TRIZ フォーラム: Southbeach フォーラム | |
Southbeach Modeller 試用報告(1): |
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Southbeach Modeller 3ヶ月間(20130620 to 0920)の試用レポート |
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岡田守正 (株式会社ヨークマート 開発室)、2013年9月18日 |
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掲載: 2013.10. 3 |
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編集ノート (中川 徹、2013年 9月30日)
6月に紹介しました、モデル表記の汎用ソフトウエア Southbeach Modeller の試用レポートの第一号を、(株)ヨークマートの岡田守正さんから頂きました。大変示唆に富むもので、ありがたく、ここに掲載させていただきます。
紹介していますように、Southbeach Modellerは、(1) 無償でダウンロードでき、既成の沢山のモデル(図)を読むことができ、表記法の資料、ソフトの操作などを学ぶことができます。(2) ライセンス(買い取り、68英ポンド)を取得すると、このソフトで自分で図を作成できます。(3) 中川がアレンジしました、「CrePS-SBプロジェクト」に参加すると、3か月無償でフルに試用できます。参加の申請、1か月後の状況報告、3か月後の試用報告(他の人たちに役立つ情報)が条件です。
岡田さんが「CrePS-SBプロジェクト」の最初のユーザです。状況報告も、試用報告も適切に作成くださり感謝します。書式を決めていませんので、それぞれの方が、自分に合った形で報告いただければよいと思っています。
試用の希望 2013年 6月19日 (掲載: 2013. 8. 4)
(岡田守正、2013. 6.19)
初めまして、私は教授のホームページでTRIZをずいぶん前から勉強させていただいて おります。
スーパーマーケットの事業会社で店舗開発室に所属しています。 スーパーマーケットを構成している要素を分解し、新しい店舗を組み立てる手法とし て使えないかと考えております。今まで、USITの考え方を使って、現状の問題を解決する方法を組み立てたりもしてみ ました。スーパーマーケットを構成する要素は多岐にわたり、複雑に絡み合っているので「見 える化」がかなり難しいものです。
Southbeach ModellerはToolとしてこれらの問題解決に使えそうな気がします。 「CrePS-SBプロジェクト」に参加し、3ヶ月の無償試用ライセンスを受けさせてい ただけると幸いです。
試用状況 (1ヶ月時点) 2013年 7月22日 (掲載: 2013. 8. 4)
(岡田守正、2013. 7.22、状況報告)
目的: スーパーマーケットの機能をモデル化することにより、スーパーマーケットの新機能開発や、新しい業態開発の方法を見える化する。
状況: 仕事の都合上、土日しか使用できない為十分に使いこなすというわけにはいかな い状況です。
シンボルの使用法を十分理解できないまま、勝手な判断で使っているところもあ ります。
英語力が不足しているのもこの一因です。マニュアルや使用例が [日本語で] もう少しあると 助かります。それでも機能のモデル化には有効であるとの手ごたえは感じました。エクセルで 作るより効率的な感じがします。
クラウドで使えると場所を選ばずにアイデアが出たときに使えて便利だろうと感 じました。どのくらいのコストで使えるようになるのか知りたいと思います [=> 買取のライセンス料は68英ポンド、約1万円 (中川)]。
残された期間にもう少しモデル化を試みてみます。(掲載: 2013. 8. 4)
Southbeach Modeller試用報告 (3ヶ月試用後) 2013年9月18日
Southbeach Modeller 3ヶ月間(20130620 to 0920)の試用レポート
2013年9月18日 株式会社ヨークマート 開発室 岡田守正
中川 名誉教授殿
Southbeach Modellerの存在を教えていただき又、試用をさせていただきありがとうございました。
● 使用目的
スーパーマーケット機能のモデル化により複雑で手のつけにくいスーパーマーケットづくりの改革や、新業態開発の方法を「見える化」する。
● 3ヶ月間の試用感想です。
1. 直感的に構想が組み立てられるので、新しい仕組みを創造していくにはかなり有益なものと思われます。
2. 小売業のように複層構造を持つ仕組みの中で新しいことを行うときには、仕組みをモデル化し見える化しながら進めることで関係者が同じベクトルを持ってプロジェクトなどを進めることが出来るようになるでしょう。
3. 新しいことを行うときのメリット、デメリットの整理も、表によるスタティックなものよりダイヤグラムによるダイナミックな表現で検討をしていく方がより理解しやすく現実的で進めやすくなるでしょう。
4. 組織の中で実際に使うところまではいっていませんが、Southbeach Modellerとパソコンとプロジェクターがあれば、関係者が討議をしながらプロジェクトを進めていくことが容易にできそうです。
● 作成したモデルの例
Southbeach Modellerを使って作成したモデルには構想途中のものなどいくつかありますが、ご参考にモデル化した3件を添付させていただきました。簡単なもので申し訳ありませんが現在研究を進めているもののダイジェストです。(使い方に誤りがあるかもしれませんが)
--> これらの原図も開示しています。フリーのSouthbeach Modellerで読めます。(1) 都心型小型SMの構想設計
スーパーマーケット各社がコンビニに負けじと小型スーパーマーケットを都心に展開していますが収益性などでうまくいっていません。スーパーマーケットの亜流ではうまくいくはずはありません。その検討のスタート部分のモデルです。
(2) 小売機能単位モデル
小売りはお客様があっての機能です。その機能を分かりやすくモデル化できないかとつくってみたものです。この単位モデルが組み合わさっていろいろな小売りの 機能ができるという仮説です。コンビニとかスーパーマーケットとかドラックストアとかも小売の機能単位は同じという発想です。これを使ってスーパーマー ケットの仕組みを見える化し新しい機能の開発を行っていきたいと思います。
(3) 小売機能問題解決用「USIT―知分可モデル」の試作
USITの問題解決手法を使って今までも小売機能の改革を考えていましたが Southbeach Modellerを使って「知・分・可の原則」の考えをいれたモデルを作ってみました。これは方法論だけでなく、問題解決の手法に人的資源の適正配置を考えたものです。
長い間組織の中にいると、組織の運営と人的適正配置の関係でうまくいく場合と残念な場合を見ることがあります。
「USIT―知分可モデル」は人的資源を知・分・可の3つのカテゴリーに分け、進捗に従って適任者を選ぶことでプロジェクトを成功に導くものです。これが理解されず、非常に大事なプロジェクトが失敗に終わってしまうケースが多くあります。これを避けるための問題解決の手法です。
特 に小売業は商いは飽きないというようにルーチン業務をひたむきにこなすことが大切な業界です。こんなことが一因で小売業界が新規開発の業務を行おうとする とき、考えばかりが先行し、中途半端に終わってしまうケースが多く見られます。つまり竜頭蛇尾に終わってしまうことが多いのです。
以下に「知・分・可の原則」の簡単な定義をしておきます。
組織における創造を可能にする「知・分・可」の各役割の定義と相互関係
■「知・分・可」のセグメントと定義 (建物をつくる例:私が建築設計者の為)
@ 第1は「知」のグループ。何をつくればいいかを知っている人のグループ。
(目的に応じたこんな建物が必要だと知っている人: 発注者、企業責任者)A 第2は「分」のグループ。どうすればできるかが分かっている人のグループ。
(建物のつくり方が分かっている人: 建築設計者)B 第3は「可」のグループ。現実につくることを可能にするグループ。
(建物をつくれる人:建築業者)どれが欠けてもできないし、どれかが能力不足でも目的は達成できないのです。
■相互関係
@ 「知」は「分」を求め「可」を求める
A 「分」は「可」を求め「知」を求める
B 「可」は「知」を求め「分」を求める
● まとめ
Southbeach Modellerを使い、さらにスーパーマーケットの進化を推し進めていきたいと思います。
日本語版が出るともっと使いやすくなるでしょう。
以上
編集後記 (中川 徹、2013年9月30日)
岡田さんの図で、スーパーマーケットの業界が、高齢化社会への対応として、都心型小型スーパーを模索していることがよくわかります。小売りの機能ユニットという考え方も、いろいろ考えが膨らむ、素人にもわかりやすい図ですね。
「知分可」という役割分担の考え方は、面白いし、確かにそのとおりだと思います。「6箱方式」において、「現実の世界」と「思考の世界」を明確に分けて説明しているのですが、「思考の世界」においても、技法が主導できるのは、(第3箱の) 現実のシステムの理解と理想のシステムの理解、および(第4箱の) 新システムのためのアイデアの生成までです。(第5箱の)解決策のコンセプトを得るには、その分野での基本的な素養・技術知識が必要で、岡田さんの言う「分」の人(あるいは素養)が必要です。(第6箱の) 実際の解決策(実製品など)のためには、岡田さんの「可」の人とその活動が必要になります。
岡田さんの3つの図を見ていて、図というものが、言葉で言うよりもはるかに豊かなことをはっきりと伝えてくれるものだ、と再認識しています。また、このようなモデルを作ると、モデルの不完全なところ、付け加えたらよいと思われるところなどが、つぎつぎと思いつかれます。この二つの相反するように思えることが、グループ作業で、共同で考え、共同で意思決定をしていくための、強力なベースを与えるのでしょう。素晴らしい図をつくり、公表していただきました岡田守正さんに、あらためて感謝します。
Southbeach Modeller は、沢山の情報を公開していて、沢山の機能があり、それでいて非常に使いやすく作られています。日本語化ができるとよいと、本当に思います。そのためにも、ぜひ多くの方が使って見てくださるとよいと思います。なお、Southbeach Modellerで作成しました図を、そのソフトで見ていただけるように、原図のファイル (.sbm) を公開しました。中川のもの(.sbm) と、今回の岡田さんのもの(.sbm) があります。
「CrePS-SBプロジェクト」は、常時10人までのキャパシティがあります。どうぞご遠慮なくお申し込みください。
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最終更新日 : 2013.10. 3 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp