推定に関して、その有効性を検証する。地震予知学会が、複数の研究グループ間の連携を促進して、この段階を主導する。第3段階では、科研費のプロジェクトとして全国規模で展開し、予知する地震の発生地域・規模・発生時期を事前に推定する方法を開発し、各方法の特長と限界を明らかにする。第4段階では、複数の方法を地震予知の技術システムに統合する。第5(最終)段階では、(頭書に記述した)地震予知警報システムを、国の機関が正式に運用する。
最終目標の達成には20年(余)かかるであろう。私たちは、迫り来る南海トラフ地震の前に、この地震予知警報システムを実用化できることを切に願う。
ポスター発表スライド (和文)
上の画面をクリックすると、発表ビデオがスタートします。
地震予知研究: 明確な科学的手がかり(現状)から 公的実用(目標)へ
中川徹 (大阪学院大学)
IWEP10 国際ワークショップ、2026. 5.30-31、千葉大学にて、 ポスター発表、和文トーク原稿
はじめに: 発表の趣旨 ビデオ 00:01
大阪学院大学の中川徹です。今日は、「地震予知研究、明確な科学的手がかり(現状)から公的実用(目標)へ」という話をいたします。「地震予知というのは、非常に困難である。現在の技術ではできない」というのが、日本政府とか日本地震学会とかの見解です。しかし、「そんなことはない。現在、すでに明確な科学的な手がかりが得られている。それを公的な実用の段階へ発展させていこう」というのが、今回お話しすることです。
それをどのようにしてやるかといいますと、まず、現状を踏まえて、公的な実用の目標を明確にしよう。そして、今のいろいろな手がかりの中から、有望なものを選んでいこう。そして、段階を踏んで発展させていこうという、そういった話の流れでお話しいたします。
1.実現するべき目標:科学的実証に基づいた地震予知の注意報・警報 と 全社会の対応 ビデオ 01:06
まず、実現するべき目標として、科学的実証に基づいた地震予知の注意報とか、警報とかを全社会に発表する、そして、全社会がそれに対応できるようにする、というのが目標です。それで、その警報類としては、3段階で地震予知の注意報、警報を出すことを考えます。
まず、注意報というのは、予知した地震の1年前から1月前に出すものです。「前兆現象p1が観測され、x1の地域に規模y1程度の地震が今後t1頃起こる可能性が高いと分かりました。関係諸機関は、事前注意の態勢を整え、国民の皆さんは落ち着いて、今後の地震予知警報に注意ください。」
その予知警報というのは、予知した地震の10日前から半日前に出すものです。「前兆現象p2が観測され、x2の地域に規模y2程度の地震が、今後t2頃起こる可能性が非常に高いとわかりました。関係諸機関は、速やかに防災体制を整え、国民の皆さんは、身の回りの防災・避難を準備し、今後の緊急警報に注意ください。緊急警報は、夜中のこともあります。」
で、緊急警報は2時間前から10分前に出すものです。「前兆現象p3が観測され、x3の地域に規模y3程度の地震が、今後t3頃起こる危険性が非常に高いです。関係諸機関は緊急に防災体制に移行し、国民の皆さんは速やかに防災・避難し、身の安全を図ってください。地震発生時には、緊急地震速報が出されます。」地震予知情報の発出に対して求められる要件 ビデオ 03:07
このような注意報、警報を出すには、しっかりした要件が必要です。第一は、必要な情報が有効に出されること。防災/減災の対処をするための、情報内容が十分備わっていて、時間的余裕があることです。内容としては、予知地震の震源地域、規模、発震時期、想定被害、そういったものが必要です。それから、情報内容は適切で、具体的に明確に示される必要があります。情報の確実性、信頼性はもちろん、大事なことです。そのためには、科学的に実証されていて、その実証実績があることです。
これら全体の要件を保証するのが、科学的な実証と、国の機関による責任のある形での公的な発表です。
2.種々の「地震前兆現象」とその観測法: 選択のための観点・考察 ビデオ 04:10
次に、種々の地震前兆現象と、その観測法についてサーベイいたします。まず、地震予知が困難な原因は、地震エネルギーの蓄積は、数千年から数十年かかりますが、地震という破壊現象は、数分から数秒で終わることです。だから、そのタイミングを知ることが非常に難しいわけです。
地震は、基本的に力学的現象ですから、力学的現象の観測法はいろいろあります。そのうち、地殻の移動を観測することが、現在、非常に精密に行われるようになっていて、それは、測地衛星を使って、精密で連続的な観測が行われています。それを使った神山らの方法を後に説明いたします。その他に、圧力計だとか、大きな地震の前の小さないろんな地震活動を地震計で測るという方法があります。それを使った長尾の方法がありますが、時間の都合で、今回は説明いたしません。
電磁気学的現象の観測 ビデオ 05:23
それで、この力学的現象のほかに、電気的、あるいは、電磁気的な現象がいろいろあります。こういった現象は、2次的効果ですから、小さいのですが、震源が大規模だから観測できるようになるわけです。電磁気学的現象の観測の特徴は、現象が多様であり、広い地域で観測でき、多様で高感度の測定法が得られるということです。で、ここには、どういう現象を観測するのかを、大まかに分類して示しました。
まず、第一は、地中の電場を測定することです。これは、地震は地中で起こりますから、それは、地殻の中を直接通ってきた信号を観測すればいいということです。それをしているのが、筒井の方法です。
地上の電場を測ったり、地上で電磁波を測ったりする方法は、いろいろあります。地上に、東西、南北のアンテナを立て、連続的に観測する、多様な周波数を使える、ということがメリットです。ただ、問題は地表でやってますから、雷などの自然現象、それから、電車だとか、工場だとかの人工ノイズがいっぱいあります。そういったものから、区別することが難しいわけです。1つの方法は、FM放送波の強度を連続観測して、その強度の異常を手がかりにする方法がありまして、後ほど國廣・横井の方法を説明いたします。
それから、電離層の電気的性質を使うという方法があります。それには、電磁波の電離層による反射を地上で測定するというケース、人工衛星による観測を使う、というケースがあります。特に、人工衛星によって観測する方法として、日置の方法が知られていますが、これも今回は説明いたしません。
まとめますと、これらのうち、神山らの方法が、地震によって注意報に使えるだろう。國廣・横井の方法が、警報に使えるだろう、筒井の方法が、緊急警報に使えるだろう、ということを説明いたします。
3.地震予知注意報(1年〜1月前)のために有効な方法 ビデオ 07:51
A2. 神山らの方法: GNSS衛星による測位データを用いた地殻の歪みの観測
ここには、地震予知注意報のために有効な方法として、神山らの方法を説明します。それは、GNSS衛星(すなわち、GPS衛星)による測位データを用い、地殻の歪みの観測を使うものです。これは日本全国ですが、ここに約1300余の位置の基準点があり、それを使います。
ここに示しましたのは、2018年の北海道胆振東部地震に関連した観測データです。このデータそのものは、国土地理院が、ずっと前から観測・蓄積していたデータがありまして、それを最近になって分析した結果です。この地震の震源はここですが、その地域を拡大して示すと、ここに震源があり、そこに周りの基準点を結んだ三角網があります。そのうちの4つの三角形について、面積の変化をここに示しています。これは、10年間のデータですけれども、面積の変化の割合という形でプロットし直したものが、このグラフです。4つの三角形の面積は、徐々に縮小していく方向に進んでいます。ところが、地震が起こった後では、面積が大きくなったものだとか、あまり変化していないものがあります。ポンと大きくなって、それでまた、前と同じような速さで、縮小して行っていることがわかります。
この地震が起こった年の1年間のデータを、(時間軸を)拡大して示したのが、このグラフです。この一点一点は、毎日のデータです。それで、ずっと徐々に変わってきたんですが、ここで急に異常な特別な振る舞いをしています。増えているケースと小さくなっているケースがありますが、ここで地震が起こったということです。それで、主な知見は、ゆっくり減少していた周辺地域の三角形の面積が、地震の3ヶ月前から、異常な変動を示した。
今後の課題としては、過去の全国の被害地震を同様に解析して、異常変動の開始時期と、パターンを調べることです。その結果を用いて予知地震の地域、規模、時期をあらかじめ推定する方法を創るということが課題です。地震の短期予知(数年から数ヶ月前)の方法として、創り上げるということが課題です。
3.地震予知警報(10日〜半日前)のために有効な方法 ビデオ 10:48
B1.國廣・横井らの方法: 見通し内FM放送波の電界強度の変化(多観測点でクロスチェック)
次に、地震予知警報のために有効な方法として、國廣・横井らの方法を説明します。それは、見通し内FM放送波(すなわち、FM放送の放送局から直接到達する放送、見通し内のFM放送波)の電界強度を測定して、その変化の異常を見るものです。沢山の地点で観測して、クロスチェックをするということが行われています。 この方法を最初に確立したのが、國廣秀光さんでして、JYAN研究会というのを作って、観測システムを開発・運営し、ボランティアで全国約40の観測点を使って、観測を行いました。活発だったんですが、2018年ぐらいから、データを公表しなくなりました。 横井さんは、関東地区での観測・分析を主導した人で、2019年から20年の間のマグニチュード5から6のすべての地震を分析して、10日前から半日前に強度の異常が起こる、ということを示しました。
横井の分析結果 ビデオ 12:07
これが関東地方の地図ですが、ここに掲げる一つの例は、2019年の6月17日の茨城県北部地震、ここが震源の地震です。それでここに示しましたのは、橙色の丸が観測サイトでして、二重丸がFMの放送局です。
それで、各観測サイトでは、四方向からのFM放送を常時観測して、その放送の強度の観測データを國廣さんのサイトに上げています。ここに示しましたものは、その一つの観測点での4つのFM放送波の強度変化を。グラフにしたものです。ここ(グラフの右端近く)は、地震が起こった時でして、その2週間ぐらい前から、ずっと連続的なグラフを示しています。それぞれの観測サイトでのグラフを更に多数示しているわけです。
グラフが細かくてわかりにくいんですが、10日前に、こういうような異常が起こっている。で、この異常も強度が増す場合と、減る場合がある。それから、少し継続する場合と、あまり継続せずに、パルス状に出る場合があるとか、いろんな変化があります。それから、異常が現れる日も、少しずつ差があったりします。ともかく、これらの観測点で、だいたい10日前ぐらいから、共通に異常が起こって、細かい差はありますが、共通に異常が起こっているということがわかっています。
で、それじゃあ、どうして細かい差があるのかっていうのは、必ずしもよく分かっていません。考えられることは、これはメカニズムを考えないといけないんですが、電気的な、あるいは、電磁気的な影響が地上に現れる。地上に現れて、地上の電荷として現れる。で、それが、比較的低い大気にある電場を示すわけですけれども、その電場は、地域ごとにまた時間的にも、変化がある。そういう意味で、非常に複雑な系になっているんじゃないか、というように考えられます。これが、単に観測サイトでのノイズではないし、放送局のノイズでないということは、確かなことです。それで、このように、非常にたくさんのデータをチェックできますから、大体どの辺が震源であるか、といったことがある程度推定できます。今後の課題としては、観測方法を改良・統一して、沢山の新しい人々の参入なんかが必要です。また、観測体制を再構築していく。國廣さんのシステムが、一旦公開されなくなっていますので、再度、共同で再開していく、といったことが必要です。ともかく、10日前から半日前の(地震予知警報の)ために、有効な方法であると考えられます。
5.地震予知緊急警報(2時間〜10分前)のために有効な方法 ビデオ 15:56
C1. 筒井の方法:地下での直流電場の連続測定
つぎに、地震予知の緊急警報のために有効な方法として、筒井の方法を説明いたします。それは、地下での直流電場を連続測定するものです。筒井は、紀伊半島の南端の島にサイトを作り、深さ150メートルの縦穴に、長さ100メートルのダイポール型の直流電場センサーを設置して、信号を毎秒連続測定して、PCに記憶させました。
ここに示した例は、2021年の5月1日の実測データです。これは、その一日の午前0時から夜の24時までの毎秒のデータです。このように、非常に安定したノイズだけの状況が長く続いていますが、ここで非常に激しい振動が測定されてから、また静かになって、ここでポンと信号が現れた。それから、また静かになって、また激しい振動が現れるという、そんなデータです。
筒井はこのデータを、後になって見たんですけれども、それは、ちょうど、この日の10時27分に、宮城沖、ここですね、ここで、マグニチュード6.8の地震があった、ということがわかっています。このポンと出たデータは、ちょうどその同じタイミング、10時27分であるということですから、ここの前のデータも、この後ろのデータも、この地震によるものであると考えられます。
主な知見は、地中の電場の観測で、低いノイズと、高い感度を得て、毎秒の連続測定をした。遠隔地、ほぼ、全国レベルの遠隔地の地震を明瞭に観測した。信号は、地震の数時間前から、数時間後の微細構造を示している、ということです。
今後の課題ですけど、筒井の技術とノウハウを早急に継承して、第二、第三の研究グループ、観測サイトを作ることです。これは筒井名誉教授が、現在、一人でコツコツとやっていますので、それを継承して、複数のサイトで研究することが大事です。今後、多数の実測例をつくって、信号のパターン、特に前兆の発生する時期(地震のどれだけ前かということです)のデータを蓄積することが有用です。それで、予知した地震の地域、規模、時期を、あらかじめ推定する方法を創ることが大事です。
特に、地震の震源を推定することが大きな課題です。それは、なぜかというと、通常の震源推定法は、複数のサイトでの地震のp波の到達時間差を利用するのですが、電場は、地下(の岩盤)で光速の半分ぐらいの速さで、速く伝わりますので、この方法が使えないのです。そこで、何らかの追加の観測データ/観測装置が必要で、それをいま筒井が開発中です。地震の直前予知、数時間前から数十分前の方法として、これを創り上げていくことが大事であると思っています。
6.地震予知方法の開発・実用化のための5段階:現在:第2段階入り口 ビデオ 19:43
こういった地震予知方法をさらに開発、実用化するためのプロセスを考えます。一般的に、ここで5段階の方法を、提案いたします。
第1段階 まず、第1段階は、方法を開発・実現することで、一つの研究グループで実行するものです。一つの方法を一つの観測サイトで開発・実現し、複数の地震に対し、地震の前に特徴ある現象が、観測された(あるいは、されていた)ことを示す。
第2段階 第2の段階は、方法を検証するものです。それは、複数研究グループのプロジェクトとして行います。同一の方法を、複数の観測サイトで並行実施し、一つの地震に対して、同様の信号を得て、ノイズでないことを示す。そして、多数の地震について検証して、ある種の地震の前兆現象を捉えていることを確認する。
すでに説明しましたように、3つの方法が、第1段階を超えて、第2段階の始めにさしかかっていると考えます。神山の方法が、注意報に使え、また國廣・横井の方法が警報に使えるだろう。筒井の方法が、緊急警報に使えるだろう、と思います。
それで、こういう複数研究グループのプロジェクトを、地震予知学会が推進することが、ぜひ必要です。複数の研究室の協力を得、新しいグループの参入と、いろいろな専門家の加入が必要です。諸方法の長所を統合すること。また、かなりの予算が必要になりますから、財団法人を設立して運営することなどが必要であり、多くの組織活性化が必要であります。
第3段階 次の第3段階は、方法の大規模展開の段階です。これは、科研費プロジェクトによって行うべきもので、地震予知学会が推奨して行うべきです。一つ一つの方法を全国規模に展開し、観測する。予知した地震が起こる地域、規模、時を事前に推定する方法を創り、地震予知情報の発出内容と、時期を検証する。一つ一つの方法の、特徴と限界を確認するということが課題です。
第4段階 第4段階は、予知の技術システムを確立する段階です。それは、複数方法を統合した一つの技術システムを作り上げることです。それは、国家プロジェクトでやらなければなりません。第5段階 そして、第5段階は実用の段階です。それは、地震予知の注意報や警報を公的に運用する段階です。気象庁などの公的機関が責任をもって行うべきことで、最初のスライドに示しましたような目標を実現して、社会に貢献することです。
おわりに ビデオ 22:55
それで、この各段階に5年を必要とすると考えますので、現在から実用に至るまで、目標の実現まで、順調に行って、20年かかるということになります。皆さんご存知のように、南海トラフの大地震が差し迫っておりますから、この地震予知の研究が、南海トラフ地震の前に実用化されることを、私たちは切に願います。
皆さんをはじめ、国民の多くの方々の、ご理解とご支援をお願いする次第です。以上
中川 徹: Email: nakagawa@ogu.ac.jp
| 要旨 |
ポスター(発表スライド) |
英文ページ |
地震予知研究2026 Index 英文ページ |
| EQP News 2023 |
最終更新日 : 2026.6.20 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp