落し物/忘れ物をしたことを知らせるシステム

 ・・・日常、落し物や忘れ物をして、慌てることがときおり起こる。
    この問題をTRIZ/USITで考え、それを解くことのできるシステム、方法を考える。

落し物と忘れ物について

 落し物をする・・・移動しているときなどで、気がつかぬ間に持ち物を落としてしまい、
          落としたことに気がつかないまま、持ち主がどこかに移動してしまうこと。

 忘れ物をする・・・持ち物などを、どこかに置いて、そのまま持ち主がそこから移動してしまい、
           物がそのままになり、持ち主不在になってしまうこと。

★時間軸上で考える
 ・・・落し物と忘れ物についての時間軸を書く。

  ‐‐‐−―――●―――――――――――――――●――――――→
          ↑落とす/忘れる             ↑物がないことに気がつく

★何がこの問題で難しいのかを考える。難点の分析
  難しいと思うことを列挙する。

      ・気がつかず、そのまま移動してしまうこと。
      ・いつしてしまうか分からない。
      ・常に気を配っていられない。
      ・落し物は音が出て気がつくこともあるが、忘れ物に関しては音が出ることもなく、気が付かない。
                                                            ・・・
etc

 →特に上記に注目してみると、「落し物は音が出るが、忘れ物は音が出ない」と言うところが、
   忘れ物と、落し物の違いであると分かる。  

  →また、「気がつかずに、そのまま移動してしまうこと」が共通点であると分かる。
  →不注意で、いつ起こるか分からないことも共通点である。

 落し物、忘れ物それぞれについて、時間軸を書き、更に分析する。

★時間的分析−落し物−
  ・・・落し物のついての時間的分析
     ※移動しながら物を落としてしまう具体的状況を考えて書いた。

  ‐‐‐−―――●○―◎――――――――――――★――――――→

           ●(落ちかけた状態になり)物が落ちる
            ○落としたものの音がする
               ◎その音を聞き逃す
               ◎〜★ 持ち主が移動する(など)
                                 ★物がないことに気がつく

★時間的分析−忘れ物−
  ・・・忘れ物についての時間的分析(A)(B)二通りを考えた。

 (A)電車に乗っているなどの具体的状況を考えて書いた。

  ‐‐‐−―――●――◎――――――――――――★――――――→

           ●(棚や、側に)物を置く
               ◎ぼーっとしていてそのまま、持ち主が忘れて移動してしまう(など)
                              ◎〜★(移動するなど)
                                  ★物がないことに気がつく

 (B)傘の場合を想定し、建物から出る帰りの際、晴れていて忘れた具体的状況を考えて書く。

   ‐‐‐−―――●――――――◎――――――――★――――――→

            ●(傘立てなど)傘を置いておく
                     ◎打って変って晴れていて、必要なくなり、そのまま忘れる。
                      ◎〜★移動する
                                  ★傘を忘れたことに気がつく

 すなわち、落し物は忘れ物と違って、落し物をしたことのヒントがないことが分かる。

  落し物や忘れ物は、それが落ちたり、忘れられたあと、気が付かないでそのままの状態になり、
  「忘れ物」「落し物」と定義され、「落とした」「忘れてしまった」と言う状態になることが分かる。
   よって、落とした(忘れた)現場移動していることが多く、その物から、いくらかの距離が離れてしまったあとで、
  持ち主が「失った」「なくなった」ことに気がつくので、どこで落とした(忘れたのか)分からなくなってしまう。

★上記分析を用いて、全員で、「どのような方法が考えられるか」についてのブレーンストーミングを行う。
   ・・・ひとつの意見にとらわれるのでなく、あらゆる可能性を否定しないで挙げていくことが大事。
      (直接、問題解決に関わっていったことを掲載。その他は省略させていただいています。)

   ・「落し物は、音で気がつくこともある」ということから、忘れ物も音がすれば気が付くのでは。
   ・「物との距離」で音を鳴らすことによって、忘れ物にも気がつかせるようにするとよい。
   ・音は、そのものからある一定の距離が、離れたときに音がなるようにすると良い。    ・・・略

  上記の分析から、以下のようなものを考案する案が出た。

タグと親機のようなものを考案する。
    忘れてはいけない物/落としてはいけない物に子機タグを装着させ、
    ある特定の距離が離れると音がする親機を用いたシステムである。

   親機による微弱電波の送受信による子機タグ、確認システム

    親機が微弱電波を発信し、それを返信する子機タグをそれら失いたくないものに装着させておくことで、
   その微弱電波が返信された数(または返信されたタグの番号)を親機が確認することで、
   ものがある距離内に存在しなくなったことを持ち主に知らせるシステムである。
    存在しなくなったものがある場合、親機が音を出し、持ち主に知らせ、気づかせるものである。

    親機の確認距離は、一定の案(小物、カバンなど自分からあまり離れることがないもの)と、
    ものによって指定できる案(傘などの距離が離れるもの)のふたつに別れたが基本の考え方は以下の通りである。

    例@)普段から手に持っているカバンの場合は、電車に乗ったときなどを想定すると、
        自分を中心にした半径2mくらいの距離がカバンの存在範囲なので、それ以上離れると音がするとよい。
      また、その際、カバンを置いてトイレに行くなどが考えられる場合は
        タグを外して持ち歩くか、on/off切り替えをできるシステムをつけることで、離れられるようにする。

    例A)財布や携帯電話
       自分の体から少し離れるぐらいの距離内に収まっているものであると考えられるので、
       自分の体から離れる程度の距離内に存在しなくなったときに音が鳴るようにすればよい。

   また、いくつもの物に併用することも考えられるので、ひとつの親機でいくつものタグを確認できるようにするとよい。
   個別認識のタグにすると、どのタグのついた物を落としたのか/忘れたのかが確認できると言う案もあがった。
   個別認識ではないタグにする場合は、何がなくなったのかを自分で確認する必要があるが、むやみにタグをつけず
   貴重品などに限ることで、何がなくなったかを迷ってあたふたする必要がなくなる。すなわち、必ずしも個別認識でなくてもよい。

   例B)傘などのように建物の入り口に置いて、帰りにまた手にするものなどの場合
       距離がかなり離れても音がならないようにする必要性がある。
         →しかし、この場合、離れてしまっても音がならないという問題がある。
       なので、一定の距離ではなく、ものによって認識距離を変えられるような任意の距離を指定できる機能を持たせるとよい。
       かなりの距離(入る建物の広さで離れるであろう距離以上)、物から離れなければ音は鳴らないが、
       そのまま忘れて帰宅することはなくなる。

       または、逆に、そのものにある程度近づいたときに音が鳴るように設定できるような設定ができればよい。
       帰りに傘たての側を通ることで音が鳴り、それが「傘を忘れている」ということが分かる。→忘れた/落としたときと音を変えるなど。
       このようにすることで、システムを逆に発想し、用いるのもよい。

★具体的なものの考案

 実現に必要なもの
    子機(タグ)
    親機

 それぞれのがもつとよい機能 
    子機(タグ) ・・・ 親機の電波に自分のタグ情報を乗せて返信する機能
               装着できる(巻きつけ、貼り付け など)
               個別信号 ※必要に応じて
    親機     ・・・ 定期的な呼びかけ電波の送信機能
               返信電波の受信機能
               受信する返信電波のフィルター(個別確認のとき)
               返信した電波の集計(確認)機能
               存在するはずのタグが確認されないときに音を出す機能
               切り替え(タグのon/off) ※必要に応じて

 システムについて
  親機が子機が指定(一定)の距離内に存在することを確認できるシステム。
        ・微弱電波を発信し、また受信する親機、親機の発信した微弱電波を返信する子機タグ
        ・微弱電波の周波数・・・ペースメーカーなどの心配などから、それに影響を及ぼさない微弱であるもの
        ・親機の呼び出し電波発信の間隔(回/秒)・・・電波の速度などが関係するが、システムから考えて、
                                     それほど頻繁にする必要はない、一秒に2回程度でもよいのでは(?)
        ・存在するはずの子機タグが、その範囲内に存在しないときに音を鳴らし、持ち主に紛失を知らせる

 たくさんの人が使用することを想定して、他の親機の発信した電波に対しては、子機はいつも返信する機能を有するか。
        →有してもよい。親機の発信した電波を返信する際、簡単な信号を乗せて返し、受信の際に判別すればよい。

 空間的な理想図
           
       (1)配置                   (2)親機の発信(子機への呼びかけ)  (3)子機の返信(返事)  

           
     (4)親機の受信(返事すべき子機の確認) (4-2)親機による確認(足りない場合) (5)音を出す

 

さらにこの考案が実現すれば、私たちは、さまざまなことに利用できるのではないかと考え、それについて考えた。

 →親機子機システムを用いた迷子探しの問題

 →親機子機システムを用いたテーマパークの経営支援システム