TRIZ研究ノート
研究ノート (「解題」): 「若い人たちにTRIZを普及させるために」から、新しい目標「創造的問題解決・課題達成の一般的方法の確立へ」に至った過程 (2012年5月〜11月)

中川徹 (大阪学院大学 名誉教授)
2012年11月27日

掲載:2012.12. 5    英訳掲載:  2012.12. 5

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編集ノート (中川 徹、2012年11月27日)

本ページは、私の最近半年の考察/研究について、少数の人たちだけにお見せしました考察資料と、いくつかの学会で発表しましたスライド/論文などを関連づけて掲載し、考察の過程を跡づけておくことを目的としています。

このような必要を感じました理由は、(1) この半年の考察によって、私自身がひとつの新しい認識の段階に至ったと感じていること、(2) 複数の学会発表があり、それらの内容は一部重複しつつも、それぞれに新しい内容・主張・重点を持っていること、(3) 学会発表では紙数の都合で割愛せざるを得なかった内容で、記録として残しておくとよいものがあること、(4) これらの複数資料の「解題」が必要と判断したこと (学会での発表時の内容は、数ヶ月前の発表申込み時の論文タイトル/原稿とは、随分発展していてずれを生じている場合もあります)。


  研究ノート (解題」): 「若い人たちにTRIZを普及させるために」から、
                   新しい目標「創造的問題解決・課題達成の一般的方法」に至った過程 (2012年5月〜11月)

2012年11月27日 中川 徹

表記のテーマに関連して、執筆・作成し、限定した範囲に見せまたは一般に公表したものを、まず一覧表にしておきます。すべて、中川 徹の単著です

番号 執筆・作成日 公表/開示 タイトル 形式 本ホームページ掲載
[1]
2012. 5. 1〜5.12 2012. 5. 6 TRIZ協会 運営会議メンバ、教育分科会メンバに
5.12 同上
「若者向けのTRIZ」、「若々しいTRIZ」のために
TRIZ協会 中長期計画のための 検討基礎資料 (A) モデル原図
図 (26枚 → 32枚) 和文
 
英文
--
[2]
2012. 5. 1〜5.12 2012. 5. 6 TRIZ協会 運営会議メンバ、教育分科会メンバに
5.12 同上
「若者向けのTRIZ」、「若々しいTRIZ」のために
TRIZ協会 中長期計画のための 検討基礎資料 (B) 文章化資料
文と図 (14頁 → 22頁)   --
[3]
申込み5月、執筆8月 2012. 9. 6  日本TRIZシンポジウム2012 テーマ講演 C1 若い人たちに TRIZを広めるにはどうすればよいのか? スライド (11枚)    
[4]
申込み5月、最終稿 8月 2012. 9. 8   日本TRIZシンポジウム2012 一般発表 問題/課題を捉えるための 複数モデルによる考察法:
創造的な問題解決/課題達成の方法 の確立と普及のために
スライド (34枚)    
[5]
申込み8月、原稿 9.10、最終稿 10.11 2012. 10.24 ETRIA TFC 一般発表 創造的な問題解決・課題達成の方法の体系を確立する
− TRIZを越えて −
論文 (12頁)
スライド (18枚)
 
[6]
原稿 10. 8

2012.12. 5  『TRIZホームページ』 初出論文

創造的な問題解決・課題達成の方法の体系を確立し、普及させる −複数モデル構築法が導いた新しい目標の認識− 論文 (11頁)   --

以下にこれらの資料/論文/スライドについて、順番に説明しておきます。

[1]  「若者向けのTRIZ」、「若々しいTRIZ」のために: TRIZ協会 中長期計画のための 検討基礎資料 (A) モデル原図  

これが今回の一連の研究の土台として作った原図です。タイトルに示すように、若者向けにTRIZの普及をどうすればよいかを考えることがそのモチーフでした。それは、日本TRIZ協会として、どのような方向・方針にするとよいのかの中長期計画を考えること、またもっと具体的に9月のTRIZシンポジウムで「若い人たちにTRIZを伝える」ことを主題とした企画をすること、を意図して始めたものです。5月初めから始めて、5月 6日には26枚の図が出来上がっていました。これに説明の文章 [2] を作り、TRIZ協会の運営会議メンバと教育分科会メンバ (合計 約30名) にメールで送りました。いろいろ賛同する返信をいただきました。さらに6枚の図を追加して、5月12日に仕上げ、同様に文章 [2]を拡張して、同じメンバにメールで送りました。学会発表 [4][5][6] などではページ数の制限から、主要な図しか掲載できませんが、この資料[1] では作成した図をすべてもとのままの形で掲載しています。内容の説明は[2]を参照下さい。

[2] 「若者向けのTRIZ」、「若々しいTRIZ」のために: TRIZ協会 中長期計画のための 検討基礎資料 (B) 文章化資料  

上記[1]の図をTRIZ協会の仲間たちに送るに際して、図の作成の意図、図を作成して分かったこと、などをきちんとした文章にして説明したものです。5月6日の段階では14頁、5月12日の段階ではさらに拡張して22頁になっていました。資料[1]の原図の中から主要なものを選択して記述しています。なお、TRIZ協会のメンバからいろいろな意見をいただき、それらを別資料 (C) として記録しましたが、本ホームページには掲載しません。

本資料では、一人の人 (若い人) がTRIZのような創造性技法を受容するに至る内面的 (心的&知的) な準備・発展の段階について、いろいろな角度から描いた図を説明しています。企業でのTRIZ導入活動と、TRIZ実践者の成長の関わりの図もあります。(ここまでが原図の(A)グループ)。さらに、日本のいろいろなTRIZ推進組織の活動形態を描き、その総体としてのTRIZ推進活動を図示し、日本TRIZ協会の方向性を検討しています (ここまでが原図(B) グループ。5月6日送付の段階)。

この後、いままでの図と考察を土台にして、今後の日本におけるTRIZ推進のあり方を大局的に考える作業を進めた。主要な手がかりは、TRIZを適用・普及させるとよい領域・分野の全体像であった。これを考察したときに、適用・普及させるとよいのは、「TRIZの個別の技法やツール」 (あるいは「TRIZ」という方法) なのではなく、もっと一般的な、創造的思考と創造的な問題解決の方法 (の一般) であるという認識に至った。この認識を「全体目標」として記述した。すなわち、
         「全体目標 (要求課題):  創造的な問題解決/課題達成法(←TRIZ)を確立し、
                                      広範に普及させて、
                                      国全体のさまざまな領域での問題解決/課題達成に適用する。」
そして、この確立に必要な活動を概念的にまとめ、また、ここで標榜している「創造的な問題解決/課題達成法」が備えるべき特徴や方法を考察した。(ここまでが原図 (C) グループ。5月12日に追加記述して送付)。

以上のように、この資料[2] (と原図 [1]) とが、その後約半年の一連の発表の原型であり、この段階でほぼ全貌が現れてきている。

[3] 若い人たちに TRIZを広めるにはどうすればよいのか?   

これは、9月のTRIZシンポジウムにおけるテーマ講演のセッションに対して、コーディネータとしてテーマの導入をしたものである。複数のアプローチを概観しているが、その詳細については述べていない (後続の諸発表に委ねている)。

[4] 問題/課題を捉えるための 複数モデルによる考察法: 創造的な問題解決/課題達成の方法 の確立と普及のために   

9月のTRIZシンポジウムでの一般オーラル発表であり、スライド (34枚) が和文と英文とであるが、文章化はしていない。5月14日に発表申込みをした。この発表で強調しているのは、資料 [1][2]の結果よりも、その考察のプロセスである。「若い人たちにTRIZを普及させるには?」というのは、技術問題でなく、漠然とした問題であるから、TRIZの得意でない (TRIZの個別ツールは使い難い) 問題である。それを考えるのに、「複数のモデルによる考察法」を使ったのだ、それが問題/課題を捉えるのに有効だったのだ、と主張している。このような考察法は、狭い意味のTRIZ技法ではないが、ものごとを体系的に考察して解決するというTRIZのエッセンスを使っているのだと、主張している。
また、考察した内容は、若い人たちにTRIZを普及させるにはどうすればよいかを考え、結論として、TRIZよりももっと上位にある「創造的な問題解決/課題達成の方法」を確立し、普及させることを、大目標とすべきだ、と主張している。この結論に至るまでの一段一段の考察をガイドしてきたのが、本発表での「複数のモデルによる考察法」であり、それは多数のモデル (問題をいろいろな観点から考察し、記述した図) によって記録され、再現・議論ができることを示している。

[5]  Establishing General Methodologies of Creative Problem-Solving / Task-Achieving: Beyond TRIZ 

10月24-26日にリスボンで開かれた ETRIA TFC 2012 で発表した論文である。8月下旬に発表申込みをし、9月10日に論文を提出した。その後、オランダのDr. Tom Veneker の助言を得て、推敲し 10月10日に最終稿を送った。ETRIA の Proceedings には初稿が掲載されたが、本ホームページでは最終稿の方を掲載する。発表は30分で、スライド18枚で説明した。
この発表の重点は、TRIZの (特に日本での若い人たちへの) 普及を考察して、「TRIZ」という枠組みに拘らないで、「創造的な問題解決/課題達成の一般的な方法」を確立し、普及させることが大事だと、分かったということである。いくつもの観点から考察してモデルの図を作り、それらを順次積み上げて、この結論に至ったことを、主要なモデルの図を示して説明した。また、その新しい一般的な方法が持つべきプロセスを概念的に示した。そして、本発表で使った方法自身が、この新しい一般的な方法の一つの例示になっていることを主張している。

[6] 創造的な問題解決・課題達成の方法の体系を確立し、普及させる −複数モデル構築法が導いた新しい目標の認識−  

これは、TRIZシンポジウムでの発表 [4] をさらに推敲・発展させて、論文形式にまとめ直したものである。日本TRIZ協会は『日本TRIZ協会 ジャーナル』というデジタル版の論文誌/会誌の発刊を計画し(7月に案内)、TRIZシンポジウムの発表の論文化を要請していた(11月に発刊延期を発表した)。本稿はそのために準備した原稿である。
TRIZシンポジウムの発表 [4] と ETRIA TFC での発表 [5] をベースにして論文化しており、本質的な内容はこれらに重複する([4]を論文化したもの、あるいは [5] を和文化 (一部拡張) したものの両方の位置づけがある)。特長があるのは、「考察」の章である。複数のモデルを構築して考察する、ということの意義、そのバックにある考え方などを詳しく説明している。この「創造的な問題解決/課題達成の (一般的) 方法」というのが、中川がいままで提唱してきた「創造的な問題解決の新しいパラダイム (USITの「6箱方式」)」の素直な発展であることも示している。この半年の研究の展開をきちんと位置づけた和文論文である。今回、『TRIZホームページ』に掲載して発表する。

 

各資料/スライド/論文の詳細は、上記の一覧表に記載したリンク先のページを参照されたい。

本ページの先頭 [1] モデル原図 [2] 文章化資料 [3] 若い人たちに [4] TRIZシンポジウム発表 [5] ETRIA TFC 発表 [6] 和文論文 英文ページ

 

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最終更新日 : 2012.12. 5    連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp