閉世界法(現システムの機能と属性の分析)
この段階では、問題に関わる属性/機能について分析することで、問題に関わるものを明確にする段階である。
問題に関わる様々なものの属性/機能を思いつくままに記述列挙し、問題に対する視野を広げることも目的とする。
また、その列挙された属性/機能それぞれがどのように影響しているか、またすればよいか、なども分析する。
・・・問題を抱える現在のシステムの記述からはじめる方法。
@オブジェクトと機能の関係を「閉世界ダイアグラム」として記述する。※機能を分析する方法。
最初に、現在のシステムの本来の設計意図を、機能分析によって明確にする(以下のルールに従って構成していく)。
オブジェクト群の記述
・問題定義によって得た「最小のオブジェクト群」だけを扱う。
・このシステムで最も重要なオブジェクト(最上位のオブジェクト)を決め、ついで、 その他のオブジェクトを、
『上位のものに好ましい機能関係★にある順』に配置する。
★好ましい関係・・・下位のものが上位のものを生成する、下位のものが上位のパラメタ(性質等)を変化させる、
下位のものが上位のものを取り除く、といった機能関係であることをいう。
また、この下位のものは、上位のものと物理的に接触していて、接触していないと作用できないものであること、
上位のものが下位のものよりも重要なものであること、また下位の主要な存在理由が上位のものであること
(=もし上位のものが取り除かれると下位のものは不要・冗長になる)といった条件を満たしているものである。
・ひとつのオブジェクトを重複して配置してはならない。
・すべてのオブジェクトを配置する。記述して残ったオブジェクトは、傍らにダイアグラムとして表現するか、冗長だとして削除する。
・必要に応じて、特別に「インフォメーション」をオブジェクトの一種として使用してかまわない。
機能の記述
・直接な上下関係にあるオブジェクト間に、「好ましい機能的関係」を代表する機能を一つだけ記入する。
本来の働きを明確に把握するためのものであるので、この制約はかなり強い制約であるため要注意。
Aオブジェクトの属性を列挙する。
閉世界法ダイアグラムに表せれたすべてのオブジェクトについて、オブジェクトの属性を列挙する。
問題に関係するかを強く意識して、属性の列挙をするのではなく、オブジェクトについての属性を思いつくだけ書き込むとよい。
考えの視野を狭くすることなく、一見関係なさそうなものも書き出しておくことで、
意外な属性が後に役立ち、解決策ができることもあるためである。
閉世界ダイアグラムの例(事例:ゲートバルブからの漏水の検出)と解説
B「定性変化グラフ」を用いて、属性を分類する。※属性を分析する手法。
・・・システムの「機能」または問題を生じている「効果」との依存関係にあるそれぞれの属性を、
「機能(効果)」と正の依存か負の依存かに分類していく作業をする。
列挙されたそれぞれの属性を順にチェックし、生じるその効果に対して関与するもの、相関関係にあるものを明らかにする。
このグラフは、おおまかなグラフであって、詳細に値まで注意して書く必要はない。
縦軸の「効果」に対して、横軸のオブジェクトはどのような相関関係かを表現できればよい(下図参照)。
相関が増大関係か減少関係かを区別して、相関のないものは無視すればよい。
これで、それぞれの属性について見てゆくことで、問題を解決に導く(問題の現象を減少させる)には、
どのような属性をどちらの方向に変化させればよいかが一目で見ることができるようになる。
定性変化グラフの書き方について
グラフは上図のように、左右に二つのグラフを描く。
縦軸は、左右とも同じもので、目的とする機能、または問題となる悪い効果をとる。
横軸は、その目的とする機能や、問題となる効果を引き起こすものをとる。
閉世界ダイアグラムで列挙した属性について、どのような効果を引き起こすのかを
考えながら左右の定性変化グラフにオブジェクトと属性を分け、そのグラフ下に書き込んでいくとよい。
また、縦軸に悪い効果を取った場合は、グラフ中の効果が高い部分から下向きの矢印の効果
(すなわち、効果を下げるもの)にすることができないかを考えればよい。
→この作業によって、私たちはシステムの発現(目的とする機能や効果)が弱い場合に関して、
それを強化する方法を考えるヒントが得られる。
→または、問題の「効果」を減少する方法を考えるヒントを導き出すことが出来る。
→また一部を修正すると連動して、別の属性が強化を妨げる状況が起きないかなど、
分析者の問題解決のための方法を考えるように誘導されるのである。