TRIZ/USIT論文
創造的な問題解決・課題達成の方法の体系を確立し、普及させる
− 複数モデル構築法が導いた新しい目標の認識 − 

中川徹 (大阪学院大学 名誉教授)
2012年10月 8日 受理
『TRIZホームページ』論文 (掲載: 2012年12月 5日)

掲載:2012.12. 5.     (英訳掲載なし)

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編集ノート (中川 徹、2012年11月30日)

本稿は、別ページの研究ノート(「解題」) に説明していますように、本年5月初めに行い、その後一連の発表をしてきました研究を論文としてまとめたものです。土台になったのは、5月にまとめたモデルの原図とその説明資料です。9月にTRIZシンポジウムで発表し (和・英のスライド) 、また10月にETRIA TFC 2012 で発表しました (英文のスライドと論文) が、今回、それらを踏まえて、和文論文として整えました。なお、本年秋に日本TRIZ協会で『日本TRIZ協会 ジャーナル』の発刊を計画していましたので、そのための投稿論文として用意しましたが、同ジャーナルの発刊が延期となりましたので、本『TRIZホームページ』の論文として掲載することにいたしました。

本稿の趣旨は、論文の概要に書いていますので、繰り返しません。TRIZシンポジウムの発表やETRIA TFC での発表に比べて特色があるのは、「8. 考察」の章です。複数のモデルを構築して考察する、ということの意義、そのバックにある考え方などを詳しく説明しています。この「創造的な問題解決/課題達成の (一般的) 方法」というのが、私がいままで提唱してきました「創造的な問題解決の新しいパラダイム (USITの「6箱方式」)」の素直な発展であることも示しています。この半年の研究の展開をきちんと位置づけた和文論文になっているつもりです。

論文目次

概要

1.  はじめに

2.  モデル(a) 一人の人がTRIZ (のような技法) を学習・習得するためのモデル

3. モデル(b) 一つの企業がTRIZを導入・適用し、 一人の技術者がTRIZリーダとして成長するモデル

4. モデル(c) TRIZ推進の諸組織の活動を総合的に示したモデル

5. モデル(d) TRIZを適用・普及させるとよい領域のモデル

6. モデル(e) 創造的な問題解決・課題達成の方法を確立し、広範に普及させるための活動のモデル

7. モデル(f) 「創造的な問題解決・課題達成の方法」の内容のモデル (技術分野と非技術分野)

8. 考察

9. 結論

参考文献

 

本ページの先頭 論文の先頭 はじめに (a) 技法習得のモデル (b) 企業導入とリーダ成長のモデル (c) TRIZ推進活動 (d) 普及対象領域 (e)創造的な問題解決法の確立

(f) 創造的な問題解決法

8. 考察 9. 結論 参考文献 本論文 PDF 研究ノート「解題」 基礎資料: 原図と文章 TRIZシンポ発表 ETRIA TFC 発表

英文ページ
(「解題」)

 


 

創造的な問題解決・課題達成の方法の体系を確立し、普及させる
− 複数モデル構築法が導いた新しい目標の認識 − 

中川 徹  (大阪学院大学 名誉教授)

2012年 10月 8日 受理

概要

TRIZ (「発明問題解決の理論」) は技術分野で特に強みを持つ創造的な問題解決の方法論の一つである。日本にTRIZが導入されてから約15年が経ち、随分と定着してきたとともに、一つの問題を抱えている。それは日本でのTRIZリーダたちの中心が団塊の世代にあり、より若い世代のリーダや実践者を十分獲得できていない、普及の広がりと速さが十分でないことである。この問題は、(TRIZの得意領域でない) 非技術領域に属するが、どこにでもあるタイプの問題である。そこで、この問題に (TRIZを使う/使わないに関わらず) きちんと取り組むことにした。

本研究で使った方法は、この問題をいろいろな観点から考察して、複数の「モデル」として図示していくことである。
    (a) 一人の人が (TRIZのような方法を) 学び取っていくモデル、
    (b) 一つの企業が (TRIZのような方法を) 導入、適用していき、同時にそれを担うリーダ・実践者が成長していくモデル、
    (c) いろいろな (TRIZの) 推進組織の活動のモデル、特にその総体としての活動のモデル、
    (d) TRIZの適用が期待される分野・領域のモデル、
などを作って考察した。

この段階で非常に自然にできてきた認識は、本当に期待されているのは「TRIZという特定の技法・方法」なのではなく、もっと一般的に、「創造的な問題解決・課題達成の方法 (の体系)」だということである。この認識はわれわれを新しい目標に導く。すなわち、
      「創造的な問題解決・課題達成の方法を確立し、それを広く普及させて、国内の (そして世界の) さまざまな領域の問題解決・課題達成に寄与する」
ことが、TRIZを推進してきたわれわれのより大きな目標である。

本研究はさらにモデルづくりを続けて、
    (e) そのような方法を確立し、普及させるための活動のモデル、
    (f) 「創造的な問題解決・課題達成の方法 (の体系)」として期待されるもの (中身) のモデル (技術領域の場合と、非技術領域の場合)、
を作った。

以上のように、一つの問題を複数の観点から考察して「モデル」を構築するという本研究の方法は、TRIZの普及の困難の問題に対して、(TRIZを内包する)より一般的な「創造的な問題解決・課題達成の方法(の体系)」を確立し普及させるという大きなビジョンをその解決策として提示したのである。

1. はじめに

本研究は概要に書いたように、TRIZを (特に若い人たちに) 普及させるにはどうすればよいか、という問題意識 [1] で始めたものである。この問題を直接的・個別的に考察するのではなく、本研究では、一つ一つ観点を変えながら問題状況を全体的に捉える複数のモデルを作り、それを積み上げていく作業をした。

例えば、最初にしたのは (日本TRIZシンポジウム2010での発表 [2] をベースにして)、一人の人が、幼児期、小学生、中・高校生、大学生、(新人) 技術者、そして創造的な技術者へと成長していく過程で、それぞれの時期にどんなこと (心、ことば、考え方、関心、知識、技術などさまざま) を身につけていくことが必要なのかを、成長時期ごとのモデルとして表現した。また、授業などの受け身の学習ではだめで、もっと自分から行動する形式の学習が必要であることのモデルも得た。

本論文では、(それらの個別の複数モデルを土台にして作成した、高次の) 複数のモデルを選んで議論を進める。また、モデルの図の中に詳細を書き込んでいるので、本論文ではそれらのモデルの作成の意図と、そのモデルが示す含蓄とを明確にして、議論を進める。[3]

2. モデル(a) 一人の人がTRIZ (のような技法) を学習・習得するためのモデル

まず最初の観点は、「一人の人がTRIZを学び、受容するには、それなりの心の準備が必要だろう」ということである。
図1に示すのは、一人の人が、幼児期から、小・中・高の生徒の時代、大学生、そして技術者となる過程で、どのような教育を受け、どのようなことを (一般的に) 身に付けていくのか、を書いている。この図の右部分に書いているのは、(TRIZのような) 「創造的な思考方法」といったものに関心をもち、それを習得するために、必要であろうと考える内面の成長を描いたものである。

図1. モデル(a) 一人の人がTRIZ (のような技法) を学習・習得するためのモデル

この図 (特に右部分) が示しているのは、知的好奇心が土台となり、自然と技術への興味から、数学と理科の基本知識に進み、しだいに本格的な科学技術の知識へと進むことである。だだ、そのような知的学習 (「正しいこと」を教えられて理解し、適用する学習) と少し違った所に、「創造性」(自分で考えて、試してみる、創りだす力) の育成が必要である。(日本では特に) 子ども時代の創造性が、小学校から高校までの教育で抑圧され、未発達な状況にある [4]。だから、大学の初年次で最も大事なことは、学生たちに「主体性を確立させる」ことである。(偏差値教育による不当な優越感や劣等感を克服し、安易な刹那主義から脱却して) 自分で考え、自分の責任で行動し、自分の将来を切り開く気持ちを持たせられるとよい。そのような「主体性の確立」がその後の、論理的思考、研究者・技術者としての心構え、創造への自覚などの土台になる。このような土台ができるころに、(TRIZなどの) 創造的思考の (教育や) トレーニングがあるとよい。このような土台と、(TRIZなどの) 創造的思考の学習・教育とがマッチすると、その人の中に確実に習得されていくであろう。
この図に示す条件のうちいくつかが弱いなら、(例えば、主体性の確立が十分でなくて、自分でTRIZを学ぼうという自覚が弱いなら) その人にTRIZが浸透していくことは、あまり期待できない。

3. モデル(b) 一つの企業がTRIZを導入・適用し、 一人の技術者がTRIZリーダとして成長するモデル

つぎに考察したのは、一つの企業の中でTRIZが導入され、その適用が拡大し、組織化されていく過程のモデルである。
日本の企業の多くでは、ボトムアップ (あるいはミドルダウン&ミドルアップ)で進行していく。またこの際、何人もの人々がTRIZ実践者となり、(社内) TRIZリーダに育っていくことが大事である。また、その際に外部の情報、特に公開情報が大きな役割を果たす。これらのことをまとめたのが、図2のモデル(b) である。

図2の右部で、企業の多数の技術者 (あるいはマネジャ) の中から、TRIZの先駆者が生まれてくる。その人は、TRIZの教科書や紹介記事あるいは社外でのTRIZセミナーなどで学ぶことだろう。そして自分のプロジェクトで試行してみるだろう。社内のイントラネットでTRIZのホームページを作ったり、あるいは社外から講師を招いて社内TRIZセミナーなどをするだろう。そのうちにTRIZの実践プロジェクトで、(場合によっては社外のTRIZコンサルタントなどの指導を受けて) 成功事例を生み出すようになる。そうすると次第に社内での認知度が上がり、共感する人々がでてきて、社内のTRIZ研究会 (あるいはグループ) ができるようになる。成功事例が社内的に知られるようになると、社内のTRIZ発表会なども開かれ、段々と組織のマネジャに認知され、奨励されるようになる。この過程で社内にTRIZリーダが育ち、社内のTRIZ推進組織が正式に作られて、TRIZの組織的な推進活動が行われるようになる。社内でのTRIZの普及のスピードや広がりは、TRIZに積極的に関与するマネジャのレベルによって違うことだろう。

図2. モデル(b) 一つの企業がTRIZを導入・適用し、 一人の技術者がTRIZリーダとして成長するモデル

この社内普及と並行して、何人もの人がTRIZの実践者・リーダとして育っていく。そのような人が持つべき基盤は、モデル(a)で論じたようであり、図2の中央下部に書いていることである。問題意識を持った人で、TRIZに興味を持った人が、(主として外部情報を頼りに) TRIZの基本知識を学び、TRIZ技法の理解を進めていく。それとともに、自分、および自分たちでの適用体験、実践体験が大事である。実地の問題への適用を試行しながら、TRIZの体系的理解、TRIZの方法の体系的・実践的な習得が進んでいく。組織的活動を経験し、十分な情熱と意志を持った人たちが、社内でのTRIZリーダ、推進者として活動を続けていくだろう。社内で、多数の技術者やマネジャたちがこのような理解の段階を登っていくように、その習得活動をサポートし、組織的に引き上げていくことが大事である。

外部情報には、TRIZ学習の初心者をはじめとして多くの人々に使われるような情報があるとともに、より高度なTRIZ利用をサポートするような情報もある。これらの情報がいつでも利用可能なことが大事である。

4. モデル(c) TRIZ推進の諸組織の活動を総合的に示したモデル

つぎに考察した観点は、TRIZの普及を担っている組織の活動のしかたについてである。
日本におけるいろいろなTRIZ推進組織を具体的に取り上げ、その活動を個別にモデルとして表現した。各組織の活動の働き (機能) を図2のモデル(b) の中央部に (個人の習得・成長の代わりに) 表現した。8件の代表事例をモデル化したが、ここにはそれらを総合したものだけを示す。

図3に示したのは、日本のTRIZ推進組織の活動を総合して示した図である。主要な推進組織を外周に描き、中央部にはそれらの活動をマージして一般的な言葉で記述している。

図3. モデル(c) 日本のTRIZ推進諸組織の活動を総合したモデル

推進組織として並べているのは、日本TRIZ協会 (TRIZ推進のナショナルセンタ、毎年(国際的な) TRIZシンポジウムを開催)、『TRIZホームページ』(公共目的のWebサイト)、海外のTRIZ情報、出版・ジャーナリズム、学会・学界、大学、ベンダー・コンサルタントなど、(自主的な) 研究会、そして多数のユーザ企業である。これらの組織が総体として行なっていることを、中央部に記述している。これらの中には、着実にできているものもあり、不十分なもの、あるいは大きな弱点になっているものもある。例えば、日本の大学が、これらのTRIZ推進の成果をバックにして、実際の教育や研究にどのようにTRIZを導入できているか、また教育や研究の結果をどのように日本のTRIZコミュニティにフィードバックできているかが、問われている。

5. モデル(d) TRIZを適用・普及させるとよい領域のモデル

つぎにモデル化した観点は、TRIZという技法を適用・普及させるとよい領域についてである。
TRIZが技術領域に強いだけでなく、その考え方は非技術の領域でも使うことができる。このことは多くの人たちのTRIZ研究ですでに明らかになってきている。そこで、TRIZを狭い特定の技法の集まりと捉えるのでなく、もっと広くTRIZベースの考え方として考察した。

図4では、TRIZを中央に置き、それが備えているべき項目 (問題解決の方法、理論、創造思考、やさしい理解、効用、解決成果、実践) をその周りに描いている。さらにその周りに、TRIZを適用・普及させるとよい領域とその中で適用するとよい課題を書き並べている。

この図で適用・普及させるとよい領域として取り上げたのは、学界と大学、教育、家庭、社会、マスコミと出版、産業、国と地方である。
例えば、学界・大学では、先端研究の(TRIZ利用による) 推進、工学教育の基礎 (の改革)、創造的思考 (の教育) などを書いている。
教育 (学校教育) の領域では、知能・知識偏重の教育から創造力の重視へ移行すること、創造性の教育、主体性の教育などを掲げている。
家庭では、幼児期の創造性教育がやはり大事であり、(家庭内での) 受験勉強指向からの脱却が必要である。
社会においてはさまざまな問題があるから、一般の社会人が問題解決の力と思考の柔軟性を身につけ、いろいろな問題を解決していけるとよい。
マスコミ・出版においては、TRIZの紹介・出版と、TRIZの成果や効果の報道が大事である。
産業においては、従来の製造業だけでなく、農林水産業やサービス業での活用も望まれる。イノベーションの成果事例ができることが大事である。
国と地方においては、またさまざまな問題を持っているからそれらに適用して、解決を図ることが大事である。国としては、産業活性化のための施策や教育方針の転換などが大事なことであろう。
これらのさまざまなことに、できる事からこつこつと実践してみることが大事であろう。

図4. モデル(d) TRIZを適用・普及させるとよい領域のモデル

実は、このモデル(d) を作って考察したとき、筆者自身に新しい大きな認識が生じた。すなわち、このモデル(d) の中心に書いている「TRIZ」とは、従来の特定の技法としてのTRIZとその発展を表現しているのではなく、もっと一般的に、創造的な問題解決・課題達成の方法 (の体系) を表現しており、もっと一般的なものとして発展させることが求められているという認識であった。この認識を文章化したものが、図4の下部に示した標語である。すなわち、

「全体目標 (要求課題) : 創造的な問題解決/課題達成法 (←TRIZ) を確立し、
                                  広範に普及させて、
                                  国全体のさまざまな領域での問題解決/課題達成に適用する」

ただし、この標語には、少し注釈を要する。
まず、確立すべきものは、「創造的な問題解決/課題達成法」と書いているが、それは一つの方法なのか、一つの方法論なのか、多数の方法の複合したものなのかという疑問であり、恐らくは「多数の方法や方法論を含む一つの体系」と考えるべきものであろう。
また、「問題解決/課題達成」と併記しているのは、問題解決がマイナスの事象としての問題を出発点にするのに対して、現状がある程度満足であっても、さらに達成すべき高い目標を定めて活動するという面をも含ませたいという意図である。この他に、何らかの形で将来を予測し、防備的な、あるいは先攻的な活動を計画する、といった場合もある。これら全部をひっくるめて「問題解決」という語を使おうという考えもある。
また、「(←TRIZ)」と書いているのは、TRIZ関係の読者を意識した補足である。この補足は次第に不必要になるだろう。
さらに「創造的な」という語を外した方がよいという考えもある。必要なことは、広い意味の「問題解決の方法」であり、その解決策がときには「創造的であり」、ときには「当たり前」であってかまわないという考え方である。だだそれでも、「創造的な」というキャッチフレーズを維持することは、大事なことであろう。

6. モデル(e) 創造的な問題解決・課題達成の方法を確立し、広範に普及させるための活動のモデル

つぎの観点は、われわれのこの新しい目標に対して、どのような活動をするとよいのか、という点である。
これは図3のモデル(c) から比較的素直に導出することができる。図5に得たモデルは、(確立すべき) 新しい方法を中央に置き、その周りにこの方法の確立のためにすべき活動を描き、右側にこの方法の広範な普及の活動を描いている。

図5. モデル(e) 創造的な問題解決・課題達成の方法を確立し、広範に普及させるための活動のモデル

図5において、まず必要なことは方法自身の研究開発である。ここにはTRIZの諸方法やUSITの研究と書いているが、もっと広範なアプローチが必要であろう。技法の開発だけでなく、知識ベースやソフトツールの開発も求められる。海外との協力、学会や研究会の開催、情報の交換・交流、適用・推進の実践、成果の発信、教育・普及の活動、そしてこれら全体の推進などである。これらの多くは現在も行われており、それらを意識的に強化することが必要なのであろう。

7. モデル(f) 「創造的な問題解決・課題達成の方法」の内容のモデル (技術分野と非技術分野)

つぎに考察した観点は、当然ながら、「われわれの新しい目標としての「創造的な問題解決・課題達成の方法」はどんな内容を持っているべきだろうか? 」ということである。
これは、TRIZの発展に関するいままでの考察から、比較的素直に導出される。

まず、技術分野について、考察したのが、図6に示すモデル(f1) である。
科学技術の分野で創造的に問題を解決できるまた課題を達成できるためにはどのような方法が必要かを、中央の枠内に書いている。中央下部は、その方法が備えるべき出力情報 (図2左の「外部情報」に対応するもの)を書いている。図6の左部には、この方法を適用する前段階での要件 (前段階で必要な考察や方法) を書き、右部には、この方法を適用した後段階での要件を記している。

図6-1の中央に示しているのは、科学技術の分野での創造的な問題解決・課題達成の方法として、備えているべき中身である。
それはまず、明瞭な全体プロセスを持っていることが必要であり、複合的な一貫プロセスとともに、ユーザの問題状況などに応じた簡易なプロセスや特殊化したプロセスなども必要であろう。その全体プロセスとは、この中央部に太字で書いている 5プロセスを意味する。
まず、(1) 問題を捉える方法が必要である。問題を体系的に捉える、目的・課題を考える、広い視野で考え、そして重点を絞る。
ついで、(2) 現在のシステムを理解する。問題点と根本原因を理解し、現在のシステムのメカニズムを理解する。それには、機能と属性の理解、空間と時間の特性の理解が有効であり、困難や矛盾の明確化ができるとよい。また、既知の諸方法を知る、他分野での類似課題を参考にする、などが有効である。
さらに、(3) 理想をイメージする方法が必要となる。理想のイメージを作るための思考法、望ましい振る舞いや性質を体系的に列挙する方法、進化の方向を考える方法などが有効である。
そして、(4) アイデアを生成する。TRIZやUSITではアイデアを生成する多様な方法を持っており、そのための膨大なヒント集なども持つ。矛盾を解決する思考法はTRIZの得意な方法である。このようにして多様なアイデアを網羅して、体系的に書き出し、それらの中から優れたアイデアを識別することが求められる。
つぎに、(5) 解決策を構築するプロセスがある。個々のアイデアを膨らませること、アイデアをいままでの改良案に取り込んで良くすることが必要である。これらの新しいアイデアの周りに新しい解決策を設計していく。他分野の優れた解決策を取り込むことも重要である。新しい案には常に二次的問題が派生するから、それを解決することが必要である。また、多数の解決策の中から本当に優れたものを識別し、評価することも必要である。
-- これらの総体が、われわれの新しい目標で確立したい「創造的な問題解決・課題達成の方法」(技術分野) の中身である。

図6-1. モデル(f1) 「創造的な問題解決・課題達成の方法」の内容のモデル (技術分野)

つぎの観点は、非技術の分野での中身についてである。
すなわち、非技術の分野 (人や組織や社会が関わる問題の分野) で、われわれが望む「創造的な問題解決・課題達成の方法」の中身を考察した。これは技術分野のモデル(図6-1、モデル(f1)) をベースにして、比較的スムーズに創りあげることができた。その結果を、図6-2に、モデル(f2)として提示する。

この図の中央部が、われわれが確立していきたい方法の骨子を書いたものである。その基本的な構造は、技術の分野と非技術の分野で大きく異なるものではない。
まず、全体プロセスを持つこと。ただしその基本構造は技術の場合と同様である。
(1) 問題を捉える。この中では、目的・課題とともにビジョンを考えること、さらに複数視点で考察することを補足している。
(2) 現在のシステムを理解するには、問題点と根本原因を理解すること、現システムのメカニズムを理解することなどが含まれる。その際に、人や組織の働きを考え、性質を考えることは基本的なことであろう。既知の諸事例を吟味すること、また、他国、他社、他分野などでの類似課題から学ぶことももちろん有用である。
(3) 理想とビジョンをイメージすることも大事である。ビジョンを掲げることは、人間が関わる問題では特に大事なことである。
(4)アイデアを生成する。このプロセスのための方法は、科学技術分野と本質的に変わらないと考えられる。
(5) 解決策を構築する。この段階でも、アイデアを膨らませる、アイデアを取り込んだ改良策を作る、新しい解決策を設計する、他国・他分野などの優れた方法を取り入れるなど、の方法は基本的に同じである。二次的問題を解決すること、多くの案の中から優れた解決策を識別・評価することもやはり必要である。

図6-1. モデル(f2) 「創造的な問題解決・課題達成の方法」の内容のモデル (非技術の分野)

8. 考察

8.1 本研究におけるモデル化の観点の進展と全体プロセス

以上に記したように、本研究では、「TRIZが (特に若い人たちに) スムーズに普及していっていない」という問題を取り上げて考察した。
考察の観点は、まず、 (a) (若い)人たちがTRIZ (のような創造性技法) を受け入れるには、(一般に) どのような内面の (知識として、心として) 準備が必要であるのか、であった。知識としての準備の他に、主体性、創造性、問題意識などの心の準備が重要なことを認識した。

つぎに、(b) TRIZの普及の中心が企業エンジニアであることを考慮して、企業がどのような活動を通じて組織としてTRIZを導入・受容するのか、その中でTRIZを学ぶ人がどのようにして実践者・リーダに育っていくのかを考察している。企業内でTRIZの先駆者/実践者による適用試行から、初期の成果の達成、組織による認知と奨励、実地プロジェクトでのより大きな成果達成、そして企業としての組織的推進に至る一般的な段階を考察している。この中で、複数のエンジニアやマネジャが、TRIZの知識と実践を積んで、TRIZ実践者/リーダとして育っていくことが必要であることを明らかにしている。またその際に、外部の (公開の) TRIZ情報が必要であることも明らかである。企業内の活動と、社内のTRIZ実践メンバの学習・向上とが、適切に並行することが、TRIZ普及の鍵であるといえる。

つぎに、(c) TRIZの推進に関わるいろいろな組織の活動を俯瞰し、全体として見るモデルを作った。これは、普及を推進する側の活動を考察・反省するものであり、上記の(a)(b)がTRIZを受容する側 (個人および企業) から考察したことと対をなすものである。

さらに、(d) 創造的な問題解決の方法としてのTRIZを、適用するとよいと考える領域 (すなわち、普及対象領域) について考察した。ここでは、TRIZが技術分野だけでなく、非技術の分野でも適用可能であるとの認識の上で考察している。すると、企業 (特に製造業) での技術問題の解決だけでなく、いろいろな産業での問題解決・課題達成、国や社会のいろいろな問題解決・課題達成、大学での教育、さらに学校での創造性教育や家庭教育などにも及ぶ非常に広範な領域でTRIZが役立つことが明らかになった。

さらに、これらの適用で必要なものは、(技術問題に使う) TRIZの個別ツールというよりも、もっと広い分野に適用可能なTRIZの考え方であることを認識した。すると、現在の (あるいは少し拡張した) TRIZというよりも、もっと一般的な「創造的な問題解決・課題達成の方法 (とその考え方)」が必要とされているのだという認識に至った。これは、非常に大きな認識のジャンプである。TRIZよりも一段 (か二段) 上のスーパーシステムを、(初めて強く) 認識したのだといえる。その結果、われわれの新しい全体目標として、「(そのような一般的な) 創造的な問題解決・課題達成の方法を確立し、広く普及させ、国 (および世界) のさまざまな領域の問題解決・課題達成に適用する」ことを、本研究は認識し、提唱している。

このモデル化の方法はさらに、新しい全体目標を今後実現していくための方向づけにも役立つことが明らかになった。
すなわちまず、(e) 「創造的な問題解決・課題達成の方法」を確立するために必要な活動について考察し、図にしている。その内容はいままでのTRIZ推進活動を基本的に継承・発展させたものである。ただ、TRIZと その近縁の方法 (VE、等価変換理論、KT法、など) 、あるいは開発設計に関わるその他の技法 (例えば、QFD、タグチメソッド、トヨタ方式、シックスシグマ、など) との、相互協調、統合の方向を意識することになるだろう。

さらに、(f) で、われわれの新しい目標である「創造的な問題解決・課題達成の方法」の中身を考察している。
その中身は、技術分野については、すでにTRIZの研究から随分明確になっている。個別のツールとして考えるよりも、どのような目的のために必要な方法かを考えるのがよい。一つ一つの目的に適した方法を選択・適応・開発していくことが大事であろう。
また、非技術の分野のための方法についても考察している。上記のようにどのような目的に使う方法かを記述していくと、それは技術分野でも非技術の分野でも非常に似たものになる。問題解決のプロセスは本質的には変わらないと言える。

以上のように本研究での複数「モデル」の作成の観点を整理すると、
TRIZの普及について、(a) 受容側の個人 (の内面) および (b) 企業 (の活動面) を考察し、(c) 推進側の諸組織の (総体的な) 活動を考察し、さらに (d) 普及させる対象となる領域を考察した。
これらのモデル作りと並行して認識が深まり、(a)〜(d) を総合して、新しい全体目標、すなわち、一つ上のレベルでの解決のビジョンを獲得したのである。
さらに、(e) その全体目標を達成するための推進活動を俯瞰し、(f) その全体目標が掲げる「創造的な問題解決・課題達成の (一般的な) 方法 (の体系)」の中身を、技術分野および非技術の分野の両方で明確にした。

これら (a)〜(f)の過程は、「TRIZの普及の困難」という問題解決の過程であると同時に、「創造的な問題解決・課題達成の方法を確立、普及させ、広く適用する」というより高次の課題達成の指針を明らかにする過程であるともいえる。この問題解決および課題達成は、(TRIZの得意領域でない) 非技術分野の領域に属することにも注目されたい。

8.2 モデルの構築法、表現法、使い方

本研究における一つ一つの「モデル」の構築法、表現法、および使い方について、考察しておこう。

まず一つの「モデル」を構築するには、その「観点」を明確にすることが、最も大事である。
そもそも「モデル」というのは、なんらかの実態 (物理現象、技術システム、社会、問題状況などさまざま) を、なんらかの見方 (観点、意図、目的など) で考察して表現し、理解しようとするものである。同じ実態に対して、多様な見方があり、異なる見方をすれば異なる見え方と理解になる。だから、「観点」がぼやけていたり、ふらついていたり、的外れであれば、適切なモデルが得られないのは当然である。

「観点」には、全体を大きく見る見方と、局所的に詳しく見る見方があり得る。目的に応じて選択すべきことであり、本研究では、全体的に大きく見る見方で一貫している (局所的に詳しく見ることは、本研究に後続して考えるとよいことであろう)。また、この「観点」を狭く解釈して単純な一つの観点/一つのレベルに絞ることは必要はない。本研究で作成したモデルの特徴は、関連した複数視点のもの、また、概要レベルと詳細レベルのものが、まとめられて「一つの観点」となっていることである。このように複数視点/レベルのものをまとめて表現することは、それらの複数視点での理解をさらに連携させて総合的に理解することを意味している。

一つの観点でのモデルの「構築法」を述べることは容易でない。
なぜなら、ある実態をある見方で見るときの理解のしかたを、一般的に述べよと要求していることに等しいからである。一つ言えることがあるとすれば、「システムとしての理解のしかた」をベースにして考えよ、ということであろう。それは非常に一般的に言って、(その実態の、その観点での)構成要素、性質、機能、そして空間的、時間的特性を考え、理想を考えて、モデルを作れ、というアドバイスになろう。このような「システムとしての理解」はTRIZの本質であり、その意味で複数のモデルを構築するという本研究のアプローチはTRIZの本質を使っていると言える。

モデルの表現法として、本研究では一貫して「図的表現」(特に、領域図、網図による表現)を用いた。
それらの「モデルの図」は、形式的な図表現 (何らかの理論をバックにして記述形式、記述のルールが予め決められているもの) ではなく、臨機応変の非形式的な図表現を用いている。さまざまな実態について、さまざまな観点からモデルを作って表現しようとするのだから、それぞれの場合に最も適当であると考える表現形式を自由に選択するのがよい、と考える。一つ一つの図では、いくつもの図要素を配置するときに何らかの方針をもっている。例えば、実態の空間的な配置を反映する、時間の経過を一定方向に表現する、内包関係を囲んで示す、多様な発展を放射状に示す、因果・影響・作用などを矢印で示す、などである。その方針 (表現の内部ルール) を図に明示している場合と、明示せずに説明文で補足している場合、読者の読み取りに任せている場合がある。

文章表現よりも図表現を選択している理由は、モデルの全体的な構造を簡潔・明瞭に表現できるから (文章よりも分かりやすいから) である。基本的に図だけで内容がわかるように、図の各要素の記述が (単なるキーワードでなく) やや詳しくしてある。また、図の各要素の相互関係を表現する工夫がしてある (近接して配置する、順番に配置する、囲んで示す、色で区別する、など) が、関係を矢印で示すなどの詳細は (輻輳を避けるために) 省略していることが多い。

モデルの「使い方」の第一は、そのモデルの構築者自身が、対象とする実態に対するその観点からの見方を記述し、自分の見方・理解を他の人にも分かるようにモデル表現を推敲する過程で、自分自身の理解を深めていくことである。
使い方の第二は、仲間や他の人々にモデルを見せ、読んで貰って、その観点からの理解を共有することである。
そして第三は、関係者間での理解の共通化と議論の土台として使うことである。この目的にはモデルの図が完全でなくてもよく、観点が明示されていれば、議論を通じて、いろいろな項目を追加したり、項目間の関係を明確にしたりするのに役立つ。
第四に、しっかりと記述されたモデルは、その後の実践や考察の共通基盤・指針として利用することができる。

8.3 複数モデルの構築法の意義

本研究では「TRIZの (特に若い人たちへの) 普及がスムーズでない」という問題、技術領域でなく、非技術領域の典型的で曖昧な問題を検討するために、複数観点からのモデルを構築するという方法を使った。この方法は、具体的なTRIZツール (例えば、原因-結果分析、発明原理、矛盾、機能分析、9画面法、など) を何も使っていない。しかし、その根底でTRIZの考え方を使っている。すなわち、前述のように、「モデル」の構築において (TRIZの基本である) 「システムとしての見方」を指導原理にしている。また、複数のモデルを構築するに際して、(TRIZをさらに抽象化した) 創造的問題解決のプロセスに従って考えるべき「観点」を順次選択している。これらによって、(TRIZを意識しないやり方で) 柔軟で汎用性のある問題解決・課題達成の方法を実現しているのである。

8.4 個別化 (カスタマイズ) 指向の解決策と一般化 (包括) 指向の解決策

一つ注意しておくべきは、本研究のモデル(a)(b)(c) および (d)の主要部においては、問題/課題を記述しているが、解決策そのものは記述していないことである。そして、モデル(d)の下部に、新しい全体目標として、一般的・抽象的な解決策の指針を記述している。この解決策の指針が出てきた過程を再検討しておく必要があろう。

例えばモデル(a)では、一人の人がTRIZのような技法や考え方を理解するには、前提となる知識や心の人が必要であることを記述している。それでは、もっと詳細に考えて、工学系の大学1年生を対象にするとどうだろう、製造業での入社2〜3年のエンジニアを対象にしたらどうだろう、・・・と考えていくことができる。このように具体的に、詳細に考えていくと、きっとそれぞれに適した解決策を導き出すことができるだろう。それは必然的に、個別化した、カスタマイズした解決策 (とその集合) になる。いままでに「TRIZのよりスムーズな普及」を模索し実践してきたわれわれの多くは、このような個別化指向での解決策を考えて、それぞれの場で実践しようと試みてきたといえる。

それに対して本研究では、モデル(a)の構築の過程で、対象者を限定せず、また、対象者が子ども〜学生〜技術者と成長していくことを考慮しており、それに対する包括的な解決策を指向している。それは、このような成長過程にあるできるだけ多くの人たちに、共通に受け入れられるような、一般的で包括的な解決策を目指していることである。

同様に、モデル(b)(c)(d) でも、個別化指向の解決策を目指す立場と、一般化指向の解決策を目指す立場の両方があり得る。本研究では、モデル構築の過程でいつも全体的な見方を採用していたために、モデル(a)〜(d)を総合したときに、「新しい全体目標」という形で、一般化指向の包括的な解決策の指針を得たのである。それは、従来の「TRIZ」のレベルではなく、一段上のレベルにある「創造的な問題解決・課題達成の方法 (の体系)」を認識して、それを確立・普及させるというより包括的な解決策指針である。

本研究のアプローチの特長は、この一段上の新しい全体目標について、その内実をかなり明確にできたことである。すなわち、モデル(e)で目標達成のための活動のしかたを記述し、モデル(f) で目標とする「創造的な問題解決・課題達成の方法 (の体系)」が持つべき内容を記述した。それは、従来のTRIZを包含し、明確な全体構造を持ったものである。

8.5 新しい全体目標 (包括的な解決策の指針) の意義

つぎに検討すべきは、新しい全体目標を得たことが、いままでの「TRIZをよりスムーズに普及させたい」という課題に比べて、実際上のメリットがあるのか? より大きく、より困難な課題を抱えただけではないのか? という点である。

上位の課題・目標を明確にし、その達成策を考察・提示することは、一般的につぎのようなメリットがある。
大きな目的・目標が明確になり、それが活動の判断基準になるので、方向づけを間違うことが少なくなる。
大きな目的・目標に賛同する組織や・個人を新たに獲得することができ、下位レベルでの組織間の競合や対立を解消することができる。
上位の課題・目標を明らかにし、その達成策を体系的に考えると、下位のレベルでするべきことが自ずから明確になり、それらの重要性、優先性などの判断が的確になる。
上位レベルで大局的、包括的に活動することにより、下位レベルで局所的、限定的な活動を多数行なうよりも効率的である。

これらのことを、TRIZの普及活動の面から具体的に考えるとつぎのようなメリットがあるといえる。

- 「創造的な問題解決・課題達成の方法 (の体系)」を確立・普及させ、広範囲の問題に適用することを、大目標とする。

- TRIZの個別ツールなどの普及より前に、創造性の教育、創造的な問題解決の考え方の教育を優先させることにより、より広い範囲の人たちに考え方を伝えることができる。

- 広い範囲の人たちに創造的な問題解決・課題達成の方法の教育をすることにより、TRIZに具体的な関心を持つ人たちが増加する。

- TRIZの近縁の諸方法 (VE、等価変換理論、QC、QFD、タグチメソッド、など) との内容的な統合・協調、活動面での協調。

- 創造性教育、理科教育などの活動、さらにビジネスマネジメント教育などの活動との協調ができる。

- 広範囲の領域で問題解決・課題達成を試みることにより、実地問題での協力者を獲得することができる。

- 政府や地方自治体などでのさまざまなプロジェクトに参画できる機会が生まれる。

これらの可能性を生かすような活動のしかたをすることが大事なことであろう。

9. 結論

本研究では、「TRIZが (特に若い人たちに) スムーズに普及しない」という非技術領域の問題を取り上げ、複数の観点からの「モデル」を構築していく方法で、問題解決を図った。これらの「モデル」は問題状況をシステムとして捉えて、図的に表現したものである。問題解決の一般的な方法に従って、複数のモデルを構築・考察した結果、新しい全体目標を見出した。すなわち、「創造的な問題解決・課題達成の方法 (の体系) を確立し、 広範に普及させて、国 (および世界) のさまざまな領域での問題解決・課題達成に適用する」。これは、TRIZより一段上位の問題解決・課題達成法を強く認識したことであり、その推進を新しいビジョンとしたことである。また、本研究では、このビジョンのための活動についても考察し、「創造的な問題解決・課題達成の方法 (の体系)」についてもその中身の概要を明確にすることができた。

本研究でのモデル構築は、TRIZにおける「システムとしての見方」を活用しているが、TRIZの個別ツールはまったく使っていない。それよりも、本研究で提唱している「創造的な問題解決・課題達成の方法」そのものを、適用した実例であるというべきであろう。

今後、この新しいビジョンに基づいて、その方法の中身を研究し、確立・普及の活動を進めて行きたい。

参考文献:

[1] 中川 徹: 「若い人たちに TRIZを広めるにはどうすればよいのか?」、第8回日本TRIZシンポジウム 2012、日本TRIZ協会主催、2012年9月6日、早稲田大学。

[2] 中川 徹:  「教育とTRIZ:新しい展望のために」、第6回日本TRIZシンポジウム、テーマ講演、 2010年9月 9日、神奈川工科大学 (厚木市)。

[3] 中川 徹: 「問題/課題を捉えるための複数モデルによる考察法:創造的な問題解決/課題達成の方法の確立と普及のために」、第8回日本TRIZシンポジウム2012、日本TRIZ協会主催、2012年9月6-8日、早稲田大学。

[4] 弓野憲一: 「創造性を教育する: 創造性技法の普及の土台創り」、第8回日本TRIZシンポジウム2012、日本TRIZ協会主催、2012年9月6-8日、早稲田大学。

 


 

   論文    PDF  (12頁、 1.1 MB)

 

本ページの先頭 論文の先頭 はじめに (a) 技法習得のモデル (b) 企業導入とリーダ成長のモデル (c) TRIZ推進活動 (d) 普及対象領域 (e)創造的な問題解決法の確立

(f) 創造的な問題解決法

8. 考察 9. 結論 参考文献 本論文 PDF 研究ノート「解題」 基礎資料: 原図と文章 TRIZシンポ発表 ETRIA TFC 発表

英文ページ
(「解題」)

 

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最終更新日 : 2012.12. 5     連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp