論文:  基礎理論

「弁証法論理と生き方」(ノート)(第三部)

弁証法論理の応用展開

高原利生 (高原利生ノート 2015-3)

『TRIZホームページ』投稿論文、
受理 2015年 8月10日、掲載 2015年11月13日

掲載:2015.11.13

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編集ノート (中川 徹、2015年11月 9日)

これは高原利生さんの最新の三部作の第三部です。合計55頁の力作を、読みやすさに配慮して三部に分割して、8月に提出されたものです。三部作の構成の概略は下表のようです。

第一部: 粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート    1. はじめに: 目的と概要 
2. 準備: 粒度、オブジェクト、矛盾
3. 本論 1: 根源的網羅思考
第二部: 中川徹の6箱方式へのコメント    4. 本論 2:  矛盾と解
第三部: 弁証法論理の応用展開ノート   5. 本論 3: 生き方、認識と変更の統一的理解
6.本論 4:人類の歴史と未来
7. 結論と今後の課題
謝辞
参考文献

注(中川 徹、2015.11. 9): 実は、この第三部にもうあと二つの節 (6.3 事実と未来像のモデル、6.4 現実の課題と重要度) の合計8ページがあったのですが、議論の余地が多く時期尚早として、公表を見送りました。今後、内容が深まって、発表されるようになるでしょう。

 

本論文(第三部)の目次配架のようです。

弁証法論理の応用展開   (2015年8月の高原利生三部作「弁証法論理と生き方」(ノート)の第三部)

概要

5. 本論3: 生き方、認識と変更の統一的理解

  5.1 生き方、認識と変更の概要

  5.2  態度と態度を規定するもの

5.2.1 態度
5.2.2 態度を規定するもの

  5.3 事前の一般的認識

    5.4 命題の変更

5.4.1  命題
5.4.2 命題の生成、変更

  5.5 事実変更 b)

  5.6 TRIZ

6.本論4:人類の歴史と未来

  6.1 人類の歴史

6.1.1 労働と消費の分離、技術と制度の誕生
6.1.2  技術,制度の発展、科学,芸術の誕生

  6.2 価値の役割

7. 結論と今後の課題

謝辞

参考文献

 

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7. 結論と課題

参考文献 英文ページ
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弁証法論理の応用展開ノート

(高原利生ノート 2015-3)

A Note on Application of Dialectic Logic
(Takahara Note 2015-3)

高原 利生
TAKAHARA Toshio

『TRIZホームページ』投稿論文、受理 2015年 8月10日、掲載 2015年11月10日

 

概要(高原「論文解題」より)

本稿は、広義の「差異解消」のための「弁証法論理」の構築に関して、第一部での基礎概念の準備、第二部での差異解消の論理の記述を受けて、第三部として弁証法論理の応用展開について述べる。

生き方は、
    1. 普通、無意識の、世界観と価値に規定される事実に対する態度、
    2. 普通、無意識の、事実を認識し変更する単位である粒度特定、
    3. やや意識的なオブジェクトについての論理,方法
の三つの全体である。
まず、1.世界観と価値に依存する態度、2. 粒度決定を、意識的に行うことが必要である。これが3. 論理,方法を作る。

前二稿で、生き方と生きることの中心である認識と変更を、最小の基本概念から構成する方向で定めた。

本稿では、
     1.認識と変更の内部の一部の検討と、
     2.この応用として、世界の運動と歴史を同様に同じ論理で見ること
を試みた。

1.認識と変更の内部の一部の検討には、演繹、帰納、仮説設定という命題の変更方法などがある。 まだ不十分だが、論理自動化には必要な検討である。
2.この応用として、人類の歴史とその中の価値の果たす役割を述べた。

 

5. 本論3: 生き方、認識と変更の統一的理解   [FIT 2013 a)b)c), FIT2014]

本稿は「粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート」 [THPJ201501]、「中川徹の6箱方式へのコメント」 [THPJ201502] の4章に続き、弁証法論理の展開を述べる。

生き方は、
   1.  普通、無意識の、態度に影響する事実と未来像についてのモデルである世界観、
   2.  普通、無意識の、価値に規定される事実に対する態度、
   3.  普通、無意識の、事実を認識し変更する単位である粒度特定、
   4.  やや意識的なオブジェクトについての論理,方法
の四つの全体である。

生き方生きることを決める。生きて、認識と変更を行い、人類の存続に関わる大きな課題解決から日常の労働や生活の小さな課題解決により価値実現をする。

 

分かっていることより分かっていないことのほうが圧倒的に多い。今まで人の書いたことの全体よりも分かっていないことが圧倒的に多い。何が分かっていないかこそ書くべきだと思っているので、整理できてないままの形でなるべくそれを書くようにした。

思考経過もなるべく分かるようにしたい。今考えることは、論理的に網羅されたものの中のどれであるか、それを選ぶ理由は何かを分かるようにするのが良いと思っている。そのため数字を冠した箇条書きを、論理的網羅を示すために多用している。目次と混同し見づらいがご容赦いただきたい。また、各篇、各項単独で読め、全体では更によく読めるように心がけた。そのため重複が多い。

理論は必ず未完である。理論は完成したと読者に思わせてはならない。なるべく、著者のその意図が分かるようにしたい。これは未熟な論理であることの言い訳と見分けが付かない気がするが、とにかく、議論は本稿で閉じず開いたまま未完で終わる。

今回の一連のノートは、以上を意識して書いたはじめてのものである。

 

過去の発表と本稿と異なる場合、本稿を優先する。

本文中、著者名に敬称は省略する。マルクスさんとかデカルト氏と言わない。
青字は既述と引用を示す。[引用文献 改]の「改」は、当該文献の内容をやや改めたことを示す。
緑字
は例を示す。
下線は主な課題を示す

 

5.1 生き方、認識と変更の概要 [THPJ201501] [THPJ201502]

人類の存続、地球との共存など大きな世界の課題解決から、発明,発見や人の日常生活に至る様々な態度、思考、行動を同じ形式で統合する方法がある。

世界は、矛盾の集合体であると近似できる。そもそも世界の近似単位であるように矛盾を定義したのであるから。

人が生きることも、この中の矛盾の集合体であると近似できる。生きることは、生き方(態度に影響する世界観、世界の事実の何にどう向き合うかという態度、粒度特定、論理)、それに規定されて続く実際の認識と行動の連鎖、と近似できる。このどちらも矛盾の集合体である。矛盾を設定しそれを解くことの連鎖が生きることである。

生き方と実際の認識,行動は、殆ど同時に実現されるが、生き方が一瞬早くかつ実際の認識,行動を全面的に規定する。従って生き方(態度、粒度特定、論理)が重要となる。[FIT2013]

個人が世界に働きかける順番は、論理的には、
   1.  観念の中の態度、
   2.  観念内の思考における粒度特定と論理という方法による、技術と制度像を媒介にした認識と行動のための変更像生成、
       3.  変更像による、技術と制度を含む世界を作り変える行動
となる。こうして、
       4.  変更された世界の事実が得られる。

いつの時代にも当てはまる一般的な「態度」の他に、態度を規定するいわゆる「世界観」と言われるものがある。世界観は、歴史を含んだ事実と未来像についての認識モデルである。世界観が態度を規定するものとして大きい役割を果たさないといけないのに見失われている時期がある。今がそうである。今、一般的な態度も、特に今必要な態度を規定する世界観も、ともにはっきりしていない。

 

図5.1 認識、行動と態度

1.  ある価値に規定されて粒度を確定した後、
2.  矛盾による認識と行動のための変更像生成ができ、
3.  変更が実現する。
4.  変更されたオブジェクトは、他のオブジェクトとの相互作用が生まれ、さらに、粒度の網羅、確定があり、さらに新たな変更が起こる。
こうして、根源的網羅の結果と矛盾を単位とする弁証法という方法は、要素と関係の関係にあり、相互に相手の入れ子になり続ける。それぞれの内容は、より長い時間粒度で後のものが前に反作用して決まって行く。

認識と変更のための方法は、矛盾を単位とした弁証法、根源的網羅思考による粒度特定、その相互作用である [FIT2013]この点で、認識と変更の共通点と相違点がある。

 

事実の認識の前提は両立矛盾の構造である。
     ・ 粒度とオブジェクトの矛盾粒度と機能(属性)の矛盾と、粒度と網羅の矛盾
    ・ 粒度内部の空間、時間、属性の矛盾
の主と副の矛盾構造がある。[THPJ201501]

問題の一次近似を行い、機能(属性)を目標と考え、価値は、機能(属性)のみに着目すれば取り敢えず充分とする。(次の二次近似では、例えば構造の単純化などを考える)

この時、事実の矛盾とは、何かおかしいと感じた時の、機能に関する全ての矛盾の集合である。これはオブジェクト世界として表現される。複数個の関係命題として記述すると便利である。

以上から、事実の矛盾の粒度を求める方法を決める。

オブジェクトの空間,時間、属性は、理想的には同時に決まるものだが、両方同時に網羅するのは、人にも機械にもおそらく困難であるので粒度内部の、空間,時間と属性の二つに分解する。

一案: 粒度と網羅の矛盾を、粒度とオブジェクトの空間、時間の網羅の矛盾に簡易化する
実際にはここでは人の経験に依拠し、空間時間を意識したオブジェクトの名前を一つ一つ数え上げる。今、部屋に、テレビ、PC、ボールペンなどがある。これが関係命題の主部となる。

数え上げられた一つ一つのオブジェクト毎に、粒度とオブジェクトの属性(属性−機能−目的−価値)の網羅の矛盾がある。

属性を選ぶ時、この粒度を広げた、属性−機能−目的−価値、さらに価値に対する態度という系列から任意に選んで良い [THPJ201501]。価値はその人その時に固有のものであるから。但し全体の価値の体系の中の誰のいつのどのようなものかを意識する。これが取り敢えず、網羅の代わりである。

属性が関係命題の述部となる。

属性(属性−機能−目的−価値)と空間時間を何度か行きつ戻りつしながら、最終的に粒度とオブジェクトの矛盾と粒度内部の空間、時間、属性の矛盾を同時に解く。

二案: 一案と異なり、まず価値から属性を定め、次に空間時間を求める。

通常、一案だが、二案でもよい。

どちらも空間時間、属性をお互いに相互作用しつつ絞り込んで決め最終的にある粒度に収束する。

これで、結果として、理想的理論的には無数の、実際には、ほどほどの数の関係命題の主部と述部ができる。これが矛盾の認識の粒度である。

一般的な認識のみの場合、これで終わりである。

認識が法則の認識である特殊な場合、特に粒度と網羅の矛盾の中の型の認識が必要である。[FIT2014改]

 

変更の場合、複数の矛盾の中から重要度緊急度により事実の矛盾の中から選んだ矛盾を解の矛盾に変換した後、解の矛盾を解く。

解の矛盾とは、事実の矛盾(の中から選んだ矛盾)を変換して事実変更の差異解消を行うための矛盾で、定式化内容を(複数の)機能の形で表現するものである。

解の矛盾の解の前提も両立矛盾である。

この解を求めるヒューリスティックスはある [THPJ]。体系的方法はない。そこでこの再定式化を試みる。

粒度とオブジェクトの矛盾粒度と構造の矛盾粒度と網羅の矛盾
・ オブジェクト間の矛盾(機能と構造の矛盾)
・ 粒度内部の空間,時間、属性の矛盾
がある。

解を求めるために、粒度と構造の網羅の矛盾を、粒度と構造の空間,時間の網羅と、矛盾と粒度と構造の属性(狭義の属性、内部構造)の網羅の矛盾に分離することが考えられる。しかし現在はこの分離がまだできていない。

 

人の、認識と事実変更という行為全体、つまり、b) 個別の事実の認識と変更、a) このための一般的認識に共通の統一形式として、次の矛盾設定と解を考える。

1.  網羅された中から、ある粒度の矛盾、関係する複数の矛盾を解くべきものとして特定する。粒度は、基本概念(オブジェクト、矛盾等)の粒度や、価値、理想と、事実の認識によるオブジェクト世界との対比を続け、解くべき下記の領域の矛盾の粒度を特定する。

オブジェクト世界、オブジェクト、
今のオブジェクト世界より粒度が大きいまたは小さいオブジェクト世界、
今と関係するオブジェクト(今関係するオブジェクト、今をもたらしたオブジェクト)、
追加の新しいオブジェクト、
それら間の関係、 [TS2010改] [FIT2012改] [TS2012改] [FIT 2013,14改]

解を得るまでの全過程を矛盾設定ということもある。

2.  この矛盾を解く。

3.  さらに1から続ける。

これは認識とオブジェクト変更が統合される方法である。

「今」の瞬時の視点、態度を決めることが重要である [FIT2010] [TS2010]。

本項の
     5.2で態度を、
     5.3で、事前の一般的認識を、
     5.4で、その一部となる命題変更、演繹と帰納を、
     5.5で、5.3と5.4を受けた事実変更を述べる。
     5.6で、5.3、5.4、5.5を支援するTRIZについて述べる。

5.2 態度、5.3 事前の一般的認識、5.5 事実変更は、時間的に別の過程である。全体として同一構造をしている。5.3と5.4は、同じ時間内の入れ子になった過程である。それぞれの共通点と差を記す。

 

5.2態度と態度を規定するもの  [FIT2013 c)]

5.2.1 態度 [FIT2013 c)]

人は、通常、無意識に、ある態度で事実に向き合う。

粒度特定、方法を規定するものが態度である。事実に対する態度は、無意識に、価値に規定される。粒度特定、態度は、後に述べる「世界観」と合わせて、従来、哲学や思想と呼ばれてきた。

態度の極限は、徹底的に誠実であることを前提に、オブジェクトに対する対象的態度と一体的態度の極限である。一体的態度の極限が謙虚さ、対象的態度の極限が批判である。謙虚さと批判は、独立していながら、両方がそれぞれ相手を高めながらより高くなっていく一体型矛盾を作る。

謙虚さと批判の一体型矛盾は、TRIZの分離原理 の一種、時間分離 [LB] により分離でき、謙虚さが、とりあえずまず全面的にとる態度、批判性が、その一瞬後、相手と対象をより高い次元にするための態度である。理想的には、後項が前項に肯定的に反作用し、両項が良くなっていく好循環ができる。

謙虚であることは、本来の一体化の面から、相手と対象に感謝する(相手と対象から自分に気持ちを「受け取る」)こと、相手と対象をほめ(相手と対象に自分の気持ちを「与える」)、ともに楽しみ喜び合うこと、相手と対象の現在、現在をもたらしたもの、可能性の全体を理解することであり、相手、対象との同一性である。

副次的な対象化の面から、自分を相対化することである。

この謙虚さは、高い認識をもたらして自分を高め、まだ名前のない、「愛」に似た、対象に対する意識をもたらす。

批判は、本来の対象化の面から、対象との差異性の対象化処理の態度であるが、副次的に相手と対象を自分とともに向上させる一体化の面もあるという構造があり、変え与え教えることにより相手と対象を高めるという機能を持つ。

態度は、楽しく、謙虚さと批判性、対象化と一体化を、極限まで徹底して求める根源的網羅思考と、楽しく、謙虚さと批判性、対象化と一体化を統一する弁証法であった。

TRIZに、対象の気持ちになりきる小さな賢人という考え方がある。これは新しい社会の人と対象のあり方の理想の表現かもしれない。

根源的網羅思考には、態度として、謙虚さと批判性の矛盾が特に適用される入れ子構造がある。

以上は、殆どFIT2013 c)のままになってしまった。要らないところを削ろうと思ったが削れなかった。

 

態度は人生の目的ではないが、客観と主観の一致が、目指すものとして語られたことがあった。客観と主観の一致は、ここでの言葉で言うと、対象化と一体化の統一である。

悪しき疎外された一体化が、「所有」であり、他を排除する帰属である。悪しき対象化は、相手、対象の単純否定である。

良き対象化の極限が建設的に批判的であること、一体化の極限が謙虚であることである。謙虚と批判の前提として誠実さがある。

 

5.2.2 態度を規定するもの [FIT2013 d)]

さらに、態度、弁証法と根源的網羅思考を規定するものがある。それは何だろうか?

態度を直接規定する最大のものが、価値とそれによる目的であることは明らかである。より良き価値のために相対化と追求を続けねばならない。この追求も根源的網羅思考による。
謙虚さと批判性という矛盾を何が意識させるかは実感できず今後の課題である。

態度、弁証法と根源的網羅思考を直接規定するものも弁証法と根源的網羅思考という入れ子らしい。

次に、態度を間接的に支援するものの何か?

一つは、弁証法では、全てが関係し合っているため、あることの達成には他の達成が必要になる。同時に、これはあることの達成が他の達成にも貢献することを示す。この可能性の実感は、態度、方法の内容を良くしていく原動力になる。

二つ目として、もし、生き方つまり態度、方法の複雑さに統一性があり、態度、方法内の各制約が合理的に充足されれば、態度、方法それぞれの改善が進み易く、人はその態度、方法を取り易い。

生き方、態度、方法の内部を規定する制約には、価値と事実についての生き方、態度、方法が「何」に依拠するか?「何」を対象とするか?「何」をどのようにより良く変え続けるのか?の三つがある。この「」を、歴史を含んだ事実とすると、方法と態度についての三つの制約が統一的に充足される。

この歴史を含んだ事実をやや広げあるべき未来像を含めた、歴史を含んだ事実と未来像についての認識モデルが世界観である。

世界観は、歴史を含んだ事実と未来像についての認識モデルである。世界観が態度を規定するものとして大きい役割を果たす時期があり、今がそうである。

その世界観が今、あるのか?本来、思想家や政治家はその世界観を示しその実現に努力する人ではないのだろうか?

態度を直接、間接に規定するものも、矛盾の論理である弁証法と根源的網羅思考であった。

以上も、殆ど [FIT2013 c)] のままになってしまった。要らないところを削ろうと思ったが削れなかった。

 

5.3 事前の一般的認識 [FIT2013 a), 14]

次の a) は、一般的認識で、次の b) 個別の認識と変更 の元になる。a) は二つに分かれる。

a1) 基本概念について、その粒度と構造、網羅、型の矛盾を(再)設定し解き、基本概念の粒度と構造を網羅的に明らかにし続ける。
状況から比較的に独立した基本概念には、オブジェクト、属性、価値、粒度、論理、矛盾、網羅がある。事前に、この見直しを続ける。新たに可能になった価値はないか、見直しを続ける。

オブジェクト、粒度、論理的網羅、矛盾が特に基本的に重要である。オブジェクト、粒度、論理的網羅、矛盾は、相互依存があり、つまり全体として矛盾であり入れ子構造がある。(なお、厳密に言うと、矛盾概念は、オブジェクト、粒度、論理的網羅から作られる。)

この文自体、再帰性という入れ子がある。しかも、概念の進化に応じ、扱う対象だけでなく、四者と四者の全体構造も変わっていく。

例:  矛盾概念の拡張 [TS2010] [FIT201改] [TS2012] [THPJ 2012])。

例: TRIZの物質‐場モデル [RUCC] は矛盾モデルの一種。

a1) は事前に検討が行え、a2), b) の要素になる。[FIT2013, 14]

例: オブジェクト概念: ものと運動で網羅されている。概念の完全性が網羅で得られる。

他の完全な概念の例: 自由と愛という価値。この上位の個の生から種の生へ。

例: 粒度のとらえかたが網羅されている。

例: 矛盾のとらえかたが網羅されている。

a2) は、a1) や事実についての命題や、命題の型である法則を作ることである。
オブジェクトの変化やオブジェクト間関連についての命題、法則、領域の型の網羅と位置づけを行い、命題、法則、型の生成、修正を行い続ける。

法則は、命題の型の一種で、客観的法則を含む差異解消の型、構造に関するものを含む両立の型がある。認識が法則の認識である特殊な場合で、特に粒度と網羅の矛盾の中の型の認識が必要である。[FIT2014改]

成立条件(適用領域の粒度,密度)の変更を含み、適用領域の網羅を含む。[FIT2013, 14]

例: 質量変化の法則の拡張。          [注(中川): 量から質への転換の法則の拡張(?)]

これら自体、思考の前提であり、これらの見直しは全体の思考の再構成を必要とする。

a) 一般的認識に対応する矛盾は、粒度と構造、網羅、型の矛盾である。

a), b) の違いは認識と変更の違いである。それに伴い、b) の変更では個別の世界ではあらゆるものが関係している故に一般に副作用が生じ、このため差異解消矛盾に加えてその解消のために付随して両立矛盾が生じる。これに対し、a) 特にa2) では、本質的に特に法則では、両立矛盾、型の矛盾が大きい比重を占める。この他の構造は同じである。

a) 一般的認識のための方法は、矛盾を単位とした弁証法と根源的網羅思考による粒度特定、その相互作用である [FIT2013]

 

5.4 命題の変更 [TS2011] [FIT2014]

a2) の部分問題を検討する。

普通、命題論理などの形式論理は、変更があっても近似的に副作用がないと扱い「正しさ」を関知しない論理である。

弁証法論理が、特殊なケースとして形式論理を含むという見方も不可能ではないが、ここでは思考を、弁証法論理と形式論理の複合体と扱う。つまり、本稿は弁証法論理を扱うが形式論理をその基礎にあるものととらえる。

認識だけの場合にも事実の矛盾の把握が必要である。実際には行われていないが行うべきである。全体の大きな歴史と現状の認識は、事実の矛盾とその解の歴史、今の事実の矛盾の認識である。大きな事実の変更、法則の生成は、解の矛盾を解いて行う。以上は、弁証法論理によって行う必要がある。解の矛盾を解いて行った大きな事実の変更を、命題論理によって機械的に具体化し結論を出していくことが可能である。成果を挙げている形式論理の成果は自由に利用すべきである。

本稿では、既存の形式論理の成果には触れず、見直す部分のみ記す。

注意しないといけないのは、通常の「形式論理」と異なり、本稿は事実についての「正しい」変更だけを問題にしていることである。正しい変更かそうでない変更か分からない論理は実際上意味がない。「正しい」かどうかは価値に依存する。だからどのような価値が誰に共有されているかが重要である。これは価値の見直しも欠かせないことを表している。

 

5.4.1  命題

法則も命題である。以下、命題について述べる。

存在命題、属性命題と関係命題の三つがある。

    存在命題: オブジェクトの存在を表現する。

    属性命題: オブジェクトの属性があることを表現する。

    関係命題: 次の三つがある。関係命題は、主部と述部の両立矛盾である。

1.  オブジェクトの運動(関係)命題: オブジェクトの(運動を含む)要素間属性間関係、(その結果の)変化を表現する。変化は時系列的連鎖を作る。

2.  複数のオブジェクト間の(運動を含む)関係命題: 複数のオブジェクト間の、(運動を含む)関係、(その結果の)変化を表現する。変化は時系列的連鎖を作る。

3.  条件命題: 二つの命題が、条件たる前件と結論たる後件になる場合がある。

    条件命題の条件たる前件、結論たる後件は、別々の命題であり、その内容を扱う場合、別に推論の手続きを要する。
    多くの法則は、条件命題の形を取っていて、条件をインプット、結論をアウトプットと扱うことがある。

命題に、生成と変更がある。消滅をどう考えるか?(事実は消滅するが)

命題のうち、存在命題、属性命題以外の関係命題は矛盾を表現する。したがって、関係命題の変更は、矛盾の解を求めることと同じであるはずである。関係命題を述べることは、事実を認識する一部であり、事実の矛盾の認識の一部である。事実の変更は、四章の事実の矛盾の認識 (4.3) が済んでいるところから始まり、解の矛盾を生成し差異解消矛盾を作り (4.4)、解を解く (4.5) までが該当する。

一方、存在命題、属性命題を作ることは矛盾を生成する運動である。今は扱わない。

個別的特殊的な命題、より一般的普遍的命題、より個別的特殊的な命題の差は、命題の空間時間、属性の粒度の差である。一般,特殊、普遍,個別などは相対的で分かりにくいので、なるべく命題の属性の粒度の差、命題の空間時間粒度の差を言うようにする。

 

5.4.2 命題の生成、変更

正しい命題を作ること、命題を正しく有効に変更することが課題である。

命題生成、変更に関わる要因の網羅を試みる。

1. 命題の変更内容

認識の生成、変更と事実の生成、変更があり、どちらも差異解消矛盾と両立矛盾による変更があり、差異解消の形式には、新機能生成、理想化、不具合解決の三つがある。

事実の生成に遅れて存在命題、属性命題の生成があり、事実の運動に遅れて関係命題の生成がある。命題の生成はとりあえず扱わない。

以下、命題の最も単純な形式を考える。命題の変更内容の形式は、粒度(空間時間、属性)の変更である。これが変更の意図、目的になる。

これに主部だけの変更、述部だけの変更、両方の変更がある。

 

2. 命題の変更手段

命題の変更の単位は、ある命題とその変更命題の二段である。

命題の変更手段は、
     1.  事実の結果を反映する方法、
     2.  既存の命題の変更可能性を並列的にあり得る網羅の中から選ぶ論理的網羅方法、
     3.  既存の命題を直列的に順次変形していく既存の推論による方法

と、これらの組み合わせがある。

まず従来の推論の再考察を行う。

推論とは、命題から直列的に順次別の命題を導くことである。これに、今の命題から粒度を変え新しい意味のある別の命題を導く発見などのための推論と、今の命題から差異解消のため別の命題を導く発明などに用いられる推論がある。

まず、現実の推論の型を網羅する。

演繹、帰納をウィキペディアは次のように書いている。

演繹(deduction)は、一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る論理的推論の方法である [WIKI演繹]

帰納(Induction)とは、個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則・法則を見出そうとする論理的推論の方法のこと。 [WIKI帰納]

一見、これで推論は網羅されているように見える。しかし、演繹と帰納は背反概念ではなく、これだけでは推論は網羅されていない、つまり両者は命題の型を網羅していない。

これを次のように拡張しようとした。

演繹Deductionを、一般的普遍的な命題から、より個別的特殊的な命題を得る方法、帰納Inductionを、個別的特殊的な命題から、より一般的普遍的な命題を得る方法ととらえる。ともに、事例を、特殊な命題ととらえる。「リンゴが落ちる」のは特殊な命題である。その上で演繹、帰納を、次の理想的一般的命題間関係の課題に拡張しようとした。[FIT2014]

「個別的特殊的な命題からより一般的普遍的な、又はより個別的特殊的な、又は別の粒度の正しい有益な命題を得る。」[FIT2014]

しかし、これでも個別的特殊的、一般的普遍的という用語が曖昧であった。[VL]では、全称判断から特称判断を導くのが演繹、特称判断から全称判断を導くのが帰納ととらえている。

これらから全ての命題変更を次のようにとらえ直すことにする。

1) 命題の主部と述部の構造そのままでの変更

   11) 主部だけの変更、述部だけの変更。

111) 主部だけの、小さな空間時間粒度、小さな属性粒度への変更。

112) 述部だけの、小さな空間時間粒度、小さな属性粒度への変更。

113) 主部だけの、大きな空間時間粒度、大きな属性粒度への変更。

114) 述部だけの、大きな空間時間粒度、大きな属性粒度への変更。

115) 上以外の主部、述部の変更。大きな空間時間粒度、小さな属性粒度への変更など。

    12) 主部、述部両方の変更

2) 命題の主部と述部の構造の変更。

1) 2) は前に述べた命題の変更内容の形式である。この実現方法に、
      2. 既存の命題の変更可能性を並列的にあり得る網羅の中から選ぶ論理的網羅方法、
      3. 既存の命題を直列的に順次変形していく既存の推論による方法がある。
ただし演繹、帰納という言葉は残しておきたい。
      1. 事実の結果を反映する方法
がこの他にある。

特に演繹以外は、正しさのための検証が必要である。

3) 命題の主語と述語に作用する外部の要素の変更 [TS2011]

条件の要素を網羅し、それぞれと全体の粒度を極限まで変化、削除,生成する。[TS2011]

例:  質量転化の法則の拡張 [FIT2009] 。疑似法則の法則化の例である。

論理的網羅方法、推論の二つの方法のどちらも(論理的網羅的方法のうち新しく命題を作る場合を除いて)実際には、既存知識に制約される。特に推論による方法は既存命題の改良に留まる恐れがあるので気を付けねばならない。

以上の準備のもとに命題変更方法を述べる。

 

a) 命題の変更方法1:事実の結果を反映する方法

これは実際によく使われる。事実を反映する方法は、客観的な原因、結果あるいはそれの予測像の表現を論理要素とし、原因があれば結果が正しいとして、原因−結果−さらにその結果の連鎖−、で命題を変更する。

しかし、純粋に客観的な原因、結果というものはない。時系列の二つの事象があり、それが人のある価値を反映した「原因、結果」と見なされることがあるだけである。

ボールが当たって窓が割れる。ボールが当たることが「原因」、窓が割れることが「結果」である。この「原因」「結果」は宇宙の中で「今」の「地球人」にとってだけ「原因」「結果」である。窓があること、従って窓が割れることは、「今」の「地球人」にとってだけ意味がある。「今」の「地球人」にとってだけの価値、属性、「原因、結果」がほとんどである。

 

b) 命題の変更方法2: 論理的網羅方法

1) 2) の論理的網羅的方法を述べる。

1) 命題の主部と述部の構造そのままで変更する

   11) 主部だけの変更、述部だけの変更がある。

111) 主部だけの、小さな空間時間粒度、小さな属性粒度への変更がある。

112) 述部だけの、小さな空間時間粒度、小さな属性粒度への変更がある。

粒度の属性を追加するのは小さな属性粒度への変更である。説明に例しかないものは殆どこうする必要がある。この例は多い。これは、意図としては「演繹」でなく、単に間違った論理を正しい粒度の論理にしているのである。[TS2011改]

113) 主部だけの、大きな空間時間粒度、大きな属性粒度への変更がある。検証が欠かせない。

114) 述部だけの、大きな空間時間粒度、大きな属性粒度への変更がある。検証が欠かせない。

粒度の属性を削除するのは大きな属性粒度への変更である。

115) 上以外の主部、述部の変更がある。検証が欠かせない。大きな空間時間粒度、小さな属性粒度への変更などである。

   12) 主部、述部両方の変更がある。大きな空間時間粒度、小さな属性粒度への変更などである。検証が欠かせない。

2) 命題の主部と述部の構造の変更がある。検証が欠かせない。

例:  「リンゴが落ちる」を一般化し「落ちる」ものは何かを求める。
例:  「リンゴが落ちる」から「リンゴが地球に落ちる」「リンゴと地球が引き合う」へ。

これらの組み合わせがある。

例:  定義の生成 [TS2011]
命題の主部、述部について、同じ述部が成立する主部を網羅し新しい主部とする(112) より大きな粒度の主部に置き換える) 。こうできると主部と述部は、同じ内容となり、言い換えとなる場合がある。そうして2) 主部と述部を入れ替えると定義になる。[TS2011]

例: 存在は他の存在と相互作用するという命題から、他の存在と相互作用するものが存在という存在の定義を作る。

例: 商品は属性の集合体だという資本論の把握を一般化し、商品を存在またはオブジェクトの定義に拡張する。

変更の結果が、論理的網羅、型の矛盾を満たせば新しい法則となる。

例:進化論発見

例:新しい TRIZ  40の原理整理

元の正しい命題の論理的網羅がされ、論理的に網羅された全ての粒度で全ての命題の正しさの検証ができた時、その個別的特殊的な命題を一段上に統合した命題も正しい。

この場合は特に検証が欠かせない。

その都度、決定的なのは、価値と事実の粒度である。必要な粒度は瞬時に仮の形にせよ設定可能である。しかも日常、我々はいつも粒度を無意識に定めて生きている。議論、討論は、価値と事実を扱う意識的に粒度を明確にしたうえで明示して行い、実行後のその検証も必要である。[TS2011]

 

c) 命題の変更方法3: 演繹、帰納、仮説設定

同じ 1) 2) の目的、内容の推論による方法を述べる。

1) 命題の主部と述部の構造そのままで変更する

    11) 主部だけの変更、述部だけの変更がある。

111) 主部だけの、小さな空間時間粒度、小さな属性粒度への変更がある。これは、演繹に当たる。

例:「人は死ぬ」から「特定の個人は死ぬ」への変換。

112) 述部だけの、小さな空間時間粒度、小さな属性粒度への変更がある。これは、演繹に当たる。
粒度の属性を追加するのは小さな属性粒度への変更である

113) 主部だけの、大きな空間時間粒度、大きな属性粒度への変更がある。これは、帰納に当たる。
検証が欠かせない。

114) 述部だけの、大きな空間時間粒度、大きな属性粒度への変更がある。これは、帰納に当たる。
検証が欠かせない。
粒度の属性を削除するのは大きな属性粒度への変更である。

115) 上以外の主部、述部の変更がある。大きな空間時間粒度、小さな属性粒度への変更などである。
検証が欠かせない。

    12) 主部、述部両方の変更がある。検証が欠かせない。

2) 命題の主部と述部の構造の変更がある。検証が欠かせない。

 

111) 112) は演繹である。演繹の例として三段論法がよく挙げられる。

第一命題:人は死ぬ(死ぬということは人の持っている属性である)。
第二命題:私は人である。
第三命題:私は死ぬ。

第三命題は正しい。

これは、全体が正しければそれに含まれる粒度の小さい個別も正しいという当たり前のことを言っているだけである。三段論法はこの当たり前のことを三つの命題の形で表現しているに過ぎない。演繹は常に正しい。

111) 112) から後ろの 2) までは帰納と仮説設定であり同じ過程を取る。これについて述べる。

帰納は「完全帰納」 [VL] と言われるものとは異なる。デカルトの厳密な網羅による帰納が必要である。この正しさを保障するのは、正しさの検証ができた時である。

元の命題の全体が仮説であり、これらが設定され正しいという検証がされるまでの全過程が仮説設定 [DIA] [FIT 2014] である。仮説設定は、113) 114) の帰納と 115) の変更、12) 主部、述部両方の変更、2) 命題の主部と述部の構造変更を含む。論理的網羅の粒度での正しさが、命題の正しさの程度を決める。新しい命題の新しい意味が重要さを決める。

同じ属性粒度の別の大きな空間時間粒度への変更も、同じ空間時間粒度内の異なった属性粒度への変更についても仮説設定は全く同じようにできる。

検証を必要とするのは「正しい」と思われている演繹によって得られた命題や法則についても同じである。

あらゆる粒度で新しい法則発見、発明の可能性がある。

例: [TS2011] [THPJ2012] [THPJ201501] の矛盾の概念拡張や矛盾についての命題。本稿の全体。

これは、C.S.パースPeirceのAbduction 仮説設定 (仮説形成、仮説的推論という訳もある) [CSP1] [CSP2] [DIA] を、網羅[RDI] された中から選んだ矛盾の設定に置き換えた形である [FIT2014]。

同じ属性粒度の別の大きな又は小さな空間時間粒度への変更と、同じ空間時間粒度内の、異なった属性粒度への変更(演繹と帰納ないし仮説設定)で全ての推論が網羅されるためには、論理的網羅と検証が課題である。論理的網羅と検証ができれば、これで推論の形式は完成である。

 

少ない基本概念で、命題を含む認識や事実変更を論じている。

命題の変更や認識のために、基本概念は、要素としてそれを少ない努力で正しく行うことに貢献する。

命題を含む認識や事実変更の論理的網羅と検証ができれば、前提した基本概念についても間接的に正しいという検証ができる。この検証は永久に終わることがない。

矛盾の型の網羅は前に行なった。矛盾の型がこの方法、推論にどのように影響するかは大きな課題だが検討できていない。関係命題の変更と矛盾の解による変更の関係は何か?同じか違うか?包含関係か?

演繹、帰納と、同じ空間時間粒度内の異なった属性粒度への変更、命題生成の四つで、全ての命題変更が網羅されるのか?これは演繹、帰納の扱う範囲が狭いことだけを言っているのか?

論理的網羅的方法と推論の方法の共通点と相違点も明らかにするべきだが十分にできていない。論理的網羅的方法と推論は独立の方法で、後者が前者を要素として使うだけでいいのかと思うが、よく分からない。存在命題、属性命題の変更は当面扱わない。

 

d) 命題の変更方法4: 合成による方法

現実に、正しい命題から推論で正しい命題を導く事実の論理としての推論として今までの三つの合成ができるはずである。簡単な合成は、原因、結果の連鎖を正しいとするものである。

任意の要素を任意に組み合わせることが可能かを含め、正しい命題の合成の方法の一般化は今後の課題である。

 

5.5 事実変更 b) [FIT 2013, 14]

事実変更は、本稿では事実を変更する行動ではなく変更像の生成である。

b) 個別の事実の認識と変更を行う。以下、解の矛盾の解を求める段階を示す。

具体的事実がある。事実とは、オブジェクトの存在、ある属性の存在、複数の属性間の関係、その属性間の関係による属性の時間的変化として認識される。

 

b) 個別の事実の認識と変更を次のように行い続ける。

オブジェクトの存在、属性、属性間の関係、属性間の関係による属性の時間的変化について、事実と価値の各粒度の差異を問う。

1) 具体化した目的と事実の差異生成を行う。

例: 部屋の温度が低いので暖めようとする。エンジンの出力を大きくしようとする。

2) ついで、通常は副作用が生じるので (これが事実変更の特徴である) その回避ともとの解の両立生成を行う。

例:部屋を暖めると空気が乾燥する副作用の解消。エンジンの出力大と軽量化の両立。

3) 機能と実現構造の矛盾を、この順に確定し解く。[TS2010, 12の例] [THPJ2012の例]

又は、副作用が事前に認識されている場合、

2) 両立生成

例: 経済成長と環境保全の両立

3) 機能と実現構造の矛盾の二段階の矛盾を確定し解く。

差異解消は、空間、時間、属性の様々な粒度で必要かつ可能で、実施には、緊急性重要性を判断する必要がある。

b) の矛盾設定の実現には、事実と型の、空間,時間,属性が網羅された中から自由に選ばれる粒度と、望ましい価値実現の粒度の矛盾設定が必要である。

この実現における粒度設定に当たって粒度と網羅の矛盾がキーとなる

a) や矛盾の二項と関係の今をもたらした歴史と構造、外部の網羅を行いそれも利用し、全ての矛盾の解を求める。

b) 個別の事実の認識と変更に対応する矛盾は、T) 差異解消矛盾、U) 両立矛盾 、0) 粒度と機能の矛盾または粒度と属性の矛盾、1) 差異生成、2) 両立の必要性生成、3) 機能と構造の矛盾である [FIT2014]

以上はb)の複数の価値実現が同時進行される過程を作る。

b)は、矛盾を単位とした弁証法と根源的網羅思考による粒度特定、その相互作用であった [FIT2013]

b) 事実の変更において、事実、事実の認識、変更の三者がお互いを前提にしつつ統合される。事実は人間がいなくても存在し得るが、意味がある事実はこの統合の中の事実だけである。

 

5.6 TRIZ

以上の 5.1 から 5.5 までの全てを支援するTRIZ は、体系的であるように見えない欠点があり、その対策を多くの人が提案している。しかし、少しのとらえ直しで体系が見やすくなる。

1) 矛盾とTRIZの矛盾

11) 二属性の両立矛盾を「技術的矛盾」、二値の両立矛盾を「物理的矛盾」と拡張している [TS2006][TS2010] 。 良い名前でないので「」付きで使う。

通常の単なる変更は、運動により一致を目指す矛盾である。二項の片方がなるべき姿もう片方が今の姿で、一オブジェクトまたは二オブジェクトの二属性、または一属性の二値の場合がある [THPJ2012改]オブジェクト、属性の追加や削除を含む。TRIZでは解の手段としては扱うが矛盾と扱わない。

12) TRIZの物質−場モデルは、本稿の矛盾にほぼ等しい。物質−場モデルの物質は、通常の物質より広い概念であり[DM]、本稿の矛盾モデルの「項」である。Russoの物質−場モデルの「物質」の定義は、「物質的または非物質的なあらゆるレベルの複雑さのオブジェクト。一つの物質でも物質-場モデルでもその複合体でもよい」となっている [RUSS]

TRIZの「標準解」は、物質−場モデルという矛盾の作用、運動の過不足などの粒度で解を求める。

Larry Ballなどのツールとオブジェクトの関係 [LB] も、本稿の矛盾に等しい。

13) 技術のトレンドも、歴史は論理と一致するという弁証法論理の命題の結果の表現、矛盾の論理の結果の表現である。

このように、本稿の矛盾概念で、TRIZの体系を統一的に整理することができる。それぞれの手法の解の領域のダブり、得意な領域の整理が当面は重要である。

 

2) 問題は、技術的矛盾の解だけに使うと限らない「要素」である40の原理である。

「何を」と「どのように」の混在を整理する必要がある。[THPJ201502] で試みかけたがうまく行かなかった。

 今の 「a) どのように」 「b) 何を」を、お互いに双方と独立に定式化を行うことが求められる

中川、古謝、三原のUSITオペレータ [THPJ] は、この 「a) どのように」 「b) 何を」 の分離がほぼできている。USITオペレータ [THPJ] の 1) オブジェクト複数化法と、[THPJ201502] のb)、USITオペレータの 2) 属性次元法、3) 機能配置法と、[THPJ201502] のa) (40の原理)の統合ができるとよい。

「追加」の三つ(オブジェクトの追加、分割、既存の二項または分割した二項の運動の生成)、「新しい機能」の三つ、「新しい構造」の二つ(入れ子「同じか同じ形式の、もの、情報が、もう片方の中に入る」、仲介(媒介、間接化))が今の根本的発明原理と思う。[THPJ201502]

 

3) TRIZは、変更だけでなく、認識にも有効である。

例: 質量転化の法則の拡張 [FIT2009]

例: 人の重要な認識は、逐次的でなく同時並行的認識により行われるが、その基本は両立矛盾の解の形態の一つである「両立」である。ひらめきは発明、発見に必要なだけではない。十分な説明でないが。

例: TRIZシンポジウムの参加者にはよく知られているアメンボウの例

 

4) 様々な「発想法」「問題解決法」がある。表現は悪いがどれも中心的内容は似たようなものである。

そうであるなら、矛盾という運動の構造を中核として、技術も制度も、認識も変更も、自分の労働の方法と生きて行く態度も、本来同じに扱える志向を有するTRIZがよい。

 

6.本論4:人類の歴史と未来

人類の歴史と現実、その構造の概要を、基本概念である、オブジェクト、矛盾、粒度論理的網羅から導く。

矛盾についてのオブジェクト操作の最も根本的な原理は次のものであると考えた [THPJ201502]

次のプラスの三つ、新しい機能の三つ、新しい構造の二つが根本的発明原理と思う。

  +:プラス

オブジェクトの追加(新しく追加)
分割
既存の二項または分割した二項の運動の生成(新しく追加)
Southbeachに「二項を関係づけよRelate Pairs」がある [SB]
[LB p.H4に、40の原理の番号のない原理として「要素の複数化、要素を相互作用させる」というのがある]
これで新しい機能ができる。

  ×:究極のプラス(新しい機能と新しい構造)

1. 新しい機能:

    転用  「一つの機能を他領域で使用」[HMG発明楽]
    汎用性 「一つの属性が複数の機能を実現」
    セルフサービス 「それ自体で必要な機能を実現」

2. 新しい構造:

    入れ子「同じか同じ形式の、もの、情報が、もう片方の中に入る」 [THPJ201502  4.5.2入れ子についての注]
    仲介(媒介、間接化)

 

6.1 人類の歴史 [TS2011]

6.1.1 労働と消費の分離、技術と制度の誕生 [TS2011]

何事も、もともとは一体であった。生命の増殖も単性生殖で行われていたし、今でもほとんどの生命では、労働と消費,利用は分割されていない。獲物を取ることは食べる行為と分離していなかった。そのうち、獲物を取ることと食べる行為が、時間と空間で分離分割されるようになる。獲物を取ることと食べる行為の統合体の矛盾が高度化のために媒介化によって労働と消費,利用が分離分割された。つまり、労働と消費,利用が独立した。労働という概念が成立するのはこの後である。

人間の歴史は、常にエネルギー技術が主導した。そもそも生命とは、
  1. 内部に、外部からエネルギーを取り込む機構を持ち、それを自身が利用可能なエネルギー形態に転換し運動に利用して個体を維持し、
  2. 子孫を残すことができる
存在である。

以下、人間誕生以後に限定して人間の歴史を概括する。

 

人の場合、労働とは、人を含む対象を変更する行為、人間が人間にとっての関係(運動)の属性を変更する行為である。今は多くが賃労働になってしまった労働も、本来の姿の本質を回復しなければならない。

最初の労働は、食料の採取と子育て、治療であろう。採取は、ものを使わず手で果実などを採る労働であった。子育てや治療は、最初の「サービス労働」である。

次に、食料を作る生産労働が追加される。論理的には、道具を使わない労働であり得る。

この時点までで、食料というものを得るまたはものを作る労働とサービスを作る労働は分離していた。

以下、労働のうち、ものを得るまたはものを作る労働を中心に述べる。ただ、これのための子育て、治療、介護、教育などの労働も、労働であることに違いはなく、賃労働かどうかも労働の本質には関係がない。

 

作るまたは得る労働と、利用または消費することの分離による発展は、第一は、単なる空間的時間的分離によって、第二は道具と物々交換の媒介によって行われた。

第一の空間的時間的分離は、作るまたは得る労働と消費の分離で、取った獲物を違った場所で食べる、或は保存しておいて食べることが始まりである。

第二は、道具という技術手段の誕生、物々交換という制度の誕生によって行われた。つまり、労働と消費の分離は、両者の間に何かが媒介として入ることによって進展した。

労働と消費の分離が、何かの媒介により行われ、これにより労働、消費の高度化が進み、その空間的時間的分離も加速的に進んだ。

分離は次のように矛盾の運動で行われた。

(狭義の)T) 差異解消矛盾、U) 両立矛盾の生成と運動は、人間に限らず、他生物、自然にもある。差異解消は、全ての生物、自然の変化であり、両立は、全ての生物、自然の共存である。自然の運動も全ての生物の運動も、矛盾生成と運動である。地球に限ると人間だけが、技術、次いで制度を作ることによって労働と消費の分離を行った。

人類の歴史は、技術と制度の生成と運動の歴史である。これを振り返る。

技術、制度の矛盾は、人類にとって、道具や言語、物々交換を産み人類誕生と成長をもたらした特別の矛盾である。人間の主観と客観が交わる領域には、技術と制度、事実の認識と変更、事実の矛盾と解の矛盾の三つがある、その内の一つが技術と制度である。[THPJ201501]

矛盾の第一段階、技術,制度の矛盾生成の構造を推測する。矛盾の生成の型には、差異解消矛盾の生成と両立矛盾の生成があるが、ここでの技術の生成と制度の生成のような媒介化が存在に外化する特殊な場合がある。

図6.1 技術と制度

 

a) 技術の誕生

技術とは、技術手段とそれを作る過程、それを利用,運用する過程の総体である。[TJ200306] [TS2008-09]

技術の生成とは、最初に技術手段を作る過程である。技術の生成とは、技術の生成に関する矛盾の生成である。推測だがそれは次のように行われた。

図6.2  技術

外部運動が、自分と対象という対立項 (これが、項-関係-項の二項である) と作用を良くする意図を具体化する相互作用 (これが、項-関係-項の関係である) によって矛盾を作る。手の作用機能のある属性が独立し、その実体化が、オブジェクト世界の外から道具という技術手段を導入する媒介化という解となる。[IEICE2012]

技術の開始の場合は、媒介だけで完了する。人の内の属性の外化、実体化と、それに外のもの、例えば、石を使うことが同時に起こる。

技術は、人の作りだすエネルギーを前提にして始まった。道具の利用による動物、植物の採取は人が自分のエネルギーを使って行ってきた。

 

b) 物々交換の誕生、制度の誕生

制度の領域は、人間の世界への働きかけを媒介、仲介するものとして共同観念を持つ。制度とは、共同観念の共有とそれを作る過程、それを利用,運用する過程の総体である。共有は関係の一種である。[TJ200306] [TS2008-09]

制度の場合、外部運動が、共同体の個体間の観念という項と、両立,共有をめざす相互作用により矛盾を作り、共同観念の両立,共有という媒介化の解を見つける。[IEICE2012]

図6.3  制度

技術の開始と制度の開始を比較すると、制度の開始が高度であることが分かる。技術の開始は人と対象の間に媒介物を入れれば済む。技術の場合と異なり、制度の開始には大きな条件が要った。言語、原子力利用と並ぶ人類の歴史の画期的発明である。制度の開始は、項-関係-項という矛盾を生成しなければならないからである。

項-関係-項、矛盾の生成の最初は共同体間の物々交換制度を最初に作る場合だという仮説を考える。物々交換の実現構造を検討する [THPJ2012]

抽象的な仮説だが、項-関係-項という矛盾生成の必要性と、この解ができて何かの可能性が産まれる頻度がある程度大きくならないと制度の矛盾は産まれない。これも仮説だが、この頻度は、農業革命によって、生産力が画期的に増大し、生産物の余剰ができ蓄積が増大すると増大する。

農業革命、物々交換開始は、3000年前から6000年前にほぼ同時に起こった。技術の開始とは比較にならぬ最近の出来事である。

蓄積されたものの強奪によって生じるいさかいで死者が増えるのをどうすればいいかという粒度の矛盾は、差異解消矛盾である。死者を減らすための変更が差異解消である。物々交換制度の開始とは、この差異解消矛盾からこれとは違う粒度の両立矛盾を生成することである。

この制度開始では、項-関係-項の、は、物々交換を行う二つの共同体のリーダー二人の観念である。

この関係が面倒である。

当時、所有という概念は、完全には成立していない。自分の前にあるものと相手の前にあるものがそれぞれの共同体の所有であるという認識が完全にはない条件で、自分の共同体の所有物と相手の所有物を同時に交換するという予定像の観念を作りつつ、代表者二人がその観念をお互い事前に共有すると、最初の物々交換が成立する [TS2010]。共有は、両立の一種で、二つの個体(の観念)で両立したものが同じ属性の同じ値を持つ場合である [FIT2011] [TS2011]

ここには、はっきりしない共同観念を作りつつ共有するという極めて困難な課題がある。後の、国家や企業、宗教における共同観念の共有は、共有のために、法による罰の強制力や「道徳」や、これに代わるまたは補完する国家や企業、宗教への帰属意識を用いることができた。この強制力や帰属意識は、普通、対象化されず意識されないため有効に働く。この事情は今でもそうである。

しかし、最初の意識的制度である物々交換ではそうはいかない。全くの白紙状態で、共同観念の共有を実現しなければならなかった。

 

以上の前提のもとで、考える。

1) 「女性の世界史的敗北」(この仮説を正しいとする)以前だったと推定される最初の物々交換でも、その物々交換の担当者は武力に優れた男であり得るので、二つの共同体の交換の代表者が男と女である可能性がある[IEICE2012]。たまたま、両共同体に生産物がやや余っている時期と、恋によって生じた、お互いが相手に何かを与えたい感情が生じる時期が重なるという極めてまれな条件が生じた。二人の恋がこの最初の物々交換の条件を作った [IEICE2012]

2) これに対し、石崎徹は、動物のオスのメスに対する、ものまたは行為のプレゼントとその返礼が発展し一方向プレゼントから双方向プレゼントに、さらに物々交換になったということも考えられるのではないかという [CGK2014]

1) 2) の問題解決は、いずれも、恋により、今の利己的行為から相手のことも考慮した行為への画期的改善が行われる。種の存続のための性と、個の存続のための労働との交点で、物々交換が生まれたのかもしれない。[ISZK263-162]

これらの仮説が正しいとする。技術の始まりである道具の使用の二百万年前と、物々交換の開始のわずか六千年前という違いがある。人類が登場してもそのほとんどは、物々交換のない時代だった。この理由となる三つの困難さが推定できる。

第一は、開始の判断の困難さである。はっきりしない共同観念を作りつつそれを共有するという困難さ、どのぐらいの量が相手の量に見合うかという判断の困難さ、二集団の保管場所は、当然、異なるので、いつ、どこで交換するか、そこにどちらが行くのか、或はそのどちらでもない場所にお互いが行くのかの判断の困難さである。

第二は、物々交換の前提となる、食料が余ることが少なかったという事情である。食料が余れば、余った食料は人口の増加に使われ、殆どいつも食料は不足していた。(今、「先進国」ではそうならなくなった。)

図6.4 物々交換の歴史概要 [THPJ2012]

第一、第二は、開始の頻度が少なかった理由である。第二は、生産力が次第に大きくなり、食料が余る頻度は、歴史の進むにつれ増したであろう。第一の困難さを克服したのが、恋であるというのが仮説である。

第三は、偶然の粒度が、長期の粒度の確実な成果を着実にもたらしたことである。半ば偶然に散発的に開始された物々交換が、集団の発展、生の拡大という、長期間不変、普遍の価値に寄与した。[ISZK263-388]

これは生物進化の弁証法と似ている。道具利用、言語、物々交換、生物進化に共通しているのは、「結果」が蓄積されるために持続した事情である。

仮説だが、このうち言語、物々交換という初期の共同観念の制度開始は、意識性が薄かったため、ものと共同観念の両方に結果が蓄積されていくことがどうしても必要だった。初期の言語も、音に蓄積性がある。文字、更に印刷という「もの」についての技術の発明が画期的蓄積を加速した。

分かったことはここまでである。物々交換開始の論理を探ったが [IEICE2012] [THPJ2012] [CGK2014]、まだ全体像を得ていない

 

6.1.2  技術,制度の発展、科学,芸術の誕生

たまたま、地球では、空間的に分散して知性を持った個体が、別々の種類の労働をして、別々の種類の生産物を得るようになった。そして、平和的物々交換が誕生した。生産と消費が分離し、それぞれの労働、物々交換、コミュニケーションが発展していく。物々交換は貨幣を媒介にして間接的になり、さらに間接化が進む。労働も分業が高度化していく。[THPJ2012]

人類誕生以来、人は、個人の領域以外に、ものによる媒介化である技術共同観念による媒介化である制度を持つことになった。

技術は、個と対象の関係である。制度は、個と共同体の関係である。それぞれがさらに媒介化と分割を続け人類の歴史ができる [TJ200306]。以後、労働と消費が、技術と制度の二面で進むのが人間の歴史となる。

その後、技術、制度の発展が進んでいく。

道具と共同観念による媒介化に始まり、オブジェクト分割と統合の繰り返しと媒介による分離によって高度化が進んできた。

発展は、大きく次の二つの相互作用で行われる。

第一は、技術、制度の扱う対象の領域拡大である。技術、制度の開始と同様の媒介の解により領域が拡大していく。

第二は、その領域での、(広義の)差異解消、つまり、(狭義の)T) 差異解消矛盾、U) 両立矛盾の運動がある。差異を認識し、意図的行動によって機能、構造を変更する [IEICE2012]。領域の中では新しい技術手段が生まれて行く。

結果として、次のように発展が行われた。簡単のため、技術と制度を別々に述べる。実際は、技術と制度は、入れ子になりお互いを内に含みつつ大きくなり現在に至っている。

 

a) 労働と技術手段の高度化

第一は、労働そのものの高度化である。消費の高度化もあるが、ここでは省略する。

技術の開始と同様の矛盾の論理で、媒介の解により、
       1.  対象化の領域の拡大が、食料の採取、生産労働、一般的労働と次第に進んでいき、
       2.  それらを行う技術手段が生まれて行く。

1.  技術手段の発展と2.  対象化の領域の拡大が、相伴って進んで行く。

最初、技術は、人の作りだすエネルギーを前提にして始まった。

その後の農業革命は、太陽エネルギーの利用によるローカルな第一次技術革命だった。

産業革命は、化石燃料の利用により活動が地球規模に広がる第二次技術革命だった。農業革命も産業革命も、エネルギーが主導する技術革命だった。

なぜ「もの」でなく、ましてや「情報」でもなく、「エネルギー」が人類の歴史に根本的で主要な役割を果たすか?

もちろん、人間が生きて行くには「もの」が一義的に重要であり根本であることは自明である。「もの」という存在を運動させるのはエネルギーで、得られるエネルギーの時間空間領域と最大値が「もの」の運動の最大限を制約する。「情報」は重要ではあったが常に二次的だった。根本的制約を取り払うキーは、エネルギーだった。今後もそうである。この大枠の中で、ものと情報に基づく発展が進んで行く。

産業革命の初期には水車に頼るしかなかったエネルギー利用が、化石エネルギー利用の蒸気機関によって画期的に増大した。全体として産業革命は化石燃料の利用によるエネルギー革命だった。これが技術手段の発展を可能にした。機械という技術手段が、動物の力や川の水力によるだけの時代には、利用場所やエネルギー量の制約が技術手段を発展させなかった。

人間が生きて行くには「もの」が一義的に重要である。「もの」を運動させるのはエネルギーで、エネルギーが「もの」の運動の最大限を制約する。「情報」は重要ではあったが常に二次的だった。この大枠の中で、ものと情報に基づく発展が進んで行く。

    11.  食料の採取,生産労働と人と自然を受身に媒介するもの(衣服、住居など)を作る労働と技術手段が生まれる。

    12. 自然に働きかけるための、ものの加工、組み立ての労働と技術手段が生まれる。

    13. 人の外部との入出力機能、思考(論理判断と数値計算)を対象化し連鎖的に行う機能を代替し、入出力、論理判断,数値計算、これらを逐次実行する技術手段、機械が生まれる。

ノイマンにより、1) 情報操作内容と操作される対象が格納されているアドレスを、一語に同一形式で表し、2) 情報操作内容を逐次解釈して一語ずつ実行するハードウェア構造が実現でき、情報操作と操作される対象のペアの連鎖であるプログラムを作る労働ができる。このハードウェア構造は画期的であった。この発明を可能にした原理がまだ理解できていない。特に、情報操作内容と操作される対象の表現形式を同じにするという今では当たり前の発想が、当時なぜできたのか分からない。

情報自体は生命誕生以来あった。その上で、ノイマンの「発明」、記号の符号化、シャノンのサンプリング定理によるアナログ情報のディジタル化の三つは画期的ではあった。

論理判断と数値計算は、論理回路のハードウエアによってもソフトウェアを利用して実現する手段によっても高度な実現がされていく。情報による的確な制御が実現されるようになる。

これを受けて更に1の技術領域が拡大する。

情報は、全体の管理、制御(例:経済)と全体を見た個々の管理、制御(例:医療)に活かされる。特に全体の管理、制御に必要なのは、価値、目的の内容である。今後は、情報の新しい粒度の法則の発見、利用が、機械においても組織においても個人においても進む時代を迎える。

    14. 機械を作る労働と技術手段。

    15. 作ったものの試験、保守、運用をする労働。人の学習、教育。[ISZK248-178改]

それぞれの複雑化、高度化が進む。

 

b) 労働と利用,消費の空間時間分離を埋める技術の発展

第二に労働と消費が離れているのを埋める仕組み,決まりができる。

同じ主体によるものの保管が行われる。または主体変更後、新しい主体によるものの保管が行われる。保管、蓄積、記憶である。

同じ主体によるものの移動が行われる。または主体変更後、新しい主体によるものの移動が行われる。運輸、交通、通信である。

 

c)  交換制度をもとにした制度の発展

第三にこれを効率よく行うための仕組みができる。

その一つが一方向行為の制度である。主体変更後、違う主体の一方向の、ものをあげる,もらう、ものを取る,取られる、行為をする,してもらう、行為をさせる,させられる制度が生まれる。

もう一つが二方向行為の制度である。物々交換成立の所有主体間のものともの以外に、行いと行い、ものと行い、ものとお金、行いとお金、お金とお金の交換という共同観念の共有制度が生まれる。

制度の発展は a) b) の高度化を支援する。制度を作る共同観念は観念の一種で、共同の共有観念であることにより、技術手段と同等に、対象への働きかけの効率化に貢献する。

 

以上が高度化の中で、ものや人の、運用、試験、保守、向上(人の場合、教育、勉強)の比率が増していく。

これらのための、自然や技術、制度の対象の法則性を命題の型で表現した科学、世界との一体的認識である芸術が派生していく。[ISZK248-178改]

人個人だけの領域とともに、技術のものの領域(狭義の「もの」、情報、それらの製造、運用を含む)、制度という共同観念の領域、自然や技術、制度の法則性を命題の型で表現した科学の領域、一体的認識である芸術の領域という五つの領域ができた[ITIN [TJ200306]。

 

6.2 価値の役割

人以外の生命が人と比べてどの程度大事か、宇宙の他の生命が人と比べてどの程度大事かは、まだよく分からない。若者と老人、「善人」と「悪人」、能力のある人とない人の生の価値も、とりあえず同じとするが実際にはおそらく異なる。どういう違いかよく分からない

ここでは「人」の価値に限定して述べる。

最低限、生き方における価値、目的の要件は、
     第一に、客観的に社会が「あるべき」姿を目指していること、
     第二に、その客観と主観の一致、
     第三に、それが全ての人、対象についての実現であること
でなければならない

この「あるべき」姿については持続的追及が必要だが、取り敢えず人類の存続、個体の生、個体の自由と愛としておく。人々の価値認識は多様であるが、種の存続、個人の生、生の属性である自由と愛という価値は、この順に重要であることが前提として共有されるべきである。自由は、対象化を目指す方向の価値、愛は、相手、対象との一体化を目指す方向の価値であり、対等の重要さを持つ。[THPJ201501]

人類の存続の上位の宇宙の価値があるかもしれない。価値は、間違っても、一企業や一つの組織や一つの国のための価値であってはならない。人間のためだけの価値も狭いかもしれない。他の生物、対象にとっての価値も考えたい。企業や組織、国に属する人間は、自分の属する企業や組織、国を対象化、相対化できたほうがいいと思う。最低限、他の企業や組織、特定の宗教、他の国を敵視したり嫌ったりしないようにしたい。批判は必ず弁証法的否定でなければならない。

価値は、実現とそのための行動に関し、次のような役割がある。

第一に、価値は、多くの場合無意識に、その重要さにより実現の優先度を決めてしまうので意識しないといけない。後で、意識的に重要度を出して実現の優先度を決めることを提案する。

第二に、価値は、多くの場合無意識に、実現のための行動の目的を決めてしまうので意識しないといけない。

第三に、価値は、多くの場合無意識の実現のための行動の原動力となるので意識しないといけない。

第四に、行動の結果は、目的を規定する価値、論理、実際の行動の有効さの全体で決まる。このうち、日常の領域が制度の場合、結論は、論理の「正しさ」よりも価値の粒度(誰のどのような時間のためという空間時間の範囲、属性) とその全体構造に、実質的に殆ど依存してしまう。

第五に、価値とその全体構造は、行動や法則の結果の正しさの検証のために必要である。しかし、無意識に行われる行為の検証は行われないことが多い。検証の方法は確立されていない。

また、価値は、認識に関し、次のような役割がある。

第一に、価値は、多くの場合無意識に、認知、認識の対象を規定している。

第二に、価値は、認識結果、特に法則や学説の結果の正しさの検証のために必要である。我々は、特定の学説が検証されないまま盲信者を産み続ける例を多く知っている。

以上から価値は重要である。

 

多様であってよい価値と、世界で共有すべき価値の区別がよく分からない共有される価値は各人に強制することになるかもしれないのでこの区別は重要である。実際に人に危害を加えれば法による強制を受ける。多くの国で死刑さえある。

価値の多様性の重要さは、今まで二つの粒度で語られてきたと思う。何れも、言われている意味は分かるが、その全体の中の位置がよく分からない

一つは、生命の進化における多様性の重要さである。突然変異によって生じた多様性は、時々起る環境の激変に耐えて種が生き延びることを可能にした。

もう一つは、ヘーゲルが「悪とは、歴史の発展の推進力が現れる形式」と述べ、エンゲルスも、「フォイエルバッハ論」[F] で賛成して展開している議論である。この議論での善悪の価値と、本稿の種の存続、個人の生、生の属性である自由と愛という価値は粒度が異なる。どちらも正しいように見える。ヘーゲル、エンゲルスの「悪」と、生命の進化における多様性の重要さ、突然変異の重要さは、関係がありそうだが、どう異なっているのかよく分からない。話がそれるかもしれないが、「歎異抄」の「悪」もある。

 

強制でなく、種の存続、個人の生、生の属性である自由と愛という価値を、全員が共有し、しかも各人が多様な価値を追求することが必要だと思う、また同時に、上のヘーゲル、エンゲルスの「歴史の発展の推進力が現れる形式」としての「悪」も許容したい。この統一的理解ができない。

ともあれ、価値を意識すること、常にその見直しを続けること、実現可能になった価値はないか確認し続けることが重要である。

 

7. 結論と今後の課題

「粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート」「中川徹の6箱方式へのコメント」で次のことを述べた。

生き方は、
      1.  普通、無意識の価値に規定される事実に対する態度、
      2.  普通、無意識の事実を認識し変更する単位である粒度特定、
      3.  やや意識的なオブジェクトについての論理,方法
の三つの全体である。
粒度、オブジェクト、矛盾、論理的網羅という最小の基本概念で、矛盾を単位とする弁証法と粒度管理をする根源的網羅思考の全体を作り、新しい弁証法論理とした。

成果は次のとおりである。

1.  [FIT2013] での「根源的網羅思考について」「本質的な粒度の曖昧さ処理法、粒度の正確な確定の論理」が本稿で明確になった。

2.  矛盾は、粒度とオブジェクトの矛盾、粒度内部の矛盾、機能と構造の矛盾等のオブジェクト間の矛盾の三つであることを明らかにし、弁証法論理の構造を修正した。

3.  認識と事実変更に共通の方法を提示した。事実の矛盾と解の矛盾があることを述べた。「問題」を二つに分割したことで一つの「問題」を小さくした。さらに、これら全てが矛盾の要素に分解できそうである。これは、分かる認識と変更の脳内の観念の運動は同じ原理によっており、その原理内容が明らかになったということである。

こうして、従来、無意識だった価値に依存する態度、粒度と論理的網羅を意識的に追求し、矛盾を分割してその解を求める提案をした。

 

前二稿で、生き方と生きることを、最小の基本概念から形式的に構成する方向が定まったのに加え、本稿でこの応用を展開し、世界の運動と歴史を同様に同じ論理で見ることを試みた。

 

[FIT2013, 14] で述べた課題はほとんど残っている。

「両立矛盾の解候補を論理的に生成する変更の型の網羅まで、あと一歩のところまで来ている。完成と機械化、データベース化が課題である」と書いた内容はそのままである。

下記のデカルトの「凡庸な精神」はコンピューターの精神であり得る。

「真理の認識への、人間に許されたすべての途を、できる限り正確に探求し」「この方法全体を完全に習得したすべての人をして、彼が如何に凡庸な精神であっても、他人が達しえて彼自身の達しえぬものは一つもない、彼があることを知らぬとしてもそれは精神または方法の欠陥によるものではない」[RDI規則8]

矛盾の構造も未完成である。一体型矛盾の解が分からない。論理的網羅的方法と順次変形による推論の方法の共通点と相違点も明らかにするべきだが十分にできていない。

命題の変更に矛盾の型の違いがどう影響するかという検討はできなかった。直接、両立をもたらす方法など分かっていない点が多い。

仮説の検証、そのために必要な価値の扱いが課題である。空間的重要度と時間的緊急度を加味した価値判断が課題である。

設計の方法と生きて行く態度を統一する思想を探して半世紀経った。仮説のままで検証の不十分な暴論を含むが、やっと何か見つけられそうな方向が分かりかけた。全く誠実に生きて来なかった自分としては今ごろ分かっては遅いのである。せめて本稿を含む三篇で、分かりかけたことを伝えたかった。

ぐちを言うまい。謙虚かつ批判的であり続けよう。

 

謝辞

2003年以降十年以上に渡り、大阪学院大学名誉教授中川徹博士の言葉が支えであった。御礼を申し上げる。

2015年1月20日、中川先生の鳥取大学医学部大学院での講義に同行させていただき、鳥取大学医学部付属病院次世代高度医療推進センター長難波栄二教授、植木賢教授、上原一剛准教授からお話をお聞きする機会があった。生きていく元気をいただいた。御礼を申し上げる。

2003年以降、何度かいただいたEllen Domb博士のコメントは大きな励ましになった。御礼を申し上げる。

2013年8月、S. Saleem Arshad博士と数次に渡りメールのやり取りをした。その中で、博士から適切なご批判とアドバイスをいただき数か月で検討する約束をしてから、二年近く経ってしまった。本稿はその検討の一部を含む。全てが検討できていない。英訳もできていない。博士に御礼とお詫びを申し上げる。

 

参考文献

(“粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート" “中川の6箱方式へのコメント"と共通)

 

文中の[参考文献]中のFITは科学技術フォーラム、TSはTRIZシンポジウム、4桁の数字は開催年で高原の発表のいくつかを示す。開催年の後の数は月か追番である。[THPJ]の 高原利生論文集1, 2参照。

[THPJ] 中川徹, TRIZホームページ, http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/

 

[NKGW2001] 中川徹, TRIZのエッセンス, 2001. http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/Essence50W010518.html

[NKGW2005] 中川徹, “創造的問題解決の新しいパラダイム−類比思考に頼らないUSITの6箱方式−” 日本創造学会第27回研究大会 2005. http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2005Papers/NakaJCS-USIT6Box0510/NakaJCS-USIT6Box051129.html. [THPJ]再録2005.11.
内容は、例えば下記などの [THPJ]。 http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2015Papers/Naka-CrePS-Tottori-2015/Naka-CrePS-Tottori-150406.html

[TRIZJ] The TRIZ Journal,  トップメニューに40の原理の説明や各分野への応用例がある。http://www.triz-journal.com/

[HNSG] 般若心経,  http://matome.naver.jp/odai/2135997559834098601

[RDI] デカルト,「精神指導の規則」野田訳, 岩波文庫, 規則第3-8. 11. 1950 (同じ訳者による新訳あり), 原著1701. 網羅は、本書の”enumeratio”で野田訳では「枚挙」である。
なお、次のAMAZON書評内の高原利生の書評参照。 http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4003361342/ref=cm_cr_dp_hist_five?ie=UTF8&filterBy=addFiveStar&showViewpoints=0

[KNT] I.カント,「純粋理性批判」, I, 第二部門, 第一部, 第二篇, 第二章, 第三節, 3, c,篠田訳, 岩波文庫上, pp.286-294, 1961. 原著2版1787

[EPM] K. マルクス, 「経済学・哲学手稿」藤野訳, 国民文庫, pp.98- 157, 1963, 原稿1844.

[F] F. エンゲルス, 「フォイエルバッハ論」松村一人訳、岩波文庫、1960. 原著1888.

[CSP1] C.S.パース, 「論文集」上山、山下訳, 中公バックス, 世界の名著59, 中央公論社, 1970, 原著1931-1935. 原論文1877-1905.

[CSP2] C.S.パース, 「連続性の哲学」伊藤編訳, 岩波文庫, 2001, 原著1992, 原講演1889.

[VL] ヴィノグラードフ、クジミン「論理学入門」, 原著8版, 1954, 西牟田久雄,野村良雄訳, 青木文庫, 1955

[GSA] G.S.アルトシュラー他 “発明的創造の心理学について” 雑誌『心理学の諸問題』第6 号, 1956.黒澤訳, http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jlectures/Classics/Altshuller1956/jAltshuller1956-060304.htm

[JPS] J.P.サルトル, 「方法の問題」, 原著1960. 平井啓之訳, 人文書院.

[DV] ダヴィドフ,「疎外と自由」(ロシア語原著名「労働と自由」1962、ドイツ語訳1964、藤野訳, 1967. 青木書店.

[UEYM1] 上山春平, 「弁証法の系譜」第二版, 未来社, 1968.

[UEYM2] 上山春平, “プラグマティズムの哲学”, 中公バックス 世界の名著59 パース、ジェイムス、デューイ, p.7, 中央公論社, 1980.

[HDK] 日高敏隆, “虹は何色か”,「現代思想」青土社, 1978.5.

[DIA] 中山正和, 「演繹・帰納・仮説設定」産能大, 1979.

[RH] R. Horowitz, “ASIT’s Five Thinking Tools with Examples”, The TRIZ Journal, Sept.2001.

[DM] D. マン, 「体系的技術革新」, p.181-183. p.353, 中川監訳, (創造開発イニシアチブ, 2004.) 再刊 クレプス研究所, 2014.

[LB] L. Ball,「階層化TRIZアルゴリズム」, 高原, 中川訳,(ドラフト版, 創造開発イニシアチブ2007.) クレプス研究所, 2014.

[RUSS] D. Russo, S. Duci, “From Altshuller’s 76 Standard Solutions to a new Set of 111 Standards”, ETRIA, TRIZ Future 2013. 日本語訳は下記。  http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2014Papers/Russo-TFC2013-Standards/Russo-TFC2013-Standards-140427.html.

[WIKI演繹] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%94%E7%B9%B9

[WIKI帰納] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%B0%E7%B4%8D

[YSMT1] 吉本隆明,「論註と喩」言叢社, 1978.

[YSMT2] 吉本隆明,「『反核』異論」深夜叢書社, 1982.

[YSMT3] 吉本隆明,「反原発異論」論創社, 2015.

[HMG] 発明楽, http://www.med.tottori-u.ac.jp/hatsumeigaku/

[SB] Southbeach Modeller, http://www.southbeachinc.com/, [THPJ] に紹介あり。

[NHK20150201] NHK-TV, 高野山真言宗番組, 2015.02.01.

[ASAHI20150519] 見田宗介, オピニオン「歴史の巨大な曲がり角」, 朝日新聞, 2015.05.19.
次のURLで読めるが登録が必要である。http://digital.asahi.com/articles/DA3S11760782.html?_requesturl=articles%2FDA3S11760782.html

[NHK20150627] NHK-TV, 「地球ドラマチック「隕石(いんせき)の衝突を防げ!」,オーストラリアの放送局の2013年製作の番組, 2015.06.27.

[NHK201507] NHK-TV, 「地球ドラマチック「人類 遥かなる旅路U、V」,BBC製作の番組, 2015.07.29、30.

 

[ITIN] 高原他, “理想技術論と情報ネットワークシステム”, 応用科学学会誌, Vol.4, No.1, 1990.

[OTW1992] 高原, “決定・ハムレット・コンピュ−タ”, 音羽の森28号, 講談社, 1992.

[IPSJ1994] 高原他, “情報システム方式設計業務における総合決定”, 情報処理学会48回全国大会, 1994.

 

[TJ200306] Takahara, “Application Area of Thinking Tool or Problem Solving Tool”, The TRIZ Journal, Jun.2003.

[FIT2004] 高原, “オブジェクト再考”, FIT2004,2004. 高原利生論文集、『差異解消の理論』 (2003-2007)所収.

[FIT200502] 高原, “オブジェクト再考3−視点と粒度−”, FIT2005. 2005. 同上

[FIT20061表示法] 高原, “オブジェクト世界の構造化表示方法−オブジェクト再考4−”, FIT200、2006. 同上

[TS2006] 高原, “機能とプロセスオブジェクト概念を基礎にした差異解消方法―またはBALL氏の“階層化TRIZアルゴリズム”についてのコメント―”, 第二回TRIZシンポジウム, 2006. 同上

[TS2008] 高原, “オブジェクト変化の型から見えるTRIZの全体像−機能とプロセスオブジェクト概念を基礎にした差異解消方法 その3−”, 第四回TRIZシンポジウム, 2008.

[FIT2009] 高原, “弁証法論理の粒度,密度依存性”,  FIT2009, 2009.

[FIT2011] 高原, “弁証法論理再構築”, FIT2011, 2011.

[IEICE2012] 高原, “物々交換誕生の論理− 矛盾モデル拡張による弁証法論理再構築のための−”,  2012年電子情報通信学会総合大会, 2012.

(以上の2003−2012年の高原論文は、[THPJ] の 高原利生論文集1, 2)

 

[THPJ2012] (2012は投稿年) 高原, “技術と制度における運動と矛盾についてのノート”, 2013. http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2013Papers/Takahara-TRIZHP-1307/Takahara-TRIZHP-Paper-130727.html,

[FIT2013] 高原, “世界構造の中の方法と粒度についてのノート”, FIT2013, 2013. http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2015Papers/Takahara-2015-FIT2013/Takahara-FIT2013-150403.html

[FIT2014] 高原, “適正な粒度の矛盾による仮説設定についてのノート”, FIT2014, 2014.

[CGK2014] 高原, “不確定な矛盾の生成”, 電気・情報関連学会中国支部連合大会, 2014.

[FIT2015] 高原, “弁証法論理の構造と中川の「6箱方式」”, FIT2015, 2015.(投稿中)

[ISZK] 石崎, 石崎徹の小説,  http://maganetoru.blog.fc2.com/

[ISZK248-178] http://maganetoru.blog.fc2.com/blog-entry-248.html#comment178 を示す。2013.12. 他も同。

 

[THPJ201501] 高原, “粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート ”, 2015. [THPJ]に投稿中。

[THPJ201502] 高原, “中川徹の6箱方式へのコメント”, 2015. [THPJ]に投稿中。

[THPJ201503] 高原, “弁証法論理の応用展開ノート”, 2015. 本稿 。

[TKHR] http://www.geocities.jp/takahara_t_ieice/

 

 

 

本ページの先頭 論文の先頭 5. 生き方、認識、変更 態度 命題の変更 TRIZ 6. 人類の歴史

7. 結論と課題

参考文献 英文ページ
原論文PDF 三部作第一部 第二部(本ページ) 第三部   高原論文集(3)(2013-2015) 高原論文集(2)(2008-2012) 高原論文集(1)(2003-2007)    

 

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最終更新日 : 2015.11.13      連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp