TRIZ推進と適用事例:
TRIZ推進活動の成果と新展開および適用事例 
 〜 いままでの活動結果からみえてきたこと 〜
 粕谷 茂 ・ 坂巻 克巳 (富士ゼロックス株式会社),
 第4回日本IMユーザグループミーティング, 発表,
 2003年 9月10-12日, ラフォーレ南紀白浜 (和歌山県西牟婁郡白浜町)
 [原稿受理: 2003.10.16, 掲載: 2003.11. 6] 
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編集ノート   (中川  徹, 2003年10月20日)

本稿は9月10-12日に南紀白浜で開催された第4回日本IMユーザグループミーティングでの発表の中で, 特に注目されたものの一つです。富士ゼロックス(株) におけるTRIZ推進活動の状況と適用事例を報告しています。同社におけるTRIZの推進活動は, 2年前の同ミーティングにおいて積極的な発表があり, 本ホームページにも掲載しました。この間に社内の「TRIZ研究会」を「TRIZ・創造手法研究会」として幅を拡大し, 分科会によるコンサルティングで適用事例を蓄積しているとのことです。TRIZソフトツールのネットワーク化に並行して, USITの活用により効果を上げていることをデータで示していることが, 注目されます。

適用事例には, 複写機の紙の扱いに関する技術事例が 2件発表されています。発明原理, 物理的効果のデータベース, 進化のトレンドの考え方などを適用したものです。「トレイにセットした紙を横から見て, (その縞模様を) フーリエ変換すると, 紙の (一枚の) 厚さを判定できる」というのは, なかなか面白いと思います。

TRIZを非技術的な問題にも適用することを試みているのが, 著者の粕谷さんの独自なところです。マネジメント分野で, 「キャリア・アドバイザー」の制度を改良するのに, TRIZの「究極の理想解」の考えを適用しています。特に, Darrell Mannの新しい教科書『Hands-On Systematic Innovation』の考えを活用しているところが注目されます。

本件掲載に関し, 著者, 所属企業, およびUGMを主催された下記組織に感謝します。
      著者:   粕谷 茂 氏  (富士ゼロックス株式会社)      Email:   shigeru.kasuya@fujixerox.co.jp
                 坂巻 克己 氏  (富士ゼロックス株式会社)  Email:   Sakamaki.Katsumi@fujixerox.co.jp
      所属企業:    富士ゼロックス株式会社  (本社: 東京都港区)     http://www.fujixerox.co.jp/
       (株)三菱総合研究所   (情報環境研究本部)                                         http://www.internetclub.ne.jp/IM/
       (株)エム・アール・アイ・システムズ  知識創造研究部    (小西慶久部長)     http://www.mrisys.co.jp/

なお,スライドはPDFファイルの形式で 4部に分割しています(全体で約600KB)。2スライド/頁にしておりますので, そのまま印刷してちょうどよいサイズと思います。
ダウンロードするには, Adobe 社のAcrobat Reader [いろいろなサイトで無料配布されています] を使って下さい。
 



要旨とコメント  (粕谷 茂 ・坂巻 克巳, 2003年9月10-12日)

TRIZ推進活動の成果と新展開および適用事例
     〜 いままでの活動結果からみえてきたこと 〜

<推進方法>

富士ゼロックスでは、1997年より試験的に英語版を購入し検討を開始して以来、主に研究開発部門が中核となってTRIZ・創造手法研究会を組織して1回/2ヶ月、全社的に展開浸透を図っている。事例発表、教育、講演会、コンサルティング、ソフトインフラの整備などを体系的に実施してきた。いままでの6年間で、TRIZがどう使われ、どのくらいの効果があったのかを分析し、今後の課題をさぐった。

<技術開発事例A:複写機・紙メディア特性の検知法 >

 本事例はプリンタ・複写機の紙メディアの厚みや紙種の検知方法に関し、40の発明原理、Predictionを用いてアイデア抽出したものである。特に用紙スタック段階で紙厚を測るという課題に対しては、変色原理からヒントを得た案に関して実際に検証実験を行ない、紙厚を比較的精度良く検知できることを示した。

<技術開発事例B: 複写機・給紙トレイの改善法> 

本事例は従来、紙の吸湿を原因とした市場クレームに対して実施した対策案をTRIZの手法によりまとめ直したものである。対策案は、給紙カセットに防湿機能を持たせる密閉機能と、且つ、そこから用紙を送り出すという機能(開口部必要)の両立を目指して考えられた。今回、この問題は工学的技術矛盾問題として40の発明原理にうまく当てはめられることが判った。実際に採用した対策案の効果についても言及した。

<マネジメント事例D: 究極の理想解、セルフ-Xから実現したキャリア・アドバイザー制度のプロセス > 

マネジメント事例にチャレンジしたものである。今年から富士ゼロックスの中で「キャリア相談員制度」をスタートした。そのトライヤルとして、「キャリア・アドバイザー制度」として企画したときに、TRIZの新しい考え方である「セルフ - X」とIFR(究極の理想解)を使ってその実施プロセスを大幅に改善した例である。最終的なアウトプットは数年後の会社の業績とクライエントの自律性変革であるが、ここでは、満足度評価手法を用いて、TRIZのビュフォー・アフターを評価してみた。
 



 
 

第4回日本IMユーザグループミーティング, 発表

TRIZ推進活動の成果と新展開および適用事例
 〜 いままでの活動結果からみえてきたこと 〜

粕谷 茂 / 坂巻 克巳(富士ゼロックス株式会社)

 
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最終更新日 : 2003.11. 6.    連絡先: 中川 徹  nakagawa@utc.osaka-gu.ac.jp