編集ノート
(中川 徹, 2001年 3月 3日)
本件は, 表記のように, 昨年9月に三菱総合研究所知識創造事業グループが主催した第2回日本IMユーザグループミーティング (注: IM: Invention Machine Corp.) において, 富士ゼロックス社から発表されたものです。このユーザグループミーティングは, 一昨年・昨年と開催され, ユーザ企業自身がTRIZの推進活動と技術的な適用事例を具体的に発表することで注目されて来ました。その中で, 昨年の富士ゼロックス社からの発表は特に積極的で, 推進活動の面でも適用事例の面でも, 質・量ともに豊富なものでありました。TRIZの導入活動が企業の内部からの力で着実に根を張りつつあること, そしてそれを対外的に公表できる段階に達してきたこと, を強く印象づけるものでありました。今年の年明け早々に, 粕谷 茂 氏が, 昨年の発表ファイル一式を電子メールで送付してきて下さいました。本ホームページへの掲載にあたり, これらのファイルをPDF形式にしました。発表資料は詳細なスライドですが, 文章がついていませんので, 粕谷さんにお願いして, 以下に掲載します簡単な導入の文章をいただきました。このような実践活動の内容を本ホームページで公表できることは非常に幸なことです。著者をはじめ, 下記の関係者の皆さんに厚くお礼申し上げます。
著者: 粕谷 茂 氏 (富士ゼロックス(株) 研究開発センター 研究推進室) E-mail : shigeru.kasuya@fujixerox.co.jp
伊本 善弥 氏 (富士ゼロックス(株))
所属企業: 富士ゼロックス株式会社 WWWサイト: http://www.fujixerox.co.jp/
初出学会主催者: 三菱総合研究所知識創造事業グループ WWWサイト: http://www.internetclub.ne.jp/IM/
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TRIZ 第二回 日本IM ユーザーグループミーティング発表テーマ1. 日時
2001年9月13(木) - 9月14日(金)
2. 場所
ラフォーレ琵琶湖
3. 発表者
富士ゼロックス(株) 粕谷 茂 / 伊本 善弥4. 要旨とコメント
テーマ:「富士ゼロックスにおけるTRIZ推進活動と代表的適用事例」
<推進方法>
富士ゼロックスでは、1997年より試験的に英語版を購入し検討を開始して以来、主に研究開発センターが中核となってTRIZ研究会を組織して1回/2ヶ月、全社的に展開浸透を図っている。TRIZ研究会においては、社内事例発表、社外事例による教育、知識創造研究会活動のフィードバックが主な活動となっている。インフラ整備として、三菱総研主催のベーシックコースへのキーマンの派遣、TOPEのネットワークでの活用を促進している。2001年度には、いままで検討し尽くされたテーマを取り上げ、それでもコストダウンや特許を創出できることを証明し、TRIZの有効性をPRした。
<技術開発事例A: 稀ガス蛍光ランプの黒化対策にTRIZ手法を応用した事例>従来、原稿読取スキャナの光源として、キセノン等の稀ガスを封入したランプを使用している。内部電極・外部電極間の放電による損傷(黒化)が発生しているという課題に対して、Effect を適用し、放電現象を再評価してみた。現象は、陰極側(相対的に負電圧となる電極)に、陽イオンが激突することで起こることを発見し、外部電極に対し、内部電極側を常にプラスの電圧に維持すれば、課題となる現象を回避できると発想した。本事例は特許出願済みである。日経メカニカル2001年11月号にて紹介されている。
<技術開発事例B: 光-電気変換用フレキシブル基板の実装トラブル解決事例>平板導光路(シート状の伝送媒体)と、拡散光学系(光拡散フィルム)からなる富士ゼロックスで開発して光シートバスを使った基板の試作でのトラブル事例である。フォトダイオードを搭載した光-電気変換用フレキシブル基板において、ICチップをワイヤボンディングする実装工程で、ワイヤボンディングができないトラブルが発生した。それに対して、「40の発明原理」の中の「3. 局所的性質」、「10. アクションの先取り」から、解決策を発想した。普段から「40の発明原理」に目を通していたために実現できた事例である。日経マイクロデバイス2002年2月号にて紹介されている。<コストダウン事例C: 複写機部品のコストダウン事例>複写機部品のVAにおいて、プロダクト分析からトリミングを実施し、部品点数削減まで結び付けている。部品単品ではわずかだが、量産部品のため効果金額としては大きな額となった。<マネジメント事例D: 人材開発テーマの施策創出事例 >マネジメント事例にチャレンジしたものである。標準(従来)の問題解決のロードマップを使わずに、Ellen Domb チャートの活用により、IFR (最終理想解) から出発して、QFD(品質機能展開)により要求品質(ニーズ)と品質特性(評価項目)により課題を整理した。それを、プロダクト分析によりPredictionにつなげアイデアを抽出して施策の詳細項目までブレークダウンしていった。いままでにない意外な発想が付加された。
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