TRIZフォーラム: 地震: 予知研究と防災 (III) | |
書評: 力武常治著 『地震予知―発展と展望』 日本専門図書出版 (2001) |
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掲載: 2023. 6. 6 |
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編集ノート (中川 徹、2023年 6月 6日)
これは、力武常治著 『地震予知―発展と展望』(2001) についての私の書評です。私は2015年4月にこの本を読み、書評をAmazonに寄稿しました。本書はわかりやすく、詳しい力作です。いままで本ホームページに掲載していませんでしたが、本書が広く読まれることを願って、このたび掲載いたします。
ここにはまず、Amazonサイトでの出版情報を転載し、その後に私の書評を掲載します。
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『地震予知―発展と展望 』
力武常治 (著)、 日本専門図書出版、2001/ 1/ 1、617頁、ISBN: 978-4931507029、単行本 4,500円(税込み)
明治の地震学黎明期より現代までの地震予知研究を解説。地震予知の発展の経過、現状および今後の見通しを述べる。
【主要目次】
第1章 大地震ー日本および諸外国ー
第2章 地震学の黎明と発展
第3章 予知指向の地震学へ
第4章 地震予知計画の成果
第5章 予知関連研究とその成果
第6章 地震予知理論
第7章 地震予知の体制と戦略
第8章 地震警報とその問題点
第9章 地震発生確率と地震危険度予測
第10章 地震警報と社会対応
第11章 今後の地震予知発展へ向けて
付属資料
参考文献
注: 2001年の当初の出版は(2015年時点でも) ISBN: 978-4931507018で、A4サイズ、定価18,000円+税。
現在は(いつからかは不明だが)、 ISBN: 978-4931507029で、B5サイズ(?)、定価4,500円(税込(?))。
書評: 中川 徹 (大阪学院大学 名誉教授)
Amazonサイトに寄稿 (2015. 4.20)、 『TRIZホームページ』 (2023. 6. 6)
『地震予知―発展と展望 』
力武常治 (著)、 日本専門図書出版、2001/ 1/ 1
2000年までの地震予知研究の集大成。専門書でありながら、読みやすく、親しみやすい、素晴らしい本。
私は、最近、やはり地震予知の科学的な方法を追求することは重要だと考えて、関連の本をいろいろ学び始めました。
本書の著者は、1921年生〜2004年没、東京大学名誉教授、地震学・地震予知をライフワークとした。
阪神大震災後に、その研究の集大成として本書を執筆している。地震とその予知に関して、全体的・学術的にレビューしている。
日本と世界のさまざまな地震の実情とその研究状況、地震予知の多様な方法(電磁気的、地球化学的、宏観現象も含む)の理論・実績と評価、予知の社会的問題なども懇切に述べている。
2000年までの(日本と世界の)地震予知研究の集大成である。専門書でありながら、読みやすく、親しみやすい、素晴らしい本である。
A4版618頁の大冊で、定価18,000円。幸いにも私は、新品同様の中古本をわずか2,000円で購入できた (上記の注を参照のこと(2023. 6. 6 中川))。10日ばかりで読み上げた。沢山出回っている2000円程度の本を10冊読むよりも、本書1冊をきちんと読むほうが、よほどよくわかる、と今では思う。
本書も(日本の地震学総体がそうであったように) 東日本大震災は全く予想できていなかった。
しかし、他の地震学の本よりもずっと広い視野で書いている(それでいて科学的な批判精神が貫かれている)と思う。2000年以後の地震学、地震予知に関する新しい研究資料をいろいろ読んで、今後を考える優れた土台を提供してくれる。
なお、私は技術開発の技法を研究しており、自分で編集・運営している公共サイト『TRIZホームページ』に、地震予知の研究を紹介するページを最近開いた。
本書を参考にしつつ、今後、科学的な立場で紹介を続けていきたいと考えている。
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最終更新日 : 2023.12.11 連絡先: 中川 徹 nakagawa@ogu.ac.jp