USIT/CrePS 講演 | |
USIT適用事例集 と 「6箱方式」 −創造的な問題解決の諸事例を新しいパラダイムで理解する− |
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掲載:2016. 5. 8 |
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編集ノート (中川 徹、2016年 5月 4日)
これは、昨年9月の日本TRIZシンポジウム2015での一般発表(発表20分、討論5分、休憩5分)です。
毎年、このTRIZシンポでは、TRIZ/USITについて学習・研究・実践している人たちに向けて、一年間での私の研究の成果を、分かりやすく報告してきています。今年は、まず、私の研究の流れ(TRIZ → USIT → CrePS)を、その内容と意図が分かるように話し、
ついで現在の理解 (TRIZその他の沢山の創造性技法を統合する「6箱方式」の概念、その全体像「CrePS」、それを簡潔に説明するプロセスとしてのUSIT) を話しています。また、この位置付で、「USITマニュアル」を作り、それに対応した「USIT適用事例集」を作ったこと、そしてその事例の一つを説明しました。
事例としては、学部2年生のゼミでの「さまざまな筆記具(技術の発展のしかたを学ぶ」という(TRIZ用語を使わずに、TRIZのエッセンスを学ぶ)例を取り上げました。
本発表で話しているUSIT関連の情報の詳細は、本『TRIZホームページ』上に詳しく掲載してきたものです。
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発表概要 PDF (124 KB)
USIT適用事例集 と 「6箱方式」
−創造的な問題解決の諸事例を新しいパラダイムで理解する−中川 徹 (大阪学院大学 & クレプス研究所)
第11回日本TRIZシンポジウム2015 発表
2015年9月3日〜 4日 国立オリンピック記念青少年総合センター (東京都渋谷区)概要
著者は1997年以来(TRIZを中心として)「創造的問題解決の方法」の研究と普及に尽力してきた。
(1) 当初はTRIZの方法を理解し、
(2) ついで、(TRIZをやさしくしたプロセスとして)USITを導入した。
(3) そして、TRIZの解決策生成法全体をUSITに統合し、
(4) さらに、USITプロセスを「6箱方式」として表現し、それが「創造的問題解決の新しいパラダイム」であると認識した。
(5)そして2012年から、この新パラダイムに基づき、TRIZやさまざまな創造性技法を統合する考え方として、「創造的問題解決の一般的方法論 (CrePS)」を提唱し、USITがCrePSを実践する簡潔なプロセスであることを示してきた。今回、著者は、
(a) 「6箱方式」で表した「USITマニュアル」(スライド約30枚)を作成し、
(b) いままでのいろいろな問題解決の事例(USIT/TRIZなど利用)や教育実践事例 (計十数件)を、「6箱方式」で記述し(各件 約20スライド)、「USIT適用事例集」を作った。これらの記述によって一層明確に理解したのは、「6箱方式」がこれらの諸事例をきちんと記述できるだけでなく、それが問題解決のやり方を積極的にリードできることであった。
例えば、「さまざまな筆記具から技術の発展のしかたを学ぶ」という学部2年生のゼミは、TRIZの用語・方法を使わずに、TRIZの重要な概念を理解させる試みであった(TRIZシンポ2010ポスター発表)。そのゼミでの理解の流れが、「6箱方式」に則ったものであったことを改めて理解した。
内容説明
「USITマニュアル」は、「6箱方式」でのUSITのプロセスを順番に一つの例題で一貫した適用例を示しながら、同時にバリエーションにも言及して示したものである。
SickafusのUSITからの違いは次の点にある。
・ 全体プロセスを、より明確で、汎用にした。
・ 定性変化グラフ、閉世界法、AND/ORツリーなどの特殊用語とその特定表記法を使わない。
・ 空間・時間特性の扱いに関するSickafusの「Uniqueness法」は、分析段階とアイデア生成段階に明確に区分した。
・ 現在システムの分析と、理想のシステムをイメージすることを、必ず両方実施する(その方が有効だから)。
・ 解決策生成と解決策構築の両段階を、アドホックでなく、手順を追う形に表現した。
・ 解決策生成段階に、USITオペレータ(5種32サブ解法)を用意した。ただし、多くの実践例では、きちんとした分析をすると、アイデアがほとんど自然に出てくる。
・ USITを特定の技法だと位置付けるのでなく、非常に一般的な方法(CrePS)の簡潔な実施形態と捉える。
「USIT適用事例集」では、適用実施当時はUSITの適用とは意識せず、TRIZあるいは「枠にとらわれない技法」と意識していたものがある。例えば、「マンションのオートロックドアの問題」、「さまざまな筆記具」の事例などである。それらも、「6箱方式」というパラダイムで捉え直すと、「USIT適用事例集」に的確に収まる。
「さまざまな筆記具」のゼミの学習の流れは以下のようであった。
最初に、各自の常用・愛用の筆記具をみんなに見せ、さまざまな筆記具を調査する宿題を出した(問題定義の段階)。
各種の筆記具の「しくみ」を考え(現在システムの分析の段階)、
さらにそれぞれの「用途」を考えた(理想のシステムの考察の段階)。
次に、用途ごとに使われている筆記具のしくみを一覧にし(解決策のアイデアの生成(と体系化)の段階)、
そして、その表で各方法の評価を考えた(解決策の構築(の中の評価)の段階)。
個別の新しい解決策を作ってはいないが、このように「6箱方式による理解」をすると、このゼミが「よりよい筆記具」を考え出していこうとするプロセスをきちんと踏まえて教えていたことが分かった。
また、それによって、(筆記具という一つの大きな分野の)技術が、さまざまな用途に対して、よりよいしくみとその具体的実現に向かって、発展していることを実感させていることを、改めて認識した。
発表スライド PDF (27枚、469 KB)
はじめに:
A. 創造的な問題解決の考え方(プロセスと諸技法)の発展の骨子
(1) 科学技術の基本と多様な「創造性技法」−分野ごとの知識とモデルの構築(「4箱方式」)
(2) TRIZの寄与- 分野を越えた科学技術知識ベースの活用
(3) USIT の寄与- 簡潔な一貫プロセス、TRIZ諸技法の統合、「6箱方式」
(4) CrePS (「創造的な問題解決の一般的方法論」)
− TRIZ 他各種技法の「6箱方式」による統合。簡潔な一貫プロセスUSIT
B. USITマニュアルとUSIT 適用事例集の作成
(5) USIT マニュアル
(6) USIT 適用事例集例: 事例10: さまざまな筆記具
おわりに
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最終更新日: 2016. 5. 8 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp