高原論文集: 第6集: [62G] Book B5  V17 2021.10

高原利生 論文集(第6集) [62G]

    『永久に未完成の哲学ノート』   Part G. 

第二部: ポスト資本主義の準備 

高原利生、
『TRIZホームページ』寄稿、2021年10月14日

『TRIZホームページ』掲載、2022年 1月14日

掲載:2022. 1.14

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編集ノート (中川 徹、2022年  1月  6日)

本ページは、高原利生さんの現段階での主著である  『永久に未完成の哲学ノート』 (B5版 17版)の、第二部であり、6つの章からなっています。第一部では、基本的概念からすべて創り直して、問題の捉え方、論理の立て方・進め方、矛盾とその克服のしかたなどを述べ、さらに、人類の歴史を踏まえて、人の生き方について論じてきました。この第二部では、それらをベースにして、今後の世界と日本の進むべき方向を考察・議論しています。その中心は、「お金だけが価値ではない世界」として「ポスト資本主義」の世界を構想し、そのための準備を論じています。非常に大きな構想であり、広範な領域にわたって深く鋭い考え方を述べていて、その情熱と真剣な態度が感動的です。

親ページとしては、「第6集 索引ページ」、[62]「永久に未完成の哲学ノート 索引ページ」、および [62A]「永久に未完成の哲学ノート 前書き&後書き部」、を参照ください。

本ページに掲載部分の目次は以下のようです。

未完成の哲学ノート 第二部   ポスト資本主義の準備    p.108   PDF

1. ポスト資本主義への態度              

はじめに ;  ニーズ ;  シーズ ;  検討内容と準備   

2. 世界観、常識と支配層  

克服すべきものの仮説 ;  現状 ;  論理的網羅思考で常識を作り直す必要   

3. 政治・経済のインフラストラクチャー   

最重要課題、種の存続  (問題 ; 対策1: 命と食料対策 ; 対策2: 原子力エネルギーが必須 ; 対策3: リサイクル ; 対策4:  バックアップ、改造、危機管理の情報共有制度) :

二番目の重要課題  ( 「国」内の生 (問題 ;  対策: 国内の災害死から命を守る:土木建築の基幹産業化) ;
  「国」間の戦いをなくす (「国」間の戦いをなくす論理 ;  「国」をなくすことの補足) ;
世界の政治・経済制度 ;
国内政治 ( 日本の新型コロナウイルスと東京五輪 ;   立法、行政、司法 ;   政権のありかた ;   地方行政)
 ;

三番目の重要課題、個の属性:  新しい価値の生き方へ  ( 世界共通の課題 ;   基準、まとめ)

4. 情報のインフラストラクチャー1: マスメディア  

難しいが独立性自主性を求める ;  客観的な価値判断を求める ;   全体像を求める

5. 情報のインフラストラクチャー2: 人工知能   

AIの現状と欠点:その1  Society5.0の「価値」に疑問 ;   AIの現状と欠点:その2 価値を生むAIと生まないAI ;  AIの現状に足りないものの考察 ;  今後のAIの可能性1:  身体性と感情、感性の実感 ;   今後のAIの可能性2: 粒度特定の定式化とその支援 ;   

6. 教育のインフラストラクチャー   

全体: 労働や生活を教育、学習に ;   初等中等教育

 

この目次のように、広く大きな問題を論じている力作です。ただ、実は、著者には「この第二部を本で発表したけれども、『TRIZホームページ』には掲載しない方がよいかもしれない」という躊躇がありました。その主な理由は、「現在の政府・マスメディア・世論などとは、まったく違った考えの所(新型コロナウイルスの問題、基幹エネルギーとしての原発問題、などいろいろ)があり、反発を受けるだろう」ということでしたが、処置は中川に委任くださいました。

論点は沢山あり、私自身も著者の事実認識や意見・提案に、疑問を持つ/賛成しない点はいくつかあります。しかし、個別の論点で意見の違いがあるのは、議論するべきこと・よりよい考えに止揚するべきことであり、何もかもを否定するべきことではありません(いくつかの論点は「編集ノート後記」に書きます)。読んでいただければわかるように、著者は、一つ一つの問題を深く考察して、独自の主張・提案をしており、傾聴するべきことが沢山あります。その意見はドラスチックで、びっくりすることも多いですが、確かにそうだ、それが進むべき方向だ、ということが至る所にあります。何よりも、「お金だけが価値ではない世界」という方向は、著者が言うように千年がかりで人類が目指すべきことと思います。--- 結論として私は、ごく一部(2.2の5)節)を省略して、第二部全体を掲載することにし、著者の了解を得ました。読者の皆さんのご理解を願います。

 

本ページの先頭

1. ポスト資本主義への態度

2. 世界観、常識と支配層

3. 政治・経済

3.1 種の存続(原発問題)

3.2 国内(災害、コロナ禍)、国際

3.3 新しい価値

4. マスメディア

5. 人工知能

6. 教育

編集ノート後記

PDF

 

 

[62] 主著『哲学ノート』17版 親ページ

[62A]『哲学ノート』 前書き部/後書き部

[62B] 1.事実、基本概念、価値と思考

[62C] 2. 弁証法論理、3. 矛盾モデル

[62D] 4. 論理的網羅

[62E] 5. 対象化と一体化

[62F] 付 マルクス再考 他

 

[62G] 第二部 ポスト資本主義 [62] PDF

 


     

  高原利生 論文集(6) [62G] Book B5  V17  2021.10  第二部

 

ポスト資本主義の準備  未完成の哲学ノート  第二部       p.108   PDF

 

本書は、「民主主義」国、独裁国に共通に、両者を超える哲学と対象化と一体化を統一した生き方、お金だけが価値でないポスト資本主義の実現方法を示す。
第1部は、今後数百年有効な内容だと思う、今2021年である。
第2部の内容は数年で古くなる、と「未完成の哲学ノート」初版の時には思っていたが、第2部は初版以来あまり変わらず、逆に、第1部が大きく変わっている。

多くの人がポスト資本主義の必要性を述べているが、その内容は確定していない。
ポスト資本主義のための努力も行われていない。
政治や経済に全く疎いが、それをいいことにしてポスト資本主義の準備、過渡期の雑で荒っぽい提案を述べる。
雑なのは、価値と事実の本質とその対策と両立する「当面うまく生きていかないといけない」対策の手段を、余りにひどく怒りを感じるものに限り、なるべくゼロから考えたらこうなった、というのが言い訳である。
ひどい事実と論理の捉え方を検討したことも第1部の内容につながっている。
新しい価値の追求と真実の拡大の継続という根本は変わらない。

これからあと数十年か百年下手をすると千年は、ポスト資本主義への緩やかな過渡期である。

一見初歩的で現実とかけ離れたように見える内容が多く、おそらく本書は支配層にも非支配層にも嫌われる。
論理的網羅思考を淡々と適用するとこうなったが、前提を少し変えると違う結論が出る。

 

 

1. ポスト資本主義への態度

お金だけが価値でないポスト資本主義を意識し、いまするべき準備をする。

 

1.1  はじめに

資本主義は、250年前の左派の価値、目的を、実質、ほぼ実現してしまった。

資本主義が形式的に全員参加社会を作った。
ポスト資本主義は「民主主義」国、独裁国の双方で、「民主主義」国では今の軍部、諜報部門を含む支配層と非支配層の全員で作らないといけない。2021.05.09

資本主義は優れた経済制度だった。
250年前に比べてあるいは数十年前に比べて、生活も「自由、平等、友愛」も画期的に進展した。
格差拡大はなくさなければならないが、格差の主「原因」は「資本家階級」と「労働者階級」の対立ではない。
日本では、幼児教育無償化や、収入が少なくても誰でも大学まで行けるようにする、もともとリベラル・左派の政策が、自民党安倍政権で実施された。
2019年5月成立した大学の無償化制度は「住民税を払わない低所得世帯は無料、年収380万円未満程度の世帯まで段階的に授業料と生活費援助」である。
これで日本は格差がまだある段階で、最低限、生活は確保されたと思う。
   (それ以前に、全員に大学で学ぶ力を身に着けることができているかという初等中等教育の大問題はある)
掛け金を払っていれば、退職後死ぬまでを年金で過ごせる制度もできた。
もちろん改善されるべきことは多い。

本来なら非支配層は、資本主義を超える価値の実現を目指すべきなのにしようとしない。
一方、支配層も、現実や価値、未来への展望をとらえていない。

 

1.2  ニーズ

今の資本主義下で対象化がもたらした課題は大きくなってきている。
課題は、全ての人の新しい生き方、全ての人のためのポスト資本主義を作るため、全ての人が常識、世界観を変え共有し、その上で多様化を進め変革を実行することである。

生き方の他に、生き方にも関係する三つの課題がある。
   個人や組織の復讐をなくし、
   自己と自国を相対化し、
   お金に代わる(または含む)新しい価値を作らねばならない。
資本主義の矛盾の解は、「お金を価値とする資本主義の生産の機能と構造の矛盾」の解ではなく、
           お金だけが価値でないポスト資本主義に進むことである。
これらのためのポスト資本主義への過渡期のラフな提言を述べる。

 

1.3  シーズ

今あるシーズと、できつつあるシーズがある。
今ある
シーズの一つは資本主義下での対象化の進展がもたらした可能性である。
この可能性を生かすと、地球規模の被害をもたらす小惑星の衝突や太陽嵐等による大災害や、氷河期が来て人類が原始時代に戻ってしまう事態に対処できるかもしれない。
ポスト資本主義は、新しいエネルギーを作り利用する革命でもある。

できつつあるシーズの一つは新しい原子力エネルギーである。

できつつあるシーズの二つ目はAIである。
エネルギーと異なり、まずいことに「ビッグデータをディープラーニングで解析するのがAI」という狭い考え方と技術が急速に普及しつつある。
新しい生き方とポスト資本主義の姿を作るには、エネルギーと違いもう間に合わない。
しかし、今からでも正しいAIへの態度と実限を追求しなければならない。
これら社会の安全と個々人の健康のため、実施には課題が多いが、政府、諜報部門を含めた世界の全員の必要な常時「監視」をどこかで誰かが行う2020.07.28,2021.04.04。

 

1.4 検討内容と準備

1) 当面の価値の課題

悪しき所有に代わる新しい価値をどう作るのか?
ここでは、それ以前に、あるいはこれと同時に解決されるべき今の「種の存続−個の生−個の属性」の課題を主に述べる。
千年かかるかもしれないが始めないといけない課題で、同時に今の問題も解決する課題である。

2) できるだけシンプルな制度 第1部4章の論理原則)

論理的網羅思考はシンプルな思考を目指す。
できる制度もシンプルにする。
制度は機能を増すために複雑化してきた。
同時に問題解決は、なるべくシンプルに少ない単純な基準で行われるのが良い。

21) 大きな根本原則を優先する

たまたま目に付いた日本の小さな問題に限る。

(1) 行政からマスメディアや野党への情報リークは、(価値の)小さな情報でも、人の表面的な興味を引きやすいものをマスメディアが大きく扱う今、害だけが目につく。
リークさせる人、する人の責任もあいまいになり、マスメディアや野党が劣化していく恐れがあり、現にこの数年、両者の急速な劣化が続いている。
両者の劣化は支配層(後述)の劣化につながる大問題である。
「内部告発」そのものについては、本来は、当の組織内部で民主的な運用が保障され、情報リーク、「たれ込み」が必要でない組織にすることの方が優先的に取り組むべき課題である。

(2) 司法取引に反対する。
司法取引では、当の問題とは全く違う価値の問題を、安直に「正義」に反する手段として持ち込み不要な人間関係の不信を招く。
これが反対の理由で、言われている冤罪を生む恐れがあることなどは小さな問題である。
「正義」を司る法の担当行政がこれを進めることは法への本質的不信も招く。
2018年の日産問題が例である。
2020年国連からゴーン逮捕の非難があった。

(3) 全ての人に基本的人権がある。当面は、憲法を改正し天皇の形式的な政治条項を全て削除するのがよい。
天皇皇后を含む皇族方の自由な言論を拡大し基本的人権を保障し、立憲君主制を廃止する。

平成天皇は、外国に日本兵の墓参に行かれた時には、その国の戦没者の墓にも参られ、終戦記念日には過去の反省を述べられている。
歴史に向き合う誠実さと官僚とのやり取りの努力に敬意を払う。

日本の基礎に何人かの天皇が大きく貢献した。
将来は文化的天皇制にする。
文化的天皇制は、皇室とその歴史への敬意の制度、世界文化遺産を「現在」に拡張した今に生きる制度である。
これが天皇制を持続する唯一の方法である2020.07.31, 2021.07.22。

22) なるべくローカルに処理を完結する

飛行機、船、自動車などの乗り物、病院、学校などの公的施設は、エネルギーと情報が外部から遮断されても、最低限の機能は、電気なしでも維持されるようにする。

「国」はなくし同時にその「国」の内で経済が成り立つようにする。
例えば、難民問題についても、その「国」で暮らしていけるように、必要なら他の国も支援するのが問題解決である。
今は、受け入れてしまってからの対処と難民を受け入れるかどうかで、世界各国の問題が起きている。
日本の人不足を「安い」外国人労働者で解決することに反対する。
平成30年末の入管法改正に反対する。
難民問題と経済界の人不足解決の問題が、米では建国以来結びつき、欧州では数十年来、日本ではこの数年結びついた。
外国人は基本的に「自国」で労働し「自国」を発展させるのが良い。2020.11.26

     

2. 世界観、常識と支配層

2.1 克服すべきものの仮説

問題:

1  資本主義のお金中心主義、
2   1を適切に管理するべき政治・行政、地球全体を考えず自「国」や覇権を守る支配層、特に(英米イスラエル中露、北朝鮮を含む)全ての諜報界、
3  1,2を弁証法的に否定すべきなのにそうせず、支配層の一部、保守になっているリベラル・左派。

政界、官僚、マスメディアを中心に支配層を作っている。
科学技術の進歩を理解せず普通の労働の経験がない人が支配層を構成することをやめることが必要な時代になった。
支配層がエネルギー問題、新型コロナウイルス問題に右往左往し,させている。2020.11.14, 2021.08.28

 

2.2 現状

1)  「民主主義国」と一党独裁国の自由

常識、世界観、価値観は、今まで、主に支配層[Tana] が作ってきた。
周りの無限の事実から入力情報を選別し、それに対する態度を決め方法を作り、そのセットを固定観念として提示するのが支配層である。
支配層は「政権」に等しくなく、世の体制を決める複雑な客観的制度である。
一党独裁国では、ほぼ「政権」に近い。
価値観の良し悪しとは関係ない。2021.06.25

今の「民主主義国」の支配層は、真綿のように「民意」に作用する、実体が明示されない曖昧で変化し続ける複合体で、政権・行政・与党、野党(政権与党を補完し或いは邪魔をし、支配層の一翼を担う)、経済界、軍、諜報界、教育界、マスメディアを主な構成要素とする。
一党独裁国の不自由、不平等の問題は、
        1  「民主主義国」の作られた「常識」「空気」、
        2  形の上で「民主的」に作られた決定、
        3  欧米露イスラエル等の「民主主義国」の諜報界の非合法行為や陰謀、
の三つの問題と役割は同じで、どちらも変更が必要である。
一党独裁国にも 3 軍、諜報界があり、その問題は「民主主義国」の場合と同様かそれより大きいかもしれない。

自由は重要な価値と考える。
「民主主義国」のいい点は、形の上で自由があることである。
しかし自由に発言できても、反対意見を全否定するだけの今では、独裁国とあまり変わらない。2021.06.02

独裁国のいい点は、「民主主義国」のようにマスメディアが作る空気、世論に左右されて政権が頻繁に交代し政策実現が進まないことのない点である。
日本は、大規模な諜報界(本稿では国に関する諜報に限る)がないだけよい。

全ての人は、自覚せず作られた常識に動かされている。
日本に限らず、人類の歴史の把握と、数百年先の未来への展望を持って常識を変えようとしている政治家、評論家、ジャーナリストがいない。

2) 支配層と主流マスメディア

日本では、憲法で、総理大臣が行政を統括することになっているので、建前では政権の影響力が行政、官僚機構より大きいと思いがちである。
しかし、日常的にマスメディア、経済・産業界、学会などあらゆる領域との接点を持つ官僚機構の力が大きい。
今、日欧米は、「民主制」であるが、マスメディアの主流を含めた支配層が、実質、社会を動かしている。

今、世界の民主主義国の支配層は、全体として正しくないことの多いことが、2016年以降多くの人に分かった。
地球と技術・科学の変化の激しさが支配層の能力を超えた。
マスメディア、政治家・官僚、経済・産業界全体に、この50年間に画期的に進歩した科学・技術の把握が全くない。
そのため長期ヴィジョンが全くない。
何がどうマスメディアに影響を与えるかは明らかにされていない。

一般論だが、実務を全て担っている行政官僚からの、マスメディアや議員への情報リークの果たす作用や彼らの産業界、労働界、教育界、学会などへの日常接点を通した影響力が大きい。

内部で民主主義的に処理できない状態では情報リークはやむを得ない。
しかし最近のリークは、リーク側とリークで得をする側の偽善ばかりである。
それをマスメディアは広めてしまう。

支配層 対 正確な世論という軸がある。
今までも今も世論は必ずしも正しくない。
世論は、マスメディアから得られる世界や国内の情報と、作られた「常識」によっていて必ずしも正しくはないからである。
欧米のリベラルは、各国の右派をポピュリズムと非難しているが、今は、全政党、全マスメディアがポピュリズムである。
さらにポピュリスト、右派、リベラル、左派の区分の外に、サイレントマジョリティーや「二割の努力する人と残りの従う人」の より大きな問題がある。

3) 主流マスメディアに対する田中宇(さかい)

従って、マスメディアが伝えない情報が必要で重要となる。

田中宇(さかい)の説によると、今までは、支配層が合理的に(エネルギー最少で)世界を動かしてきた。[Tana] 「資本主義の歴史を再考する」 http://tanakanews.com/100504capitalism.php]

田中宇の国際政治についての地政学仮説は、リベラル・左派の常識と異なる。
初めてWikiなどの彼の紹介を読む人は異常な仮説と思ってしまう。
彼の時々行う「予言」は当たらないものも多いが、当たったものもある。
2016年に安倍総理が国際会議で一帯一路賛成を表明した。
田中氏は、これで安倍総理に何らかの「スキャンダル」問題が、支配層、マスメディアによって起こされると予想した。

1  国際政治について、各国を、対象化、相対化して論じることが必須で、民主主義国のマスメディアは先頭に立ってそうすべきなのにそうしない。
これでは「独裁」国と大して変わらない。
日本の国際関係についての報道内容は、アメリカの主流マスメディアが「正しい」ことを前提にし過ぎていて、多くは客観的に正しくないことが明確になった。
田中宇の、国を対象化、相対化して思考する態度、指導者の述べることより指導者たちの実際に与える結果を重視する態度、何より入手し基にした情報を明示する点2021.07.02が良い。
これらは、他のマスメディアにはない。2021.07.22

2  認識は、仮説を立てる積極的行為によって様々な事象の両立、「事実の矛盾」を理解することである。
彼は、様々な事象が両立する仮説を作り検証し続ける。
彼は、あり得る可能性を論理的網羅によって探り、適切な抽象化と仮説設定を行う論理的網羅思考の典型である。
他の仮説も欲しいし、本稿の価値観は彼と異なる。
しかし、過去と今の価値の基準では、膨大な資料を読んで作られ毎週送られてくる彼の仮説で、世のマスメディアより格段に事実を整合的に把握できる。

http://tanakanews.com/070327GOP.htm  

「多極化とポストモダン 」 http://tanakanews.com/100907modern.php

http://tanakanews.com/110518disconnect.php   http://tanakanews.com/180807intelli.php   http://tanakanews.com/181228trump.htm   http://tanakanews.com/191023russia.htm  http://tanakanews.com/191126iraq.php  http://tanakanews.com/200122putin.php   http://tanakanews.com/200127putin.php  http://tanakanews.com/210404russia.htm

http://tanakanews.com/210428mideast.php   http://tanakanews.com/210505wokuso.htm   http://tanakanews.com/210518corona.htm   http://tanakanews.com/210625GOP.htm

国ごとに支配層の意見が違いかつその内部対立も大きい。

そのため様々な闘いが起こっていることは、各支配層間とその内部対立を超える、新しい(本稿の)思考、統合価値を作る必要のある根拠の一つである。

各国の諜報界、軍や主流マスメディアは「国」の支配層なので、自国を相対化しない。

日本のマスメディアは、第二次大戦中の「大本営発表」報道を反省したのではなかったのか?
学ぶべき二つの教訓があった。
一つ目
の、政府に追従し批判しなかった教訓は、形では入っている。
しかし今はNHKを含むマスメディアには、小さな「正義」による有害な批判が多い。
韓国の朴槿恵元大統領の、友人の娘の大学入学に関わる弾劾、退任、投獄も、代わった韓国の文在演政権、マスメディアと世論の小さな「正義」によっている。
もう一つ
の教訓;「各国ごとに意見の違う問題は「国」を相対化しないとより正しい真実は得られない」教訓は入っていない。

世のマスメディアの、価値判断、論理的判断ができないというもっと重大な欠点かもしれない。

4) 特に日本の右派、リベラル・左派

日本に限らない一般論だが、今まで述べたように、いかなる立場の人との議論でも、相手の言が整合的に両立していることの把握は初歩的大前提で、どうしてその言が出てくるかを理解しないと良い議論はできない。
この態度と同じような機能を果たすのが全体志向である。2021.06.02
昔のすぐれたリベラル、左派、右派の全てに全体志向があった。

「右派」に佐藤健志という人がいる。
「分析術の秘密に迫る..」という2019年5月7日期限限定の宣伝、8月31日期限限定の宣伝(経営科学出版)が良かった。[同氏訳のエドマンド・バーク『新訳 フランス革命の省察』文庫版] も。
「右派」内のリベラル河野洋平さんや故加藤紘一さんには本質的な真実と全体像を求める指向があった。
河野洋平さんの「拉致問題」への態度が秀逸だった。
ただ安倍総理、マスメディアと評論家は、北朝鮮による「拉致問題」を「最大」の問題と言い続けた。

私の 保守の定義は、常識を変えない態度と行動、
   革新
の定義は、常識を変える態度と行動である。

特に、日本のリベラル・左派に、従来少しはあった「革新」がなくなった。

リベラル・左派の50年間を振り返る。
リベラルや左派が客観的に「表面だけ理想主義」の偽善になったのは、
大きくは第一に、資本主義の現実が200年前の目的を、実質、実現してしまったことによる。
「先進国」のリベラルや左派は無意識のうちに満足していて、自ら新しい常識、生き方を作ろうとしない。
そういう人に、新しい労働、新しい発見、新しい批判、新しい政治・経済、新しい何事も作れない2020.01.29
一方、日本の右派は教育無償化などリベラル政策も取り入れて来た。

リベラルや左派が「表面だけ理想主義」の偽善になった理由の第二は
彼らに、全体への指向がなく同時に価値,「正義」、真実の粒度の大小の意識がないので、小さな一部を全体と言い、目の前の小さな「正義」を相手の人格、政策の全否定の理由に使う「何でも反対」になったことによる。
全体を求める論理的網羅に正反対なのが、ほとんどのマスメディアを含むリベラル・左派になった。
誰かが意図してそう仕向け、リベラル・左派は乗せられているだけなのかもしれないが、作られた常識に規定されている自覚がない。
これが50年間続いた。
リベラル・左派は、品性と能力の劣化が続き、今のように、自分に都合が良く「大衆」に受ける小さな善だけを言う客観的偽善になった。
さらに2016年位から劣化が加速している。

例1: 2016,17年の総選挙前、森友・加計問題に対するマスメディアと野党の批判の根拠の一つが小さな原理「文書管理は民主主義の基礎」だった。
「小さな」部分的原理ではあるが原理なので、これから小さな正論をいくらでも述べることができる。
当時、NHKを含めた全ての放送、8割の新聞が政府による改竄だと言い「小さな」原理を述べ続け、安倍政権非難の論調の報道を続けた。
支配層、野党、マスメディアが森友加計問題など小さな問題を起こし悪用しようとした。
森友問題は「議事録を、正確に理解されるよう修正した」(政府総括)のが本質である2020.07.04
「支配層」の中の検察の力は大きいが、森友・加計問題自体に起訴はなかった。2019.07.04
「桜を見る会」も同様の小さな問題である。

例2: 欧米リベラルも偽善が多い。
米欧日の戦後のマスメディア、全政党は、アメリカ特有の「戦争が起きるかもしれない状況を維持したままでリベラル」という軍産共同体の影響の強い、作られた風潮に乗せられている。 2021.04.21
「産」にはIT企業を含む。
日本のマスメディア、左派・リベラルにその自覚はない。
2017年も2020年も、日本のリベラルマスメディアの、トランプ大統領(2021年退任)、安倍総理(2020年退任)を見る論調は大きくは変わらない。
トランプ大統領がツイッターに選挙不正を書こうとしたとたんに、暴力を煽ったという名目でツイッターが停止させられた。2021.01.26
今もGAFAによる彼のSNSアカウント停止が続いている。2021.07.09

50年ほど前から、リベラル・左派が革新、右派が保守という従来の通念は変わっている。

 

5) 石崎徹さんブログ 2020.11.27, 2021.05.08   [掲載省略]

[編集者注 (中川、2021.10.27) :  本節は、特定の3人の個人と著者との議論内容(往復書簡)であり、本稿の主題から離れていると考えるので、本HTMLページには掲載しない。]

 

2.3 論理的網羅思考で常識を作り直す必要

政治においても、全歴史と全世界を把握した上で、今を語らねばならない。
少なくとも100年単位の歴史と、関連する各国との関係の上で今の国内問題がある。
100年単位で良くなっているという認識があり、その上で解決すべき問題;生き方と新しい制度を作らなければならない。

過去から未来に向けたより普遍的価値、原理、それによる新しい常識を作る。
その原理は、本稿で求めてきた論理と世界観だという仮説を持つ。
その原理によると、田中宇の把握の位置も支配層の価値観の不十分さも分かる。
これらが新しい生き方を作りいじめや少子化、復讐、戦争をなくす。

事実と価値の全体と本質のための論理的網羅思考が必須である。

     

3. 政治・経済のインフラストラクチャー

価値の系列;種の存続、個体の生、生の属性がこの順に、次の価値の前提になりながら課題の重要さを決める。1) 種の存続、2) 個体の生は、ポスト資本主義の前提である。

     

3.1 最重要課題、種の存続

地球と人類を、大災害による破壊から守り、食料、エネルギー、環境、物理的インフラストラクチャーを確保することが最重要課題である[CGK2016] [FIT2017]
これらのうち最も種の存続に必要なのはエネルギーである。
エネルギーがあれば食料は作れる2021.04.01
長期の地球温暖化進行はまだ確定していない。
今が第4間氷期なのか不明だが、環境を守るためパリ協定は必要である。

1) 問題: 化石燃料は早晩枯渇し、再生エネルギーにも頼れない条件で500年に一度の大災害から地球と人類を守る(同時に今のエネルギー問題も解決する)

11) (絶対条件1)
1
あと数百年で化石燃料は枯渇する。(化石燃料採掘のマントル運動に与える影響の検討も必要)
2 五百年に一度ほどの確率(五百年後ではない。5年後かもしれない)(第1部1章)で、壊滅的な、巨大隕石衝突、太陽嵐、巨大カルデラ噴火などが起こる。
人類、国単位の消滅などをもたらすかもしれない事態である。
それ自体、大量死をもたらす大災害であり、地球規模で長期にわたり再生エネルギー(場合によっては電気そのもの)が停止する事態が想定される。
これら災害を起こす現象は、やっと問題とその発生確率が分かり始めた。
自然災害だけでなくウイルスによるパンデミックも含む必要があるかもしれないが、この自然災害の方が、圧倒的に問題は大きい。

全世界の最大の課題はこの壊滅的災害に対し人と設備を守ることと食料・エネルギー確保である。

12)(絶対条件2) ゼロになることのある再生エネルギーには頼れない
太陽光発電などは不安定でゼロになることもあることが致命的である。
使えない恐れのある再生エネルギーは、基幹エネルギーには使えない。
基幹エネルギーはいかなる条件でも使えるエネルギーである。
日本で2021年1月12日の豪雪で、(火力発電が生きている状態で)暖房増加と相まってピーク時の電力使用率は99%の電力会社もあった。
2021年5月25日に22年3月の東京電力の電力予備率が−3%という予想も出された。
      (そして、火力発電はいずれ0になる)
この例は、今も必要な条件である。

13)(私の絶対条件3) 人類の存続のため、宇宙、水中を含むあらゆる時間空間、あらゆる状況で稼働できる原子力エネルギーは必須である。
人によっては、これを絶対条件と考えない人もいる。
世の反原発論が論理になっていない中で、見田宗助さんは論理的な反原発論を述べた。
[http://digital.asahi.com/articles/DA3S11760782.html?_requesturl=articles%2FDA3S11760782.html ]
ただしこの論は反原発が主題ではなく、成長中止の提言である。
事実と価値の全体を広げ続ける生き方には、いつも使えるエネルギーは必須である。
このエネルギーがないとすれば、事実と価値の全体を広げない生き方、成長しない経済を求めるしかないので、見田教授は論理的である。

また、様々な検討で、地球に落ちてくる小惑星の軌道変更や爆破に、核爆弾使用は案として検討されている。
小惑星を核爆弾で破壊する「アルマゲドン」「ディープ・インパクト」という映画もあった。
他にも、原子力エンジンなど核エネルギー発生手段の小型化や軽量化、多様な「爆発」と発電の間の実現方法検討が望まれる。
核エネルギーが津波防止など災害を防ぐ手段となる場合もあり得る。

やや遠い将来の氷河期?対策、将来の磁気、大気、太陽消滅への対処も今から必要である。
これに関連して次の探求、開発の国際協力が必要である。

(1) 宇宙と生命の発生と構造、
(2) 古生代や新生代など、特に氷河期と間氷期の今後の交代の有無を含む運動原理の解明、
(3) 太陽消滅、磁気消滅を含む災害が起きるメカニズム、その解決の物理的、技術的方法、
(4) パンデミックのメカニズム、その解決の国際協力方法、
(5) 新しい、より安全な原子力発電の原理と発電方式。そのコスト低減は二次的課題である。

温暖化に関わりなく、地球環境を守るためのパリ協定の順守,実施は必須である。
完全な実現は難しく徹底的な対策が必要になる。
以下は先の目標とすぐ行うべき課題が混在している。

最大課題である根拠を、第一部1.4で述べた重要度緊急度で評価する。
500年で30億人の自然災害による死(これは病死による予想死者数を大幅に下回る小さな数字である。小さ過ぎたかもしれない)を想定すると(1章)、全地球の今後1年間の喪失が予想される 重要度緊急度は、a) とb) の積( a)一人の生については 1、b) は、1〜 )は、600万〜 である。

原発事故のこの重要度緊急度はほぼ0であり、ますます0に近づけて行ける。

2)対策1: 命と食料対策

(1) 情報と違い、ものとエネルギーはローカルに生産、消費できるのが良い。情報や設計についての「グローバル化」はあっても良いが、原料は今の「国」の範囲の地産地消を目指す。

(2) 人工食料の製造の普及をはじめておき、量産体制に入れるようにしておく。

3)対策2: 原子力エネルギーが必須

  31) 原子力エネルギーのみが基幹エネルギー

いつも使えるエネルギーを前提とし、上述のように化石燃料は早晩枯渇し再生エネルギーにも頼れない条件を前提にすると話は単純である。原子力エネルギーのみが基幹エネルギーである。

原子力エネルギーについて今までは核融合発電だけが解決策であると12版迄考えてきたが変更する。
私の榊原病院への検査入院で2021年3月29日に同室になった石井強(つよし)さんは、核融合発電の実現までは核燃料リサイクルの実現に努力すべきだと力説され、十分努力しなかった技術者を強く批判された。
石井強さんはエンジニアで、原子炉の耐震設計にも携わり技術全般のコンサルタントをされてきた方である。優れた見識をお持ちで一を聞いて十を知る人がいるのだと実感した。ご健康を祈る。

安全な小型核融合発電炉完成までは、核燃料リサイクルの実現、改良を目指す。2021.03.30、
当面の手段として今より安全な原発とされる今の原発の五分の一程度の出力の小型モジュール炉(SMR) 「AP1000」などに触れていた。
エネルギー、宇宙などは国産主導がよい。
小型モジュール炉(SMR) は、三菱重工業、IHI、日立製作所が取組んでいる。

停止中の原発の再稼働を行い新規原発新設と併せ原子力エネルギーの比率を十年で80%、水力エネルギーを15%、再生エネルギーを5%程度にする。
船、自動車、家には、将来、安全な超小型核融合炉を内蔵する。
理想的には装置毎に原子力エネルギー発生を行う。
マントル運動利用発電ができれば、地球内では対応できる[CGK2016]
実現にはおそらく時間がかかる。

将来の太陽消滅への対処のためにも原子力発電は必須である。
しかし2018年7月の「第5次エネルギー基本計画」(資源エネルギー庁)では、2030年に実現を目指す再生エネルギー比率を22-24%で主力電源とし、原子力発電比率20-22%(現状は稼働を停止している原発が多く、数%)としており、化石燃料による火力発電もまだ56%の多さである。
驚くことに、原子力発電比率を増やせない理由に、原子力発電に支持が得られないことを挙げている。
マスメディア、野党の反原発が政治を動かしている。
当時の全閣僚が賛成した計画だから、全大臣が賛成している。
官僚と閣僚に、エネルギーをどうすべきか理解する人がいない。 2021.07.09
次の2030年エネルギー基本計画案が2021年7月に示された。
再生エネルギー比率は大幅に増え悪化している。2021.07.22
これでも反原発の野党やマスメディアより、ましである。
支持する政党がない人が40%、「自民公明の与党はダメだがリベラル・左派の野党はもっとダメ」の典型が基幹エネルギーについてである。

原発推進でギャンブルIR反対の政党がない。

電気停止に備え、人工心肺人工透析などのため、一部は、発電でなく機械エネルギー発生、利用を行うことも考える。
今の燃料電池車は、エネルギーを電気に変えて動く電動車だが、直接発生エネルギーを車に伝える水素エンジン車も実現させる。2020.12.19, 2021.04.24

必須である原子力の安全性信頼性の向上の努力をどの程度行うか,だけが問題である。
原発の安全性にも完全はないので永久に必死に努力を続ける必要がある。
努力を続ければより良い安全性が得られる。
国際協力、国際管理を行う必要がある。
       (水素が、生み出すエネルギーより小エネルギーで得られれば話が違ってくる) 2021.06.13 

32) 既存原発の問題と対処

(1) 新設に一基五千億と言われる既存原発についても耐用年数の来るまで(または使える限り)使う。
原発廃棄と利用では、数十年で国際収支は日本で100兆から200兆円利用のほうが有利になり、何より化石燃料採掘停止は地球の破壊を防ぐ。

(2) 核ごみ処理方法、再利用方法は科学,技術の努力によって必ず見つかる。
最近核ごみからバッテリーを作る方法案が出された2020。
      (福島原発の廃炉処理については、現在のまま封鎖、立ち入り禁止とし冷却を待つというのが大前研一案である)

(3) 既存原発の安全性、単純化統一化を含めた操作性の改良、核燃料リサイクルの検討を続ける。
福島原発事故の原因は殆ど分かっているが、例えば水素爆発の原因など究明を続ける。

(4) 政府、行政の原発の意義の説明が必要である。今は行われてない。

(5) 発電の中で、原発の占める比重が大きくなると、消費の変動を調整する手段が問題になる。
余ったエネルギーを、揚水、汚染除去、ゴミ資源化、水素発生、二酸化炭素分解などに使い負荷調整を行う。
      (なお、二酸化炭素を固形化して地下に埋め資源を捨てる鉄鋼業界他のバカな案がある)

33) 火力発電、再生エネルギーなど (「500年に一度の大災害」以外にも当てはまる

(1) 自律したローカルなエネルギーの前提で、世界エネルギーネットワークは、バックアップとして望ましい。
常時はローカル(ダウン時にローカルなバックアップのある前提で)、非常時エネルギーネットワークの切り替えは手動で行うしかないのではないか。

(2) 化石燃料利用火力発電はCO2を出さない新型を含めて行わない。
原発が止まったため再稼働した旧型火力発電は速やかに停止する。
化石燃料利用の火力発電は耐用年数(マイナス数年)の来たものから順次廃止する。
これは「直ちに中止」と「捨てるのはもったいないので、あるものはできるだけ有効活用」という矛盾の解である。
化石燃料採取も止める。化石燃料採掘の物理的影響も気になる。

(3) 太陽光発電は、屋上,外壁に限り行う。
山、更地、堤防、水上への設置は全て自然破壊であり、山、緑地、池,海は死んでしまう。
緑地は毎年減り続けている。国、自治体による、山、土手の上などを含む更地と水面での太陽光発電禁止は急務であるが、現にこれらは行われており環境破壊を起こしている。
政権と行政に腹が立つ大きな原因である。
耕作できない土地は土壌改良を行う。
当面、原発再稼働しかないと思うが、マスメディアは理解しない。

(4) 一地方に一つ、ダム湖が連なっている場所に大規模揚水発電所新増設を行う。
太陽光発電など不安定な自然条件依存発電という致命的問題の部分的解になる。
バッテリーには頼れないが、揚水発電の揚水分だけは太陽光発電によってもよい。[「新」経世済民新聞』2020年11月14日の竹村公太郎さんの「水力発電の復権」]

(5) 既設ダムと河川の浚渫を、長期計画に沿い行う。

34)「反原発」への反論 [YSMT2] [YSMT2]

人に対する核兵器は廃絶するのがよい。
さらにそれより戦争を廃絶するのがよい。
しかし2019年8月9日の長崎市長の記念日声明のように核兵器は残虐に人を殺すから反対という理由は良くない。
死因が何であろうが、当人と残された人には関係ない。
死者を評価するのは数である。
一度の作戦の死者数には、東京やドレスデン空襲の各十万、ドイツ軍による三か月のレニングラード攻囲作戦の百万近い餓死者数もある。
毎年、150万人が死亡し続けている交通事故(死因10位)もある。

反原発論者は、核兵器反対を原発反対に悪用する。
技術の発展順序は、必ず、核爆発→ 原発の順序である。
この順序は技術的論理的に変えられない。
核爆発が武器として人に用いられたのは政治の結果である。
左翼やリベラル派の、原発に対する反科学・反技術主義に反対する。
これは現代の「機械打ちこわし」運動である。
今の「反原発」の論理は論理になっておらず感情に訴えるだけである。

1   太陽消滅を含めたこれから地球に起こる事態に対処でき、宇宙や海底を含むあらゆる空間時間で実現可能なエネルギーであること、
2   パリ協定順守、
3   必要な原子力の利用方法、安全性、信頼性の向上の努力をしないで、原発反対を言うこと2021.05.08は、原子力エネルギーを始めとする原子力研究を遅らせること、
4 原発は他の技術と同様にますます完全に制御できるようになること、
のそれぞれだけで反原発への完全な反論である。

 

"<ご意見募集>『田原総一朗さんが問う 枝野氏の「原発ゼロ」は可能か( 田原総一朗・ジャーナリスト)2021年3月17日』" に対する毎日新聞:https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20210316/pol/00m/010/001000c?cx_fm=mailpol&cx_ml=article&cx_mdate=20200321 への400字制限の投稿

題:「最終処分場があろうがなかろうが 消去法で基幹電源は原発しかない」2021.03.30

「化石エネルギーには今後頼れない。
自然エネルギーの致命症に近い欠点は、電力は生産量と消費量が同じでなければならず、欠ける電力には同量の代替電力が要ることである。
長期の停止があり得る太陽光などの自然エネルギーだけに頼れないことは、日本の2021年1月12日の豪雪で、電力使用率99%の電力会社があったことでも明らかである。
人類の存亡にかかわる規模の隕石衝突や太陽嵐、カルデラ噴火などにより500年に一度程度の頻度で、自然エネルギーが長期に使えなくなる。
日本のカルデラ噴火は一万年に一度ほどの頻度である。

消去法で残る原発の、安全性、信頼性を高め続けることは必要であり、科学的技術的に可能である。
当面は核燃料リサイクルの改善に取り組み、将来的に核融合発電を目指すのが良い。

それができるまでの間、核ゴミはどこかに保管するしかない。「核のごみの最終処分場がない」という小さな理由は原発反対の理由にならない。」

題:「絶対条件と可能条件を分ける」2021.07.02

「化石エネルギーには今後頼れないのは明らかである。
太陽光発電や風力発電は、全く行えない時間帯がある。

この二つの絶対条件で、原発だけが、人類の生存にとっての基幹エネルギーの可能性として残る。
また、原発だけが、あらゆる時間と宇宙を含むあらゆる場所で、行え使うことができる。

安全性、信頼性を高め続けることは必要であり、科学的技術的に可能である。
おそらく核融合発電が原発の理想だろう。
当分、核ゴミはどこかに保管し、処理方法を検討し続けるしかない。
核のごみの最終処分場がないという小さな理由は原発反対の理由にならない。」

毎日新聞には、この件で二百件を超す投稿が載っている。
何件かを除いて「原発0」は可能という意見である。
すべて、原発が稼働すると事故が起こるので反対といった類の、論理になっていない「感想」である。
毎日新聞読者だけならいいのだが、論理の水準が低すぎる。
「新着順」検索で高原の投稿2件はすぐ読める。2021.07.03

35)  ポスト資本主義と新エネルギー実現の必要時期

エネルギー制約、工数、コスト第一主義から脱する課題と、新しい価値を作るポスト資本主義の課題は同じである。[CGK2016] [FIT2017]
ポスト資本主義の実現努力を行いつつ「正常な」資本主義が全世界に広まるのに20−数十年程度、安全な原子力エネルギーが普及するのに20−数十年程度かかると推定する。
それまでに新しい生き方とポスト資本主義の姿を作らねばならない。

1 エネルギーの課題を解決する時期と、生き方、ポスト資本主義を作る時期が、なぜ重なるのかは謎である(第2部)。
2 なお、日本の左翼政党が、原発反対を決めたのが、50年前で、リベラル・左派が劣化を始めたのも同時期である。
この時期がなぜ重なるのかも謎である。
2' 今は、リベラル・左派の劣化が、政権の劣化ももたらしている(後述)。
全て仮説による。2021.07.24

4) 対策3: リサイクル

(1) 海底,宇宙だけでなく地表でも、排泄物、金属を含めた廃棄物の完全分別と完全リサイクルを、なるべく家や船単位で行う。
そうできないものは市町村単位で行う。
これは。将来の基幹技術となる。

(2) 新たな金属の採掘を最小限にし、将来は採掘を中止、リサイクル利用のみとする。
中長期の将来、どの金属も新規採掘ができなくなる時に備えないといけないのは明らかである。

(3) 金属以外の地球からの資源採取と、廃棄物を次第に少なくしていきゼロに近づける。
例えば包装用プラスチック利用は直ちに中止、装置材料としてのプラスチック新規利用は10年くらいをめどに中止する。
今、ペットボトルの分離回収と買い物袋の持参だけは、広まっている。

(4) 廃棄物がゼロにならない場合、生産物の量は増大せず、人の価値は増大し続けるようにする。
廃棄物をゼロにできれば、生産物の量は増大可能である。

5対策4:  バックアップ、改造、危機管理の情報共有制度

新設計だけでなくバックアップ、修理、改造の重要性が増している。

過渡期の手段である非常用電源の設置場所の問題点は阪神大震災で分かっていた。
この問題はその後も問題を起こし続けた。
2018年西日本豪雨で消防署の非常用電源が水没により機能しなかった。

東日本大震災の教訓の一つは、当初の間違った津波3メートルの予測が皆に伝わったのち、津波が来るまでの1時間弱の間、携帯等がダウンし、実際の10メートルを超える津波への対処ができなかったことである。
今、その問題理解が少ない。

一般に、情報遮断の対処策が足りない。
例えば全航空機の無線障害など。2020.10.21
いじめによる死亡、水災害、社会システム障害対処など行政の危機管理の不十分さも多い。
福島原発事故、水災害、2021年7月の違法の人工的盛り土崩落による土石流の、国、市の管理のなさなどの負の事例や、
渋谷駅周辺の大改造方法、はやぶさ、はやぶさ2などの優れた事例もある。
省庁を横断した
危機管理や、優れた事例の一般化、共有化制度が必要である。

     

3.2 二番目の重要課題, 1  個の生:持続する安全なインフラと建築。
          2 「国」間の戦いをなくす

1)「国」内の生

11) 問題:

WHOによると、交通事故死は世界の死因の10位である。
世界で、2016年時点で年に140万人、毎日3800人が交通事故で死んでいて500年で7億人、かつ年数万人ずつ交通事故死者数は増えている。
重要度緊急度140万。大きな数である。
健康な人が毎日数千人死んでいく事は災害大量死に次ぐ解決必要事態である。
病死、自死
も多いが検討課題である。

人類の絶滅の可能性はないが、日本に限ると、世界の地震、火山の一割を占める日本は、災害死も多い。
東北の三陸沿岸、東京、京阪神、東南海沿岸など、今後の三十年間に80%の確率で数十万の死者、国土の壊滅的被害が予測されている。
日本は世界の1割の火山、地震が集中している。
今まで、三陸沿岸、東京直下、東南海では、それぞれがほぼ百年毎に大地震を繰り返してきた。

 12) 対策: 国内の災害死から命を守る:土木建築の基幹産業化

(1) 日本に限るが、数十年から百年おきに大地震大津波が起きることが予測されている地域の住居、橋、道路などの耐震化、建物の高層化を行う。
自律的に部分毎に増改造可能な構造に変えていく。

(2) 関東大震災,阪神淡路大震災,東日本大震災,最近の北海道や熊本地震が実際に起こり、今後30年で首都直下型地震、南海地震などが予想されている。
100年ほどの間に現に起こり、今すぐにでも起こりうる大災害がある。
2015年に高知県など今後30年間に80%の確率で2,3分の内に高30メートルを超える津波が予想されている。

南海地震は、鎌田浩毅 京都大学大学院 教授によると発生予測年は2035±5年である。
被害予想額は、全国で169兆5千億円、年間予算の二倍近くである。
[「被害は東日本大震災の10倍超」2030〜40年に想定される西日本大震災という時限爆弾 南海トラフ巨大地震は確実に起きる (3ページ目) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) 2020.12.09] では、この発生予測年が出された根拠が示されている。
[ www.asahi.com/special/nankai_trough 2015] には場所毎の到達津波の高さ、到達時間が示されている。例:室戸市24メートル3分。清水市34メートル4分。下田市33メートル13分。高知市16メートル16分。

分かることは、「今後30年間に80%の確率」を言われても、普通の人は動かないことである。
官僚や政治家は動くべきだと思うが動かない。
2035±5年と言われて動かないのは無能と言わざるを得ない。2021.08.18 

高知県、静岡県などの沿岸では、当然、国自治体挙げて、幼稚園保育園,学校,病院などを優先して耐震化、建物の全高層化が進んでいると思っていた。
小規模な避難タワーを作っているだけである。
2021年高知のある幼稚園の避難訓練で、避難に20分かかったと静かに報道された。
予想が発表されて数年、直ちに構想をたて高層化を進めていたらもう建物はできかかっている。
お金より命が重要である。新型コロナよりはるかにこの問題が大きい。

不必要で有害な、外資によるギャンブルを含む統合型リゾートIR実現を止め、国内資本による大地震等の対策として建築の高層化耐震化、インフラの耐震化、国土の強靭化に割くべきだった。
政治、行政、財界、マスメディアの注意の少なさは信じがたい。
膨大な費用がかかるがそれを怠ると回復にその桁違いの費用が掛かり、国土が廃墟になる恐れがある。
関係学会の警告もあった。
反モラルのギャンブルIRに入り込もうとする米中外資が巧妙に議員や官僚に働きかけをするのを防ぎ、国土強靭化を行わねばならない。

大地震予測に対しては、官僚、政権、野党、マスメディアの全てが、無反応で、避難訓練するだけである。
それで「常識」が作られている。
絶望すると同時に、政治への強い怒りと政治の愚かさを感じる。
お金より命
の価値が大きい前提で対策をしないと、結局お金も失われる。

全体を見通す力が全員に必要である。
しかし、特にこの数十年特にこの数年、政界、財界、官僚、マスメディアの水準が、全体を見通す必要なレベルから大きく下がっている。
        (小さな事例だが、民主党政権時代に次官会議が廃止され、各省が全体把握する一手段が廃止された)2021.06.08, 07.08, 11

(1) 今ある水のネットワークは、できるだけローカルに実現され、ビル、家単位で上水、下水処理ができるのがよい。
これは将来の長期の宇宙旅行のための基幹技術にもなる2020.12.20。

(2) やむを得ない水道、電気のネットワークについては、浅い地下に、安全性を確保し世界標準化した配管網を作り、水、電気、光ファイバー網(ガスのネットワークは作らない)などを格納する。
当面の短期的課題だが、家庭などのガスはネットワーク配送でなくLPGボンベ利用が良い。

(3) 橋、鉄道、道路、トンネルなどは、自律的に修理しつつ部分ごとに増改造可能な構造を内蔵し、当面、千年程度にわたって価値を増し続ける構造を実現する。
安全な、交通手段と、橋、鉄道、道路、トンネルなどの検討を一体で進める。

(4) 木造一戸建て住宅についても高層住宅についても、修理しながら増改築し続け、今の数十年程度の耐用年数を千年程度に代え、部分ごとに増改造可能な構造を内蔵し、長期にわたり価値を増し続けることを可能にする。
高層住宅などの一部を「」または公共「所有」とし多目的に活用する。
カジノを含む統合型リゾートIRは止め、技術進歩に合わせ徐々に容積率の増大を図り、地下、土地、建物、上空を一体化し価値増大を図る。
なぜ要らないだけでなく有害なことをやり、必要なことをしないのか。
ともに地価高騰という副作用はある。
しかし、価値がお金だけの場合でも地価が下がり続けるのは良くない。
これは将来の価値がお金を含む大きな価値に変わっても同じである2021.02.14
外国による日本の土地所有が進んでいるのを規制し、土地を「」や自治体が買うことも進める。

(5) 中長期的な海面上昇対策がある。
数十年後に数メートル海面が上昇するなら、その時の対策を見据えた都市づくり,都市全体の高地への移転,巨大船集合による都市化等も検討しなければならない。

(6) 技術進歩に合わせた容積率の増大、地下、土地、建物、上空を一体化した価値増大と防災の実現と合わせ、高知県、東京都等各地に適用する。
カジノIR実現を止める。

今後、財界、国、地方の政治、行政は、AIの支援の下で自律発展し続ける構造を作るように姿を変えた土木・建築が基幹産業 になり、価値は増え続けるようにすることを推進するべきだった。
このためには緊縮財政をやめる必要がある。

これらの要件は、将来数万人を乗せた宇宙船が別の惑星に着くまで世代交代しながら数万年数十万年飛行し続ける時代に繋がっていく。
数百億人を乗せた宇宙船地球号も比喩でなく同じ要件を持つ。

 

2)「国」間の戦いをなくす

ベトナム戦争では百数十万人、イラク戦争で(控えめな数字とされるが)数十万が殺された。

戦争は依然大きな問題である。テロによる死者もある。マスメディア、支配層を構成する政治家、軍部、諜報界の一人一人に、
    1  より大きな全体、より大きな価値、より正しい真実を求め続ける全体志向、
    2  自分を対象化,相対化すること
を求めたい。操作変更の力を持つ者には責任がある。

21)「国」間の戦いをなくす論理

次の1,2が、戦争をなくす論理である。

1  「国」間の戦争は「国」への悪しき帰属がもたらす。
所有が数段階を経て帰属を作ったが、「国」の戦争は、所有を求めて起きているので、所有、帰属双方向一体化が必要という元の結論になった。(5章
悪しき私有と悪しき帰属を同時に止揚し、双方向一体化を目指すしかない。
実現時、お金だけの価値と戦争は同時になくなる。
その時、復讐などの問題も解決する。
同時にこれを可能にした人の論理把握の進展は、人と世界の同時発展の最大の原動力になる。2021.06.29, 07.25, 08.01

2  各国等の価値、利害は対立しているので、それを超える一段上の価値を目指すべきは自明である。
国」をなくすことにより、国間の秘密の必要はなくなり戦争(の可能性)も「国」に関する諜報界もなくなる。
国ごとに利害が違うことによって問題が起こる。
国間の異なった価値観の矛盾の解を出すのは困難で、その解決は「国」をなくすことであることは自明である。
「国」をなくすと今の国は県と同等の制度位置になり、単に「国境」、偏狭な「他国排除の愛国心」がなくなる。
要するに、「国」とは本節の記述を満たし他の国の制約は残るものである。2021.07.07,27
それまで人と同様、全ての「国」は対等で、世界,全体と部分の「国」は同時に良くし続けるのが良い。(4章論理原則)

米中対立などは、資本主義内部の争いである。
戦争するかもしれない一歩手前で止まる状態を望み、表面は「リベラル」のアメリカの諜報界、軍産複合体が「自由主義諸国」のマスメディアを主導している[Tana]
これがマスメディア、支配層の短所の大きな例である。
ポスト資本主義以前でも、戦争を防がねばならない

2019, 20年は、プーチン大統領、習近平主席、覇権放棄のトランプ大統領、一帯一路に賛成しかつ「自由で開かれたインド・太平洋」構想を提唱した安倍晋三総理大臣、という四人が奇蹟的に揃っていた。
この四人の在任中に、覇権主義が大きく弱まる可能性があった。
トランプ大統領の二期目がないと、米軍のイラク、アフガニスタンからの撤退等と並ぶ課題であった北朝鮮問題の解決が数十年単位で遅れてしまう。2020.06.28, 2021.01 
2020年9月安倍総理が退任し、アメリカ第一(覇権放棄),保守の共和党トランプ大統領は、民主党主流、諜報界、軍、覇権支持のリベラルである産業,マスメディアを中心とする軍産複合体に敗北した。2021.05.04 [Tana  http://tanakanews.com/210115trump.htm  http://tanakanews.com/210428mideast.php ] 
田中宇の仮説は歴史と現実から論理を見つけ仮説を作る(論理的網羅も時々している)好例である。

マスメディアと全政党の国家主義、「外部に敵対物を作り自国を団結させる」昔、作られた共同幻想が、邪魔になっている(第一部4.3)。
この共同幻想はお金の問題点を上回る大きさで進歩の足かせになっている。
今の「国」は資本主義が作った「国民国家」で「愛国心」も作られた。
例えば日本の多くの野党やロシアの世論は、政権と違い「北方領土」解決の邪魔をしている。

22) 「国」をなくすことの補足

同時に、ものとエネルギーはできるかぎりローカルに完結するのが良い。
今の「国」の範囲内では外部の助けを借りず安全な生活を確保しなければならない。
「国内」で生活できなければならない。
各「国」は自「国」内で災害処置ができるのが良い。
従来の「国」間の人の永住的移動は従来通り制約を課す。
経済も法も「国」内で完結させる。
AIによる救護必要者、テロリスト,犯罪者の特定、銃器や灯油運搬などの監視と対策を行う。

「国」をなくした場合、貨幣発行、徴税を誰が行うか、要するにお金が生きている間の過渡期のお金の管理を誰がどう行うかが問題である。
当面、従来どおり「国」が貨幣発行、徴税を行い、アメリカのような実体経済の数倍の裏経済をなくす。
実体と連携しない暗号通貨、仮想通貨は廃止する。
さらに「国」間の問題解決(その論理は論理的網羅思考)に武力で抵抗する「国」に対しては、国連を中心に「国」間の利害が対立しない条件を作る。

「国」間等の紛争がなくなるまで自衛隊のPKO等による各国対等の国際協力の強化は必要である。

3) 世界の政治・経済制度

資本主義の正常な発展には、不当な先物取引、株価操作の規制等の厳格な実施等必要である。

政治は経済を支えるために生まれたが、今は邪魔をすることが多い。
資本家と労働者の対立はないが、今は、資本主義内部の政治対立が続いている。2020.11.21, 2021.01.16

間接民主主義には根拠があった。
今、千年かかっても、民主主義国では複数政党制から、一党独裁制の国では一党独裁制から、ともに直接民主制に徐々に移行するのがよい。
このための必要条件は、論理的網羅思考による知力、感性の向上である2021.01.01
民主主義国と一党独裁制の「国」をどちらもなくす。
論理的網羅思考による知力、感性の向上は、独裁国、民主主義国を超えた原理である。
「国」はなくし、今の「国」程度の範囲内でモノやエネルギーは完結するようにする。

直接民主制に移行の時、「国」が消える時、対象化(自由)と一体化(愛)の統一、論理的網羅思考による知力、感性の向上が実現するのは、本来、同時である。

 

4)国内政治

41) 日本の新型コロナウイルスと東京五輪  2021年8月時点

1 現状 
厚生労働省の人口動態調査によると、日本国内で2019年に138万人(一位ガン37万,二位心疾患21万)1日平均3780人が亡くなっている。
2021年7月時点で2020年以来の日本の死者数は1.5万である。年換算で1万日本のインフルエンザ年間死者数この数年の三千数百人(関連死を入れると1万人というデータも) の1−3倍である。
インフルエンザを引くと0−2倍である。
日本にパンデミックはなかった。
新型コロナを、今の指定感染症の2類(エボラ出血熱など致死率が高い伝染病、指定された病院で受診)から5類に変更すると、(酸素吸入、人工心肺装置整備は必要だが)「医療崩壊」もなくなる。 [小浜逸郎「新」経世済民新聞2021.08.27]  
8月19日には出産と指定感染症2類コロナの両方に対処できる病院がないからという理由で、コロナ「感染」妊婦の入院が拒否され赤ちゃんが亡くなった。2021.08.16.19,28

2 PCR検査 
新型コロナウイルスの場合だけ「感染」とはウイルスが粘膜に付着していることで、そのためのPCR検査は、ウイルスの遺伝子を検体から抽出し増幅させ行っている。
PCR検査の指摘されている問題は次のとおり:
   1  他のウイルス(インフルエンザウイルスなど)も拾ってしまう。
      (このため、アメリカCDCは今のPCR検査を今年2021年いっぱいでやめる [nationalfile.com ] )
    2  日米の増幅倍数は40で、多くの非感染を「感染」にする。2021.08.01 [http://tanakanews.com/210424corona.htm 前半、小浜逸郎「新」経世済民新聞2021.08.27]

追記 (高原: 2021.10.29)上記の取り消し線部分は、CDCの2021.07.21発表の
「After December 31, 2021, CDC will withdraw the request to the U.S. Food and Drug Administration (FDA) for Emergency Use Authorization (EUA) of the CDC 2019-Novel Coronavirus (2019-nCoV) Real-Time RT-PCR Diagnostic Panel, the assay first introduced in February 2020 for detection of SARS-CoV-2 only.」[https://www.cdc.gov/csels/dls/locs/2021/07-21-2021-lab-alert-Changes_CDC_RT-PCR_SARS-CoV-2_Testing_1.html]
誤読だった。これに対し、中川徹先生から、CDCが、上記に対して寄せられた多くの疑問に答える回答を2021.08.02に出していることを教えられた。
[ https://www.cdc.gov/csels/dls/locs/2021/08-02-2021-lab-alert-Clarifications_about_Retirement_CDC_2019_Novel_Coronavirus_1.html]
CDCもFDAもアメリカの保健福祉省配下の機関で、実質的に国外にも影響力を持っている。彼らは新型コロナウイルスの正確な検出に努力を続けている)

再追記 (高原: 2021.11.24): 上記の原文の取り消し部を、次のように修正する。
    「CDCが2021年で今のPCR検査の推奨をやめる」。
 その後の著者の最新の考察は、[64] 『永久に未完成の哲学ノート 第二部』 (A5) 第 5 版を参照ください。)

重要なのは死者数である。
しかし何故か、政府とマスメディアは、当初から「感染」者数だけを強調し続け、(死者が減った)2021年7月28日以降は、ニュースで死者数を伝えない日も増えた。

3 事実を説明する仮説  
2021年7月以来の
    A  若い人の「感染激増、
    B  重症者微増で、
    C  死者は2021年5月に一日だけ200人を超え、100人を超えた日は二十数日で、6月最初の三日間死者が100人を超えたがその後6月後半以降死者数は減少傾向で7月以降は1日10‐40人程度と減っている。
      特に7月東京オリンピック期間中は重症者数、死者数(数人の日もあった)とも極めて少なかった。

この、A 若い人の「感染」者激増、B 全体重症者数微増、C 死者インフルエンザ並みに減、を説明するための
事実から
作った仮説は次のとおり。

0 PCR検査:  全く不十分(前述)。(選択基準、増幅倍数が公表されないのも問題)

1 新型コロナウイルス:  当初の α 株は、インフルエンザよりやや強いウイルスだった。
急拡大の変異Δ 株は、感染力は強いが、少なくとも日本においては、例年のインフルエンザと同程度の強さのウイルスである(公表されたものと異なる)。
ウイルス変異は弱くなって生き残り人と共存していく(擬人的)戦略だろう。

2 ワクチン: 本来、重症化は防ぐが感染防止には効かず、究極的に患者がいなくなれば感染はなくなる。

3 新型コロナウイルスのワクチン: α 株を対象にした今のワクチンは有効期限が短い。
Δ 株など変異株には効果が少ない。(公表されたものと異なる)
(データは溜まり分析されているはずなので公表すべき)

4 ワクチン接種: 2021年8月23日までに全体の52%に1度目、40%に2度目、高齢者の多くに完了。

5 日本の治療体制: 他の病気と比較して十分になってきたので治る人が増えた。

6「感染機会」: 増えている。

A「感染」増の仮説は      0, 1, 2(今のワクチンに効果がないか少ない), 4(同左), 6、

B 重症者数やや増の仮説は  1, 3(今のワクチンに効果がないか少ない), 4(同左), 6、

C 死者数減の仮説は       1, 5である。

0, 1 で殆ど全てである。3, 4 今のワクチンは効果がなくなってきている。高年層の初期死者減には効いた。

4  政府、マスメディア
厚労省のクルーズ船対応は基本的に良かったと思う。
その後の今2021年8月までの全体の問題把握,対処に問題がある。
間違い情報が全国に通用している。
ファイザー社の有効性説明は十分でなかった。
ワクチン副作用も十分な論理的説明がない。[大阪市立大学井上正康名誉教授のワクチンの危険性説明 ルネサンス編集部・ダイレクト出版2021.08.31]。
今回の新しい遺伝子ワクチンの安全性、効果、副反応の検証データは今の時点で少なすぎる
。時間をかけて公正な検証を行うのが良い。2021.09.02
本節の参考資料は、厚労省やNHKなどが「デマ」と扱っている情報が多い。
コロナについても、官僚,主流マスメディアは、アメリカ民主党の「リベラル」寄りで、PCR検査についての共和党の主張をデマ扱いする。
真実、デマは、事実にそう書いてあるわけではない。
人が網羅的論理的に仮説を立て検証し長い時間の結果区別が明らかになる(第1部)。
極論だが、それまでは権威による「正論」とデマも、100%、ある粒度で正しい。 2021.09.03

また2021年8月27日に東京都の若者へのワクチン接種会場100人予定に300人が来たという単に予測の間違いを都知事やマスメディアは若者のワクチン希望が多い話にすり替える。(負の論理4章) 2021.08.31

5  今後2021年9月以降「感染」は減っていくか、来年、正しい感染検査体制ができると、騒ぎは終わる。2021.08.24 
2021年から22年にかけてのインフルエンザの死者はゼロになり、肺炎の死者も大幅に減る。
今からでも、PCR検査はやめ、ワクチン接種もやめるか、とりあえず40,50歳以上の大人に限り2021.08.16接触する機会の多い東京,大阪に限定するのが良い。

6  東京オリンピック・パラリンピックは、2015年「今後30年間の首都直下型地震、南海地震予測」が出た時点で、開催を止めるべきだった。
その時なら手順を踏んで中止できた。
2025年大阪万博は、今2021年からでも止めるべきである。
これらは、国、地方の政治、行政、財界、マスメディアの無能さの例である。

今の2021年8月時点では、大会組織委員会、都の努力に敬意を払い、東京オリ/パラリンピックの成功を願う。
野党の中には、新型コロナのため、始まっている7月末時点で中止を主張する政党もあった。

8月オリンピックが終わり、
    1 リベラルマスメディアには、評論家の「復興五輪、コロナに打ち勝ったというのは嘘」、お金中心主義だった,という非難が溢れている。
今の全ての問題は、所有に代わる新しい価値を作ることで、その努力は常に全分野で行うべきである。
    2 同時に
、この機会に、オ/パラ リンピックの精神と競技から最大限を得るべきである。
この二つを両立せず、コロナを理解しない、世論迎合のマスメディア、評論家が多い。

柔道、バレーボール、陸上、体操などで、競技が終わり勝者と敗者がお互いの健闘を讃え合うのは感動的だった。
勝った柔道選手の中には敗者と別れた後に喜びを表す人もいた。(勝った瞬間自分で喜びを爆発させる勝者もいた)
これらを観ることができただけでも、オリンピックがあって良かった。
オリンピック実況報道も、前より良くなった。2021.08.02, 11, 24

7 まとめ;
コロナと、東京オリ/パラリンピックの運営の二つは、
      1 政府、自治体の行政に問題があるが、マスメディア、野党は、さらに悪く、
      2 マスメディアと野党が政権の行動を劣化させ日本を劣化させる典型になった。
再生エネルギー、原子力エネルギーの問題と同様である。
これらは「専門家」の意見に問題のあることが共通している。2021.06.18, 07.30, 09.01

マスメディアの報道、政府、自治体の発表はあてにならず、自分で仮説を作り論理的に考えていくしかない。
2021年のコロナもエネルギー問題も東南海地震への無策もそう考えざるを得ないようにさせた。
殆ど政府、野党、マスメディアの全部が大きく間違っている例であった。

簡単で正確な論理学が必要な例でもあった。2021.07.23, 08.16, 09.01

42)立法、行政、司法

立法、行政は不可分である。
第一に、行政こそ、その運用の中で問題が明確になり、どう立法すべきかが分かる。
第二に、今の日本に限定された話かもしれないが、憲法の言う「立法府の選んだ内閣総理大臣が行政を統括する」ことが実現できるはずがない。
今の内閣総理大臣が行政を統括する内容は、内閣総理大臣が大臣を任命し大臣が行政各省庁の長になることだけである。

本省の課長は、担当分野の日本の総責任者で、都道府県知事や会社トップに命令する権限がある。

立法府は年間百兆円の予算を決めるが、行政府の官僚は年間五百兆円のGDPに影響する責任を持つ。
大雑把だが五対一くらいマスコミ、産業、教育界、学会の各界他社会への影響力が違う。
この影響の構造は目に見えにくい。
事情はアメリカなどでも同様である。[Tana]

立法、行政と(今は行政の一部である検察と)司法の二つの分立も難しい。

検察が実質「支配層」の頂点のように見える。
検察の独立性と客観的正当性を保証する管理が困難だが、今のように、検事総長を任命する法務大臣と総理大臣が選挙で信任を得るのでいいのではないか。2020.07.28, 12.04

日本の憲法を、皆で議論した上で作ることが「右派」「左派」の主張を統合した未来像になる。
努力する過程が歴史を作り新しい未来を作る考え方が入るとよい。

 

43)政権のありかた

個性が花開くまでは、独裁政治は必要だった。
今の「民主主義」は間接民主主義であるが、今の議員、マスメディア、「民主主義」の現状では独裁制を非難できない。
生産労働に直接関わらない政治、行政、マスメディアが実質、支配層を作っているという問題の解決のため2021.04.26、個を確立して行き、議員などをなくし直接民主主義に近づけていくのが良い。

当面は、立法、行政を分け次のようにする。
今の次官を大臣にする。大臣の互選で総理大臣を選ぶ。
省に対応しない大臣は議員や民間から選ぶ。2021.06.19, 08.22 
議員は今までどおりの選挙により選び、立法に専念する。
議員の互選で立法府の長を選ぶ。2021.08.22
個々の立法は、プロジェクト制メンバーにより、行政各部門と各議員、関連分野の「国民」各層のプロジェクトで議論を行う。

マスメディアや官僚、政治家に、製造や農漁業の経験者が皆無で、実体世界の論理の実務経験と感覚がない人ばかりである。
これが支配層の価値判断が正しくない(野党はもっと正しくない)根拠である。
この対策になり、野党の能力向上にも役立つ。
何より民主主義に近づく。

2016年2017年の総選挙前、安倍政権の森友、加計問題も、価値の小さな問題である。
しかしNHKを含めた全ての放送、8割の新聞が安倍政権非難に回った。
(NHK夜9時のニュースの当時の女性アナウンサーが「(安倍政権の)潮目が変わったのではないか」と何度も口にした)
しかしこの直後の選挙で、自民党は大勝した。

この二事件は、マスメディアが、問題は小さいが大衆受けしやすい「事件」が起こると、先頭に立って一斉に大衆の世論を煽る態度になることをはっきりさせた例だった。
当時総選挙が近く殆どのマスメディアは安倍政権退陣を目指したように見えた。
しかし、「成功」しなかった。

次の三つは何度も繰り返し報道された。

(1) 野党の予算委員会などでの長く中身のない政権非難と政権の防戦、

(2) ニュースでの十秒間、顔をアップした野党幹事長,国対委員長の政権非難の一言、

(3) 安倍総理が、加計問題で質問に応え「加計学園理事長とは長年の友人であるからこそ、獣医学部新設について事前に依頼をしたことはない」趣旨を述べた。
安倍総理の発言は、自分は個人的にこういう価値観、倫理を持っており実際にそう行動したという表明である。
これは倫理的に正しく実際も大きくは間違いないと思う。
最大の問題は、この際の、野党大勢の「エーッ」というわざとらしい声である。何度も同じ質問が繰り返され、その度に声の大きさとわざとらしさは増していった。
これは、総理の持っている価値観、倫理を、野党は持っていないと表明し、「総理は実際にその価値観に沿っていない」と述べたことになる。
これらの非難は、言う本人の醜さや組織の劣化をもたらし続けた。
人を非難する時の顔は醜く非難の態度は人や組織の劣化を進める。
さらに与党に問題があるが、野党はもっとひどいという事実とその意識が聴取者に伝わり続けた。
これ は、大きな価値より小さな森・加計・桜問題を大きく扱うマスメディアとリベラル・左派の偽善と傲慢さの典型事例である。2020.10.26

44)地方行政

国だけでなく他に地方の危機管理問題も大きい。
気象予報の精度は格段に上がり発表もほぼ適切に行われている。

しかし2018年7月高層住宅が皆無の倉敷市真備町で住民への避難指示が破堤後に行われる問題があった。
これにより二階に避難できない障害者と平屋建ての逃げ遅れによる死者が五十名を超えた。

地方自治体で行われる避難指示など、自然災害の防災の管理能力は問題が大きい。

私の住んでいる岡山市には高層住宅も多いが、全市民七十万人全員の避難指示が早くから出ていた。
そのため、避難はしなかったが当日は眠れず朝までニュースを見ていた。
次の、イは市の問題である。

(ア) 一戸建てだけの地域と高層住宅が混在する地域では、避難指示の出し方は異なるはずで、殆どは、高層住宅があるところでは低層の住民は高層に、平屋建ての住人は近くの二階建てに避難するようにしておけばよい。

(イ) 真備町の場合、文字通り致命的に避難指示が遅れた。
真備町の場合、五十人を超える死者が出た。
マスメディアは、この大きな問題を取り上げず、避難指示が発令されていても、人が避難しないということだけを問題にしている。
放送を10件ほど見た限り、全国レベルでも、NHKも民放も同じだった。
2019年4月に発表された倉敷市真備町の災害総括で、倉敷市の危機管理担当者の話の一部が報道された。
「避難指示は法に沿って出した。住民の避難が行われなかったことが問題」という発言と対策の一部が報道された。
法を変えないといけなかったこと、危機管理の問題は無視された。全マスメディアが同じである。

(ウ) 50年前から雨の降り方が変わってきた。
当時すでに鶴田ダムなどの過放流問題があった。

数千万トン以上の貯水容量があるダムについては、国管理、公団管理、自治体管理、電力会社管理を問わず、今行われている低水時の事前放流に似た高水時の「事前放流」の見直しが必要である。
       (と、書いていたが見直しは2020年一応行われた)
この「事前放流」の開始時刻、放流量、増やし方は、予測される雨量の時間経過、予想される流入量の時間経過、ダム湖の形によって変わる。
      (昔、低水の事前放流プログラムを作って放流開始時期のシミュレーションをしていた。特許も出した)
したがってその都度柔軟に変える必要がある。
高水時の「事前放流」を含めたダム管理規則、ダム設計時の想定降雨量の設定なども国交大臣主導で見直しが必要である。

殆ど埋まっているダムもありダムの浚渫も河川の浚渫も行う必要がある。

山麓の住宅地での土石流で毎年多くの死者が出る根本対策も必要である。

     

3.3 三番目の重要課題、個の属性:  新しい価値の生き方へ

第三の課題は、対象化と一体化、自由と愛の統一である。

1) 世界共通の課題

「民主主義」国、独裁国双方で、「民主主義」国では支配層と非支配層の全員で、全体と本質を求める指向を持ち、新しい価値の生き方を作り、ポスト資本主義を実現することが課題である。
実現すれば「民主主義」国、独裁国、支配層と非支配層の区別はなくなる2021.05.10,07.23

ポスト資本主義の姿、地球人の多様な生き方を全員で考える。

(1) 今後、AIの支援の下で自律発展し続ける構造を作るように姿を変えた土木・建築が基幹産業になり、労働と各人の教育とが一体になった全産業によって、価値は増え続けるようにする。

これらの要件は、将来数万人を乗せた宇宙船が別の惑星に着くまで世代交代しながら数千年数万年数十万年飛行し続ける時代に繋がる。将来の数百億人を乗せた宇宙船地球号も同じ要件を持つ。

(2) 宇宙開発、惑星への宇宙旅行、移住は、数か「国」毎または国連で行う。

(3) 例えば、日本、韓国、北朝鮮、アメリカ、中国、香港、台湾、モンゴル、ロシア、オーストラリア、ニュージーランドなどの地域連邦制の検討をする。
韓国の朴槿恵元大統領は、2013年4月に東北アジア平和協力構想を発表した。
支配層に嫌われそうな内容である。
アメリカ、北朝鮮、中国、日本を対象とする優れた構想だった。
他にも優れた構想を持つ偉大な政治家だった。文大統領や世論に潰されてしまった。

 

2)基準、まとめ

21)価値の基準

お金は、人の生だけが価値である場合には、(人の生を一律に扱う欠点はあるが)よい基準だった。

当面、下の三つが要件である。まだ十分な答えがない。

(1) 愛と自由という人の属性、価値に、お金という基準は不十分である。

しかし、50年なのか100年なのか分からないが、新しい基準が確立するまで、今の「価格」やお金は、一つの基準として残す必要がある。
次もこれ以前の価値の問題である。

(2) 今の合理的に製品を作る狭い価値を、対象化と一体化、自由と愛、謙虚さと批判の統一が生む主観と客観の一致の価値を含むように広げた基準を作る。

(3) 今の賃労働以外の「労働」である子育て、親介護なども労働と扱う。

22)「国」の新しい経済指標の検討

日本の国の財政収支は大幅な赤字が続いている。
以下を考えれば赤字なのは自明と言って良い。

1 財政収支は、政府の歳入歳出の差に過ぎずGDP五百兆円の入出力には対応しない。

2 資本主義でも、病気治療、親を養う費用は給料に含まれるのは建前である。
戦後50年間に30年寿命が延びた。
この条件に、建前上、老後を保証しなければならず、現に社会保障費が百兆円の歳出の三分の一を占める。
実態がかくも急速に変化しては、如何なる制度であれ実現したはずがない。

必要なのは、今はない「国民の価値」と環境など「対象の価値」の統合基準である。

(1) お金が価値の基準である間は、国の財政収支、国際収支、GDP(国内総生産)、GNI(国民総所得、資産総額、人口、人の能力、「国」の土地を統合的に見て、基準を作る必要がある。

(2) 環境負荷は財政収支では表せない。
環境に有害な化石燃料の購入は国際収支で一部は表せる。
しかし国際収支はある「国」がプラスならマイナスの「国」がある相対的指標であり十分でない。

(3) 将来の価値基準以前に、今の価値基準はバラバラである。
「対象の価値」の指標がない間は、国際収支から該当項目を抜き出しとりあえずこの指標とする。
財政収支改善、財政再建を目標にしない。

23) 資本主義下での対策案と ポスト資本主義までの国の財政収支、個人の家計

土地建物強靭化、高価値化のための土木建築などへの大幅の出費増が必要で、今、年6兆余りの公共投資を、当面、数十兆円くらいまで、毎年2兆円ずつ増やす。
この出費を怠ると日本は壊滅的被害を受ける恐れがある。財政どころではなくなる。

MMT理論は緊縮財政からの脱却の根拠になると思えるが、これによらないなら次のような姑息な対策を取る必要がでてくる。
第一は、赤字を国債発行で埋めている30兆円を、別の手段、例えば前に述べた土地建物などの価格上昇による税収増、高所得企業と高所得個人からの税収増で埋める。

第二は、従来の歳入、歳出に加え、エネルギー源の輸入とエネルギー販売を、国の財政に直結させる。
これは各電力会社の実質国有化になる。

これらは、姑息な案であり、第二は部分的対策に過ぎない。
ポスト資本主義成立までの過渡期は、国の経済と個人の生活が、お金によって運用されなければならない。
前に述べた教育と労働、生活の一体化土木・建築の基幹産業化による「生産力」の増大を図る。
以上は、要件、機能に過ぎない。

新しい原動力と新しい価値による経済を目指す。
「対象化」に関わる「経済」は、従来の「お金」を当面残し、「一体化」に関わる「経済」を、新しい価値を原動力とする模索をする。

本質的価値であれ当面の価値であれ、価値が増え続ける社会にしないと少子化は起こる。
取りあえず、例えば、子供を産み育てる家庭に、一人につき成人まで一律月10万支給する。

当面は「正常な」資本主義にする。
1)不当、不法に「富」を得ることは禁止する。
株の操作、先物取引を禁ずる。不当、不法に得た「富」は没収する。今、把握されていない「富」についても同様

実体と乖離した暗号・仮想通貨の廃止、高額のくじ、ギャンブルの廃止も行う。
これら自体資本主義がもたらしたものでは,ある。
国の金備蓄、国による土地の買い取りを進める。

2)高率の税を取る。高所得者の年金掛け金を増やす。将来「国」の貨幣発行と徴税を見直す。

24)まとめ

日本では、統合型リゾートIRをやめ、学びと労働・生活の一体化、土木・建築の基幹産業化、原発推進、憲法改定、エネルギーと食料のローカル化推進が、緊急を要する重要課題である。

「国」の貨幣発行と徴税を続けながら新しい像の検討を行う。

 


     

4. 情報のインフラストラクチャー1: マスメディア

一般的にマスメディアのニュースに限らず「事実をそのまま伝える」ことは不可能である。

必ず伝える側の常識、世界観、価値観が反映される。

様々な価値による判断があるので、異なった報道があるのが正常な状態である。
しかし日本と欧米のマスメディアのニュースは異様に画一的である。
それに具体的な報道内容の生成過程、取捨選択過程は、明らかにされない。
実質的なフェイクニュース、伝えるべきなのに伝えないニュースも多くなった。
論理的でない文も多くなった。
新型コロナ禍、五輪・パラリンピックでは、どの立場の意見も、データの信頼性にかけ論理になっていない論が目立つようになった。
前からそうだったのかも。

4.1   難しいが独立性自主性を求める

マスメディアには、日本では、NHK、民放などの放送、新聞、週刊誌、それらから取捨選択して掲載するネット上のニュースサイトがある。
報道内容に、支配層、エスタブリッシュメントによってバイアスがかけられる。
その強さ、報道の主体の自主性は明らかにされない。
日本とアメリカの2017,18年は、
        1.このバイアスに二種の領域があること、
        2.マスメディアの報道内容にバイアスをかける支配層が、個々の政権でなくもっと大きなものがあること
を明らかにした年だった。

1 二種の領域とは、国内と国際問題の二つである。

国際問題では、
         1 日欧米でのマスメディアがほぼ同じ論調に統一され、中露などと異なる内容である。
            日欧米と中露の意見を対象化し総合判断しないといけないが、マスメディアはそうしない。
             ウクライナクーデター、シリア問題などロシア側の報道はほぼ皆無である。
         2 かつ、それが、アメリカの軍産複合体(今は民主党)の意見に統一されている[Tana]

2 バイアスを掛けるのが個々の政権でないことは、アメリカではトランプ大統領に対する米のマスメディア報道、日本では、民主党政権誕生と消滅、安倍政権の森友,加計,桜問題などで明らかになった[Tana]。
多くの人が、今の支配層によって作られた常識、世界観の内容に疑問を持ち始めた。
しかし「民主」国は、確立した個の判断によって政権が選ばれ政治が行われるという状態ではない。
官僚を我々は選べない。
政権は選べる。
今の政権を選ぶ最大の要因は(多様な)マスメディアによって作られる世論(だからマスメディアは一枚岩ではない支配層に属する)である。

二番目の要因が「国民」の判断力である。
マスメディア情報が迷う人の意見を左右する。

4.2 客観的な価値判断を求める。
「事件」は限りなく多い。
その中から何を報道するかを選ぶのは、重要さ、緊急さを判断する価値判断であるはずである。
価値の大きなものを小さなものより優先するという意識が少ない。
そもそも価値の判断ができないのではないかという気すらする。

次のような例がある。これが問題という意識がマスメディアにない。

1.小池知事の前の都知事二人が相次いでやめさせられた。
軽微な事件だったにも関わらず、マスメディアと、この二事件の場合は全政党も同期して悪循環で世論を煽り、二知事を退陣させた。

2. ニュース本文だけでなく、権威ある「専門家」の意見と、普通の人のインタヴュー内容も、報道側の意図を伝え、世論形成をおそらく大きく左右する。

原発再稼働に当たっての、NHKの、当の町の人へのインタヴューは今まで例外なく二人に行われ、発言内容は次のとおりである。
まず中年の男性が出てきて「再稼働には賛成、この町の経済に原発は欠かせないからだ」と言い、次いで若い女性が「子供のために原発は不安」だと言う。
確固たる意見を持たない人に、再稼働の理由が地元のためだという印象と漠然とした不安感を与え続ける。
女性の意見は初期には「不安であり再稼働反対」だった。最近は(2018年までだが)「不安だ」までで止まるようになった。同じ内容が、ニュースの度に繰り返される。
これはおそらくNHK解説委員を含めたNHK全体の「常識」によるものである。
2017年後半か2018年に入ってだったか、深夜に原発に関連する解説委員による討論会があった。全員が原発再稼働に否定的だった。

マスメディアには報道内容発表についてISO9000によるトレース記録を行うことを求める。

公表した内容が誰のどのような情報に基づいて得られたものか、必要部門が(一定期間後などの条件付きで)追跡できるようにする。マスメディアから優先的に実施してほしい。

4. 2019年の香港の政治犯の中国への引き渡し法反対デモの模様が大々的に報道された。
「犯罪者が別の国に逃げてきたら元の国に引き渡す」という正当な一般論とどう違うのかは気にしながら見たが、NHKはこれを報道しないので分からなかった。
中国の「自由」に問題はある。
一般論だが、中国の「自由」の問題に匹敵するのが、「民主主義」国の作られた「常識」「空気」、形の上で「民主的」に作られた決定、欧米露等の「民主主義」国諜報界の非合法行為や陰謀の問題である。
その影響下では中国を非難できない。

4.3 全体像を求める

(1) 今、日本では「事件」も「凶悪事件」も、年々減っている。
凶悪事件はたまに起こる。それは大々的に報道される。
これでは、凶悪事件が増え続けている印象を人に与えてしまう。

今の報道姿勢は全ての人に悪影響を与え続ける。凶悪事件は報道する必要があろう。

難しいことだろうが、現実の全体像を伝える努力を求めたい。

第一の全体像は、現実の日常は、実は思いやりに満ちており発展し続けていること。
より価値の大きなものを価値の小さなものより優先するのが初歩的前提である。
変わらず、思いやりと愛が発展し続けていることが、より価値の大きな事実である。
同時に、これだけでは全体像にならない。次の二つがあって全体になる。

第二の全体像は、日々の人の努力が今を作ってきたこと。
第三の全体像は、今の日本だけでなく、世界の日常の問題もより大きいこと。
例えば今の日本のいじめを報ずるとき、過去はどうだったか他国ではどうなのかは、現実の全体像の重要な一部である。

(2) 例えば、マスメディアは、外国で小型飛行機が墜落して数人が亡くなったら報道する。
世界で毎日、健康な人が自動車事故で約四千人死んでいくことは伝えない。

(3) 2018年19年の自然災害について、避難指示が出ているのに避難しなかったという「総括」の報道ばかりである。これは前にも述べた。マスメディアと自治体の危機管理の変革が必要だと思う。

(4) 2018年の船戸 結愛(ゆあ)ちゃん、2019年の栗原 心愛(みあ)さんの死には心を痛めた。
彼女らの日記、未来の自分への手紙などには感動を受けた。彼女らから受け取ったものは大きい。
一方、問題は、生きて行くための危機管理と被告の生き方の問題である。
報道は、児相や被告非難ばかりである。

上の3項は、本質的に同じ問題で関係があり、同時に取り組んで解決される大きな課題である。
マスメディアにも政党にも、高度な判断、総合的判断以前の責任がある。
自分を対象化、客観化し、自分はどういう事実と価値観に基づいた報道を目指しているのか、どのように事実と価値観を見直し続ける努力をしているのか述べ報道するべきである。

放送中は無理だろうが、入手し内容を作る基にした事実の情報を明示して欲しい。
今は、事実も論理もおかしいものが多い。それがほぼ世論を作ってしまっている。2021.07.02
マスメディアの世論調査の項目に国際政治単独の項がない。
日本は米中露と南北朝鮮が隣国であり国際政治の比率が高い。

     

5. 情報のインフラストラクチャー2: 人工知能

(2018年から殆ど変わっていないが、短くした。2021)

AIがインフラストラクチャーになる前に、正しいAIのあり方にしなければならない。

人工知能、AIについては、半世紀以上前、卒論のため、学習理論を勉強したことがある。
当時も昔、何度か、楽観論と悲観論が繰り返されていた。
その後の数十年も、数回、人工知能の悲観論楽観論が、交互に繰り返された。
今は楽観論が主流で、悲観論は使われ方に関するものばかりである。

5.1  AIの現状と欠点:その1  Society5.0の「価値」に疑問:
人が、新しい価値と自分自身の能力を追求し、AIがそれを支援するのが良い

今、日本には公式に2016年から2020年までの科学技術基本計画がある。
         (これは今活きているのだろうか
これに言うSociety5.0、超スマート社会とは、次のようなものである。

「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え活き活きと快適に暮らすことのできる社会」。[STP2016]

形式的、抽象的ではあるが、この表現の限りでは、うまく表されてはいる。
「必要なもの・サービスを、必要な人に必要な時に必要なだけ提供」する問題は、事実から何をするべきかを判断する問題である。

これは人にもAIにも難題である。人は経験で「常識」を身につけ克服している。

超スマート社会の前提に、人の全てが機械によって「監視」されることが必要になる。
Society5.0は当然ながら「監視社会」でないと述べている。
救護必要者、非合法テロリスト、犯罪者の特定、銃器や灯油運搬など危険物の監視と対策のAI利用に賛成する。
社会の安全と個々人の健康のため、世界の全員の常時「監視」を行う。
個人的に、諜報部門を含めた(世界の)全員が常時監視されることに賛成である。
監視者も、被監視者を含む何らかの第三者のチェックを受ける前提で。
       (話がそれるが警察の警察があるように、諜報機関の警察が要る)
理由は単に、マイナスもあるが世界にプラスが圧倒的に多いから。2020.07.28, 2021.07.07

問題は、
         1  「必要なもの・サービス」が何か、つまり「価値」は何か、
         2  それを実現する主体と手段は何かということである。
Society5.0では、いくつもの例が挙げられ「膨大なビッグデータを人間の能力を超えたAIが解析し、その結果がロボットなどを通して人間にフィードバックされることで、これまでには出来なかった新たな価値が産業や社会にもたらされる」とされる。[http://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html ]

Society5.0の「膨大なビッグデータを人間の能力を超えたAIが解析」し見つける小さな価値はあってもよい。
しかしこれは、人が、新しい価値と自分自身の能力を追求し、AIがそれを支援するということではない。
ビッグデータには、価値観によらない人の顔、動作や文字などと、人の今の世界観、価値観によって人が作ったものの二種がある。
後者により、人が描いたような絵は描け、作曲はできる。
しかし、これだけでは、Society5.0が言葉では、「人は新しい価値を求めAIと共存する」と言う「楽観論」とは異なり、必ずAIが人の仕事を奪っていく悲観的社会になってしまう。

事実、AIは、人の単純労働だけでなく知的労働の大半も、どんどん奪っていく、という悲観論が広まっている。
前提に、AI化、ロボット化のほうが、コストがかからないというお金優先の資本主義の価値観がある。
2018年は、これと同時に、労働力不足の対策として、外国人活用の検討、そのための入管法改正も行われた。
全く相反する政策が奇妙に並立し進んでいる。
必ず、人は、人にしかできない新しい価値を追求し、AIがそれを支援し共存していかないといけない。
新しい価値が多くの新しい分野を拓く。
その上で、価値と現実の差の「問題」を、AIと人の協同で解決するという意識が必要である。
「AIが価値を作っていく」という方向が主導することには賛成できない。

5.2  AIの現状と欠点:その2 価値を生むAIと生まないAI

 1)生きることは、無意識に生きていることと、意識的に生きることからなり、ほとんどの判断は無意識に行われ、問題の解も殆ど潜在意識下で得られる。[ES シカフス]
技術は、今まで、人が対象化し意識的に定式化したものを、技術手段にして社会に働きかければ、実現してきた。

人工知能、AI の進歩によって、以上の態度を変える必要がでてきた。
AIを2種に分ける。
       1.顔認識のような新しい価値を生まない場合、今後ともディープラーニングによっていい。
       2.新しい価値を生む場合、解析的手法をAIによって改良することを手段の主流するのがよい。
新しい価値を作らないAIにシンギュラリティはない。
2045年はコンピュータ性能が人を上回る予測に過ぎない。

新しい価値を生まない場合について、定式化抜きの、ニューラルネットワークモデルの中でのディープラーニングが進んでいる。
最近は、ディープラーニングによって、(台風の進路や売れ筋の)予測や(顔や病気の原因の)パターン認識に、有効に活用されている。
これは、人の経験や過去の膨大なデータから、(場合によっては、人が勘によってあるいは無意識に潜在意識化で行ってきたことを)どうしてそういう結果が出るかという内部の論理を知らないまま、(近似的にある確率での)結果を出せる。
抽象化や具体化による定式化は、必要ない。今までにない事態である。

コンピュータにとって、碁や将棋などや魔方陣などのゲームは、抽象化と、ある形への具体化が既に済み、完璧に「単純化」されたところから始まる。
解の「無数の」探索組み合わせを絞っていくことは難しいとはいえ、日常の問題のような、価値、目的、その実現手段についての抽象化や具体化が必要ない。
コンピュータにとっては、「楽」な問題である。

 22018年9月15日、テレビ、NHKスペシャル「人工知能、天使か悪魔か?」があった。

今のAIが「未来を変える」としていくつかの紹介があった。

例1:  今の多くの監視事例から、特定のパターンに合う事例をAIが見つける。
特定の人を膨大な今のあちこちの顔や歩き方の監視例から見つける。
例2: 今のパターンの事象と合うものを、蓄積された過去のパターン事例から、AIが見つけて予測に使う。数理モデルによる計算ではない。
例3:今の台風の規模、周辺の気圧配置、気温、風、水温分布などと似ている過去の台風の規模、周辺の気圧配置、気温、風、水温分布などの事例を探し、予測に使う。
例4:アメリカ、リンカーン市の、二年前からの犯罪が起きる地区、時間を予測する。
例5:今の特定の事例と、パターンと相性が会う事例を、蓄積された事例から、AIが見つける。
           例:臓器移植の相性、結婚相手の相性をチェックする。

しろうとから見ると、これらは、膨大な蓄積データ、高速な処理速度に支えられた処理手段のいくつかの要素の一つに、ディープラーニングのようなAI手法があるだけなので、厳密にはAIとは言わないと思うが、世の中は、そうではないらしい。
例1の顔の特定は、今後ともディープラーニングだけによっていい事例である。
新しい法則の抽出または新しい価値とは一応関係ないからである。
これらは、過去の膨大な事例から導き出した経験則で、「今の大きな価値、目的」を前提にした、予測か「小さな価値、手段」を実現した話である。

例2から例5までは 「ディープラーニングを利用しているが、新しい価値や予測をAIが見つけたのではない」。それを、放送では言うべきである。

本来、「新しい」「法則」情報、価値を、ディープラーニングによらず、他の本来のAIで求める努力を主流にすべきである。
これら本来の新しい価値を生む技術は、内部のメカニズムを分析して技術化して行く従来の技術で、人の思考の進展とその機械化の同時過程である。
今の問題(理想、価値と現実の差)との人の格闘で得られ、厳密な帰納である仮説設定が必要であることを理解すべきである。
その全ての努力をAIが支援する。

3今こうなっている一連の流れを直すのが課題である。
技術者やマスメディアの責任が大きい。

ディープラーニングによらず、本来のAIで求める努力の
第一は、定式化が進む場合で、解が求まるのと、定式化は同時進行過程である。
    解が求まる定式化だけが進んでいる。
    定式化された部分は自動化機械化が進む。
第二は、定式化は不十分で、人は勘で解いている場合がある。
    おそらく、重要な(検証が容易な科学の命題も含め)命題は、潜在意識と意識の中間状態で見つかることが多い。
    その状態の探索は対象化できていない。
    だから、機械にも教えられない。
    粒度の長期、短期、価値の抽象度に応じた、問題(矛盾)定式化を行うことが不得手である。
    ディープラーニングの中身も、個別領域毎の「法則」との統合を進めるのが良い。
    また重要な(検証が容易な科学の命題を除く)命題は、初めて見つけた人にだけその真髄が分かる。
    それは言葉では他の人やAIには伝わらない。

5.3  AIの現状に足りないものの考察

AIについての政治、行政の一元化も必要である。
今は総務省、文科省、経産省とバラバラである。ディジタル省もできた。
エネルギーやAIは、政治家、官僚、マスメディアの特に弱い点であり、意識的取り組みが特に求められる。

1) 進化で失われた力を空間力、感覚をAIで取り戻す

11) 地球上の生命は、数十億年の進化を経て、単純な「知覚、反応」を持つ生命から、進化により、生命の外部の文化・文明に支援された認識と行動をする生命になった。
その過程で失ったものがある。
第1部
で思考が生まれる歴史の中で、言語が生まれる過程を考えた。

哺乳動物の集団による狩りの中には、生命誕生当初の一方向知覚一方向対象変更から進んで、すでに高度の抽象力「空間的判断」力があった。
単一目的に特化されているものの、複数個体間の高度な双方向コミュニケーションと高度の抽象力により、行動の目的の全員の一致、全体の中の自分の位置の把握、高度な超感覚、「空間的判断」による各個体の行動像が、空間的に一瞬に実現される。
これはどれも高度で優れた能力である。
この動物の高度な「推論的判断」は、時間的推論過程でなく空間的な一瞬の判断によるのだろうと思う。
この段階に欠けている知的能力の一般化がどうしても必要だったので、人類は、「空間的判断」力を失う代償を払い、この過程の一般化をし、論理とそれを担う言語を生み、単一目的から全体把握の上の複雑高度な目的、実行力の獲得の方に進んでしまった。
これまでの動物の価値は、生だけだったが、言語、哲学が、生の属性;自由と愛の統一という画期的段階を作ることができるようになった。

仮説だが
    1.失ったものは訓練によって比較的容易に取り戻すことができる。それをAIによって行うこと、
    2.その過程を定式化しAIに実装するのがよい。

後で初等中等教育のところで述べる「空間感覚」や「仮説設定」というサブタイトルの小学生用のテキストの目指すものと合う。

12 解くべき問題は、事実と価値の差である。

価値は、1.身体性と、2.感情、感性、3、論理学・(世界観)に相互規定されている。

1 今のAIに明らかに足りないのは、
    1 生身の知覚、
    2 生身の感情
など生身の外界が価値に与える影響の把握である。
当然だが、今、機械は、これらを体感できない。
身体性と感情、感性も、論理と同様、あるいはそれ以上のそれによる抽象化、具体化が、価値に影響している。
感性、感情の課題は、本稿で扱わないが、その意義は、論理、知性以上に大きい。
五感の一つ一つが人類の全歴史を総括し抽象化した全人間的知覚である。
例えば触ることは、力学的感覚、化学的知覚、温度感覚などの綜合感覚である。
単一感覚に近い聴覚でも、音の情報を耳から聞くだけでなく、全身の音圧でも、周りの雰囲気でも聞いている。

体感の個々の要素を定式化、数量化して、それを機械に教えることはできる。
そうすれば、その要素は、論理と同様、いくらでも人に近づけ得る。
これを複合化して、機械の知覚、外界への働きかけを実現することも実現は進んでいる。

それでも、人の知覚、生身の感情、生身の外界への働きかけを、機械が体感できないことに変わりがない。
機械の模擬知覚、模擬操作と、人の知覚、操作の差は何か?この差を大きいと思うか小さいと思うか?
「何かおかしい」という人の論理的と感覚的の把握を総合した感覚を、機械は、今は対象化も体感もできない。
また、人が探さないといけないのは何かを知ること、新しい概念、新しい法則を発見すること、一体化を理解させることも、今のところ機械にはできていない。

2    1.身体性と、
       2.感情、感性、
   3、論理学・(世界観)
に相互規定されている価値の全体は、機械に把握されてない。
価値と事実、その差異が生まれていくという意識が、AI技術者やマスメディアの中にない。
感性、感情は、常に知性、論理に勝つ。
これは、自明であると思っている。
今も変わらず、人は、人の作ったものより、上位にあり、常に人の作ったものを超えていかないといけない。

2)新しい価値を作り、価値と現実の差を埋める

生きることは「価値、目的を実現するために、現実を変えること」という仮説を持っている。
思考は、価値、目的を実現するため行う。
しかし今は、AI技術者に、人類の求めている価値は何か、それに対して現実はどうなっているかという意識がないように見える。
価値体系の全体像、それに対する現実の全体像、あるべき価値とそれに対する現実を埋めていく姿勢がない。 ニーズ指向がない。
これで、今のAIは今の価値の延長上で人の仕事のAI化を行うだけになっている。

人類の求めているものは、価値(観)の体系になっている。
「種の存続−個の生−個の属性」である。
個の属性(対象化、一体化)には複雑な階層構造がある。

また「価値―目的―事実(の属性)」という系列がある。

この属性の階層構造を、人工知能に教えるべきであろう。
第一部第1章
で、これらが徐々に分かれていく歴史の仮説を述べている。
これらの差の歴史は、抽象化と具体化の歴史である。
人の不得手なことが、そのままAIの弱点である。
人が考えるとは、ほとんど、複数の事柄が両立する粒度を見つけることに等しい。
複数の矛盾が同時に成り立つということは、各矛盾の全ての時間、空間、属性の粒度が両立するということである。
しかし、人にも、この意識がない。
したがって、人もAIも、粒度に応じた事実の認識、目的(価値)と手段の仮説設定、手段の課題の解決、仮説検証が不得手である。

3)抽象化、具体化による粒度の特定、定式化

認識についても、抽象化が不得手である。
例えば哲学(世界観、方法)の認識が不得手である。

価値について、機械には、価値や、価値と現実の差の確定に前提となる抽象化、具体化による粒度の特定、定式化が不十分である。
2018年の10月の一、二週間、福田ちはるさんと、中川徹先生を交えたメールのやりとりをさせていただく中で、初歩的なことを見逃していたことに気づいた。

ある時、福田ちはるさんが、子供に「抽象化」を教えるのが難しいと言われた。

それと私が「抽象化」の重要さに気づいたのが同時だった。
論理に、いわば、横の推論というべき従来の推論と、いわば、縦の抽象化具体化の二つがあることに改めて気づいた。

価値、目的を管理するのは、主に、抽象化、具体化という縦の論理、粒度である。

中川徹先生の「六箱方式」[Naka-2019]は「抽象化具体化」と推論の同等の重要性を、初めて明示的に述べた理論だった。
抽象化、具体化という縦の論理と、推論という横に進む論理の歴史が、歴史である。
知覚、感性、感情の変化の歴史ではない。
抽象化、具体化という縦の論理、粒度によって作られた、古い「価値―目的―事実(の属性)」が、推論という横に進む論理により変更され、新しい「価値―目的―事実」ができあがる。
この繰り返し過程が歴史である。

碁や将棋やゲームは、コンピュータにとっては、抽象化、具体化が済んだ問題である。
今のコンピュータには粒度の意識がなく、横の、推論の論理しかないように見える。
今は、コンピュータに、少なくとも最初は価値、粒度を提示しないといけない。

しかし、価値、粒度を対象化できず意識できていない人が多く、十分に、価値の体系、価値の原理、原則、粒度の原則は提示されていない。
つまり、論理、方法には、従来の(演繹、帰納、)仮説設定という推論と、抽象化と具体化という、全く扱い方を変えないといけない二種があるのに、前者だけが論理、方法だと(AI)技術者は誤解していたのではないか?

知性も(感性も)全面的に、人生の発展段階に応じて発展させることできていない。

常識と異なると思うが、人の能力の発展が経済発展の最大のキーでもある。
知性を、関連する感性、世界観の全体の中で位置づけておくことが必要である。
人または集団が、独自の知性の判断力を持ち、判断力向上を行うことは、それ自体大事なことである。
それは、二つの理由がある。

(1) 今の教育が、人の能力を全開させるものに変わり、人とオブジェクトの価値を増大し続ける内容に変われば、人はAIを使いながら努力し続けることができ、経済も正常に発展し続ける。
人の能力の開花を目指す教育が、AIの支援によって持続的に発展し続ける土木・建築と並んで、経済の根本的成長の力になる。
労働や生活が、教育、学習と一体化し、お互いがお互いを向上させるようになる。

(2) 必ず生じうる機器ダウン時の対策のためにも必須である。

5.4  今後のAIの可能性1:  身体性と感情、感性の実感

知覚のいくつかがセンサーとして機械化、代替されている。
個々のセンサー、アクチュエーターの統合、複数の知覚の統合が行われ始めている。
人の知覚を機械は体感できない。
体感の個々の要素を定式化してそれを機械に教えることはできる。
人の論理的感覚的把握を総合した感覚が対象化できない。
これも論理的感覚的把握を総合した感覚の対象化を一つ一つやっていくしかない。

欠点を解消できれば人工知能に次のような可能性がある。
人工知能とそれによるVRで人に「実感」をさせる。
例えば、人は、数千年前の物々交換時にはあった感動を今は実感できない [THPJ2012]
VRによる人の「実感」の利用方法として、人類の始めての物々交換体験のシミュレーションなどが考えられる。

共同の世界観、価値、人の労働と生活における生き方、共同の目的、解く問題の決定は、複数人と人工知能が共同で行い続け、集団内で合意するのが良い。

5.5  今後のAIの可能性2: 粒度特定の定式化とその支援

(1) 網羅データベース、ニューラルネットワーク

個人の思考、集団の議論支援を、網羅データベースと人工知能で行う。
論理的網羅思考の実現は個人の手に負えないかもしれない。

欲しいのは、ある粒度での網羅のデータベースである。
その中からの選択は人または集団に任せる。
集団での合意が必要なテーマは多い。ほとんど全てかもしれない。
論理的網羅思考による議論が必要である。
その際、個人は、手元のPCなどで網羅された中から選んだ粒度間の論理を展開する。

AIの実現手段であるニューラルネットワークで、入れ子、階層構造などを実現する。

超格子やFractal構造の入れ子や階層構造のニューラルネットワークを作る。

(2) 粒度特定の定式化と支援

人工知能に今の問題に必要な認識、変更の粒度を特定させる。
複数の矛盾モデルの集合体からなる問題の、複数の矛盾が同時に成り立つ粒度決定を定式化する。
複数の矛盾が同時に成り立つということは、各矛盾モデルの全ての時間,空間,属性の粒度が両立するということである。
あるいは、定式化と解が求まる同時進行過程を定式化する。
話題の粒度の歴史を網羅,総括し,問題を提起する。

1 あるべき価値体系の全体像、それに対する現実の全体像、今の人工知能の全体像を明らかにし、それらを求めていく。

時間,空間,属性粒度を自由に管理し問題(矛盾)を定式化させ、扱う領域を拡大させる。

2  あるものの全ての領域の全体の中の位置を認識させる。
あるものと他との関係も認識させる。
目的価値と手段の仮説設定、手段の課題解決、仮説検証を行わせる。

3  抽象化を行い、普遍的な法則、ラングランズ問題、超原理論等を検討、発見させる。

4  人の今の努力が世界と歴史の全体に繋がる生き方を提示させる。

5  新しい価値を実現する制度を提示させる。

新しい方法、モデル化の網羅的検討をさせ、問題(矛盾)定式化をよりよくさせる。

これらが今、人が必死に取り組んでいること、取り組むべきことである。

それを支援すべきである。
価値の原理・原則の定式化をする。
これらは、人にとっても課題である。
課題の相対化、対象化が必要である。
ポスト資本主義を作り新しい価値を作っていく努力がAIにも不可欠である。
今は、AIが人に代わる話だけになっている。
AIは、論理的網羅思考による定式化により高度化して行ける。
人の思考力はAIに勝り続けて進歩して行ける。

 


     

6. 教育のインフラストラクチャー

(2018年から殆ど変わっていない。2021)

6.1 全体: 労働や生活を教育、学習に

支配層が、現実や、価値,未来への展望をとらえきれていない。
それで今のマスメディアと初等中等教育になっている。
初等中等教育の全面変革がおそらく世界的に大きな課題である。
今の教育が、今の「国民」、政治、経済、マスメディアを作る。
人の作った何事にも完成したものはない。
根本を決める哲学でさえ、作り続けられる仮説、虚構である。
教育は、常識、世界観、価値観を作る大きな要因である
識、世界観、価値観の枠組みは、主に学校、親の教育、マスメディアが作り、日々に起こる事柄については、主にマスメディアが提供している。

労働や生活が、教育、学習になり、お互いがお互いを向上させるようになり、社会の価値が増していくようにすることは、はじめても、十年、二十年かかる。
うまくいかなければ、経済成長は起こらず、人の生き方も今のままで、相変わらずいじめや犯罪、少子化も解決しない。

感性や論理の力を増す教育が、経済の個々の産業の根本的成長の力になるようにする。

哲学、論理と感性を増す生き方、認識でき発表でき世界を変える生き方を身に付けさせることが必要である。
そもそもこれができないと、大学無償化が実現できたとしても、今と同様、大学で学ぶ力のない人が生まれてしまう。

今の教育が、人の能力を全開させるものに変わり、人とオブジェクトの価値を増大し続ける内容に変われば、人はAIを使いながら努力し続けることが可能になる。

企業の場合、全員が正規従業員になり、経済も正常に発展し続けるようになる。
今は、最低、夫婦の片方が、正規従業員でないと老後破産する実態がある。
企業が正社員を増やすためには、企業にとっては、退職金、企業年金などの負担に見合う社員であることが必要である。
社員にも努力をし続ける力が必要である。
年金の統合も必要である。

今の教育の実質無償化への取り組みで、大きな課題が解決される方向ができたと思う。
2018年19年の安倍政権の功績である。(初等教育の問題はある)

6.2 初等中等教育

以下、初等中等教育の問題だけ述べる。
今の初等中等教育の問題は他の問題より大きい。

労働や生活は、本質的に楽しい。
自分と他の価値を増すことは楽しいからである。
しかし、教育、学習は、自分を高めることは明らかだが他を高めはしない。
これが教育、学習の過程の難しさかもしれない。
せめて自分を高めることが、将来、他をも高め、教育,学習の喜びを特に初等中等教育で実感させることが望まれる。 2020.02.20

日本の今の特に初等中等教育は、抜本的改革を必要としている。
宇宙、生命の新しい発見は初等中等教育の内容を大きく変えている。
これに対応した新しい論理学、世界観、生き方の教育も必要である。
現にIQ [http://tanakanews.com/190528iq.php] や「平均学力」で、シンガポール、中国都市部、韓国、台湾に後れを取りつつある。
今の日本の教育は、他の先進アジア諸国に比べても遅れてきている。
この傾向は進んで行く。
「他国」に「負ける」ことが問題ではない。
初等中等教育がアジア先進国に対して遅れ始めているのに、英語やプログラム教育だけが話題で、肝心なことが何もなされていないことが問題である。
        (一部ではP4C「子供のための哲学」の運動も始まっている。2020.04

教育の目的は、
         1  全体の知力、感性の向上、
         2  個人の能力を伸ばせるだけ伸ばす
という二つがある。
この両立が必要である。

国政と地方の与党、野党とも、問題を認識していないこと、解決しないこと、対案が出ないことの責任がある。
野党は教員の数を増やせと言うだけである。
教育に限らず全ての問題に、内容の改善が第一で、条件の改善は二義的である。
小中高の学校教育の内容は、ほぼ100%、行政と政府、彼らが選ぶ教育学者、「学識経験者」が主導的に作っている。
物事を現在の姿にした当人が、現在を根本的に変える案を出せるはずがない。
根本的変革は起こせない。

初等中等教育の目的は、
         世界の事実がどうなっているか(世界観)、
         認識や事実変更をするために世界に対処していく力(論理と感性)をつけ、
         生き方を身に付ける
ことである。

今は、中央教育審議会、科学者、教育学者、文部科学省の官僚が、初等中等教育の学習指導要領と教科書を決めている。
これを変えないと教育は変わらない。
教育の内容が第一で、その前提で、第二に、生徒と親などの問題、第三に、教える先生の問題もある。

(第一:教育内容)

小学校(と一部中学)の内容をいくつか述べるにとどめる。
今は、必要な内容が不足し、かつ要らない内容が多い。
今の内容を八割方入れ替える。

1 感性、感情は、論理以上に重要である。
人は感情と論理で生きている。
そして感情は、常に論理に勝つ。
感性、感情をとおしてでないと如何なる論理も物事も身に付かない。

初期に、感動とその表現の方法を教え、それがコミュニケーションの始まりであることを教える。
内容のかなりの部分は、詩、小説や絵、映画、音楽、演劇、コント、アニメなどの芸術を、見聞きすること、作ること、その感想を書く、述べることに割き、先生と生徒が共に学ぶ。

これらは、抽象化と具体化を繰り返してできた。

2 体育、図工の内容は省略する。
音楽の、民謡、歌謡曲などの日本音楽や、世界の民族音楽、ポピュラー音楽の比重を高める。

3小学生のための「哲学(世界はどういうものか=世界観、世界をどのように見ていくか変えていくか=方法)」を教科書にまとめ、先生と生徒が、共に学ぶ。
中川徹先生のhttp://www.ogjc.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jlectures/jRubinaCIDBook/jRubinaCIDBook-index.html に載っている「子どものための創造的想像力の開発(CID)コース (小学校1-3年生向け) (Natalia V. Rubina (ロシア)、英訳Irina Dolina)」に福田ちはるさんの和訳 [HKD]がある。小学生のための「哲学(世界はどういうものか=世界観、世界をどのように見ていくか=方法)」の入門になっている。

読んでいて感銘を受ける。
属性の階層、抽象化、具体化は不十分である。
新しい教科書もほしい。

4)思考は、抽象化、その結果による推論(仮説設定)具体化である。

論理1  抽象化、具体化の方法を先生と生徒が共に学ぶ。
            今、意識して十分に教えられていない。

抽象とは、事実、物事という全部からその一部を引き(抽き)出すという簡単なことである。
しかし、それゆえ、場合に応じた正確な抽象化は、概念的な物事を成り立たせている要素(物事を扱う空間範囲と時間範囲、その属性)の把握と、事実をどのような価値においてとらえようとしているかという態度に依存する困難な作業になる。
これら態度なしに思考は不可能である。
実際、世のほとんどは、抽象化も推論(仮説設定)もなく、思い込みの自説を、自分に都合の良い例を挙げて説明する文が続いて行く。
この改善は個人と社会を大きく進歩させる。

抽象化、具体化には無数のやり方がある。
抽象化具体化を教えるのは難しい。
これをどう教えるか。その具体例を繰り返すしかない気がする。俳句や短歌が良いかもしれない。

宿題やテストのような個々の問題を解くことの「意味」が今は生徒にとってはつまらないものになっている。
それに問題の意味が分からない子が多い。
これは、文や語の抽象化具体化の程度=粒度が分からないか、文間の関係、全体の構造が分からないか、その全部である。
語の粒度、文の粒度、文章の全体構造は同時に分かる。

2016年、孫が小学校6年だった時、正月休みを中心に一時期だけ、勉強を教えに通っていた。
その中で、算数に次のような「問題」があった。
      算数の問題の一部:
      「家から駅まで1.2キロメートル、駅と郵便局は0.4キロメートル、郵便局と家は1.4キロメートル離れている。
       この三つの全部を足した距離を「1」としたら、家から駅まではいくらか?」
これには、有次元の数を無次元に変える、しかもその数の総和を1にするという正規化の二段階からなる高度の抽象化操作が必要である。
これをどう教えていいのか分からなかった。
この抽象化操作が分からないとこの問題は解けない。

比喩は、抽象化と具体化の往復を含む高度な概念である。
おとぎ話や聖書は、比喩の物語である。
おとぎ話の元の形を読むことは抽象化に役立つ。

中学でマイナス×マイナスがプラスになることを教える。
なぜそうなるか私はうまく説明できなかった。今ならプラスになるという仮説だと言う202103.15
それ以前に0やマイナスの数の本質、掛け算足し算ができるのはどういう場合かなどを教える必要がある。

論理2  仮説設定を、先生と生徒が共に学ぶ。演繹や帰納ではない。

小学校低学年からの「宮本算数教室」、「天才脳ドリル」などの「仮説設定」「空間感覚」(こういう名前の付いた分冊ができている。)で全体の把握力を身に付けることは有益である。
子供はどんどん伸びる。
「宮本算数教室」、「天才脳ドリル」の小学校上級のドリル(出来は良くない)は、当時、小学生の孫は、難しいなりにやればでき、できれば達成感があったらしい。
私には小学校高学年用は難しくほとんどできなかった。
これらを小中学校に取り入れるべきである。「学力」向上にも資する。
日本は、韓国に比べて全体把握が弱いという「学力調査」の結果も2,3年前にあった。重大である。
どういう対策がとられたのだろうか?

5 国語、数学(算数)、公民は現状を改良して、ほぼそのままとする。
但し今は国民年金掛け金を払う人が実質4割である。
中学卒業までに社会保障制度がきちんと教えられていないのではないか。
そうであれば公民教育の大欠陥である。
人の努力が制度を作ってきた。これからも皆で努力して作ることを教える。

6理科と社会(公民は別)を統合し、自然と人の文化の個々の物ごとの始まり、感動、その後の運動と構造、それらを貫く論理を、先生と生徒が共に学ぶ。
個々の物ごとの始まりとは、宇宙、地球、時間、空間、生命、植物、動物、言葉、道具、火の利用、物々交換、お金、論理、国、戦争、政治、宗教などの始まりである。
人類世界の文化・文明の歴史の記述の基本は、本来、道具、言葉、火の利用、農業革命、物々交換開始の叙述に続き、最も初歩的な四大文明における「生産の体系と運用、経済・政治・宗教制度、行政機構の複合体」の形がどのようなものかを述べ、その形と運用がどう「論理的に」進んでいくべきであり「実際に」どう進んで行ったかを述べればいい。

過去の歴史に「もし」はないが、歴史学に「もし」はある。
「論理的に別の方向に行くべきなのに別の方向に行っていた、正しい方向に行ったらどうなっていたか。正しい方向に行くにはどうすれば良かったか?」という問いを出し、今に活かす教訓を出すことが必要で可能である。
歴史学とその叙述は、このような論理歴史学であるのが良い。
思考の歴史、論理の歴史も小中学で教えるのが良い。

日本史、世界史なら
        1.宇宙の誕生、地球の誕生、多様な日本の自然を概観した上で、縄文時代弥生時代の生活の状態を述べ農業と物々交換による人々の生活を述べ、
        2.それ以降は、文化・文明の誕生時代のその内容を述べ、
        3.以後、それをどう向上させていったか?という論理を理解させる。

エッセンスのみに絞り、今の一割程度に減らす。
今の小中学の歴史教科書の実際は、人物が起こした事件の羅列があるだけである。
今のような内容の歴史は、無駄であるだけでなく有害である。

(1) 2015年の小学校5年の理科教科書の例だが、宇宙の始まり、その後の太陽、惑星の始まりも書いてない。
生命がどうして生まれたか書いてない。
植物、爬虫類、哺乳類の関係が書いてない。
まだ研究途上であり「定説」を教える難しさはあろう。

(2)  減らした分のいくらかの時間で、宇宙、地球、時間、空間、生命、植物、動物、言葉、道具,火の利用、物々交換、お金、論理、国、戦争、政治、宗教などの始まりと歴史を教える。
ほとんど何も分かっていないことを教える。
小中学の理科、社会はこれだけで良いと思う。

(3)  地球の歴史、他生命との関わり、人の努力で今があり、これからもそうであることを教える。

教育の全体を変えないといけない。
その上で英語もプログラミングもよい(但し、プログラミング以前に抽象化、具体化の力が重要である)。
残念ながら絶望的である。
だめな教育が、だめな「国民」、支配層、マスメディアを作る。
特に、日本の初等中等教育は、教科書を含め、取りあえず十年、二十年かけて当面の改正を行い、長期的には数十年かけて、ゼロから根本的見直しを必要とする。
小5、小6の日本史、理科の一部の廃止はすぐにもできる。

(第二:生徒の問題)

第二は、生徒の生き方の問題である。
正しい生き方がないと生徒のいじめや学級崩壊が起こる。
これらは、起こす側の防御手段として起こっている。

(第三:親、自治体などの問題)

上のような変更が行われようが、残念ながら今のままであろうが、次の努力は必要である。

人は無限の可能性がある。それを伸ばす後押しをするのは周りの人の責任である。
子がどう学んでいるか、必要なことが子にちゃんと伝わっているかどうかは、教師だけでなく日々親などが気に掛けることが不可欠で、問題があればサポートが必要である。
例えば勉強については、宿題とテストについて本人が分からないところを個々にサポートすることが大事である。一日30分ですむ。
これができていないと、生徒にとっては宿題とテストの意味がない
小学校4−6年が重要である気がした。
ちゃんと自分で解いているか、どう解いているかは、大人が10分見れば分かり、指導に数十分かかるが、先生は、その細かなチェックを毎日数十人分行うことはできない。

誰か(多くの場合、親)が全ての子に対して、子が自分で生き方を身に付けるまで、個々の子に対応した生き方を教えることが必要である。
これができれば、前に述べた「少数が多数をリードし世界が回っているという原理」を壊すことができる。
できないと同時に行うべき教育内容の改善も不可能になるかもしれない。

私は、昔、小学生だった子とは離れて暮らしていた。
孫、結菜が小学校入学前の1年半ほどは近くに住んでいた。この1年半、結菜を保育園から迎えに行き夜9時までと土曜を一緒に過ごした。
結菜の感性、論理をどう伸ばすかに専念した1年半だった。
しかし、結菜は小学校入学と同時に遠方に引っ越してしまった。子、孫とも、必要な時に目を掛けることができなかった。

特に上に述べた時期、小学校4−6年に目をかけることができなかった。

当時は小学校4−6年教育の重要性の認識が足りず努力が足りなかった。

今のテスト、宿題のあり方の検討が必要である。
国の問題が大きいが自治体でやれることもある。
麹町中学の変革例などを報道で知った。野党がこの問題を取り上げないのは不思議と言うしかない。
教師の労働条件の問題ではない。教育内容の問題が第一である。
全体に、条件の改善は本質的でなく、内容の改善を要するのは多くの問題と同様である。

2015年と2016年の二年間、「国政モニタ」制度で、毎月二件(2016年は三件)ずつ、(戸籍上の名で)意見を送り続けたことがあった。
当時、孫が小学校生だった。教科書、学習指導要綱にも目を通した。
小学生の授業の内容についての意見が半分くらいだったと思う。

 


    

編集ノート後記 (中川 徹、2022年  1月  6日)

ここには、いくつかの論点を記述する。ただし、意見の違いだけを記述するのは、全体的な評価を歪めるので、賛同する面も書く。各項の始めの部分が著者の考えの要点の紹介。「----」以後の記述が中川の所感である。

1節: ポスト資本主義

「お金だけが価値でないポスト資本主義を意識し、いまするべき準備をする」
---- この目標は非常に大事だと思う。「ポスト資本主義」という言葉を最近ときどき聞くが、このように大きなスケールで明快に提言した人を他には知らない。

2節: 保守と革新

著者は「保守とは、常識を変えない態度と行動、革新とは、常識を変える態度と行動である」と定義する。
---- 確かに、基本的な態度と行動の違いである。

著者は、「マスメディアが世論を誘導しているが、その内容が正しくない・本質でない」といい、「2016年頃から、劣化が加速している。森友・加計問題への批判は、小さなことで政府を批判している」という。
---- 安倍首相に忖度して官僚が文書を改竄し、首相が偽りの国会答弁を繰り返したことは、民主主義にとってはやはり大きな問題である。著者がこの第二部全体で、安倍首相への批判を一度も述べないのは、「大義を小義に優先する」原則に反している。「政府もダメだが、野党はもっとダメ」という論法が出てくるのも、問題のすり替えの面があると思う。

3.1節 : エネルギー問題

エネルギー問題は確かに大きな方針選択を必要とする問題である。
化石燃料は早晩(あと数百年で)枯渇する。
---- これは確か。また、物質的な原材料としても貴重。

再生エネルギーには頼れない時がある。夜や雨天などの短期だけではない。地球規模の大災害もある。(500年の1度ほどの確率で、巨大隕石衝突、太陽嵐、巨大カルデラ噴火など)と著者はいう。 
---- 再生エネルギーの出力を得られない状況が、短時間/短期ならバッテリーや代替法で対応できるが、月・年単位になるとどうにもならないだろう。 しかし、再生エネルギーは、平常時のためには、最も優れたエネルギー源である。著者が言うよりももっと広範囲で設置するべきだと思う。

原子力発電: 著者は、「これのみが常時運用できる基幹エネルギーである。だから、いまから大いに開発・拡大すべきである。 安全性、核のゴミ処理、核燃料リサイクル、小型化などは、技術で必ず改良できる(だろう)」と著者は言う。
---- 安全神話が崩壊したのは、技術論だけでは安全が確保できない、人為的な見落とし・ミスが事故を招くからである。 廃炉処理は(事故でなくても)その場での石棺化が必要かもしれない。核のゴミは膨大な量になる?また、「超小型核融合炉」は幻想であると思う。

---- 本節および他の多数の所で、人類にはどうにもならない規模やはるか将来の「災害」への備えと回避策が言及されているのは、良くない。本稿が大事にする「論理性」を損なっている。 「地球に落ちてくる小惑星の軌道変更や爆破に、核爆弾使用は案として検討されている」、「核エネルギーが津波防止など災害を防ぐ手段となる場合もありうる」などの記述は、有効性が考えられない夢想であり、「将来の太陽消滅への対処のためにも原子力発電は必須である」というのは、論外である。別のところで著者が書いている「将来数万人を乗せた宇宙船が別の惑星に着くまで世代交代しながら数万年数十万年飛行し続ける時代」という想定も意味を成さない(実施できない、たとえ試行してもたちまちに失敗する)。

---- 地球規模の自然災害としては、(当面の)人間活動による温暖化による気候変動の他には、数万〜数十万年のスケールで考えたときに、間氷期/氷期の(ほぼ10万年の)サイクル、カルデラ噴火、大規模隕石衝突、磁極の反転(磁気の弱化)、太陽嵐などがある。これらの大部分は、そのメカニズムがよくわかっていず、偶発的であるが地球歴史的・確率的には大いに予想される。(大きな規模の事象だから)その予兆をできるだけ早くに知り、事態の展開を想定したうえで、それぞれに具体的な対応を考えなければならない。核爆発が有効なケースはないだろう。原子力発電が有効・必要なケースはあり得るが、その時の状況は現在の状況とは全く違ったものであるだろう。長期的な状況変化に応じた方針変換をするのがよい。その意味で、現在、原子力発電の研究・技術開発は継続するべきであるが、実用を拡充する段階ではない。本当に必要となり、安全性が改良された将来の段階で実用を拡充するのがよい、と私は考える。

3.2節: 日本での自然災害

日本の自然災害のうち、大地震とそれに伴う大津波は、東南海、北海道・千島沖、などで確実に(必然的に)起こる。首都直下型の地震の時期も近づいている。その(防災)/減災の対策を急がねばならない。
---- これらが起こることは必然であり、時期(中期、数十年)や規模や状況の予測は随分明確になって来ている。短期(1年程度)や直前(数日〜数時間)の予知の研究はまだまだである。人間ができることは「減災」だけで、長期的対策と直前/直後の対策(とそのための備え)である。著者は、長期的対策としての土木・建築事業(国土強靭化事業)を提唱している。問題は、そのためのビジョン作りであろう。東日本大震災後の各種の復興事業をも再検討して、いろいろ想定される場合に有効であり、かつ過剰防備でないような、新しいビジョンを作らねばならない。
----昨年末の日本地震予知学会で、榎本祐嗣信州大学教授の発表があり、大正関東大震災のときの被服廠跡での激甚火災(死者3.8万人)の真の原因が、「地割れと共に上昇したメタンガスが地上に滞留している所に、岩石破壊による電気火花が着火し、爆発炎上した」ためと結論した。安政江戸地震と大正関東大地震とで、地震直後に火災が同時多発しており、その地域分布は酷似しており、地下に広がっている南関東ガス田に起因する。だから、近く予想される首都直下地震でも、同様に同時多発火災が懸念される、という。どうすれば、減災できるのだろうか? いままでよく検討されていない難題である。

3.2節: 国際問題

「国」間の戦いをなくす。そのためには「国」をなくす。
---- EUがある程度それを志向している。しかし、世界規模ではまだ夢にも昇らない。大きな困難な問題である。

3.2節: 日本の新型コロナウイルスの問題 

---- この問題については、10月下旬以来、中川と著者で以下のように何回かやり取りがあった。

著者 原文(2021.10.14):  PCR検査の指摘されている問題は次のとおり:
   1  他のウイルス(インフルエンザウイルスなど)も拾ってしまう。(このため、アメリカCDCは
     今のPCR検査を今年2021年いっぱいでやめる [nationalfile.com ] )

中川 (2021.10.27夜):  新型コロナの PCR検査に関する 「CDCが打ち切り決定」と言うニュースは 「誤情報である」というファクトチェック記事があり、削除または訂正の追記を入れるのがよいと思います。

著者 (2021.10.28):  下記のウェブサイトが偽サイトでない限り、大きくは違っていないと思います。
[https://www.cdc.gov/csels/dls/locs/2021/07-21-2021-lab-alert-Changes_CDC_RT-PCR_SARS-CoV-2_Testing_1.html  nationalfile.com ]

中川 (2021.10.28):   InFact の8月13日の記事を参照ください。 https://infact.press/2021/08/post-13117/
    [Factcheck] 「米CDC、PCR検査は精度が低いので中止」は誤り 新指針の曲解 が拡散

著者 (2021.10.29) :   情報をありがとうございます。 原稿の該当部分に、下記の文を追記させていただけませんか。消してしまうと全体がつながらなくなりますので。少し長くてすみません。

中川 (2021.10.29):  承知しました。 該当部分は 取り消し線 をつけ、誤読・誤報のため取り消しを明示する。追記の先頭部分を 追記(高原、2021.10.29): とする。 ことでいかがでしょうか。  ==> 本文中に追記を入れた。

著者 (2021.11. 7) :  添付に『永久に未完成の哲学ノート』 (A5版)第1部 [63] と 第2部 [64] の最新版(5版)を付けます。(発売日は、2021年11月22日と29日です。) [64] はコロナについて、今のB5の17版 [62] から大きく追加したものですが、新しい情報でさらに6版に改版しています。

著者 (2021.11.24): 「未完成の哲学の概要と今まで」 (Overview, [66]) の原案を送ります。 その後書きの直前に書いていることは、前にお送りした [64] の新型コロナウイルスに関するものです。 ここに、次の内容を書きました。

「厚労省の二つのウェブサイトに載っている公式発表と、一日ごとの重傷者と死者数の推移を見て、日本では、Δ株が主流になってからは、新型コロナウイルスで亡くなったとされる人は殆ど持病による死者で、ワクチンは殆ど効いていないことです。
これは公式発表と正反対で、公式の「ワクチンを打ちましょう」とも正反対です。
日本の特有の危機が、後十年ちょっと先におこるという予測の南海トラフ地震、基幹エネルギー、新型コロナウイルスの三つです。どれも、私の意見と今の公的な対策が全く違います。」

 これに関して、[62G]の (追記 (高原、2021.10.29) を取り消し、元の原文を「CDCが2021年で今のPCR検査の推奨をやめる」と直していただけませんか。

==> 以上のやり取りで、[62G] 中に、追記 (高原、2021.10.29) と 再追記 (高原、2021.11.24) を挿入しました。

---- ただ、著者が新しく書き直した [64]の新型コロナウイルスに関する記述は、さらによく検討しなければいけないと、中川は考えています。また、この問題は世界と日本で新しい状況がどんどん起こっており、学術的な発表もいろいろありますから、それらを柔軟に、総合的に考えて行く必要があります。

3.2節: 立法、行政、司法 と 政権のあり方

著者は、間接民主主義でなく直接民主主義を推奨し、その一方で行政(官僚組織)が実質を担っており、選挙で選ばれた議員からなる大臣や首相が行政を統括できるはずがない、だから今の次官を大臣にし、大臣の互選で総理大臣(行政府の長)を選ぶのがよい、という。
---- いろいろ思い切った提案がなされており、考えるべきことが多くあると思う。
直接/間接民主主義で、国のトップ(大統領や首相)の決め方を論じているなら、重要度は大きくない。
当面の最大の問題は、選挙制度、特に衆議院選挙の小選挙区制の廃止である。小選挙区制は「死票」が多くなるから、当選議員の意見(政策)分布と全国民の意見分布との差が必然的に大きくなる。またその差は多数派側(与党側)に有利になるから、政権の滞留(惰性的継続)が起こる。さらに、与党内でも(主流派による)立候補者の締め付けが強くなるから、自由な政策論議が弱くなる。これらの結果として、政権の傲慢と腐敗が起こったことは、安倍一強時代に明確であった。そこで私は、定員3人〜5人を原則とした、以前の中選挙区制に戻すことが適切であろうト考える。コミュニケーションの技術が格段に進んだから、候補者の選挙運動の負担は以前よりずっと軽減されている。また、議員の意見分布が国民の意見分布にかなり近いものになり、与党内での政策の多様性、諸野党の多様性が現れ、国会の議論の活性化が期待される。

---- 官僚組織が行政を担っているとして、「各省の次官を大臣にし、その互選で総理大臣を選ぶ」というのは驚く案である。本省の課長にしろ次官にしろ、どのように任命されるのか、そこに国民によるチェックのしくみが作れるのか?官僚組織が選んだ総理大臣が、国民を代表する(行政府の)長に成れるとは考え難い。

3.3節: 新しい価値の生き方

この節は、「お金だけが価値ではない世界」としての「ポスト資本主義」」における、「新しい価値」を模索し、その方向を考えていることが貴重である。
---- 「新しい価値」というのが抽象的だから、具体的なイメージを作りづらい。その中で、「子育て、親介護なども「労働」として扱う。」「子供を産み育てる家庭に、一人につき成人まで一律月10万支給する。」などは明瞭な方向性を持った提案であろうと思う。この節の諸課題は今後具体的に検討を進めるべきことと思う。

4節: マスメディア

マスメディアが世論を形成するのに非常に大きな役割を果たしている。難しいが、独立性・自律性を求める。と著者は言う。 
---- そのとおりだと思う。

著者は、国際問題で「日欧米でのマスメディアがほぼ同じ論調に統一され、中露などと異なる内容である。かつ、それが、アメリカの軍産複合体(今は民主党)の意見に統一されている。」という。そして、「今の政権を選ぶ最大の要因は(多様な)マスメディアによって作られる世論である。だからマスメディアは一枚岩ではない支配層に属する。」という。また、いろいろな箇所でトランプ前大統領のやり方(特に、2020年大統領選挙結果に対する抵抗行動)を支持し、安倍元首相の森友・加計・桜問題への弁明を支持している。

---- 中・露そして北朝鮮やイランなどの立場は、いろいろなニュース報道で専門家などの解説を通じて紹介されるが、相対的に少ないことは、そのとおりであろう。また、アメリカの政治が「軍産複合体」によって動かされているという見方も、よく聞く。ただ、「その意見で統一されている」とひっくるめてしまうと、それこそいろいろな「相対化」をしないことになる。また、(日本やその他の国の)「支配層」という概念も、「便利に使われているが、分かりにくい」概念である、と思う。私は、トランプ前大統領への(一般)マスメディアの批判、安倍元首相への批判は正しいと考える。
---- いまの日本のマスメディア、特にテレビの問題は、商業主義・世俗主義で、エンタメ的要素が多すぎることである。それが、若い人たち、一般の庶民の人たちに非常に大きな影響を与えていると思う。

5節:  人工知能 (AI)

「AIには価値を生ないものと価値を生むものがある」、と筆者はいう。前者は、実用的に大量データが整理され推量が当たればよいもので、そこに根本の意味が分からなくてもよいもの。それなら、パターン認識・ディープラーニングをベースにした(現在の方向の)AIでよい。後者の「価値を生むもの」とは、新しい新しい概念、根本の意味などを解明あるいはベースにしたものである。そのためには、ディープラーニングは不適当で、人間による枠組み作りや洞察を取り込んでいく必要がある。将来のAIはこの後者の努力を強化する必要がある、というのが著者の主張である。
---- このテーマは非常によく考察されていると私は思う。

6節:  教育

著者は、教育の重要性を力説している。「今の教育が、今の「国民」、政治、経済、マスメディアを作る。教育は、常識、世界観、価値観を作る大きな要因である。 常識、世界観、価値観の枠組みは、主に学校、親の教育、マスメディアが作り、日々に起こる事柄については、主にマスメディアが提供している。... 感性や論理の力を増す教育が、経済の個々の産業の根本的成長の力になるようにする。 ...」 
---- そのとおりだと私は思う。

そして著者は、日本の初等中等教育(小中高)に絞って、現状分析をし、多くの根本的な提言をしている。
著者はまず、「教育の目的は、世界の事実がどうなっているか(世界観)、認識や事実変更をするために世界に対処していく力(論理と感性)をつけ、生き方を身に付ける ことである。」という。そして、教育を作る/変えるには、「教育の内容が第一で、その前提で、第二に、生徒と親などの問題、第三に、教える先生の問題もある。」という。
---- これは、全生涯にわたる教育の目的であると思うが、著者は小中高の教育でも基本的に同じ目的をもち、その提示の内容や提示のしかたを生徒の年齢・成長にあわせて調節していくべきだと考えている。その目的に合わせた「教育の内容設定」が第一の問題であり、教員の数や労働条件は副次的であるという。確かに論理的にはそのとおりであろう。

著者は小学校の内容について提言する。「感性、感情は、論理以上に重要である。初期に、感動とその表現の方法を教える。... 思考のしかた(まず、抽象化と具体化、その後に仮説推論)を先生と生徒がともに学ぶ。... 国語・算数・公民は現状を改良してほぼそのまま。... 理科と社会(公民は別)を統合し、自然と人の文化の個々の物ごとの始まり、感動、その後の運動と構造、それらを貫く論理を、先生と生徒が共に学ぶ。...」
---- これらの一つ一つのことを、できるとよいなぁ、先生と生徒が一緒に学べるとよいなぁ、と思う。ただそれには、まず良い先例が必要であり、しっかりした考え方のもとに新しい教材を作り、小規模に試行・実践し、改良を重ねて、一つずつの側面・分野で幼児期から高校程度までのカリキュラムが作られていく必要があると思う。それは課外活動、私立学校、学外の活動、インターネットなどを活用した活動などとしてだけ(特に初期には)試行・実践しうるものであろう。そのような活動がさまざまに起こり、教育改革の運動としてまとまってくることが望まれる。... そのような活動・運動の困難さ、前途遼遠さを、著者も筆者ももちろん認識している。それでも、そのような活動・運動が、世界の(そしてアジアの)水準にくらべて後退・沈下しつつある日本の現状(学力面でも、女性の社会参画の面でも、国民の所得の面でも、産業のシェアの面でも、学術論文や特許実績の面でも、...) を立て直し、国民の将来の幸せのためにも、必要で大事なことである。

 

以上、高原利生さんの労作  『永久に未完成の哲学ノート』 は、

その第一部において、世界観と(人の)生き方という膨大なテーマを、(弁証法)論理学を構築して、一貫した観点から(用語が馴染みにくいのはやむをえないが)明快に位置づけていることに、大きな意義がある。

その第二部においては、「(ほぼ)お金だけが「価値」である資本主義」の現在の世界から、「お金だけが「価値」ではない」と広く評価・実践されているような「ポスト資本主義」の将来世界への(百年〜千年がかりの)移行を構想し、提言している。(世界や社会の見方に(現在の多数の人々と)意見を異にする点が一部にあるが、)政治、マスメディア、人工知能、教育のインフラストラクチャのあり方について、深く考え多くの貴重な提言をしている。学ぶべきことが多々ある。

高原さんのご健康をお祈りし、思考と執筆のますますの発展・展開を期待いたします。(脱稿: 2022. 1.10、中川)

 

[62] 主著『哲学ノート』17版 親ページ

[62A]『哲学ノート』 前書き部/後書き部

[62B] 1.事実、基本概念、価値と思考

[62C] 2. 弁証法論理、3. 矛盾モデル

[62D] 4. 論理的網羅

[62E] 5. 対象化と一体化

[62F] 付 マルクス再考 他

 

[62G] 第二部 ポスト資本主義 [62] PDF

 

高原利生論文集(第6集)2020-21 親ページ

[66] 第6集 Overview

[62] 主著『哲学ノート』17版 親ページ

高原論文集(第1集)2003-07

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最終更新日:  2022.1.14    連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp