属性次元法      

  ・・・性質の強化や、活用などをすることで問題を解決の方向へ導く方法である。

  各オブジェクトはさまざまな属性を持っているので、その性質を新しく活用/強化することを考えるやり方である。
  性質の時間的な変動や、空間的な配置を効果的に使うもので、システム全体の向上も図る。

 a)有害な属性を使わないように(関与しないように)する。
   ▼林の研究「万引き対策」

  
大森の研究「乗降者専用口の電車」

 b)新しい有用な属性を使う(関与するようにする)。
   ▼下田の研究「玉留めの問題」

 c)有用な属性を強調し、有害な属性を抑制する。

 d)空間に関する属性を導入/拡張し、有害/有用な属性(または、その値)を、
                             空間的に配置させたり、変化させたりする。

 e)時間に関する属性を導入/拡張し、有害/有用な属性(または、その値)を、
                             時間的に配置させたり、変化させたりする。

 f)オブジェクトの相を変える。相変化を利用する。内部構造を変える。

 g)ミクロのレベルの属性・性質を使う。

 h)システム全体としての性質・機能を向上する。


 a)有害な属性を使わないように(関与しないように)する。
     →システム中の有害な属性を判別し、不使用、不関与にする。また、有害→無害、有害→有益にする。
       ・有害部分を分離する。
       ・有害な要因を利用し、有益な効果を得る。
       ・更に有害なものを加え、相殺する。
       ・有害でなくなるくらいまで有害効果を高める。
       ・有害部分を取り除く。
     

 b)新しい有用な属性を使う(関与するようにする)。
     →システム中の既存のオブジェクト(またはそれを変容させたもの)で、有効に使われていなかったものを関与させ利用する。
       必要に応じて、その効果を持つオブジェクトで置き換え、「場」の導入なども行う。
       ・オブジェクトの光学的に関する属性を活用する。
          色彩、透明性、反射率、屈折率など
       ・オブジェクトの熱的性質に関する属性を活用する。
          温度、熱膨張、比熱など
       ・オブジェクトの質量に関する属性を活用する。
          重さ、密度など
       ・オブジェクトのサイズ・形状に関する属性を活用する。
          長さ、面積、体積など
       ・オブジェクトの面積、構造、内部構造などに関する属性を活用する。
       ・オブジェクトの力学的特性に関する属性を活用する。
          柔軟性、強度、振動特性など

       ・オブジェクトの電気的性質、磁気的/電磁気的性質に関する属性を活用する。
          伝導性、電荷、電圧など
          磁性、誘磁性など
       ・オブジェクトの化学的性質に関する属性を活用する。
          材料、組成、濃度、化学反応など
       ・オブジェクトの物理変化、化学変化可能な性質を活用する。
          物質の変換可能な要素を利用、物質の相変化、分解可能物質、後に消滅するなど
       ・エネルギー形態の変換、情報変換なども含む、特殊な性質、機能的な性質を利用する。
          特殊な性質をもつ新しいものの導入、適応可能な材料、変換
       ・操作、制御性、製造容易性などの操作的な性質、属性を利用する。
         新しい場、活性な物質(少量)など
     

 c)有用な属性を強調し、有害な属性を抑制する。
     → (まだ不十分な)有用な属性を強調し、有害な属性を抑制する。
        ※一つ上に記した(b)と同じ種類の属性を使う。
     

 d)空間に関する属性を導入/拡張し、有害/有用な属性(または、その値)を、
                             空間的に配置させたり、変化させたりする。

     →空間に関する属性で今まで使われていなかったものを導入(または拡張)する。
      また、空間での位置に応じて、異なる属性を使ったり、同じ属性の異なる値を使ったりする。
       ・オブジェクト(オブジェクト群)に空間的秩序・構造を導入、拡張(削除、減少、増加)する。
          空間的パターン変化の周期を導入する、オブジェクトを空間的に重ね合わせる、空間的秩序を導入する。
       ・空間に関する属性で、今まで使わなかったものを導入・拡張する。
          オブジェクトを傾ける、オブケクトの部分を直線でなく曲線にする、ローラー(球や螺旋)を利用する、
          当該領域の反対側を利用する、多層配置、内部にもう一つのオブジェクトなど
       ・オブジェクトの空間的な構造・内部構造を導入し、諸属性(または属性の値)を所によって変化させる。
          平均的な構造にする、環境を均質構造から不均等な構造にする、問題を局所化する、
          対称性を導入(増加、減少、除去)する、複合材料を利用する、システム内外の境界を少なくする(無くす)など
       ・オブジェクトの空間での動きに関する属性を導入・拡張する。
          可動部分を固定する、固定部分を可動にする、点から線(平面、表面
)にする、自由運動の程度を増す、
          関節の複数化、完全な柔軟構造にする、平面次元から軸対象の2次元(
フル3次元)構造に展開するなど
     

 e)時間に関する属性を導入/拡張し、有害/有用な属性(または、その値)を、
                             時間的に配置させたり、変化させたりする。
      →時間に関する諸属性を導入/拡張したり、変化させたりする。
        ・システムの動作段階、処理時間、時間周期などに関する属性を導入/拡張する。
           各動作段階や要求条件に従いダイナミックに変わるようにするなど
        ・システムの時間的条件に対応し、時によって、異なる属性を活性化したり、値を変化させたりする。
           動オブジェクトにつき異なる時間においてそれぞれ異なる属性を活性化する、時間的要素を排除するなど
     

 f)オブジェクトの相を変える。相変化を利用する。内部構造を変える。
      →オブジェクトの相(凝集状態)変化利用し、微細レベルでの内部構造を作り、諸属性を利用する。
        ・相(凝集状態)を変える。これに伴い、適切な材料に切り替えることも考える。
            凝集状態を変える、固体の代わりに気体や液体を利用する、分割した固体や紛体を用いて液体を用いる、
            流体の変わりに分割した流体(または、気体)を用いる、プラズマを用いるなど
        ・物質の相変化を利用し、相変化に伴う効果や、二相共存状態での特別な性質を活用する。
            一方(両方)の物質の相変化を利用する、相変化が起こるような物質を用いる、二相共存状態で置き換える、
            異なる相の間に物理(化学)的相互作用を導入する、ほぼ臨界条件にし入力を引きがね(トリガー)として利用するなど

 g)ミクロのレベルの属性・性質を使う。
      →マイクロメートル、ナノメートルのスケールでの構造・性質・相互作用を考慮し、原始レベルから考え、問題を解決する。
        ・マクロのスケールから、マイクロメートル、ナノメートルへと、空間を微細化し、
         ミクロレベルで見たシステムの構造・性質・相互作用を(原理レベルから)考え、システムを実現させる。
             マイクロメートルから、ナノメートルへと、空間的に微細化して考える、ミクロレベルから考えるなど  

 h)システム全体としての性質・機能を向上する。
      →オブジェクトやシステム要素の単位とは別で、 システム全体としての性質(属性)と機能を考え、
       それらを向上させるようにシステム全体(部分)を設計、改良、実現する。
         ・機能するために最小限のものすら欠如している場合、欠如しているオブジェクト(機能)を補い、機能させる。
             「二つの物質と一つの場」という「物質-場」の分析の最小限の要求を成立させるなど
         ・技術システム全体として、望ましくない性質、および、目標とする機能を設定し、
          それらの性質・機能を向上することを実現する。
           ○目標とする性質
             −エネルギー使用効率
             −人間の関与の減少と知能化
             −システムの理想性(有用性/(性質+サイズ+エネルギー+有害作用))
             −ロバストネス
             −市場の需要と、顧客満足度
               システム全体のエネルギー効率を高めるために、エネルギー変換回数を減らして行き、ゼロになるように発展する/させる。
               オブジェクトを上る、下げる必要のある場合は、再設し、それを不要にする。
               システムを、その主要機能を果たすためのツールとしてみたとき、人間の関与を減少させる方向に発展する/させる。
               市場の求めるものは、新しい製品、サービス、新しい経験と、その経験の移転へと進んでいくことを認識し、
                 市場が求めるものを提供していく。 など


私たちの事例から適用例

   林の研究「万引き対策」
     →カバンをバッグに入れてもらい(orバックにカバーをしてもらい)、犯人が自分のカバンを使えなくする。
     (a)有害な属性を使わないように(関与しないように)する。を用いている。
      バックは、万引き犯が商品を隠すという機能を持っている。
      そのため、そのバックが問題に関与しないような状態にすることで、問題を解決する。

   大森の研究「乗降者専用口の電車」
     →問題となる「人の流れ」に関して、それを有効に用いることで問題を解決する。
      (a)有害な属性を使わないように(関与しないように)する。を用いている。
       問題の有害さを関与しなくし、逆に有益に利用する。

   下田の研究「玉留めの問題」
     →熱で溶けて玉になる糸のアイデア
     (b)新しい有用な属性を使う(関与するようにする)。
      糸を変容させ、熱に関する属性を持たせることで、熱で溶けて玉になり、「留める」という機能を果たす。


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