TRIZ フォーラム: USITトレーニング | |
USIT 2日間実践トレーニングセミナーのやり方 (やさしいTRIZの普及のために) |
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中川 徹 (大阪学院大学) |
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[掲載:2005. 7.20; 追記: 2005. 7.29] |
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編集ノート (中川 徹、2005年7月19日)
先週、企業内で「USIT 2日間実践トレーニングセミナー」を実施し、小生のUSITトレーニングセミナーはちょうど20回になった。1999年7月に第1回を始めたから、6年で の実績である。最初は3日間で行い、2003年から2日間に短縮し、それでも成果を確保してきた。当初は企業内と公募制とを半々で行ったが、途中から企業 内だけになってしまい、今年の4月になって公募制を再開することができた。いま、ひとつの節目にあり、これを機会にセミナーの状況を読者の皆さんに報告し、 今後も一層積極的に展開していきたいと考えている。
[2005 年4月8-9 日に実施した公募制のトレーニングでの写真4枚を追加掲載しました。(2005. 7.29 中川)]
本稿は、論文でも解説でもなく、状況と問題、そして今後 の方向をも含めてありのままに記述した報告である。USITを普及・推進することを目的として書いている。そのため、筆者の主張が前面に出ていると感じら れるところもあるだろうが、了解いただきたい。このような意味で「TRIZフォーラム」の欄に掲載することにした。
目次2. USITの普及の状況とトレーニングセミナーの必要性/需要
4. USIT 2日間トレーニングセミナーを組織する (準備する)
6. 公募制における権利義務の誓約: 「大岡越前守の三者一両損」の知恵
9. USIT 2日間トレーニングセミナーのプログラム (時間割概要)
12. グループ演習での記録のしかた: 模造紙 vs. ホワイトボード
13. USIT 2日間トレーニングセミナーに対する参加者の評価
15. 企業内実践における、さらにやさしいUSIT適用のやり方
本ページ先頭 | 2. 普及状況 | 3. 実問題の持ち込み | 7. 公募制 | 8. 参加者数 | ||||
10. 問題解決 | 12. 記録 | 13. 参加者の評価 | 14. 企業内実践 | 15. さらにやさしい適用法 | 16. 共同作業 | 17 . 今後 |
1. はじめに
USITトレーニングのやり方については、本ホームページでつぎのような報告をしてきた。
(1) 「USIT法研修セミナー参加報告」 (1999. 3.30) -- Sickafus博士の3日間セミナーに参加して
(2) 「USIT法企業内研修セミナー(3日間)の試行報告」 (1999. 9. 6) -- 国内での最初のセミナーの報告
(3) 「USIT法トレーニングセミナー(3日間)の試行報告 (2)」(2000. 2. 9) -- 国内での最初の公募制セミナーの報告
(4) 「やさしいUSIT法を使ってTRIZのエッセンスを教え・適用した経験」 (2002. 1. 7) (TRIZCON2002論文) -- 3日間セミナーをベースとしたUSITの適用法の詳細
USITのトレーニング法は、「以前と変わらず一貫している」とともに、「テキストのスライドが常に進化して いる」のも事実である。上記(4)の記事以後の大きな発展は、TRIZの諸解法を整理し直して「USIT解決策生成法」 (USITオペレータ) を作り上げたこと (2002年秋) と、「創造的問題解決の 6箱方式」の概念を作ったこと (2004年秋) である。これらの新しい考え方やその具体例をいろいろな論文や解説記事として書いてきているけれども、USITの実践法・トレーニング法に関して、(4) 以後は少しずつ言及しただけでまだまとまった記述をしていない。特に、2日間に圧縮して以後の状況をきちんと説明していないことに気がついた。いま、それ をまとめておくべきときであると思った。
2. USITの普及の状況とトレーニングセミナーの必要性/需要
USITの普及状況を客観的に示したものは、今年の2月24-25日に(株) 技術情報協会の主催で行われた「TRIZ/USIT企業導入実践セミナー」におけるユーザ企業3社からの発表であろう。富士写真フイルム、日産自動車、松下電工の3社から、それぞれにTRIZおよびUSITの導入と適用の状況が各社の推進者によって直接に報告された。
その後、今年の4月8-9日に (株) アイデアの主催で、公募制のUSIT 2日間トレーニングセミナーを実施し、諸企業の技術者21名の参加を得て、非常に充実したトレーニングを行うことができた。このセミナーは、2年半ぶりに復活 させた公募制でのセミナーである。後に述べるように、公募制の場合には、セミナーで取り上げる実問題の持ち込みに関して、機密保護と守秘義務とのデリケー トな課題がつきまとい、参加者を集めることに困難が伴う。それを克服しての公募制セミナーの復活という点に意義があった。
小生はUSITについて、本『TRIZホームページ』に多くの記事を載せ、学会や雑誌などに発表し、また、公 開セミナーあるいは企業内セミナーで講演してきたので、随分多くの方にUSITのことを知って貰っている。しかし、そのようなものを読んで/聴いて USITについて知っているTRIZ/USITに関心がある人たちの中でも、体得している/使える人たちは多くない。まして、企業内の一般の技術者の人た ちにはTRIZ/USITはまだまだ知られていない。このような状況で、TRIZ (特にTRIZをやさしくしたUSIT) の話をし、実際に体験できるトレーニングをすることは大きな意味がある。
USITの普及のための現在のネックは、講師が小生だけだということである。企業内でのUSIT実践者、そし て、USIT社内講師の人たちが少数存在するが、まだ、各企業でどんどんトレーニングを進めているという状況にはない。まして、他企業の技術者の人たちに USITを教え、トレーニングをする講師としては、まだまったく育っていない。企業内のUSITリーダを育て、社外USIT講師を務める人たちを育てるこ とは、小生がするべきことである。
2日間のUSITトレーニングセミナーに1回参加すれば、USITについて学び、それを自分で体得することが できる。その人は、自分の問題にUSITを適用して、徐々に問題解決の力量を付けていくことができる。ただ、USITの使い方を他の人に教えることができ るようになるには、USITの2日間トレーニングセミナーに3回は参加することが必要であろうと思っている。いろいろな文献を学びつつ、自分でUSITの 適用体験を作りつつ、その上でトレーニングセミナーに3回参加すれば、USITを完全にマスターして、社内講師としてリードしていくことができると思う。 (社外講師をするにはさらにもう少し訓練あるいは素養が必要であろう。)
ところでいままでに、同一企業内で3回以上のUSITトレーニングセミナーを小生が実施したのは 3社 (日産自動車、松下電工、松下電器産業) にすぎない。そこではそれぞれに社内講師をできる人たちが生まれてきている (実践はこれからの段階というべきだが)。(もちろん、この他にTRIZを永年学んできて、USITも講演や論文で学び、USITトレーニングには1回出 たか出ないかで、USITの社内講師・社内実践をできる人たちが何人かある。) ただ、小生が2日間トレーニングを実施できる回数は (大学の授業期間中はほとんどできないから) 実際上限られていて、実績で言えば年間8回程度が限度である。そこで、特定の企業内でなく、もっとオープンな場で、すなわち公募制でUSITトレーニング をして、USITの社内講師/社外講師を育てていくことが、戦略として大事だと考えている。
実際に、いろいろな企業の人たちから、USITトレーニングへの参加の希望を受けている。また、最近もいくつ かの企業から社内USITトレーニングセミナーの実施の希望を受けていて、そのうちの複数の企業で実施してきた。ただ、上記のように限られた実施可能回数 を、一つ二つの企業に複数回数割くことは立場上適当でないだろうと考えて、いまはやや抑制しようとしている。その代わりに、多数の企業の人たちが参加でき る公募制トレーニングを積極的にしようと考えているのである。それが、多くの企業にTRIZ/USITの実践者、社内リーダを育てる最も公平で有効な方策 であろうと思う。
3. 実問題をUSITトレーニングに持ち込む意義
小生が行っているUSITトレーニングの最大の特徴で、初回より一貫して行ってきたことは、未解決の実問題を 参加者が持ち込み、それをUSITのやり方に沿ってグループ演習で解決することである。
一般に技法のトレーニングにおける問題事例の扱い方には、4種のやり方がある。
(1) 例題の講義・解説と質疑応答によるもの。[一方向の伝授]
(2) 教科書問題を使った演習。問題は繰り返し使われ、講師は「正解」を知っていて、それに誘導するもの。
(3) 解決策が未知の実問題による問題解決の演習。非機密の範囲で実問題を扱う。講師も解決策を知らない。
(4) 解決策が未知の実問題による実地の問題解決。機密をも含む。企業内でトレーニングを実施する場合。小生のUSITトレーニングは、公募制の場合には (3) の形態、企業内の場合には (4) (または (3)) の形態で、解決策が未知の実問題を使って行ってきた。(講演の場合には、(1)の形態である。)
世の中の他の多くの技法研修は (2) の形態で行われ、教科書問題で「正解」に誘導しようとする。TRIZ/USITは未解決の課題に創造的に取り組む方法であるのに、解決策が既知の教科書問 題で演習するのは、「畳の上の水練」と言われてもしかたがない。そのような演習で「良い答え」ができたとしても、それは講師が誘導したものでしかなく、参 加した技術者自身が本当に導出したものとは言えないし、参加者自身にそれだけの達成感、技法の体得感は得られない。そのような技法研修の参加者が、研修後 に自分の実問題にまったく適用できなくて、技法を放り出してしまうという例はしばしばある。
小生のUSITトレーニングで、参加者が持ち込んだ実問題の問題解決を図るのは、つぎのような意図がある。
- 参加者の動機を高める。問題を持ち込んだ参加者は真剣に技法を適用して、問題解決を図る。
- 実問題を本当に自分たちで解くということで、参加者全体の士気が高揚する。
- 実地の問題に適用する方法を求めてグループで四苦八苦するところに、思考が深まり、活性化する。
- 「講師が答えを知っていない」ことは明白であり、技法の力、技法を適用する力が試されている。
- 技法自身の能力や技法の適応性などを、実地の問題で判断できる。
- 未解決問題に実際に複数の解決策コンセプトを創り出すことができると、それ自身が寄与になる。
- 企業での問題解決の実地訓練になる。自分の企業内訓練の模擬実験をしていることになる。
実問題で演習をするのは、講師にとってはもちろん大きなリスクである。1999年にトレーニングを開始したと き、まだ十分な「教科書問題」ができていなかったため、実問題をぶっつけでやらざるをえなかった。講師も参加者と共に、真剣に技法の適用方法を模索し、問 題解決を図る。セミナーは講師と参加者との全員で創るものだ、という基本線を取らざるを得なかった。その後も、いくつかの事例ができて、講義の中で説明す るのには使ってきたが、「教科書問題」での演習はしなかった。また、実地に解決してできた多数の事例の大部分は守秘義務のために演習では使えない。最近で もますます、問題の予習の時間がわずかで、講師にとって「ぶっつけ本番」のケースが多くなっている。いままで約60テーマを演習で扱った実績が、このぶっ つけ本番に耐える力をつくり出している。
4. USIT2日間トレーニングセミナーを組織する (準備する)
USITトレーニングセミナーを実施するための組織活動は、随分の時間とエネルギーを必要とする。企業内セミ ナーを組織する場合には、企業内の推進者にその役割をゆだねている。公募制セミナーはもっと大変で、初期には三菱総研に組織活動をお願いし、今年に復活さ せたのでは(株) アイデアにお願いしている。
企業内でUSITトレーニングセミナーを開くには、組織活動としての稟議が必要であろうから、推進者/推進組 織がそれまでにTRIZ/USITの認知度を高める活動をし、セミナーの意義が推進組織の上司にも理解され、またセミナーの参加者たちとその上司たちに理 解されている必要がある。そのためには、TRIZ/USITの導入の初期活動として、社内で有志のグループによる勉強会を開き、社外のセミナーなどに参加 し、また、社外講師によるTRIZ/USITの講演会を社内で開いたりすることが、有効であり、必要である。
準備活動としてまず必要なのは、トレーニングセミナーの自社にとっての目的・ねらいを明確にすることである。 組織する側自身も、この技法の導入に関してどのような体制をつくり、だれが中心になるのかを明確にしなければならない。最初は、旗振り役で、いわゆる「管 理」をする「事務局」のつもりでスタートしたとしても、その意識のままで止まっていると、TRIZ/USITが社内に定着することはまったくおぼつかな い。社内のだれかが、TRIZ/USITの重要性/有用性を認識して、その導入と有効活用とに大きなエネルギーを割く決心をし、地道に活動を続けなければ ならない。事業部長・部長・課長などの役職者であれば、自分がいろいろと指揮し、組織化でき、部門内/外の素質のある人 (たち) に託して活動を開始・継続できるであろう。推進するのに適した職制部門の若い人が明確な自覚を持った場合には、少しずつの活動を開始して、有志のグループ を育てつつ、組織的に上司に認めて貰う、その活動の中で自分自身が成長していくことが大事であろう。
セミナーに参加する人たちを募る、組織することも大事な準備である。スタッフ部門 (企画、技術管理、知的財産権、品質保証、など) の参加を求めることは、長期の推進活動の準備として有効である。ただ、TRIZ/USITを本当に適用するのは技術部門なのだから、技術部門から実地問題 を抱える人たちに参加してもらうことが必要である。研究や開発・設計・生産技術・製造・保守などさまざまな技術部門で、技術革新が必要である部門や分野、 新しい技法に対して受容力がある部門やグループにまずねらいをつける。もっと端的には、管理職、あるいはグループリーダクラスで、TRIZ/USITに関 心を持つ個人をつかまえる。そして、その人 (あるいは部門) が持つ実問題を取り上げることにし、その周りで、複数の参加者を集める。このような活動を継続して、一つの技術部門の中で複数の問題に適用し、複数のグ ループや個人が (できれば複数回) 参加するという実績をつくると、その技術部門にTRIZ/USITが定着していくことができる。
公募制セミナーの場合には、社内推進部門/推進者の役割を、主催者と講師とが担わなければならない。講師であ る小生自身は (さまざまな原稿を書き、セミナーをし、『TRIZホームページ』に掲載してPRするなど意外には) 事前の設営や組織化の活動をする余力はないから、組織活動の実務を主催者 (以前は三菱総研、現在は(株) アイデア) に委託している。主催者は、会場と日時を決め、参加者を募り、問題の設定とそれに対応した準備とを行う必要がある。公募制の場合には、勧誘する参加者が不 特定多数であるから、企業内での組織化よりももっと難しくなり、参加者や問題が適切に集まらない場合の事業リスクも負わねばならない。現在の一番大きな課 題は、実問題を持ち込んでくれる参加者を確保することである。この点は後述する。
5. USITセミナーに持ち込む問題を選択する基準
USITトレーニングセミナーに持ち込むとよい (あるいは、一般にUSITを適用するとよい) 問題を選択する基準は以下のようである。
(1) その問題の重要性。その問題を解決すると、(社会/企業/ユーザなどにとって) 利益が大きいこと。
(2) その問題の有効な解決策がまだ見出されていないこと。未解決の問題、改善を必要とする問題。
(3) その問題が明確であること。曖昧すぎない、大きすぎない、広がりすぎない。
(4) その問題に関する技術的バックグランドを問題提案者が持っていること。(解答を知っていることではない)
(5) その問題を解きたいという熱意が問題提案者にあること。
(6) その問題の分野に対する一般的な素養が他の参加者の少なくとも一人にあること。
(7) その問題の解決が「やさしそうである」ことは一切必要ない。この選択基準で本セミナーでいう「実問題」を定義しているわけである。重要性(1) と未解決(2)の条件だけなら、世の中には、また技術界にも一杯問題があり、それらは大抵、(3)の条件に反して、大きすぎて手に負えない。USITでは そのプロセスの最初に問題定義の段階があり、問題を明確にする (すなわち、(3)の条件に適合させる)。ただ、問題が明確になったからと言っても、だれにでもそれが解けるわけでない (TRIZ/USITは魔法ではないし、USITは特に知識ベースを主体にせず、自分たちの思考力に頼る方法である)。その問題に関する技術的なバックグ ランドをメンバ (通常は問題提案者) が持っていないと、グループ全体として右往左往し、いろいろな解決の可能性を考えても何がよい解決策なのかを評価できない。このために条件 (4) として技術的バックグランドを要求している。
つぎの条件(5)は、提案者の意識の問題である。提案者が必ずしも職制上の当事者である必要がない。 条件 (6) はいわば、演習のグループ内対話が成り立つための条件である。ただし、演習グループの全員が同じプロジェクトに属していたり、同じようなバックグランドを 持っていることは、却って望ましくない。グループメンバの構成については、また後述する。
「やさしそうな問題」あるいは「答えがもう分かっているような問題」、「提案者がすでに腹案を持っている問 題」というのは、TRIZでいう心理的惰性が働くために、創造的な問題解決を困難にする。そのような問題で実際に得られる解決策は、問題提案者が予め「腹 の中に持っていた解決策」から出ることはなかなか難しい。そのような問題を扱う場合には、提案者の既知の解決策や腹案の解決策を最初にすべてグループの前 に出してしまい、それを踏まえて/含んでさらに前進することを考えよと、(USITの開発者) Sickafus博士はいう。
技術者たちが実地に取り組んでいる問題は、ほとんどすべてこれらの条件を満たす (もし満たさないとすれば、自分の職務をルーチン的に無自覚に捉えている場合であろう)。 だから、社内USITトレーニングなら、自覚のある問題提案者を見つけることが難しくても、問題そのものを見つけることはそれほど難しくはないだろう。企 業機密を守るためには講師と企業とで守秘義務契約をしておくことで解決できる。
しかし、公募制USITトレーニングでは、他社技術者も参加するのだから、企業での実地の問題を出すことには よほどの配慮をして置かねばならない。それが次項で述べることである。
6. 公募制における権利義務の誓約: 「大岡越前守の三者一両損」の知恵
公募制でのUSITトレーニングセミナーにおける主要な関係者は、(A) 問題を持ち込む参加者 (とその所属企業)、(B) 問題を持ち込まずその解決に加わる参加者 (とその所属企業)、そして、(C) 主催者と講師 という三つの立場がある。この他に、部外者ではあるが、一般の技術者たち、TRIZ/USITを学びたいと思う人たちがいて、主催者あるいは講師がその立 場を一部代弁している。それは、「TRIZ/USITの適用事例をもっと知りたい」という要求である。
なお、「TRIZの事例研究に関する矛盾」 (中川、2000年) は、つぎのようである。
「TRIZの初心者たちは、TRIZ適用の成功事例を学びたいと思っている。しかし、TRIZの適用事例が成功すればするほど、その成果や適用法は企業機 密として発表されない。その結果、TRIZ初心者たちは、初心者のままに止まる。」
これはアルトシュラーが指導した旧ソ連では起こらず、現在の西側諸国で顕著になっている矛盾である。この矛盾を解決することが、日本でのUSITトレーニ ングセミナーの一つの目標であり、その解決策がここに説明する三者の誓約書である。2000年に三菱総研の主催で公募制セミナーを開始したときから試行し てきた方法であり、「三者一両損」という日本古来の知恵に基づくものである。
この誓約書は参加募集時に示され、全参加者がそれを理解・承知して参集し、開始時に全員で署名する。参加者は 所属を明記して個人で誓約に署名・捺印する形式を取っている。所属企業の捺印にしていないことや、契約書の形にしていないことは、これが基本的には個人の 良心に依拠するものだと考えているからである。誓約内容の概要は以下のようである。
(1) 問題を持ち込む参加者 (A) は、共同演習での問題解決のテーマとして (上記に説明したような) 実問題を持ち込む。ただし、その問題には直接の企業機密を含まないことを原則とし、企業機密をセミナー中で開示することを強要されることはない。
(2) セミナーで得られた成果はすべて、問題を持ち込んだ参加者 (とその所属企業) (A) に帰属するものとし、セミナー後2年間はそれらの成果を独占的に使用することができる。問題を持ち込んだ参加者 (とその所属企業) (A) は、この間に実験・試作・商品化などをし、特許などを申請することができる。この権利を第三者に譲渡してはならない。
(3) 問題を持ち込んだ参加者(A) 以外の全参加者 (講師や事務局を含む) (B, C) は、セミナー中に問題の解決に寄与したことに対して、一切の権利を主張しない。これらの寄与は、上記(2)項のように、問題提案者に帰属させる。
(4) 全参加者は、セミナー中に学んだ技法およびその適用事例について、技術的な考察/解決策を含めて、その所属企業内で報告することができる。ただし、セミ ナー後2年間は、問題提案者以外の全参加者は、適用事例の技術的な事項について、第三者 (すなわち、自社外) に開示してはならず、適用事例に基づく技術開発に対して権利を主張することはできない。
(5) セミナー中に学んだ技法や適用法に関しては、技術的な内容を除いて、全参加者は社内、社外、一般に対して発表することができる。また、それらの技法・適用 法を、社内・社外・一般において活用し、自分の業務や事業をはじめ、その他の利用に供することができる。
(6) セミナー終了時から2年が経過した後は、全参加者は(4)項の守秘義務の制約から解除され、技術的内容を含めて公表することができ、また自己および他者と 共同してその技術的内容を発展させることができる。
これらをまとめてみると、三者が「得るもの」と「損する (我慢する)」ものとは、つぎのようである。
関係者 得るもの (得するもの) 損するもの (我慢するもの)(A) 問題提案者 技法の適用により問題解決、
技法の習得、
問題解決のセミナー成果全体 (他者の寄与も含めて) の権利を獲得、
2年間の独占的な成果の利用 (特許申請など)2年後に技術内容の公表を容認する、
企業の機密 (に準ずるもの) が他者に伝わることのリスク(B) 他の参加者 技法を実地問題で習得、
技法および適用事例 (技術内容も含む) の社内報告可能、
技法の社内利用、
技法の公表問題解決への自己の寄与に対する権利の放棄、
技術内容に関する2年間の社外への守秘義務、
適用事例での技術開発に2年間の無権利期間(C) 主催者と講師 実問題での技法適用の経験、
技法と適用法の改良および公表の権利、
2年後以降の(技術的内容を含む) 適用事例の公表の権利問題解決への自己の寄与に対する権利の放棄、
技術内容に関する2年間の守秘義務
7. 公募制の運用と実情
上記の誓約書は、2000年に骨子を作り、その後少しずつ調整して現在に至っている。幸い、いままでトラブル は一切なかった。他企業の第一線で活躍している技術者たちのアイデアは、(USITの技法に導かれて) 問題提案者に大きな刺激を与え、問題提案者が予期した以上の成果を挙げてきている。
今年4月の公募制セミナーにおいて、複数の企業から参加した技術者たちが腹蔵なく真剣に問題解決に取り組んで いる状況は、いままで企業内コンサルティングだけでやってきたベテランのTRIZコンサルタントにとって、新鮮な驚きだったという。誓約書によって、三者 一両損で公平な権利義務の関係をつくったことが、参加者たちのこのような姿勢を保証しているのだと思う。
2000年から行った公募制のUSITトレーニングが、2002年で中断した理由は、参加者を集めることが十 分できず、人数が縮小していったからである。経済状況が厳しかったこと、TRIZに一時期退潮があったこと、USITがまだ十分に確立していなかったこ と、主催者の組織活動が弱かったこと、などいろいろな理由があるが、最も大きかったのは、参加希望者があっても問題を提案する人が少なかったことである。
当時は、問題を提案する用意があることを、参加者全員に「平等に」要求していた。全員が提案した問題から、セ ミナーの席での全員の投票で、取り上げる問題を決定していたのである。これには三つの難点があった。第一は、スタッフ部門 (特許や技法推進など) で仕事をしている人たちには、「自分の直接の問題というのがなく、持ち込みにくい (だから、参加しにくい)」こと。第二は、機密保持の管理が厳しい企業では、問題を持ち込んでの技術者の参加を認めない企業があったこと。第三は、「せっ かく用意した提案問題をセミナーで取り上げて貰えず、ややがっかりした」という人たちが生まれたことである。
再開した公募制では、これらの難点を解決するために、「問題を持ち込む参加者」と「問題を持ち込まないで技法 の習得を望む参加者」とを予め分けて募集することにした。これはこれで、「平等」ではないが、「公平な」やり方である。そのかわり、問題を確保すること、 すなわち、「問題を持ち込む参加者」を確保することが、主催者の負担になっている。
「三者一両損」の誓約において、変化してきているのは、「守秘義務期間」の長さである。最初は、「半年」と設 定し、セミナー直後にその成果をまとめて特許申請などをする期間と位置付けた。しかし、半年では短かすぎるという意見が多く、後に「1年」にし、さらに今 年4月からは「2年」にした。成果をまとめ、試作・改良して特許申請などをし、さらにその特許が公表されるまでの期間 (短い場合で1年半) を含めて、守秘義務期間 (権利の優先期間) としたのである。これを2年間とすることで、守秘義務が守られている限り、問題提案者 (とその企業) は「損」をしない (それどころか、沢山の「得」をしている) と考えている。
上記とのバランスで、「守秘義務」の内容をこの4月に一部修正した。参加者の社内での報告を許可する範囲に、 「技術内容を含んだ適用事例」を入れたことである。「技法の適用方法を報告するのに、技術内容を除くと、演習での事例をほとんど説明できなくなる」という 意見に対して配慮したものである。これによって、トレーニングの内容をありのままに社内報告ができる (技術内容の社外発表は禁止)。ただ、このことは、問題提案者が自社の機密を開示しないで提案することを想定するものである。
「守秘義務期間」を長くしすぎると、トラブルが発生する可能性が出てくる。「2年」はその限度であろうと思 う。2年以後は守秘義務も占有権もなくして、自由にしている。だから、この後は、適用事例を (問題提案者に限らず他の参加者でも、また講師も) 公表することができる。これは、TRIZ/USITの優れた適用事例を学びたいという一般の人々の要望に答える道を開いているものである (なお、個別企業とコンサルタントとの守秘義務契約では、3年あるいは5年といった期間が設定されることが多い)。トレーニングセミナーから2年経った ら、問題提案者が適用事例 (とその後の発展) をまとめて、学会などで発表することが、多いに望まれる。
実際の運用では、(権利義務関係は問題提案者に十分有利であると思われるが) まだ問題提案者を獲得するのに苦労しているので、参加費の点でも提案者側に配慮している。すなわち、今年4月の例では、一般参加者 6万円に対して、問題提案者側は1件10万円とし、1名〜3名の参加を認めている。これは、問題提案者側が複数名で参加し、技術的な議論を深めると共に、 セミナー成果を確実に持って帰って有効に使えるように、また技法を社内に定着できるようにと考えたものである。
8. 問題の件数と参加者数、グループの編成
企業内の場合も、公募制の場合も、問題件数を3件、人数は15〜25人程度を標準にしている。2日間の USITトレーニングセミナーで、グループ演習により、3件の実問題を並行して解決することを行っているのである。
複数の問題を並行して扱うことは、各グループのメンバ数を適正に保ちつつ、全体参加者の数を多くして、トレー ニングの効率を高めるねらいがある。また、それ以上に、異なる分野の問題、異なるタイプの問題などを扱うことにより、USITの技法の適用のしかたのバラ エテイを自然に体得する効果もある。また、グループメンバの構成、リードする人のやり方、議論のしかた、適用のしかたなどが自ずと違ってくるから、それら のよい点・悪い点を、参加者たちが自ら理解することができる。他のグループのやり方や発表する内容が、自分たちのグループの進め方に大いに参考になる。
各人は一つのグループに属して、一つの問題の解決の一部始終に参加する。問題解決の演習は、後述のように、 USITのプロセスに従って、5セッションで行う。各セッションでは、その段階でするべきことの講義、グループに分かれての実地演習、そして、全員が集 まってグループ順に発表と討論を行う。各参加者は、この中で他のテーマの進行状況についても、理解できるようになっており、理解することが期待されてい る。このように、全員の前で発表を行い、全員が全テーマを理解できるようにしようとすると、3件が限度であり、適当である。(4件だと、時間の延長が避け られず、負担が大きい。2件だと時間的余裕ができるが、バラエティが不足する。)
各グループの人数は、4人〜8人が標準であると考えている。グループ内ですべてのメンバが自分の考えを発言で き、他のメンバがいうことを理解でき、議論の堂々巡りや混乱を防止するためには、あまり大人数でない方がよい。一方、いろいろなバックグランドの人たちで 考え、アイデアの幅を拡げるには多人数の方がよい。そこで、4人〜8人という数を挙げている。技術のバックグランドが豊富で、自己主張が強い人たちが揃っ ているときには、少人数の側にし、そうでなければ大人数の側にするとよいだろう。
一つの問題のグループにつぎのような人たちが参加することが望ましい。
・ 問題の提案者 (当事者)
・ その問題のプロジェクトの関係者 (共同でしごとをしているメンバ、他の側面の担当者、上司など)
・ その問題の分野にある程度の素養を持っている人 (専門家でなくてもよい)、広い技術的素養を持つ人、
・ その分野の素人で、「素朴な質問」、「原理的な質問」をする人、
・ 違う分野、違う部門に属する人で、異なる観点からの議論ができる人
・ 技法の理解者、推進者、あるいは、スタッフ部門の人で技法を理解したいと考えている人など。参加者にTRIZ/USITの経験者が多い必要はない。TRIZ/USITに拒否反応をする人が加わることは 望ましくないが、大部分の人がTRIZ/USITの初心者であってかまわない。要するに、(技術的な) 問題を真剣に解決しようという気持ちがある人であればよい。最近、参加希望者が多く、グループメンバが9〜11人という例を2回経験した。問題定義と問題 分析 (の一部) を大人数のままやり、解決策生成の段階からサブグループに分けて実施することで、スムーズで非常に有益な結果が得られた (このやり方をすると、全体で30名でのトレーニングも可能であろう)。
9. USIT 2日間トレーニングのプログラム (時間割概要)
小生が行っているUSIT2日間トレーニングの典型的なプログラムの時間割は下図のようである。
2日間で、各日 (昼食を除いて) 8時間である。初日を10時始まりにしているのには理由がある。一つの理由は、セミナーで少し遠方から来る参加者があるので、時刻を遅らせて前泊なしでも 参加できるようにという配慮である。またもう一つは、企業内セミナーなどで、初日の午前だけを大人数での講演会にするとTRIZ/USITの導入・普及に 都合のよいことが多いので、時刻を遅らせている。いずれにせよ、最初の「TRIZ/USITの概要」の講演は2時間がちょうどよいので、10時スタートは 好都合である (公募制のセミナーでは、最初に「導入」の時間をとり、その後2時間の講演をして、昼食を少し後ろにずらせることが多い)。2日目は標準的に9時スタート にしている (合宿の場合は、1日目の夜に懇親会をし、2日目は8時半開始が多い)。
1日目の午後以後のすべてが、実問題を使ったグループ演習である。演習の最初に、 セミナーの目的、権利義務の扱い、全体のスケジュールなどを話し、導入をする。ついで、問題提案者から問題を説明してもらい、質疑応答をして、全参加者が 問題のおおよそを理解できるようにする。メンバのグループ分けは、組織者が事前にしておくことが多い。
問題解決の演習の全体は、USITのプロセスに沿った5セッションとし、各セッ ションを講義、グループ演習、および発表・討論とから構成することはすでに書いた。
このプログラムの時間割は1セッションが2時間半であり、単位が長く随分タイトで あ る。(グループ演習と発表との間など) 途中で短時間の休憩を入れる ことが多いが、参加者の多くはそのような時間も議論に熱中していることが多い。
問題解 決においては、グループの演習だけでなく、一人で考えを巡らせる時間が大事である。3日間でやっていた頃は、問題設定ができた段階で一晩あり、また問題分 析が完了した段階でもう一晩あるので、3日目の解決策生成を始めるときにはもう随分のアイデアが出ていた。2日間でやると、現在システムの分析までをして 一晩があり、翌日には解決策の生成を完了することになる。自由に考えを巡らせる時間がずっと少なくなるが、企業における時間的スピードの要請から、いまは 2日間を標準にしており、 3日間に延ばすことは全く考えていない。
当初は3日間でしていたセミナーと同じ内容を、 いまは2日間で実施している。最近では、このプログラムの時間内にほぼきちんと納めることができている。USITの方法の説明がそれだけすっきりしてき て、参加者にとって使いやすくなってきたということであろう。
10. USIT 2日間トレーニングでの問題解決の進め方
問題定義のセッションは、いまから解決しようとする問題に関してグループメンバの 共通認識をつくるために重要である。ここで問題の範囲を明確にし、焦点を絞る。実際には、問題が漠然としている場合、提案者のいう焦点がふらふらする場 合、提案者が焦点をうんと小さく絞り込もうとする場合、問題設定で広い範囲と狭い範囲のどちらを取るべきかで議論が分かれる場合などがある。これらの場合 の対処のしかたは、原則論を述べてもあまり有効でなく、個別の事例に対して判断しなければならない。また、その判断基準は技法 (USIT) から来るのではなく、各問題での技術・ビジネス・社会的な状況から判断しなければならない。概していうと、(「問題の焦点を絞れ」と言っているのだが) 提案者の問題設定よりも少し広く (柔軟に) 考えた方がよいことが多い。
問題分析のセッションでは、1日目の午後に、現在のシステムの機能分析と属性分 析、そして空間と時間に関する問題の特徴の分析をする。空間・時間の特性分析の方を先にすると、問題の特徴をうまく捉えられることも多い。機能分析はやや 理論的な扱いになり、グループ内で議論が分かれたり、適切な表現が難しい場合もある。ただ、Sickafusが繰り返し言うように、「分析する目的は、図 を正しく描くことではなく、システムのメカニズムを理解することである」。
2日目の最初に、Particles法を使って、理想のシステムのイメージをつく る。Particlesに託して、理想を実現するための、望ましい行動と望ましい性質を書き出す。
USITの適用法として、初期の頃は (Sickafusの教科書でも同様に)、現在のシステムの分析か、理想のシステムのイメージづくりかのどちらか一方 (使いやすい方) を使えばよいとしていた。しかし、小生のトレーニングセミナーで両方法を実施してよい実績を挙げてきたので、現在は、両方法を必ず使うように指導してい る。
理想のシステムのイメージをつくることは、問題の分析から、解決策の生成に移行す る段階として、適切である。また、Particles法でつくる「望 ましい行動の体系」は、後の「解決策の体系」の非常によい下書きになる。
解決策の生成の段階は2日目の午後であるが、時間配分の都合で、その説明を午前中 に済ませるようにしている。USITの技法としては、5種 (32サブ解法) の「USITオペレータ」を、システム中の要素に繰り返し適用して、多数の解決策のアイデアを生成することである。しかし、「USITオペータ」とは、 TRIZの諸解法をすべてばらして再整理したものであり、簡潔で分かりやすい体系をなしてはいるが、そのバックには膨大な知識があり、それらのすべてをす ぐに使いこなせるわけではない。
実際のトレーニングセミナーでは、つぎのように指導している。
- 問題分析の段階ですでに思いついているアイデアをまずできるだけ列挙する。アイデアは簡単な図解/スケッチで示す。
- 特に、Particles法でつくった「望ましい行動」の体系図をベースにして、アイデアを発展させ、「解決案の体系」として再構成する ことを考える。
- その後、機能分析や属性分析の図を手がかりにして、「USITオペレータ」を意識的に作用させてみる。このとき、頻繁に使われるUSIT オペレータを優先させるとよい。
- アイデアが出揃ってきたところで、各アイデアを「有効性、実現可能性、新規性/特許性」の観点から簡単にレビューし、重要と思われるもの を選択する。
- 選択したアイデアを、解決策コンセプトとして練り、付随する問題点の克服を考え、さらにそのアイデアを強化することを考える。
このようして、各グループは、3件〜10件の解決策のコンセプトをつくり出してきたのが、実績である。
演習の最後に、「TRIZ/USITの企業への導入法」という講義をして、まとめ にしている。また、さらにその後に15分程度の総合討論をして、その後で参加者にセミナー評価アンケートを書いてもらっている。
11. グループ演習の実際
グループ演習のやり方をもう少し具体的に記述しておこう。
まず、セミナー全体は、比較的大きな教室/会議室を一つ使う。机や椅子の並べ替え ができることがぜひ必要である。講師の講義のために、ノートパソコン1台、プロジェクタ、スクリーン1枚を設置しておく。1日目の最初は教室形式に配置す るが、グループ演習が始まると、机を動かして 3つの島を作り、グループメンバがそれを囲んで、ホワイトボードなどを使って共同作業ができるようにする。演習結果の発表・討論のときは、机などはそのま まで、椅子だけを動かして全員で聞けるようにする。
各セッション内での講義は、そのセッションでやるべきことの説明、適用事例、注意 事項などで、できるだけ短くしようと心がけているが、いつもの悪いくせでついつい全部を話したいと思い、長くなってしまう(30〜45分)。講義のテキス トはすべて自作のPowerPoint資料であり、全体で約170スライド、そしてその他にUSITオペレータの解法資料約60スライドを添付している。
グループ演習は、部屋の3つのコーナーに分かれて並行して行う。一つの部屋でやっ ているので、他のグループの声が聞こえるが、それぞれのグループが集中してやっているから、周りを気にする様子はない。
グループ内の討議のしかたは、各グ ループに任せている。問題解決の初期の段階では問題提案者が説明をしたりしてグループをリードする状況にあるが、グループメンバが問題を理解するにつれ て、グループをリードする人が変わっていくことが多い (その方が生産的になることが多い)。非専門の人が素朴な質問をし、原理的なことの質問をすることが、有益であると予め話してあるので、非専門のメンバも どんどん質問をし、ポイントを理解するようになっていく。そのような質問をきっかけにして、グループ全体、あるいは特に問題提案者が新しい観点に気がつく ことも多い。
講師は、3グループを適当に巡り歩きながら、それぞれがやっていることを理解し、 要所要所でポイントとなる点を指導する。特に、各セッションで、各グループが考えるとよいことを、そのセッションの講義の段階で少しずつアドバイスをして おくようにしている。問題設定での方向づけなど、よく議論することが必要なグループには、しばらくそのグループの討議を聴いて、ポイントを助言するように する。ただし、講師がリードしていくというやり方ではないようにしている。
各セッションでのグループの演習時間は60〜80分である。終了時刻を言ってス タートするが、各グループの進捗を見ながら、打ち切りのタイミングを計っている。問題定義や分析の段階では、なかなかまとまらないことがあり、10〜20 分程度当初予定より延長することが多い。その延長分は全体での発表・討論の時間を削ることになるが、グループ内の議論が進む・煮詰まることが大事だと判断 している。
グループ演習の終了後、(グループの進度の調整、コピーの作成、たばこ・トイレ休 憩などの意味で) 短い休憩を置いて 、全員でのグループ発表と討論をする。全員が発表グループのホワイトボードの前に集まり、グループでの議論の結果を順次発表する。各グループの発表は10 分程度で、助 言と討論が5〜10分である。グループの発表順序を適宜講師が決め、適切な表現でよく進んでいるグループから発表させると、他のグループにとっても参考に なることが多い。
発表者は最初は問題提案者であることが多いが、順次他のメンバが交代して話すよう にしている (それは大抵、まったく問題なくできる。グループでの共通認識が成立しているからである)。話すことによって、自分たちがやったことを客観視でき、紆余曲 折があった場合にも、また、多くの要素が並行して ある場合にも、現在の (グループとしての) 理解をまとめて表現することができる。
講師は、グループの発表を補い、グループの議論のポイントになったよい点、よい表 現などを指摘して他のグループの人たちが参考にするように促し、また、演習の途中で講師が補ったことの趣旨を改めて話し、適用法として改良するとよい点を 話し、さらに今後のセッションでグループが議論するとよい点を指摘したりする。また、参加者からの適用法に関する質問を受けて、返答する。他のグループの 参加者から問題に関する別の観点が出されて議論をすることも多い。
これらの発表と討論により、各参加者は自分たちのグループのやり方を確認・反省す るだけでなく、他の二つのグループでの問題解決の進展を逐一知ることができる。他グループがUSIT技法をどのように適用してどのような成果を得て来たの かを知ることは、自分たちの適用法に対する反省と新しい観点を与え、また技法の適用法のバラエティを知り、いろいろな適用法の得失を知ることにつながる。 これが、USITトレーニングセミナーで複数の実問題を扱うことのメリットである。
12. グループ演習での記録のしかた: 模造紙 vs. ホワイトボード
グループの演習では、いろいろな考えを陽に書き出し、全員で共有しつつ、考えを深 める作業をする。こきとき、考えを書き出し、記録する手段にはいくつかのやり方があり、会場の都合な どで適切なものを選ぶ。
(a) 模造紙とマジックインキを使う。結構便利である。ただし、説明図などを描くのに「簡単に消せない」という意識が働いて書くのを躊躇する場合がみられる。何 枚でも 使えるのがよい。壁に (セロテープや画鋲やマグネットなどを使って) 張ることができる場合には、便利である。記録はデジカメで写真を取り、必要ならすぐにパソコンとプリンタでハードコピーをつくって配布することができる。
(b) 模造紙を使う場合に、少し大きめのポストイットカードを併用するとさらに良いことがある。グループ演習の過程のところどころに、「(関係する属性や、解決 策のアイデアなど) 考えられるものをできるだけ列挙せよ」という場合があり、このときにポストイットカードを使って、メンバが並行して案を書き、それを模造紙に張り付けると 能率がよい。またこれらのポストイットカードは自由に配置し直すことができるから、後で再整理や体系化などをするのに便利である。(並べ替える場合に はもとの配置をデジカメで記録してからやるとよい)。
(c) 電子記録式のホワイトボードは、大変便利である。細部を書き直せるという安心感で、躊躇せずにどんどん書ける。キーワードだけでなく、できるだけ図をえが くように、また、書いたものを記録せずに消すことがないように、アドバイスしている。裏表の2面のものが多く、順次コピーをし て、古いものを消せばよい。コピーがA4版だから、すぐに使えて便利である。ただ、実際に使っていると、2面同時に見たい、古い画面を見ながら新しいこと を書きたい、発表のために以前の画面を使いたいなどのケースがあり、できることなら、グループに2台欲しいといった希望がある。実際には、3グループに各 1台を揃えるのも大変なことがある。
(d) 記録はデジカメで行うということにすると、(電子記録でない) ホワイトボードをできるだけ多く用意するというのが、実際的なこともある。グループに2台 (表裏で4面) 用意すると、一応十分である。結局、ホワイトボード6台で、デジカメ利用というのが、現在最も実際的で有用な手段だと考えている (それが無理なら、ホワイトボード3台とデジカメでよい)。
なお、これらのそれぞれの場合に、記録したものをセミナー中にどれだけ利用可能に するかということが問題である。特にホワイトボードを使うとき (c)(d) には、前に書いたものを消してしまうことが多いので、記録をすぐに使える形にしておく必要がある。通常、グループ演習の時間が終了した時点で、電子記録ま たはデジカメで記録する。その記録は、つぎのセッションのグループ演習が始まる前 (すなわち、ホワイトボードを消して、新しいことを書こうとするとき) までに、読める形で手元にあることが必要である。
コピーの必要枚数は、そのテーマの問題提案者、講師、事務局の3枚が最小限で、つ ぎにそのテーマのグルー プメンバ、そして他のテーマの参加者という順番になる。セミナー終了時には、事務局に原紙、問題提案者、講師、およびすべての参加者にコピーのそれぞれ一 式が 揃っているようにし、適用事例を復習し、社内報告などができるようにしている (企業内セミナーの場合には、企業機密に関する問題をも扱うので、コピーの枚数をもっと制限する場合もある)。
13. USIT 2日間トレーニングセミナーに対する参加者の評価
ユーザの側からの評価として、公表されているものは、本年2月末の (株)技術情報協会主催の「TRIZ/USIT企業導入実践セミナー」において、松下電工から発表されたものである。 下図にその中の1枚のスライドを掲載させていただいた。2004年度に行った 3回のUSIT 2日間トレーニングセミナーについて、参加者のアンケートをまとめたものである。
各回で、それぞれ特徴のあるテーマ分野を選択して試行している。機構系・システム 系・材料系の三つで、同社の主要な技術分野をカバーしたものてある。この結果をベースに、同社ではUSITの社内講師を作り、実地試行をはじめようとして いる。
別の例として、今年の4月に行った公募制のUSIT2日間トレーニングセミナーで の、参加者のアンケートを、主催者の (株) アイデア による集計で掲載させていただく。このセミナーでは、さまざまな分野の技術者たち21名が参加、うち19名がグループ演習を行っている (アンケート回答者は17名)。2年半ぶりの公募制セミナーだったこともあり、TRIZ/USITに関して強い関心を持つ人たちが多かったので、いままで に行ったセミナーの中でもとりわけ活発で優れた成果を生み出したセミナーであった。
時間の長さ 長い............................0 ちょうど良い......... 14 短い............... 3 内容の満足度 とても満足 ..................9 満足..................... 8 物足りない...... 0 会場 非常に良い ................1 良い.................... 11 悪い............... 5 講師の分かりやすさ 非常に分かりやすい ...11 分かりやすい .........6 分かりにくい.... 0 総合的満足度 とても満足 ................11 満足..................... 6 物足りない...... 0 USITは問題解決に有効か 有効である ...............17 有効でない ...........0 次回セミナー 参加したい/させたい.. 16 参加したくない...... 1 未記入........... 1 次回セミナーに課題を持ち込みたいか 持ち込みたい............. 6 持ち込みたくない... 6 未記入........... 3 このアンケートの結果は、いままで多数回のTRIZトレーニングセミナーを行って きた (株) アイデアにとって、びっくりするようなものであったという。このセミナーには技術的に高度な力量を持ち、技法についても関心が高い人たちが複数人参加して い たために、全体のレベルを上げたといった効果があったからかもしれない。
-- これは公募制セミナーの大きな魅力である。持ち込まれた実問題に対して、いくつもの一流企業の第一線をリードしている技術者たちが、真剣に議論して解決を 図ってくれるのである。企業内のセミナー (あるいは実践) においてはなかなか望んでも得られないような幅の広さを持った人材のグループが形成された例であった。
14. 企業内でのUSITの実践と普及推進のやり方
さて、いままで述べてきたのは、実地問題の解決を行っているといっても、社外講師 による企業内トレーニング (または社外での公募制トレーニング) であった。このようなトレーニングを経験した企業あるいは技術者/技法推進者が、自分の会社の中でどのように実践していけばよいのだろうか? これにはいろいろな事例がモデルになるだろう。
一つのやり方は、このUSIT 2日間トレーニングセミナーを、社内の研修プログラムに組み込み、社内講師によって継続的に教えていくことである。(USITを開発したEd Sickafus博士は、Ford社で 3日間のトレーニングプログラムを毎月1回定期的に開き (定員20名)、5年間で技術者1000人にUSITを教えた実績を持つ。) 研修プログラムとしては、ここに示したプログラムのやり方で十分効率的・効果的である。15人〜25人の技術者を同時に教育でき、かつ、社内の懸案の実問 題を 3題同時に解決できるのである。いろいろな技術者研修プログラムと比べて、このUSITトレーニングの有効性はずっと優れたものであろう。このための課題 は、社内講師を養成する ことと、参加者と実問題のテーマを継続的に確保するための組織的活動であろう。
もう一つは、USITの技法を習得した技術者が、自分の周りで実問題にいろいろと 適用して、一つ一つ経験を積み、実績をあげていくことである。自分自身の問題でもよいし、自分のグループ/課内の問題でもよい。USITのプロセスに従っ て、数人で議論しながら、考えを積み上げていく。1〜2時間の議論を数回積み上げると、新しい考えが出てくることだろう。
この場合に、USITのプロセス を必ずしも杓子定規に使う必要はない。要所要所に使っていく。分析が前後してもかまわない。また、グループの議論を自分で整理しなおして、そこにUSIT の技法をもっと取り入れて考える、考えをさらに進めるという努力をすると良いだろう。USITによる整理が、つぎの回のグループの議論に新しい刺激を与え ることができれば、大きな成功である。
このようにして、自分で、自分の周りにUSIT適用の実績をつくることが、非常に 確実で有効な方法である。一つ一つ の事例が自信になり、確信になっていく。これは、ボトムアップの方法であり、若手の技術者でも、管理職でもできる。グループリーダ/課長/部長の立場にあ る 人がこのやり方を身につけると、自分の管轄下のさまざまな技術的問題に適用することができ、目に見えて効果が上がることであろう。
USITを習得した技術者が、社内でTRIZ/USITを普及・推進する活動を少 しでもできる立場にある場合には、周りの技術部門の問題解決に協力するとよい。問題解決の相談を受けて、USITの技法を使い、その技術者たちと一緒に問 題解決を図るのである。あるいは、周りの/目星をつけた技術部門に出かけていって、そこでの問題解決に協力する。これは「御用聞き」のやり方である。 Ford社でも、あるいは富士写真フイルムの三原祐治・古謝秀明氏の場合にも、これを積極的に行っている。
なお、ここに述べたようにして、USITの社内実践者が育ってきたとき、企業がす るべきことは、彼らの活動を組織的に承認し、彼らに活動の場を与えることであろう。そのようなやり方は、USITに固有のことではなく、よく知られている ことである (ただ、よく行われているとは限らない)。
15. 企業内実践における、さらにやさしいUSIT適用のノウハウ
一つの実地問題を、技術者たちのグループと一緒になって問題解決するときのポイン トは、USITをマスターしている者が「聴き役」になり、技術者たちに適切な「質問」を投げかけながら、彼らがいうことを整理しつつ書き出していく役割を することであろう。(小生は大学での3年生・4年生のゼミで、このやり方を試行・実践している。学生たちが問題と感じていることをテーマとして取り上げ、 その分析や解決策を学生たちに考えさせていく。)
問題定義の段階、問題分析の段階が特に重要である。「何に困っているのですか?」 「いまのシステムはどんなメカニズムになっているので すか? 概略の図を描いてもらえませんか?」「問題が起こる原因は何なのですか?」「そうすると、いまから解決したいことはどういうことですか?」... といった調子である。
そのような場合には、USITの技法を技術者たちに教える必要は必ずしもないだろ う。例え ば、機能分析の図は、技術者たちが説明するメカニズムを聴きながら、USIT習得者が自分でホワイトボードに描いていけばよい。関係する構成要素をまず書 き出して、「この部品は何の役割 (機能) をしているといえばよいのですか?」などと質問していき、その回答を機能分析図の形に表現していく。適切に描かれた (USITの) 機能分析の図は簡潔なものだから、特別に説明しなくても技術者たちには分かるだろう (英語でもなんでも、書けないけれども読めることはしばしばある)。
「困っている現象をひどくする要因 (性質) にはどんなものがありますか?」「緩和させる要因は?」という質問が、属性分析を導く。
また、「もし問題がまったくなくなった理想の結果を考えるとどんなことですか?」 という 質問がParticles法への導入である。さらに、「もしこことここに魔法のものがあって、頼めばうまくやってくれるとしたら、何を頼みますか?」「そ れを頼まれると、彼らはどんな努力をするでしょうね?」などと聴いていけばよい。ただ、ここの質問に乗ってくるようにするには、「魔法のものに託すという 面白い技法があるから、それでしばらく考えましょう。」といった前置きが必要になるだろう。
これらの準備段階でいろいろなアイデアがでてくるだろうから、それを「解決策の体 系」に表現していくことが有効であろう。具体的なアイデアが出れば、それに関連した似たアイデアを出させる、そしてそれらを一般化した言葉で表現してみせ る。そして、いろいろなアイデアを一般的な表現に置き換えつつ、解決策の体系を明確にし、まだ考えていないような解決の方向があるかどうかを考えさせる。 空間と時間の特徴を考えさせ、それを有効に使う方法を考える。
これらの中で、USITのオペレータや、TRIZの発明原理や物理的矛盾を解決す る分離原理の概念などを、直接に教える必要はないだろう。それらの概 念はUSITの技法習得者が自分の頭の中で使いつつ、技術者たちに考えるヒントとして、個別にわかりやすく示唆すれば十分であろう。
実地問題をUSITの習得者と技術者たちのグループが共同で解決しようとする場合 に、どんな時間割にするのがよいかは、臨機応変で、ケースバイケースであろう。2〜3時間程度のミーティングを、毎週1回で、全体で5〜6回開くなら、 しっかりした問題解決ができるだろう。あるいは、午後の4時間ほどを取って、問題定義と問題分析をし、一晩置いてから、翌日の午後に4時間程度で解決策の 生成を試みることも有効であろう。2日間の短期決戦での有効なやり方だと思う。
要するに、実地の問題に適用するときには、問題解決のプロセスを杓子定規にやるこ とを避け、また、硬い言葉をできるだけ使わないことが大事だと思う。このようなやり方で実際に問題解決の経験をした人に、その後でUSITの技法のセミ ナーを受けるように仕向ける/ 受けさせると、技法の習得がずっと速くなると期待される。
16. USITの基本スタンス: USIT習得者と技術者の共同作業の意義
実地問題での共同解決と、(社内) コンサルティングとは少し区別して考えた方がよいだろう。コンサルティングには、技法の専門家が問題を引き受けて、解決策を考えて提示するという、「研究 委託」的なやり方をいう場合が多い。サムソンでのTRIZ専門家たちの活動をはじめとして、米国でのTRIZコンサルタントたちの多くがこのような形式を とっており、学会発表の事例でもそのような活動例が多い。しかし、これはUSITに適したやり方ではない。
USITでは、「USIT技法の習得者が問題を引き受けてきて解決するというやり 方は本質的にうまく働かない」と考えている。USITは、問題解決の「考える方法」をリードするものである。具体的な問題を解決するために「考える」に は、その問題について、その技術システムについての情報と深い理解が必要である。そのような情報と理解は、USITを習得したからといって備わっているも のではない。だから、USIT習得者が単独で (自分の所にもどってきて) やれることはごく限られている。
一方、その問題を扱っている技術者たちは、そのような情報と理解をはるかに豊かに 持っている (それが彼らの本職なのだから)。そこで、多くの情報を持ち、その技術分野の知識を持ち、技術を理解している技術者たちを、USIT習得者がリードする (考える方法の道案内をする) ことが、両者の力を発揮させるやり方である。
ここに述べた点は、意外と根が深く、TRIZとUSITの思想の違いを反映してい る。TRIZではやはり知識ベースを重視する考え方があり、TRIZ専門家は (それらの知識ベースを駆使して) いろいろな問題に斬新な解決策を提案できるのだ (できなくてはいけない) と考える。TRIZ専門家は広い分野の技術に通じたオールマイティになれるのだと考える。
これに対して、USITでは広い分野のオールマイティになれるとは考えていない。 USITでは、科学技術の基本的な素養を重視する が、知識ベースに頼ろうとはせず、考えるプロセスと考える方法を学ぶことによって、いろいろな問題に対処する力をつけようとする。一つの問題に取り組んで いる専門家は、すでにその分野での知識を多く持っている。それでも彼らが問題の壁にぶちあたるとき、必要なのは考える方法をサポートすることだと、 USITでは考える。USITは、考えるプロセス、考える方法を、技術者たちに指し示し、技術者たち自身が考えて問題を解決する方法を見出すようにさせよ うとするのである。
17. これからのUSITの普及活動
いままでいろいろ述べてきたが、今後のUSITの普及活動をどうするべきかと考え ると、結論としてつぎのようにまとめられる。
(1) USITの技法 (考え方、適用法、教え方など) の改良・発展を続け、その結果を分かりやすく説明し、公表していくこと。(『TRIZホームページ』、学会、各種の雑誌などを活用する)
(2) TRIZ/USITの入門セミナーなどの機会を増やすこと
(3) USIT 2日間トレーニングセミナーを公募制で継続的に実施し、いろいろな企業の人たちをUSIT習得者、USITリーダとして育てること
(4) 企業内でのUSITのトレーニングや実践活動をバックアップする体制を整える (準備する) こと。
ともかくこれらの活動をできる限り積極的にやっていきたいと思っている。読者の皆 さん、ユーザの皆さんのご支援をお願いしたい。また、関心がある方々のセミナーなどへの積極的な参加をお願いしたい。
なお、当面はつぎの2件のトレーニングセミナーを計画しています。皆さまのご参加をお願いいたします。詳しくは、「中川の活動カレンダー」のページを参照ください。[2005. 7.29 一部情報追記]
USIT 2日間トレーニングセミナー 公募制 (主催: (株) アイデア)
9月14 日(水)〜15日(木)、大阪 エビスビル(AAホール本館)(大阪市中央区淡路町)
9月28日(水)-29日(木)、東京 八重洲ホール(東京駅近く)
本ページ先頭 | 2. 普及状況 | 3. 実問題の持ち込み | 7. 公募制 | 8. 参加者数 | ||||
10. 問題解決 | 12. 記録 | 13. 参加者の評価 | 14. 企業内実践 | 15. さらにやさしい適用法 | 16. 共同作業 | 17 . 今後 |
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最終更新日 : 2005. 7.29 連絡先: 中川 徹 nakagawa@utc.osaka-gu.ac.jp