編集ノート (中川 徹, 2002年 9月 18日)
本稿は, ETRIA主催国際会議に投稿した論文をベースにして, USIT法の解決策生成法を分かりやすい一覧の形にしたものです。USITの学習の教材として簡略に表示しています。USITの全体の学び方・使い方に関しては, 下記の論文を参照下さい。
中川 徹: 「やさしいUSIT法を使ってTRIZのエッセンスを教え・適用した経験」 , TRIZCON2002論文の和訳, 『TRIZホームページ』, 2002年 1月掲載。また, 本稿は, TRIZの膨大な解決策生成技法 (特に, 発明原理, 発明標準解, 進化のトレンド) をすべてばらして, USITの観点から再整理して, 統合したものです。ですから, TRIZの解法の全部が, ここに使いやすくまとめられているのです。この理論的な再構築の考え方とUSIT技法のより詳細については, つぎの論文を参照ください。中川 徹, 古謝秀明, 三原祐治: 「TRIZの解決策生成諸技法を整理してUSITの5解法に単純化する」, ETRIA TRIZ Future 2002 論文の和訳, 『TRIZホームページ』, 2002年 9月掲載。USITの技法の学習・試行・適用などの経験, 意見, 質問などがありましたら, 編集者までお寄せください。
中川 徹, 古謝秀明, 三原祐治: 「USITの解決策生成技法 −TRIZの解決策生成諸技法を整理してUSITの5解法に単純化した」, 上記論文の付録, 『TRIZホームページ』, 2002年 9月掲載。[追記] 英文版 掲載: 2002年11月19日
本ページの先頭 | 目次 | 1. オブジェクト複数化 | 2. 属性次元法 | 3. 機能配置法 | 4. 解決策組み合わせ | 5. 解決策一般化 | 注: 図記号 |
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USITの解決策生成技法
− TRIZの発明原理・進化トレンド・発明標準解を使いやすく整理した
表1. USITの解決策生成技法の一覧 (目次)
(1) オブジェクト複数化法
(1a) そのオブジェクトを消去する (ゼロにする) (単純化, 「トリミング」) |
(2) 属性次元法
(2a) 有害な属性を, 使わない (関係しない) ようにする |
(3) 機能配置法
(3a) ある機能を, 別のオブジェクトに担わせる |
(4) 解決策組み合わせ法
(4a) 機能的に組み合わせる |
(5) 解決策一般化法
(5a) 用語の一般化と具体化を繰り返し, 解決策を連想的に膨らませる |
注: *印: 本研究で大幅に強化 あるいは新規に導入したもの
USITの解決策生成技法 (掲示用)
1) オブジェクト複数化法 a. 消去する b. 多数 (2, 3, ... , ∞個) に c. 分割 (1/2, 1/3, ... 1/∞ ずつ) d. 複数をまとめて一つに e. 新規導入/変容 f. 環境から導入 g. 固体から, 粉体, 液体, 気体 へ 2) 属性次元法 |
3) 機能配置法 a. 機能を別オブジェクトに b. 複合機能を分割、分担 c. 二つの機能を統合 d. 新機能を導入 e. 機能を空間的変化, 移動/振動 f. 機能を時間的に変化 g. 検出・測定の機能 h. 適応・調整・制御の機能 i. 別の物理原理で 4) 解決策組み合わせ法 5) 解決策一般化法 |
(1) オブジェクト複数化法
各オブジェクトを「複数化」する。英語の「複数」は, 1以外のすべての数 (0, 2, 3, ..., ∞, 1/2, 1/3, ..., 1/∞, など) を意味する。新しい/変容させたオブジェクトを導入することも含む。
(1a) そのオブジェクトを消去する (ゼロにする) (単純化, 「トリミング」)
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(1b) そのオブジェクトを, 多数 (2, 3, ... , ∞個) にする。
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(1c) そのオブジェクトを, 分割 (1/2, 1/3, ... 1/∞ ずつ) する。
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(1g) 固体のオブジェクトを, 粉体, 流体, 液体, 気体などのオブジェクトで置き換える。
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各オブジェクト (や物質) はさまざまの種類の性質 (すなわち「属性」) を持っているので, その性質を新しく使う/使わなくする/強化・活用することを考える。特に, これらの性質の空間的配置 (内部構造を含む) や時間的変動を効果的に使う。システム全体としての性質の向上も大きな目標である。
(2a) 有害な属性を, 使わない (関係しない) ようにする。
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(2b) 新しい有用な属性を, 使う (関与する) ようにする。
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有用な (しかしまだ不十分な) 属性を強調し, 有害な属性を抑制する。 使う属性の種類については, 前項 (2b) のものと同様である。 |
(2d) 空間に関する属性を導入・拡張し, また, (有害/有用な) 属性およびその値を, 空間的に配置/変化させる。
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(2e) 時間に関する属性を導入・拡張し, また, (有害/有用な) 属性およびその値を, 時間的に配置/変化させる。
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(2f) オブジェクトの相を変える, 相変化を利用する, 内部構造を変える。
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システムの主有用機能を達成するために, それを支える有用な諸機能 (および副次的に現れる有害な諸機能) を, 既存および変容させた/新規導入の諸オブジェクト間で適切に配置/再配置することを考える。諸機能の移動, 分割, 統合, 導入を伴う。諸機能を空間的に, また時間的に, 適切に配置/変化させることが必要であり, 適応・制御などの高次の機能がシステムをうまく働かせる鍵である。
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(3b) 複合した機能 (複数の機能) を分割して, 別のオブジェクトに担わせる。
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(3c) 二つの機能を統合して, 一つのオブジェクトに担わせる。
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(3e) 機能を空間的に配置する/変化させる, また, 空間での配置/移動/振動の機能を利用する。
機能 (群) を空間的に秩序をもって配置し, その空間的自由度を増す。また, オブジェクト (あるいはオブジェクトの属性) を空間的に配置する/移動する/振動させる機能を利用/強化する。 |
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複数の解決策を, 機能的に, 空間的に, 時間的に, 構造的に, また, 原理レベルで, などのさまざまな観点から組合わせることにより, 長所を生かし, 短所を補い, また矛盾を克服した, 新しい解決策を作るこどができる。さらに, スーパーシステムに移行して, 解決する。
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各具体案を一般化して表現し, 解決策の雛形にして, 解決策のアイデアを連想的に発展させる。また, 解決策の階層的な体系を作る。
(5a) 用語の一般化と具体化を繰り返し, 解決策を連想的に膨らませる。
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(5b) 解決策の階層的な体系を作る。
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注: 模式図に使っている記号について
左端の模式図: 基本的なシステムを示す。
楕円で示すオブジェクトが, 長方形で示すオブジェクトから, 矢印で示す機能を受けている。
[TRIZの用語では, 対象物質(S1)が, ツール物質 (S2) から, 「場」 (作用) (F) を受けている。]オブジェクト: 楕円: オブジェクト (特に, 対象オブジェクト (機能の作用を受けるオブジェクト))
長方形: オブジェクト (特に, ツールオブジェクト (機能の作用を施すオブジェクト))属性: 属性とは, オブジェクトの性質の種類 (すなわち, 性質のカテゴリ (値ではない)) を意味する。
各オブジェクトについて, さまざまの色やパターンで (関係する) 属性を示す。
上図の中央部のパターンはつぎのような属性を意図している。
固体, 粉末, 液体, 気体, 有害な属性, 空間的に変化している属性, ミクロレベルの属性。機能: さまざまの形式の矢印で示す。
実線の矢印: 有益な機能
破線の矢印: (有益だが) 不十分な機能
太った矢印: 過剰な (だから, むしろ有害な) 機能
クロス模様の矢印: 有害な機能
他の3本の異なるパターンの矢印: 異なる機能であることを示す。解決策: 角を丸めた長方形で示す。
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最終更新日 : 2002.11.19 連絡先: 中川 徹 nakagawa@utc.osaka-gu.ac.jp