TRIZ 論文 | |
今、改めて『使えないTRIZはない』 |
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笠井 肇 (株式会社アイデア) |
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第9回 日本TRIZシンポジウム、 2013年 9月5-6日、統計数理研究所(東京都立川市) |
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掲載:2013.12. 9 |
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編集ノート (中川 徹、2013年12月 7日)
本論文は、9月の日本TRIZシンポジウムで発表されたものです。シンポジウムの参加報告(中川) に書きましたように、この発表は参加者による「あなたにとって最も良かった発表」の賞を受賞し、日本TRIZ協会のホームページに和文・英文で公開されています。この発表の重要性を考え、著者の希望・了解とTRIZ協会の了解を得て、この『TRIZホームページ』にも掲載いたします。
『使えないTRIZはない』というのは、2003年にTRIZ専門のコンサルティング会社として独立した株式会社アイデア(前古護社長)の標語で、(本発表のスライド05〜07に引用されていますように) 2003年9月の三菱総研主催のIMユーザコンファレンスで、林裕人氏(現IWEL社)が発表しています(本ホームページに全文掲載)。それ以後同社は活発に活動し、本件の著者笠井肇氏だけでも119件のTRIZ適用事例を持った。本件はその適用法を整理しなおしたものだといいます。この数年、日本TRIZシンポジウムで、いくつもの企業から、TRIZを中心としてQFDやTM(タグチメソッド)などを一貫して適用した成功事例が発表されており、その謝辞にアイデア社と笠井氏の名前が記されていることに気がつかれた読者も多いことでしょう。
本論文は、企業における様々な要求、すなわち、問題解決、性能向上、新方式の発掘、コストダウン、小型・軽量化、商品企画などに対して、TRIZを中核とした技法が適用できることを述べている。その技法は、TRIZの中の多様なツールを選択して使い、かつ、必要に応じて、前段にQFD法、後段にTMを用いている。特に、上述の6種の要求のタイプに応じて適切に諸ツールを選択した、6種の技法の一部始終を示している。著者はそのような技法の一貫プロセスのことを”ソリューション”と呼んでいる。
本論文は、私が提唱している「創造的な問題解決・課題達成のための一般的な方法論(CrePS)」に通じることが多い。
(a) 上記の6種の要求は、CrePSで想定している問題・課題の(製造業を中心とした技術的要求という) 一部である。
(b) その解決のために「TRIZを中核として」使うといっているのは、CrePSの主要部(「思考の世界」でするべきこと)の大部分がすでにTRIZ(USITなども含む)で作られており、有効であることを意味する。
(c) 目的に応じて、TRIZの前段あるいは後段に関連手法を使おうとしているのは、CrePSの初期部および後続部での「現実の世界」での処理およびそのための技法の必要を述べている。
(d) 目的に応じて取捨選択して一貫した技法の組(”ソリューション”)を示そうとしているのは、一般的な(汎用の)枠組みに位置付けた各種のツール(個別の手法)から適切なもの(その目的に合致した簡潔なもの)を選択して、ガイドラインとして示そうとしている。なお、私がCrePSの考え方に基づく簡潔な一貫プロセスとして提唱しているUSITは、上記の6種ほどには分化させていない。USITには、現在のシステムの分析とともに理想のシステムの考察を必ず含めているので、上記の(狭い)意味での「問題解決」だけではなく、他の5種の要求に対しても適用できるものである。(ただし、それらの要求に対応してベストであるためには、USITの標準的な手法以上のものをもちろん必要とする。)
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今、改めて『使えないTRIZはない』 〜ソリューションの中核手法として〜
笠井 肇 (株式会社アイデア)
第9回 日本TRIZシンポジウム、 2013年 9月5-6日、統計数理研究所(東京都立川市)
概要
当社は2003年の会社設立以来、一貫して『使えないTRIZはない』を合言葉に、日本の製造業が良い品質の製品を早く安く開発し、世界一の製品作りができるようTRIZで援護してきた。そして著者は当初からプロジェクトコンサルティングの実践要員として多くの企業に出向いて、実務上の問題解決や課題達成を支援してきた。
著者は、2006年に出版した書籍において、技術者が日常業務で直面するさまざまな問題を効率よく解決できるよう、問題の種類に応じたTRIZの使い方をケーススタディによって提案した。さらにこれまで企業において著者が担当コンサルタントとして支援したTRIZの適用テーマが119テーマと蓄積されてきたので、それらを著者の切り口で分類したところ大きく6つの種類に分けることができた。個々のテーマ、および検討内容、結果などについては依頼元企業との守秘義務契約の関係から言及できないが、テーマの種類別にTRIZをどう適用したらよいか、どういう場合にQFDやTMなどの他の手法と組み合わせると効果的か、その際の適用方法は、などについて提案する。
本報告が、企業においてTRIZをはじめとする各種手法を推進する立場の皆さま、TRIZの効果的な活用方法を模索している技術者、研究者の皆さまの参考になれば幸いである。
内容説明
1.背景、および目的
近年のTRIZシンポジウムにおいて、TRIZの導入で先行する企業や研究会から効果的な、あるいは簡便な適用方法に関するさまざまな提言が行われてきた。当社も会社設立以来、『使えるTRIZ』を企業のプロジェクトコンサルティングの場で提供してきた。今回、著者が直接支援させていただいた多くの企業での適用実績に基づいて概観した分析を行い、その結果をもって会社設立から10年経った節目として改めて『使えないTRIZはない』を提案させていただくこととした。
2.適用テーマの分析
当社では、依頼元企業のプロジェクトコンサルティングに対して、それぞれ1名のコンサルタントを充てて対応している。これまでに著者がTRIZ関連のコンサルティングで担当したのは119テーマとなっており、それらを著者の切り口で分類したところ大きく6つの種類に分けることができた。その構成を図に示す。
テーマの内容としては当初、「問題解決」を目的とするものが際立っていたが、次第に広がりを見せて近年では「新方式の発掘」「商品企画」を目的にTRIZを適用するテーマが増えてきている。そして"売り"に直結させるために、適用テーマ自体をQFDで検討し、選定された重点開発課題をTRIZで解決する連携プログラムを選定される企業が増えてきている。また、TRIZでまとめあげたコンセプトを具体的な設計に落とし込むために、TM(タグチメソッド)まで連携させるテーマも出始めている。一方で、件数は少ないものの「コストダウン」や「小型・軽量化」を狙ったテーマは安定的に存在する。
3.効果的な適用方法への提言
これら6種類の適用目的に対して、当初は標準的なプログラムの部分修整で対応していたが、近年になってそれぞれに適したプログラムを再構築し、柔軟に提供することにより最適化、ロスレス化を図っている。
本報告で、それらの具体的な方法と、TRIZをソリューションの中核に据えた考え方を提案し、皆さまのTRIZ適用の一助としたい。
発表スライド: 和文スライド HTML (本ページ) 和文スライドPDF
英文スライドPDF (英訳: TRIZ協会)
1. はじめに
2. 『使えないTRIZはない』とは?
3. "ソリューション”の考え方
4. TRIZ適用テーマ(課題)の分析
4.1 「問題解決」への適用
4.2 「性能向上」への適用
4.3 「新方式の発掘」への適用
4.4 「コストダウン」への適用
4.5 「小型・軽量化」への適用
4.6 「商品企画」への適用
4.7 適用フローのまとめ
5. まとめ
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最終更新日 : 2013.12. 9 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp