TRIZ教科書 (案内と資料)


『TRIZ 実践と効用 (1A) 体系的技術革新(改訂版) 新版矛盾マトリックス Matrix 2010 採用』 の出版案内

原著者:        Darrell L. Mann (英国)
原著(英語初版):   Hands-On Systematic Innovation、
          CREAX Press, ベルギー, 2002年刊

監訳者:     中川 徹 (大阪学院大学名誉教授)
訳者:      知識創造研究グループ
出版:      クレプス研究所 (千葉・柏)
出版日:    2014年 2月16日刊行
出版形態:   印刷製本版。 B5版。 

掲載:       2014年 2月16日;更新: 2014. 3.10; 4.17; 2015. 4.25; 9.30; 11.11

==> Matrix 2010 A2サイズシート 普及用販促セット (1A+)(2A+) の 案内 (2015. 9.30; 2016. 6.11; 9. 9)

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 編集ノート (中川 徹、2021. 1.28) 本ページは、出版の内容面を主体にするため、販売面の記述を削減しました。

販売形態や販売サイトなどが、年月とともに変遷し、本ページが分かりづらくなってきましたので、ここでできるだけすっきりさせることにしました。つぎのページをご利用ください。

『TRIZ 実践と効用』シリーズ 内容面の親ページ(販売面の副ページ) 『TRIZホームページ』内 

『TRIZ 実践と効用』シリーズ 販売面の親ページ 「クレプス研究所 のサイト」内  http://crepsinst.jp/

Amazonサイト内 中川 徹のプロフィールページ (Amazon内での中川の著作一覧) 

本件 『TRIZ 実践と効用』シリーズ (1A) の販売ページ 「Amazon サイト」内  

 

 編集ノート (中川 徹、2014年 2月 9日) (追記: 2014年3月10日)

『TRIZ 実践と効用』のシリーズ出版を再開し、本書改訂版をその第1巻として皆さんに提供できることは、実にうれしいことです。Darrell Mann のこの著書は、「西側世界で新しくなったTRIZ」 を分かりやすくそして深く懇切に説明した名著です。改訂にあたり、矛盾マトリックスの最新版 Matrix 2010 を採用しました。これは、TRIZの創始者アルトシュラーの構想と労苦を受け継ぎ、Mannらが2000年にIT技術を活用して開始した大規模な研究プロジェクトの成果です。

Mannは、Systematic Innovation 、すなわちイノベーションを体系的に進めること、そしてそのための方法を作り広めることを大きな目標にしています。その意味では、この訳書で「イノベーション」を「技術革新」と訳したことは少し問題があるのですが、Mann は本書の続編として、「ビジネスのための」と「ソフトウエアにおける」とを明記した本を出版し、本書を「Technical」と言及することがありますので、この訳書の題名で適切なものと思っています。

出版の再開にあたり、電子書籍の形態を選択しました。サイト(DLmarket)に登録したPDFファイルを、読者がネットワークを介してダウンロードし、読み・使うことができます。出版社側の財政リスクが軽減され、販売・配送が自動化されました。ただし、読者にとってやはり捨てがたい長所がある、「紙に印刷した本」にする段階を読者任せにしており、ご不便をおかけします。読者が直接に印刷・製本まで含めた注文をするやり方、すなわち、読者はデジタル形態 and/or 印刷物を個別にネットワーク購入できるとよいと思っています。(この点を昨年12月半ばにDLmarketに要請しましたところ、すぐに「現在鋭意開発中です」との返信がありました。期待しています。)

**!!**  2月20日にDLmarketサイトが「製本直送」の販売形態のサービスを開始しました。早速、本シリーズを「ダウンロード版だけ」、「製本版だけ」、「両方同時」の3形態で購入可能にいたしました。ご希望の形態を選択ください。(2014. 3.10)

本シリーズの出版再開にあたり、堀田政利さんに改めて深く感謝いたします。1997年に三菱総研で日本でのTRIZの導入と普及の事業を開始・主導され、その後ずっと創造開発イニシアチブ社として、また日本TRIZ協会の事務局長として2012年末まで、TRIZの普及に尽力いただきました。いまは引退されましたが、本シリーズの出版だけでなく、日本でのTRIZの普及・浸透に多大な貢献をいただきました堀田さんに感謝し、今後のご健康とご多幸を祈ります。

本シリーズの出版再開によって、さらに多くの人々にTRIZをよく理解いただき、それぞれの仕事での問題解決に利用されるようになることを願っています。

本件のチラシを作りました。知人・同僚の方への推奨、また、大学、会社、地域の図書館/図書室での購入検討などに、お使いいただけますと幸いです。TRIZの教科書・教材が全国のいろいろな図書館/図書室に備わっていることは、TRIZの普及の大事な鍵だと認識しました。(2014. 4.17)

 

 本件の現在の販売形態と販売ページ (中川 徹、2021. 1.28)

印刷製本版(B5版) (1A)  Amazon マーケットプレース 

印刷製本版(B5版)+Matrix シート5組 (1A+)  Amazon マーケットプレース 

 


 出版概要

訳書名:     TRIZ 実践と効用 (1A) 
          体系的技術革新(改訂版) 新版矛盾マトリックス Matrix 2010 採用

原書:               "Hands-On Systematic Innovation",
                      Darrell Mann 著, CREAX Press, 2002年 5月 刊

監訳:              中川  徹 (大阪学院大学名誉教授)    
訳:                 知識創造研究グループ
表紙デザイン:  後藤一雄
発行:              クレプス研究所 
出版日:           2014年 2月16日 (DL版)、 2014年 3月10日(製本版)


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訳者一覧 (所属は初版出版当時(2004年6月)):
    堀田 政利、福村 三樹郎、上田 宏、森久 光雄、川嶋 浩暉、
    冨樫 伸行 ((株) 創造開発イニシアチブ)、
    三原 祐治、古謝 秀明 (富士写真フイルム (株))
    粕谷 茂、伊本 善弥、坂巻 克己、野田 明彦 (富士ゼロックス (株))
    保田 尚男、川久保 俊夫、杉山邦利、後藤 一雄 ((株) リコー)

発行形態:   印刷製本版  (ダウンロード版 - 販売停止中)

チラシ(PDF)

(参考) 和訳初版 (2004年6月)の詳細情報のページ   (参考情報が豊富です) 

 
 


 出版案内 (中川 徹, 2014年 2月11日)  [ダウンロードサイトに登録した紹介文です] (更新: 2014. 3.10)

上記の表題のようなTRIZ教科書を、このたび電子書籍の形態で、翻訳・出版いたしました。どうぞご愛読下さい。 

TRIZ(発明問題解決の理論)の教科書のシリーズ『TRIZ 実践と効用』を新しい形で、電子書籍+印刷本として出版再開しました。再開の第一巻は、Darrell Mann の不朽の名著『体系的技術革新』の和訳改訂版です。

イノベーションを実現するための、技術的思考とビジネス的思考について、ロシアで開発されたTRIZと西側の考えとを統合して記述しています。西側の思想によって最もよく消化された、体系的なイノベーションのためのTRIZ教科書といえるでしょう。

この本のすばらしい点は、著者らが大規模な特許調査(1985年以後の米国特許の全件調査) を継続して、アルトシュラーが始めた知識ベースとそこから抽出した知恵を、最新の科学技術情報を用いて刷新したことです。

原著初版(2002年)の段階では、この特許調査が中途段階であったために、TRIZの矛盾マトリックスについてはアルトシュラーの古典版(1973年)を用いて説明していました。その後著者Mann が矛盾マトリックスの新版をMatrix 2003 として出版し(和訳出版2005年)、さらにMatrix 2010を出版しました

そこで、本書の再出版にあたり、特に著者に提案して、矛盾マトリックスの最新版Matrix 2010を本書に採用し、必要な修正を行いました。(英語版が同様の趣旨で遅れて改訂される予定です。)矛盾マトリックスがずっと使いやすく、より適切な発明原理を推奨してきますから、ご活用ください。

発行を商業出版社に引き受けて貰えませんでしたので、クレプス研究所を立ち上げて、出版いたします。販売実務の体制が全く弱体なのですが、DLmarketサイトで読者の皆さんに直接ダウンロードあるいは製本発注して購入いただける便利なやり方ができることになり、幸いです。

製本版は、ソフトカバーB5版、全502頁です。ネットワークで発注すると、オンデマンドで印刷製本され、購入者に直接届けられます。ダウンロード版は、製本版の全体を収録したA4サイズのPDFファイルが主体です。他に、矛盾マトリックスのパラメータ一覧、発明原理一覧、矛盾マトリックスMatrix 2010の一覧の各A2サイズシートのPDFファイルをつけています。

ユーザの皆さんは、ダウンロード版だけ(定価5000円+税)、製本版だけ(7000円+税)、両方同時(10000円+税)を選択して購入できます。発注法にご注意ください。

製本版だけ欲しい => 製本版のページで、「ダウンロード(ダミー)+製本版」を発注。

ダウンロード版だけ欲しい => ダウンロード版のページで、「ダウンロード版」を発注。

両方欲しい => ダウンロード版のページで、「ダウンロード版+製本版」を発注。

またこれらの購入者に、上記のA2サイズのシート(2枚3面)の印刷物を、ご希望に応じて無料送付するサービスを提供しています。

ご愛読、ご活用ください。


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クレプス研究所

 

 チラシ    本書のチラシ      本シリーズ総括ページのチラシ



 編集ノート: 掲載内容の一覧 (中川 徹、2014. 2.12)

本ページおよび初版の案内ページには、以下の情報を掲載しています。(目次順に記載)

日本語ぺージの掲載内容:   初版の案内ページ    #印: 改訂版の案内ページ (本ページ)

a.   原著の序文                   (原著者 Darrell Mann の原著への序文)

b.  日本語版(初版)のための著者序文          (Darrell Mann、  2004)

c.  監訳者ま えがき(日本語版初版)        (中川  徹、 2004年 5月16日)

d.  日本語改訂版への著者の序文 #  (Darrell Mann、2014. 1.27)

e.  日本語改訂版への監訳者のまえがき #  (中川 徹、2014. 2. 4)

f.  目次  (改訂版概要) # 

g.  日本語改訂版での「新訳注」(中川)の例示  (10章 技術的矛盾・矛盾マトリックス の関連) #

h.   著者紹介・監訳者紹介・訳者一覧・奥書 (初版)

i.  目次(初版)       [PDF  324 KB]             (日本語版で原書よりも詳細化したもの)

j.  索引 (初版)        [PDF  462 KB]             (日本語版で詳細に作成したもの)

 

 

英語ページの掲載内容:

a.  日本語版の出版案内 と 英語版のための参考情報 (本ホームぺージ掲載) の案内 (初版) (英文)

b.  日本語版(初版)への原著者の序文 (英文)             (Darrell Mann, 2004年 1月)  (英文)

c.  日 本語版(初版)の監訳者まえがき (英文)              (中川  徹, 2004年 5月16日)  (英訳: 中川)

e.  英語版初版からの改訂・正誤表および質疑応答と日本語版(初版)での改良点の資料 (英文) 
      e1.   (Part 1) 質問・コメント (中川 徹, 2003年8月) と 著者回答 (2003年11月)  [PDF 116 KB] 
      e2.   (Part 2) 質問・コメント (中川 徹, 2003年10月) と 著者回答 (2003年11月) [PDF 159 KB] 
      e3.   (Part 3) コメント (中川  徹)  (2004年 1月)   [階層的な節見出しと詳細目次]  [PDF 101 KB]
      e4.   (Part 4) コメント (中川  徹)  (2004年 6月)   [日本語版での訳注一覧とその他の改良点]  [PDF 61 KB]

f.   詳細 目次 [PDF 45 KB]    (日本語版(初版)で拡張・作成。日本語版からの英訳。英語原著のページに対応) 

g.  詳細  索引   (日本語版(初版)で拡張・作成。日本語版から英訳して掲載の予定。英語原著のページに対応)

 

日本語版改訂版の案内ページのリンク集

本ページの先頭 出版概要 販売形態と定価 著者序文 監訳者まえがき 目次 日本語改訂版の「新訳注」 本書のチラシ
『TRIZ 実践と効用』シリーズ出版案内 『(2A) Matrix 2010 』詳細ページ   『(1) 体系的技術革新』初版出版案内 同 索引詳細PDF  

ダウンロードサイト商品ページ

英文ページ

日本語版初版の案内ページ内へのリンク集

本ページの 先頭 編集ノート 原著序文 Mann日本語版序文 中川まえがき 目次(概要) 著者プロフィル 英語ページ
目次詳細 [PDF] 索引詳細 [PDF] Q&A (1) Q&A (2) Q&A (3) Q&A (4)
翻訳とDTPのノウハウ
 

 


 日本語改訂版への著者の序文 #  (Darrell Mann、2014. 1.27)

『体系的技術革新』の新しい日本語版にこの序文を書いていますのは本当に幸せだと感じます。私が関与することができました沢山の著作プロジェクトの中でも、この本が最も広く翻訳され、また読者から研究を刺激するフィードバックを最も多く得たものです。

私の「体系的革新」研究のすべてにおいて、その主要なテーマの一つは、その分野を絶えず前進させて行きたいという願望でありました。元のソビエトのTRIZ研究者たちの多くが、TRIZはすでに「完成しており」、「いじるべきでない」と主張しておりました。その中で私たちのチームが肝に銘じたのは、音楽の世界における偉大な革新者の一人である Miles Davisが言った有名な言葉です。「安住してはいけないよ。沢山のミュージシャンたちが安住してだめになったのだ。」

例えば、1970年代に作られた「矛盾マトリックス」の原版を繰り返し印刷するだけでしたら、随分容易だったことでしょう。しかし私たちは、矛盾マトリックス [の推奨情報] が信じがたいほど不正確になってしまっていたことを知りました。そこで私たちは敢えて、矛盾マトリックスを更新して、問題解決者たちの進化するニーズにベストに役立つようにそれを維持するという任務を買って出たのです。以後その仕事は、資源を食い続ける献身的な研究プログラムになっていきました。矛盾マトリックスの最新版を本書の日本語改訂版に組み込むことができ、特に嬉しく思います。

その最新版は実は2010年に出版されたものです。このことは、技術的な問題解決の世界がこの数年間にあまり大きく変化しなかったことをはっきり示しているのでしょう。Matrix 2010は、2014年の今も2010年のときと同じく正確です。

この見かけの停滞の理由は、世界の企業の大部分での変革活動の焦点が近年顕著にシフトしたからだと、私たちは考えます。少なからぬTRIZの寄与もあって、技術的な問題解決の世界は、随分と繰り返し可能なプロセスになりました。他方、マーケッティングと組織の能力に関する問題解決の仕事は、まだなお混沌として制御不能であり、科学とは程遠い試行錯誤の「アート」に近いものです。このため、最近10年間、私たちは研究活動の焦点を主として後者の領域にシフトしました。このシフトの判断は正しかったと、私は信じています。

革新のプロセスの中で、技術的問題解決の部分は、マーケッティングや実施に関する部分よりもはるかに進んでいます。そのため、後者の二つの領域が「追いついてくる」までの間は、技術的な問題解決をした人々が多数、自分たちのプロジェクトの失敗を目にすることでしょう。その理由は、彼らが正しく仕事をしなかったからではありません。マーケッティングチームから間違った問題を与えられたか、あるいは、彼らが創出した新しい解決策を組織が実施できなかったからでしょう。

企業や組織がこれらの問題を解決するのを助けようとして、私たちは 『TrenDNA』 と『ICMM』を提供しています。しかし現在の推定では、非技術の分野が追いついてきて、科学者や技術者たちが再びフルスピードで前進できるような世界になるには、恐らくもう5年か10年を必要とするでしょう。

その間、日本の技術コミュニティの関心事を中川徹教授が見守ってくれているでしょう。将来世代の科学者や技術者たちがTRIZとその後続のものの進化について振り返ってみたとき、彼らが見る最初の人々の中に中川教授の名前があるだろうと、私は信じています。TRIZの世界で、これほどまでにこのテーマに時間とエネルギーを捧げ、この分野の進化について完全で整合のとれた記録を配信した人は他にいません。いつの日か、同教授の貢献と業績に相応しい評価が与えられることを、私は切に願っています。もしそのようなプロセスを始める機会を得れば、私はまず私個人としてありがとうと言いたいと思います。すべての力があなたにあるように。Toru、この文をあなたに。

                                                 2014年 1月27日    Darrell Mann

 日本語改訂版への監訳者のまえがき #  (中川 徹、2014. 2. 4)

原著とその日本語版は、「体系的技術革新」に関して、洞察に富む豊富で分かりやすい教科書として、世界でも日本でも多くの技術者や実践者に評価されてきました。旧ソ連でゲンリッヒ・アルトシュラーが開発・樹立したTRIZ(「発明的問題解決の理論」)をベースにして、それに西側の多くの技法や思想を取り入れて、まとまった体系として記述しています。

本書のすごいところは、著者らが2000年に開始した (1985年以降の) 米国特許の全件の分析(スクリーニングした約1割のものの詳細分析)の成果に基づいて、TRIZの知識ベースを刷新して記述していることです。ただ、原著初版(2002年5月)の段階では、その研究の中間段階にありましたから、矛盾マトリックスについてはアルトシュラーの古典版マトリックスを説明・掲載しておりました。2003年3月に研究の全貌が発表され、新版矛盾マトリックスMatrix 2003が公表されています(和訳出版2005年)。著者らの研究は、その後もソフトウエア開発分野、ビジネスのマーケッティングと実施の分野、生物のもつしくみなどの分野に拡大しつつ継続されてきて、技術分野ではMatrix 2010を開発しました。

今回、日本語の改訂版を出すにあたり、全章を再検討しました結果、矛盾マトリックスを古典版から最新版(Matrix 2010)に置き換えることが、ぜひ必要・有益であると判断しました。これを著者に提案し、快諾を得ました。矛盾マトリックス一覧表(折込)、およびパラメータの説明(付表2、3) はMatrix 2010 に統一していますが、第10章のテキストは最小限の変更にとどめ、古典版での説明の中に最新版での情報を挿入しております。またその他には、第11章の物理的矛盾の説明に少しの補足を加えただけで、その他の章ではほとんど変更の必要を認めませんでした。

TRIZが日本に紹介されてから、18年ばかりになります。この間にいろいろな本が出され、ソフトツールが導入され、企業での導入・適用・推進が行われ、大学での授業が試みられ、TRIZ協会ができ、毎年の国際シンポジウムが開催され、などしてきました。世界的にも、多数の国で企業実践がありますし、国際会議も複数のものが毎年開催されています。TRIZは随分広まったともいえます。しかし、まだまだ本当に定着していないと思います。「イノベーション」というキャッチフレーズがもてはやされているのに、それを確実に実現する科学的な方法にほとんど目が向けられていない。TRIZとそれを発展させた「体系的(技術)革新」がその基盤を作っている。それがもっと認識され、活用されるようにしていかねばならないと思っています。本書は、技術革新とイノベーションを、身近な問題から、技術・非技術の高度な問題にまで適用・実践して行けるようにする科学的方法に関しての、最も信頼のおける教科書です。沢山の方に読んでいただきたいと願っています。

この『TRIZ 実践と効用』のシリーズの発行元でありました株式会社創造開発イニシアチブが、堀田政利社長の引退に伴い2012年末に廃業しました。私がその出版権を引き継ぎましたが、いろいろな出版社に再出版してもらうことができませんでした。そこで、私が新しく「クレプス研究所(CrePS Institute)」を立ち上げて、出版することにしました。販売・実務体制は全く弱体ですので、インターネットでのダウンロードを中心にした形態での出版にいたします。具体的なやり方は、『TRIZホームページ』(http:// www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/) とクレプス研究所サイト (http://crepsinst.jp/) での案内を参照ください。

本書日本語改訂版の出版にあたり、初版の翻訳を担当下さった(旧)「知識創造研究グループ」の皆さん、特に堀田政利さんに感謝いたします。また、改訂版にMatrix 2010の収録を許可いただき、身に余る序文を寄せてくださった著者Darrell Mann 氏に深く感謝いたします。

この本を手に取って読んでくださっている読者のあなたに、お役に立てることを祈って。

                                                     2014年 2月 4日        中川 徹


 目次 (日本語改訂版、概要のみ)    #印は改訂版での改訂・挿入項目を示す

原著の序文  

日本語版(初版)のための著者序文  

監訳者まえがき (日本語版初版)

日本語改訂版への著者の序文  # 

日本語改訂版への監訳者のまえがき #

目次 

第1章  はじめに  TRIZの概要: ツールキット?手法?思想?

みんなのためのTRIZ (学ぶのに一年もかけたくない人々へ)、  TRIZの全体像の概要 

第2章  体系的創造性プロセスの概要  

一貫したプロセス、  問題解決と機会の特定

第3章  創造性の心理学  

「一般化した」設計解決策と「具体的な」設計解決策との間隙、  TRIZ思考ハット、  心理的惰性、
情報の構造化−TRIZとマインドマップ、 グループの心理学               

第4章  システム・オペレータ/9画面法  

システム・オペレータの概念、  全世界を表す9画面法、  箱と箱の間−見方を変える、
もう一つの次元を導入する、  他の諸観点を統合する、   システム・オペレータ/9画面法のまとめ

第5章 問題定義 − 問題探索ツール 

効用分析、  リソースを特定する、  制約を特定する、   「泣きどころ」を特定する、   
問題探索のまとめ、  実施例: 自転車サドルの改良に関する問題探索 

第6章  問題定義 – 機能と属性の分析  

機能と属性の分析の進化、   簡単なシステムに対する機能と属性の分析 (FAA)、 
複雑なシステムに対する機能と属性の分析、  時間に依存するプロセスに対する機能と属性の分析、 
オプショナルないくつかの拡張

第7章  問題定義 − Sカーブ分析  

Sカーブとシステムの進化、  Sカーブと問題定義、  
システムが現行Sカーブ上のどこに位置するかを見つける 

第8章 問題定義− 理想性/究極の理想解 

問題定義ツールとしての理想性/究極の理想解、  事例 研究、  他のツールへのつながりと補足的考察 

第9章 解決ツールの選択 

Sカー ブ分析による問題タイプの識別、矛盾が存在する場合、  
機能と属性の分析で不十分・過剰・欠落作用が明らかになる場合、 
システムや機能や問題点が不明確な場合、  ねらいが明確な場合、   
特許を回避する場合と強化する場合、   機会の探索および最適化を目指す場合と困惑した場合、 
問題に優先順位をつける、   ツール選択の要約表

第10章 問題解決ツール − 技術的矛盾/発明原理 #

「矛盾の解消」、「妥協の排除」という表現についての予備的考察、    矛盾マトリックス #、 
事例で見る矛盾マトリックスと発明原理の使い方 #、   矛盾の連鎖、  
矛盾マトリックスがうまく働かないとき、何が起こるか? #   発明原理 

第11章 問 題解決ツール − 物理的矛盾

4つ [5つ] の分離戦略 #、  事例研究1: 自動車のホイールカバー、   事例研究2: 自転車のサドル、
事例研究3: スピード抑止帯、   物理的矛盾のグラフ表現 

第12章 問題解決ツール − 物質-場分析/発明標準解

「物質-場モデル」による表現法、   「物質-場モデル」と「発明標準解」を使う手順、  「場」 の一覧、
事例研究の例、   「発明標準解」とその事例の一覧表

第13章 問題解決ツール − 技術進化のトレンド

進化のトレンドの一般的な読み方・使い方と二 つの例外、   システム進化の戦略、  
問題解決ツールとしての技術進化のトレンド、   トレンドを組合せて利用する、 
逆転して見えるトレンド、   トレンドの参考資料について、  技術進化のトレンドの一覧 

第14章 問題解決ツール − リソース 

リソースを特定するためのヒント、   「予期しない」リソース、および害を益に変えること

第15章 問題解決ツール − 知識ベース/物理的効果 

物理・化学・生物学的効果のデータベース (機能による分類)、  
属性を変更する物理的効果のデータベース (属性のタイプで分類)、   特許検索の戦略

第16章 問題解決ツール − 発明問題解決のアルゴリズム (ARIZ)

ARIZの背景、  ARIZプロセス − 「体系的創造性プロセス」の枠内で、  
ARIZの事例研究の例: 人力飛行機の問題 

第17章 問題解決ツール − トリミング

トリミングツール、   トリミングのルール、   トリ ミングの事例研究の例 

第18章  問題解決ツール − 理想性/究極の理想解  

構造化思考のための質問表、   「セルフ」解決策を導くツール: 「セルフ-X」 特許群、
リソースとシステム階層のツール 

第19章 問題解決ツール − 心理的惰性の打破

9画 面法/システムオペレータ、  小さな賢人たちのモデリング、  
サイズ−時間−インタフェース−コスト (STIC) ツール、   「何のために?/何が妨げか?」の分析ツール 

第20章 問題解決ツール − 信頼性の向上と破壊分析 

信頼性の概念の基本、  信頼性の矛盾、  信頼性のための設計、 
「信頼性のための設計」の将来の重要性 

第21章  解決策を評価する  

「最良」の解決策を選定する、  十分良いか?

第22章 未来に向かって

TRIZと「体系的創造性」、  進化するTRIZ、   進化する「体系的創造性」、  さらに進んで

補遺

付表1.   「問題を定義するための」シート集 

付表2. 矛盾マトリックスのパラメータの一覧 (Matrix 2010) #

付表3.  パラメータの改良に際して検討すべき発明原理 (Matrix 2010) #

付表4.   新版矛盾マトリックス  Matrix 2010 (8頁分割表)  #      (2014. 3.10  原稿を修正)

索引

著者紹介・監訳者紹 介・訳者一覧

 

付録:  矛盾マトリックスのパラメータ一覧と発明原理  # -----[DL版収録]  [希望者に別送]

         矛盾マトリックスシート (Matrix 2010) # ---- ------[DL版収録]  [希望者に別送]

 

注: 従来の折込A2シートは、製本工程の体制上添付できません。このため、分割8頁の付表4としました。(2014. 3.10)

また、別途、j上記の付録に対応するものを印刷したA2サイズのシート(2枚3面)を、本書の購入者で希望される方に無料で配布するサービスをしています。
==>『((2A) 新版矛盾マトリックス Matrix 2010』の付録の説明を参照ください。 (2014. 4.17)

 


 日本語改訂版での「新訳注」(中川)の例示  (10章 技術的矛盾 の関連)

日本語改訂版は、原著の改訂に先んじて監訳者中川の判断で、テキストや表を挿入しており、それらを「新訳注」と表示して、文責を明らかにしている。ここに、その代表的な箇所、読者の皆さんに参考になると思われる箇所を例示する。見出しは、節番号、節タイトル、挿入ページ番号を示す。

10.2.1 矛盾マトリックスの概念と基本的な考え方  p.152

[新訳注: 著者らは1985年以降の米国特許を大々的に調査して、「新版矛盾マトリックスMatrix 2003/2010」を開発した。10.2.2-3節、参考文献 追加7-9参照。本書改訂版では、付表(パラメータの一覧、各パラメータの改良に際して検討すべき発明原理) と折り込み付録(矛盾マトリックス) に、最新版Matrix 2010を掲載している。ただし、矛盾マトリックスの形式と使い方は古典版と新版で変わらないので、本章の使用法の記述は初版のままとし、いくつかの[新訳注]をつけるにとどめた。]

10.2.2 矛盾マトリックスのパラメータの解釈 (古典版39個、Matrix 2010で 50個)  p.153, p.154

[新訳注: 矛盾マトリックスのパラメータは、古典版の39個から、Matrix 2003で48個に、Matrix 2010では50個に拡張された。また、新版では(システムの進化の段階に対応するように) 分類と並べ替えが行われた。これらの関係を概観するために、表10.1にはMatrix 2010の50個のパラメータを示し、古典版での番号を右欄()内に付記した。古典版でのパラメータが細分化されたというよりも、「問題を見る新しい観点が意識され、新しいパラメータとして追加された」というべきであろう。]

表10.1 矛盾マトリックスのパラメータ(Matrix 2010版(50個)と古典版(39個)の関係) [本体は掲載しない』

[新訳注: 新版Matrix2010の50個のパラメータを、分類され、並べ替えられた順で示している。 これは新版Matrix2003の48個のパラメータに、「無形のもの」のパラメータ二つを(47、48として)挿入したものである。右端の欄には、古典版でのパラメータ番号を ( ) 内に示す。古典版パラメータの名称と意味は変わっていない。(-)は古典版にはないものである。各パラメータの意味の詳細は、付表2を参照。なお、本章中ではパラメータ番号を「(古典番号) 新版番号」の形式で示す。]

[新訳注: 巻末の付表2に、新版矛盾マトリックスMatrix 2010の50個のパラメータの意味(定義および関連語のリスト)を一覧にして示す。これは新版マトリックスの開発に際して開発者が用いた意味基準だから、新版マトリックスを利用するのにユーザが同じ意味基準を用いることによって、一貫性が保たれ、発明原理の推奨がより有効になる。]

10.2.3   矛盾マトリックスの新しいバージョン [Matrix 2003] [およびMatrix 2010]  p.155

[新訳注:また、それ以前の1970年代初めに、アルトシュラー自身が、膨大な労苦の末に完成させた矛盾マトリックスの有効性に限界を感じ、より強力な方法を求めて「技術的矛盾」から「物理的矛盾」に進んだ。そして、1975年版以後のARIZには矛盾マトリックスを採用せず、弟子たちにその使用を薦めなかった。それでも、1990年代にTRIZが西側世界に伝えられたとき、この矛盾マトリックスが非常に広く紹介され、歓迎された。矛盾マトリックスの評価に関するこのような数奇な歴史については、参考文献 追記7-8) などを参照されたい。]

[新訳注: 上記の(著者らの)膨大な研究の成果として、『新版矛盾マトリックスMatrix 2003』(参考文献 追記7)が2003年に出版された。科学技術や産業の進展に応じて問題の分野や焦点が変化し、よく使われて推奨すべき発明原理も変化することが認識された。著者らはその後も世界の特許の分析研究を継続しており、『新版矛盾マトリックスMatrix 2010』(参考文献 追記9)を2009年に出版した。]

10.3.3 事例3: より良いレンチ p. 163    (ここは訳書初版テキストとその微改訂と 新訳注を示す。)

したがって、「応力または圧力」対「製造の容易さ」という矛盾を得る。そして、矛盾マトリックスを見ると、つぎの結果を得る。

• 改善しようとするもの: 応力または圧力 [パラメータ(11) 19]
• 悪化するもの: 製造の容易さ [パラメータ(32) 41]
• マトリックスが推奨するもの: 発明原理1. 分割
発明原理35. パラメータの変更
発明原理16. 部分的作用または過剰な作用

発明原理1「分割」および発明原理35「パラメータの変更」 (「柔軟性の度合いを増加させる」) はともに、図10.13に示す新規な解決策の中に結合されている (より詳細は参考文献 2) を参照)。[新訳注d]

[新訳注d] Matrix 2010が提示する発明原理は、2. 分離、1. 分割、35. パラメータの変更、17. もう一つの次元、16. 部分的な作用または過剰な作用、である。

10.5 矛盾マトリックスがうまく働かないとき、何が起こるか?  p.177

[新訳注f] これは、アルトシュラーが1971年に作り上げた「古典的な」矛盾マトリックスに関する記述である。また、ここの「成功率」の定義は明確でなく、人によって違うだろう。一つの問題を、今まで述べてきたような一つまたは複数の「技術的矛盾」の形式に解釈し、矛盾マトリックスを使って複数の発明原理の示唆を得たとしても、その発明原理が「成功に導くものであるかどうか」、そして実際に「成功した解決策アイデアを導いたかどうか」は、問題解決者に依存するからである。

これに対して、原著者Darrell Mannは、新版矛盾マトリックスMatrix 2003、Matrix 2010を開発し、それらが「適切な発明原理を推奨する確率」が90%以上であることを常に保証しようとしている。その実証のためには、さまざまな分野で新規に公開される米国特許のうちの優れたものを各年100件選び、そのそれぞれの問題に新版マトリックスを適用して推奨されてくる発明原理を知る。また一方、その特許のアイデアを解釈して、発明者が使ったとみなせる発明原理を知る。後者の発明原理が、前者の(複数の)発明原理の中に含まれていれば、矛盾マトリックスの推奨は適切であったと判定される。Darrell Mannの研究グループは、新規特許のデータを矛盾マトリックスに取り入れる作業を常時継続しており、この適切性の検証は取り込み作業の一環(副産物)でもある。詳しくは、参考文献追加7-9を参照されたい。

10.5.1 改善したいパラメータに基礎を置く発明原理の選択    p.177; p.178

[新訳注g] 著者らは、この発想のやり方をもとの特許データに戻ってきちんとやりあげ、マトリックスの行(すなわち各パラメータ)ごとにどの発明原理を使うとよいかを示す表を作った。次ページの新訳注を参照。

[新訳注: 著者らが新版マトリックスMatrix 2003、Matrix 2010を開発した過程で、1985年以降に公開され(分析の対象にした)全特許において、「改善したいパラメータ」のそれぞれに各発明原理がどれだけの回数使用されたかの情報が蓄積された。その結果を簡潔にまとめたものものを、本書の「付表3. パラメータの改良に際して検討すべき発明原理(Matrix 2010)」に示す。そこには、従来の使用頻度の降順に(統計的に有意な)10件程度の発明原理群と、TRIZの観点から「常に考慮するとよい」と著者が薦める発明原理群を記述している。コンパクトで有用な情報である。]

10.5.3 さまざまな見方 (40の発明原理の再整理)  p.180

[新訳注h] このような40の発明原理(およびその他のTRIZの諸方法)を再整理して構造化する試みは、いろいろな人々が行っている。特に、中川徹・古謝秀明・三原祐治(2004)は、40の発明原理、76の発明標準解、Mannの31の進化のトレンド、Sickafusの21のヒューリスティックスなどのすべてをいったんばらばらにして再構成し、「USITオペレータシステム」を作った。その5種の主オペレータは、オブジェクトの'複数化'、属性の次元的変化、機能の再配置、解決策の組み合わせ、解決策の一般化、である。

10.5のまとめ  何をするとよいのか? p.183

[新訳注i] 折り込みページ(付表4)には、初版での「(アルトシュラー作成の)古典的矛盾マトリックス」でなく、本書の原著者Darrell Mannらが開発した「新版矛盾マトリックス2010」を収録した。新版矛盾マトリックスの形式と使い方は、古典版と同じであり、本章で説明している。パラメータの一覧(と古典版との関係)は表10.1にあり、パラメータの意味の説明(定義と関連語)は付表2を参照されたい。

付表2. 矛盾マトリックスのパラメータの一覧 (Matrix 2010)  p.453-458

[訳注: この付表は、訳書改訂版において、『Matrix 2010』のデータから作成したものである。]

以下に、新版矛盾マトリックス(Matrix 2010)で使うパラメータの一覧表を示す。
パラメータ番号の欄で、(番号) は古典版での番号、(-) は古典版に含まれていないもの。
なお、Matrix 2003に比べると、Matrix 2010は無形のもののパラメータを 47と48に挿入した。

(注: 以下はこのホームページ用にごく一部を例示したものである。)

パラメータ 新版 (古典版) 定義 関連語
7.  (7)
移動物体の体積
移動しつつある/移動可能な 物体が占める空間または物体の周りの空間に関連した任意の三次元の寸法。 [体積]、容積、空間、空きスペース、大きさ、嵩 (かさ)、小ささ (コンパクトさ)、[移動可能空間]
8.  (8)
静止物体の体積
静止の
9.  (12)
形状
システムまたはその構成要素の、内部または外部の形あるいは輪郭であって、機能的および人間工学的理由から必要とされるもの
(美的理由から必要とされるものを除く [パラメータ39参照])
[形状]、パターン、輪郭、シルエット、形、外形、ジオメトリ、曲率、直線状、手の形の、頭の形の、[尖った、凸凹の、穴が開いた、らせん状の、翼形の]
28.  (24)
情報の損失
システムから出る (または、システムに入る) データの損失または浪費。また、データへのアクセスができないこと。五感 (視覚、聴覚、触覚 [あるいは運動感覚]、嗅覚、および味覚) の任意のものに関連するデータを含む。一部または完全な [損失]、永久的または一時的な [損失]。 [情報の損失/浪費、入力データの損失/浪費、出力データの損失/浪費、データへのアクセス不能、感覚異常]、誤解、[データ相互の] 干渉、[情報の] 歪み、フィルタリング [情報の一部しか伝わらないこと]、誤用、知識、[情報/知識の不使用]、意味、メディア
37.  (-)
セキュリティ
物体またはシステムが、正当な権利のないアクセス、使用、攻撃、盗難、その他の有害な効果に対して、自分自身を保護する能力。 [セキュリテイ、不当行為からの安全性、不当アクセス防御、不正使用防御、盗難防御]、アクセス、予防、防御、用心、事前対策、海賊行為、[コンピュータウィルス]
46.  (-)
制御の複雑さ
有用機能を提供するに際してシステムを制御するのに使っている、制御システムの複雑さ。物理的な構成要素の場合も、あるいはそれが内蔵するアルゴリズムの複雑さの場合もある。 [システム制御の複雑さ、制御システムの複雑さ、制御装置の複雑さ、制御アルゴリズムの複雑さ]、負のフィードバック [安定化させる方向の制御]、正のフィードバック [増幅・発振させる方向の制御]、比例型 [制御]、積分型 [制御]、差分 [制御]、PID制御 [比例-積分-差分の統合]
47.  (-)
ポジティブな無形のもの
ポジティブな無形のものとは、本質的に、第一義的な「楽しみを求める」モチベーションを起こさせるような因子である。 システムまたはオブジェクトに対する、(通常、人の) 感情的な反応や応答を決める、無形の要素のすべて。
顧客が一つの製品やサービスを買うか買わないかを決めるのに、無形の因子がますます重要になってきている。オブジェクトやシステムが提供する有形の機能が顧客たちにとって「十分だ」と認識されてくると、無形のものが顧客の購買の判断に入って来る。
福祉、幸福、興奮、高揚感、ドキドキする、慰め、共感、愛、情熱、生きる喜び、家族の絆、充実感、穏やかさ、性的アピール、未知の要因、霊、霊的存在、格好良さ
48.  (-)
ネガティブな無形のもの
ネガティブな無形のものとは、本質的に、第一義的な「苦痛を避ける」モチベーションを起こさせるような因子である。 短気、焦り、神経質、ストレス、苦悩、欲求不満、憎しみ、ライバル意識、だらけ、怠惰、心理的な心配、心因性の病気、落ち込み、鬱病、妄想、混同、困惑、悲しみ、怒り、ショック、恐れ

付表3. パラメータの改良に際して検討すべき発明原理 (Matrix 2010)  p. 459-462

[訳注: この付表は、訳書改訂版において、『Matrix 2010』の要点を採録したものである。]

本表は、1985年〜2009年の米国(および世界の)特許を分析して、『新版矛盾マトリックス Matrix 2010』を編纂した際のデータを、最もコンパクトな形式に表現したものである。

50個の各パラメータについて、それぞれを改良したい場合に検討するとよいTRIZの発明原理を、一覧表にして記述している。

これらの発明原理は、特許分析で出現した頻度の降順に(すなわち、従来の発明者たちがよく使った順に)記述している。さらに、著者(Darrell Mann)らがTRIZの観点から「常に考慮するとよい」発明原理を選定しており、それらを太字にして示している。太字の番号を( )で囲んだものは、出現頻度では有意でなかったもの(今までにあまり使われていないが重要と考えるもの)を示す。

必ずしも「技術的矛盾」の形式に定式化しないで(すなわち、「悪化するパラメータ」を特定しないで)、より直截的に問題を解決するためのヒントとして(数個〜十数個の)発明原理を得ようとするものである。

パラメータ 新版 改良に際して検討すべき発明原理 (頻度の降順)
および 常に考慮すべき発明原理 (太字)
7. 
移動物体の体積
35. パラメータの変更, 1. 分割, 3. 局所的性質, 10. 先取り作用, 13. 逆発想, 28. メカニズムの代替/もう一つの知覚, 31. 多孔質材料, 30. 柔軟な殻と薄膜, 2. 分離, (7). 入れ子
8. 
静止物体の体積
35. パラメータの変更, 2. 分離, 28. メカニズムの代替/もう一つの知覚, 3. 局所的性質, 13. 逆発想, 40. 複合材料, 1. 分割, 31. 多孔質材料, 24. 仲介, 30. 柔軟な殻と薄膜, (7). 入れ子
9.
形状
35. パラメータの変更, 3. 局所的性質, 2. 分離, 1. 分割 28. メカニズムの代替/もう一つの知覚, 31. 多孔質材料, 5. 併合, 14. 曲面, 7. 入れ子, 17. もう一つの次元, (4). 非対称,
28. 
情報の損失
24. 仲介, 25. セルフサービス, 10. 先取り作用, 7. 入れ子, 37. 熱膨張,
28. メカニズムの代替/もう一つの知覚, 37. 熱膨張, 32. 色の変化, 1.分割, 3. 局所的性質, 13. 逆発想, 17. もう一つの次元, (23). フィードバック
37. 
セキュリティ
13. 逆発想, 17. もう一つの次元, 3. 局所的性質, 4. 非対称, 2. 分離, 28. メカニズムの代替/もう一つの知覚, 37. 熱膨張, 1. 分割, 35. パラメータの変更, 7. 入れ子, (11). 事前保護
46. 
制御の複雑さ
10. 先取り作用, 25. セルフサービス, 13. 逆発想, 2. 分離, 7. 入れ子, 35. パラメータの変更, 1. 分割, 37. 熱膨張, 28. メカニズムの代替/もう一つの知覚,(23). フィードバック
47. 
ポジティブな無形のもの
28. メカニズムの代替/もう一つの知覚, 24. 仲介, 3. 局所的性質, 23. フィードバック, 35. パラメータの変更, 5. 併合, 13. 逆発想, 25. セルフサービス, 7. 入れ子, 10. 先取り作用, 2. 分離, 26. コピー, 1. 分割, 13. 逆発想, 2. 分離, (18). 振動
48. 
ネガティブな無形のもの
24. 仲介, 23. フィードバック, 5. 併合, 7. 入れ子, 13. 逆発想,
10. 先取り作用, 3. 局所的性質, 35. パラメータの変更,
25. セルフサービス, 1. 分割, 2. 分離, 
28. メカニズムの代替/もう一つの知覚, (18). 振動

付表4:   矛盾マトリックス  Matrix 2010 (8頁分割表示)  # 

[最新版の50×50の矛盾マトリックスの 一覧シートを、8頁に分割して本体に組み込んだ (2014. 3.10)。このホームページでは掲載省略。]

 

付録:  矛盾マトリックスのパラメータ一覧と発明原理  # --[DL版収録]  [希望者に別送]

         矛盾マトリックスシート (Matrix 2010) # ---- -----[DL版収録]  [希望者に別送]

 

サ−ビス: 本書(製本版/DL版)または『(2A)Matrix 2010』を購入された方に、上記の付録A2サイズシート(2枚3面)(非売品)を無料でお送りするサービスをしております。ご希望の方は、購入書(版)名、購入日、送付先住所、氏名を、Emailで発行者(nakagawa@ogu.ac.jp)までお知らせください。 ==>  (2014. 4.17)

 

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『TRIZ 実践と効用』シリーズ出版案内 『(2A) Matrix 2010 』詳細ページ   『(1) 体系的技術革新』初版出版案内 同 索引詳細PDF  

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最終更新日 : 2021. 1.28    連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp