TRIZ論文: TRIZシンポジウム2007 論文
コンピュータ分野におけるTRIZ矛盾表の適用 −アーキテクチャ・方式・論理向きの矛盾表・発明原理−

庄内 亨 (日立製作所) 、 河辺 峻 (明星大学)、 濱中 直樹 (日立製作所)

日本TRIZ協議会主催 第3回TRIZシンポジウム、2007年8月30日〜9月1日、東芝研修センター (横浜市港北区)
掲載:2008. 1. 6.    著者の許可を得て掲載。無断転載禁止。

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編集ノート (中川徹、2008年 1月 6日)

本件は、今年8月末の 第3回TRIZシンポジウムにおいて、その第2日午後のポスターセッションの中で発表されたものです。私の「Personal Report of Japan TRIZ Symposium 2007」で、この発表を紹介しました (2007.11.18)。いまは関連部分の全体を和訳する時間がありませんが、その最後に書いた所感だけを和訳してここに引用いたします。

*** [中川所感]  ここに著者たちが発表した事例研究は、IT分野 (コンピュータ分野) の実地問題にTRIZを適用した報告として、私が知っている限りで世界で最初のものである。注目に値するのは、著者たちがTRIZをIT分野に適用することを随分初期 (1999〜2000年頃) に実施し、新しい特許を得て、その成果を製品に実現していた (2002〜2003年) ことである。最近の2〜3年になって、世界のTRIZコンサルタントの一部がIT/ソフト分野の問題解決に関わるようになり、TRIZをIT/ソフト分野に適用するにあたってTRIZを調整する (本件の著者たちの言葉で言えば、言い換える) やり方を見つけて来ている。そのような経験やノウハウが、近い将来に発表されるようにならなければならないし、また発表されるようになるであろう。

この成果は、3人の共著者がともに日立製作所中央研究所に勤務し、活動していた時のものだということです。

このような素晴らしい活動をし、シンポジウムで発表し、さらにWeb掲載を快諾いただきました、共著者の庄内亨さん、河辺峻さん、濱中直樹さん、および株式会社日立製作所に厚くお礼申しあげます。

なお、TRIZシンポジウムのプログラム編成に際して、本件は著者たちの希望でポスターセッションでの発表になりましたが、いまになって思うと、やはり口頭発表にしてもっと多くの参加者に聞いてもらい、討論するともっと良かっただろうと思います。幸い本件は、和文論文、和文スライド、英文スライドが揃っていますので、その全件を本ホームページで掲載させていただきました。

本ページは、以下のように構成しています。(並行した英文ページもあります。)

(a) 著者による論文概要 (和文) (HTML版) および PDF 版

(b) 論文全文 (和文)  PDF (189 KB)

(c) スライド全文 (和文)  PDF (283 KB)

 

本ページの先頭 論文概要 (和文) 論文概要 (和文) 論文 (和文)  PDF スライド (和文) PDF スライド (英文) PDF TRIZシンポジウム2007 Personal Report (中川) 英文ページ

 


[1] 論文概要

コンピュータ分野におけるTRIZ矛盾表の適用
アーキテクチャ・方式・論理向きの矛盾表・発明原理

庄内 亨 (日立製作所) 、 河辺 峻 (明星大学)、 濱中 直樹 (日立製作所)

概要

発明的に問題を解決するための理論としてTRIZ が提案されているが、このTRIZ をコンピュータ特許創生に適用した際の有効性と限界・問題点について検討した。現状の提示される発明原理の詳細は機械、構造、物理といった分野に偏っており、この発明原理から連想してコンピュータ特許のアイデアを出すには、具体例を積み重ねることにより、連想しやすい言葉を増やしていくことが重要である。また、39x39 の技術矛盾マトリクスは大きく扱いにくいが、関係の薄いパラメータを思い切って削除することによりコンピュータのアーキテクチャ・方式・論理に特化したサブマトリクスを作成でき、有効に使用できる。適用事例として、インターネット・データセンタに関する問題解決についても述べる

内容説明

TRIZ の概要を知ってコンピュータ特許創生に適用しようとすると、analysisとsynthesisの2ステップになる。Analysisでは特許の対象問題・アイディアをTRIZを用いて解析する。SynthesisではTRIZが提示するヒントに基づき具体的発想をする。直感的に
      ・ analysis は有効(多分)
      ・ synthesis が課題
であることが判る。

Synthesis を成功させるためには、
      @アーキテクチャ・方式・論理向けの言葉に変換
      A技術的矛盾マトリクスのサブマトリクス化
が必要と考える。

@現状の発明原理の詳細は機械、構造、物理といった分野に偏っており、今のままでは言葉がコンピュータ特許創生に向いていない。この発明原理から連想してアイデアを出すには、具体例を積み重ねることにより、連想しやすい言葉を増やしていくことが重要である。

A現在の39x39の技術的矛盾マトリクスではあまりにも大きすぎて扱いにくい。

@に関しては、実際の特許創生の場面に参画し、具体的な特許の問題・アイディアにTRIZを適用した。この結果、発明原理の幾つかを、コンピュータのアーキテクチャ・方式・論理向けの言葉に変換することができた。例えば、32「色を変える」という発明原理がたびたび登場する。コンピュータのアーキテクチャ・方式・論理にとって、これは「情報にタグをつけて他と区別する」という意味に解釈すべきで、非常に有効な発明原理である。また、24「仲介」という発明原理もたびたび登場する。コンピュータのアーキテクチャ・方式・論理にとってみると、ブロック転送発生時とか、割り込み発生時とか、レベルによりいろいろ考えられる。何かの切り替えポイントと考え、そのポイント時点で特許アイデアがある。

Aに関して、コンピュータのアーキテクチャ・方式・論理にとって関係の薄いパラメータを思い切って削除し、必要と思われる14のパラメータのみを抽出し、14x14の技術的矛盾サブマトリクスを作成した。サブマトリクスを作成することによりマトリクスの面積が1/4 以下にすることができ、A4一枚やPC の800x600 の画面に収めることができ、初心者でもTRIZの適用をやり易くなる。

最後に、コンピュータ特許創生への適用の試みの事例として、筆者らが関わりあっていたインターネット・データセンタ(iDC)に関する問題解決について述べる。1999 年の夏から秋にかけて、特に米国において高速インターネットに接続されたデータセンタ(iDC)の構造が注目を浴び初めていた。これらに対応するため、米国における状況および社内の先端ユーザへのヒヤリングを通じてiDC の問題点と解決方式の検討に入った。多くの解決方式を具体的に検討する中から本命となる解決方式を考案した。このコンセプトの基本特許をとろうということになり、TRIZ を適用してみた。TRIZを適用したことにより、より大きな完成したアイディアが生まれた。矛盾マトリクスから必要な発明原理が提示され、それを元にいろいろ考えることにより、アイディアのバリエーションやより完成したアイディアに近づけることができた。このアイデアの一部は日立のサービスプラットフォームコンセプトHarmonious Computingや統合サービスプラットフォーム BladeSymphonyに活かされたものである。

論文概要 (和文) PDF 形式 ( 1頁、127 KB)    


[2] 論文 (和文) の全文

論文 (和文) PDF形式 (6頁、283 KB)

 


[3] 発表スライド 全文 (和文)

 

スライド (和文) PDF形式 (16スライド、2スライド/頁、189 KB)

 


[4] 英文ページ

英文ページ

スライド (英文) PDF形式 (16スライド、2スライド/頁、114 KB)

 

 

 

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最終更新日 : 2008. 1. 7.     連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp