編集者より
ご挨拶: 新年にあたって

中川 徹 (『TRIZホームページ』編集者、大阪学院大学 名誉教授)

2015年 1月 5日

掲載:  2015. 1. 6; 更新: 2015. 1. 9 (図2葉を挿入)

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  ご挨拶: 新年にあたって (中川 徹、2015年 1月 5日)          [日付のミスを訂正。(2015. 3. 7)]

新年あけましておめでとうございます。皆さまのご健康とご活躍を祈念し、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

TRIZ関係以外の方にお出しした私の年賀状を添付いたします。(TRIZ関連の方へはホームページとメルマガだけで失礼いたします)

 

 


下は拡大した写真です。6月初旬に妻とアドリア海の島巡りのツアーに参加したときの写真です。クロアチアのコルチュラ島で、(前方に見えている)本土の半島との間の海峡が、ウインドサーフィンのメッカで、国際大会もよく開かれるとのこと。沢山のサーファーたちが行ったり来たりしてトレーニングをしていました。

なお、下の写真は(年賀状には使いませんでしたが)、12月中旬にフランスのアルザス地方のクリスマスマーケットを見に行った時のものです(注: 選挙の期日前投票をして出かけました)。コールマールという町の中心部にある公園の夕景です。落ち着いた感じの球形のイルミネーションがあり、小さい子供を肩車した家族連れなどが写っています。

 


この1年、日本の社会全体が、不幸な、危険な方向に進んでいるように思います。それは、一にかかって安倍晋三首相の、現実を見ない、美辞麗句と虚構の政治にあるように思います。その経済政策の結果、「株価が上昇し、デフレを克服しつつあり、円安になって、景気が上向いた、求人が増えた」などと喧伝されています。しかし、輸出指向の大企業と一部の富裕層以外には、すなわち大多数の(中小)企業と国民にとっては、実質の経済状況、生活基盤の状況は、この2年ますます悪化しているのが現実のように思います。円安は、国民の全資産の価値がこの2年で 2/3 になってしまったことを意味し、それが物価の上昇を招いているのであって、デフレの克服とは別のことです。株価の上昇も実質ではなく、再度バブルの状況にあるのでないでしょうか。7−9月期のGDP成長率を、(11月末の段階で)政府も民間調査機関もプラスと予想し、それが3%ほどの違いがあって、マイナスであったという報道は、衝撃的でした。政府も財界・民間も虚構を作り上げて、自らもその虚構に騙されているように思います。

12月の国会解散・総選挙は、安倍首相の独善的な政治手法の典型です。その前に、特定秘密保護法、集団的自衛権の問題、原発の路線の問題など、国民的な議論が必要な問題が多く有ったのに、首相はきちんとした国会審議をせず、議論が不明確なままで、国会を解散したのです。それは、「国民に信を問う」という美辞麗句の陰で、「これらの重要案件について、国民の代表たる国会での議論をせず、国民の理解が進む前に、自分が信任を得たという状況を作る」という作戦でありました。選挙後、首相は「自分が信任を得たのだ」と言います。憲法改正の体制づくりまで進めて行くだろう状況です。日本の民主主義は、現在その弱さを露呈していると言わざるを得ません。自民党の中で自分は安倍路線とは違う、と明言する人がいません。公明党は庶民の党ではなくなったのでしょうか。民主党はじめ野党が、分裂を繰り返していて大きな流れを作れないのが、残念なことです。

国民全体の意識の低さの問題が大きなことです。いま、新しい日本を作っていくための活動の担い手が乏しいなぁと思います。本当に大事なのは、どの世代であれ自覚した人々の地道な活動なのかもしれません。

昨年も書きましたように、少子化と子育ての問題、高齢化社会の問題、雇用の不安定と格差拡大の問題、エネルギ問題、食糧自給率低下の問題など、国民生活に関わる多数の大きな問題を解決していかねばならないと、思っています。それらに対して「達成すべき課題(目標)」と「達成するための基本的な方向付け」を明確にしなければいけないと思っています。こういった複雑に絡み合った大きな問題にこそ、「創造的な問題解決の方法」があちらでもこちらでも適用されるようにならなければいけないのだと、思っています。

そう思いながら、この1年も、いろいろなテーマのシンポジウム・講演会に出かけました。科学技術の研究には目を見張るものが多くありますし、社会活動や教育活動には新しいアプローチの地道なものがいろいろ報告されます。若い、素晴らしいリーダの存在も知りました。最近、最も感銘を受けたのは、サイボウズ・カンファレンスでのサイボウズ社青野慶久社長でした。


いろいろと思いつつも結局は、「自分ができることを、いろいろな人たちの助けを借りて、確実にやっていく」ことが、自分がするべきことです。この1年 (このホームページでたびたび書きましたように)、いくつかの活動ができました。その主要なものは、(年賀状に書きましたように)次のものです。[拡大図2葉を挿入(2015. 1. 9、中川)]

− 「創造的な問題解決・課題達成の一般的方法論 (CrePS)」の提唱を続け、論文などを発表した。

− 『TRIZホームページ』に4つの入り口ページ(子供用、学生・社会人用、TRIZ初心技術者用、実践者用)を作った。

− (個人事業)クレプス研究所を始めて、『TRIZ 実践と効用』シリーズ(監訳書など4巻)をダウンロード&PoD形式で出版した。

 


 

私自身が今年しようとしていることは、基本的にこれらの延長です。

(1) 「創造的な問題解決・課題達成の方法論」の確立と普及を主たる目的として、この『TRIZホームページ』をベースに活動を続ける。

(2) この分野での国内の優れた発表、海外の学会などでの優れた発表を、和文と英文で(できるだけ両方) 掲載・紹介する。

(3) 「創造的な問題解決・課題解決の一般的な方法論(略称 「CrePS」)」の記述を進め、(和・英で)公表して、その確立に努める。

(4) 『TRIZ 実践と効用』シリーズの続巻として、「創造的問題解決の方法」(講義録)、「TRIZ入門」、「USIT入門」(いづれも仮題)を刊行する。

(5) 国際・国内学会での発表、その他講演・研修・実地適用などを、できるだけ多くの機会を見つけて実施していく。

(6) 以上の活動において、いろいろなグループ/人と連携して、協力・協働して進める。

どうぞ皆さまのお考え、成果、ご意見などをお寄せください。海外論文の和訳、本サイトの改良(リンク集、参考文献集のページなど)のご協力をお願いいたします。ご愛読、ご活用いただけますと幸いです。

末筆になりましたが、皆さまのご健康、ご活躍、ご多幸をお祈りいたします。

                                2015年 1月 5日   中川 徹

 

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最終更新日 : 2015. 3. 7    連絡先: 中川 徹  nakagawa@ogu.ac.jp