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編集ノート (中川徹、2008年11月14日)
この記事は、TRIZが開発されてきた歴史の全貌を簡潔にまとめたものです。年表の形式で記述し、さまざまな技法の発展について、できるだけ広く、客観的に、また最近の状況まで記述しています。中級〜上級者向けの貴重な資料です。
もとの記事は、オランダのTRIZ推進者 (コンサルタント) Valeri Souchikov (バレリ・スーチコフ) 氏の会社のホームページに、今年5月に掲載されたものです。10月になってから掲載されているのに気がつき、素晴らしいと思いましたのですぐに和訳掲載の許可を願い出ました。同氏は、Yuri Salamatov のTRIZ教科書『TRIZ: The Right Solution at the Right Time』 の編集・出版者で、私は同書の和訳出版 (日経BP刊、中川 徹監訳、2000年) 以来、ETRIA 国際会議でも何回か会い、懇意にしてもらっていましたので、すぐにOK をいただきました。Valeri Souchkov 氏に厚く感謝いたします。
Valeri Souchkov氏: email: valeri@xtriz.com
ICG Training & Consulting社: URL: http://www.xtriz.com/英文原文 (ICG Web サイト内): URL: http://www.xtriz.com/BriefHistoryOfTRIZ.pdf
この記事に出てくるいろいろな技法/研究については、太字で識別しやすく表現されていますが、内容の説明がありません。このため、初心者の方には読みづらい (読んでもよく分からない) だろうと思います。一つ二つのTRIZ教科書を読んだ人には、これらの項目の主要なものが分かりますので、TRIZの発展の歴史が少しずつ分かってくることと思います。TRIZジャーナルなどを読んだり、国際会議に参加したりして、世界のTRIZの研究の潮流に関心がある読者の方 (上級者) には、非常に貴重な資料です。いままで、(ロシア出身の) TRIZエキスパートたちの頭の中にだけあり、きちんとは記録・表現されていなかったものが、ここに簡潔に分かりやすく提示されているのです。有効に学ばれるとよいと思います。
この資料を読んで最も印象深いのは、やはりTRIZの創始者Genrich Altshuller の洞察力と、ボトムアップに知識ベース、諸技法、諸概念を構築していくエネルギーとそのスケールの大きさです。いろいろな方法が、いま私たちが教科書で目にする形にまでできあがってくるのに、随分の年月と積み重ねを必要としたことが分かります。「40の発明原理」と「技術的矛盾を解決するためのマトリックス」が、特別な紆余曲折を経たのだというのも面白いことです。(古典的) TRIZの発展の中心が、物理的矛盾を解決するための技法プロセスとしてのARIZ、および発明標準解と技術進化の法則・トレンドとが統合された概念になっていったことが分かります。
1985年以後のTRIZの発展、特に1998年以降の西側諸国をも含めたTRIZの多様な発展はやはり注目されます。いま、多くの人たちがいろいろな方向にTRIZを発展させていっているのだ、というのがこの歴史年表が明確に示してくれていることです。
なお、TRIZをやさしくした諸方法 (SIT、ASIT、USIT) については、1998-2004年の項に1項目だけ記述されています。そして、「(ただし、簡略化のしすぎと、いくつかの主要なTRIZ概念を消してしまっているとして、TRIZコミュニティの大多数からはあまり支持されていない。) 」と評価しています。これは、ETRIA TFC や TRIZCON などの国際会議で、SIT/ASIT が発表されることがなく、USIT の開発者Sickafus の発表も1998-1999年だけであった、という状況を反映しています。USITについて中川がETRIAとTRIZCON で継続して発表し、またUSITが日本のTRIZシンポジウムでは毎年数件発表されているというのは、世界のTRIZから見ると特異的なことです。いろいろな技術や製品の発展の歴史において、「簡易版が最初は低く評価されていたのに、より多数のユーザのニーズに適切に応えて実力をつけ、やがて従来の重厚版をひっくり返すようになる」というのが、『革新のジレンマ』で明確にされた「破壊的技術」という認識です。(例えば、Darrell Mann の和訳書の p.269-274を参照下さい。) 重厚版TRIZをひっくり返す「破壊的技術」としての、次世代のTRIZを作るというのが中川の大きなモチーフです。
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TRIZの歴史の概要
Valeri Souchkov (ICG Consulting、オランダ)
初出: ICG Trainng & Consuting 社 Webサイト、2008年5月
和訳: 中川 徹 (大阪学院大学)、2008年10月 8日TRIZとSystematic Innovation(体系的革新)について真剣に学ぼうとする人はみな、遅かれ早かれ、TRIZの歴史が一体どういったものなのだろうかと思い始める。どうしてこんなに沢山のTRIZツールがあるのだろう、どれの後にどれが来たのだろう、どのようにしてTRIZが進化してきたのだろう、と。現在ある形でのTRIZは、50年以上にわたって、多数の人々が関わった、実に大規模な努力の結果として開発されたものである。そのため、TRIZに貢献したすべての人に言及することはもちろん、TRIZに含めるようにこれまでに提案されてきたすべてのツールについて言及することさえ、難し過ぎてできない状況である。それでもなお、そのような大規模な歴史研究がすでにVladimir Petrov [26、32] によって行なわれている。彼は、いくつかの主要なTRIZ技法の進化を詳細に示している (現在、この仕事はロシア語で行なわれている)。
私のこの記事は、TRIZの進化の包括的な全貌を与えようとしているのではない。そうではなく、TRIZの主要な改善および新しいTRIZツールや技法の開発をもたらした、重要な期日と出来事を書き出すことに焦点を合わせる。この記事のもとになる情報は、私の個人的な観察および個人的なコミュニケーション[49]、TRIZの文献、および V. Petrov のARIZの歴史に関する仕事 [32] から得たものである。
■ 1946-1950年
- G. AltshullerがTRIZの開発を開始し、彼の最初のTRIZトレーニング・セッションを行い始めた。 このとき、技術的矛盾を解決することが、発明的な解決策を思いつくための鍵になることを彼は見出した。
■ 1950-1954年
- 1950年に、Altshullerはソ連の指導者 (I.スターリン) への手紙を書き、創造性についてのソ連の体制を鋭く批判した。 その結果、彼は政治犯として投獄された。 1954年に、彼は釈放され、社会復帰した。
■ 1956年
- G. AltshullerとR. Shapiro が、「技術的創造性について」という論文を、雑誌Questions of Psychology (心理学の諸問題) の、#6、p. 37-49、1956に発表した [1]。これが最初の公式なTRIZの発表である。ここに導入されたのは、技術的矛盾、理想性、発明的なシステム思考 (現在、「システムオペレータ」あるいは「多画面思考図」として知られているもの)、技術システムの完全性の法則、および発明原理などの概念である。
- 同年、発明的な問題解決のためのプロセスを支援するアルゴリズムが、初めて導入された。それは、10ステップで、5つの発明原理を含んでいた (これはその後1963年になって、今日知られているような、より一般的な40の発明原理のサブ原理となった)。それらは、類推 [のためのヒント] を探すことを目標としたものであった。新しい発明原理を発見する大規模な研究が始められた。
■ 1956-1959年
- アルゴリズムは15のステップと18の発明原理 (サブ原理) を含んでいた。「究極の理想解」を扱うステップが導入された。
■ 1963年
- 「ARIZ」という用語が導入され、その結果、改良したアルゴリズムを「ARIZ」と呼んだ。アルゴリズムは、18ステップと7つの発明原理 (39のサブ原理をもつ)を含んでいた[2]。
- Altshullerが、「技術システムの進化の法則」の最初の体系を発表した。
■ 1964年
- アルゴリズムは、18ステップと31の発明原理を含み、また、一般化した技術パラメータを用いて「技術的矛盾を解決するためのマトリックス」の最初のバージョン (16×16パラメータ) が作られ、組み込まれていた。
■ 1964-1968年
- ARIZのその次のバージョンは、25のステップ、35の発明原理、および技術的矛盾を解決するためのマトリックス(32×32パラメータ)を含んでいた。
- この段階で、発明的問題解決のためのツールの開発に加えて、Altshullerと彼の仲間は、「創造的想像力の開発」の開発と教授法とに随分の力を注いでいた (Focal Objectsの方法、Fantograma、および「サイズ-時間-コスト」オペレータなど) [5]。
- Altshullerはまた、「理想機械」の定義を導入した。
■ 1969年
- G. AltshullerはAZOIIT(Azerbajdzhan Public Institute for Inventive Creativity、アゼルバイジャン発明的創造性公共研究所) を設立した。これは、ソ連で最初のTRIZの研修と研究のセンターとなった。
- G. Altshullerは、OLMI (a Public Laboratory of Invention Methodology、発明方法論の公共研究室) を設立した。TRIZの開発努力を全国的に統合することをねらった、最初の公共のオープンソース・イニシアチブである。
■ 1971年
- ARIZ-71は、35ステップ、40の発明原理 (88のサブ原理をもつ)、および、39×39のパラメータからなる技術的矛盾を解決するためのマトリクスを含んでいた。(このマトリックスは、技術的矛盾を解決するために、今日でもなお広く使われているものと同じマトリクスである)。 ARIZ-71はTRIZの開発において重要な飛躍であった。それは、「時間-サイズ-コスト」オペレータおよび小人の方法の最初のバージョンを導入し、発明的問題を解決するための物理的効果への参照を含んでいた。
- 同時期に、物理的効果のデータベースの開発がYuri Gorin によって開始された [4]。それは、一般化した技術的機能を具体的な物理的効果や現象にリンクするものであった。
■ 1974年
- サンクトペテルブルグ(旧ソ連) のTRIZスクールが、V. Mitrofanovの指導のもとに設立された。これは恐らく、旧ソ連において最も影響力が大きいTRIZスクールといってよい。
■ 1975年
- 発明問題解決への新しいアプローチが導入された。物質-場モデリング(あるいは、Su-Field モデリング) および最初の5つの発明標準解が、Altshuller によって発表された。(これは後に、76の発明標準解に拡張されたものである [10])。
- ARIZ-75Bは、35ステップを含み、いくつかの重要なTRIZ概念を新たに導入した。すなわち、物理的矛盾と物質-場モデリング (Su-Fieldモデリング) である。Altshullerは、最も理想的な技術的解決策を見つけるためには、技術的矛盾を解決するマトリックスの利用では十分でないと悟った。彼はマトリックスを、洗練されたものではあるが、まだなお試行錯誤の一変形にすぎないと考えた。かくて、技術的矛盾を解決するためのマトリックスはARIZの本文からは除外された (追加の材料としてだけ使用された)。そして、発明問題解決のすべての操作は、物理的矛盾を定式化し、それを解消することにねらいが定められた。
■ 1977年
- ARIZ-77は、31ステップを含み、ミクロレベルでの物理的矛盾、対立する要素対、作用時間と作用空間などの概念を導入した。技術的矛盾を解決するためのマトリックスは、まだなお追加材料としてARIZの一部に残っていたが、その使用は限定されたものであった。
- 18 の発明標準解が提示された。
■ 1979年
- Altshullerが、「厳密科学としての創造性」を出版した [6]。(これはいまなお彼の主要な著作であるとみなされている)。
- 同時期に、Altshullerは、「技術システムの進化の理論 (ロシア語略称TRTS)」を研究のための別課題として定義した。そしていくつかの「技術システムのライフライン」を同定した (これは後に、「技術システムの進化の9つの法則」として知られるようになった)。
■ 1982年
- ARIZ-82は、34ステップを含み、新たに、「X-要素」、最小問題、典型的矛盾の表、物理的矛盾を解決する原理、小人たちの方法などの概念を導入した。技術矛盾を解決するためのマトリックス、および40の発明原理はARIZ から完全に排除された。AltshullerはARIZを、「標準的でない」発明問題を解決するためのツールとして位置づけ、一方、残りの、「標準的な」発明問題は、発明標準解で解決できるとした。明瞭になってきたのは、発明標準解が、問題解決のための分離・孤立したパターンではなく、技術的進化の法則とトレンドを写像したものだということである。したがって、新たに現れてきた発明標準解は、技術システムの進化のラインを組み込んだものであった。発明標準解および技術進化の法則とトレンドに関して、非常に大規模な研究がTRIZ共同体によって行われた。
- 54の発明標準解の体系が提示された。
- Altshullerはまた、生物学的効果についての新しい研究を開始した [8]。彼はそれを物理的効果と類比するものとみなしていた。
- 技術以外の他の領域にTRIZの応用を拡大することが始まった。芸術 [21]、数学 [17] などである。
■ 1985年
- TRIZの発展における重要な飛躍、すなわちARIZ-85C の出現 [9、15]。 今日においてさえ、これが公式に受容されている唯一のARIZのバージョンである。 それは32ステップを含み、いくつかの新しいルールと推奨を導入し、さらに、最も理想的な解決策を得るために、時間、空間、および物質-場のリソースを使うことに特別な焦点を当てている。発明標準解への参照が、ARIZの複数部分で導入された。
- 発明標準解の体系が、技術システムの進化の構造に応じて 5つのクラスに組織化され、76の発明標準解を含んでいる (それが今日もなお使われ続けている)。
- 物理的効果のデータベースに加えて、幾何学的効果のデータベース [12] および化学的効果のデータベース [14] が開発された。
- Altshullerは、「ARIZ-85Cが発明問題解決のための完全なツールであり、その応用が何千もの実問題でテストされて有効だと証明されたので、もうこれ以上あまり改良する必要がない」と結論づけた。そしていまや、彼は、ARIZと技術システムの進化の理論との一層の発展が、OTSM (「強力な思考の一般理論」を表すロシア語の略号) を目指す重要なステップであると考えた。
- 同時期に、B. Zlotin、S. Litvin、およびV. Guerassimovを含むTRIZエキスパートの一つのグループが、技術システムと製品について分析するために、機能-コスト分析 (FCA) を開発した [13]。この新しい拡張版TRIZは、「FCA-TRIZ」と呼ばれた (現在では、機能-コスト分析は大抵機能分析と呼ばれ、FCAはTRIZの一部であるとみなして、FCA-TRIZ という語は広く使われてはいない)。
- 平行して、システムの進化の法則とトレンドについてのTRIZの研究が行なわれ、技術の進化についての具体的なトレンドやラインがいくつも同定されるに至った。
- その当時、「公式に」受容されたFCA-TRIZのバージョンはつぎのものを含んでいた。すなわち、ARIZ-85C、物理的、化学的、幾何学的効果のデータベース、76の発明標準解、技術進化の法則の体系、機能分析、機能の理想化 (「トリミング」としても知られている)。
- 新しい技法、すなわち、代替システムの併合 (Alternative Systems Merging)、破壊分析 (Subversion Analysis)、 および発明的状況の機能分析 (Function Analysis of Inventive Situations) が提案された。 TRIZツールの応用が、特許回避の分野にも拡張された。
■ 1986年
- Altshullerは、技術的なTRIZの開発から、創造的な人格の研究へと、その焦点を方向転換した。彼は、共同研究者I. Vertkinと共に、卓越した創造的な人物たちの伝記を膨大な規模で研究し、「創造的人格の開発の理論」(ロシア語略号 TRTL) の開発を始めた。それは、創造的な人々が、その生涯においてどのようなタイプの矛盾に直面し、かれらがそれらの矛盾をどのようにして解決したかを、特定するものであった。
- TRIZの子供のためのバージョンが開発された。そして、夥しい数の実験が学校および幼稚園で実施された。
- 過去においては、TRIZがほとんどARIZと同一視され (TRIZとARIZはほとんど同義語として使われていた)、ARIZがTRIZのさまざまな技法を一緒に用いるように組織化していた。これに対して、現在では、いくつかのTRIZ技法がしばしば独立して使われている (例えば、発明標準解、物理的効果、など)。
■ 1989年
- 最初のTRIZソフトウェア「Invention Machine (TM)」が、Invention Machine Labs から発売された (その後、Invention Machine社により、「TechOptimizer」と「Goldfire Innovator」に発展した [40])。この中には、機能分析、40の発明原理、技術的矛盾を解決するためのマトリックス、76の発明標準解、物理的、化学的、および幾何学的効果のデータベース、および特徴転移 (Feature Transfer、あるいは代替システムの併合) を含んでいた。このソフトウェアは、技術的矛盾を解決するためのマトリックスを、TRIZ初心者が簡単に使用できるという理由で、独立なツールとしてもとに戻した。(このソフトウェアの最新版は、特許および文書情報に技術的機能に応じた索引をつけるための意味解析検索エンジン、および、いまや何千という項目を持つ効果のデータベースをも、含んでいる)。
- 同時期に、技術的効果のデータベースが提示された [16]。技術的機能を具体的な技術にリンクするものである。
- N. KhomenkoがOTSM内で大規模な研究を始めた [18]。それは、子供と大人たちのための、分野に依存しない「強力な」思考に関して、原理を導入し、スキルを開発するものである。
- ロシアTRIZ 協会が設立された。
■ 1990年
- ロシア語の『Journal of TRIZ』が発刊された (1997年に財政的理由で中断し、2005年に再開された)。
■ 1990-1994年
- G. AltshullerとI. Vertkinが、『創造的人物の人生戦略』を刊行した [20]。彼らの「創造的人格の開発の理論」についての研究をまとめたものである。
- 新しいTRIZベースのソフトウェアパッケージ「Innovation Workbench (TM)」が、米国で Ideation International 社により発売された [39]。それに含まれていたのは、発明的状況についての因果モデリングの初めてのTRIZ技法としてのプロブレムフォーミュレータ (Problem Formulator)、および、再編成した発明オペレータ (Inventive Operators) のデータベース (これは、発明原理、発明標準解、および物理的効果に基づいている) であった。 (現在、Ideation International 社は、さまざまなTRIZ関連ソフトウェアパッケージを提供している)。
- 生物学的効果のデータベースが、V. Timokhov によって出版された[19]。
■ 1994-1998年
- ロシアTRIZ 協会が国際TRIZ 協会になった。
- 1998年に、G. Altshullerが死去した。そして、TRIZ開発のその後のコーディネーションはほとんど消滅した。
- オンラインの TRIZ Journalが1996年に開始された [36]。
■ 1998-2004年
- TRIZの専門知識を持ったさまざまな組織が、自分たち自身のバージョンのTRIZを開発した (ITRIZ、TRIZ+、xTRIZ、CreaTRIZ、OTSM-TRIZなど)。そこで、1998年以前にAltshullerの指導のもとに開発されたTRIZツールの一式を、混乱を避けるためにいまでは「古典的TRIZ」と呼ぶ [22]。
- Creax 社(ベルギー)が、「Innovation Suite」ソフトウェアの最初のバージョンを発売した [38]。
- 技術以外の他の分野でのTRIZの研究と応用が続いている (今日最も発展しているのは、ビジネスと経営のためのTRIZ [29] 、子どものためのOTSM-TRIZ [33]、および 教授法のためのTRIZ [24] である)。
- 古典的TRIZからは公式に捨てられたのであるが、技術的矛盾を解決するためのマトリックスの新しいバージョンが現れ (例えば、マトリックス2003 [27])、さまざまな応用分野で使うための40の発明原理の適応版が現れた (例えば、ビジネス、芸術、建築、および特定の業界、など [36])。マトリックスと40の発明原理がいまなお最も人気のあるTRIZツールとして残っている。ただしその応用性は限られている。
- TRIZの簡易版であるSystematic Inventive Thinking (SIT) [41] 、およびその変種 (例えば、ASIT (Advanced Systematic Inventive Thinking) [44] と USIT (Unified Structured Inventive Thinking: 統合的構造化発明思考法 [45]など) が導入された。(ただし、簡略化のしすぎと、いくつかの主要なTRIZ概念を消してしまっているとして、TRIZコミュニティの大多数からはあまり支持されていない)。
- 欧州TRIZ 協会 (ETRIA)、TRIZフランス協会、およびイタリアTRIZ協会 (APEIRON) が設立された。
- 「Altshuller Institute for TRIZ Studies」が米国で設立された。
■ 2004-2008年
- 多くの新しいツールが、(TRIZの弱点として残っていた)複雑な問題の分析と管理を助ける目的で、現れた。発明的問題を分解するための根本対立分析 (Root Conflict Analysis、RCA+) [28]、絡み合った矛盾を持った複雑な問題を管理するための、Problem Flow Technology (問題フロー技術) とProblem Networking (問題ネットワーク分析) [18]。
- 以前の研究に基づいた新しい種々のツールが現れた。例えば、Hybridization (ハイブリッド化) [30] (代替システムの併合をさらに改良したもの)、Functional Clues [34]、Anticipatory Failure Determination (AFD) [39]、Function-Oriented Search [31]、ビジネスシステムのための発明標準解、システムの進化のトレンドを写像するためのレーダ図など。
- ARIZの新しい実験バージョンが現れた。しかし、その複雑さと、より多くの問題でテストする必要があるため、その使用は限定的である。
- 150の発明標準解の体系が提案されている [26]。
- 技術進化のトレンドのさまざまな体系が現れ、システム進化の新しいラインが導入された。 例えば、Ideation International 社によるDirected Evolutionの現在のバージョンは、技術システムの進化の400のラインを提示している [25]。
- TRIZを、品質管理 (Quality Management) の最新の方法 (例えば、品質機能展開 (QFD)) や、シックスシグマなどのシステム と統合するための多くの試みが行なわれている (例えば、シックス・シグマのための設計 (DFSS) の枠内でTRIZが使われている)。
- 日本TRIZ 協会が設立された。
参考文献 (年代順、ただし、Webサイトはアルファベット順)
著者紹介:
Valeri Souchkov(バレリ・スウチコフ)は、1988年にベラルーシのミンスクでInvention Machine Labsを共同創設して以来、多年にわたりTRIZと体系的革新 (Systematic Innovation) の経験を積んできた。 その時以来彼は、世界中の顧客のコンサルティングとトレーニングに関わってきている。2000年に、彼は欧州TRIZ 協会 (ETRIA、www.etria.net) を提唱かつ共同設立した。また、2003年以来ICG Training & Consulting社 (www.xtriz.com) を率いている。この会社は、オランダに拠点を置き、体系的革新の技法とツールを開発、使用、推進して、技術とビジネスの分野で企業および政府機関のために提供している。Souchkov氏はまた、Twente大学に招かれてTRIZと体系的革新について講義をしている。連絡先は、Valeri Souchkov: valeri@xtriz.com 。
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最終更新日 : 2008.11.16. [追記: 2022.11. 6] 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp