TRIZ研究ノート/教材 |
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TRIZの40の発明原理 (Salamatov教科書による)
- USITの解決策生成法との対応 |
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中川 徹 (大阪学院大学), 2002年 8月15日 | |
[掲載: 2002年 9月18日] [英文ページ作成掲載: 2003. 4. 3]
[一時掲載停止: 2003. 4. 9 - 2012.12.18] |
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再掲載: 中川 徹 2012年12月19日 |
編集ノート(中川 徹, 2002年 9月18日)
本稿はTRIZの40の発明原理をリストしたものである。USITの技法分析のために作成した。『TRIZホームページ』内での各種の参照やリンクのための土台としてここに掲載する。各原理には, 参照用のターゲットを備えている。出典は:
『超"発明術TRIZシリーズ5: 思想編「創造的問題解決の極意」 』
原書: "TRIZ: The Right Solution at the Right Time", Yuri Salamatov著, Valeri Souchkov編, Insytec社刊, 1999年
訳書: 中川徹監訳, 三菱総合研究所知識創造研究チーム訳, 日経BP社刊, 2000年11月17日発行。(注1) 三菱総研著 「図解TRIZ」掲載の発明原理と照合して, 注意書きを書いている。
(注2) USITの解決策生成法との対応を [USIT 1a] などの記号で示す (2002. 8.15)。 USIT 技法一覧 (標準版) および USIT技法一覧 (拡張版) を参照のこと。TRIZ / USIT の解決策生成法 の一覧に関しては相互索引の親ページを参照下さい。
[ノート (2012. 9.20 中川): TRIZのツール (40の発明原理、76の発明標準解、および技術システムの進化のトレンド) はすべて、ゲンリッヒ・アルトシュラー先生の開発によるものです。(出典: G.S. Altshuller: "Creativity as an Exact Science"、Gordon & Breach、1984 )。ここでは、日本におけるアクセスの容易さを考慮して、英書と和書の揃っている、Salamatov の教科書およびMannの教科書の形式のリストを使用ました。]
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TRIZの『40の発明の原理』 (Salamatovの教科書による)
a. 物体を独立した部分に分割する。 [USIT 1c]b. 容易に分離できるように, 物体を分割する。 [USIT 1c]
c. 物体の細分化の度合いを強める。 [USIT 1c]
a. 物体の干渉部分の一つを分離する。 [USIT 1c]b. 物体のある性質が望ましくない場合, その望ましくない性質をもたらすのが物体のどの部分であるかを見いだし, その部分を物体から分離する。 [USIT 1c, 2a]
a. 物体の均質な構造の代わりに, その物体を不均質な構造にする。 [USIT 2d]b. 環境の均質な構造の代わりに, その環境を不均質な構造にする。 [USIT 2d]
c. 同じ物体が二つの機能を行おうとすると問題が生じるならば, その物体を二つの部分に分割する。 [USUT 3b, 1c, 4a]
d. 物体と環境を再設計して, 物体の各部分が動作に適した条件になるように整える。 [USIT 2c, 4d]
a. 物体の形状が対称な場合, 非対称にする。 [USIT 2b]b. 物体が非対称な場合, 非対称の度合いを強める。 [USIT 2b]
a. 物体の同一の部分たち, または構成要素たちを空間的に併合する。 [USIT 1d]b. 物体の同一の部分たち, または構成要素たちを時間的に併合する。 [USIT 1d]
a. 異なる機能を果たす二つの物体を持つ場合, 両方の機能を果たせる新しい単一の物体を設計する。 [USIT 3c, 1d, 4a]
a. 一つの物体をもう一つの物体の中に配置する。 [USIT 4b, 2d]b. 入れ子構造の物体の数を増やす。 [USIT 1b]
c. 一つの物体が別の物体の空洞中を, 必要な時にダイナミックに通り抜けできるようにする。 [USIT 4b]
8. つりあい (カウンタウェイト) (Counterweight)
a. 物体を, 揚力を提供する別の物体と組み合わせて, その物体の重さを補償する。 [USIT 3d]b. 空気力学的揚力, 流体力学的揚力, その他の揚力をもたらす環境の中に物体を置く。 [USIT 3d]
9. 先取り反作用 (Prior Counteraction)
a. 物体が環境から有害要因を受ける場合, 事前に, 正反対の作用を物体に与えておく。これにより, 有害要因を補償できる。 [USIT 3f, 4c]
a. 物体が環境から有害要因を受ける場合, 事前に, 有害要因から物体を保護する条件を作っておく。 [USIT 4c]b. 物体を変更する必要があるが, それが難しい場合には, 予め, 要求される変更を物体に (全部または部分的に) 与えておく。 [USIT 3f, 4c]
a. 物体の信頼性が低い場合, 事前に, 物体を回避する条件を作っておく。 [USIT 4c]
12. 等ポテンシャル (Equipotentiality)
a. 物体を上げるまたは下ろす必要がある場合, 物体の環境を再設計して, 物体を上げる/下ろすことを不要にする。 [USIT 2h, 4b]
a. 指定された作用の代わりに, それと逆の作用を実行する。 [USIT 3d]b. 物体の可動部分を固定にし, あるいは物体の固定部分を可動にする。 [USIT 2d]
14. 球面性/楕円性 (Spheroidality) [図解TRIZの訳 「曲面原理」 の方が適当であろう。]
a. 物体の部分を直線の代わりに, 曲線にする。 [USIT 2d]b. ローラー, 球, らせんを使用する。 [USIT 2b, 2d, 1e]
c. 回転運動を利用する。 [USIT 3e]
d. 遠心力を利用する。 [USIT 3c]
a. 物体が固定されて不動の場合, その物体を可動にする。 [USIT 2d]b. 物体を分割して, 互いに相対的に運動できる部分にする。 [USIT 1c]
c. 自由運動の程度を増す。 [USIT 2d]
d. 物体や環境を, 動作の各段階で要求される条件に従って, ダイナミックに変わるようにする。 [USIT 2e, 4c, 4d]
16. 部分的な作用または過剰な作用 (Partial or Excessive Action) [図解TRIZの訳は 「アバウト原理」]
a. 要求される変化を正確に実現できない場合や, ある機能を果たすことができない場合には, 問題を再定義する。要求よりもちょっと少なく変化 (機能) させたり, ちょっと多く変化 (機能) させて, それから, 要求される結果を達成する。 [USIT 3f, 4a]
17. もう一つの次元 (Another Dimension) [図解TRIZの訳は「他次元移行原理」]
a. 物体が一つの線に沿って移動する場合, 2次元空間内での移動を考える。 [USIT 3e]b. 物体が一つの面内で移動する場合, 3次元空間内での移動を考える。 [USIT 3e]
c. 物体を再配置して, 単層配置の代わりに多層配置を達成する。 [USIT 1b, 2d, 4b]
d. 物体を傾ける。 [USIT 2d, 3e]
e. 当該領域の反対側を利用する。 [USIT 2d]
18. 機械的振動 (Mechanical Vibration)
a. 物体やその一部を振動させる。 [USIT 3e]b. 物体が振動している場合, 振動周波数を大きくする。 [USIT 3e, 3f]
c. 共鳴振動を利用する。 [USIT 3e, 3f]
d. 超音波振動を利用する。 [USIT 3d, 3e]
e. 機械的振動の代わりに圧電振動を利用する。 [USIT 3d, 3e]
f. 超音波振動を電磁場と組み合わせて利用する。 [USIT 3d, 4e]
a. 連続的な作用の代わりに, パルス的作用を利用する。 [USIT 3f]b. 条件に合わせて周期性を変える。 [USIT 3f]
c. パルスの間の休止を利用して, 他の作用を行う。 [USIT 3f, 4c]
20. 有用作用の継続 (Useful Action Continuity) [図解TRIZの訳は 「連続性原理」]
a. 物体のすべての部分を連続的に動作させる。 [USIT 3f]b. すべての無負荷運転をなくす。 [USIT 3f]
a. あるプロセスで, 有害あるいは危険な作用を物体が受ける場合, そのプロセスを非常な高速で実行する。 [USIT 3f]
22. 災い転じて福となす (Turn the Harm to One's Good)
a. 有害な要因を利用して, 有益な効果を得る。 [USIT 2a, 3d, 4a]b. 有害要因に別の有害要因を追加して, 前者の有害要因を相殺する。 [USIT 2a]
c. 有害要因の度合いを強くして, もはや物体や環境に有害でなくなるまでにする。 [USIT 2a]
a. フィードバックを導入する。 [USIT 3h]b. フィードバックをすでに利用している場合は, 動作条件に合わせてフィードバックを変える。 [USIT 3h]
a. 必要な作用を与えるのに既存の物体や部分を利用できない場合には, 中間の媒体を利用する。 [USIT 1e, 3a]b. 物体を, 要求される作用を与える別の物体と一時的に組合せ, その後で分解する。 [USIT 1e, 3f]
a. 物体がセルフサービスで, 自身の動作を調整, 調節, 修復する。 [USIT 3h]b. 入手しやすいリソースや廃棄されたリソースを利用する。 [USIT 1f, 4a]
26. コピーの利用 (Use of Copies) [図解TRIZの訳は 「代替原理」]
a. 入手不能, 壊れやすい, 複雑な, あるいは危険な物体に対して作用を与える必要がある場合, その物体の単純で安価なコピーを利用する。 [USIT 1e]b. 現実の物体の代わりに, 光学イメージ (写真, ホログラム) を利用する。 [USIT 1e]
c. 赤外線コピーや紫外線コピーを使用する。 [USIT 1e]
27. 高価な長寿命より安価な短寿命 (Cheap Short-Life Instead of Costly Long-Life)
a. 高価な物体を多数の安価な物体で置き換えて, 同じ機能をさせる。 [USIT 1e]
28. 機械的原理の代替 [図解TRIZの訳は「機械的システムの代替」] [Salamatovには, 図解TRIZのb, c, dの項目なし]
a. システムや物体の背後にある機械的原理を, 別の物理原理で置き換える。例えば, 光学的, 音響的, 磁気的, 電磁気的, 熱的原理など。 [USIT 3a, 3i, 4e]
29. 空気圧および水圧構造 (Pneumatic and Hydraulic Structures) [図解TRIZの訳は「流体利用原理」]
a. 固体の物体や部分の代わりに, 気体や液体を利用する。例えば, 膨張式で液体を入れたもの, エアクッション, 流体静力学的, 流体力学的など。 [USIT 2f, 3a, 3i, 1g]
30. 柔軟な殻と薄膜 (Flexible Shells and Thin Film) [図解TRIZの訳は「薄膜利用原理」]
a. 重厚な三次元構造の代わりに, 柔軟な殻や薄膜を利用する。 [USIT 1g, 2b]b. 柔軟な殻や薄膜を利用して, 物体や部分を環境から隔離する。 [USIT 1b]
31. 多孔質材料 (Porous Materials) [図解TRIZの訳は 「多孔質利用原理」]
a. 物体を多孔質にする。 [USIT 2f]b. 多孔質材料の被膜を利用する。 [USIT 1e]
c 多孔質材料の挿入物を利用する。 [USIT 1e]
d. 物体が多孔質な場合, 細孔に他の物質 (液体, 気体) を満たして有用な効果を実現する。 [USIT 1e, 2f]
32. 色の変化 (Changing Color) [図解TRIZの訳は「変色利用原理」]
a. 物体や, その部分, あるいは環境の色を変える。 [USIT 2c]b. 物体や, その部分, あるいは環境の透明度を変える。 [USIT 2c]
a. 相互作用する物体たちを, 同じ材料, または同じ性質の材料で作る。 [USIT 2c]
34. 部分の排除と再生 (Reject and Regeneration of Parts)
a. 機能を果たした物体の一部分が, 不要あるいは不良になった場合, その部分を溶解, 蒸発などにより除去するか, あるいは, 邪魔な性質が存在しなくなるように修正する。 [USIT 1a, 4c]b. 動作している間に, 物体の消耗部分を修復する。 [USIT 3f, 3i, 4c]
35. 物理的/化学的パラメータの変更 (Change of Physical andChemical Parameters) [ 「パラメタ変更原理」]
a. 物体の凝集状態を変える。 [気体, 液体, 固体などといった物体の物理的状態を変更する。] [USIT 2f]b. 物体の濃度や組成を変える。 [USIT 2c]
c. 物体の柔軟性の程度を変える。 [USIT 2c]
d. 物体や環境の温度を変える。 [USIT 2c]
a. 相変化に伴う物理現象を利用する。例えば, 体積の変化, 放熱, 吸熱など。 [USIT 2f, 3d]
a. 材料の熱膨張または熱収縮を利用する。 [USIT 2b]b. 熱膨張率の異なる二つの材料を組み合わせる。 [USIT 2b, 1b]
38. 強い酸化剤 (Strong Oxidizers) [図解TRIZの訳は 「高濃度酸素利用原理」]
a. 通常の空気を, 高濃度の酸素を含む空気で置き換える。 [USIT 2b]b. 高濃度の酸素を含む空気を, 純粋な酸素で置き換える。 [USIT 2b]
c. 空気や酸素をイオン化する。 [USIT 2b]
d. オゾン化酸素を利用する。 [USIT 2b]
e. オゾンを利用する。 [USIT 2b]
39. 不活性雰囲気利用 (Inert Atmosphere)
a. 通常の気体の代わりに不活性気体を利用する。 [USIT 2c, 1e]b. 中性的な部分や添加物を物体に加える。 [USIT 2c, 1e]
a. 均一な材料の代わりに複合材料を利用する。 [USIT 2f, 2d, 1e, 1b]
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最終更新日 : 2002. 9.18 ; 再掲載 : 2012.12.22 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp