論文:  基礎理論

「弁証法論理と生き方」(ノート)(第一部)

粒度、矛盾、網羅による弁証法論理

高原利生  (高原利生 ノート 2015-1)

『TRIZホームページ』投稿論文、
受理 2015年 8月10日、掲載 2015年11月13日

掲載:2015.11.13

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編集ノート (中川 徹、2015年11月 9日)

これは高原利生さんの最新の三部作の第一のものです。「研究ノート」という名称ですが、今年初めから何回も推敲して、8月に最終的に提出された論文です。

読者の皆さんがすでにご存じのように、高原さんは、TRIZの考察を発展させて、問題(あるいは矛盾)解決の思考法だけでなく、人間の文化や人の生き方にまで、考察を進めておられます。驚くばかりの大きな構想で、独自にこつこつと理論的な考察を積み上げています。その発展の全貌を紹介し収録してきましたのが、本『TRIZホームページ』中の高原利生論文集であり、次の3つがあります。

高原利生論文集(第1集): 『差異解消の理論』 (2003-2007) (論文14編)   (2008. 3.30)
高原論文集第2集:『差異解消の理論 (続)』 (2008-2012)(論文13編)  (2013. 3. 7)
高原利生論文集(第3集): 『差異解消の理論 (3) 弁証法論理と生き方』 (2013-2015)(論文9編) (2015.11.10)

本論文は、上記の論文集(第3集) の編集ノートおよび論文解題で説明していますように、著者高原利生さんの最新の理解の全体を丁寧に記述したものです。高原さんは自分の考察を積み上げる方法として、体系的な論文の形にして推敲・拡張していっているのです。合計55頁の力作を、読みやすさに配慮して三部に分割しました。その第一部が本ページです。

三部作のテーマは、(広義の)「差異解消」のための基礎概念から、その方法の体系的な考察、そしてその応用という広範囲にわたっています。その考察の中心は、高原の「根源的網羅思考」をベースにした、「差異解消」の方法であり、その思考法を突き詰めていく中で、従来よりも拡張した「弁証法論理」を提唱しています。また、「差異解消」の原動力は、個人にあると考え、個人の中の世界観(価値観)、態度、認識のしかた、などを論じており、それらを人の「生き方」として考察しているのです。技術と制度の考え方、差異解消の方法の詳細な論理、そして人間の生き方、などのすべてが一つの枠組みの中で論じられている、驚くばかりの構想を持った新しく大きな「思想」です。

三部作は実に丁寧に体系的に高原さんの現在の理解を記述してありますが、読者の皆さんがそのような(論理)体系の用語を受容し、内容を理解するには、いままでのいくつかの高原論文を読み解いてみることが必要でしょう。それをするに値する重要な思想が構築されつつあると、私は確信しています。

三部作の構成の概略は以下のようです。

第一部: 粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート    1. はじめに: 目的と概要 
2. 準備: 粒度、オブジェクト、矛盾
3. 本論 1: 根源的網羅思考
第二部: 中川徹の6箱方式へのコメント    4. 本論 2:  矛盾と解
第三部: 弁証法論理の応用展開ノート   5. 本論 3: 生き方、認識と変更の統一的理解
6.本論 4:人類の歴史と未来
7. 結論と今後の課題
謝辞
参考文献

 

本論文(第一部)の目次は以下のようです。

粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート  (2015年8月の高原利生三部作「弁証法論理と生き方」(ノート)の第一部)

1.  はじめに: 目的と概要

  1.1 目的
  1.2 概要
  1.3 本稿

2. 準備: 粒度、オブジェクト、矛盾

  2.1 粒度

  2.2 オブジェクトと価値    

2.2.1  事実とオブジェクト、
2.2.2  存在(ものと観念)と関係(運動)、 
2.2.3  属性、機能、目的、価値、  
2.2.4  価値の内容と役割

  2.3 矛盾     

2.3.1 矛盾の歴史、 
2.3.2 矛盾の必要性、  
2.3.3 矛盾概念の定義、 
2.3.4 矛盾の分類の概要、
2.3.5 矛盾の 機能分類 1:差異解消 矛盾、
2.3.6 矛盾の機能分類 2:両立矛盾、
2.3.7 矛盾 モデル モデル の合成、

3. 本論1: 根源的網羅思考

  3.1 根源的網羅思考の必要性と本質の粒度特定

   3.2 個別の粒度特定の困難さ

   3.3 粒度特定のタイミング

   3.4 個別の粒度特定

3.4.1 事実の矛盾    
3.4.2 事実の矛盾から解の矛盾に変換   
3.4.3 解 の矛盾の解,  
3.4.4 まとめ

  3.5 思考:根源的網羅思考と矛盾

  3.6 根源的網羅思考の対象:事実と価値,真理

  3.7 粒度の原則

結論

謝辞

参考文献

 

なお、本文の記述に関して (HTML版はできるだけ著者のPDF版に対応させていますが)、下記の点にご留意ください。

− テキスト中の太字、下線、フォントの色は、基本的にオリジナルどおりです。
   特に、青字は著者によるもので、(自著および他著からの)引用および参照文献を示します。
   緑字は、例示の部分で、(本ホームページでは)その段落を字下げしました。
   下線は著者によるもので、今後の主要な検討課題を示します。
   章と節見出しの赤字は、本ホームページのスタイルにしたものです。

− 節の階層的構成と、記述内容の階層的項目、段落分け、字下げなどは、基本的にオリジナルどおりで、一部調整しています。
   (小)段落 (原著の段落記号) ごとに空行を入れ、読みやすくしました。
   (大)段落 (原著の空白行、および節見出し)ごとに、空行を挿入しています。
   (原著で)番号を付けた項目が文中に列挙してあるときに、箇条書きで改行するようにしました。
   内容的な階層を表現するために、一部に段落の字下げを導入しました。
     (ただ、原著の内容が極めて多階層のため、字下げを断念しているところが大部分です。)

−原著には次のような特有の記述法がありますので、ご了解ください。
   階層的な項目立てで、通常 1.1, 1.2.3 などと記述するのを、11, 123 と圧縮して表現しています。
   語句の列挙で、通常 「入力・処理・出力」などと中黒で記述するのを、「入力,処理,出力」のように半角コンマで記述しています。
      句読点の「、」と使い分けています。 

 

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粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート

(高原利生ノート 2015-1)

A Note on Dialectic Logic by Granularity, Contradiction and Enumeration

(Takahara Note 2015-1)

高原 利生
TAKAHARA Toshio

『TRIZホームページ』投稿論文、受理 2015年 8月10日、掲載 2015年11月13日

 

概要(高原「論文解題」より)

生き方は、
     1. 普通、無意識の、価値に規定される事実に対する態度、
     2. 普通、無意識の、事実を認識し変更する単位である粒度特定、
     3. やや意識的なオブジェクトについての論理,方法
の三つの全体である。まず、1. 価値に依存する態度、2. 粒度決定を、意識的に行うことが必要である。これが 3. 論理,方法を作る。

粒度、オブジェクト、論理的網羅という最小の基本概念で、矛盾を単位とする弁証法と粒度管理をする根源的網羅思考の全体を作り、新しい弁証法論理とした。生き方と生きることを、最小の基本概念で、形式的に構成する方向が定まった。

これらにより、[FIT2013] で述べた方法が豊かになった。

1.  [FIT2013] の課題「根源的網羅思考について、本質的な粒度の曖昧さ処理法、粒度の正確な確定の論理」が本稿で明確になった。

2.  矛盾は、粒度とオブジェクトの矛盾、粒度内部の矛盾、機能と構造の矛盾等のオブジェクト間の矛盾の三つであることを明らかにし、弁証法論理の構造を修正した。

3.  認識と事実変更に共通の方法として、事実の矛盾と解の矛盾があること、認識は事実の矛盾を解くこと、変更は解の矛盾を解き実現することであることを述べた。「問題」を二つに分割したことで一つの「問題」を小さくした。さらに、これら全てが上の矛盾の要素に分解できるらしいことが分かった。認識と変更の脳内の観念の運動は同じ原理によっており、その原理内容の概要の方向が明らかになった。

こうして、従来、無意識だった粒度と論理的網羅を意識的に追求し、矛盾を分割してその解を求めることを提案した。

 

1.  はじめに: 目的と概要

1.1 目的

本稿は弁証法論理についての試論を述べるノートである。

人は、あらゆる分野で、世界と人の事実を認識し、より大事な価値を求め、その価値実現のため努力してきた。

1.  時に抗しがたい状況もあったが、それでも懸命に人が生きてきたことを表現し伝えてきた。

2. 事実認識、より大事な価値認識と価値実現方法について、分かっておらず解決できていない課題を表現し伝えてきた。

3.  事実認識と価値認識の結果、及び価値の実現方法を表現し伝え実行してきた。

人が生き世界に対し行ってきたことはこれだけだと思う。

 

生き方生きることを決める。生き方は、

1. 普通、無意識の、態度に影響する、事実と未来像についてのモデルである世界観、

2. 普通、無意識の、価値に規定される事実に対する態度、

3. 普通、無意識の、事実を認識し変更する単位である粒度特定、

4. やや意識的なオブジェクトについての論理,方法

の四つの全体である。

粒度は、物事を知覚し認識し変更する単位である。

生きて、認識と変更を行い、人類の存続に関わる大きな課題解決から日常の労働や生活の小さな課題解決により価値実現をする。態度と粒度特定を意識的に行うことを求める。

図1.1 生き方

その全てを実現したい。全ての人のあらゆる領域の、事実認識、価値認識と価値を実現する態度と方法を最小の基本概念で得たい。なぜ最小の基本概念で?という問いがあるであろう。

生きるとは、今の一瞬を生きることだ。今の一瞬に、過去の全てを総括して自分にも他人にも対象にも最適な判断をするには、逐次判断でなく同時総合判断を必要とする。この際、少ない基本概念の方が、論理,方法が容易で修正もし易い。これが、論理,方法を求めるできるだけシンプルな見方を最小の基本概念で得たい理由である。

参考:デカルト「精神指導の規則」規則7。

「知識を完成するためには、我々の目的に関係ある事柄をすべて一つ一つ、連続的な、どこにも中断されていない思惟の運動によって通覧し、且つそれらを充分な秩序正しい枚挙によって総括すべきである」「直感すると同時に他に移り行く一種の連続的な想像の運動によって、幾度もそれらを通覧する。そしてついには始めから終わりまで極めて速やかに移り行くことができるようになり、以って記憶の役割を殆ど残さずして事物全体を同時に直感すると見えるに至るであろう」 [RDI]

 

1.2 概要

まず、事実がある。本稿では、事実を、ものに限らず観念もそれらの歴史も含む、対象とすることのできる一切のものとして扱う。生きる原動力は、価値実現である。事実の歴史から価値が生まれ、価値を実現する方法,論理が生まれた。

事実として存在、関係がある。

事実を認識し変更する場合の対象であるオブジェクトは、事実から知覚によってある粒度で切り取られ表現される情報である。論理,方法である弁証法の単位は、事実の最小近似モデルである矛盾である。矛盾は運動の構造の意味で再定義される。新しく分かった矛盾の構造を述べる。

最小の基本概念は、粒度、価値を含むオブジェクト、矛盾、論理的網羅であるという仮説を立てる。粒度は論理的に網羅された中にあることが望ましいので論理的網羅も基本概念に加える。

矛盾と粒度の網羅的管理による次のステップで、複雑な個々の思考を統一する統合的方法を構築する。構築できなければ仮説を改めるか破棄するしかない。構築できたとしても改良は続けるか、より良い仮説を作る努力をしなければならない。

ステップ1:価値実現のためある粒度の事実の矛盾を設定する。
ステップ2:事実の矛盾から解の矛盾に変換する、
ステップ3:解の矛盾を解く。
ステップ4:解いた結果変更された事実が得られ最初に戻る。

この矛盾と、粒度管理を行う根源的網羅思考の全体が新しい弁証法論理である。

この弁証法論理が、次のような階層的なそれぞれの粒度での理解を画期的に単純化し容易にする。

・人間の歴史と現実と課題の理解。
・その中の人の態度、思考、行動を統合する方法理解。
・思考の中の認識と事実変更像生成を統合する方法理解。
・思考の中の演繹と帰納を統合する方法理解。

価値、態度、粒度、論理的網羅は、今まで意識されて来なかった。これを明確にし意識すると方法も進展する。

思考でのひらめきとは、新しい同時並列の認識である。特に、入れ子になったものの同時並列の認識が難しい。弁証法論理は、ひらめきの構造を明らかにする。

 

1.3 本稿

TRIZホームページ [THPJ] に発表させていただいた [THPJ2012] の内容も、その後の [FIT2013] [FIT2014] [CGK 2014] で少し変更した。さらにその後の知見も加えている。

2章で、弁証法論理の基礎である、粒度、オブジェクト、価値、矛盾の今までの記述を再整理し概要を示した。
3章で、粒度管理のための根源的網羅思考を述べた。
4章以降は、[THPJ201502] [THPJ201503] に示す。

 

分かっていることより分かっていないことのほうが圧倒的に多い。今まで人の書いたことの全体よりも分かっていないことが圧倒的に多い。何が分かっていないかこそ書くべきだと思っているので、整理できてないままの形になるので一層読みづらいが、なるべくそれを書くようにした。

思考経過もなるべく分かるようにしたい。今考えることは、論理的に網羅されたものの中のどれであるか、それを選ぶ理由は何かを分かるようにするのが良いと思っている。そのため数字を冠した箇条書きを、論理的網羅を示すために多用している。目次と混同し見づらいがご容赦いただきたい。また、各篇、各項単独で読め、全体では更によく読めるように心がけた。そのため重複が多い。

理論は必ず未完である。理論は完成したと読者に思わせてはならない。なるべく、著者が理論は未完だと思っていることが分かるようにしたい。これは未熟な論理であることの言い訳と見分けが付かない気がするが、とにかく、議論は本稿で閉じず開いたまま未完で終わる。

今回の一連のノートは、以上を意識して書いたはじめてのものである。

 

本稿など三篇の投稿とほぼ同時期に、これらの要約を8ページにして [FIT2015] に投稿している。科学技術フォーラムFITというのは、情報処理学会と電子情報通信学会の一部が共催する一定の権威のある大会である。このFITの発表論文も、通常の論文発表の守るべきスタイルからはやや外れている。本稿など三篇は、さらに通常の論文発表の守るべきスタイルから大きく外れたノートである。当人の意図としては、本稿など三篇が、上に書いた、何が分かっていないかをなるべく書き、思考経過もなるべく書いた本論で、[FIT2015] は、学会発表の枠をなるべく守ったその数分の一の概要である。ただし、[FIT2015] の6.3項だけは独自の記述である。

 

過去の発表と本稿と異なる場合、本稿を優先する。

本文中、引用著者名に敬称は省略する。デカルトさんとかデカルト氏と言わない。
青字
は既述と引用を示す。[引用文献 改]の「改」は、当該文献の内容をやや改めたことを示す。
緑字は例を示す。
下線は主な課題を示す

 

2.  準備: 粒度、オブジェクト、矛盾

最小の基本概念は、後に定義を述べるオブジェクト、矛盾、粒度、粒度の論理的網羅である。最も基本は、オブジェクトと粒度である。オブジェクトと粒度から矛盾が作られる。矛盾は構造の面,粒度で見た運動である。

粒度の定まった矛盾とその解が全てと言ってよい。その矛盾を定める際にも矛盾の解を決める際にも、粒度の論理的根源的網羅が使われる。

これは仮説である。基本概念のとらえ直しは、従来と近いものになるよう心がけているが、やや異なるかもしれない。

従来の常識と異なる場合、定義を述べなければならない。定義は、一連の議論の間は変えてはならない。

しかし同時に、基本概念の定義自体も論理,方法である弁証法論理も、常に見直し続ける態度がいる。そのため、この定義を含めた前提の根拠と、論理,方法とこれらから得られた価値と事実の結果の検証を行わなければならない。

検証の結果、違いが出た場合、基本概念か結論を導く論理,方法かその両方かが違っているということが示される。

その場合、できれば従来の基本概念の意味を保存する見直しが望ましい。「オブジェクト」「矛盾」など、今までのところそうしてきたつもりでいる。「粒度」は大幅に「定義」を変えている。残念ながら、これは、分かりにくさの要因の一つになる。しかし基本概念が少ないと見直しが容易になる。

 

2.1 粒度 [FIT 2005改] [TS2012改]

粒度は、扱うものの大きさである。やや正確には、扱うものの無数の可能性の中の、
    1. 空間的範囲、
    2. 時間的範囲と
    3. 扱うものの持つ無数の(後で説明する広義の)属性の中から着目し選んだ(広義の)属性
である [FIT200502オブジェクト再考3から定義が改まっている] [TS2012改]

粒度の定まった粒も、単に粒度ということがある。

人と個人の区別は、大きな又は小さな空間時間粒度の区別である。この場合、個人は人という集合の単なる要素である。個人 “is a” 人。

人と手の区別も、大きな又は小さな空間時間粒度の区別である。この場合、手は人の構成要素である。手 “is a part of” 人。

人と個人の場合も個人が組織の一員の時は、個人は人の組織集合の構成要素である。

大きな又は小さな空間時間粒度に、この二種類がある。

観念の粒度は、観念のもとのオブジェクトの粒度とする。オブジェクト世界の粒度は、個々のオブジェクトの粒度の和とする。関係の粒度は関係のオブジェクトの粒度とする。 [FIT200502オブジェクト再考3]

粒度のこの三つ、空間的範囲と時間的範囲と属性 (機能、構造) は関係がある。(後に述べるが、属性と機能は同じようなもので、(広義の) 属性は、(狭義の) 属性と内部構造である)

第一に、空間的範囲と時間的範囲の間には、経験的な法則性があり、一般的には、片方が大きくなると残りの片方も大きくなる傾向がある。

例: 宇宙,星,地球:10億年 (よく分からないが、宇宙の生成には、別に秒以下の粒度もあるらしい)、
人間,生命の種:1000万年,100万年、
社会:100年、
人間,生命の個体:10年、
人間,生命の個体の生活:年,月,日,時間,分,秒、
分子,原子,素粒子:マイクロ秒,ナノ秒,ピコ秒 [TS2005]

第二に、機能、属性、目的を規定するものとして価値がある。人の意識的活動に限定すると、大きく長い空間時間の価値が、小さく短い空間時間の価値の前提になっているので、より大きく優先度が高い。価値の中にも、より大きな価値から小さな価値に至る階層がある。価値の役割については、後にやや詳しく述べる。

例:人間,生命の種の存続という価値が、人間,生命の個体の生という価値より大きい。人間,生命の個体の生の存続という価値が、人間,生命の属性の価値より大きい。ただし、これは全ての人の共有観念になっていない。

ある粒度の前提で、論理はその粒度間の関係である。粒度が先なので粒度設定を間違うと論理は必ず間違う。価値、事実、方法の適正な粒度が漏れなく論理的に網羅された中から確定されるとうまく目的が実現できる [FIT2012, 13, 14]

一連の論理の中で粒度は変えてはいけない。世の議論は、粒度設定も違い、論理の中の粒度変更も勝手に行われ、形式上は無効なものが殆どである。

 

2.2 オブジェクトと価値 [FIT2004-05] [TS2005, 2007-08] [THPJ2012]

2.2.1 事実とオブジェクト

本稿では、事実を、対象とすることのできる一切のものとして扱う。ものに限らず観念も歴史も含む。

事実を認識し変更する場合の対象であるオブジェクトは、事実から知覚によってある粒度で切り取られ表現される情報である。

何かものがあることが分かる。これはものの存在を知覚している。何かはよく分からないものが、チカチカ光っている、または動いているのが分かる。これは、運動を知覚している。

 [TS2005] 以降、オブジェクトの定義における「認識できる」を「知覚によって」に変え「表現される」という制約を追加し、情報であることを明記した。

認識し変更のための像を作るのは、事実に対応するオブジェクトという情報に対してである。

オブジェクトは、他のオブジェクトと関係する。この関係もオブジェクトである。オブジェクトについての判断もオブジェクトとの関係でありオブジェクトである。

オブジェクトの集合であるオブジェクト世界もオブジェクトである。オブジェクト世界の粒度は、個々のオブジェクトの粒度の和とする。[FIT200502] オブジェクト世界が、世界の個々の事実である現象や命題に対応する。

 図2.1 オブジェクト

 

2.2.2  存在 (ものと観念) と関係 (運動)

事実として、存在、関係がある。関係が事実である根拠を [FIT2004] [TS2005] [TS2005スライド] [ISZK470-375] で述べている [KNT] [EPM]

それゆえ、オブジェクトに存在、関係の二種がある。

運動に、位置的、機械的、化学的、有機的、生物的、社会的運動、思考、感情の動きを含む。

 (存在間の) 関係 、 (存在間の) 作用、 (一つの) 運動、(時間軸上の) 過程、 (結果としての) 変化は、同じものを違う粒度で見たものである。

オブジェクトに存在、関係の二種があり、この存在にもの、観念の二種がある [ISZK470-375]

関係の粒度は関係するオブジェクトの粒度とする。観念の粒度は、観念のもとのオブジェクトの粒度とする。[FIT200502オブジェクト再考3]

脳の中にできた像を固定的と見て近似したものを観念とし、後に述べるように、その変化が思考や感情の移り変わり、運動であるとする。

観念はものを前提とするが、ものを中心とする客観的世界も、観念を中心とする主観的世界も、どちらも事実として扱う。観念を中心とする主観的世界は、ものを中心とする客観的世界の像であるというのが一次モデルであるが、実際には客観的世界は主観的世界を含み、お互いを含み合う何重にもなった入れ子構造ができる。

 

変化していることが観測できるかどうかは、粒度に依存している [THPJ2012]。実用上、運動しているかどうかの認識は、通常は、変化を観測できるかどうかによっている。

その上で、運動を、ある状態にあり、同時にある状態にないという「論理的」的矛盾として理解する。一般的運動の場合、変化の観測を用い、その属性が「ある状態にある」と同時に「ある状態にない」ということを次のように表現することができる。これは、運動の構造を示さない最も単純な粒度での運動表現である。

Aが運動をしている時、ある時点t で、Aがcという値の「ある状態」にあり、時点t +冲で、Aがcに等しくないc +冂という値である時、Aは「ある状態」にない。

冲 をゼロに限りなく近づける極限で、冂がゼロに限りなく近づいていく時、「ある状態にあり、かつある状態にない」と言い、Aは運動しているという。

この定義に二つ問題がある。一つは、運動を連続運動に限っていることである。不連続運動の扱いは不明である

二つ目の問題は、個別の変化の過程を連続的に直接観測できないものの扱いである。運動を直接観測できない観念や社会的運動の単位の運動やミクロの物質の運動について、やむを得ず、長い時間のまたはマクロな運動の変化が観測できれば、運動していると理解することによって、思考や感情の運動、社会的運動やマクロの物質の運動を扱う。個人の思考や感情の運動は、普通、観測できないがその長い時間の変化は観測できる場合がある。個人の運動やミクロの物質運動が観測できなくても、社会的運動やマクロの物質の運動が観測できる場合がある。

ここでの「値」は、(狭義の)属性の場合、温度20度のような量的な、または赤のような非量的なある値で表現される。内部構造が細胞分裂の時のように変化しつつある時は、内部構造の具体的状態も「値」である。

(存在間の) 関係 、 (存在間の) 作用、 (一つの) 運動、(時間軸上の) 過程、 ( 結果としての) 変化とエネルギーの関係がよく分からない。(存在間の) 関係 、 (存在間の) 作用、 (一つの) 運動、(時間軸上の) 過程、 ( 結果としての) 変化に必ずエネルギーが伴うのかどうかなどである

 

2.2.3  属性、機能、目的、価値

切り取られたオブジェクトの外部に対する具体的規定が (広義の) 属性である。つまり、オブジェクトを外から見ると様々な属性の集合である。この(広義の)属性に、(狭義の)属性と内部構造がある。(狭義の)属性に、質的な(最も狭義の)属性と、質的でない値がある。少なくともここでは、質と量は背反ではない。質的でない値と量的値は同じではない。値に、量的値と内部構造の状態がある。

図2.2 オブジェクトの構造 [TS2008]

属性と値は相対的である。

属性と値の例: 色は属性、赤、青は値。

属性と値の例: 赤、青は属性にも値にもなる。赤、青の明るさが値の場合、赤、青は属性として扱う

属性と値の例: 位置はあるオブジェクトの属性である。通常、東京、大阪はオブジェクトであるが、位置としての東京、大阪はあるオブジェクトの値である。

属性と値の例: 普通、バスタブの色、形は属性だが、場合に応じて変えられるようにした色、形は値である。

量的値の例: 温度が20度。

内部構造の状態が値である例: 分裂中の細胞の内部構造

 

機能は、関係 (運動) の属性の人間にとっての意味である。属性は、機能に一対一に対応する。属性が機能を決め、内部構造と相互規定し合う。属性に、(狭義の) 属性と内部構造があるのであった。

属性−機能−目的−価値−価値に対する態度
という系列がある。

今の行為の目的は、無意識の価値を具体化したものになっており、価値は無意識の行為の規定要因である。何かの意味は価値に規定されている。

究極の価値も日常の意味の歴史を総括して得られる。上の系列は両方向である。今の私の把握する 価値と意味、属性は相互規定されており、かつ変化している。[THPJ2012]

要するに、価値に対する態度、価値、目的、機能、 意味、属性は、関係の大きさの違いはあるが対応している。

 

2.2.4  価値の内容と役割

人々の価値認識は多様であるが、とりあえず、種の存続、個人の生、生の属性である自由と愛は、この順に重要であることが前提として共有されるべきである。自由は、対象化を目指す方向の価値、愛は、一体化を目指す方向の価値であり、対等の重要さを持つ。これは願望で、本稿は、読者のいかなる価値観にも対応できる。

とりあえず、種の存続を最上位の価値としているが、これがさらに上位の宇宙の価値を見付けるかもしれない。

人以外の生命の価値は不明である。若い人と老人などの生命の価値の差はある。しかしどういう差なのか不明である。

自由を、自分の、自分,他人を含めた対象を変更する意識と能力、を、自分の、自分,他人を含めた対象の価値を同時に高める意識と能力としておく。自由は、対象化を目指す方向の価値である。これに対し、愛は、一体化を目指す方向の価値である。自由と愛は、この限り網羅されており、後で述べる一体型矛盾の二項である。自由と愛は、本来は、相互に条件となって統一されるべきものである。

価値を増やすのは、自分を含めた対象を変更する行為である。仮にこれを労働Workと言っておく。この労働は、賃労働に限らず、対象を変更する一切の行為である。コミュニケーションや議論を含む。

 

価値は、実現とそのための行動に関し、次のような役割がある。

第一に、価値は、多くの場合無意識に、その重要さにより実現の優先度を決めてしまうので意識しないといけない。後で、意識的に重要度を出して実現の優先度を決めることを提案する。

第二に、価値は、多くの場合無意識に、実現のための行動の目的を決めてしまうので意識しないといけない。

第三に、価値は、多くの場合無意識の実現のための行動の原動力となるので意識しないといけない。

第四に、行動の結果は、目的を規定する価値、論理、実際の行動の有効さの全体で決まる。このうち、日常の領域が制度の場合、結論は、論理の「正しさ」よりも価値の粒度(誰のどのような時間のためという空間時間の範囲、属性)とその全体構造に、実質的に殆ど依存してしまう。

第五に、価値とその全体構造は、行動や法則の結果の正しさの検証のために必要である。しかし、無意識に行われる行為の検証は行われないことが多い。検証の方法は確立されていない。

また、価値は、認識に関し、次のような役割がある。

第一に、価値は、多くの場合無意識に、認知、認識の対象を規定している。

第二に、価値は、認識結果、特に法則や学説の結果の正しさの検証のために必要である。我々は、特定の学説が検証されないまま盲信者を産み続ける例を多く知っている。

以上から価値は重要である。

 

多様であってよい価値と、世界で共有すべき価値の区別がよく分からない共有すべき価値は各人に強制することになるかもしれないからである。実際に人に危害を加えれば法による強制を受ける。多くの国で死刑さえある。

強制でなく、種の存続、個人の生、生の属性である自由と愛を、全員が共有し、しかも各人が多様な価値を追求することが必要だと思うが、難しいような気もする。

価値の内容は、意識し、見直し続ける態度がいり、長い時間粒度の中で不変ではない。しかしある時点の価値は「最小の基本概念」に次ぐ重要概念である。

見直しは、できれば従来の意味を含む見直しが望ましい。今まで述べたものもほとんどそうなっていると思っている。

人が生きる直接の原動力は、価値を実現しようとする人の意図である。他の生命の「価値」が個の生であったのに対し、人は個の生だけでなく、種の存続、自由と愛を意識的に価値とすることができ、そうしないといけない生物である。

社会の原動力は、人の価値に規定されたこの力が長い時間、広い空間の粒度で人の意図が隠れ客観的力のように見えるものである。

 

2.3 矛盾 [FIT2006-14] [TS2006-12] [THPJ2012] [CGK2014]

2.3.1 矛盾の歴史

弁証法は、もともとギリシャの対話の術であり、展開して、自己内対話である思考の方法でもあり、さらに展開されて、客観の認識、変更の方法にもなってきた。

多くの哲学が弁証法を扱ってきたが、今の弁証法は、ヘーゲルの「正反合」か、マルクスの自律矛盾か、エンゲルスの「三つの法則」か、プラグマティズムの流れの中にある弁証法である。

上山春平の「弁証法の系譜」は、サブタイトルが、「マルクス主義とプラグマティズム」である [UEYM1]

TRIZの弁証法も、旧ソ連で教えられていたマルクス、エンゲルスの弁証法を起源とし [GSA]、初期のTRIZ Journalにはそのことに言及している論文がいくつかある。しかし内容的には、むしろプラグマティズムの流れの中にある。

 

2.3.2 矛盾の必要性

弁証法の中核をなす要素、単位が、矛盾である。

認識の基本単位は、オブジェクトという情報である。

しかしオブジェクトの変化、変更を扱おうとすると、

第一に、関係、作用を扱う必要がある。運動、関係、作用は、何かを両端にした運動、関係、作用である。運動のない存在 (という粒度) はあり得る,考え得るという意味で、存在は運動を前提にしない。事実の最小単位である「何か―関係―何か」または「何か―運動―何か」における「何か」とは、「存在」である。したがって、関係 (運動) は二つの存在を前提とする [ISZK470-375]。(後に「何か」は、関係 (運動) でもオブジェクトの複合体でもよくなっていく。)こうして、二つのものの相互作用を考えるモデルが必要となる。このモデルは (後に出てくる) 矛盾である。

 

第二に、何かを変更すると、全ての物事は関連し変化しているから、変える必要のない別のものも変わってしまう副作用が起きる。副作用が生じないよう修正を行うために、オブジェクト単独でなく別のオブジェクトとの相互作用を扱うモデルがいる。このモデルは (後に出てくる) 矛盾である。

 [FIT2013] などでこの論理による矛盾概念の展開の説明を行っている。これはオブジェクトの変化、変更を扱うために矛盾が必要という論理の中から出てきたものである。

 

第三の理由がある。認識の粒度から矛盾が必要となる理由である。オブジェクトは事実から知覚によってある粒度で切り取られ表現される情報であった。認識が一方向の受け身の作業なら矛盾は出てこない。しかし全く受け身の認識はない。ある意図で何かを認識しようとすると、その認識は意図による粒度を特定する制約の加わった認識となる。粒度は、空間的範囲,時間的範囲と属性 (機能、構造) であった。後に述べることであるが、粒度内部には、空間的範囲,時間的範囲と属性 (機能、構造) の同時決定、つまり矛盾がある。つまり、「厳密な」認識は、粒度内部の矛盾、空間的範囲,時間的範囲と属性 (機能、構造) の矛盾を解いて行われる。自分の認識は、そんなめんどくさいことはしていないと言われるであろう。つまりおそらく、人は「適当に」この矛盾を解いて「認識」を行っているのである。

このように矛盾が必要となる第三の理由は、認識において粒度で事実を切り取る際の粒度内部の矛盾を解く必要があることであった。

 

矛盾が必要となる第四の理由は、「高度の」認識は、複数のものの同時並列把握であり、これは両立矛盾の解を求めることである。これを単純化して次に説明する。

認識は逐次的に進まない。認識にしても変更像を作るにも、時系列の逐次論理では不可能で、複数のものの同時並列把握が必要となる。別の表現をすると、認識や変更像の進歩は、既存のものの線型的直線的積み重ねでは起こらない。逆に、今の進歩はそれ以前の全ての観念に影響を与える。

後に述べるように、両立矛盾の解の形態の一つが二つのものの両立である。つまり、両立矛盾が、複数のものの同時並列把握の基礎である。事実の認識に必要なのは両立矛盾の構造である。さらに仮説だが、ひらめきとは、同時並列把握の成立である。

部分が分かることの積み重ねは全体の理解をもたらさない。全体が分かって、はじめて部分が分かる [ISZK470-373]。この言い方も正確ではない。全体が分かってはじめて部分が分かることと、部分が分かることの積み重ねが全体の理解をもたらすことの相互作用の繰り返しが人の認識を作って行く。両立の矛盾がこのために必要なことの十分な説明は、まだできていない

 

2.3.3  矛盾概念の定義

筆者は、ヘーゲル、マルクス、エンゲルスとも異なり、彼らを受け継ぎ発展させたアルトシュラーともやや異なる矛盾概念の展開を行ってきた。[FIT2011-13] [TS2012] [THPJ2012] [CGK2014] [ISZK470-361]

 事実の最小近似モデルを、外部との関係を持つ「項−運動 (関係) −項」の生成と、運動 (関係) とし、これを矛盾の定義とする [CGK2014]。[TS2012] [THPJ2012] から少し変わっている。この矛盾は、従来の矛盾を全て含んでいる。

人の意図が起動する生成を矛盾として扱い解を求めたのはアルトシュラーであるが、何もないところからの矛盾生成は扱われてこなかった。

運動の構造を網羅したい。そのため生成と運動は広義の運動なので、生成は外せない。運動が生成と運動を含む広義の意味なら、ただ、運動でよいのである。これは、運動内部の入れ子である。

新しい言葉を作ると楽なのだが避けるべきであろう。

運動を、その生成も含めた上で矛盾と言い換えるだけのように見える。しかし、運動が多義でありすぎること、この矛盾は、従来の矛盾の定義を全て含んでいることから、矛盾という言葉を残しておきたいと考えた。[THPJ2012]

こういう概念の分かりにくさと入れ子構造が至る所にあり分かりにくさを生んでいる理由の一つになっている。

図2.3 オブジェクトから矛盾へ

これで、はじめて、矛盾が、客観,主観,その複合体のあらゆる事象の運動を扱うことが可能になった。

これで、はじめて、世界は全てのオブジェクトが関連し合い常に変化しているという弁証法的世界観を実現する矛盾概念ができた。

これで、「何か」必要らしいがそれが「何か」は分からないものを誰かとはじめる論理も作ることができた。[THPJ2012]

これが、技術と制度以外の画期的な何かを産むかもしれない。また、人類以外では違うかもしれない。自然や宇宙に我々のまだ知らない別の種類の運動があるかもしれない。

以下、外部との関係を持つ「項−運動 (関係) −項」の生成と (この三つ組みとしての) 運動を、それぞれ単に矛盾の生成と運動ということがある。

 

2.3.4  矛盾の分類の概要

矛盾は、事実の近似モデルである。従って矛盾の全体像は事実の全体像に似ている。矛盾の網羅的概要分類を行う。

a) 矛盾の運動領域

事実の運動領域の分類を試みる。事実は静的でなく階層があり動的である。事実の単位は、相互の関連があり、変化している。

事実の領域、場には、
1. 客観的世界、客観的世界と意図の関わりの世界、個人の主観的世界がある。
主観を持った生命が産まれて以降、純粋の客観的世界、主観的世界というものは、実際にはない。頭の中の抽象、情報としてあるだけである

客観的世界と意図の関わりの世界には、
2. 後に述べる技術の矛盾と制度の矛盾という領域、場がある [TJ200306] [TS2011]。 

中川の2001年の「TRIZのエッセンス」(50語の表現) [NKGW2001]

“Recognition that 
    technical systems evolve
        towards the increase of ideality
        by overcoming contradictions
        mostly with minimal introduction of resources. 

Thus, for creative problem solving,
     TRIZ provides a dialectic way of thinking,
        i.e., 
            to understand the problem as a system,
            to image the ideal solution first, and
            to solve contradictions.“

は技術に限定されている。この「TRIZのエッセンス」は全領域に拡張して適用できる優れたエッセンスである。「TRIZのエッセンス」で理想と言われているものは「価値」の理想である。

さらに、
3. 人と客観との関係という面、粒度で、技術と制度のそれぞれに事実の認識と変更という領域がある。

中川の2005年の6箱方式 [NKGW2005] は変更に対応するが、本稿は法則の発見を含む事実の認識にも適用できる。

次いで、
4. 事実の認識と変更という領域のそれぞれに事実の矛盾、解の矛盾の双方がある。
単純化すれば、事実の矛盾は、変更することを暗黙の前提とした「項−運動 (関係) −項」の運動、解の矛盾は、「項−運動 (関係) −項」のそれぞれを変更する運動である。

認識とは、事実の矛盾を確定することである。

変更とは、事実の矛盾を解の矛盾に変換し、解の矛盾を解き、それを実現することである。

事実の矛盾の例: 部屋が蒸し暑い。部屋の温度と湿度を適切に保ちたい現状は事実の矛盾の例である。粒度、状況によって異なる。

解の矛盾の例: 事実の矛盾を解くために解の矛盾がある。解の矛盾は、粒度、状況によって異なる。家の周りの温度を下げること、部屋の温度を下げること、体と外気の間を遮断すること、体を冷やすことは解の矛盾の例である。

解の矛盾の解の例: 空調機のボタンを押すこと、空調機を買い設置すること、空調機を設計し作ることは、どれも解の矛盾の解の例である。

図2.4  技術制度、事実の認識と変更、事実の矛盾と解の矛盾

 

この図でうまく表現できていないが、技術の矛盾と制度の矛盾の領域、事実の認識と変更という領域、事実の矛盾、解の矛盾という領域は、それぞれが客観的世界と意図の関わりの世界の全てをカバーし、それぞれの内部の二項はその中で網羅された分類である。認識と変更の脳内の観念の運動は同じ原理によっている。

それぞれの領域に共通に、時間的順序は、まず矛盾の生成、次いで、矛盾の運動である。

 

b) 矛盾の内部構造の分類

以下は、矛盾の生成と運動の両方について成り立つ。[CGK2014]  以下「外部」を除いて分類する。

矛盾には次の二つの内部構造の型 (種類) がある。[FIT 2011] [TS2011] [FIT2013]

矛盾の二項は、機能(属性)上、片方がなるべき姿、もう片方が今の姿を表わすか、同時両立を表わすかである。前者は普通の意味の「変更」で(狭義の)T) 差異解消矛盾である。後者U) 両立矛盾が従来の矛盾を含む [FIT2004-05, 14]。つまり、機能の矛盾として、T) 差異解消矛盾、U) 両立矛盾がある。

狭義のT) 差異解消とU) 両立が広義の差異解消である。両立も広義の差異解消と呼べる理由は、両立していない状態から両立の状態への差異解消という粒度があるからである。

T) 差異解消は、1) 差異生成と 3) 機能と実現構造の矛盾、同様にU) 両立は、2) 両立の必要性生成と 3) 機能と実現構造の矛盾に具体化されて行われる [FIT2014]

この二つの矛盾を [TS2006] [TS2010, 11, 12] [THPJ2012] で詳しく論じ、今回の記述でやや追加をする。

 

c) 矛盾の解の実現形態

矛盾の解に五つの実現形態の型がある。

1. 両立矛盾の解が両立の実現形態を示すことがある。この場合の両立は制約充足である。この時は二項の同時成立が U) 両立矛盾の解である。三項以上の両立矛盾の場合も同様である。

例: 関係命題は主部と述部の両立矛盾の表現である。

事実の矛盾は、関係命題の集合体で表される。では、矛盾を全て関係命題で統一したらどうかという案が出てくるであろう。しかし、解の矛盾を解決する際は、場合によっては、数十数百あるいはそれ以上の矛盾を扱う。命題の形には表され得るが、それに限定しない。

矛盾が単位であると同様、命題も推論の単位である。

2. 差異解消矛盾の解が片項または両項の量的変化を起こす場合、さらにそれが量質転化を起こす場合がある。

3. 両立矛盾の解が、質的変化を起こすことがある。
これに、次の三つの場合とその組み合わせがある。

31. 両立矛盾の解が、片項の質的変化を起こす場合がある。

例: 生物の進化は、機能の一面が発展し、構造が変わっていく、機能と構造の両立矛盾の連鎖である。進化の法則に表現される長時間の場合、矛盾の推進力は、個の生存、種の存続という価値である。環境による必要な機能の変化に対応する構造変化だけが受け継がれ、長い時間の後、一見、質的構造変化が起こったように見える。

32. 両立矛盾の解が、両項の質的構造変化を起こす場合がある。両項の弁証法的否定による向上をもたらすのはこの場合である。

例: 化学反応。

例: へ―ゲルの正反合という弁証法のとらえ方は弁証法的否定の典型を表現している。

33. 両立矛盾の解が、質的構造変化を生起しないまま、両項の向上をもたらす場合がある。(後の)一体型矛盾の場合である。

以上の組み合わせで、両立矛盾の解が、全く新しいものをもたらす場合がある。

例:自動車の製造。一般に全ての製造。

以上の扱い、位置の把握はまだよく分からない。しかし、これで網羅が済んでいるような気もする。

 

2.3.5  矛盾の機能分類1: 差異解消矛盾

一変数の (狭義の) 差異解消矛盾がある。

これは、単なる通常の変化、変更で、解の実現形態は、単に運動することまたは値の変化、変更である。アルトシュラーも矛盾として扱っていない。

次の二つからなる。
    1. 一変数の差異生成を行う運動。
    2. 一変数の差異解消を行う運動。

二項の片方がなるべき姿もう片方が今の姿という一属性の二値を一変数と扱う。

一属性の二値を一変数と扱う例: 室温を変える場合、値は量である。16度を上げる場合、16度が16度プラス無限小の値が、無限小の時間に変化する。

細胞分裂の場合、値は構造の状態である。一つの細胞が二つに分裂する時、一つの細胞構造と二つの細胞構造状態の間にそのどちらでもありどちらでもない構造の状態がある。

二属性を一変数と扱えることがあるかどうか分からなくなった。

1. あるオブジェクトの属性が、別の属性に変わる変化、変更があるだろうか?いくつか疑問がある。

    11. 水の氷への変化や鉄が溶ける変化は、量の変化なのか属性の変化なのか?
    12. いわゆる質量変化の法則で量の変化が質の変化をもたらすという場合、必ず新しい属性が産まれているのだろうか?
    13. 構造の「値」変化で別の属性に変わることがあるかないか?

2. あるオブジェクトのある属性が別のオブジェクトの別の属性に変わる変化、変更があるだろうか?
もちろん、この場合、何かと相互作用が行われている。二つのものが化学反応で別のものに変わることがある。これと、あるオブジェクトのある属性が別のオブジェクトの別の属性に変わることの区別は何か?

一変数の差異解消に、オブジェクト、属性の追加や削除を含む。[THPJ2012改]

以上が、2.3.4項c) 2. 差異解消矛盾の解の片項または両項の量的変化を起こす。さらにそれが質転化することがある。

単なる変更、一変数の差異解消なのに矛盾と言うのを奇異に感じられるかもしれない。不具合解決は不具合のない状態とある今の状態の、理想化は理想と現実の、新機能生成は新機能とそれがない今とのそれぞれの差異解消である。

どういう場合、どの型で解くのがいいのかはよく分からない。まず、実現したい価値に合う型を選ぶのが良いが、どれでも定式化できることを意識すると良い。取り敢えず、解きやすいと感じるどれかで解くのも良い。

 

2.3.6 矛盾の機能分類2: 両立矛盾

二変数の両立 (又は共有 )矛盾がある。

以下、きちんと定式化しないまま、三項以上の両立矛盾があるという前提で話を進めているところがある。三項の両立矛盾は一項を固定すると普通の両立矛盾になる。

次の二つの両立矛盾がある。

1.  すでにある二変数の両立(又は共有)を行う運動。
共有は、両立の一種で、両立したものが同じ属性の同じ値を持つ場合である [FIT2011] [TS2011]
これだけが、一般には従来、矛盾として扱われてきた。

2. 二変数の両立(又は共有)の生成を行う運動 [IEICE2012]。これは関係を作る運動である。

両立矛盾の網羅的分類を試みる。

a) 両立の二項の形式による分類:二属性の両立矛盾と二値の両立矛盾

TRIZでは、二属性の両立矛盾を「技術的矛盾」、二値の両立矛盾を「物理的矛盾」という。[TS2006] [TS2010]  「技術的矛盾」「物理的矛盾」というのは良い名前でないので「」付きで使うが「」を付けるのを忘れることもある。従来のTRIZの「技術的矛盾」は、二つの機能の両立に限定しているらしいが、ここでいう「技術的矛盾」はそれを一般化している。[TS2006] [TS2010] [THPJ2012]

「技術的矛盾」「物理的矛盾」の例:
東京にいて同時に大阪にいるのは「物理的矛盾」である。
エンジンの出力が大で同時に軽量であることは「技術的矛盾」である。

「技術的矛盾」「物理的矛盾」の関係と内容的な統一的理解については、[LB] が優れる。

両立矛盾は、両立だけでなく二項の質的変化ももたらし得る。両立矛盾の解の両立 (2.3.4項c)1.) の基礎となるのは、両立矛盾そのものであるが、両立矛盾の何が単なる両立をもたらすか必ずしも明確でない。遠心力と求心力が両立しないと投げたものは地球から飛び出してしまう。

次項との関係も課題である。まだ検討していない。

 

b) 両立の二項の内容による分類

未完の分類である。1) 2) 3)の三つの型があり1)がさらに二つの型に分かれる。

1) 両立の二項の内容による分類1: 粒度とオブジェクトの矛盾

事実を認識し変更する場合の対象であるオブジェクトは、事実から知覚によってある粒度で切り取られ表現される情報である。これは、粒度と個々のオブジェクトが同時に決まり矛盾であることを意味する。

いくつか矛盾の分類について書いた中でこの一番単純なことに最後に気付いた。

11) 0) 粒度と機能の矛盾 [FIT2014] または粒度と属性の矛盾

事実から粒度で切り取られ表現された外部に対する具体的規定が(広義の)属性という情報である。この(広義の)属性に、(狭義の)属性と内部構造がある。機能は人間にとっての関係(運動)の属性の意味である。属性、機能、構造もオブジェクトである。

従って、粒度とオブジェクトが矛盾だということから派生し、別表現で粒度と属性の矛盾が出てくる。

属性−機能−目的−価値の系列がある。粒度と属性の矛盾から、粒度と機能の矛盾、粒度と目的の矛盾、粒度と価値の矛盾に広がって行く。

両立矛盾の粒度と機能が、機能上、前に述べた差異解消と両立を規定する入れ子構造がある [CGK2014]

 

オブジェクト変更において、「正しい」粒度は、網羅されたものの中から選ばれないと見逃される恐れがあるが、オブジェクトの網羅は、スーパーオブジェクトの粒度とオブジェクトの粒度に依存し、同時にしか決まらない。

例:日本で虹が7色で網羅されるのは色の属性の粒度把握による。虹の7と色の粒度は同時に決まっている。[HDK]

網羅に、閉じた世界の個別の網羅と、種類,型の網羅がある。閉じた世界の特定粒度での網羅は(網羅の粒度が決まっていれば)比較的容易である。また、幸い、種類、型が網羅可能である場合がある。

オブジェクトの分類結果を、存在に対しては、種類といい、運動(関係)やオブジェクトについての判断である命題に対しては、というように使い分ける。

同じ型には同じ形式的処理が、異なった型に対しては異なった形式的処理ができ、かつ型の総和が全体を網羅する両立矛盾が、型の数だけある。これをB) 型の矛盾と呼ぶ。これはA) 粒度と網羅の矛盾の一種である。この矛盾を満足する分類結果がである。

例: 運動と矛盾の型 [THPJ2012 52, 53, 6項]、

例: オブジェクト操作の7つの型(4つの変換D,U,P,Mと3つの操作R。U,P,M は図2.4 項−運動(関係)−項のそれぞれを操作する方法である。[TS2009])

例:後述の差異解消の、新機能追加,不具合解決,理想化の三つの型 [TS2008]

 (論理的)網羅の原理 [TS2012] [FIT2014] を拡張する。

構造と(論理的)網羅の原理:スーパーオブジェクトの粒度、オブジェクト(又はその種類,型)の粒度、オブジェクトの網羅、スーパーオブジェクトの構造の両立矛盾がある。これは(二つの)粒度と網羅と構造の四項の矛盾であることを示す。二つを固定した場合、12) 13)の通常の両立矛盾ができる。

12) @) 粒度と構造の矛盾

関係(運動)の集合が構造である。スーパーオブジェクトの構造とは、スーパーオブジェクトの要素である個々のオブジェクトとその間の関係である。

スーパーオブジェクトの粒度とオブジェクトの網羅が定まっている前提で、@) オブジェクトの粒度とスーパーオブジェクトの構造の矛盾がある。

(広義の)属性に(狭義の)属性と内部構造があることから、サブオブジェクトの粒度とオブジェクトの構造が両立矛盾であることが出てくるが同じことである。

図2.5 両立矛盾の基本構造: 粒度とオブジェクトの矛盾の展開

 

13) A) 粒度と網羅の矛盾

この粒度と網羅の矛盾は、命題、法則の認識発見と、事実、オブジェクトの変更の二つの粒度でともに極めて大きな役割を果たす。

粒度と網羅の矛盾は簡易表現である。この網羅は、スーパーオブジェクトの粒度、オブジェクトの粒度、オブジェクトの網羅、スーパーオブジェクトの構造の両立矛盾があるという粒度の中のオブジェクトの網羅であり、この粒度ではオブジェクトの内部構造を関知しない。オブジェクトの網羅は、その空間、時間、オブジェクトの外部に対する属性(機能)だけの網羅であり、その内部構造の網羅を含まない。これは実際に矛盾を解く時に重要となる。オブジェクトの粒度はその空間、時間、属性である。この内の属性は、オブジェクトの外部に対する機能と内部構造になる。

大事な両立は、関係命題の主部と述部である。

以上は矛盾の最も基本で次は各項の内部の矛盾である。

 

2) 両立の二項の内容による分類2: 粒度内部の矛盾

矛盾の解を検討していて、この矛盾が漏れていたことに気付いた。粒度の内部の矛盾である。粒度は、空間範囲、時間範囲、属性である。これらの間に矛盾がある。これらの中で、後で出てくる重要な矛盾は、空間,時間と属性の矛盾である。

これが、粒度とオブジェクトの矛盾に影響する。これが「粒度とオブジェクト」の片項の内容だからである。

 

3) 両立の二項の内容による分類3: オブジェクト内部の矛盾、つまりオブジェクトとオブジェクトの矛盾

同様に「粒度とオブジェクト」の片項の、オブジェクトの内容から矛盾が展開される。

機能は人間にとっての関係(運動)の(広義の)属性の意味であった。切り取られたオブジェクトの外部に対する具体的規定が、オブジェクトである(広義の)属性で、この属性はオブジェクトである内部構造が実現する。つまり、構造が属性を作り属性の意味が機能であった。ともにオブジェクトである構造と機能は同時に決まるのである。

オブジェクトとオブジェクトの矛盾の中で重要な矛盾が機能(属性)と構造の矛盾である。

 

まとめると、機能の矛盾として、T) 差異解消矛盾、U) 両立矛盾があり、両立矛盾として 下記がある。

粒度とオブジェクトの矛盾(これに、粒度と機能の矛盾または粒度と属性の矛盾と、粒度と網羅の矛盾、粒度と構造の矛盾がある)

・ 粒度内部の空間、時間、属性の矛盾

・ オブジェクト内部のオブジェクト間の矛盾

 

4) 両立の二項の内容による分類4: 一体型矛盾

これは今までの両立矛盾分類1)−3) と一見、異質に見える。オブジェクトとオブジェクトの両立矛盾の一種ではあるが特別な独自の粒度の体系がある。

この位置がまだ明確でない。もともと、客観的世界の矛盾だけでなく、アルトシュラーのTRIZの矛盾を検討する中で、アルトシュラーは客観的世界と意図の関わりの世界を併せた矛盾を考えたのだと分かったことから、客観的世界と意図の関わりの世界を併せた矛盾が新しい矛盾だと思うようになった。それから一体型矛盾が出てきた。

しかし、ある意味で残念なことに、一体型矛盾の中に純粋に客観的矛盾もあるのであった。だから一体型矛盾の位置づけが分からず、両立矛盾の論理的網羅が出来ていない。

一体型矛盾は、二変数の両立(又は共有)矛盾の一種である。個の生活の生産つまり労働と交換と消費の中で、対象化によって個と対象、個と他、個と共同体の分離が進み、関係の高度化と複雑化が進んできた。この再一体化が一体型矛盾の基本である。この矛盾は従来扱われてこなかった。

一体型矛盾は、
    1. もともと一つのものだったものが分離して、二つの客観、客観と思考、二つの思考、または二つの態度として存在していたものが、
    2. 人の、より広い粒度に立った一体化の意識的努力によって
さらに再びより大きな粒度での一体を目指す矛盾である。

対立物が全体の不可欠な要素ではなく、より大きな粒度の全体の不可欠な要素である。[FIT2011][TS2011]

一般の両立矛盾と一体型矛盾の違いは、前者が、両項両立の運動形態を作りその特殊なケースとして高度に否定し統合するのに対し、後者は、両項がそのままお互いが入れ子になり否定せず高度になって行くという違いである。これは、本来、高度な否定による統合が、両項そのままお互いが入れ子になり否定せず高度になって行くことを含むように修正するか、この言い方を全体として変えるかが必要になることを意味する。

「一般の両立矛盾」が普通、客観的な世界の矛盾であるのに対し、一体型矛盾は人の意識が作る矛盾を含むことが大きく矛盾の運動の領域を広げる。一体型矛盾について、[THPJ2012] で十分述べなかった。少し [TS2011] [FIT2013] を整理し直して分類を述べる。

一体型矛盾の型には、次のようなものがある。分離による発展があり、その再一体化、または両者のより一層の向上が行われる。実際上、客観から遠くなるほど重要な機能を持つ。

41)  二つの客観的なもの、二つの行動の一体化

二つの客観的なもの、運動(行動) 自体の一体化である。

例: 男と女、人と対象、人と他人、人と共同体、技術と制度、労働と消費、労働と交換、自由と愛(後でも出てくる)、機能と構造

42)  行動、思考の一体化

運動(行動)と思考の一体化である。認識の命題変更=推論と、変更行為前のオブジェクト変更の論理構造は全く同じである。認識には一般的認識があり、変更にも、変更の方針のような一般的変更がある。どれも変更(差異解消)と両立である。

例: 認識と行動、目的と手段、感情と論理

43)  二つの思考の一体化

431)  二方向の思考の一体化

二方向に分離した思考の一体化である。

例: 分析と総合、普及と深化、考えることと学ぶこと、受容と表現、集中と拡散、歴史と論理、 一般と特殊、本質と現象

432)  思考の固定的なものと運動の一体化

人の能力に限りがある前提で、能力をのばす方策の一つが、固定的なものと運動の分離だった。この再統合である。

例: システムと運用(ものと運動)、手順と運用(思考の固定化と運動)、体系と運用(思考の固定化と運動)、 科学と哲学(思考の固定化と運動)

44)  行動、態度の一体化

45)  思考、態度の一体化

46)  二つの態度の一体化

例: 対象化と一体化[FIT2013]。人と対象、人と人との新しい関係をどう作るかは一体型矛盾である。

例: 謙虚さと批判謙虚さと自信(謙虚さと批判というコンテクストでの、謙虚さの内部の矛盾)、ほめることと批判(謙虚さと批判というコンテクストでの、批判の内部の矛盾)、信じることと事後の批判、 自由と愛

以上 3) 4) が 2.3.4項c) 3. 両立矛盾の解の質的変化をもたらす

これを含むオブジェクトとオブジェクトの矛盾の網羅はまだできていない。3) 4) の関係もよく分からない

従来、オブジェクト間の矛盾しか注意が向いていなかった。

 

2.3.7 矛盾モデルの合成

この矛盾モデルは単位であるから、これ自体は大きな事実を表現できない場合が生ずる。

これに対処するには、今の矛盾の形式のまま内容を豊かにしていくか、変形していくか、合成をするかあるいはその組み合わせをしなければならない。(以下の議論を、やや変形して命題の複雑化も同様に行うことができる。)

どれも、二項とその間の関係以外を「外部」とすれば矛盾の定義に外れるわけではない。

合成は、項か運動(関係)かその属性を介して行われる。[FIT20041表示法] [TS2006]

TRIZの古典的問題である酸浸食の問題を例に取り上げる。

「我々が酸の様々な金属に対する影響を測定している状況を考えよう。
酸の浸食の影響を研究するために、我々は金属試料の立方体を作り、それを酸で満たされた容器に入れ、オーブンの中で加熱する.一定の時間の後、この立方体は取り出され検討される、不幸なことに、この容器も酸に浸食されるため定期的に交換が必要となる。我々としてはこの容器交換のコストを削減したいと思う 」[LB]

この状況を図に示す。

 

図2.6 酸浸食の原因-結果ダイヤグラム ([LB]p.G6, p.H6の一部に相当) [TS2006を簡略化]

 

 

3. 本論1: 根源的網羅思考 [FIT2012,13改] [TS2012改]

 

3.1 根源的網羅思考の必要性と本質の粒度特定

まず粒度がある。粒度が先なので粒度設定を間違うと論理は間違う。

世の議論は、粒度設定も違い、論理の中の粒度変更も勝手に行われ、形式上無効なものが殆どである。

無意識の粒度により「何かおかしい」と思う。これはその人の全ての人生経験を総括した価値のとらえ方と感性の問題である。

矛盾により変更、解決を行うためには、どの期間の誰のために何を変更するか、つまり、価値と事実、オブジェクトの粒度確定が重要だ。

この粒度特定には、網羅による個別の粒度特定と時間的網羅による本質の粒度特定がある。

時間的網羅による本質の粒度特定は比較的に簡単である。時間的範囲を極限まで広げた網羅がある。極限まで広げたこの時間粒度の中で変わらないものが本質である。この粒度では、あるものは、あるものの本質の生成と運動の過程の総体である (運動の中で消滅する可能性もある)。[FIT2012] [TS2012]

この本質は変化する可能性がある。その場合、勇気を出して変更しなければならない。

本質の記述例: 技術とは、技術手段とそれを生成する過程、それを利用,運用する過程の総体である。[TJ200306] [TS2008-09]

技術の生成とは、最初に技術手段を作る過程である。

技術の開始と制度の開始を比較すると、制度の開始が高度であることが分かる。技術の開始は人と対象の間に媒介物を入れれば済む。

制度の領域は、人間の世界への働きかけを媒介、仲介するものとして共同観念を持つ。

制度とは、共同観念の共有とそれを生成する過程、それを利用,運用する過程の総体である。共有は関係の一種である。[TJ200306][TS2008-09]

 

3.2  個別の粒度特定の困難さ

時間的網羅による本質の粒度特定はできた。

次に、価値とオブジェクトの個別の粒度確定が重要だがこれは簡単ではない。

理由の一つは、粒度概念自体の分かりにくさと粒度意識のなさである。

粒度のうち、空間的時間的範囲は比較的分かりやすい。これは例えば、価値についての粒度は誰のいつまでの時間範囲のものかということである。一方属性は分かりにくい。

例: 青に藍や紫を含めるかどうかは、オブジェクトの色という属性の粒度の把握による。

粒度意識のなさが最大の問題かもしれない。粒度の分かりにくさが、粒度の意識そのものがない原因だろうか?

以上に対しては粒度の重要さを理解し意識するしかない。

理由の二つ目は粒度自体が極めて複雑であることである。

粒度を規定する矛盾には、
     ・ 粒度とオブジェクトの矛盾
    ・ 粒度内部の空間,時間、属性の矛盾

がある。

ある価値を実現するための事実の把握とは、ある価値を実現するための事実の矛盾を求めることである。解の矛盾を解くとは、事実の矛盾から求まった解の矛盾を解くことである。いずれも粒度特定が必要である。そしてこの粒度特定を規定する矛盾はこの二つである。

理由の三つ目は、今の事実自体の複雑さ、特に、ある現象に関係しているのがどの現象なのか、自分が価値としているものが事実のどういう粒度と関係しているかがよく分からない。これは4章で触れる事実の矛盾、解の矛盾に関する。

理由二、三は、特に今の粒度の矛盾の困難さであった。

 

次の理由四、五は時間のかかる問題に関する。

理由の四つ目は、世界の事実は日々変化し人の認識も変化しており可能な価値も時間をかけて変化していることである。

理由の五つ目は、粒度は人の生物的身体的制約、人に蓄積された固定観念に規定される。このため、人に染みついた固定観念を相対化し否定し続け、ひらめきを得ることは難しい[DIA]。

理由四、五のために必要なのが、時に価値と真理、基本概念の粒度、機能、構造、網羅の見直しを、謙虚に批判的に根源的に随時行い続ける根源的網羅思考 [FIT2010, 13] [TS2010, 11] [THPJ 2012] である。

 

理由の六つ目は、以上と相互作用する間接的な理由であるが、どういう粒度で切り取ったのかを明示的に表現しないでも世に通用するように見えてしまう。この根拠は不明である。粒度に相互規定され論理もあいまいになる。

理由六に対し、議論や論文など相手を納得させる必要のある文では、網羅の中からどういう理由で粒度を特定したかを示す必要がある。極論であるが、論理的に網羅された中からオブジェクトを特定していることが分からない文章は、無効である。

また、一連の思考、議論の論理の中で粒度は変えてはいけない。

 

3.3  粒度特定のタイミング

粒度が矛盾を決め、矛盾の解にも粒度が要る。

粒度確定の困難な同時並行決定がひらめきを要する。ここでは同時並行決定が入れ子になりひらめきが高度になる。

今の「正しい」粒度は、論理的に網羅されたものの中から選ばれないと見逃される恐れがある。オブジェクトの粒度は空間時間、属性である。

、これがどうしても必要なのは、つまり網羅と粒度を意識しないといけないのは、次の場合である。

第一に、事実の矛盾の「問題」をとらえる時である。
「問題」は、理想の価値と事実の差であるから価値の(できれば網羅的把握の中の位置が明確になった)粒度把握の結果と、それに対応する事実の網羅的粒度把握が必ず必要である。

第二に、解の矛盾の解を求める時である。

時に行う価値、真理、基本概念の粒度見直しのタイミングがよく分からない。随時行う必要がある。一年に一度とかタイミングを決めておいたほうが粒度の必要性を忘れないかもしれない。

これは、本来理想的には、全員で共有されるべき認識である。「正しい」認識は必ず個人から始まる。どのようにしたらこの共有が進んで行くか、共有ができるかは極めて大きな課題である。この解決の展望は全くない。

 

3.4 個別の粒度特定

個々の粒度を確定しなければならない。まず、必要な粒度は何によって決まるかを規定する要因の網羅を試みる。要因に矛盾を含む。この中から以下の全ての矛盾を解いて解を見付けなければならない。

粒度には空間,時間の範囲、属性があり、それ自体に実際上無限の粒度がある。空間、時間の範囲が確定している場合は属性の確定だけが問題となる。「正しい」粒度は、論理的に網羅されたものの中から選ばれないと見逃される恐れがある。論理的根源的網羅が漏れのない網羅を可能にする。論理的網羅のされたものの組み合わせも少ない数の狭い探索空間への分割ですむ。これでひらめきが容易になる。うまくいけば自動化,機械化も可能になる。

 

3.4.1 事実の矛盾

事実の認識を述べる。

第一の要件として、選ぶ粒度は網羅された中の一つでなければならない。そうでないと見逃される恐れがある。その根本は、粒度とオブジェクトの矛盾の内の粒度と網羅の矛盾である。

第二の要件として、何かおかしいと考える事実の全てを把握しなければならない。

問題の一次近似を行い、機能(属性)を目標と考え、価値は、機能(属性)のみに着目すれば取り敢えず充分とする。(次の二次近似では、例えば構造の単純化などを考える)

この場合、事実の認識に必要なのは次の両立矛盾である。
    ・ 粒度とオブジェクトの矛盾粒度と機能(属性)の矛盾と、粒度と網羅の矛盾
   ・ 粒度内部の空間,時間、属性の矛盾

の主と副の矛盾構造がある。

この時、事実の矛盾とは、何かおかしいと感じた時の、機能に関する全ての矛盾の集合で、何 (オブジェクトの空間,時間) が、どう (オブジェクトの属性が) おかしいかという把握である。これはオブジェクト世界として表現される。複数個の関係命題として記述すると便利である。

 

以上から、事実の矛盾の粒度を求める方法を決める。

オブジェクトの空間,時間、属性は、本来同時に決まるものだが、両方同時に網羅するのは、人にも機械にもおそらく困難であるので粒度内部の空間,時間、属性の二つに分解する。

二つの案を考える。

一案: まず、粒度と網羅の矛盾を粒度とオブジェクトの空間、時間の網羅の矛盾に簡易化する。本来は、これも同時決定が必要なので、網羅がやや単純化されてはいるが本当は困難な課題である。実際にはここでは人の経験に依拠し、空間時間を意識したオブジェクトの名前を一つ一つ数え上げる。

今、部屋に、テレビ、PC、ボールペンなどがある。これが関係命題の主部となる。

抽象的領域の場合、種類や型、それに関するものを網羅的に数え上げればよい。

残るのが、数え上げられた一つ一つのオブジェクト毎の、粒度とオブジェクトの属性(属性−機能−目的−価値)の網羅の矛盾である。これが、より困難である。

取り敢えずの問題は、属性を何が決めるのかということである。粒度と属性(属性−機能−目的−価値)の網羅の矛盾の次の例は、属性の「縦の」系列を探索することの必要性に気付かせる。

例: 色を何色で網羅するか決める場合、波長という属性を粒度の基準にするか、人に与える感覚の属性(どういう名前でこれを呼んでいいのか分からない。単に暖かさ冷たさという感覚を与えるだけではない)の基準にするかで、色の粒度と網羅は変わる。ここで、波長は、生物の感覚に色という知覚の属性をもたらす物理的根拠である色の内部の属性の一つ、人に与える感情は、逆に色という属性が外部に作用して生じる機能である。 [参考HDK]

属性を選ぶ時、この粒度を広げた、属性−機能−目的−価値、さらに価値に対する態度という系列から任意に選んで良い価値はその人その時に固有のものであるから。但し全体の価値の体系の中の誰のいつのどのようなものかを意識する。これが取り敢えず、網羅の代わりである。

種の存続、個人の生、生の属性である自由は、この順に(自由と愛は対等で)重要であることが前提として共有されるべきである。事実の矛盾の属性は、実現価値の現実との差異で定まる。解の矛盾の属性の元の価値は、事実の矛盾が定まると同時に定まっている。

今の行為の目的は、無意識の価値を具体化したものになっており、価値は無意識の行為の規定要因である。主観的なものが、次第に客観的な属性にまで長い歴史の末に展開された階層は、価値→目的→機能→属性 という大きな意味の階層の一部であり、次第に意味が薄れていく。

上の系列の矢印は逆向きでもある。属性→機能→目的→価値 [THPJ2012]

属性が関係命題の述部となる。

属性 (属性−機能−目的−価値) と空間時間を何度か行きつ戻りつしながら、最終的に粒度とオブジェクトの矛盾と粒度内部の空間、時間、属性の矛盾を同時に解く。但し、粒度とオブジェクトの空間、時間の網羅の矛盾の解は、人に任せて得たことになった。

 

二案: 一案と異なり、まず価値から属性を定め、次に空間時間を求める。

通常、一案だが、二案でもよい。どちらも空間時間、属性をお互いに相互作用しつつ絞り込んで決め最終的にある粒度に収束する。

 

これで、結果として、理想的理論的には無数の、実際には、ほどほどの数の関係命題の主部と述部ができる。これが矛盾の認識の粒度である。

一般的な認識のみの場合、これで終わりである。[FIT 2014改]

認識が法則の認識である特殊な場合、特に A) 粒度と網羅の矛盾の中の B) 型の認識が必要である。[FIT2014改]

 

3.4.2 事実の矛盾から解の矛盾に変換

変更の場合、一般的な事実の矛盾の場合は、複数の矛盾の中から重要度優先度により事実の矛盾の中から選んだ矛盾を解の矛盾に変換した後、解の矛盾を解く。重要度優先度については [THPJ201503] 参照。

解の矛盾とは、事実の矛盾(の中から選んだ矛盾)を変換して事実変更の差異解消を行うための矛盾で、定式化内容を(複数の) 望ましい機能の形で表現するものである。差異解消に、不具合の解決、現状をもっと良くする理想化、新機能生成の三種がある。これらの差は相対的なものでいずれでも定式化できる [TS2007]

次にこの解の矛盾がいくつかの場合に分かれる。次の場合がある。[THPJ201502]

1) 単純な量的変更という機能を作る。単純な量的変更を行う構造がすでにある場合、その構造を持つオブジェクトを運動させればよい。

空調機があればそれを運転する。

これで終わることもある。

2) 今の機能を新しい機能に変えるまたはなくす。なくすことが簡単にでき、これで終わることもある。

3) 質的に新しい機能を作る。[THPJ201502]

 

3.4.3 解の矛盾の解

次にこの解の矛盾の解を得て構造を実現する。

一つの機能 (又は直列の二機能) に対し二値両立の「物理的矛盾」を解く (例:軽く同時に重いものを作る) か機能を実現する構造を作る機能と構造の二属性両立の矛盾を解く。「物理的矛盾」 [LBの説明が優れる] の場合、特有の方法として分離原理 [LB] がある。これで終わることもある。

この結果、副作用が生じ、その解消と本来の目的の両立を図る必要があることがある。

この両立矛盾は、一つのオブジェクトの二機能の両立の場合と二つのオブジェクトの二機能の両立の場合がある。

一つのオブジェクトの二機能の両立の実現は、できるとすれば、オブジェクトの内部構造で実現するしかない。二つのオブジェクトの二機能の両立の実現は、できるとすれば、二オブジェクトの構造で実現するしかない。いずれにせよ、二機能の両立の実現は、最終的に機能と構造の矛盾を解くことになる。

結局、
     1. 二値の「物理的矛盾」か、
     2. 二属性の機能と構造の矛盾という両立矛盾を解く
ことに帰せられる。

これは今のところ仮説である。

 

1. 「物理的矛盾」の場合、特有の方法として分離原理 [LB] がある。これが唯一の方法であるという気もするが、40の原理のような経験的にあらゆる可能性を網羅した中から選択する方法もあるとされる。これは「技術的矛盾」も「物理的矛盾」も40の原理を利用するやりかたである。しかしその利用は個人にゆだねられ体系的方法ではない。

機能と構造の両立の体系的方法を作り分離原理 [LB] の制約を加味していくことが考えられる。例えば、分離原理の中の時間的分離は、体系的方法の中で、一つの行為を時間的に直列の二つの行為に分割する方法であるととらえる。この体系的方法はまだない。

2. 従来、TRIZの「技術的矛盾」は、「望ましい機能が実現できるが,その機能の副作用によって不具合が生じる」ことを意味していて本稿の「事実の矛盾」であることと、二つの機能が両立しない不具合に限定された例で定義を述べるだけであった [THPJ2012]高原は、二属性の両立矛盾を「技術的矛盾」、二値の両立矛盾を「物理的矛盾」と拡張している [TS2006] [TS2010] [THPJ2012]

また、矛盾マトリックスなどによるヒューリスティックスがある [DM] だけで、機能と構造の矛盾としての定式化はされていない。

そこで、機能と構造の矛盾の分割を行う体系的方向の再定式化が必要である。

解の矛盾の解、機能と構造の矛盾の解に必要なのは次の両立矛盾である。

    ・ 粒度とオブジェクトの矛盾粒度と構造の矛盾粒度と網羅の矛盾
   ・ オブジェクト間の矛盾(機能と構造の矛盾)
   ・ 粒度内部の空間,時間、属性の矛盾がある。

選ぶ粒度は網羅された中になければならない。その根本は、粒度とオブジェクトの矛盾の内の粒度と網羅の矛盾である。粒度と網羅の矛盾と、粒度内の矛盾として解の矛盾の粒度(時間空間と属性,機能)も確定する入れ子がある。ここにひらめきが特に必要とされ同時にひらめきが困難である事情がある。

粒度と網羅の矛盾で解において論理的網羅ができないと、1) 「良い」解が見逃され、2) 全ての解が求められない。しかし、 3) どれか一つ解があれば良い場合は、解の論理的網羅は必要ない。

ここでは、構造の網羅が必要である。

解を求めるために、粒度と構造の網羅の矛盾を、粒度と構造の空間,時間の網羅の矛盾と、粒度と構造の属性(狭義の属性、内部構造)の網羅の矛盾に分解し、それぞれを解いていくやり方が考えられる。しかし現在は、この分離ができていない[THPJ201502]

 

特殊な場合である法則の場合、粒度と網羅の矛盾の一種である型の矛盾の生成が必要となり、これができると新たな法則が発見される。

 

3.4.4  まとめ

以上から、事実の矛盾に必要な矛盾は、(取り敢えず、粒度と機能の矛盾または粒度と属性の矛盾の) オブジェクトの矛盾と粒度内部の空間,時間、属性の矛盾である。

解の矛盾を解くのに必要な矛盾は、粒度と網羅の矛盾、粒度と構造の矛盾という粒度とオブジェクトの矛盾、機能と構造の矛盾というオブジェクト間の矛盾である。

いずれにも粒度内部の空間,時間、属性の矛盾が補助的役割を果たす。

いずれの場合も、網羅されるものを空間,時間の網羅と、構造の網羅に分割するのであった。

法則については認識、変更に共通に型の矛盾という粒度とオブジェクトの矛盾の認識、変更なのであった。

こういう単純な構造が分かる。

認識も変更も、大きな課題解決から、個人の日常生活の小さな課題解決に至るあらゆる目的達成も、同一の原理によっており同じ矛盾の要素に分解できる。

表3.1 粒度と網羅の矛盾、粒度内の空間時間と属性の矛盾

 

 

矛盾

粒度とオブジェクトの矛盾

オブジェクト内部の矛盾

粒度内部の矛盾

 

中川徹の
6箱方式

粒度と網羅

粒度と機能

粒度と構造

機能と構造

空間時間と属性

事実の矛盾


網羅的認識


網羅的認識


理解要


機能特定

問題の定義と分析、
システムの理解

解の矛盾に変換


粒度特定


機能特定

アイデア生成

解の矛盾の解


粒度特定


構造特定


構造特定


構造特定

解決策構築

 

3.5  思考: 根源的網羅思考と矛盾

矛盾を決めるのは、粒度であり、矛盾を解決するのも粒度である。両者は入れ子になっている。粒度を決めるのも、粒度と網羅の矛盾の解であるという入れ子もある。

世界の近似単位としての矛盾特定,解と、粒度の管理のための根源的網羅思考が、入れ子になっているという構造がある。

今まで個々に把握されてきた人間の認識、変更行為に共通に構造が、これらを統一的に把握させる。

「はじめに」で、矛盾と粒度管理の全体を新しい弁証法論理とした。粒度管理をするのが根源的網羅思考である。

個別の粒度設定は、認識だけの場合にも事実の矛盾の把握が必要である。実際には行われていないが行うべきである。全体の大きな歴史と現状の認識は、事実の矛盾とその解の歴史、今の事実の矛盾の認識である。

大きな事実の変更、法則の生成は、解の矛盾を解いて行う。以上は、弁証法論理によって行う。

世界には、事実の変更がなく不変を前提とする推論がある。命題論理などの形式論理は、不変を前提にした推論や変更があっても近似的に副作用がないと扱う単純な論理である。

解の矛盾を解いて行った大きな事実の変更を、命題論理によって機械的に具体化し結論を出していくことが可能である。成果を挙げている形式論理の結果は自由に利用すべきである。

弁証法論理の特殊なケースとして形式論理を含むという見方も可能である。ここでは思考を、主たる弁証法論理と副次的な形式論理[THPJ201503]の複合体と扱う。

 

3.6  根源的網羅思考の対象:事実と価値,真理

根源的網羅思考に次の二つの対象領域がある。
     1. 事実、
     2. 特別な事実である価値と真理
である。

1. 事実について、認識と事実変更の二つの面がある。これは今の問題に関する。

根源的網羅思考は、粒度と網羅が、相互作用の中で決まり、あるものの粒度が確定すれば、第一に、その粒度での全体の中の認識ができる。[THPJ2012]

粒度確定後、第二に、弁証法による変更を起こし、変更されたオブジェクトは、他のオブジェクトと相互作用が生まれ、さらに、粒度の網羅、確定があり、さらに新たな変更が起こる。

粒度の違う根源的網羅の結果と弁証法は要素と関係の関係にあり相互に相手の入れ子になり続ける。[FIT2013,14]

例: 設計は、機能、負の機能、構造の三者の根源的網羅思考のサイクルの例である[ISPJ1994][LB,A-E章]。

2. 価値と真理について、人の歴史は、価値の相対化と深化、真理の相対化と深化であった。

価値と真理は、ともに、無意識に人の扱う目的の属性、価値実現手段を決める。しかも、把握されている人の認識と行為を規定する個別の価値、真理は、その時代の最新最先端の価値、真理を超えない。

現在、人類という種の生存−個の生−平和、自由と愛の三つが、とりあえずの価値の階層である。

宇宙の他生命、地球の他生命の価値は、まだよく分かっていない。

したがって、価値の相対化と深化、真理の相対化と深化を行い続け、普及を続けることが必要となる。[FIT2013]

これは時間のかかる問題に関する。

これで、パースの連続性 [JSP2]、サルトルの全体性 [JPS] を得ることができる。パースの連続性は日常の判断も大きな問題も同じ論理によること、サルトルの全体性は一時が万時に一事が万事につながっているという認識である。

パースは、マルクスより20年ほど若い人である。ダーウインはマルクスの10歳ほど前の人である。ダーウイン、マルクス、パースがほぼ同時代の人であり、まだ彼らの出した課題が解決できていない。ダーウインの提起した種の課題は少し前進している。マルクスの書いた内容は解釈されるだけで、彼の優れた問題意識は殆ど省みられることがない。パースの論理についての問題提起も解決されていない。産業革命がもたらした課題はわずか150年では解決しないということだろうか。

この3章は結論の一つで、最初から読んでこられるとおそらく分かりにくい。本論の残りを書いてきて、遡って書いている結論だからでもある。

3章を矛盾の4章 [THPJ201502] の後にするわけにもいかない。4項は3項を前提にしているからである。

 

3.7 粒度の原則

今まで出てきた粒度の原則をまとめておく。

1.  粒度の粒度に注意をする必要がある。

例: 粒度特定には、網羅による個別の粒度特定と時間的網羅による本質の粒度特定がある。

例: 2.3.6項の粒度と網羅の矛盾は簡易表現である。この網羅は、スーパーオブジェクトの粒度、オブジェクトの粒度、オブジェクトの網羅、スーパーオブジェクトの構造の両立矛盾があるという粒度の中のオブジェクトの網羅であり、オブジェクトの内部構造を含まない。つまり、オブジェクトの粒度はその空間、時間、属性である。この内の属性は、オブジェクトの外部に対する機能と内部構造である。

オブジェクトの網羅は、この内の、その空間、時間、オブジェクトの外部に対する機能だけの網羅であり、その内部構造の網羅を含まない。

2.  議論や論文など相手を納得させる必要のある文では、網羅の中からどういう理由で粒度を特定したかを示す必要がある。

3.  一連の思考、議論の論理の中で粒度は変えてはいけない。

 

結論

生き方は、
    1. 普通、無意識の、価値に規定される事実に対する態度、
    2. 普通、無意識の、事実を認識し変更する単位である粒度特定、
    3. やや意識的なオブジェクトについての論理,方法
の三つの全体である。

まず、1. 価値に依存する態度、2. 粒度決定を、意識的に行うことが必要である。これが 3. 論理,方法を作る。

粒度、オブジェクト、論理的網羅という最小の基本概念で、矛盾を単位とする弁証法と粒度管理をする根源的網羅思考の全体を作り、新しい弁証法論理とした。生き方と生きることを、最小の基本概念で、形式的に構成する方向が定まった。

これらにより、[FIT2013] で述べた方法が豊かになった。

1.  [FIT2013] の課題「根源的網羅思考について」「本質的な粒度の曖昧さ処理法、粒度の正確な確定の論理」が本稿で明確になった。

2.  矛盾は、粒度とオブジェクトの矛盾、粒度内部の矛盾、機能と構造の矛盾等のオブジェクト間の矛盾の三つであることを明らかにし、弁証法論理の構造を修正した。

3.  認識と事実変更に共通の方法として、事実の矛盾と解の矛盾があること、認識は事実の矛盾を解くこと、変更は解の矛盾を解き実現することであることを述べた。「問題」を二つに分割したことで一つの「問題」を小さくした。さらに、これら全てが上の矛盾の要素に分解できるらしいことが分かった。認識と変更の脳内の観念の運動は同じ原理によっており、その原理内容の概要の方向が明らかになった。

こうして、従来、無意識だった粒度と論理的網羅を意識的に追求し、矛盾を分割してその解を求めることを提案した。

 

 [FIT2013] で述べた課題は残っている。

「両立矛盾の解候補を論理的に生成する変更の型の網羅まで、あと一歩のところまで来ている。完成と機械化,データベース化が課題である」と書いた内容はそのままである。

矛盾の構造も未完成である。矛盾の構造の詳細な検討と、それが方法に与える作用の検討が残っている。一体型矛盾の解が分からない。

論理的網羅的方法と順次変形による推論の方法の共通点と相違点も明らかにするべきだが十分にできていない。

仮説の検証、そのために必要な価値の扱いが課題である。空間的重要度と時間的緊急度を加味した価値判断が課題である。

以上は、人の意識的行為に共通の検討で、全体として、まだ緒に就いたばかりの粗雑な段階である。全体論理の正確化と個々の分野への特殊な適用が必要かつ可能であろう。

 

設計の方法と生きて行く態度を統一する思想を探して半世紀経った。仮説のままで検証の不十分な暴論を含むが、やっと何か見つけられそうな方向が分かりかけた。全く誠実に生きて来なかった自分としては今ごろ分かっては遅いのである。せめて本稿を含む三つで、分かったことを伝えたかった。

 

謝辞

大阪学院大学名誉教授中川徹博士の言葉が支えであった。御礼を申し上げる。

2015年1月20日、中川先生の鳥取大学医学部大学院での講義に同行させていただき、鳥取大学医学部付属病院次世代高度医療推進センター長難波栄二教授、植木賢教授、上原一剛准教授からお話をお聞きする機会があり生きていく元気をいただいた。御礼を申し上げる。

2003年以降、何度かいただいたEllen Domb博士のコメントは大きな励ましになった。御礼を申し上げる。

2013年8月、S. Saleem Arshad博士と数次に渡りメールのやり取りをした。その中で、博士から適切なご批判とアドバイス、宿題をいただき数か月で検討する約束をしていながら、二年近く経ってしまった。本稿はその検討の一部を含む。全てが検討できていない。英訳もできていない。博士に御礼とお詫びを申し上げる。

 

参考文献

(“中川の6箱方式へのコメント" “粒度、矛盾、網羅による弁証法論理の応用展開ノート”と共通)

文中の[参考文献]中のFITは科学技術フォーラム、TSはTRIZシンポジウム、4桁の数字は開催年で高原の発表のいくつかを示す。開催年の後の数は月か追番である。[THPJ] の 高原利生論文集1, 2参照。

[THPJ] 中川徹, TRIZホームページ, http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/

 

[NKGW2001] 中川徹, TRIZのエッセンス, 2001. http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/Essence50W010518.html

[NKGW2005] 中川徹, “創造的問題解決の新しいパラダイム−類比思考に頼らないUSITの6箱方式−” 日本創造学会第27回研究大会 2005. http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2005Papers/NakaJCS-USIT6Box0510/NakaJCS-USIT6Box051129.html. [THPJ]再録2005.11.
内容は、例えば下記などの [THPJ]。 http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2015Papers/Naka-CrePS-Tottori-2015/Naka-CrePS-Tottori-150406.html

[TRIZJ] The TRIZ Journal,  トップメニューに40の原理の説明や各分野への応用例がある。http://www.triz-journal.com/

[HNSG] 般若心経,  http://matome.naver.jp/odai/2135997559834098601

[RDI] デカルト,「精神指導の規則」野田訳, 岩波文庫, 規則第3-8. 11. 1950 (同じ訳者による新訳あり), 原著1701. 網羅は、本書の”enumeratio”で野田訳では「枚挙」である。
なお、次のAMAZON書評内の高原利生の書評参照。 http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4003361342/ref=cm_cr_dp_hist_five?ie=UTF8&filterBy=addFiveStar&showViewpoints=0

[KNT] I.カント,「純粋理性批判」, I, 第二部門, 第一部, 第二篇, 第二章, 第三節, 3, c,篠田訳, 岩波文庫上, pp.286-294, 1961. 原著2版1787

[EPM] K. マルクス, 「経済学・哲学手稿」藤野訳, 国民文庫, pp.98- 157, 1963, 原稿1844.

[F] F. エンゲルス, 「フォイエルバッハ論」松村一人訳、岩波文庫、1960. 原著1888.

[CSP1] C.S.パース, 「論文集」上山、山下訳, 中公バックス, 世界の名著59, 中央公論社, 1970, 原著1931-1935. 原論文1877-1905.

[CSP2] C.S.パース, 「連続性の哲学」伊藤編訳, 岩波文庫, 2001, 原著1992, 原講演1889.

[VL] ヴィノグラードフ、クジミン「論理学入門」, 原著8版, 1954, 西牟田久雄,野村良雄訳, 青木文庫, 1955

[GSA] G.S.アルトシュラー他 “発明的創造の心理学について” 雑誌『心理学の諸問題』第6 号, 1956.黒澤訳, http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jlectures/Classics/Altshuller1956/jAltshuller1956-060304.htm

[JPS] J.P.サルトル, 「方法の問題」, 原著1960. 平井啓之訳, 人文書院.

[DV] ダヴィドフ,「疎外と自由」(ロシア語原著名「労働と自由」1962、ドイツ語訳1964、藤野訳, 1967. 青木書店.

[UEYM1] 上山春平, 「弁証法の系譜」第二版, 未来社, 1968.

[UEYM2] 上山春平, “プラグマティズムの哲学”, 中公バックス 世界の名著59 パース、ジェイムス、デューイ, p.7, 中央公論社, 1980.

[HDK] 日高敏隆, “虹は何色か”,「現代思想」青土社, 1978.5.

[DIA] 中山正和, 「演繹・帰納・仮説設定」産能大, 1979.

[RH] R. Horowitz, “ASIT’s Five Thinking Tools with Examples”, The TRIZ Journal, Sept.2001.

[DM] D. マン, 「体系的技術革新」, p.181-183. p.353, 中川監訳, (創造開発イニシアチブ, 2004.) 再刊 クレプス研究所, 2014.

[LB] L. Ball,「階層化TRIZアルゴリズム」, 高原, 中川訳,(ドラフト版, 創造開発イニシアチブ2007.) クレプス研究所, 2014.

[RUSS] D. Russo, S. Duci, “From Altshuller’s 76 Standard Solutions to a new Set of 111 Standards”, ETRIA, TRIZ Future 2013. 日本語訳は下記。  http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2014Papers/Russo-TFC2013-Standards/Russo-TFC2013-Standards-140427.html.

[WIKI演繹] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%94%E7%B9%B9

[WIKI帰納] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%B0%E7%B4%8D

[YSMT1] 吉本隆明,「論註と喩」言叢社, 1978.

[YSMT2] 吉本隆明,「『反核』異論」深夜叢書社, 1982.

[YSMT3] 吉本隆明,「反原発異論」論創社, 2015.

[HMG] 発明楽, http://www.med.tottori-u.ac.jp/hatsumeigaku/

[SB] Southbeach Modeller, http://www.southbeachinc.com/, [THPJ] に紹介あり。

[NHK20150201] NHK-TV, 高野山真言宗番組, 2015.02.01.

[ASAHI20150519] 見田宗介, オピニオン「歴史の巨大な曲がり角」, 朝日新聞, 2015.05.19.
次のURLで読めるが登録が必要である。http://digital.asahi.com/articles/DA3S11760782.html?_requesturl=articles%2FDA3S11760782.html

[NHK20150627] NHK-TV, 「地球ドラマチック「隕石(いんせき)の衝突を防げ!」,オーストラリアの放送局の2013年製作の番組, 2015.06.27.

[NHK201507] NHK-TV, 「地球ドラマチック「人類 遥かなる旅路U、V」,BBC製作の番組, 2015.07.29、30.

 

[ITIN] 高原他, “理想技術論と情報ネットワークシステム”, 応用科学学会誌, Vol.4, No.1, 1990.

[OTW1992] 高原, “決定・ハムレット・コンピュ−タ”, 音羽の森28号, 講談社, 1992.

[IPSJ1994] 高原他, “情報システム方式設計業務における総合決定”, 情報処理学会48回全国大会, 1994.

 

[TJ200306] Takahara, “Application Area of Thinking Tool or Problem Solving Tool”, The TRIZ Journal, Jun.2003.

[FIT2004] 高原, “オブジェクト再考”, FIT2004,2004. 高原利生論文集、『差異解消の理論』 (2003-2007)所収.

[FIT200502] 高原, “オブジェクト再考3−視点と粒度−”, FIT2005. 2005. 同上

[FIT20061表示法] 高原, “オブジェクト世界の構造化表示方法−オブジェクト再考4−”, FIT200、2006. 同上

[TS2006] 高原, “機能とプロセスオブジェクト概念を基礎にした差異解消方法―またはBALL氏の“階層化TRIZアルゴリズム”についてのコメント―”, 第二回TRIZシンポジウム, 2006. 同上

[TS2008] 高原, “オブジェクト変化の型から見えるTRIZの全体像−機能とプロセスオブジェクト概念を基礎にした差異解消方法 その3−”, 第四回TRIZシンポジウム, 2008.

[FIT2009] 高原, “弁証法論理の粒度,密度依存性”,  FIT2009, 2009.

[FIT2011] 高原, “弁証法論理再構築”, FIT2011, 2011.

[IEICE2012] 高原, “物々交換誕生の論理− 矛盾モデル拡張による弁証法論理再構築のための−”,  2012年電子情報通信学会総合大会, 2012.

(以上の2003−2012年の高原論文は、[THPJ] の 高原利生論文集1, 2)

 

[THPJ2012] (2012は投稿年) 高原, “技術と制度における運動と矛盾についてのノート”, 2013. http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2013Papers/Takahara-TRIZHP-1307/Takahara-TRIZHP-Paper-130727.html,

[FIT2013] 高原, “世界構造の中の方法と粒度についてのノート”, FIT2013, 2013. http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/2015Papers/Takahara-2015-FIT2013/Takahara-FIT2013-150403.html

[FIT2014] 高原, “適正な粒度の矛盾による仮説設定についてのノート”, FIT2014, 2014.

[CGK2014] 高原, “不確定な矛盾の生成”, 電気・情報関連学会中国支部連合大会, 2014.

[FIT2015] 高原, “弁証法論理の構造と中川の「6箱方式」”, FIT2015, 2015.(投稿中)

[ISZK] 石崎, 石崎徹の小説,  http://maganetoru.blog.fc2.com/

[ISZK248-178] http://maganetoru.blog.fc2.com/blog-entry-248.html#comment178 を示す。2013.12. 他も同。

[THPJ201501] 高原, “粒度、矛盾、網羅による弁証法論理ノート ”, 2015. 本稿

[THPJ201502] 高原, “中川徹の6箱方式へのコメント”, 2015. [THPJ]に投稿中。

[THPJ201503] 高原, “弁証法論理の応用展開ノート”, 2015. [THPJ]に投稿中。

[TKHR] http://www.geocities.jp/takahara_t_ieice/

 
本ページの先頭 論文の先頭 1. はじめに 2. 粒度、オブジェクト 矛盾 3. 根源的網羅思考 結論 参考文献   英文ページ
原論文PDF 三部作第一部(本ページ) 第二部 第三部   高原論文集(3)(2013-2015) 高原論文集(2)(2008-2012) 高原論文集(1)(2003-2007)    

 

総合目次  (A) Editorial (B) 参考文献・関連文献 リンク集 ニュース・活動 ソ フトツール (C) 論文・技術報告・解説 教材・講義ノート     (D) フォーラム Generla Index 
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最終更新日 : 2015.11.13      連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp