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編集ノート (中川 徹、2015年 9月10日)
本ページは表題のように、非常に大きな、輻輳した、そして重要なテーマについて、しっかり腰を下ろして、考えつつ社会に寄与していきたいと思って始めるものです。これを始めるにあたっては、いろいろな思いがバックにありますので、それを少しここに書いておきたいと思います。
(1) まず一つは、本ホームページの主題であります、「創造的問題解決の方法論」(TRIZ => USIT => CrePS) の展開に関することです。この研究テーマは、技術分野での問題解決(発明や技術革新)を主たる対象とし、また同時に、「問題の焦点を絞って、分析し、解決策を考え出す」ことを主たるアプローチにしてきました。それでも2012年に、TRIZとかUSITとかの個別技法を越えて、もっと一般的な創造的問題解決の方法論が社会から求められていることに気がつき、それをCrePSと呼ぶ新しい目標にしたのです 。CrePSで言っていますのは、「思考の世界」での一般的な(汎用、標準の)方法を、(基本的にはUSITと同様のアプローチで)確立し、いろいろな「現実の世界」の問題を扱う基盤を作ろうということです。
では、そのとき、さまざまな「現実の世界の問題」をどのようにして捉え、「思考の世界」に持ち込めるのか?が大きなことです。技術だけでなく、社会や人間を含む問題は、複雑に絡み合った(輻輳した)大きな広がりを持つ問題であることが、しばしばです。そのような輻輳した大きな問題をきちんと扱うことを実践し、その方法を習得し、作っていかなければなりません。実際にやって行ってみよう、というのが、今回の一つの動機です。
(2) 輻輳した事柄を整理する方法にはいろいろありますが、いろいろな事実や考えの関連を図に示して「見える化」することは、大事な方法です。従来から私自身も、KJ法、マインドマップ、原因結果図、Southbeach Modeller等、いろいろ使ってきましたし、TRIZ関連でもいろいろな図式化の方法があります。その中で、昨年末以来、片平彰裕さんが作られた「札寄せツール」の簡便さと有用性に感銘を受けました。これを使うと、いろいろなことを分かりやすく、説得力を持った図に作ることが、容易にできることが分かりました。この札寄せによる図示の方法は、社会的な問題などの輻輳した問題に取り掛かるときの重要な手掛かりになると思いました。7月以来片平さんと一緒にいくつかの図を描いてみて、これを使って行く目途を立てることができました。
(3) 「現実の世界の問題」にも、もちろんさまざまなテーマがあります。技術開発やものづくりに関すること、脱原発の方策、再生エネルギー/省エネルギー、環境問題、地震予知研究、そして、高齢化社会、認知症予防、少子化問題、経済問題、安保法制の違憲問題、日本政治の貧困、などなど、いっぱいあります。いままでにも、これらの問題に少しずつ関心を持ち、学んだり、考えたりしてきましたが、私自身の具体的な活動になっているものはあまりありません。
(4) そのような中でたまたま出会って、片平さんに図示していただいたのが、「新幹線焼身自殺放火事件」の老人の心境と背景でした。その後やはりもう少し社会的背景を考える必要があると思って読んだのが、『下流老人−一億総老後崩壊の衝撃』(藤田孝典著、朝日新書、2015年6月刊)でした。活動体験に基づき、しっかりと考察・記述した本です。現在すでに高齢者に(貧富の格差が増大して) 貧困・困窮化が広がっていることを記しています。若年層の低所得、現役層の逼迫、子どもの貧困などが連動して、このまま進むと日本社会が非常に不安定になり、平安な老後を過ごすことが多くの人に不可能になると、警告しています。-- そこで私は、このような相互関連を俯瞰できるようにし、考察・議論のベースを作ることを、始めようと考えた次第です。高齢者の貧困化だけでも大きな問題ですが、それは日本社会の(国民の)貧困化の一側面にしか過ぎない、そしてまたそれも日本の社会・政治・経済などの一側面であり、そしてまた、世界の問題のごく一部にしか過ぎない。そのことを承知の上で、私はいま、「日本社会の貧困」という問題、そしてその解決のための考え方を、考えていこうとしている次第です。
(5) 現在の日本の政治は本当に貧しいと思います。特に、安倍晋三首相の政治姿勢はひどい。安倍首相が「福島原発は完全にコントロール下にある」と虚言を言い、その虚構をベースにした政治を進めてきて、現在は「積極的平和主義」というまやかしの論法のもとに憲法の平和主義に反する法律を通そうとしている。国民の多数が反対し、憲法学者の多数が違憲だと言っているのに、自民党内から首相にきちんと反対できる国会議員がほとんどいない。日本の政治は、本当に貧しい。私は、2014年の新年挨拶の一部でこのような政治批判を書きましたが、その後はあまり書いていません。このホームページは、政治的な意見を直接表明する場でないと考えるからです。それでも、沈黙するだけが望ましいことではないと、考えています。日本の社会について、その将来のあり方について考えるとき、政策や政治を抜きにして考えることはできません。本ページで、日本の社会の問題を「見える化」しようというのは、政策や政治についても (虚言や観念論でなく) しっかりした論理をベースにして、互いに発言し、議論を深め、解決策を見出して行きたいと考えるからです。
以上のような趣旨で、「日本社会の貧困を考える」というテーマで、いろいろな文献をベースに「札寄せ」で「見える化」した図を作って、順次掲載していきたいと考えております。ご感想・ご意見・ご寄稿などをお寄せいただけますと幸いです。皆さまからのご意見なども、「見える化」していくことによって、深みと広がりがあるものにしていけるとよいと思っております。
本ページは、この大きなテーマでの今後の多数のページ/記事を一覧できる索引ページにいたします。
編集ノート (中川 徹、2016年 4月21日)
上記の『下流老人』の本に関する多数のカストマーレビューを考察した結果、もっと深い根底にある社会意識の問題に気がつきました。
そして、「「自由」 vs. 「愛」: 人類文化を貫く主要矛盾と、その解決過程としての人類の文化」 (中川 徹)という大きなテーマでの論考の掲載を開始しました 。参考にしていただけますと幸いです。 (英文: 2016. 4.29)編集ノート追記 (中川 徹、2016. 8.28) [E] 経済と財政のカテゴリを作り、1編(吉川教授講演)を掲載しました。カテゴリ名は今後適宜付与します。
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最終更新日 : 2016. 8.28 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp