TRIZ/USIT研究ノート, 教材 
TRIZの『発明標準解』  (MannのTRIZ教科書による)
 - USITの解決策生成法との対応
 中川  徹 (大阪学院大学),  2002年 8月12日

[掲載: 2002年 9月18日]   [英文ページ作成掲載: 2003. 4. 3]

  [一時掲載停止: 2003. 4. 9 - 2012.12.18]

再掲載: 中川 徹  2012年12月19日

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編集ノート(中川 徹, 2002年 9月18日)

本稿はTRIZのいわゆる「76の発明標準解」の概要を, Darrell Mannの教科書に従ってリストしたものである。USITの技法分析のために作成した。『TRIZホームページ』内での各種の参照やリンクのための土台としてここに掲載する。

出典は:
   『Hands-On Systematic Innovation』, Darrell Mann 著, CREAX刊, 2002。訳は 中川 (仮訳)

Mann は, 発明標準解を従来の並べ方とは随分違う方法で並べている。その概要を目次の形で示す。

(注1)  ( ) 内に"Altshuller" と書いているのは, Mannによる参照で,
                G. S. Altshuller: "Creativity as an Exact Science", Gordon & Breach, 1984。
(注2)   [Salamatov 1-1-2] の形式で対応するSalamatov の発明標準解の項番を記す。
Mannの参照における"Altshuller"の項番とSalamatovのものとは, つぎの点を除いて完全に一致している。
   -  Salamatov 4-4 (強磁性を利用した測定システムへの移行) は 4-4-1〜4-4-5に詳細化しているが, Mannの参照は"Altshuller 4.4"とだけ書いていて, 細分化されていない。
   -  Salamatov 4-5 (測定システムの進化) は Mannには参照されていない。

所感:  Mannの教科書の「発明標準解」に関する記述は, 次の意義を持っている。
  (1) Altshuller および Salamatovの記述が, 物質-場モデルの観点を強く出してその変更法を記述しようとしているのに対して, Mannの記述はシステムに対する目的 (測定, 有害作用の除去, 有効効果の改善) を前面に出して, 記述している。
  (2) また, 分類の第2階層として, 物質/場の新規導入/変更を軸にしている。
  (3) 発明標準解の図式による説明を省略し, 多数の適用例を列挙している。
          [この事例の列挙は, ロシアのTRIZ専門家の蓄積を英訳したものと思われる。]

所感2: USIT法との対応を考えるには, 発明標準解がやや詳細に入りすぎている感があるので, 発明標準解のいくつかの項目をまとめて考えるとよい。発明標準解では, 「リソースの導入の優先順序」を特に強調しているように思われる。この点で, 別途, 「リソース」からの考察を記述すれば, そのエッセンスを捉え得ると考えられる。(2002・8・12)

USITの技法の詳細については, USIT技法一覧 (拡張版) を参照のこと。

TRIZの各種技法の一覧に関しては親ページを参照のこと。

[ノート (2012. 9.20 中川):  TRIZのツール (40の発明原理、76の発明標準解、および技術システムの進化のトレンド) はすべて、ゲンリッヒ・アルトシュラー先生の開発によるものです。(出典: G.S. Altshuller: "Creativity as an Exact Science"、Gordon & Breach、1984 )。ここでは、日本におけるアクセスの容易さを考慮して、英書と和書の揃っている、Salamatov の教科書およびMannの教科書の形式のリストを使用ました。]  

本ページの先頭 TRIZ/USIT 解法の相互索引(親ページ) TRIZ発明原理 発明標準解 (Salamatovの教科書)  発明標準解 (Mannの教科書)  進化のトレンド 21のヒューリスティクス (Sickafus) USIT オペレータ (標準版) USITオペレータ (拡張版) 英文ページ

 


TRIZの「発明標準解」   (Mann)   (目次) 

A. 不完全”物質−場”に対して   (Incomplete S-Fields)

B.  測定・検出問題に対して (Measurement/Detection Problems)

C.  有害効果に対して    (Harmfull Effects)

a.  既存の物質を変更する  (Modify Existing Substance)
b.  場を変更する    (Modify the Field)
c.  新しい物質を導入する  (Add a New Substance)
d.  新しい場を導入する   (Add a New Field)
e.  新しい物質と場とを導入する (Add a New Substance AND Field)
f.  サブ-システムへの移行    (Transition to the Sub-system)
g.  スーパー-システムへの移行  (Transition to the Super-system)
D.  不十分/過剰な関係に対して    (Insufficient/Excessive Relationships)
a.  既存の物質を変更する   (Modify an Existing Subtance)
b.  (相変化を用いる)    ( (Phase Transitions) )
c.  場を変更する    (Modify the Field)
d.  新しい物質を導入する  (Add a New Substance)
e.  新しい場を導入する   (Add a New Field)
f.  新しい物質と「場」とを導入する    (Add a New Substance AND Field)
g.  (強磁性の導入)    (  (Ferro-magnetics) )
h.  サブ-システムへの移行    (Transition to the Sub-system)
i.  スーパー-システムへの移行  (Transition to the Super-system)


 

TRIZの「発明標準解」   (Mann)

A. 不完全”物質−場”に対して   (Incomplete S-Fields)

A1.  「二つの物質と一つの場」という [物質-場分析の] 最小限の要求を樹立するために, 物質または場を追加する。すでに環境に存在する物質と場とを使うことをまず考える。  (Altshuller 5.2.1)  [Salamatov 1-1-1 ]  [USIT 4x]

B.  測定・検出問題に対して (Measurement/Detection Problems)

B1.  システムを変更して, 検出や測定が不必要になるようにする。 (Altshuller 4.1.1)  [Salamatov  4-1-1]   [USIT 4x]

B2. オブジェクトの代わりに, そのコピー, 画像, あるいは複製について検出・測定する。  (Altshuller 4.1.2)  [Salamatov 4-1-2 ]  [USIT 3h]

B3.  問題を変換して, 変化を逐次的に測定するものにする。(Altshuller 4.1.3)  [Salamatov  4-1-3]  [USIT 3h]

B4.  既存の場を強化したり新しい場を導入して, 検出・測定が必要なパラメタに関連した, 検出がより容易なパラメタを提供する。(Altsuller 4.2.1)  [Salamatov 4-2-1 ]  [USIT 2b]

B5.  容易に検出できる内部/外部添加物を導入する (またできれば, 検出・測定を助ける新しい場を導入する)。(Altshuller 4.2.2)  [Salamatov 4-2-2 ]  [USIT 1e]

B6.  システムの変更ができない場合には, 容易に検出できる添加物あるいはオブジェクトを外部環境に導入する (またできれば, 検出・測定を助ける新しい場を導入する)。 (Altshuller 4.2.3)  [Salamatov 4-2-3 ]  [USIT 1e]

B7.  容易に検出できる添加物を環境に導入することができない場合には, すでに環境に存在するものを変更してそれを得る (またできれば, 検出・測定を助ける新しい「場」を導入する)。(Altshuller 4.2.4)  [Salamatov 4-2-4 ]  [USIT ]

B8.  測定を助けるために, システムに存在する物理・化学・生物的効果を利用する。(Altshuller 4.3.1)  [Salamatov 4-3-1 ]  [USIT 4a]

B9.  システムの全体または部分の共鳴振動を利用して, 共鳴周波数の変化が測定を助けるようにする。(Altshuller 4.3.2)  [Salamatov 4-3-2 ]  [USIT 2b ]

B10.  何らかのもの (できれば環境中にあるもの) をシステムに付加して, 共鳴周波数の変化を測定のために用いる。(Altshuller 4.3.3)  [Salamatov 4-3-3 ]  [USIT 2b]

B11.  強磁性の物質 (固体または粒子) をシステムまたはその周りに導入し, 磁場を使ってその測定・検出を容易にする。  (Altshuller 4.4)  [Salamatov 4-4-1, 4-4-2, 4-4-3, 4-4-4, 4-4-5 ]  [注: Salamatovではこの5項目に詳細化]  [USIT 1e]

C.  有害効果に対して    (Harmfull Effects)

a.  既存の物質を変更する   (Modify Existing Substance)

Ca1.  既存の物質を変更したものを導入して, 有害効果を除去する。 (Altshuller 1.2.2)  [Salamatov 1-2-2 ]  [USIT 1e]

Ca2.  二つの物質の一つ, または外部環境を分解する。 (Altshuller 5.1.1.9, 5.5.1, 5.5.3)  [Salamatov  5-1-1-9, 5-5-1, 5-5-3]  [USIT 1a]

Ca3.  低レベルの構造中の要素を組み合わせる。(Altshulller 5.5.2, 5.5.3)  [Salamatov  5-5-2, 5-5-3 ]  [USIT ]

Ca4.  一つまたは両方の物質の相転移を利用する。(Altshuller 5.3.1)  [Salamatov  5-3-1]  [USIT ]

b.  場を変更する    (Modify the Field)

Cb1.  制御されていない/制御が不十分な場を, より制御しやすい場で置き換える。 (Altshuller 2.2.1)  [Salamatov 2-2-1 ]  [USIT 3i]

Cb2.  均一なあるいは秩序のない場から, 均一でなくあるいは秩序のある場へと変換する (それは時間で変化するものであったり, 永久的なあるいは臨時のものであってもよい)。(Altshuller 2.2.5, 2.4,9)  [Salamatov 2-2-5, 2-4-9 ]  [USIT 3e, 3f]

Cb3.  システム中の時間変化する要素に合わせて場を変化させる。(Altshuller 2.4.10)  [Salamatov 2-4-10 ]  [USIT 3f ]

Cb4.  対象物質の自然の周波数に, 場の周波数を一致させる (あるいは, 不一致にする) 。 (Altshuller 2.3.1)  [Salamatov 2-3-1 ]  [USIT 3f]

Cb5.  複数の場が存在する場合に, それらの場の周波数を一致させる (あるいは, 不一致にする)。 (Altshuller 2.3.2)  [Salamatov 2-3-2 ]  [USIT 3f]

Cb6.  場を使用している場合に, 有害作用の条件に対応して, その場をオン/オフするような物理的効果を用いる。(Altshuller 1.2.5)  [Salamatov 1-2-5 ]  [注:  この記述はSalamatov よりやや一般的]  [USIT 3f]

c.  新しい物質を導入する  (Add a New Substance)

Cc1.  既存の二つの物質の間に, 第三の物質を (臨時に) 挿入して, 有害な効果を除去する。(Altshuller 1.2.1)  [Salamatov 1-2-1 ]  [USIT 1e]

Cc2.  場が一方の物質に有害な効果をもっている場合には, 新しい物質を導入して, その場の有害な効果を引きつけて除くようにする。(Altsuller 1.2.3)  [Salamatov 1-2-3 ]  [USIT 1e]

Cc3.  周りの環境から得た (臨時の) 外部付加物を, どちらかの物質に組み込む。 (Altshuller 1.1.4)  [Salamatov 1-1-4 ]  [USIT 1f ]

Cc4.  特殊な性質を持つ新しい物質を導入する。(D2)  [Salamatov  ]  [USIT 2b, 1e]

Cc5.  空孔を導入する。(Altshuller 5.1.1.1)  [Salamatov 5-1-1-1 ]  [USIT 2g]

Cc6.  新しく導入可能な物質の量に制限がある場合には, 非常に活性な物質を少量使う。(Altshuller 5.1.1.4)  [Salamatov 5-1-1-4 ]  [USIT 2b, 1e]

Cc7.  導入可能なものの量に制限がある場合には, 新しい物質を, 対象物の真に必要な部分にだけ選択的に集中させる。(Altshuller 5.1.1.5)  [Salamatov 5-1-1-5 ]  [USIT  2d]

Cc8.  新しく導入する物質の量に制限がある場合には, 泡や膨張する構造を利用する。 (Altshuller 5.1.4)  [Salamatov 5-1-4 ]  [USIT 2d, 1e]

Cc9.  新しい物質の導入に制限がある場合には, 後で分解できる物質を導入する。(Altshuller 5.1.1.8)  [Salamatov 5-1-1-8 ]  [USIT 2b, 1e]

Cc10.  外部環境を分解して, 導入する物質を作る。(Altshuller 5.1.1.9)  [Salamatov 5-1-1-9 ]  [USIT 1f]

Cc11.  機能を果たした後で消滅する (あるいは, 区別不能になる) ような物質を作る。(Altshuller 5.1.3)  [Salamatov 5-1-3 ]  [USIT 1e, 2b]  

d.  新しい場を導入する   (Add a New Field)

Cd1.  システムの周りの環境中にすでに存在する場を活用する。 (Altshuller 5.2.2)  [Salamatov 5-2-2 ]  [USIT 3d]

Cd2.  新しい場を導入する。(Altshuller 5.1.1.2)  [Salamatov 5-1-1-2 ]  [USIT 3d]

Cd3.  既存の場の有害な効果を中和するために, 新しい場を導入する。 (Altshuller 1.2.4)  [Salamatov 1-2-4 ]  [USIT 3d]

Cd4.  システムまたは外部環境中にすでにある物質が媒体あるいはソースとして働くような, 場を導入する。(Altshuller 5.2.3)  [Salamatov 5-2-3 ]  [USIT 3d]

Cd5.  制御されていないあるいは制御が不十分な場を, もっと制御しやすい場に置き換える。(Altshuller 2.2.1)  [Salamatov 2-2-1 ]  [USIT 3i]
 

e.  新しい物質と場とを導入する  (Add a New Substance AND Field)

Ce1.  有害な (制御) 問題の場合, 第二の, もっと制御しやすい物質-場を導入する。(Altshuller 2.1.2, 2.4.11, 2.4.12)  [Salamatov 2-1-2, 2-4-11, 2-4-12 ]  [USIT 4a]

Ce2.  有害効果を受けていた物質に新しい物質を添加し, さらにその添加物に作用する新しい場を導入して, 既存の場の有害な効果を中和する。 (Altshuller 1.2.4)  [Salamatov 1-2-4 ]  [USIT 3d]

Ce3.  特殊な性質をもつ物質を利用し, また, その性質を活用するために対応する場を導入する。 (D2)  [Salamatov  ]  [USIT 3d, 2b]

f.  サブ-システムへの移行    (Transition to the Sub-system)

Cf1.  マクロレベルからミクロレベルへ移行する。ミクロレベルでの物質-場を考える。 (Altshuller 3.2.1)  [Salamatov  3-2-1]  [USIT 2f]

Cf2.  マクロレベルでの要素を (すぐ上位のレベルから始めて) 分解して, ミクロレベルの粒子を得る。 (Altshuller 5.5.1, 5.5.3)  [Salamatov 5-5-1, 5-5-3 ]  [USIT 1e]

Cf3.  ミクロレベルよりさらに下の粒子を (すぐ下位のレベルから始めて) 組み合わせて, ミクロレベルの粒子を得る。 (Altshuller 5.5.2, 5.5.3)  [Salamatov 5-5-2, 5-5-3 ]  [USIT 1e]

g.  スーパー-システムへの移行  (Transition to the Super-system)

Cg1.  システムともう一つのシステムを組み合わせて, バイ-システムあるいはポリ-システムを形成する。(Altshuller 3.1.1)  [Salamatov 3-1-1 ]  [USIT 4f]

Cg2.  バイ-システムやポリ-システムにおいて, システムの構成要素間の連結の数あるいは質を向上させることにより, 有害効果を除去する。(Altshuller 3.1.2)  [Salamatov 3-1-2 ]  [USIT 4f]

Cg3.  システムの構成要素間の差異を増大させることにより, 有害効果を除去する。 (Altshuller 3.1.3)  [Salamatov  3-1-3]  [USIT 4f]

Cg4.  複数システムを統合し, 補助的構成要素を減らし, より高い階層レベルで, 他のシステムと組み合わせることを考える。 (Altshuller 3.1.4)  [Salamatov 3-1-4 ]  [USIT 4f]

Cg5.  システムとその部分たちとの間で, 両立しないあるいは「逆」の諸性質を分配する。(Altshuller 3.1.5)  [Salamatov 3-1-5 ]  [USIT 4d]

Cg6.  もし, 二つの作用が要求されるが互いに両立しない場合, 一つの作用の休止期間中にもう一つの作用を実行する。(Altshuller 2.3.3)  [Salamatov 2-3-3 ]  [USIT 3f]

D.  不十分/過剰な関係に対して    (Insufficient/Excessive Relationships)

a.  既存の物質を変更する   (Modify an Existing Subtance)

Da1.  物質の一つに添加物 (一時的なものでよい) を導入し, 制御性を増大したり,  要求される性質を提供したりする。(Altshuller 1.1.2)  [Salamatov 1-1-2 ]  [USIT 1e, 2b]

Da2.  最小の作用を達成しようとしてできない場合には, その代わりに最大の作用を適用し, 余剰を除去する。(Altshuller 1.1.6)  [Salamatov 1-1-6 ]  [USIT 4a, 3f]

Da3.  物質の一方または両方の分割の程度を増大させる。(Altshuller 2.2.2, 5.1.2)  [Salamatov 2-2-2, 5-1-2 ]  [USIT 1c]

Da4.  物質の一方または両方を, 固体から, 中空構造, 複数の空洞の構造, さらに多孔質の毛細管へと移行する。(Altshuller 2.2.3)  [Salamatov 2-2-3 ]  [USIT 2g]

Da5.  システムをより柔軟で適応可能なものとする (そのため, 関節がない構造から, 関節一つ, 関節複数の構造, そしてさらに完全に柔軟な構造へと移行させる)。 (Altshuller 2.2.4, 2.4.8)  [Salamatov 2-2-4, 2-4-8 ]  [USIT 2f]

Da6.  物質の「変換可能な」要素を利用する。 (D3)  [Salamatov  ]  [USIT 2b]

Da7.  均質なあるいは無秩序な構造の物質から, 不均質で秩序のある (そしてあるいは, 時間的に変化する) 構造の物質に移行する。 (Altshuller 2.2.6)  [Salamatov 2-2-6 ]  [USIT 2g]

Da8.  一方または両方の物質のコピーに作用させる。 (Altshuller 5.1.1.7)  [Salamatov 5-1-1-7 ]  [USIT 1e]

Da9.  物質の一方を変更して, 空孔を含むようにする。 (Altshuller 5.1.1.1)  [Salamatov 5-1-1-1 ]  [USIT 2g]

Da10.  物質の一つあるいは外部環境を分解する。(Altshuller 5.1.1.9, 5.5.1, 5.5.3)  [Salamatov 5-1-1-9, 5-5-1, 5-5-3 ]  [USIT 1e, 1f]

Da11.  低レベル構造の要素を組み合わせる/結合する。  (Altshuller 5.5.2, 5.5.3)  [Salamatov 5-5-2, 5-5-3 ]  [USIT 1e]

Da12.  一方または両方の物質の相変化を利用する。(Altshuller 5.3.1)  [Salamatov 5-3-1 ]  [USIT 2g]

b.  (相変化を用いる)    ( (Phase Transitions) )

Db1.  動作条件に応じて有用な作用を提供する間に相変化が起こるような物質を用いる。(Altshuller 5.3.2)  [Salamatov 5-3-2 ]  [USIT 2g]

Db2.  相変化の間に起こる物理的現象を利用する。(Altshuller 5.3.3)  [Salamatov 5-3-3 ]  [USIT ]

Db3.  一つの相状態の代わりに, 二相共存状態で置き換える。(Altshuller 5.3.4)  [Salamatov 5-3-4 ]  [USIT 2g]

Db4.  システムの異なる相の間に物理的あるいは化学的相互作用を導入する。 (Altshuller 5.3.5)  [Salamatov 5-3-5 ]  [USIT 3d, 2g]

Db5.  可逆相変位 (あるいはその他の可逆性のあるヒステリシス) を利用して, システムの機能を改良する。(Altshuller 5.4.1)  [Salamatov 5-4-1 ]  [USIT 2g]

Db6.  弱い入力を大きな出力に変換する必要がある場合には, 変換する物質をその臨界に近い条件に置き, 入力がトリガーとして働くようにする。 (Altshuller 5.4.2)  [Salamatov 5-4-2 ]  [USIT 2g, 3i]

c.  場を変更する    (Modify the Field)

Dc1.  最小の作用を実現しようとしてできない場合には, その代わりに実地可能な作用を適用して, 余剰を除去する。(Altshuller 1.1.6)  [Salamatov 1-1-6 ]  [USIT 3f]

Dc2.  最大の作用を実現しようとしてできない場合には, 対象とする物質に付加した物質に作用するように, 場の向きを変える。(Altshuller 1.1.7)  [Salamatov 1-1-7 ]  [USIT 3d, 1e]

Dc3.  制御されていないあるいは制御不十分な場を, もっと制御可能なものにする。(Altshuller 2.2.1)  [Salamatov 2-2-1 ]  [USIT 3i]

Dc4.   均一なあるいは秩序のない場から, 均一でなくあるいは秩序のある場へと変換する (それは時間で変化するものであったり, 永久的なあるいは一時的なものであってもよい)。(Altshuller 2.2.5, 2.4.9)  [Salamatov 2-2-5, 2-4-9 ]  [USIT 3e, 3f]

Dc5.    システム中の時間変化する要素に合わせて場を変化させる。(Altshuller 2.4.10)  [Salamatov 2-4-10 ]  [USIT 3f]

Dc6.   対象物質の自然の周波数に, 場の周波数を一致させる (あるいは, 不一致にする) 。(Altshuller 2.3.1)  [Salamatov 2-3-1 ]  [USIT 3f]

Dc7.  複数の「場」が存在する場合に, それらの場の周波数を一致させる (あるいは, 不一致にする)。 (Altshuller 2.3.2)  [Salamatov 2-3-2 ]  [USIT 3f]

d.  新しい物質を導入する   (Add a New Substance)

Dd1.    (一時的な) 内部付加物を, どちらかの物質に組み込む。(Altshuller 1.1.2, 5.1.1.6)  [Salamatov  1-1-2 ]  [USIT 1e]

Dd2.   (一時的な) 外部付加物を, どちらかの物質に組み込む。(Altshuller 1.1.3, 5.1.13)  [Salamatov 1-1-3 ]  [USIT 1e]

d3.  周りの環境から得た (一時的な) 外部付加物を, どちらかの物質に組み込む。(Altshuller 1.1.4)  [Salamatov 1-1-4 ]  [USIT 1f]

Dd4.  現在の外部環境を代替/変更/分解した (一時的な) 外部付加物を, どちらかの物質に組み込む。 (Altshuller 1.1.5)  [Salamatov 1-1-5 ]  [USIT 1f]

Dd5.  特殊な性質を持つ新しい物質を導入する。 (D2)  [Salamatov  ]  [USIT 1e]

Dd6.  最大の作用を実現しようとしてできない場合には, 新しい物質を該当物質に付加し, その新しい物質に作用するように場の向きを変える。(Altshuller 1.1.7)  [Salamatov  1-1-7]  [USIT 1e]

Dd7.   選択的な作用 (例えば, ある場所では最大で, 別の場所では最小など) が要求されていて, 場が時として大きすぎる場合には, 物質を導入してその極端な場合にシステムを保護するようにする。(Altshuller 1.1.8.1)  [Salamatov 1-1-8-1 ]  [USIT 1e, 3i]

Dd8.  選択的な作用が要求されていて, 場が時として不十分な場合には, 物質を導入して, 場との相互作用により, その選択的な要求に適合した局所的な効果をつくりだせるようにする。(Altshuller 1.1.8.2)  [Salamatov  1-1-8-2]  [USIT 3i, 1e]

Dd9.  物質の一方または両方に「空孔」を導入する。(Altshuller 5.1.1.1)  [Salamatov  5-1-1-1]  [USIT 2g]

Dd10.   新しく導入可能な物質の量に制限がある場合には, 非常に活性な物質を少量使う。 (Altshuller 5.1.1.4)  [Salamatov  5-1-1-4]  [USIT 1e]

Dd11.   導入可能なものの量に制限がある場合には, 新しい物質を, 対象物の真に必要な部分にだけ選択的に集中させる。 (Altshuller 5.1.1.5)  [Salamatov 5-1-1-5 ]  [USIT 2d]

Dd12.  新しく導入する物質の量に制限がある場合には, 泡や膨張する構造を利用する。(Altshuller 5.1.4)  [Salamatov  5-1-4]  [USIT 2d, 1e]

Dd13.  新しい物質の導入に制限がある場合には, 後で分解できる物質を導入する。(Altshuller 5.1.1.8)  [Salamatov  5-1-1-8]  [USIT 1e, 2b]

Dd14.  外部環境を分解して, 導入する物質を作る。(Altshuller 5.1.1.9)  [Salamatov 5-1-1-9 ]  [USIT 1f]

Dd15.  機能を果たした後で消滅する (あるいは, 区別不能になる) ような物質を作る。(Altshuller 5.1.3)  [Salamatov  5-1-3]  [USIT 1e, 2b]

e.  新しい場を導入する   (Add a New Field)

De1.  システムの周りの環境中にすでに存在する場を活用する。(Altshuller 5.2.2)  [Salamatov 5-2-2 ]  [USIT 3a, 3d]

De2.  新しい場を導入する。 (Altshuller 5.1.1.2)  [Salamatov 5-1-1-2 ]  [USIT 3d]

De3.  システムまたは外部環境中にすでにある物質が媒体あるいはソースとして働くような, 場を導入する。(Altshuller 5.2.3)  [Salamatov 5-2-3 ]  [USIT 3d]

De4.  制御されていないあるいは制御が不十分な場を, もっと制御しやすい場に置き換える。 (Altshuller 2.2.1)  [Salamatov 2-2-1 ]  [USIT 3i]  

f.  新しい物質と「場」とを導入する    (Add a New Substance AND Field)

Df1.  現在のシステム中の物質の一つを, 独立に制御可能な物質-場に変換することにより, システムの効率を向上させる。(Altshuller 2.1.1)  [Salamatov 2-1-1 ]  [USIT 4f, 4a, 3i]

Df2.  制御の問題がある場合, 第二の, より制御しやすい物質-場を導入する。(Altshuller 2.1.2, 2.4.11, 2.4.12)  [Salamatov 2-1-2, 2-4-11, 2-4-12 ]  [USIT ]

Df3.  特別な性質をもつ物質を利用し, また, その性質を活用するために対応する「場」を導入する。 (D2)  [Salamatov  ]  [USIT 3d]

Df4.  強磁性物質と磁場とを導入して, システムの効率を向上させる。(Altshuller 2.4.1)  [Salamatov  2-4-1]  [USIT 1e, 3d, 2b]

g.  (強磁性の導入)    (  (Ferro-magnetics) )

Dg1.  強磁性粒子を利用する。(Altshuller 2.4.2)  [Salamatov 2-4-2 ]  [USIT 2b, 1e]

Dg2.  磁性の添加物を利用する。(Altshuller 2.4.5)  [Salamatov 2-4-5 ]  [USIT 1e]

Dg3.  磁性流体を利用する。 (Altshuller 2.4.3)  [Salamatov 2-4-3 ]  [USIT 1e]

Dg4.  強磁性物質を, 分割構造あるいは多孔質構造と組み合わせて利用する。(Altshuller 2.4.4)  [Salamatov  2-4-4]  [USIT 2b]

Dg5.  外部環境に磁性の要素を導入する。(Altshuller 2.4.6)  [Salamatov 2-4-6 ]  [USIT ]

Dg6.  磁性物質に連携した物理的効果を利用して, 制御を向上させる。(Altshuller 2.4.7)  [Salamatov 2-4-7 ]  [USIT 3i]

Dg7.  均一なあるいは秩序のない磁場から, 非均一なあるいは秩序のある磁場に移行する。(Altshuller 2.4.9)  [Salamatov 2-4-9 ]  [USIT 3e, 3f]

Dg8.  システムの自然なリズムに一致した, 時間的に変動する磁場を用いる。(Altshuller 2.4.10)  [Salamatov  2-4-10]  [USIT ]  

h.  サブ-システムへの移行    (Transition to the Sub-system)

Dh1.  マクロレベルからミクロレベルへ移行する。ミクロレベルでの物質-場を考える。(Altshuller 3.2.1)  [Salamatov 3-2-1 ]  [USIT 2h]

Dh2.  マクロレベルでの要素を (すぐ上位のレベルから始めて) 分解して, ミクロ レベルの粒子を得る。(Altshuller 5.5.1, 5.5.3)  [Salamatov  5-5-1, 5-5-3]  [USIT 1e]

Dh3.  ミクロレベルよりさらに下の粒子を (すぐ下位のものから始めて) 組み合わせて, ミクロレベルの粒子を得る。(Altshuller 5.5.2, 5.5.3)  [Salamatov 5-5-2, 5-5-3 ]  [USIT 1e]

i.  スーパー-システムへの移行  (Transition to the Super-system)

Di1.   システムともう一つのシステムを組み合わせて, バイ-システムあるいはポリ-システムを形成する。(Altshuller 3.1.1)  [Salamatov  3-1-1]  [USIT 4f]

Di2.  バイ-システムやポリ-システムにおいて, システムの構成要素間の連結の数あるいは質を向上させることにより, システムの効率を向上させる。(Altshuller 3.1.2)  [Salamatov 3-1-2 ]  [USIT 4f]

Di3.  システムの構成要素間の差異を増大させることにより, 効率を向上させる。 (Altshuller 3.1.3)  [Salamatov 3-1-3 ]  [USIT 4f]

Di4.  複数システムを統合し, 補助的構成要素を減らし, より高い階層レベルで, 他のシステムと組み合わせることを考える。 (Altshuller 3.1.4)  [Salamatov  3-1-4]  [USIT 4f]

Di5.  システムとその部分たちとの間で, 両立しないあるいは「逆」の諸性質を分配する。(Altshuller 3.1.5)  [Salamatov 3-1-5 ]  [USIT 4d]

Di6.  もし, 二つの作用が要求されるが互いに両立しない場合, 一つの作用の休止期間中にもう一つの作用を実行する。(Altshuller 2.3.3)  [Salamatov 2-3-3 ]  [USIT 3f]  

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最終更新日 : 2002. 9.18 ;   再掲載 : 2012.12.22        連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp